スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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育て方

バラを美しく咲かせる特別な仕立て方「ガーランド」の秘技をバラの専門家が大公開!
つるバラでつくるガーランドの魅力 「ガーランド(garland)」とは、古くは名誉や勝利の印として贈られる花輪や花かんむりを指し、古代ギリシャの彫刻や建築にも見られる格調高い装飾模様の一つです。現代では、花や葉、旗などのモチーフがリボン状に連なった飾りを「ガーランド」といい、ガーデン界では「花綱(はなづな)」とも呼ばれている、花を連なるように咲かせる立体的で優美なバラの仕立て方です。 日本でも各地に、この「ガーランド」を取り入れている観光ガーデンがありますが、最も新しく登場し注目されているのが、ここで解説する「中之条ガーデンズ」のガーランドです。 中之条ガーデンズにある2カ所のガーランド 「中之条ガーデンズ」では、2カ所でそれぞれ異なるガーランド仕立てを見ることができます。1カ所はバラに挟まれた小道、もう1カ所はバラに360度囲まれるサークル状のエリアです。 まるで花道のようなガーランド仕立ては、小道を歩きながらすぐそばに花々が咲く様子が楽しめて、無数のバラに囲まれた感覚を味わえます。2つ目は、空を見上げるほど高い位置に2連の輪が浮かび、360度バラに囲まれるという演出。このようにガーランドを設置する高さの違いによって、バラをいろんな角度から眺めることができます。 まずは、どんな構造になっているかをご紹介しましょう。1カ所目の「小道を歩きながら観賞するガーランド」は、支えになっている緑色の柱の高さは2m。高さ2mと1mの位置に各1本、合計2本のガーランドが、6本の柱の間に渡されています。 左右に2ガーランドが続く小道の幅は1.2m。人がすれ違える程度。これは、目の前に迫り咲く花を歩きながら眺められるうえ、豊かなバラの香りも楽しめるという、こだわりのデザインです。 もう1カ所は、見上げるほど高い位置に360度ぐるりとサークル状に仕立てられた2連のガーランドです。柱の高さは、3m。地上から3mと2mの位置に綱が張られていて、空にくっきり花のラインが浮かび上がります。満開時には花に囲まれた特別な空間になり、訪れる人は皆、感嘆の声を上げます。 ガーランド仕立てに向くバラの品種とは? つるバラをガーランドに仕立てる場合、まずは伸長力(つるが伸びる力)がある品種を選ぶことが大切です。一般にはランブラー・タイプと呼ばれるバラが該当しますが、このタイプであっても‘スーパー・エクセルサ’のような品種は伸長力が乏しく不向きです。 次に枝がしなやかな品種のほうが誘引しやすく、綱の形も崩れにくいです。ロサ・ヘレナなどは枝が硬く、思うような形状に曲がらなかったり、誘引作業中に枝が折れてしまうことがあります。またシュートが株元からも発生しやすい品種のほうが、年数を経過しても株元が寂しくなりにくいです。‘アルベリック・バルビエ’などは誘引を工夫しないと、数年後は株元に枝がない状態になってしまいます。 複数品種でつくる場合は、開花期が重なる品種で構成することも大切です。品種選びは、ある意味重要なテクニックです。 こうしたポイントを踏まえて、「中之条ガーデンズ」で選ばれている品種は、‘玉鬘(たまかずら)’や‘花小紋(はなこもん)’ ‘マニントン・マウブ・ランブラー’などです。 ●『河合伸志が選ぶガーランド仕立て向きの推奨品種10選』も近日公開予定です。お楽しみに! ガーランドの誘引テクニック ガーランドの誘引には、バラが休眠中に行うベーシックな「冬季誘引型」と、上級者向けの「夏季誘引型」の2タイプあります。それぞれの特徴とコツを、バラの専門家・河合伸志さんが詳しく解説します。 ベーシックな「冬季誘引型」で仕立てるガーランド 誘引の仕方は、基本的に他のつるバラと同様です。枝数が多い場合は、柱に誘引する枝と、綱に誘引する枝を分けます。柱に誘引する枝は螺旋を描くように巻き付け、綱に誘引する枝は柱に寄せた後にそのまま各所に配置し、綱に沿うようにとめていきます。柱に誘引する枝は、下記の点を注意すると、より美しく仕上がります。 小道の左右に設けたガーランドを真横から見てみましょう(上写真)。柱の根元付近から枝を上へ誘引し、柱を起点に左右に振り分けます。ここで意識して行うのが、根元付近をいかに柱に沿わせるかです。 柱の根元付近を見ると、伸び出た枝はなるべく柱に沿うように地際から引き寄せて柱にとめつけられています。ここが膨らんで太くならないようにすることで、柱がすらりと見えて美しく仕上がります。 柱に沿わせて上へ誘引した枝は、左右の綱へ誘引していきます。この時、綱が複数段ある場合は、上下のボリューム感が同等になるようにします。また、左右の柱から誘引する枝も同様にボリューム感を調整し、中央付近では多少重ねた状態で、枝を留めます。 柱と柱の間に渡したロープに沿って枝をとめつけます。 標高480mの冷涼な高地にある「中之条ガーデンズ」は、冬季の積雪は少ないものの、バラがダメージを受けるほど冷たい乾風が吹くため、未熟な若いシュートは春が来る前に枯れてしまいます。もしシュートが1本枯れてしまうと、綱を覆う枝が減って花数も少なくなります。そのため枝の選別は熟度を優先し、太くて立派なシュートであっても未熟なものは切り捨て、古枝であっても充実したものであれば優先的に残します。冬に耐える枝を見極めるという、プロの選別の目が、ガーランド仕立ての成功の鍵を握っています(関東地方以西の平地では、ここまでの真剣な選別をしなくても、冬季の枯れ込みは少ないです)。 冬季にガーランドに誘引した場合、もともとの枝の癖で綱が自然な印象にたわまなくなることがあります。このような場合は、綱が自然なカーブを描くように、仕上げに綱の中央付近を紐で下方に引っ張るようにレンガ(矢印)の重しを取り付け、綱のラインを矯正して完成です。 上級者向け「夏季誘引型」で仕立てるガーランド 花後にその時点で出ているシュートや未開花枝と主幹を残し、その他の株全体の枝を大きく切り詰めて整理します。その後、伸びてくるシュートや未開花枝はそのまま柱や綱に誘引していきます。誘引の仕方は冬季の場合と同じです。 冬季になったら、葉をむしって再度紐を結束し直します。この場合、枝の癖がロープのたわみに影響を与えることがないので、苦労して矯正しなくてすむというメリットがあります。 一方、花後に大きく切り詰めてから株を再生させるため、栽培技術が未熟な場合、十分に冬までに回復させることができず、翌年はボリュームダウンしてしまうことがあります。また切り詰めすぎでも同様のことが起こるので加減がとても難しく、どちらかというと、温暖な地域のバラ栽培、中・上級者向けの手法かもしれません。 バラのガーランドを見に行こう! シュートの良し悪しを見極めながら、手が凍えるほどの寒空のもと、開花の姿をイメージしながらガーデナーが一枝ずつ丁寧に誘引した「ガーランド」。中之条ガーデンズにあるガーランドは今、葉を茂らせ、たくさんのつぼみをつけて開花のシーズンに向けてスタンバイしています。 ぜひ、今年はオープンエアで安心して楽しめる花咲くガーデンへ出かけてみませんか? ご紹介の群馬県「中之条ガーデンズ」の美しいバラは、東京近郊のバラの最盛期が落ち着いた5月下旬から見頃を迎えます。
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宿根草・多年草

柑橘系の香りがするレモンバーム! レモンバームの育て方・利用方法とは?
レモンバームとは ハーブの一種として人気の高いレモンバームは、どんな植物なのでしょうか。ここでは、基本情報や名前の由来、花言葉についてご紹介します。 レモンバームの基本情報 レモンバームは、シソ科コウスイハッカ属の多年草です。原産地は南ヨーロッパ、西アジア北部、北アフリカ西部で、暑さ寒さに強い性質を持っています。日本の気候にも馴染み、放任してもよく育ちます。 人気の高いハーブの一種で、葉にはレモンのような柑橘系の香りがあり、手軽にハーブティーなどに利用できます。草丈は30〜60cmで、枝葉をたくさん出してよく茂るため、たくさんの収穫が可能。1cmに満たないほどの小さな白い花が咲き、ミツバチが好んでやってきます。 一度植え付ければ、毎年収穫や開花を楽しめる多年草で、コストパフォーマンスが高いのも魅力の一つです。春になると新芽を出して生育し、開花は6〜7月頃。晩秋になると地上部を枯らして姿を消しますが、枯死したわけではなく休眠しているだけ。越年して翌春を迎えると再び新芽を出すというライフサイクルを繰り返す息の長い植物です。 レモンバームの名前の起源や花言葉 レモンバームは、英名「Lemon balm」で、balmには香油という意味があり、レモンに似た香りがすることに由来しています。学名はMelissa officinalisで、「Melissa」はラテン語で「ミツバチ」の意味。レモンバームの花にミツバチがよく集まることに由来しています。「Officinalis」は、「薬用になる」という意味を持ち、古くから薬用のハーブとして用いられてきたことが分かります。 レモンバームの花言葉は、「思いやり」「共感」「同情」など。薬用ハーブであったことから、病に苦しむ人へ寄り添うような言葉が与えられているようです。 レモンバームの基本的な育て方 ここまで、レモンバームの特徴や花言葉、名前の起源など基本情報についてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、手入れなど日頃の管理、増やし方など、育て方について詳しく解説します。 レモンバームに適した栽培環境 レモンバームは、基本的には日当たり・風通しのよい場所を好みます。しかし、真夏の強い日差しにさらされると、葉が茶色くなる葉焼けを起こすことがあるので、朝のみ日が差す東側などが向いています。 レモンバームは水はけ・水もちのよい土壌を好みます。やや湿り気のある環境を好み、極端な乾燥を嫌うので、適度な水分管理が必要です。乾きやすい場所では、株元にバークチップなどを敷いてマルチングをしておくとよいでしょう。また寒さには強く、マイナス5℃くらいまでは耐えるので、寒冷地以外の平地なら戸外で越冬させても特に防寒の必要はありません。 レモンバームに適した土づくり 【地植え】 植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んでよく耕してください。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 ハーブ用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 レモンバームの植え付けと植え替え レモンバームの植え付け・植え替えの適期は、4〜5月か、10月頃です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、30cmくらいの間隔を取ってください。 庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、6〜7号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてからハーブ用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 レモンバームの水やり 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいます。 また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。特に真夏の気温が上がって乾燥しやすい時期は、ハダニが発生しやすくなるので、茎葉全体や葉裏などにもシャワーをかけて防除するとよいでしょう。 【鉢植え】 レモンバームは、極端に乾燥するのを嫌うので、日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に地上部が枯れても、カラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。 レモンバームの肥料 【地植え・鉢植えともに】 やせ地で育つほど強健な性質なので、1年目は植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。 2年目以降は、5〜6月に切り戻しや収穫をした後と、気温が落ち着く10月頃に、液肥を与えておくとよいでしょう。 レモンバームの摘心・切り戻し 【摘心】 レモンバームは、苗が幼いうちに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、よく分枝してこんもりと茂ります。枝葉が増えることで、収穫量も増えるので、ひと手間かけておくことをおすすめします。 【切り戻し】 6月頃に開花期を迎えると、葉がかたくて小さくなるうえに、香りも弱くなってしまうので、一度切り戻して株の若返りを図ります。地際から草丈の半分の高さを目安に、深めにカットしましょう。 レモンバームを育てるときに注意すべき病気 レモンバームが発症しやすい病気は、すす病です。 すす病は、植物に寄生して吸汁するコナジラミやカイガラムシ、アブラムシのベタベタした排泄物が葉などに付着し、それに黒いカビが生えた状態のことです。見た目に悪いばかりではなく、レモンバームのように収穫して楽しむハーブの場合、ベタベタして黒くなった葉を見ると利用する気が萎えてしまいますね。まずは、その原因となるコナジラミなどの害虫対策をしっかり行うことが大切。白い羽虫などが行き交っていたら、早めに捕殺してください。 レモンバームを育てるときに注意すべき害虫 レモンバームに発生しやすい害虫は、ハダニ、コナジラミなどです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として、高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけるとよいでしょう。 コナジラミは、植物の葉裏について吸汁する害虫です。体長は1mmほどで大変小さいのですが、白いので意外と目にとまりやすいです。繁殖力が旺盛で、短期間で卵から幼虫、成虫になり、被害が拡大しやすいのが特徴。吸汁によってウイルスを媒介するほか、排泄物にすす病が発生しやすく、二次被害を呼びやすいので要注意。冬は卵やサナギの状態で雑草の中に潜み、春になると周囲に移動して活動を始めるので、雑草や枯れ葉を残さずに処分しておきましょう。 レモンバームの増やし方 レモンバームは、種まき、挿し芽、株分けで増やすことができます。 【種まき】 種まきするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。レモンバームはこぼれ種で増えるほど強健な性質なので、種まきは容易です。 種まきの適期は4〜5月頃か9月下旬〜10月中旬で、発芽適温は20℃くらい。種まき用のセルトレイにハーブ用にブレンドされた市販の培養土を入れ、1穴あたり1〜2粒ずつ播きます。種が隠れる程度に土を薄くかけ、はす口をつけたジョウロで高い位置から優しい水流で水やりをしましょう。発芽までは10〜14日ほどかかりますが、乾燥しないように適度な水管理をしてください。発芽後は弱々しい苗を間引いて1本立ちにし、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚出始めたら、植えたい場所に定植します。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、レモンバームは挿し芽で増やせます。 挿し芽の適期は、4〜5月か10月頃です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。セルトレイを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【株分け】 レモンバームは株分けして増やすことができ、適期は4〜5月か10月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。 レモンバームの利用方法 レモンバームは、生葉のままでも、ドライにしても利用できます。ここでは、レモンバームの利用法についてご紹介します。 生葉の利用方法 生葉は、春から秋までの成長期間なら、いつでも摘み取って利用できます。摘み取った葉をきれいに洗い、ティーポットに入れて熱湯を注いでハーブティーを楽しみましょう。ゼリーやアイスクリームなどのトッピングに利用しても素敵。だしパックに入れて湯船に浮かべれば、ハーバルバスとなります。生葉のまま密閉袋に入れて冷凍保存し、早めに使い切るのもおすすめです。 乾燥させる方法 レモンバームは開花すると香りが弱くなるので、開花前に刈り取ることがポイント。束ねて風通しのよい場所で逆さに吊し、乾燥させます。乾燥したらしごいて葉のみをとり、密閉容器に乾燥剤とともに入れて冷蔵庫で保管を。使いたい時に取り出して利用します。 レモンバームを育てて香りを楽しもう フレッシュな香りが魅力のレモンバームは、ハーブティーやお菓子のトッピング、ハーバルバスなど、さまざまなシーンで活用することができます。強健で育てやすいので、初めてハーブの栽培にチャレンジする方におすすめ。ぜひ庭やベランダに迎え入れてはいかがでしょうか。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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ガーデンデザイン

チョウが飛び交う地上の楽園をつくろう! バタフライガーデンのつくり方
バタフライガーデンとは 色とりどりの花咲く庭に、ひらひらと舞うチョウ。菜の花にとまる可愛いモンシロチョウやモンキチョウ。思わず手を伸ばし、ゆくえを追っていると、木立の間からゆらりと漆黒のカラスアゲハが姿を見せる。甘い花の香りに誘われ、とまったキアゲハが口吻を長く伸ばして花の蜜を吸う様子に見とれていれば、頭状から小鳥の声がふりそそぐ。 こんな光景を思い浮かべる方が多いかもしれません。何だか天国の庭のようですね。手が届かないものに思えてしまうでしょうか? バタフライガーデンは、チョウや昆虫を呼ぶことができる蜜源植物や食草を植えて、彼らを誘い楽しむというコンセプトでつくられた庭です。美しい花の周りを舞うチョウ。想像するだけで、まるで夢のように幸せな気分を運んでくれますね。 イギリスのミリアム・ロスチャイルドが、野草でチョウを呼ぶ庭づくりをすすめる「The Butterfly Gardener」(1983年出版)という本の中で、バタフライガーデンという言葉を定着させたといわれています。 バタフライガーデンは、地球の生物の営みが楽しく、また時には驚きと感動を持って味わうことができる場所なのです。 地上のあなたの庭でも、ベランダでも、バタフライガーデンをつくることができます。バタフライガーデンは、まず、チョウを呼ぶ花を植えることから始まります。どんな花がどんなチョウを呼ぶのか、これから詳しくご案内しましょう。 バタフライガーデンのつくり方 なぜチョウは花にやって来るのでしょうか? それはもちろん、食べ物の花蜜をもらうためです。チョウが花蜜をもらう時、花粉が足や触角につき、花は受粉を助けてもらいます。こうして花は種をつけ、子孫を次の世代に残します。 花は受粉を助けるチョウやハチを呼ぶために蜜を出すのですが、品種改良が進んだ草花の中には、あまり蜜を出さないものがあります。ユリを例にとってみると、夏の野山に咲くヤマユリやオニユリ、コオニユリにはアゲハチョウがたくさん来ますが、ヤマユリを改良したカサブランカにはほとんどやって来ません。園芸種は人間が交配して種を残すので、昆虫がやって来て受粉の手伝いをする必要がないのです。ですから、花が蜜を出さなくてもよくなりました。じつは蜜を作り出すには、たくさんのエネルギーがいります。花にとっては重労働なので、必要がなければ楽なほうがいいですよね。 チョウが好きな花 チョウが好んでやってくるのは、改良が進んでいない草花や、野山に自然に生える小さな草花です。 例えば野山の花としては、春のタンポポやハルジオン、夏のムシトリナデシコ、オカトラノオ、アザミ、秋のシオン、ノコンギク、フジバカマなど。 園芸種では、一年草のヒャクニチソウ(ジニア)、マリーゴールド、ブルーサルビアにはたくさんのチョウが来ます。宿根草では、ルドベキア、エキナセア、宿根フロックス、シャスターデージー、三尺バーベナなどがチョウを呼ぶ花です。 小低木では、ブッドレアが特にチョウを呼ぶ花として有名です。英名で「バタフライブッシュ」と呼ばれるほど、チョウに好まれる花です。 ネムノキは大木になりますが、カラスアゲハなどの黒いアゲハチョウ類がやって来ます。 ちなみに、花には来ないチョウもいます。日本の国蝶「オオムラサキ」です。オオムラサキはクヌギ、コナラ、クワなどの樹液を吸います。近くに雑木林があり、オオムラサキが棲んでいるなら、お酒をお皿に入れて置いておけば集まって来るそうです。 チョウが好む色 チョウはどのように花を識別して、目的の花にたどり着くのでしょうか。 それは花の色と香りです。チョウによって好む花の色は異なりますが、多くのチョウに好まれるのは、赤、赤紫、青、ピンクです。しかし、モンシロチョウは赤を識別できません。モンシロチョウは黄色いタンポポや菜の花の蜜を吸いに来ます。白や黄色を好むチョウもたくさんいます。 ですから、いろいろな色の花を植えるのがチョウに来てもらうためのコツです。 草丈 チョウは、種類によって飛翔する高さが違います。シジミチョウ類は低いところ、アゲハチョウ類は比較的高いところを飛びます。高さの違う植物を植えると、いろいろな種類のチョウが来ます。また、高低差がある庭は立体感があり、庭にまとまりと調和が生まれます。 チョウが好む環境(日向か、日陰か) ほとんどのチョウは、日当たりのよい場所が好きです。一日5、6時間の日照があれば理想的ですが、それより少なくても大丈夫。なかにはクロアゲハやジャノメチョウなど、日陰の好きなチョウもいますし、羽を休める木陰も必要です。 日当たりのよい場所と緑陰をバランスよく配置しましょう。 農薬 いうまでもありませんが、バタフライガーデンでは農薬の使用は控えましょう。強健で病害虫に強い植物もたくさん開発されています。そういう植物を選べば、管理も楽で気分よくガーデンライフを過ごせるでしょう。 バタフライガーデンに植えたい植物20 このリストを参考に、あなたの庭に最適な花を植えましょう。春から秋まで、チョウを呼ぶ花が絶えず咲いているようにできれば最高です。 花の名前 種類 花期 訪花が期待されるチョウ スイートアリッサム 一年草 3〜6月 ナノハナ・ムラサキハナナ 一年草 4〜5月 モンシロチョウ シャスターデージー 宿根草 5〜7月 モンキチョウ ムシトリナデシコ 宿根草 6〜8月 モンシロチョウ エキナセア 宿根草 6〜9月 ヒョウモンチョウ マリーゴールド 一年草 5〜10月 セセリチョウ ヒャクニチソウ(ジニア) 一年草 6〜10月 アゲハチョウ フロックス 宿根草 6〜10月 キアゲハ ブルーサルビア 一年草 6〜10月 二コチアナ 一年草 6〜9月 アザミ 宿根草 7〜8月 モナルダ 宿根草 7〜8月 アゲハチョウ ヤマユリ・オニユリ 宿根草 7〜8月 キアゲハ ルドベキア 宿根草 6〜10月 ベニシジミ ランタナ 宿根草 6〜12月 三尺バーベナ 宿根草 6〜9月 キアゲハ・トラシジミ フジバカマ 宿根草 9〜10月 アサギマダラ ブッドレア 灌木 6〜9月 カラスアゲハ ツツジ 灌木 5〜7月 アゲハチョウ ユキヤナギ 灌木 3〜4月 ルリシジミ 訪花が期待されるチョウの名前は参考程度に。訪花したチョウの姿を写真に撮って記録しておくと楽しいです。 勝手に生えてくる野草、雑草の仲間で、タンポポ、ハルジオン、カタバミ、レンゲ、クロバーなどには、じつはチョウが多く訪花します。あまり邪魔にならなければ、抜き取る手を休めてみませんか。また、庭に余裕があれば野草コーナーを作っておくのもいいですね。 ガーデナーの敵、にっくき雑草「ヤブガラシ」の花は、昆虫たちにとっては素敵なレストラン。ハエからミツバチ、スズメバチとたくさんの昆虫を呼びますが、アオスジアゲハはヤブガラシが大好きで、よく訪花します。樹木に巻きつかないように工夫して、垣根やフェンスに伸ばしておければいいですね。 食草 チョウの子どもである幼虫が食べる植物を食草といって、チョウごとに決まっています。お母さんであるチョウは、必ず食草に産卵します。ですから食草を植えておけば、チョウが出現する確率はグッと高くなるわけです。 アゲハの幼虫の食草は、ミカンなどの柑橘類、キアゲハの幼虫は、セリ科の植物を食べます。 ナミアゲハやクロアゲハが幼虫からサナギになり羽化するところまで観察したい方には、食草の山椒やレモン、ユズを植えることをおすすめします。 絶対に幼虫は見るのも嫌! という方は、食草になる植物を注意深く避けましょう。 おすすめのモデルプラン ベランダガーデン 5~6階くらいまでなら、マンションのベランダガーデンにもチョウはやって来ます。 低木のブッドレアを一本用意すれば、いろいろなチョウの訪花が見込めます。また、大きめのプランターにヒャクニチソウ 、マリーゴールド 、ブルーサルビアなどを植え込んでおきましょう。アゲハの食草であるレモン、山椒の鉢を準備すれば、より確実にチョウを呼ぶことができます。さらに果実を料理に使えるので一石二鳥です。 小さな庭 ブッドレア、ツツジ、ユキヤナギなどの灌木を地植えにします。シャスターデージー 、フロックス、モナルダ、三尺バーベナ、ランタナ、キャットミントなどの宿根草と、ムラサキハナナ、マリーゴールド 、ヒャクニチソウ 、ブルーサルビアなどの一年草を組み合わせると手入れが簡単になります。花の色は多彩なほうがいいですが、まとまりがなくなりがちなので、気をつけましょう。中心になる色を決め、その反対色、また同系色をバランスよく配置するといいでしょう。 大きな庭 コナラやネムノキを植えて雑木林風のコーナーを作ると、樹液が目的のチョウがやってきます。クローバーやレンゲの種を播き、草原をつくってモンシロチョウやシジミチョウを呼び寄せましょう。タンポポやハルジオンにもたくさんチョウが来ますので、そのまま抜かずにおきます。 チョウが好きな園芸種と野生種を組み合わせて、春から秋まで花の絶えない庭をつくれば、いつでもチョウの飛ぶ姿を見ることができます。 フジバカマをたくさん植えて、アサギマダラの飛翔を待つのも素敵です。海を渡るチョウとして名高いアサギマダラが、南の国への旅の途中に寄ってくれるかもしれません。 チョウが来る庭、バタフライガーデンのつくり方、ご理解いただけたでしょうか。 まず、ヒャクニチソウ(ジニア) とブッドレアを植えましょう。 そして、プランターにいつの間にか生えたカタバミは抜かずに放っておきましょう。 通路に咲いたタンポポも。 1匹、2匹、3匹とチョウがやって来たら大成功。あなたとチョウのお付き合いの第一歩です。 あっ、チョウは「匹(ひき・ぴき)」ではなく、「頭(とう)」と数えるのが正しいのです。 なぜか? 諸説あって理由は定かではありません。
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野菜

家庭菜園やグリーンカーテンに最適! ゴーヤの育て方教えます!
ゴーヤとは ゴーヤは、ウリ科ツルレイシ属の果菜類で、別名はニガウリ、ツルレイシ。原産地は東インドを中心とした熱帯アジアで、暑さに強く寒さに弱い性質を持っています。春に種まきをして苗を植え付け、夏に果実を収穫、秋が深まると寒さに耐えられず枯死する、ライフサイクルの短い植物です。 つるを旺盛に伸ばして生育するため、栽培には支柱やネットの設置が欠かせません。また、雄花と雌花を咲かせる雌雄異花同株なのも特徴的。雌花は花の付け根が膨らんでいるので見分けやすく、受粉するとこれが果実になります。 さまざまな品種があり、太くてずんぐりとした‘島さんご’や‘あばしゴーヤー’、小ぶりでたくさん実る‘太れいし’、やや長くて大型の‘寿限無’のほか、苦味が少ない白ゴーヤの‘白寿限無’ ‘白願寿’などもあります。 ゴーヤはビタミンCやカロテン、カリウムを豊富に含む、夏バテに効果のある健康野菜。花言葉は「強壮」です。 ゴーヤの育て方 前項では、ゴーヤの基本情報についてご紹介しました。では、ここからはガーデニングの実践編として、ゴーヤの育て方について、詳しく解説します。 種まき ゴーヤは、ビギナーでも種まきから簡単に育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。たくさんの苗を育てたい場合は、コストカットにもなります。 ただし、ゴーヤの苗は初夏から花苗店に出回り始めます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。 ゴーヤの種まき適期は、4〜5月中旬。発芽適温は25〜30℃です。 3号ほどの黒ポットを準備します。市販の野菜用の培養土を黒ポットに入れ、深さ1cmほどの穴を等間隔で2〜3個あけて、種を播きます。植え穴に土を戻し、軽く手で押さえて鎮圧しておきましょう。最後に、はす口をつけたジョウロで高い位置からやわらかい水流で水やりします。水やりの際は、種が流れ出さないように注意し、発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。10日ほど経つと発芽し、双葉が揃います。 発芽したら日当たりのよい場所で管理し、本葉が1〜2枚出たら間引いて、苗を1本のみ残します。間引く際は、ヒョロヒョロと長く伸びて徒長しているもの、葉色が薄く傷んでいるもの、虫に食われているものなどを選んで抜き取りましょう。表土が乾いたら適宜水やりをして、水切れしないようにします。 種まきから約1カ月が経ち、本葉が2〜4枚ついたら、菜園やプランターなど、植え付けたい場所に定植してください。 土づくり 【菜園】 植え付ける場所に畝幅を約80cm取り、園芸用支柱や割りばしなどで畝幅の目印を四隅に立てておきます。畝の長さは、環境や作りたいゴーヤの量に合わせて決めてかまいません。 植え付けの2〜3週間前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g全体に散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。耕している際に、小石や木片などの異物が見つかったら取り除き、全体にふかふかとした土壌づくりを目指します。植え付けの1〜2週間前に、畝全体に1㎡当たり堆肥約2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、ヨウリン約50gを均一にまき、よく耕します。さらに高さ10cmほどの畝を作り、地表を平らにならしておきましょう。このように有機質資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【プランター栽培】 市販の野菜栽培用の培養土を利用すると便利です。 植え付け ゴーヤの植え付け適期は、5月中旬〜6月上旬です。 ゴーヤの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。苗を選ぶ際は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い跡があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。 【菜園】 1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約80cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。 畝幅の中央に植え穴を掘り、約50cmの間隔を取って苗を植え付けていきましょう。最後に、たっぷりと水を与えておきます。 【プランター栽培】 幅60〜70cm、奥行き20cmくらいの、大型で長方形タイプのプランターを準備してください。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから市販の野菜用培養土を入れます。土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、水やりの際にすぐに水があふれ出すことのないように、ウォータースペースを取るとよいでしょう。複数の苗を植える場合は間隔を約40cm取り、穴を掘って苗を植え付けます。最後に水やりをし、鉢底から流れ出すまでたっぷりと与えましょう。 つるの管理方法 ゴーヤはつるを伸ばして生育する植物なので、支柱の設置は必須の作業です。支柱の設置方法の一例をご紹介します。 【菜園】 長さ2mほどの園芸用支柱と、つる誘引用の園芸ネット、麻ひもを用意します。 まず、畝の片側に約50cm間隔で、倒れることのないように地中深くまで支柱を差し込みます。次に園芸ネットを広げて支柱に張り、麻ひもでしっかりと固定しましょう。ネットがたるむことのないようにピンと張り、下部までしっかり麻ひもで留めつけておくことがポイント。ゴーヤがたくさん実ると、かなりの荷重がかかるからです。 つるが伸びてきたら、適宜ネットに誘引してください。ある程度生育してきたら、つるが自然とネットに絡むようになるので、その後の誘引は不要です。また、ある程度成長したら、つるの先端をハサミでカットする「摘心」をすると、脇芽が増えてよりたくさん収穫できます。 つるが支柱の頂部まで達したら、つるの先端をハサミでカットしましょう。その後、つるが込み合って風通しが悪くなっているようであれば、雌花を残して適宜カットして整枝しましょう。 【プランター栽培】 園芸用の支柱(長さ約2m×4本、70〜80cm×3本)と麻ひもを準備します。 プランターに2mの支柱を垂直に鉢底まで差し込み、等間隔で4本設置します。次に70〜80cmの支柱を横に渡し、麻ひもでしっかり固定。約50〜60cm間隔で3本渡してください。苗のつるが伸びてきたら適宜誘引します。大きく成長してきたら、自然につるが絡みながら伸びていくので、その後は放任してもかまいません。また、ある程度成長したら、つるの先端をハサミでカットする「摘心」をすると、脇芽が増えてよりたくさん収穫できます。 支柱の頂部までつるが達したら、先端をハサミでカットしましょう。その後、つるが込み合って風通しが悪くなるようであれば、雌花を残して適宜カットして整枝しましょう。 ベランダなどでグリーンカーテンとして利用したい場合は、窓の外に広めのネットを設置します。小苗のうちは、つるを適宜誘引してください。その後は自然に絡みながら伸びていきます。摘心すると脇芽が増えてネット全体に広がりやすくなるので、適度な日陰をもたらすよう、適宜摘心しながら育てるのがおすすめです。風通しが悪くならない程度に自由に茂らせましょう。 水やり 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいます。 【菜園】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、真夏に日照りが続いて乾燥する時期は水やりをして補います。 【プランター栽培】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ゴーヤーは薄い葉がたくさんついて蒸散しやすいので、多くの水分を欲しがります。真夏は特に水切れしないように、朝晩の水やりをすることが大切です。水切れすると、葉焼けして株全体がぐったりとしてしまうので注意。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので、適度な水分管理をしてください。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 追肥 【菜園】 植え付け後、2週間に1度を目安に、緩効性化成肥料を1㎡当たり30gほど施し、軽く耕して土に馴染ませます。 【プランター栽培】 植え付け後、2週間に1度を目安に、緩効性化成肥料10〜20gを施し、軽く耕して土に馴染ませます。 ゴーヤの授粉作業 ゴーヤは自然の環境に任せても、昆虫が授粉して自然に着果します。しかし、ベランダなど昆虫があまりやって来ない環境の場合は、人工授粉をすると確実です。 人工授粉は、朝9時までには行ってください。雄花を摘み取って、雌花の雌しべに雄花の花粉をこすりつけます。 ゴーヤの収穫のコツ 開花から20日くらい経ち、緑色をした果実が太ってきたら、ヘタをハサミで切り取って収穫します。収穫が遅れると黄色く熟し、割れてくるので採り遅れに注意しましょう。 また、窓辺でグリーンカーテンに仕立てている場合、大きくて重いゴーヤの実が窓にぶつかると、ガラスが割れてしまう危険があります。台風前など強風が予想される時は、大きく育った実は収穫しておいたほうが無難です。 気をつけるべき病害虫 【病気】 ゴーヤが発症しやすい病気はうどんこ病です。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。 【害虫】 ゴーヤに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が高く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。 ゴーヤ栽培でよくあるトラブル 【雌花が少ない】 もともと、雌花は雄花より少なめにつきます。特に植え付け後の初期は、雄花が多く雌花が少なめです。雌花は短日条件の下でたくさんつくようになるので、心配せずに季節が進むのをしばらく待ってください。 【実がつかない】 雌花が咲きづらくなっていることが考えられます。雌花は親づる(主枝)よりも子づる(側枝)、孫づるに多くつく性質があるのでで、早めに親づるを先端で切り取る摘心をして、子づる、孫づるを主に伸ばすとよいでしょう。また、ベランダなどで昆虫が飛来しにくい環境だと、受粉できずに実がつかないということもあります。こまめに人工授粉をしてみてください。 【ゴーヤの実がなかなか大きくならない】 ゴーヤの収穫は、開花後15〜20日くらいを目安にしますが、気温が低い時期には収穫できるまで開花後1カ月ほどかかることもあります。 ゴーヤの保存方法 ゴーヤの保存には、「冷蔵保存」「冷凍保存」「乾燥保存」がありますので、それぞれの方法についてご紹介していきます。 冷蔵保存 ゴーヤは常温で置いておくと傷みやすいので、冷蔵庫で保存します。果実を切らずに保存する場合は、新聞紙などに包み、立てて冷蔵庫に入れましょう。1〜2日で消費してください。 ゴーヤは果実の中のワタと種を取ったほうが長もちします。きれいに洗って果実を縦に切り、中のワタと種を取ってください。水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、密閉袋または密閉容器に入れて冷蔵庫へ。1週間ほど保存できます。 冷凍保存 ゴーヤを冷凍保存する場合は、よく洗って果実を縦半分に切り、中のワタと種を取ります。食べやすい大きさに切り、しばらく水にさらしておきましょう。その後、水分をキッチンペーパーなどで十分拭き取り、密閉袋または密閉容器に入れて冷凍庫へ。1カ月ほど保存できます。 乾燥保存 乾燥させたものは「干しゴーヤ」ともいいます。収穫したゴーヤをよく洗って水気を切り、縦半分にして中のワタや種を取り除き、薄切りにします。それをザルなどに並べて天日干しにしてください。ゴーヤが乾燥したら、密閉袋に乾燥剤と共に入れ、冷蔵庫か冷凍庫で保存します。 おいしいゴーヤを育てましょう 高温を好み、近年の日本の酷暑にも負けずにすくすく育ち、たくさんの実りをもたらしてくれるゴーヤ。独特の苦みが食欲を増進させ、夏バテに効く健康野菜として人気があります。手間をかけずともたくさん実るので、収穫の喜びを存分に味わえるゴーヤをぜひ育ててみませんか? Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 参考文献/ 『育てて食べる、野菜の本④ からだにうれしい キュウリとゴーヤーとナーベラー』発行/NHK出版 2010年5月30日発行 『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行 『週刊 ベランダでも楽しめる野菜づくり 花づくり』11号 発行/朝日新聞出版 2010年5月16日発行
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宿根草・多年草

育てた人だけの喜び! 抽出不可能な官能的香りを持つピオニー
ピオニーの香りは育てた人だけの特権! 初夏の庭でゴージャスに咲き誇るピオニー(シャクヤク)の花。この花に香りがあることはご存じですか。清らかに甘く、ふんわり優しく、けれども記憶に残るこの花の香りは、実に残念なことにその天然成分を抽出することができません。バラやラベンダーなど、香り成分が抽出できる芳香植物は、抽出したエッセンシャルオイルや蒸留水が香水や化粧品に使用されますが、ピオニーはその香りを調香の技術で再現することしかできないのです。 それでもなお、名だたるメゾンや化粧品メーカーがその香りを再現しようと試み、「ピオニー」の名の商品を数多く登場させているということは、それだけピオニーの香りが魅力的であるということの証明に他なりません。ピオニーの本物の香りを知りたいのなら、方法は一つ。自分で育てるのみ。育てた香りのピオニーをブーケにして、大切な人にプレゼントしてみてはいかがですか。 <フレグラント・ピオニーのリスト10> ダッチェス・ド・ヌムール キャサリン・フォンテン スカーレット ビッグベン 華燭の典 サラベルナール ソルベット モンシェリー・ジュレスエリー インスペクター・ラバーン 富士 咲き方に豊かなバリエーション あなたはどれが好き? ピンポン玉のような丸いツボミがほどけ始めると、内側から溢れ出るように花びらを咲き開くピオニー。ふっくらと美しい夢のように咲くこの花は、古くから人々を魅了し続けてきました。ヨーロッパでは15世紀フランドル派の画家たちが好んでピオニーを題材とし、ナポレオン皇后ジョゼフィーヌもマルメゾンの庭にたくさんのピオニーを植えさせたと伝えられています。 ピオニーは花姿の似ているボタンとよく間違われますが、ボタンは低木。ピオニーは宿根草なので冬になると地上部は枯れて根だけが地中に残り、翌春再び地上に赤い芽を出します。成長するに従い緑色の葉を茂らせ、5〜6月にはまた素晴らしい花を咲かせます。英国ビクトリア朝時代の貴婦人たちがこの花に熱狂したおかげで、19世紀後半には新品種が次々に生み出されました。現在の品種数はなんと3,000種以上。花の咲き姿も八重咲きや一重咲きなど、素朴なものや妖艶な雰囲気を持つものなど個性豊か。花の最盛期は短く、見事な花の終焉には実に名残惜しい気持ちにさせられますが、早咲きから遅咲きまでを取り揃えて、観賞期間を伸ばすことも可能です。シャクヤクの花苗は秋と春に出回ります。通信販売では秋が出荷時期。カタログやネットからお気に入りの花を見つけてみてくださいね。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 1)Irina Mosina/2)zzz555zzz 3)Irina Vertuzaeva/ 4)V J Matthew/ 5)alex172/ 6)Pelevina Ksinia/ 7)Hannamariah/ Shutterstock
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一年草

畑はもちろんプランターでも育てられる! ショウガの栽培方法を解説
ショウガはこんな野菜! まずは基本情報と特徴を押さえておこう ショウガは、ショウガ科ショウガ属の根菜類で、原産地はマレーシア、インドを中心とした熱帯アジア。暑さには強いものの、寒さに弱い性質を持っています。 日本では奈良時代から栽培されてきたとされ、古くから親しまれている野菜の一つです。煮魚の香りづけや麺類の薬味、味噌漬けや甘酢漬け、生姜湯など、さまざまな用いられ方をして、常備野菜として欠かせない存在となっています。 ショウガを栽培するのに適した環境は? 連作障害には気をつけよう ショウガは熱帯地方が原産の植物で、生育適温は25〜30℃。暑さに強い一方で寒さに弱く、10℃以下になると根が腐ってしまいます。そのため、植え付けは遅霜の心配がなくなる頃が最適。本来は越年する多年草ですが、日本の寒さに耐えられないため、霜が降りる前に収穫する一年草として扱われています。 また、ショウガは連作を嫌う野菜の一つで、連作するとネコブセンチュウが発生しやすくなったり、加食部分の塊茎が腐ってしまう根茎腐敗病を発症したりします。ショウガを植え付ける際は、4〜5年はショウガ科の植物を栽培していない場所を選んでください。毎年植えたい場合は、植える場所を年ごとに変えていくローテーションを組み、作付計画を立てるとよいでしょう。 栽培するショウガを選ぶポイント! 種類は大きく分けて3つ ショウガの種類は、主にサイズによって大・中・小の3つに分けることができます。大ショウガはスーパーや青果店で一般的に販売されているもので、栽培期間が長く大型なのが特徴。代表品種は近江生姜です。中ショウガは大ショウガよりも栽培期間は短く、やや小ぶりで繊維が少なめ。房州が代表的な品種です。小ショウガは、主に焼き魚などに添えられるはじかみとして利用されるもの。主な品種は、生のまま食べておいしい三州や辛みの強い金時、葉ショウガとして需要のある谷中などがあります。 ショウガを植えるための土作りと準備! 野菜を栽培するには、植え付け前の土づくりが大成功につながります。植え付け前のひと手間を惜しまず、まずは準備に取りかかりましょう。 菜園で育てる場合 植え付ける場所に畝幅を約60cm取り、園芸用支柱や割りばしなどで畝幅の目印を四隅に立てておきます。畝の長さは、環境や作りたいショウガの量に合わせて決めてかまいません。 植え付けの2〜3週間前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。耕している際に、小石や木片などの異物が見つかったら取り除き、全体にふかふかとした土壌づくりを目指します。植え付けの1〜2週間前に、畝幅の中央に約20cmの深さの溝を掘り、1㎡当たり堆肥約2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを溝全体に均一にまき、土を戻しておきます。さらに高さ10cmほどの畝を作り、地表を平らにならしておきましょう。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 プランターで育てる場合 幅60〜70cm、奥行き20cmくらいの標準的な長方形タイプのプランターを準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから市販の野菜用にブレンドされた培養土を入れます。土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、水やりの際にすぐにあふれ出さないように、ウォータースペースを取るとよいでしょう。 種ショウガの植え付け方 種ショウガの植え付け適期は、4月下旬〜5月中旬です。花苗店やホームセンターなどで入手しますが、ショウガの生育初期は、種ショウガの良し悪しに影響されるので、きれいな芽がついていて皮に張りがあり、充実したものを選ぶとよいでしょう。購入した種ショウガは、植え付け前に芽が2〜3芽ずつ付くように包丁で切り分けておきます。 【菜園】 1〜2週間前に土作りしておいた畝が少しくずれていたら、幅約60cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。 畝幅の中央に植え穴を掘り、芽を上にして種ショウガを入れ、約5cm覆土して平らにならします。種ショウガ同士の間隔は、20〜30cm取りましょう。最後に、たっぷりと水を与えておきます。 【プランター栽培】 培養土を入れたプランターに、植え穴を掘り、芽を上にして種ショウガを入れ、3〜5cm覆土して平らにならします。種ショウガ同士の間隔は、約20cm取ってください。最後に、たっぷりと水を与えます。 ショウガを上手に育てるためのポイント 種ショウガの植え付けが終わったら、あとは収穫適期が来るのを待つばかり……というわけにはいきません。充実したショウガを収穫するためには、日頃の手入れも大切です。ここでは、収穫までに手をかけておきたい作業についてご紹介していきます。 乾燥を防止する ショウガは多湿を好み、乾燥を嫌います。また、根が浅いところに分布して乾きやすいので、敷きワラをして乾燥防止をすることがポイントです。 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいます。 【菜園】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、シヨウガは乾燥すると株が弱るので、真夏の乾燥する時期は水やりをして補います。 【プランター栽培】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ショウガは乾燥を嫌うので、水切れしないようにすることが大切です。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 また、植え付けから1カ月ほど経ち、表土のかさが減ってきたら乾燥防止のために土を足しておきましょう。 肥料切れを起こさないように2度追肥を行う 【菜園】 1回目の追肥は、植え付けから1カ月半くらい経った6月頃、芽が出て本葉がつき始めた頃を目安に行います。1㎡当たり約30gの緩効性化成肥料を、株の周囲に均一になるようにばらまきましょう。 2回目の追肥は、1回目の追肥から1カ月くらい経った7月頃に、1回目と同様に1㎡当たり約30gの緩効性化成肥料を、株の周囲に均一になるようにばらまいてください。2回目の追肥は、遅くとも8月までには済ませておきます。 【プランター栽培】 1回目の追肥は、植え付けから40日後くらいの発芽した頃を目安に緩効性化成肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く土に馴染ませます。 2回目の追肥は、植え付けから2カ月経った頃を目安に、緩効性化成肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く土に馴染ませます。 中耕と土寄せを行う 【菜園・プランター栽培ともに】 1回目、2回目の追肥を行う際、同時に中耕と土寄せもしておきましょう。 中耕とは、降雨などによって固く締まった状態になった畝やプランターの土を、スコップやクワなどで軽く耕すことです。株を傷めることのないように作業してください。株の周囲の土を耕すことでふかふかになって通気性が改善され、土中の根にも酸素が送り込まれるので根張りがよくなります。株の真下などすぐそばである必要はなく、植物の根は周囲に広がっているので、畝の端や外側などを中耕します。プランターの場合は、鉢縁あたりを軽く耕します。 土寄せとは、中耕などで耕したふかふかの土を、育てている作物の株元に寄せる作業をいいます。降雨などによって土が流れ出し、株元の土が減ってしまうことがあるので、株元に十分に土を寄せて、根元が露出するのを防いだり、株が倒れないようにします。ショウガは土の浅い部分で塊根が生育するので、むき出しになることのないように、土寄せは大切な作業です。 ショウガの栽培で気をつけておきたい病気と害虫 【病気】 ショウガが発症しやすい病気は、根茎腐敗病です。 根茎腐敗病は、塊茎や根、幼い芽などが侵される病気です。ショウガの場合は収穫する加食部分の塊茎に発生しやすく、白い糸状の菌に覆われたり、侵された部分がやわらかくなって腐ったりします。地温が15〜20℃で感染しやすくなり、5月下旬以降に雨量が多い環境下で多く発生するようになります。発病が見られたら、周囲に蔓延するのを防ぐために病株を抜き取り、土ごとビニール袋に入れて土壌とは離れた場所へ運んで処分してください。発生を防ぐためには連作を避け、花苗店やホームセンターなどで販売されている無病の種ショウガを植え付けることが大切です。 【害虫】 ショウガに発生しやすい害虫は、ハスモンヨトウ、アワノメイガなどです。 ショウガには、蛾のハスモンヨトウの幼虫がついて、葉を食害することがあります。褐色の幼虫は大きくなると4cmほどになり、旺盛に葉を食い荒らすので注意が必要。卵は葉裏に産みつけられ、幼いうちは葉裏に群がって食害を始めます。葉にかすり状の穴があいていたら、めくって葉裏のチェックを。大きくなると駆除が難しくなるので、まだ幼齢のうちに見つけ次第捕殺しましょう。 アワノメイガは、トウモロコシの大敵といわれますが、ショウガにも発生しやすい害虫です。主に被害を与えるのは幼虫で、葉裏に産みつけられた卵から孵化した後、新葉を食害します。葉がかすり状になっていたら、被害が疑われるので入念にチェックして捕殺してください。ここで駆除できないと、茎内に侵入して食い荒らし、枯らしてしまいます。アワノメイガはトウモロコシに寄り付きやすいので、トウモロコシを栽培している近くにショウガを植えないことも一案です。 いよいよ収穫! ショウガは収穫時期によって名前が変わる ショウガは、秋の根生姜の収穫を待たずに、夏に若い状態で収穫して調理に利用することができます。それぞれの生育ステージで味わいも変わるので、違いを楽しむのもいいですね。このような味比べができるのも、家庭栽培ならではの醍醐味です。 まだ若いうちに収穫する「筆ショウガ」 筆ショウガは、7〜8月、葉が3〜6枚ついた新芽の頃に手で引き抜いて収穫し、まだ小さいショウガを食べるものです。矢ショウガともいわれています。きれいに洗って、塩を振ったり味噌をつけたりしていただきます。焼き魚に添えられることも多く、天ぷらや糠漬けにしてもおいしいですよ! 根元が赤くなり始めた頃に楽しめる「葉ショウガ」 葉ショウガは、葉が7〜8枚つき、根元が赤くなって太り始めた7月下旬から収穫します。水分が多く、辛みがやや少ないのが特徴です。そうめんやそばの薬味や甘酢漬けなどに向いています。葉ショウガ用に出回っている品種が、谷中生姜です。 一般に目にすることが多い根茎部分は「根ショウガ」 根ショウガは、10月下旬〜11月上旬に収穫します。ショウガは寒さに弱いので、霜が降りるまでには収穫を終えましょう。株元から10cmほど離れたところにスコップの刃を差し込み、掘り上げて株を抜き取ります。収穫と同時に地上部の茎葉は切り取っておきましょう。植え付けた親ショウガ(種ショウガ)、新ショウガともに食材として利用可能。親ショウガは辛みが強いのが特徴です。 収穫後に保存して寝かせたものが「囲いショウガ」 囲いショウガは、収穫した根ショウガを貯蔵しておいたもののことです。ひねショウガとも呼ばれ、主に2カ月ほどかけて保存したものをいい、表皮が飴色になって辛み・香りが増してさらにおいしくなります。貯蔵するには、あまり湿度が高くない15℃以上の環境が好適。家庭ではショウガの土を払って、もみがらなどを入れた発泡スチロール製の箱に入れ、温度変化が少ない部屋で貯蔵するとよいでしょう。 収穫時期によって違った味わい方ができるショウガを育ててみよう この記事では、ショウガの性質や特徴などの基本情報に始まり、家庭での栽培方法などについて解説してきました。ショウガは収穫する時期によって調理の仕方や味わいも異なり、さまざまな楽しみ方ができるのが魅力。ぜひ庭やプランターなどに植え付けて、家庭栽培ならではの味わいを楽しんでみませんか? Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 参考文献/ 『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行 『週刊 ベランダでも楽しめる野菜づくり 花づくり』8号 発行/朝日新聞出版 2010年4月25日発行 『だれでもできるプランター栽培』発行/ブティック社 2019年5月10日発行
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一年草

春から秋まで長期間楽しめる! カリブラコアを育ててみよう
カリブラコアはペチュニアの近縁種! まずは基本情報を確認 カリブラコアはナス科カリブラコア属(Calibrachoa属)に分類される植物の総称です。南アメリカ原産で、本来は多年草ですが、耐寒性が低く冬越しは難しいため、日本では一年草として扱われることも多いです。草丈は10~30cmで、花の色はピンク・青・黄・白・オレンジ・茶・赤・紫・複色などさまざまです。 カリブラコアの特徴 カリブラコアは1990年にペチュニアから生まれた新しい品種で、見た目は少し小さめのペチュニアによく似た花です。淡い色が多いペチュニアと比べ、カリブラコアははっきりとした原色に近い色が豊富で、花そのものもペチュニアとは異なり、ベタベタしていません。また、茎が木質化してしっかりとした灌木のようになりやすいため、ペチュニアよりも多年性が強い性質を持っています。 カラーバリエーションが豊富なカリブラコアの種類 カラフルなカリブラコアには、さまざまな品種があります。ここでは、人気の品種についてご紹介します。 “ミリオンベル”は古くからあり、サントリーフラワーズが作出した代表的な品種です。小ぶりな花を非常にたくさんつけることが特徴で、カラーバリエーションも豊富です。 “スーパーベル”は世界20カ国以上で愛されており、大きな花が魅力的な品種です。通常のカリブラコアのような一重咲きのほか、八重咲きのバリエーションもあります。 “リリカシャワー”はサカタのタネが作出した品種で、草丈が低めでカーペット状に広がるのが特徴です。 “ティフォシー”は八重咲きの華やかな品種です。落ち着いたアンティークカラーなど、さまざまな花色があるのも魅力です。 カリブラコアを上手に育てるためのポイント 可愛らしい花や多様な品種が魅力のカリブラコア。ここからは、そんなカリブラコアを美しく育てる方法について、項目別にご紹介していきます。 カリブラコアの栽培に適した環境 カリブラコアを栽培するのに適しているのは、日当たりと風通しのよい環境です。また、水はけのよい場所を好みます。地植えと鉢植えどちらの場合も、泥はねを防ぐようにしましょう。 カリブラコアを植えるのに適した用土 カリブラコアを地植えにする場合は、よく耕して水はけがよくなるようにし、腐葉土を混ぜておきます。 鉢植えにする場合は、市販の草花用培養土が手軽でおすすめです。自分で土を作る場合は、弱酸性の土壌を好むため、赤玉土6:腐葉土4などの配合がおすすめです。水もちをよくしたい場合は、赤玉土5:腐葉土3:ピートモス2などでもいいでしょう。 カリブラコアの水やり 地植えの場合は、極端な乾燥さえなければ基本的に自然の降雨のみで十分。水やりはほとんど必要ありません。 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。葉や花に水がかかると、しおれたり病気になりやすくなってしまうので、株の根元に水をやるようにしましょう。 カリブラコアの肥料 植え付けの際には、元肥として緩効性肥料を入れておきます。 カリブラコアは多肥を好む植物で開花期間も長いので、開花中は追肥を11月頃まで施すようにしましょう(与える頻度は、使用する肥料のパッケージの記載に沿ってください)。鉢植えの場合は2週間に1回ほど液肥も施すとよいでしょう。 カリブラコアの植え付けと植え替え 植え付けの適期は4~9月ですが、特に4~5月に植えるのが最適です。真夏に植える場合は、水切れを起こさないように注意します。また、冬越しした苗を植える場合は、4~6月に新しい用土を使って植え替えます。 地植えの場合は、蒸れを防ぐために苗と苗の間隔を20cm以上あけて植えましょう。 鉢植えの場合は、苗よりも1~2回り大きな鉢に植えます。寄せ植えにする場合は10号鉢で3苗、12号鉢で4苗、プランターでは6苗以内がおすすめです。 いずれの場合も、軽く根をほぐしてから植えるようにしましょう。 カリブラコアを育てるうえで大事なお手入れ 植え付けてから2週間ほど経ち、株が伸びてきたら、茎の先端をカットする「摘心」をします。こうすることで摘み取った部分の脇芽が成長し、株がこんもりと丸くボリュームのあるシルエットになります。 また、梅雨の時期には1/2ほどの大きさに株を切り戻して、形を整えます。これで蒸れを防ぐこともでき、健康な株を維持することにつながります。 花が咲き終わったら、その都度花がらを摘んで綺麗にしましょう。花がらをそのままにしておくと、種子に栄養を取られて株が痩せてしまったり、病気になりやすくなってしまいます。 カリブラコアを育てるときに気をつけておきたい病気や害虫 梅雨の時期など、湿度が高いときには灰色かび病が発生しやすくなります。花がらや枯れ葉はこまめに取り除き、できるだけ風通しがよくなるようにすることが予防につながります。 また、春にアブラムシがつきやすいため、見かけたら駆除するようにします。放置すると新芽や茎の栄養を吸い取ったり、ウイルス病を媒介する恐れがあります。アブラムシを発見したら、早めに粘着テープなどで取り除くか、株元に浸透移行性のオルトランなどをまいておくとよいでしょう。 また、雨が降ったときに泥が跳ねるとそこから病気になることがあるので、株元にバークチップなどを敷いてマルチングしておくと予防になります。 カリブラコアの増やし方 育てたカリブラコアを増やすにはどうすればよいか、方法ごとにご紹介していきます。 挿し芽で増やす方法 カリブラコアの最も一般的な増やし方が挿し芽です。その方法は、次の通りです。 茎の2、3節(7~10cm)を切り取って挿し穂とします。先端の葉だけ残して下葉は取り除きます。切り口が斜めになるように切り、30分〜1時間水揚げしてから、赤玉土などの挿し芽用土に挿します。そのまま明るい日陰に2週間~1カ月ほど置き、発芽して十分に育つまで待ちます。 風などで挿し穂が動くと発根しにくくなるので、あまり風が通らない場所がおすすめです。直射日光が当たらない明るい場所であれば、室内でも構いません。 種苗登録されている品種は、挿し芽などで増やして他人に譲渡・販売することは法律で禁止されているので、注意してください。 種まきで増やす方法 通常は苗で流通しているため、種は市販されていませんが、咲いた花から種を取って増やすこともできます。 発芽の適温は20℃で、9月頃か、秋に取った種を翌年の3~5月に播くのがおすすめです。 種は硬くそのままでは発芽できないため、コンクリートなどでこすって傷をつけておきます。種まき用の土に播き、覆土はせずに育てます。 カリブラコアの冬越し 冬越しの難しさは品種によって異なります。多年草扱いのものを選べば、暖かい地域なら屋外でも冬越しが可能です。冬越しをさせる際は霜にあたらないよう、日当たりのよい場所に置きましょう。暖地以外では切り戻して鉢に植え替え、室内で冬越しさせます。株が大きいと室内に取り込んで管理しにくいので、9月下旬に挿し芽をして新しい株をつくり、小さい苗のまま室内で管理するのもおすすめです。 寄せ植えやハンギングにも最適! カリブラコアの楽しみ方 カリブラコアの品種には、直立して育つものと這うように育つものがあります。それぞれに合わせた植え方で楽しみましょう。地植えの場合は泥はねが多いと病気の原因となるため、敷き藁などを使ってマルチングしたほうが、健康な苗づくりのために安心です。 カリブラコアは開花期が長いので、特に夏の間は鉢やプランターでの寄せ植えに最適。また、カリブラコア単体でハンギングにしても見ごたえがあります。カラーバリエーションが非常に豊富なため、さまざまな庭のイメージに合わせて花壇や寄せ植えなどを彩ってくれる植物です。 カラフルな花を長く咲かせるカリブラコアを育ててみよう! この記事では、可愛らしい花が魅力のカリブラコアについて、人気の品種や育て方についてご紹介しました。 明るく風通しのよい場所で育てれば、たくさんの花をつけて花壇や寄せ植えなどにその華やかな姿を見せてくれるでしょう。春から晩秋まで長く楽しめ、カラーバリエーションも豊富なカリブラコアをぜひ育ててみてはいかがでしょうか? Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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樹木

藤の花が見頃を迎える季節は? 知っておくと観賞をより楽しめる豆知識も
藤の花とは? MartinKr/Shutterstock.com 見た目も独特で美しい藤の花は、どのような植物かご存じでしょうか? まずは藤の花の特徴についてご紹介します。 藤の花の基礎知識 Inna Giliarova/Shutterstock.com 藤はマメ科フジ属に分類される植物で、学名は Wisteria floribundaです。英語での名前はJapanese wisteriaで、日本原産の落葉つる性木本です。 「藤」という名前の由来は、花が風に吹かれて舞い散る様子から「吹き散る」が変化して「ふじ」となったという説や、茎に節があることから「ふし」と呼ばれ「ふじ」に変化したという説など、諸説あります。 花は蝶のような小花が房状に垂れ下げるように咲きます。つる植物である特性を生かして、公園や観光地などで日除けのために藤棚が作られることが多い植物です。 藤の花の花言葉や贈るときの注意点 Ursula Page/Shutterstock.com 藤の花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」「忠実な」など。藤の花は女性を象徴する花とされてきたため、女性らしい言葉が多くなっています。日本ではかつて藤を女性、松を男性に見立てて、2つを並べて植える風習もありました。 見た目の美しさから贈り物にもぴったりの藤の花は、「ふじ」という音の響きが「不死」を連想させて縁起もよいとされています。しかし、「不治の病」を連想させることもあるため、病気の方への贈り物にはあまり好ましくないともいわれています。 紫だけじゃない! 藤の花色 Aleksandra_Iarosh/Shutterstock.com 藤の花といえば紫色を思い浮かべる方が多いと思いますが、じつは他にもさまざまな花色があり、淡い紫や淡い赤紫、ピンク、淡いピンク、白、黄などが知られています。色によって花言葉が異なり、紫では「君の愛に酔う」、白色では「可憐」などがあります。 藤の花が見頃を迎える季節 segawa7/Shutterstock.com 藤の花の開花時期は、4〜5月。最も見頃となるのは5月で、ゴールデンウィークには各所で藤まつりなどが開催されます。 色によって若干開花時期が異なり、薄紅、紫、白、黄の順に開花していきます。 同じ頃にはツツジやシャクナゲなども見頃を迎えます。 藤の花の種類 Gringoann/Shutterstock.com じつは藤にはさまざまな種類があります。 ここからは藤の代表的な品種についてご紹介します。 ヤマフジ KO-TORI/Shutterstock.com ヤマフジは日本原産の藤で、本州や四国、九州に自生しています。 花序と呼ばれる房状の花の部分は10~20cm、木の全長は20mを超すほどの大きさになります。つるが右肩上がりの右巻きになっているところで、後述のノダフジと見分けられます。 ノダフジ nnattalli/Shutterstock.com ノダフジは日本原産の藤で、本州を中心に山野に自生しています。 花序は30~60cmでヤマフジよりもやや長く、木の全長はヤマフジと同じく20mを超すほどの大きさになります。つるはヤマフジとは逆の、左肩上がりの左巻きです。 シナフジ Paolo Bona/Shutterstock.com シナフジは中国原産の藤で、中国では「紫藤」と呼ばれています。花序は15~30cm、全長は10~20mになります。シナフジは別名ニオイフジとも呼ばれ、バニラのような甘い香りがあるのが特徴です。 アメリカフジ MaryAnne Campbell/Shutterstock.com アメリカフジはアメリカ原産の藤です。花序は10cm程度、全長も5m未満と、他の藤と比較すると小ぶりなのが特徴です。つるがそれほど長く伸びないので、棚づくりにせず一般的な樹木のような育て方もできます。 藤の花を自宅で育てることはできる? Sally B/Shutterstock.com 花が頭上から降り注ぐような、美しい藤の花を自宅で楽しみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。 じつは藤棚を作るスペースがなくても、鉢植えや庭植えで育てることができます。鉢植えのほうが根の成長が制限されて花つきがよくなり、何もしなくても咲くといわれるほど育てやすいのが藤の特徴です。盆栽仕立てにして楽しむこともできます。 藤の花を育てる方法 nnattalli/Shutterstock.com では、藤の花を家で咲かせるにはどのように育てればよいのでしょうか。 藤の花は、ポイントを押さえれば綺麗に咲かせることができます。ここからは藤の花を育てる方法について、詳しく解説していきます。 苗を植える Susan Law Cain/Shutterstock.com 藤は種子と苗から育てられますが、新品種を作るのでない限り、種子からはまず育てません。花が咲くまでに早くて3年はかかるからです。通常は育てやすく、早く花を楽しめる苗から育てます。 苗を植える場合、植え付けの適期は11〜3月です。鉢植えでも地植えでも育てられますが、地植えの場合は日当たりのよい場所を選びましょう。 鉢植えの場合、植え付け後は2〜3年に1度植え替えをします。 水やり・肥料を与える Singkham/Shutterstock.com 肥料は、株の周りに施肥のための溝を掘り、冬には寒肥として堆肥などの有機物に草木灰を混ぜたものを施します。花後にはお礼肥として同じように施肥溝を作り、油かすなどを施します。 生育や花付きを悪くしないために、水切れしないよう注意が必要です。鉢植えの場合は土の表面が乾いてからたっぷりと水やりをします。目安として春や秋は1〜2日に1回、夏は1日に1〜2回、冬は土が乾いたら水やりをしましょう。 剪定する Richard Griffin/Shutterstock.com 藤は初夏の花後と冬の落葉後に剪定が必要です。つるがどんどん伸びていくため、剪定せずそのままにしてしまうと幹に日が当たらず、花が咲かなくなってしまいます。 初夏の花後剪定では、混み合っている不要な枝や、伸びすぎた枝の先端を切ります。 冬の剪定では、花芽がついていない不要な枝や、枯れた枝を切ります。 初夏の花後剪定から冬の剪定までの間は、一切剪定をしません。つるが邪魔になった場合は、つるを巻いてまとめておきましょう。 挿し木や接ぎ木をする Maverick76/Shutterstock.com 藤は挿し木や接ぎ木で増やすことができます。 挿し木や接ぎ木には春の3~4月か、秋の9月頃が適しています。 挿し木の場合は、太くて元気のよい枝を15~20cm切り取って挿し穂とします。植えてから1カ月ほどで発根するので、根が育ったら鉢上げ、または定植しましょう。 接ぎ木は種子から2〜3年育てた藤の苗を台木として行いますが、さまざまな技術が必要なので、一般家庭ではあまり行われない方法です。 春は幻想的な藤の花を楽しもう CrispyPork/Shutterstock.com 藤は4~5月に花を咲かせ、5月に見頃を迎えます。ぜひ満開の藤の花に囲まれて、幻想的な雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか?
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ガーデンデザイン

庭のデザインアイデア〜アリウムの使い方 花壇・風景・組み合わせ18タイプ
つぼみから開花、タネまで楽しめる個性派 アリウムは、小さな花が360度放射状に集まって球形になる花玉が特徴です。小型のものは3cm程度、大型になると直径40cmにもなり、大きさのバリエーションが広い球根植物です。開花は、バラが咲き始める頃、5〜6月に満開になります。写真は、アリウム・クリストフィーのつぼみから花後の様子です。 固いつぼみから、やがて球形が大きく整いながら一つひとつ星形の花が開きます。数日すると、花びらがしおれながら、花心にタネが膨らみ始め、緑の粒が次第に茶色く枯れて花の時期が終わります。まるで花火のようなその姿は、茶色く枯れても崩れることがなく、花茎を切ってドライにして、その姿を部屋で楽しむこともできます。 ●秋が買い時の球根植物、アリウムの種類や植え方、育て方については、こちら。 ここからはイギリスを中心とした海外の庭から、アリウムが咲くガーデンシーンをご紹介します。 バラと一緒に咲かせる アリウムの花が咲く時期は、ちょうどバラが咲き始める時期と重なるので、イギリスの庭ではバラと寄り添い咲くアリウムの姿を多く見かけます。アリウムは、ブッシュローズの花と草丈が近く、花が密集しすぎないアリウム・クリストフィーなら、バラが主役となって、花の景色がまとまって見える効果が。 ベンチのあるコーナーに、背丈以上に丈高く伸びたホワイトレースフラワーがロマンチックな風景をつくっています。間には花穂を伸ばす鮮やかなピンクのジギタリスとブッシュローズがアクセントになって、地際付近に咲く淡い紫のアリウムが、ピンクと白花の間をつなぐ役割に。 バラのグラデーションが美しい花壇の中では、花がなく寂しくなりがちな株元付近をアリウムが泡のように無数に小花を咲かせて、バラを引き立てています。これは、秋に植えて翌年すぐにできるという景色ではなく、植えっぱなしにして数年経たことで花数が増え、生まれた景色です。 花色の対比で咲かせる キングサリの回廊の下に、左右対称にアリウムが列植された小径のデザインは、「英国で最も美しい庭」と称された故ローズマリー・ヴェレーさんの自邸につくられた有名なガーデンシーンの一つです。現在はホテルになっていて、宿泊者かレストランを利用する人だけに公開されています。黄金色に輝くキングサリの花房とアリウムの紫が対比する美しい景色は、それぞれの生育がぴったり合った時、限定のシーン。 黄色と紫の対比は、アルケミラ・モリス(レディースマントル)をグラウンドカバーに列植し、間からアリウムの花茎が立ち上がる小径のデザインでも叶えることができます。アリウムが咲く時期だけ、紫の花が映えるように周囲の色を緑のみにするのが成功の秘訣。 宙に浮く花の玉がアクセントに アリウムは、品種によって茎が長く伸び、空中で花が咲いているように見えるのも特徴です。刈り込まれた円柱状のつげが力強い緑一色の庭で、目の高さに咲くアリウムの紫が彩りとなって、華やかな印象をプラスしています。 ゲラニウムやタイムなどが低くこんもり茂る中から、ポコポコと丸い玉が浮いて、遠くから見ても気になる風景になっています。一番奥のアリウムが浮かぶ株元の茂みは、つぼみがまだ固く花穂が立ち上がり始めたばかりのラベンダー。このように、アリウムよりも後に成長して花を咲かせる植物と一緒に植えると、開花のバトンタッチも楽しめます。 アリウムと相性がよい草花 紫花のアリウムと、同じ紫系統の花を一緒に咲かせることで、それぞれのフォルムを引き立て合いながら爽やかな色彩のコーナーをつくっています。上写真は、アリウムとゲラニウム、サルビアが同系色として選ばれていました。 エリンジウムのシルバー系の青とアリウムの花玉が、不思議なコンビネーションに。株元に低く茂る銅葉のダークカラーがあることで、大人っぽい雰囲気ですね。 緑の葉の中からアリウムの花が顔を出すように、一定間隔でランダムに球根を混ぜて植えておくと、思いがけない植物による模様が生まれます。 葉があまり大きくないゲラニウムが、チラチラとピンクの小花をつけて茂り、アリウムがリズミカルに混じり咲く花壇です。 こちらは、さわさわと風に揺れるグラス類の間に見え隠れするアリウム。合わせる緑の葉の形によって、ナチュラルだったり、フォーマルになったりと雰囲気がずいぶん変わるのが分かります。 花後のタネの姿まで絵になるアリウム ナチュラルな雰囲気のガーデンにどう馴染ませるか、難しい印象がある鮮やかすぎる濃いピンクのナデシコですが、アリウムの花後に膨らみ始めた緑の粒が、花色を中和させて、チャーミングなコンビネーションになっています。アリウムの草丈とナデシコの花が咲く位置がちょうど合っていると、思いがけない対比が楽しめそうです。 こちらは、アリウムのタネにオダマキのタネがコラボする花壇。少し前は、楚々としたオダマキの白花にアリウムの紫の花が際立っていたことが想像できます。どちらのタネも個性的な姿で、花からタネまで観賞期間が長く、変化する様子も楽しめます。 手前のニューサイランの銅葉と奥に咲くアストランチアの鮮やかな色に挟まれて、花後のアリウムが緑のアクセントになっています。さらに奥には、ふわふわとフェンネルがかすみのような姿を見せるボーダー花壇。それぞれの花の旬が過ぎても、新鮮な調和を見せるガーデン。アリウムの左には、よく見ると紫のセントーレアが咲いています。少し前までは、紫から黒のシックな色合いの花壇だったことでしょう。 先にご紹介した花壇を別角度から撮影したのが、上写真です。ここでは日陰の中でシルバーリーフが明るさをプラスし、アリウム、フェンネル、アストランチアが風に揺れて優しい雰囲気。花後の姿も楽しめる植物があると、刈り取りが多少遅れても気にならないので、ローメンテナンスガーデンを目指す人にもアリウムは欠かせない植物です。 季節はさらに進み、緑の玉が弾けて黒いタネが熟してきたアリウム。そばにはグラスもタネをつけ始めています。色が抜けたドライな植物の姿も趣がありますね。アリウムは、すべての花にタネをつけてしまうと、球根が消耗して来年の花が期待できないので、数本残して他は花茎の根元から切り取るほうがよいでしょう。切り取った花茎は部屋でドライにして飾るのもおすすめです。 アリウムはつぼみを膨らませるみずみずしい春から、紫色の花火のように咲く初夏、そして花心が緑色を帯びて膨らみ、タネが熟す秋までと、観賞期間が長く楽しめます。
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宿根草・多年草

色鮮やかで面白い花カラー! 育て方のポイントや注意点について
カラーの特徴 カラーは南アフリカ原産の植物です。名前は英語で「色」を指す「color」ではなく、「Calla」または「Calla lily」と綴ります。 草丈およそ15cmから1mにもなる多年草です。花色は赤や白、オレンジ、黄、ピンク、紫などさまざま。筒状で襟に似た形をしています。 開花時期は4~6月で、初夏に楽しめる花です。花言葉は「乙女のしとやかさ」や「清浄」です。 カラーは種類により、地植えでも鉢植えでも楽しむことができるので、ガーデニングでも人気のある植物です。 カラーの楽しみ方 個性的な姿のカラーは、洋風の庭の雰囲気によく合う植物です。茎がまっすぐに長く伸びるため、花束やフラワーアレンジメントにもよく利用されています。シンプルかつ上品な花姿が、特にウエディングブーケとして人気。開花期がジューンブライドに重なることもあり、カラーの白花はウエディングにぴったりなのです。 カラーの種類 カラーには湿地性と畑地性の2つのタイプがあります。 湿地性は日本では江戸時代にオランダから渡来しました。湿り気のある場所を好み、栽培しやすいので、ガーデナーの間で人気の植物です。 畑地性は大正時代に日本に渡来し、比較的乾燥した場所を好みます。主に切り花として楽しまれることが多いです。園芸店などに並んでいる花鉢の多くは、畑地性のシラホシカイウやモモイロカイウなどの交配品種です。 カラーの構造 特徴的なカラーの花は、一般的な花とは異なる構造になっています。 花びらのように見えるクルッと巻いた部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)という、葉が変化したものです。これが花びらを1枚巻いたような独特な見た目を作り出しています。 本当の花は中心の棒状の部分にあり、この棒状の部位を肉穂花序(にくすいかじょ)と呼びます。 カラーの見頃や入手などの時期 カラーは3月頃から市場に出回り始め、6月に見頃を迎えます。近年は花束への需要が高まっているため、冬でも温室栽培のものが販売されることも増えてきました。花もちがよく、1週間ほど楽しめることも人気の理由です。 カラーを育てるポイント ここまで、カラーのさまざまな魅力や特徴についてご紹介してきました。 それでは、実際にカラーを育てるためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか? ここからは、カラーを育てる際のポイントについて解説していきます。 植え付け カラーの植え付けは、3月中旬が適しています。 鉢植えのものは毎年4月頃に、新しい用土で植え替えをします。球根を植え替えした場合は病気にかかりやすくなるので、殺菌剤などをまぶしてから再び植え付けるようにします。 湿地性のカラーは大きくなるものが多いため、基本的に大きめの8号鉢に対し球根を1球植え付けます。畑地性のものは、6号鉢に対し球根2球を目安に植え付けます。 置き場所・温度管理 カラーは湿地性、畑地性ともに、日当たりと風通しのよい場所で育てることが重要です。 畑地性の場合、地植えにしてしまうと寒さで冬越しをすることができません。畑地性のカラーの耐寒温度は、およそ7℃といわれます。冬越しをさせたい場合は、プランターなど鉢植えで育てるのがおすすめです。冬期は5℃以上の室内に取り込んで管理しましょう。 水やり 畑地性のカラーは、水のやりすぎに注意しましょう。 反対に、湿地性のカラーは乾燥に弱いので、水をしっかりと与えるようにします。水やりは鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりめにしましょう。 どちらの種類も、春は根が伸びる時期で水を吸い上げる力が強いため、水やりは多め、夏には乾燥気味にするのがコツです。水を与えすぎると球根が腐ってしまうことがあるので注意しましょう。 土と肥料 カラーは湿地性のものと畑地性のもので、好む土質が異なります。 畑地性のカラーは、小粒から中粒の赤玉土5:腐葉土3:川砂2の割合で混ぜた土か、草花用の培養土など水はけのよい土を好みます。 湿地性のカラーは水もちのよい土を好むため、小粒から中粒の赤玉土6:腐葉土4の割合で混ぜた土か、鹿沼土だけを使用します。庭植えの場合は、植え付けの2週間前に耕し、土と腐葉土を混ぜて寝かせておくとよいでしょう。 増やし方 カラーは3〜4月に分球で増やすことができます。湿地性の場合は、葉を半分のサイズにカットして球根を2つほどに分けます。畑地性の場合は、球根のくびれた部分を切り分けます。 注意したい病害虫 カラーの病気で特に注意が必要なのは、軟腐病です。軟腐病にかかると球根が腐り、ドロドロに溶けて無くなってしまいます。さらに、一度発病すると薬剤などでの防除は不可能なため、予防することが第一です。特に畑地性のカラーは、水はけよく管理しましょう。 害虫ではアブラムシが花の内部の見えづらい場所についたり、秋にはアリが運ぶワタアブラムシがつきやすいので注意が必要です。 このほかにも、モザイク病、灰色かび病、斑点病、株腐病などの病気にかかることがあります。 花が咲き終わったら 花が全て咲き終わり黒ずんできたら、付け根部分から引き抜いて花がらを取ります。 花がらを取ると結実を防ぐことができるため、株が大きく茂って球根が肥大しやすくなります。 花が終わった後の株は、木漏れ日の当たる木の下などで涼しく夏越しさせることで株が弱らず維持できます。 色鮮やかなカラーを庭で楽しもう! カラーは地植えでも鉢植えでも楽しめる植物で、庭の広さにかかわらず育てることができます。育てる際には、湿地性と畑地性それぞれの特徴を理解して管理することがポイントです! 特徴的で上品なカラーを、ぜひご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか? Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。




















