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家庭菜園やグリーンカーテンに最適! ゴーヤの育て方教えます!

家庭菜園やグリーンカーテンに最適! ゴーヤの育て方教えます!

Jahangir Alam Onuchcha/Shutterstock.com

ゴーヤは夏野菜の代表的なもので、つるを伸ばして生育するので「グリーンカーテン」としても人気です。放任してもよく育ち、たくさん実るのでビギナーにもおすすめ。この記事では、ゴーヤの基本情報や育て方など、詳しくご紹介します。

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ゴーヤとは

ゴーヤ
Traction/Shutterstock.com

ゴーヤは、ウリ科ツルレイシ属の果菜類で、別名はニガウリ、ツルレイシ。原産地は東インドを中心とした熱帯アジアで、暑さに強く寒さに弱い性質を持っています。春に種まきをして苗を植え付け、夏に果実を収穫、秋が深まると寒さに耐えられず枯死する、ライフサイクルの短い植物です。

つるを旺盛に伸ばして生育するため、栽培には支柱やネットの設置が欠かせません。また、雄花と雌花を咲かせる雌雄異花同株なのも特徴的。雌花は花の付け根が膨らんでいるので見分けやすく、受粉するとこれが果実になります。

さまざまな品種があり、太くてずんぐりとした‘島さんご’や‘あばしゴーヤー’、小ぶりでたくさん実る‘太れいし’、やや長くて大型の‘寿限無’のほか、苦味が少ない白ゴーヤの‘白寿限無’ ‘白願寿’などもあります。

ゴーヤはビタミンCやカロテン、カリウムを豊富に含む、夏バテに効果のある健康野菜。花言葉は「強壮」です。

ゴーヤの育て方

前項では、ゴーヤの基本情報についてご紹介しました。では、ここからはガーデニングの実践編として、ゴーヤの育て方について、詳しく解説します。

種まき

ゴーヤの種
Lotus Images/Shutterstock.com

ゴーヤは、ビギナーでも種まきから簡単に育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。たくさんの苗を育てたい場合は、コストカットにもなります。

ただし、ゴーヤの苗は初夏から花苗店に出回り始めます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。

ゴーヤの種まき適期は、4〜5月中旬。発芽適温は25〜30℃です。

3号ほどの黒ポットを準備します。市販の野菜用の培養土を黒ポットに入れ、深さ1cmほどの穴を等間隔で2〜3個あけて、種を播きます。植え穴に土を戻し、軽く手で押さえて鎮圧しておきましょう。最後に、はす口をつけたジョウロで高い位置からやわらかい水流で水やりします。水やりの際は、種が流れ出さないように注意し、発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。10日ほど経つと発芽し、双葉が揃います。

発芽したら日当たりのよい場所で管理し、本葉が1〜2枚出たら間引いて、苗を1本のみ残します。間引く際は、ヒョロヒョロと長く伸びて徒長しているもの、葉色が薄く傷んでいるもの、虫に食われているものなどを選んで抜き取りましょう。表土が乾いたら適宜水やりをして、水切れしないようにします。

種まきから約1カ月が経ち、本葉が2〜4枚ついたら、菜園やプランターなど、植え付けたい場所に定植してください。

土づくり

土づくり
Sleepyhobbit/Shutterstock.com

【菜園】

植え付ける場所に畝幅を約80cm取り、園芸用支柱や割りばしなどで畝幅の目印を四隅に立てておきます。畝の長さは、環境や作りたいゴーヤの量に合わせて決めてかまいません。

植え付けの2〜3週間前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g全体に散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。耕している際に、小石や木片などの異物が見つかったら取り除き、全体にふかふかとした土壌づくりを目指します。植え付けの1〜2週間前に、畝全体に1㎡当たり堆肥約2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、ヨウリン約50gを均一にまき、よく耕します。さらに高さ10cmほどの畝を作り、地表を平らにならしておきましょう。このように有機質資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【プランター栽培】

市販の野菜栽培用の培養土を利用すると便利です。

植え付け

ガーデニング
Vlyaks/Shutterstock.com

ゴーヤの植え付け適期は、5月中旬〜6月上旬です。

ゴーヤの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。苗を選ぶ際は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い跡があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

【菜園】

1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約80cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。

畝幅の中央に植え穴を掘り、約50cmの間隔を取って苗を植え付けていきましょう。最後に、たっぷりと水を与えておきます。

【プランター栽培】

幅60〜70cm、奥行き20cmくらいの、大型で長方形タイプのプランターを準備してください。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから市販の野菜用培養土を入れます。土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、水やりの際にすぐに水があふれ出すことのないように、ウォータースペースを取るとよいでしょう。複数の苗を植える場合は間隔を約40cm取り、穴を掘って苗を植え付けます。最後に水やりをし、鉢底から流れ出すまでたっぷりと与えましょう。

つるの管理方法

ゴーヤ栽培
yoshi0511/Shutterstock.com

ゴーヤはつるを伸ばして生育する植物なので、支柱の設置は必須の作業です。支柱の設置方法の一例をご紹介します。

【菜園】

長さ2mほどの園芸用支柱と、つる誘引用の園芸ネット、麻ひもを用意します。

まず、畝の片側に約50cm間隔で、倒れることのないように地中深くまで支柱を差し込みます。次に園芸ネットを広げて支柱に張り、麻ひもでしっかりと固定しましょう。ネットがたるむことのないようにピンと張り、下部までしっかり麻ひもで留めつけておくことがポイント。ゴーヤがたくさん実ると、かなりの荷重がかかるからです。

つるが伸びてきたら、適宜ネットに誘引してください。ある程度生育してきたら、つるが自然とネットに絡むようになるので、その後の誘引は不要です。また、ある程度成長したら、つるの先端をハサミでカットする「摘心」をすると、脇芽が増えてよりたくさん収穫できます。

つるが支柱の頂部まで達したら、つるの先端をハサミでカットしましょう。その後、つるが込み合って風通しが悪くなっているようであれば、雌花を残して適宜カットして整枝しましょう。

【プランター栽培】

園芸用の支柱(長さ約2m×4本、70〜80cm×3本)と麻ひもを準備します。

プランターに2mの支柱を垂直に鉢底まで差し込み、等間隔で4本設置します。次に70〜80cmの支柱を横に渡し、麻ひもでしっかり固定。約50〜60cm間隔で3本渡してください。苗のつるが伸びてきたら適宜誘引します。大きく成長してきたら、自然につるが絡みながら伸びていくので、その後は放任してもかまいません。また、ある程度成長したら、つるの先端をハサミでカットする「摘心」をすると、脇芽が増えてよりたくさん収穫できます。

支柱の頂部までつるが達したら、先端をハサミでカットしましょう。その後、つるが込み合って風通しが悪くなるようであれば、雌花を残して適宜カットして整枝しましょう。

ベランダなどでグリーンカーテンとして利用したい場合は、窓の外に広めのネットを設置します。小苗のうちは、つるを適宜誘引してください。その後は自然に絡みながら伸びていきます。摘心すると脇芽が増えてネット全体に広がりやすくなるので、適度な日陰をもたらすよう、適宜摘心しながら育てるのがおすすめです。風通しが悪くならない程度に自由に茂らせましょう。

水やり

水やり
topseller/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまいます。

【菜園】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、真夏に日照りが続いて乾燥する時期は水やりをして補います。

【プランター栽培】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ゴーヤーは薄い葉がたくさんついて蒸散しやすいので、多くの水分を欲しがります。真夏は特に水切れしないように、朝晩の水やりをすることが大切です。水切れすると、葉焼けして株全体がぐったりとしてしまうので注意。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので、適度な水分管理をしてください。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

追肥

肥料
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【菜園】

植え付け後、2週間に1度を目安に、緩効性化成肥料を1㎡当たり30gほど施し、軽く耕して土に馴染ませます。

【プランター栽培】

植え付け後、2週間に1度を目安に、緩効性化成肥料10〜20gを施し、軽く耕して土に馴染ませます。

ゴーヤの授粉作業

ゴーヤの花
Le Do/Shutterstock.com

ゴーヤは自然の環境に任せても、昆虫が授粉して自然に着果します。しかし、ベランダなど昆虫があまりやって来ない環境の場合は、人工授粉をすると確実です。

人工授粉は、朝9時までには行ってください。雄花を摘み取って、雌花の雌しべに雄花の花粉をこすりつけます。

ゴーヤの収穫のコツ

ゴーヤ栽培
Jamaludinyusuppp/Shutterstock.com

開花から20日くらい経ち、緑色をした果実が太ってきたら、ヘタをハサミで切り取って収穫します。収穫が遅れると黄色く熟し、割れてくるので採り遅れに注意しましょう。

また、窓辺でグリーンカーテンに仕立てている場合、大きくて重いゴーヤの実が窓にぶつかると、ガラスが割れてしまう危険があります。台風前など強風が予想される時は、大きく育った実は収穫しておいたほうが無難です。

気をつけるべき病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

ゴーヤが発症しやすい病気はうどんこ病です。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。

【害虫】

ゴーヤに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が高く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。

ゴーヤ栽培でよくあるトラブル

ゴーヤ栽培
KPG-Payless/Shutterstock.com

【雌花が少ない】

もともと、雌花は雄花より少なめにつきます。特に植え付け後の初期は、雄花が多く雌花が少なめです。雌花は短日条件の下でたくさんつくようになるので、心配せずに季節が進むのをしばらく待ってください。

【実がつかない】

雌花が咲きづらくなっていることが考えられます。雌花は親づる(主枝)よりも子づる(側枝)、孫づるに多くつく性質があるのでで、早めに親づるを先端で切り取る摘心をして、子づる、孫づるを主に伸ばすとよいでしょう。また、ベランダなどで昆虫が飛来しにくい環境だと、受粉できずに実がつかないということもあります。こまめに人工授粉をしてみてください。

【ゴーヤの実がなかなか大きくならない】

ゴーヤの収穫は、開花後15〜20日くらいを目安にしますが、気温が低い時期には収穫できるまで開花後1カ月ほどかかることもあります。

ゴーヤの保存方法

ゴーヤ
Butsaya/Shutterstock.com

ゴーヤの保存には、「冷蔵保存」「冷凍保存」「乾燥保存」がありますので、それぞれの方法についてご紹介していきます。

冷蔵保存

ゴーヤは常温で置いておくと傷みやすいので、冷蔵庫で保存します。果実を切らずに保存する場合は、新聞紙などに包み、立てて冷蔵庫に入れましょう。1〜2日で消費してください。

ゴーヤは果実の中のワタと種を取ったほうが長もちします。きれいに洗って果実を縦に切り、中のワタと種を取ってください。水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、密閉袋または密閉容器に入れて冷蔵庫へ。1週間ほど保存できます。

冷凍保存

ゴーヤを冷凍保存する場合は、よく洗って果実を縦半分に切り、中のワタと種を取ります。食べやすい大きさに切り、しばらく水にさらしておきましょう。その後、水分をキッチンペーパーなどで十分拭き取り、密閉袋または密閉容器に入れて冷凍庫へ。1カ月ほど保存できます。

乾燥保存

乾燥させたものは「干しゴーヤ」ともいいます。収穫したゴーヤをよく洗って水気を切り、縦半分にして中のワタや種を取り除き、薄切りにします。それをザルなどに並べて天日干しにしてください。ゴーヤが乾燥したら、密閉袋に乾燥剤と共に入れ、冷蔵庫か冷凍庫で保存します。

おいしいゴーヤを育てましょう

ゴーヤ
Joloei/Shutterstock.com

高温を好み、近年の日本の酷暑にも負けずにすくすく育ち、たくさんの実りをもたらしてくれるゴーヤ。独特の苦みが食欲を増進させ、夏バテに効く健康野菜として人気があります。手間をかけずともたくさん実るので、収穫の喜びを存分に味わえるゴーヤをぜひ育ててみませんか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/
『育てて食べる、野菜の本④ からだにうれしい キュウリとゴーヤーとナーベラー』発行/NHK出版 2010年5月30日発行
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『週刊 ベランダでも楽しめる野菜づくり 花づくり』11号 発行/朝日新聞出版 2010年5月16日発行

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