夏に育てやすくて可愛い多肉植物「ユーフォルビア・オベサ」の魅力をプロが徹底解説! 選び方から育て方、交配の楽しみ方まで、初心者にも分かりやすくご紹介。夏のベランダ園芸に新風を吹き込む、育てやすい多肉植物の完全マニュアルです。
目次
「ユーフォルビア・オベサ」で夏の多肉植物ライフをEnjoy!

今回もお話をうかがうのは、2024年9月に世田谷区・九品仏でビザールプランツ専門店「gadintzki plants(ガディンツキー・プランツ)」をオープンさせた園芸家・関ヨシカズさん(以下、関さん)。
当連載「多肉植物狂い」でも、その深い知識と経験をたびたびご紹介しています。
そんな関さんが、この夏楽しむべきおすすめ多肉植物として紹介してくれるのが、ユーフォルビア・オベサ。
今回は、多肉植物初心者でも存分に楽しめる、オベサの魅力をたっぷりと教えていただきました。
「ユーフォルビア・オベサ」とは?
「オベサ」の基本情報

- 植物名:ユーフォルビア・オベサ
- 学名:Euphorbia obesa Hook.f.(1903年記載)
- 英名: Baseball plant(ベースボールプラント)
- 和名: 特になく、「オベサ」と呼ぶのが一般的
- 科属: トウダイグサ科(Euphorbiaceae)ユーフォルビア属(Euphorbia)
- 原産地: 南アフリカ共和国・ケープ州中部の乾燥地帯(特にグレートカルー地方)
- 形態: 多年草 / 夏季成長型多肉植物
- 園芸分類: 多肉植物
- 開花時期: 初夏〜晩夏(5〜8月頃/首都圏以南・以西の場合)
- 草丈・樹高: 5〜20cm程度(栽培環境による)※成熟個体でも背丈はあまり伸びない
- 耐寒性: 弱い(5℃以上を推奨)
- 耐暑性: 強い(高温・乾燥に適応)
- 花色: 黄緑色〜赤褐色
オベサは雌雄異株でメス花とオス花が異なる形で咲く。
また、花が咲くまでは雌雄の判別ができない。

丸くてずんぐりとしたフォルムが愛らしいユーフォルビア・オベサ(以下オベサ)。
この特徴的な姿を表すように、「obesa」という種小名は、ラテン語の「太った」という意味をもつ言葉に由来します。
その容姿からサボテンの仲間と間違う方もいますが、じつはユーフォルビア属の多肉植物なのです。
オベサの歴史
1897年ごろ、南アフリカ・ケープ州にて、当時のケープ植物標本館責任者であるピーター・マクオーワン(Peter MacOwan)がこの奇妙な球状の植物を発見し、先に発見されていたユーフォルビア・メロフォルミス(Euphorbia meloformis)と同じか、その変種だろうと仮定して、キュー王立植物園に標本を送付しました。
しかし、英国のキュー王立植物園のジョセフ・ダルトン・フッカー(Joseph Dalton Hooker)は、この植物を精査した結果「これは新種だ」と判断。
1903年に、フッカーにより英国の園芸雑誌『Curtis’s Botanical Magazine』第129巻に、「Euphorbia obesa Hook.f.」として正式に記載されました。

※参考文献:BHL(左記Curtis’s Botanical Magazine第129巻デジタルアーカイブのTab.7888の項目で1903年記載時のより詳細な解説を見ることができる)
ちなみに、当初それの変種だろうと勘違いしていた「メロフォルミス」はこちら。

園芸家「関ヨシカズ」的に、オベサのここが推し!

最大の魅力は個体差によるバリエーションが豊富
オベサは、球形ユーフォルビアの中でも圧倒的に人気がある種類です。
中でも僕が一番魅力に感じているのは、個体ごとのバリエーションが本当に豊富なところ。
たとえばホリダやバリダも球形ですが、基本的には「その種らしい形」に収まるんですよね。
でも、オベサは違う。
同じ種でも、ひとつひとつのフォルムや模様の出方がまったく違うんです。
とくに、完全な球体に近い個体なんかは、まるで人工物のような完璧さで、芸術的な美しさがあります。
一方で、万華鏡を覗いたような模様が現れる個体もあって、これがまたコレクション欲を刺激するんです。
ガディンツキープランツでも、オベサは男女問わず人気があります。
見た目がかわいらしいので、女性のお客様がふらっと来て買っていかれることもよくありますし、逆に、成長点が突然変異して帯状に伸びる「綴化(てっか)株(通称モンスト株)」なんかは、いかにも“異形好き”なマニアの男性に刺さる傾向がありますね。

あと、オベサってほんと中毒性が高いんです。
最初は1株だけのつもりが、すぐに「もっとほしい」となって、2株、3株と増えていく(笑)。
しかも雌雄異株で、市場流通はオス株が圧倒的に多いので、「花が咲いてみたらまたオスだった!」を繰り返してメス株探しにハマる人もいます。
成長がとてもゆっくりな点も魅力のひとつ。
手のひらサイズでじっくり楽しめるし、育て方もそれほど難しくないので、初心者の方にもおすすめできるユーフォルビアですね。
交配が楽しい!
オベサを育てていると、いつの間にか「交配してみたい!」という気持ちが芽生えてくる人が少なくありません。中でも、メス株を手に入れた方はほぼ例外なく、“せっかくなら花粉をつけてみよう”と一度は交配に挑戦したくなるんです。
というのも、オベサの交配は意外なほど簡単なんです(※詳しい方法は後半に動画で紹介していいます)。

雌雄異株のオベサは、タネをとるにはオス株とメス株の両方を揃え、さらに花の咲く時期が重なる必要があります。
そのため、まずは『オスとメスのペアを集める』という過程自体がひとつの楽しみにもなっています。
そしてその先には、自分だけの“次世代オベサ”を育てるという、さらなる魅力が待っています。
「この個体とあの個体を組み合わせたら、どんな模様が出るんだろう?」
そんな想像をふくらませながら、ついつい夢中になってしまう。
オベサの世界には、コレクションから一歩先の楽しみ方が、しっかりと用意されているんです。
ガディンツキープランツの「オベサ」
ガディンツキー・プランツは今オベサ真っ盛り!
店内の関さん選りすぐりのオベサをいくつかご紹介します。


卵形のフォルムが印象的なこのオベサは、実生5〜6年ほどの年季が感じられる1株。
稜に沿って立ちのぼる炎のように広がる木質化が美しく、まさに極上の風格をまとっています。


欧州の教会の聖堂を彷彿とさせる独特のシルエットが印象的なこの株。すでに美しい木質化が始まっており、模様も非常に整っています。
上からのぞけば、まるで万華鏡のような美しさを楽しめる1株です。


この株は、愛嬌のある丸みがなんとも可愛らしく、木質化の風合いにも趣があります。
これからどのように変化していくのか、成長の過程を見守るのが楽しみな1株です。


まるで野球ボールのように美しい球体を持つこの株は、緑の色乗りが際立ち、販売ラインナップの中でもひときわ目を引きます。


オベサ初心者におすすめの手頃な小株。
サイズは控えめながら、稜の立ち方や色彩の美しさなど、細部にまで美株の素質が感じられる、将来が楽しみな1株です。
※各在庫状況は随時店頭にDMにてお問い合わせください。
プロが教える「オベサ」を選ぶポイントと購入時の注意
どんな個体を買えばいい?|ここをチェック!
オベサは扁平、まん丸、縦長など、形に幅があり、色合いもさまざまです。
そのため、色や形に明確な正解があるわけではなく、「よい個体」の基準は基本的には個人の好みや感性に委ねられるところが大きいでしょう。
また、成長とともに縦に伸びる性質があるため、縦長や山型の個体でも、それは徒長したわけではありません。
自然な成長過程ででき上がった形、と考えてください。

サイズに関しては、大きさ=価格というのが基本です。
オベサは極めて成長が遅いため、小さな株を大きく育てるには年単位の時間がかかります。
予算に余裕があるなら、最初からある程度のサイズを選ぶのも手です。
ただし、小型でもバランスのよい個体はあり、価格が必ずしも安いとは限りません。
造形や模様の美しさを基準に、小さな株をじっくり育てる楽しみ方もおすすめです。
稜

オベサにおいて、価値の目安のひとつとなるのが“稜(りょう)”です。
稜とは、球体の縦方向に走る筋状の隆起で、造形の基本となる部分です。
通常は上の写真の株のように8稜が基本とされますが、2〜3本の差で価値が大きく変わることはありません。
ただし、4稜など極端に少ないものや、12〜13稜といった多稜の個体は希少性が高く、市場でも高値で取引される傾向があります。
特に多稜個体は、成長とともにさらに稜が増えることがあり、形の珍しさに加えて“時間的な価値”も加味され、高評価を得やすくなります。
また、木質化によって稜と稜の間に陰影が生まれると、フォルムの美しさが際立ちます。
こうした点にも注目しながら選ぶことで、より魅力的な1株と出会えるはずです。
木質化

オベサを育てていると、株の下部や稜の谷間が茶〜灰褐色に変色し、表皮が硬く乾いたようになる「木質化」が見られるようになります。
年を重ねた株ほどこの傾向が強く、ひび割れや鱗状の質感が出てくることも。
木質化は老化にともなう自然な変化であると同時に、紫外線や乾燥といったストレスに対する適応反応ともいわれます。
さらに、幹のようにまっすぐ立つ株や、少し斜めに立つ株では、木質化した部分が株をしっかり支える役割を果たしていることも考えられます。
とくに年季の入った株は、木質化によって風格や重厚感が増し、「ヴィンテージ・オベサ(またはオールド・オベサ)」としての魅力が際立ちます。
ヴィンテージやオールドといった株には明確な定義はないものの、実生から5年以上の株をヴィンテージ株とみなす傾向があり、10年選手ともなればマニア垂涎の的です。
なお、木質化は必ずしも年齢だけでなく、日照・乾燥・通風などの環境によって若い株にも現れます。その“カッコよさ”も含め、株の木質化は選ぶ際の大きな魅力の1つです。
購入時はここに注意!
オベサを購入する際に注意すべきは「成長点」です。
成長点が突出している個体は、いわゆる間延び=徒長してしまっている状態であり、生育不良の兆候である可能性があります。
購入の際は、成長点が適度にへこんでいる株を選ぶのが基本です。

また、虫の付着や病斑がないかも要チェック。
株のボディがしっかり硬く、引き締まっているかどうかも確認しましょう。
柔らかい場合、水管理などに問題がある可能性があります。
このような観点から、フリマアプリやネットオークションなど、現物を見ずに購入する場合は、出品者の評価や購入者のレビューを確認し、信頼できる相手から入手することが大切です。
「オベサ」の育て方
⚠️初心者の方へ

オベサは見た目こそシンプルですが、育てるにはちょっとしたコツが必要な植物です。
多肉植物の栽培経験がある方にとっては育てやすい品種ですが、園芸そのものが初めてという方は「どんな点に気をつければいいの?」と不安になるかもしれません。
しかし、これから紹介するポイントをおさえれば、誰でも安心して育てることができます。
重要なのは、「オベサを育てる環境づくり」を意識すること。
置き場所や水やり方法など、次項以降を参考に、自分に合った育成スタイルを考えてみてください。
この夏、Let’s try Obesa!
置き場所と日光管理
直射日光と風が必須
オベサの健やかな生育には、日光と風が欠かせません。
特に春〜秋はたっぷり光を浴びせることで、締まりのある美しいフォルムに育ちます。
風も代謝を促し、硬く丈夫なボディをつくる大切な要素です。
こうした自然の要素を栽培環境で再現することが、オベサを元気に育てるコツです。
このため、成長期は屋外管理が理想的です。

ただし、近年の夏の太陽には注意が必要です。
強い直射日光は葉焼けを引き起こす恐れがあり、特に7月以降は遮光ネット(遮光率30〜50%推奨)で日差しを和らげましょう。
また、長く日陰で育った株を急に屋外に出すと、確実に肌が焼かれてしまうため、この場合も遮光ネットの活用をおすすめします。
葉焼けは悪化すると、株が枯れてしまうこともあるので要注意です。
遮光ネットはホームセンターや園芸店、Amazonなどのネット通販などで簡単に入手可能です。
初心者には少し難しく感じるかもしれませんが、適当なサイズにカットして輪ゴムで鉢に固定するだけでも十分。まずは気軽に取り入れてみてください。


最適な温度管理
オベサの原産地、南アフリカ・ケープ州グレートカルー地方では、夏は日中40℃を超えることもあり、オベサは高温環境に強い性質を持ちます。
日焼けにさえ気をつければ、夏場は40℃を超える暑さでも問題なく育ちます。
人のほうが参ってしまいますが・・・。
一方で、現地の冬は日中でも平均16〜18℃と比較的温暖で、日本のように氷点下になることはほとんどありません。そのため、極端な寒さには弱い傾向があります。
冬場は最低気温が10℃を下回る時期には室内に取り込み、特に夜間は5℃以下にならないように管理すると、根のダメージや生育の停滞を防ぐことができます。

室内管理の注意点
室内でオベサを育てる際に最も大切なのは、日照と風通しの確保です。
オベサは日光を非常に好む植物のため、できるだけ長時間、陽射しが差し込む明るい場所に置くようにしましょう。
天候や立地によって十分な自然光が得られない場合は、植物育成用のLEDライト(TSUKUYOMIやAMATERASなど高出力タイプ)の使用もおすすめです。
これらのライトを使えば、太陽光に近いスペクトルの光を安定して与えることができ、日照不足による徒長や生育停滞のリスクを軽減できます。

日照が不足すると、成長が止まるだけでなく、成長点が盛り上がってしまう徒長(間延び)の原因にもなるので注意が必要です。
また、室内は空気がこもりやすく湿度も上がりやすいです。
特に夏場や梅雨時期は、サーキュレーターを使用して空気の流れを作ることがとても重要です。
これにより、蒸れやカビのリスクを下げるだけでなく、オベサに付きやすいカイガラムシの予防にもつながり、健康な状態を保ちやすくなります。

加えて、エアコンの風が直接当たる場所も避けるようにしましょう。
過度な乾燥や急激な温度変化は、株に大きなストレスを与える可能性があります。
照度と換気を意識しながら、できるだけ穏やかで安定した環境を整えることが、室内でオベサをうまく管理するコツです。
水やりのコツ|多肉植物ならではの管理方法
水やりの方法
オベサへの水やりは、ボディにかけず、用土だけを湿らせる方法がおすすめです。
与える際は、鉢底から水がしっかりと流れ出る程度に、たっぷりと与えましょう。

もちろん、ボディに多少水がかかっても大きな問題になることはありませんが、成長点のくぼみに水が溜まったままになるのは要注意です。

この部分に水が残ると、蒸れの原因となり、最悪の場合は腐敗を引き起こすことがあります。
特に気温や湿度の高い時期は注意が必要です。
もし水が溜まってしまった場合は、ティッシュや綿棒を使って、やさしく吸い取ってあげましょう。
ちょっとした気配りが、オベサの健康を保つ大切なポイントです。
季節ごとの水やりの頻度
オベサは季節によって生育リズムが大きく変化するため、時期に応じた水やりの調整が非常に重要です。以下を参考に、株の状態をよく観察しながら水やりを行いましょう。
●初春(3月):生育開始期
日中の気温が20℃前後に安定してきたら、水やりを再開します。
10日に1回程度を目安に、用土がしっかり乾いてからたっぷりと与えましょう。
●春〜初夏(4月〜5月):成長期
オベサが最も活発に成長する時期です。
用土の表面が乾いたら、週1回を目安にしっかり水を与えましょう。
乾いたらたっぷり、が基本のリズムです。
●初夏〜初秋(6月〜9月):緩慢期
蒸し暑さと高温の影響で、オベサの成長が緩やかになります。
この期間は過湿による根腐れのリスクが最も高まるため注意が必要です。
水やりは、土がしっかり乾いてから4〜5日ほど空け、夕方以降の涼しい時間帯にたっぷり与えるようにしましょう。
土の乾き具合は、慣れれば指先の感触で判断できるようになりますが、慣れないうちは竹串や水分チェッカーを使うのがおすすめです。

●秋(10月〜11月):成長期(再び)
気温が落ち着いてくるこの時期も、春と同様に活発に成長します。
週1回の水やりでOKですが、11月中旬以降は徐々に間隔を空け、10日に1回程度にしていきましょう。
●冬(12月〜2月):休眠期
オベサは休眠に入り、成長がほぼ止まります。
この期間は基本的に断水気味の管理が推奨されます。
完全断水する方法もありますが、関さんや筆者が実践しているのは「微量潅水」というスタイル。
2週間に1回ほど、晴れた日の午前中に、用土の表面がほんのり湿る程度の極少量の水を与えるという方法です。
この方法は、オベサの繊細な根の活動を完全に止めず、休眠中の細根を枯らさずに維持するのに役立ち、春先のスムーズな生育スタートにつながります。
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【とにかく蒸れには要注意!】
オベサ栽培で特に注意したいのが「蒸れ」。
オベサは過湿を極度に嫌うため、(水を)与えて蒸らすよりは、与えずにいたほうが枯れるリスクを回避できます。
1カ月間水を与えなくても枯れることはないので(しぼんでも水で復活します)、初心者の方はとにかく乾かし気味栽培を徹底してください。![]()
用土と鉢の選び方|通気性がカギ
用土のポイント
オベサに用いる土は、市販の「サボテン・多肉植物用土」で基本的にはOKです。
ただし、粒がやや大きい場合は、粗めの赤玉土を少し加えると、水はけと保水のバランスが整います。
オベサは根腐れに弱いため「排水性の高さ」が何より重要。必ず水はけのよい用土を選びましょう。
なお、ガディンツキープランツの専用ブレンド用土は、多肉や塊根植物に適した素材が網羅されており、初心者にも扱いやすくおすすめです。

さらに、植え替えの際に『オルトランDX粒剤』を少量混ぜておくと、オベサにつきやすいカイガラムシの予防にもなります。
鉢選びのポイント
購入時のプラスチック鉢のままでも栽培は可能ですが、植え替える際は「通気性のよい鉢」がおすすめ。
中でも素焼きのテラコッタ鉢は、排水性・通気性に優れ、根腐れのリスクを減らしてくれる理想的な選択肢です。
植え替え時は、鉢底に軽石や鉢底ネットを敷き、水はけをしっかり確保しましょう。

オベサは根張りが強くないものの、鉢が手狭になると根詰まりを起こすこともあるため、株のサイズに合った鉢を選ぶことが大切です。
ちなみに、関さんのおすすめは「スリット入りプラスチック鉢」。

通気性が高く、夏は熱がこもりにくく、冬は適度な保温効果が期待できます。
黒や緑のプラ鉢は太陽熱を吸収しやすく、寒い時期に鉢内の温度を保つ効果も。
価格が手頃で扱いやすく、初心者にもおすすめです。
肥料の与え方|与える場合は成長期を狙って適量を
オベサは痩せた土地に自生するため、肥料の与えすぎは徒長や形崩れの原因になります。
基本的には、植え替え時に少量の堆肥や緩効性肥料を混ぜるだけで十分です。
普段の栽培では基本的には追肥は不要です。
ただし、開花後にタネを採取した株には、消耗した栄養を補う“御礼肥え”として、成長期(春〜秋)の晴天時にごく薄めた液肥を少量与えると、回復がスムーズになります。
施肥の基本は「控えめ」。
与えすぎないよう心がけましょう。

害虫対策
オベサはコナカイガラムシ(カイガラムシ類)が発生しやすく、特に成長点付近に見られることが多いです。
放置すると病気の原因になり、株に深刻なダメージを与えることも。
見つけ次第、市販のカイガラムシ用殺虫剤で速やかに駆除しましょう。
ただし、非常に見つけにくい害虫でもあるため、成長期を迎える前に『オルトランDX粒剤』を用土に混ぜ込むか、もしくは予防的に殺虫スプレーを株全体に噴霧するのも効果的です。
「オベサ」の増やし方
とっても簡単、交配にチャレンジ!
オベサの交配は超簡単! そして発芽率超高し!
ここではオベサの交配の仕方を映像で紹介します。
オベサのたのしい仲間たち
オベサには、いくつかの魅力的な仲間たちがいます。
本記事の締めくくりとして、直系の品種や近縁種など、個性あふれるオベサの仲間たちを紹介します。
オベサと一緒に育てれば、その楽しさも倍増です!
ユーフォルビア・シンメトリカ(Euphorbia symmetrica)

オベサの変種とされることもある非常に近縁な品種。
名前のとおり、整った稜と模様が美しい左右対称なフォルムが特徴です。
オベサよりもやや扁平な形になりやすく、地表に貼り付くような姿が魅力。
ユーフォルビア・オベサブロウ(Euphorbia obesa × susannae =‘Obesablow’)

オベサと、瑠璃晃の名で知られるユーフォルビア・スザンナエとの交配によって生まれた園芸品種。
オベサよりもコンパクトで締まりがあり、稜が波打つようにうねる特徴があります。
交配由来の個体差も豊かで、コレクションにも最適。
筆者のお気に入りで「オベ三郎」と呼んでいます。
ユーフォルビア・オベサ梵天(Euphorbia obesa ‘Bonten’)

オベサをベースに園芸的に作出された交配種。
通常のオベサよりも全体的に大きく、稜が太くうねるように出るのが特徴で、子もよく吹き、どこか野性味を感じるフォルムが魅力です。
名前の「梵天」は仏教における宇宙を司る神「創造神ブラフマン」を意味し、品種の独特な雰囲気からそう名付けられたとされています。
ユーフォルビア・バリダ(Euphorbia valida)

2006年までオベサの変種とされていたこともある近縁種で、オベサよりも稜の凹凸が強く出る傾向があります。
ひと目でバリダと分かる特徴が、長く伸びる花茎(かへい)。
花後もその茎が枯れたまま残るため、古株になるほど独特の“骨格”のような風貌に。
見た目はオベサよりワイルドで、並べて育てると対比が楽しい存在です。
まとめ|「オベサ」を育ててみよう!
見た目の可愛らしさと、個体ごとの豊かなバリエーション、そしてコンパクトなサイズ感。
オベサは多肉植物の中でも、“育てる楽しさ”と“集める面白さ”を同時に味わえる特別な存在です。
たしかに、観葉植物に比べれば、ややクセのある管理が必要ですが、この記事でご紹介したポイントを押さえれば、初心者でも上手に育てることが可能です。
成長はゆっくりでも、日々観察していると少しずつ表情が変わっていくのが分かるはず。
1株、また1株とコレクションが増えていくうちに、きっとあなたも“オベサの沼”にハマっていくことでしょう。
まずは気に入ったフォルムの1株を、ぜひお迎えしてみてください。
あなたの暮らしの中に、ちいさな「宇宙」が生まれるかもしれません。
Credit
写真&文 / 編集部員K - ライター・エディター -

フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。多肉植物関係の記事を中心に、精力的に取材&執筆を行う。飼い猫「ここちゃん(黒猫♂6歳)」に日々翻弄されている。
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