皆さまはカラーという植物をご存じですか? 独特の花姿が美しく、フラワーアレンジメントなどで見たことがある方もいらっしゃるかと思います。しかし、あまり名前を聞き慣れない植物なので、どのように育てればいいのか迷ってしまうかもしれません。この記事では、カラーの特徴から育て方まで、詳しくご紹介します。
目次
カラーの特徴
カラーは南アフリカ原産の植物です。名前は英語で「色」を指す「color」ではなく、「Calla」または「Calla lily」と綴ります。
草丈およそ15cmから1mにもなる多年草です。花色は赤や白、オレンジ、黄、ピンク、紫などさまざま。筒状で襟に似た形をしています。
開花時期は4~6月で、初夏に楽しめる花です。花言葉は「乙女のしとやかさ」や「清浄」です。
カラーは種類により、地植えでも鉢植えでも楽しむことができるので、ガーデニングでも人気のある植物です。
カラーの楽しみ方
個性的な姿のカラーは、洋風の庭の雰囲気によく合う植物です。茎がまっすぐに長く伸びるため、花束やフラワーアレンジメントにもよく利用されています。シンプルかつ上品な花姿が、特にウエディングブーケとして人気。開花期がジューンブライドに重なることもあり、カラーの白花はウエディングにぴったりなのです。
カラーの種類
カラーには湿地性と畑地性の2つのタイプがあります。
湿地性は日本では江戸時代にオランダから渡来しました。湿り気のある場所を好み、栽培しやすいので、ガーデナーの間で人気の植物です。
畑地性は大正時代に日本に渡来し、比較的乾燥した場所を好みます。主に切り花として楽しまれることが多いです。園芸店などに並んでいる花鉢の多くは、畑地性のシラホシカイウやモモイロカイウなどの交配品種です。
カラーの構造
特徴的なカラーの花は、一般的な花とは異なる構造になっています。
花びらのように見えるクルッと巻いた部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)という、葉が変化したものです。これが花びらを1枚巻いたような独特な見た目を作り出しています。
本当の花は中心の棒状の部分にあり、この棒状の部位を肉穂花序(にくすいかじょ)と呼びます。
カラーの見頃や入手などの時期
カラーは3月頃から市場に出回り始め、6月に見頃を迎えます。近年は花束への需要が高まっているため、冬でも温室栽培のものが販売されることも増えてきました。花もちがよく、1週間ほど楽しめることも人気の理由です。
カラーを育てるポイント
ここまで、カラーのさまざまな魅力や特徴についてご紹介してきました。
それでは、実際にカラーを育てるためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか? ここからは、カラーを育てる際のポイントについて解説していきます。
植え付け
カラーの植え付けは、3月中旬が適しています。
鉢植えのものは毎年4月頃に、新しい用土で植え替えをします。球根を植え替えした場合は病気にかかりやすくなるので、殺菌剤などをまぶしてから再び植え付けるようにします。
湿地性のカラーは大きくなるものが多いため、基本的に大きめの8号鉢に対し球根を1球植え付けます。畑地性のものは、6号鉢に対し球根2球を目安に植え付けます。
置き場所・温度管理
カラーは湿地性、畑地性ともに、日当たりと風通しのよい場所で育てることが重要です。
畑地性の場合、地植えにしてしまうと寒さで冬越しをすることができません。畑地性のカラーの耐寒温度は、およそ7℃といわれます。冬越しをさせたい場合は、プランターなど鉢植えで育てるのがおすすめです。冬期は5℃以上の室内に取り込んで管理しましょう。
水やり
畑地性のカラーは、水のやりすぎに注意しましょう。
反対に、湿地性のカラーは乾燥に弱いので、水をしっかりと与えるようにします。水やりは鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりめにしましょう。
どちらの種類も、春は根が伸びる時期で水を吸い上げる力が強いため、水やりは多め、夏には乾燥気味にするのがコツです。水を与えすぎると球根が腐ってしまうことがあるので注意しましょう。
土と肥料
カラーは湿地性のものと畑地性のもので、好む土質が異なります。
畑地性のカラーは、小粒から中粒の赤玉土5:腐葉土3:川砂2の割合で混ぜた土か、草花用の培養土など水はけのよい土を好みます。
湿地性のカラーは水もちのよい土を好むため、小粒から中粒の赤玉土6:腐葉土4の割合で混ぜた土か、鹿沼土だけを使用します。庭植えの場合は、植え付けの2週間前に耕し、土と腐葉土を混ぜて寝かせておくとよいでしょう。
増やし方
カラーは3〜4月に分球で増やすことができます。湿地性の場合は、葉を半分のサイズにカットして球根を2つほどに分けます。畑地性の場合は、球根のくびれた部分を切り分けます。
注意したい病害虫
カラーの病気で特に注意が必要なのは、軟腐病です。軟腐病にかかると球根が腐り、ドロドロに溶けて無くなってしまいます。さらに、一度発病すると薬剤などでの防除は不可能なため、予防することが第一です。特に畑地性のカラーは、水はけよく管理しましょう。
害虫ではアブラムシが花の内部の見えづらい場所についたり、秋にはアリが運ぶワタアブラムシがつきやすいので注意が必要です。
このほかにも、モザイク病、灰色かび病、斑点病、株腐病などの病気にかかることがあります。
花が咲き終わったら
花が全て咲き終わり黒ずんできたら、付け根部分から引き抜いて花がらを取ります。
花がらを取ると結実を防ぐことができるため、株が大きく茂って球根が肥大しやすくなります。
花が終わった後の株は、木漏れ日の当たる木の下などで涼しく夏越しさせることで株が弱らず維持できます。
色鮮やかなカラーを庭で楽しもう!
カラーは地植えでも鉢植えでも楽しめる植物で、庭の広さにかかわらず育てることができます。育てる際には、湿地性と畑地性それぞれの特徴を理解して管理することがポイントです! 特徴的で上品なカラーを、ぜひご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか?
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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