カリブラコアは、カラフルで長い期間花を楽しめるのが魅力の植物です。非常に人気が高いため流通量も多く、入手もしやすいので気軽に楽しむことができます。この記事では、そんな人気の植物カリブラコアの基本的な情報から詳しい育て方まで、ご紹介します。
目次
カリブラコアはペチュニアの近縁種! まずは基本情報を確認
カリブラコアはナス科カリブラコア属(Calibrachoa属)に分類される植物の総称です。南アメリカ原産で、本来は多年草ですが、耐寒性が低く冬越しは難しいため、日本では一年草として扱われることも多いです。草丈は10~30cmで、花の色はピンク・青・黄・白・オレンジ・茶・赤・紫・複色などさまざまです。
カリブラコアの特徴
カリブラコアは1990年にペチュニアから生まれた新しい品種で、見た目は少し小さめのペチュニアによく似た花です。淡い色が多いペチュニアと比べ、カリブラコアははっきりとした原色に近い色が豊富で、花そのものもペチュニアとは異なり、ベタベタしていません。また、茎が木質化してしっかりとした灌木のようになりやすいため、ペチュニアよりも多年性が強い性質を持っています。
カラーバリエーションが豊富なカリブラコアの種類
カラフルなカリブラコアには、さまざまな品種があります。ここでは、人気の品種についてご紹介します。
“ミリオンベル”は古くからあり、サントリーフラワーズが作出した代表的な品種です。小ぶりな花を非常にたくさんつけることが特徴で、カラーバリエーションも豊富です。
“スーパーベル”は世界20カ国以上で愛されており、大きな花が魅力的な品種です。通常のカリブラコアのような一重咲きのほか、八重咲きのバリエーションもあります。
“リリカシャワー”はサカタのタネが作出した品種で、草丈が低めでカーペット状に広がるのが特徴です。
“ティフォシー”は八重咲きの華やかな品種です。落ち着いたアンティークカラーなど、さまざまな花色があるのも魅力です。
カリブラコアを上手に育てるためのポイント
可愛らしい花や多様な品種が魅力のカリブラコア。ここからは、そんなカリブラコアを美しく育てる方法について、項目別にご紹介していきます。
カリブラコアの栽培に適した環境
カリブラコアを栽培するのに適しているのは、日当たりと風通しのよい環境です。また、水はけのよい場所を好みます。地植えと鉢植えどちらの場合も、泥はねを防ぐようにしましょう。
カリブラコアを植えるのに適した用土
カリブラコアを地植えにする場合は、よく耕して水はけがよくなるようにし、腐葉土を混ぜておきます。
鉢植えにする場合は、市販の草花用培養土が手軽でおすすめです。自分で土を作る場合は、弱酸性の土壌を好むため、赤玉土6:腐葉土4などの配合がおすすめです。水もちをよくしたい場合は、赤玉土5:腐葉土3:ピートモス2などでもいいでしょう。
カリブラコアの水やり
地植えの場合は、極端な乾燥さえなければ基本的に自然の降雨のみで十分。水やりはほとんど必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。葉や花に水がかかると、しおれたり病気になりやすくなってしまうので、株の根元に水をやるようにしましょう。
カリブラコアの肥料
植え付けの際には、元肥として緩効性肥料を入れておきます。
カリブラコアは多肥を好む植物で開花期間も長いので、開花中は追肥を11月頃まで施すようにしましょう(与える頻度は、使用する肥料のパッケージの記載に沿ってください)。鉢植えの場合は2週間に1回ほど液肥も施すとよいでしょう。
カリブラコアの植え付けと植え替え
植え付けの適期は4~9月ですが、特に4~5月に植えるのが最適です。真夏に植える場合は、水切れを起こさないように注意します。また、冬越しした苗を植える場合は、4~6月に新しい用土を使って植え替えます。
地植えの場合は、蒸れを防ぐために苗と苗の間隔を20cm以上あけて植えましょう。
鉢植えの場合は、苗よりも1~2回り大きな鉢に植えます。寄せ植えにする場合は10号鉢で3苗、12号鉢で4苗、プランターでは6苗以内がおすすめです。
いずれの場合も、軽く根をほぐしてから植えるようにしましょう。
カリブラコアを育てるうえで大事なお手入れ
植え付けてから2週間ほど経ち、株が伸びてきたら、茎の先端をカットする「摘心」をします。こうすることで摘み取った部分の脇芽が成長し、株がこんもりと丸くボリュームのあるシルエットになります。
また、梅雨の時期には1/2ほどの大きさに株を切り戻して、形を整えます。これで蒸れを防ぐこともでき、健康な株を維持することにつながります。
花が咲き終わったら、その都度花がらを摘んで綺麗にしましょう。花がらをそのままにしておくと、種子に栄養を取られて株が痩せてしまったり、病気になりやすくなってしまいます。
カリブラコアを育てるときに気をつけておきたい病気や害虫
梅雨の時期など、湿度が高いときには灰色かび病が発生しやすくなります。花がらや枯れ葉はこまめに取り除き、できるだけ風通しがよくなるようにすることが予防につながります。
また、春にアブラムシがつきやすいため、見かけたら駆除するようにします。放置すると新芽や茎の栄養を吸い取ったり、ウイルス病を媒介する恐れがあります。アブラムシを発見したら、早めに粘着テープなどで取り除くか、株元に浸透移行性のオルトランなどをまいておくとよいでしょう。
また、雨が降ったときに泥が跳ねるとそこから病気になることがあるので、株元にバークチップなどを敷いてマルチングしておくと予防になります。
カリブラコアの増やし方
育てたカリブラコアを増やすにはどうすればよいか、方法ごとにご紹介していきます。
挿し芽で増やす方法
カリブラコアの最も一般的な増やし方が挿し芽です。その方法は、次の通りです。
茎の2、3節(7~10cm)を切り取って挿し穂とします。先端の葉だけ残して下葉は取り除きます。切り口が斜めになるように切り、30分〜1時間水揚げしてから、赤玉土などの挿し芽用土に挿します。そのまま明るい日陰に2週間~1カ月ほど置き、発芽して十分に育つまで待ちます。
風などで挿し穂が動くと発根しにくくなるので、あまり風が通らない場所がおすすめです。直射日光が当たらない明るい場所であれば、室内でも構いません。
種苗登録されている品種は、挿し芽などで増やして他人に譲渡・販売することは法律で禁止されているので、注意してください。
種まきで増やす方法
通常は苗で流通しているため、種は市販されていませんが、咲いた花から種を取って増やすこともできます。
発芽の適温は20℃で、9月頃か、秋に取った種を翌年の3~5月に播くのがおすすめです。
種は硬くそのままでは発芽できないため、コンクリートなどでこすって傷をつけておきます。種まき用の土に播き、覆土はせずに育てます。
カリブラコアの冬越し
冬越しの難しさは品種によって異なります。多年草扱いのものを選べば、暖かい地域なら屋外でも冬越しが可能です。冬越しをさせる際は霜にあたらないよう、日当たりのよい場所に置きましょう。暖地以外では切り戻して鉢に植え替え、室内で冬越しさせます。株が大きいと室内に取り込んで管理しにくいので、9月下旬に挿し芽をして新しい株をつくり、小さい苗のまま室内で管理するのもおすすめです。
寄せ植えやハンギングにも最適! カリブラコアの楽しみ方
カリブラコアの品種には、直立して育つものと這うように育つものがあります。それぞれに合わせた植え方で楽しみましょう。地植えの場合は泥はねが多いと病気の原因となるため、敷き藁などを使ってマルチングしたほうが、健康な苗づくりのために安心です。
カリブラコアは開花期が長いので、特に夏の間は鉢やプランターでの寄せ植えに最適。また、カリブラコア単体でハンギングにしても見ごたえがあります。カラーバリエーションが非常に豊富なため、さまざまな庭のイメージに合わせて花壇や寄せ植えなどを彩ってくれる植物です。
カラフルな花を長く咲かせるカリブラコアを育ててみよう!
この記事では、可愛らしい花が魅力のカリブラコアについて、人気の品種や育て方についてご紹介しました。
明るく風通しのよい場所で育てれば、たくさんの花をつけて花壇や寄せ植えなどにその華やかな姿を見せてくれるでしょう。春から晩秋まで長く楽しめ、カラーバリエーションも豊富なカリブラコアをぜひ育ててみてはいかがでしょうか?
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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