スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
-
アレンジ

春のインテリアに飾りたい! ミモザのリース。作り方&花を長持ちさせるテクニック
可愛い花が人気のミモザ 早春に、明るい黄色の花を咲かせるミモザ。ガーデンで育てるミモザのお話は、『オージーガーデニングのすすめ 春を告げる「アカシア(ミモザ)」』をお読みいただくとして、ここでは、花屋さんで見つけたミモザを長持ちさせる「水揚げ」方法と、一枝使ったリースの作り方を2タイプご紹介します。 花瓶に飾る前にやっておきたい、ミモザの「焼き揚げ」 ミモザは樹木なので、ほかの草花よりも水の吸い上げが弱く、切ってそのまま水に入れておくだけでは、花がしおれることが多くなります。そこで、花を買ったらまず「水揚げ」をしっかりして、花を長持ちさせましょう。まず、枝の切り口を斜めにカットし、次に、2〜3回縦に切れ込みを入れます。もし小槌などがあれば、切った部分の枝の繊維を少し崩すイメージで叩きます。 次に、水がたっぷり入る花瓶に、あらかじめ水を入れたら、キッチンのガスコンロなどで切った枝の先端を軽く炙って、すぐ水の中へ。枝の先端を焼いて水揚げすることを「焼き揚げ」といい、バラやアジサイ、ピオニー(ボタン)などの枝や茎が太い花などの水揚げに効果的な方法です。 ミモザの枝を使って、簡単リース作りに挑戦! 花瓶に活けていたミモザは、何日かすると次第に花がしぼんできます。そのまま水に活けていても枯れてしまうので、今度はリースにして、ミモザのドライを楽しみましょう。 作り方は簡単! ワイヤーや太めの紐で枝の両端を結び、ミモザを輪っか状にします。枝をとめたワイヤーで輪を作り、壁のフックなどに吊るしましょう。 ふわふわの花は次第にしぼんできますが、空気が乾燥しているこの時期は、きれいにドライになるので、1カ月ほどミモザのかわいさを身近に楽しむことができますよ。 花穂をたっぷり使った黄色のリース作り 上でご紹介したひと枝のリースになるような長い枝がない場合は、ミモザの花穂だけを切り取ってリースにするのも素敵です。用意するのは、ミモザの枝、藤やつるなどで輪になったリースベース、細いワイヤー、ペンチ、ハサミです。 1.仕上がった後に壁などに飾るために輪っかを1カ所作ります。 2.ミモザの枝から花穂(小花が並んで咲いている茎のこと)を1本1本切り取ります。 3.お皿などに同じ向きで花穂を並べて、リースベースに足りる程度の本数(直径10cm程度のリースベースに対して50本以上が目安)を用意します。ミモザの銀色の葉も最後にアクセントとして使うので、切り取っておきましょう。 4.ワイヤーの端をリースベースに一度結びとめたら、花穂を2〜3本リースベースに載せて、ワイヤーを巻きます。 5.先にとめた花穂のワイヤーが隠れるように意識しながら、次の花穂を載せてはワイヤーで巻くことを繰り返します。 6.リースベースが隠れるように作業を進めましょう。 7.リースベースが隠れるまで花穂をとめ終わった裏側。ワイヤーを巻く間隔は1.5〜2cmにすると、花穂の密集度がほどよくおすすめです。 8.間に葉っぱを挟み込んでも、変化が出てよいですよ。 9.部屋のドアや壁、絵のフレームの角にひっかけるなどして、飾りましょう。見慣れた室内が、ミモザの黄色でパッと明るくなります。 ミモザは、ベランダなどで鉢植えにしても育てることができます。自分で育てれば、咲いた分を好きなだけリースやスワッグにすることができます。たくさん咲いたら、お友達にもリースをプレゼントしませんか? 花がある暮らしの楽しみを知る仲間が増えますよ。
-
ガーデン

吉谷桂子さんのガーデン「the cloud」から学ぶ“ナチュラリスティックな庭づくり”③ 〜おすすめプランツ〜
適地適草でレイアウトを植物の性質を調べておこう 「the cloud」は西向きの庭で、背後は神宮の森がそびえて朝日がまったく当たらない。夏の太陽がもっとも厳しくなる左側のエリアは西日や乾燥に強い植物で、黄色やオレンジの花が咲くものが多い。高木の北側にあって日照時間が短い右側のエリアは、半日陰を好む日本の在来種で、ピンクや白の花が咲くものが多い。 ロングライフ・メンテナンス・フレンドリーを目標とした、今までにないガーデン制作を行っている吉谷さん。これまでの経験を活かし、高温多湿に耐えられる日本の在来種を取り入れているのもこのガーデンの特徴です。ただ、長生の植物はゆっくりと育つので、見応えと順応性が最終的に分かるのは3年後と考えて、作庭から1〜2年目は、華やかさが出る短命の宿根草や、初年度からたくさん花が咲く一年草も加えています。 上左/ややしっとりとしたエリアを彩る、ヒオウギとカラマグロスティス‘ゴールドタウ’ (7月)。上右/ベンチ+パーゴラ裏で視線が抜けるのをストップ。ルドベキア・マキシアとヒヨドリバナ(7月)。下/シードヘッドになったペンステモン‘ダコタバーガンディ’の銅葉が植栽に深みを与えつつ、引き締め役として活躍(11月)。 また、吉谷さんにとって丈夫で絶対確実な植物だけでなく、ヨーロッパなら大丈夫だけれど、ここではちょっとどうかな? というチャレンジングなものも入れています。 「全体の約2割がチャレンジプランツです。植物の魅力を知るには常にトライ&エラー。環境への順応は試してみないと分からないし、 ガーデニングは自然との共存について学べる大切なチャンスです。 失敗は決して無駄にはならないはず。いろいろと可能性を考えてトライしてみて」。 最大の合い言葉は「適地適草」まずは、植物の性質を調べておこう! 「植物のセレクトとその配置には理由があり、好きな植物をなんとなく植えてはダメ。簡単ではないかもしれないけれど、エコロジーとデザイン両面の適地適草を前提に、美を備えながら気候の変動にも耐えて長生、行儀のよい植物を見極めて」と吉谷さん。 美しい自然な風景を作るには、「植える場所の環境」と「植物の特性」を把握し、『RIGHT PLANT, RIGHT PLACE (適材適所・適地適草)』で花壇に落とし込むことが大切です。 【チェックポイント】 ・丈夫で風土環境に合っているか?(ただし侵略的でないこと)・四季を通して行儀がよいか?(暴れにくい、倒れにくい、花枯れ後の姿が汚くない・シードヘッドも魅力的であること) ① なるべく長期間生きて、その地に順応するか、花が咲くか?(翌年以降も持続して美しい草姿で、花が咲くこと)② 生物多様性、蜜源植物としても役立ち、病害虫に強いか?(命の循環、病害虫に侵されてもまあまあ復活できること。益虫もやってくるとよい) ふわっとして、エアリーなグラスや、蜜源花の代表、バーベナ・ボナリエンシス。その少し下で花後のアガパンサスやエキナセアのフォルムがアクセントに。その下方手前でアガパンサスの葉群やベンケイソウが植物の株元をしっかりガード/9月 ‘the cloud’で重宝した代表的な植物 36選 ガーデンでさまざまな役割を担った、メンバーの一部をご紹介します。ここで取り上げていない植物たちも、それぞれにいい役割を果たしています。 ■細い葉が魅力のグラス類 透け感抜群。軽やかな穂が風に揺れ、植栽の上部分(奥)で、表情豊かなナチュラル感を強めてくれます。 左/ディスカンプシア‘ゴールドタウ’ 中/ミューレンベルギア・カピラリス 右/パニカム‘ヘビーメタル’ 左/ディスカンプシア‘ゴールドタウ’イネ科草丈:約80cm特徴:穂の観賞期は初夏から。たくさん穂を上げ、細かい黄褐色となる。秋には穂が乾いて色が抜け始めるが、冬も楽しめる。ほかのグラスとは異なり多湿を好む。常緑~半常緑性。 中/ミューレンベルギア・カピラリスイネ科草丈:60~90cm特徴:夏~秋にかけて丈のあるピンクの花穂が大人気。初めはつややかだが、冬には色あせる。丈夫で大きく育つので根の張るスペースが必要。日照・風通し、根張りの場所が制限されると倒れやすく、花穂も上がりにくくなることも注意。 右/パニカム‘ヘビーメタル’イネ科草丈:約160cm特徴:葉がまっすぐに直立する姿はオーナメンタルな存在感がある。葉色は、夏まではメタリックなブルーグリーン、秋に上がる繊細な穂と葉は黄金色に変化して直立性も高い。 左/メリニス‘サバンナ’ 中/カラマグロスティス‘カールフォースター’ 右/カラマグロスティス・ブラキトリカ 左/メリニス‘サバンナ’イネ科草丈:約50cm特徴:ブルーグリーンの葉と秋に葉や穂が赤くなるのも魅力的。丈が高くならず、株もコンパクトにまとまるので狭小地でも楽しめるが、こぼれ種で増えるので、コントロールが多少必要なことも。 中/カラマグロスティス‘カールフォースター’イネ科草丈:100~150cm特徴:葉茎、穂が直立する、ナチュラリスティックガーデン代表のグラス。5月頃から上がるすっきりとしてスリムな穂が魅力。穂が出たあと徐々に黄金色に変わり、冬枯れの姿もオーナメンタルな趣がある。 左/カラマグロスティス・ブラキトリカイネ科草丈:約80cm特徴:日本名はノガリヤス。葉はグリーンで柔らかく扇状に弧を描く。羽根のように膨らむ穂は、はじめは明るいグリーンで徐々にシルバー~クリーム色へと移ろう。倒れにくく丈夫。 ■ボールドで頼りになるアガパンサス 巨大花からコンパクトものまで多種あるヒガンバナ科の球根植物。高温化の夏に負けない頼もしい植物で、‘the cloud’では8種類も植えています。美しい花を咲かせることに加え、常緑の葉が低い位置(花壇の手前)をがっしりカバーする役割も。 左/アガパンサス‘クイーンマム’ 中/アガパンサス‘サマーラブ’ 右/アガパンサス‘ポッピンパープル’ 左/アガパンサス‘クイーンマム’草丈:50~70cm花期:初夏特徴:超巨大多花性タイプで、白花を咲かせる花房は約25cmにもなる。ボリュームたっぷりに花をつけるので華やかな印象。 中/アガパンサス‘サマーラブ’ 草丈:約50cm花期:初夏~秋特徴:葉が細く花首がさほど伸びないコンパクトな品種。花色は白と青があり、春から秋まで咲く四季咲き性タイプ。 右/アガパンサス‘ポッピンパープル’草丈:30~60cm花期:初夏~初秋特徴:ほかの品種よりも株はコンパクトで半常緑性。花色は濃紫で花つきがよく、大人っぽい雰囲気が漂う。 ■日陰気味・湿り気味の場所を彩る植物 ほかの場所とは異なる、しっとりとした趣も出してくれます。 左/アネモネ‘アンドレア・アトキンソン’ 中/シュウメイギク‘パミナ’ 右/アスチルベ 左/アネモネ‘アンドレア・アトキンソン’キンポウゲ科草丈:80~120cm花期:夏~秋特徴:アネモネの仲間でシュウメイギク系のハイブリッド品種。純白の花を夏から秋と長期にわたり咲かせる。耐寒性は強く半日陰向き。土壌が肥沃すぎると徒長して倒伏する場合がある。 中/シュウメイギク‘パミナ’キンポウゲ科草丈:約80cm花期:秋特徴:華奢に見えるが花穂は高くならず、株はややコンパクトで倒れにくく丈夫。発色のよい濃いピンクの花は半八重咲き。 右/アスチルベユキノシタ科草丈:90〜120cm花期:初夏特徴:春に白やピンクの細かい花を穂状につける。夏以降に茶色く枯れた花穂をそのまま残しておくと、オーナメンタルな姿が楽しめる。 ■日本在来種、もしくは古くから親しまれてきた植物 日本の風土に合っていて、とにかく丈夫! 左/ミソハギ 中/オミナエシ 右/ヒヨドリバナ 左/ミソハギミソハギ科草丈:50~100cm花期:7~9月特徴:日本各地の湿原や田の畔などに生えている植物で、湿り気のある土地を好む。やや木質化する茎に、鮮やかなマゼンタピンクの花を穂状にたくさんつける。 中/オミナエシオミナエシ科草丈:60~100cm花期:8~9月特徴:秋の七草の一つで、黄色い小花を平らな散房状にたくさん咲かせる。低い場所で葉を広げるので、雑草が広がりにくい。 右/ヒヨドリバナキク科草丈:40~120cm花期:8~10月特徴:茎の上部の散房状花序に、白色または淡紅紫色の頭花を密につける。山地の林縁に多く自生。野趣にあふれる。 ■銅葉が美しいもの ダークな葉色がナチュラルな植栽をぐっと引き締めてくれます。 左/ベルゲニア‘ダークマージン’ 中/ペンステモン‘ハスカーレッド’ 右/ペンステモン‘ダコタバーガンディ’ 左/ベルゲニア‘ダークマージン’ユキノシタ科草丈:約40cm花期:春特徴:革のような質感で光沢のある厚い常緑葉。春~秋は葉縁に赤い縁取りが入り、晩秋以降は葉全体に赤みが濃くなる。花色はピンク。 中/ペンステモン‘ハスカーレッド’オオバコ科草丈:80~100cm花期:初夏特徴:ブロンズ色の葉がカラーリーフとして楽しめ、白花とのコントラストが魅力。春の芽吹きはより濃色で、花後は暗い緑色になる。タネもシックな印象。 右/ペンステモン‘ダコタバーガンディ’オオバコ科草丈:約60cm花期:初夏~秋特徴:光沢のある赤みがかったダークな葉に、濃ピンクがにじむ花をつける。ペンステモン‘ハスカーレッド’よりも葉が赤黒く、コンパクトな品種。 ■彩りが寂しい春先に毎年咲き続ける小球根 一度植えれば、毎年グラウンドカバーとしても活躍しながら、愛らしい花色で春の到来を告げてくれます。 左/イフェイオン‘アルバートキャスティロ’ 左/シラー・シビリカ 右/スイセン‘テタテート’ 左/イフェイオン‘アルバートキャスティロ’ユリ科草丈:10~20cm花期:早春特徴:可憐な白い星形の花をいっぱいに咲かせる。植えっぱなし可能でグラウンドカバーにも最適。細い青々とした葉は初冬から展開して花後に休眠し、地上部は枯れる。 左/シラー・シビリカユリ科草丈:10~15cm花期:早春特徴:ベルのように下垂した花は非常に可憐で房状に咲く。花色は白と青紫。緑の細い葉は開花前に展開する。 右/スイセン‘テタテート’ユリ科草丈:20cm花期:早春特徴:鮮やかな黄色の愛らしい花を咲かせるコンパクトなスイセン。早春の植栽ににぎやかさを与えてくれる。 ■シードヘッドが楽しめるもの ユニークな造形が、秋の風情を深めてくれます。 左/エキナセア‘マグナススーペリア’ 中/ヒオウギ 右/ルドベキア‘リトルヘンリー’ 左/エキナセア‘マグナススーペリア’キク科草丈:60~150cm花期:初夏~初秋特徴:ライラックピンクの花弁×赤い花心の組み合わせが鮮やか。花径が大きく、夏の植栽に元気な存在感を与えてくれる。花心が乾いて残る。 中/ヒオウギアヤメ科草丈:40~100cm特徴: 夏特長:夏の花も扇形に立ち上がる葉姿も、どちらも美しい。また、秋に風船のような種袋ができ、それが割れると中から真っ黒なタネが現れるところも非常に魅力的。万葉の昔はそれを‘ぬばたま’と呼んだ。 右/ルドベキア‘リトルヘンリー’キク科草丈:60~90cm花期:初夏~夏特徴:筒状の細長い花弁がユニークで、茶色い花心とのコントラストが愛らしい。半日陰でも咲く丈夫な小型種。蝶を呼ぶ。 ■オーナメンタルに花が楽しめる球根 細い柄に花房がつき、風に揺れる浮遊感も楽しめます。 左/アリウム‘パープルレイン’ 中/アリウム・シューベルティー 右/トリテレイア‘シルバークイーン’ 左/アリウム‘パープルレイン’ネギ科草丈:約60cm花期:春特徴:鮮やかな赤紫の星形の花を放射状につける、植えっぱなし可能な丈夫なアリウム。早咲き種。 中/アリウム・シューベルティーネギ科草丈:30~50cm花期: 初夏特徴:ネギ坊主が花火のようにパッと広がる巨大輪のピンクのアリウム。放射状に広がる花柄はそのままの形で乾いて残る。 右/トリテレイア‘シルバークイーン’ ユリ科草丈:30~40cm花期:初夏特徴:針金のように細い茎に、ラッパ形の白い花をたくさん咲かせる。掘り上げなくても毎年植えっぱなしでよく開花する。 ■暑さと干ばつにも強いストレスフリーな宿根草 昨今の酷暑を乗り越える性質を備えながら見応えがある頼もしい種類です。 左/アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’ 中/アリウム‘サマービューティー’ 右/セダム(ハイロテレフィニューム)‘オータムジョイ’ 左/アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’シソ科草丈:約80cm花期: 夏~秋特徴:シソの穂を細かくしたような花穂をたくさん上げ、淡いブルーの花を長期にわたり咲かせる。花後は花穂がシードヘッドになり、秋から冬の間も見応えたっぷり。 中/アリウム‘サマービューティー’ネギ科草丈:20~40cm花期:夏特徴:小型のアリウムで、球形・ピンク色の花をつける姿はチャイブに似ている。厚めの葉をたくさん展開し、グラスのよう。暑さに強い。 右/セダム(ハイロテレフィニューム)‘オータムジョイ’ ベンケイソウ科草丈:30~60cm花期:晩夏~秋特徴:丈夫な茎が立ち上がり、多肉質な葉を広げながらこんもりと育つ。花はピンクからローズピンクに移ろい美しい。ほぼ水やりは要らず、肥えていない土=貧しい栄養環境だとうまく育つ。また、西日の厳しい場所に植えるのに向いているが、少し湿り気があるところだと巣蛾(すが)でダメージを受ける場合がある。 ■グラウンドカバーで活躍する宿根草 表土を隠し、雑草防止や乾燥予防に役立ちます。 左/セラトスティグマ 中/エリゲロン・カルビンスキアヌス 右/リッピア・カネスケンス 左/セラトスティグマ(ルリマツリモドキ)イソマツ科草丈:30~60cm花期:夏~秋特徴:1~2cmのコバルトブルーの花が次々と長い間咲き続け、茎葉をこんもりと密生させながら、株は横に広がるように成長する。秋には紅葉も楽しめる。 中/エリゲロン・カルビンスキアヌスキク科草丈:10~30cm花期:春~秋特徴:小輪多花性で、長期間咲き続ける。咲き始めは花弁が白く徐々に赤みを帯びていくので、2色咲いているように見える。性質も強い。 右/リッピア・カネスケンスクマツヅラ科草丈:10~30cm花期:春~秋特徴:地面を這うように成長して広がり、各節から根を根付かせながら密に地面を覆う。また、白やピンク色の花を次々に咲かせる。 ■ふわりと間をつないでくれる一年草(一年草扱いの宿根草) 一年草や短命な宿根草は、春の庭に早くから花を咲かせます、成長が早く、しかもこぼれ種で増えるので、侵略的ではないタイプを選んで(オルラヤなどは増えすぎた場合のコントロールが大変なので場所を選ぶとよい)。 左/ニゲラ・ダマスケナ 中/セントランサス・コキネウス アルバ 右/バーベナ・ボナリエンシス 左/ニゲラ・ダマスケナキンポウゲ科(一年草)草丈:40~90cm花期:春特徴:白や青、ピンクなどの花弁のような萼片も、ふわふわとした糸状の葉も花後の風船形のシードヘッドも魅力的。一年草ながら開花前から開花後まで見頃が長い。こぼれ種から出る糸葉の新芽は雑草との見分けがつきやすいので、コントロールがしやすい。 中/セントランサス・コキネウス アルバオミナエシ科(一年草扱いの宿根草)草丈:約60cm花期:春特徴:ベニカノコソウの白花種で小花が集まって咲く。花つきが非常によく、こんもりと茂ると見応えたっぷり。宿根草で、環境に合えば温暖地の場合は常緑で冬越しする。短命だがこぼれ種で増える。 右/バーベナ・ボナリエンシスクマツヅラ科(一年草扱いの宿根草)草丈:70~100cm花期:初夏~秋特徴:強健で自立性が高く細長い茎が分岐した先に、紫の小花を咲かせる。昆虫たちにも人気が高くタネもできやすいので、適度に軽めの剪定をして、花を長く咲かせながら株の状態を保つとよい。日当たりがよく、少し乾き気味な環境を好み、条件が合えばこぼれ種でよく増える。冬越しした株は翌年も開花する。 『ガーデン・メリット』がある植物を選ぶ意味 「“花の美しさや愛らしさ”はガーデンプランツを選ぶ上で重要な選択肢となりますが、それにプラスして、芽出しの時期から枯れるまで、ずっと庭景色に魅力を与えてくれる『ガーデン・メリット』がある植物を選ぶことも大切です。 それを見極めるには、一度やってみる。失敗しながらも発見を楽しむ。“トライ&エラー”の精神で挑んでください。年を追うごとに経験値を積んでいけば、人生はきっと充実するはず。エコロジーにあった、強く美しい植物の存在を知ることは、私たちの心を癒やし、人生を豊かにしてくれる“庭”の可能性を広げてくれますよ」と吉谷さん。 連載4回目となる次回は、「ガーデン環境整備」についてご紹介します。
-
ベランダガーデニング

ベランダガーデニングを始めよう! はじめてでも快適に楽しむ5つのコツ
コツその1:ベランダの特徴を知る ベランダで植物を育てる前に、広さや環境などについて把握しておきましょう。ベランダが向いている方角や風の強さ、日当たり具合などに合わせて植物を選ぶことが成功の秘訣です。この項目では、ベランダの特徴について確認すべきポイントをご紹介します。 植物を置くスペースを確認する Ashley-Belle Burns/Shutterstock.com ベランダには一般に室外機があり、洗濯物を干す場所やベランダで使うグッズの置き場所も必要です。それらと住み分けてガーデニングを楽しむなら、どれくらいの広さを確保できるか、まずはチェックしてみましょう。 室外機は見逃しがちなポイントですが、給気や排気を円滑にするためにも、周囲には植物を置かないようにしましょう。植物にとっても、常に風が当たり続ける環境は好ましくありません。 また、洗濯物を干すスペースと、ガーデニングを楽しむスペースはしっかり区分けしておきたいものです。洗濯物の近くにバラなどトゲのある植物があると、洗濯物を引っかけて傷める原因になることも。それに、植物につく虫が洗濯物に移って、たたむ時にイモムシが出てきて悲鳴をあげるということもありがちです。 ガーデニングスペースをどのくらい確保できそうか、どのくらいの大きさの鉢やプランターを置けそうか、メジャーを使って幅や高さを測り、あらかじめしっかりイメージしておきましょう。 日当たりや風通しを確認する pikselstock/Shutterstock.com 植物にとって日照や風通しは、生育条件の大切な要素となります。季節やベランダの向きによっても異なるので、実際にどのくらい日が当たるのか、事前に把握しておきましょう。 東向きのベランダでは、午前中に光が差す程度ですが、近年の夏の暑さを考慮すると、じつはベストな環境。午前中のみ直射日光が差す程度の環境でも、植物は一年を通して十分に育ちますよ! 南向きのベランダは、日当たりがよく植物が生育しやすい恵まれた環境です。しかし、熱がこもりやすく、夏場は一日中日差しが届くために植物が弱ってしまうことがあります。その場合は日除けを設置するなどの工夫が必要です。 西向きのベランダの場合、夏は特に暑さに弱い植物の栽培はNGですが、逆に冬は暖かいというメリットがあります。植物によっては西日が当たる環境を嫌うものがあるので、日除けを設置するなどの工夫が必要です。 北側のベランダでは、日差しがあまり望めないので、半日陰や日陰で育つ植物を選び、カラーリーフプランツなどを使って瑞々しく演出するとよいでしょう。 風通しについては、ベランダや屋上は、植物の栽培には適した環境です。ただし、上階にいくほど風が強くなるので、常に強風が吹きつける場合は対策が必要ですし、建物によってはガーデニングが禁止されているケースもあります。 排水口の位置を確認する Mr.keng/Shutterstock.com ベランダでガーデニングを楽しむ場合、水やりのたびに水が流れたり、雨風が吹き込むので、気をつけていても土や枯れ葉などが排水口の周囲にたまりやすくなります。まず、排水口が手入れのしやすい場所にあるか、確認しておきましょう。マンションなどでは、2、3戸に1個しか排水口がない場合もあり、配慮を欠くと泥水や枯れ葉が排水口のある隣家にたまってしまい、トラブルの原因になりかねません。自身のベランダに排水口がない場合でも、風雨により隣家にゴミがいかないように金網やゴミ取りネットを付けるなどし、またこまめに掃除を心がけて、迷惑をかけない工夫が必要です。 コツその2:ルールを守る shigemi okano/Shutterstock.com ベランダでガーデニングを楽しむ場合、アパートやマンションのルールを守ることが大前提です。ほとんどのマンション・アパートの場合、ベランダは「共用部」であり、個人の所有スペースというわけではありません。まずはお住まいの管理規約をチェックし、許される範囲で楽しむことが大切です。 一般的には、緊急時に蹴破って避難できるように設置されている仕切り壁や、階下とつなぐ緊急用はしごが装備されているハッチをふさぐように物を置くことはできません。仕切り壁にラティスでカバーしてディスプレイ用にアレンジしたり、ハッチの上に鉢を飾ったりということは禁止事項なので、注意してください。 また、鉢やハンギングバスケットを落下の危険がある位置には飾らない、水やりや薬剤散布は隣近所に配慮する、土埃や枯れ葉、花がらなどが近隣に飛ばないようにし、掃除をまめにする、などの配慮も心がけましょう。 コツその3:ベランダガーデンのデザインを決める 1鉢での栽培から始めて、少しずつお気に入りのデザインの鉢やアクセサリーを増やしてきたけれど「全体で見ると、なんだかまとまりがなくて落ち着かないなぁ」という悩みをもつビギナーさんが多いと聞きます。まずは目指すベランダガーデンのスタイルのイメージを固めることから始めるのが成功の秘訣。この項目では、ベランダをトータルコーディネートするポイントをご紹介します。 好みのガーデンのイメージを決める boyphotos/Shutterstock.com まずは、ベランダガーデンをどんなスタイルでまとめたいのか、イメージを明確にすることから始めましょう。ナチュラルスタイルなのか、大人かわいいシャビーシックなのか、雑貨を多めにしたポップな雰囲気なのか……。 室内のインテリアをコーディネートするのと同じで、目指すスタイルを明確にすると、素材も絞られてきますね。ナチュラルスタイルにしたいなら、ウッドやバスケット、ラフィアなどの自然素材でコーディネートする、シャビーシックならアンティークやエイジング加工をした素材を取り入れるなど、方向性が定まってきます。 これといったイメージが浮かばなければ、インターネットで画像検索したり、ガーデニング雑誌を読んだりして、「こんなベランダにしたいな」と、気に入ったもののスナップを集めて、目を肥やしていくとよいでしょう。 デザインの基礎となる床材を決める swissdrone/Shutterstock.com ベランダガーデンでは、床材を取り入れるのは不可欠だといって差し支えないでしょう。マンションやアパートのベランダの多くは、床はコンクリートやモルタルなどで整えられています。コンクリートは熱を伝えやすい性質ので、夏に強い日差しを受けると非常に温度が高くなり、蓄熱すると冷えにくい性質があります。また寒い冬には、外気が伝わって大変冷たくなります。このコンクリートに真夏・真冬に鉢植えを直置きすると、植物に負担のかかる悪い環境となるのです。そのため、床には断熱効果のあるウッド素材のパネルを敷き詰めるのをおすすめします。ウッド素材はカラートーンに幅がありますし、使いたい色があれば、自身でペイントしても素敵ですね。 フロアパネルの素材は、ほかにもタイルや人工芝など多様ですが、植物に熱を伝えやすいという点では同じです。「スタイルの統一のためには、気に入った資材を使いたい」という場合は、コンテナスタンドやハンギングを利用したり、底にレンガなどをかませて直置きを避けたりといった工夫をするとよいでしょう。 置けるプランターや鉢の総量を決める TG23/Shutterstock.com ベランダのサイズを測って床材を敷いたら、そこに配置する植物をイメージし、全部でどれくらいの鉢やプランターを置けそうか、プランニングしてみましょう。 ベランダには耐荷重があり、重い資材や鉢を多数置くと建物に負担がかかります。なるべくアイキャッチとしてポイントごとに配置し、できるだけ軽量になるようにしましょう。紙にラフに配置図などを書き込んでイメージを膨らませるのもいいですね。高さのある樹木を置いたり、つる植物や枝垂れる植物を使って広い面積を緑化したり、小さい鉢やハンギングバスケットを配したりと、高低差のある変化に富んだ植栽がおすすめです。 コツその4:何を植えるのかを決める Franz Peter Rudolf/Shutterstock.com ベランダガーデニングでは、どんな植物を植えるべきでしょうか? それはもちろん、まずはお気に入りの花を咲かせる植物を選んでください。でも、ベランダや屋上の場合は鉢栽培が基本で、気候や環境にあまり恵まれないケースも多いもの。お気に入りの植物はベランダや屋上の中でも一番条件のいい特等席に配置し、そのほかは脇役として活躍する、環境に馴染みやすい植物を選ぶのも一案です。この項目では、ベランダや屋上などに向く、丈夫で乾燥に強いおすすめの植物をご紹介します。 ベランダガーデニングにおすすめの草花 ベランダで育てやすい草花には、以下のようなものがあります。ぜひ参考にしてください。 【パンジー・ビオラ】 Nick Pecker/Shutterstock.com スミレ科の一年草。寒さに強く、開花期は10月下旬〜5月中旬と長く楽しめます。花色は赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、複色など。品種が多様で選ぶ楽しみがありますよ! 草丈は10〜30cmで、こんもりと茂って風を受け流してくれます。 【スイートアリッサム】 Nonchanon/Shutterstock.com 本来は多年草ですが、高温多湿に弱く、日本の暑い夏を乗り切れずに枯死するので、一年草として扱われています。開花期は9月下旬〜12月下旬、2月上旬〜6月上旬で、花色は白、ピンク、紫、オレンジなど。一つひとつの花は小さいのですが、集まって咲くので色のかたまりとなってよく目にとまります。草丈は10〜15cmで這うように広がり、強風の影響をあまり受けません。 【インパチェンス】 Tanya_Terekhina/Shutterstock.com 開花期は5月〜11月上旬の一年草です。花色は白、赤、ピンク、オレンジなど。草丈は15〜40cmで、茎葉を低くこんもりと茂らせるので、あまり風の影響を受けません。半日陰でも育ちます。 【ベルフラワー】 Rummiya Vilaithong/Shutterstock.com キキョウ科の多年草で、開花期は4〜5月。花色は紫で星形の愛らしい花をたくさん咲かせます。草丈は10〜15cmで密に茂り、強風も受け流してくれます。暑さにはやや弱い性質ですが、環境に合えば毎年開花してくれます。 ベランダガーデニングにおすすめのハーブ 【ローズマリー】 WindAwake/Shutterstock.com シソ科の常緑低木で、樹高は30〜200cmと品種によって異なるので、あまり高くならないものを選ぶとよいでしょう。乾燥に強いので、ベランダでの栽培に向いています。少し触れただけで爽やかな香りが立ち、癒やされますよ! 肉料理の香りづけにおすすめのハーブです。 【バジル】 DarwelShots/Shutterstock.com シソ科の一年草。植え付け適期は5月頃で、収穫適期は6〜8月。草丈は20〜25cmと、あまり場所をとらず丈夫な性質なので、初心者にもおすすめ。ひと枝切り取って水に挿しておくと1週間ほどで発根するので、手軽に増やすこともできます。イタリア料理に重宝。 【イタリアンパセリ】 Stephen Orsillo/Shutterstock.com セリ科の二年草。植え付け適期は4月上旬〜5月下旬、9月頃。草丈は20〜25cmで、葉がついている間は常に収穫できます。サラダやスープなどの香りづけに重宝します。 【シソ】 Kittisak Chysree/Shutterstock.com 代表的な和のハーブ。シソ科の一年草で、植え付け適期は5〜6月。草丈は30〜40cm。地植えでは虫がつきやすい植物ですが、ベランダなど風通しがよい環境では虫の害は少ないほうです。収穫は6月下旬〜8月。若いうちに摘心を繰り返すほど、枝数が増えてこんもり茂ります。薬味に最適。 ベランダガーデニングにおすすめの野菜 ■果菜類 【ミニトマト】 maruco/Shutterstock.com ナス科の一年草で、植え付け適期は5月上旬。苗は小さいけれど、人の背丈以上に大きく成長するので10号ほどの大鉢に植え付けましょう。茎葉を旺盛に伸ばすので、誘引しながら育てることになります。収穫期は7〜8月。上手に育てれば100個以上の収穫も可能です。 【枝豆】 nnattalli/Shutterstock.com マメ科の一年草。植え付け適期は5月中旬。大型のプランターに3株ほど植え付けます。肥料を与えすぎると茎葉ばかりが茂って実りが悪くなるので注意します。収穫期は7月上旬です。 【イチゴ】 Taras Garkusha/Shutterstock.com バラ科の多年草で、一度植え付ければ毎年収穫できます。植え付け適期は10月頃で、標準タイプのプランターに3株ほどを目安に植え付けましょう。根元のクラウンを埋めずに浅植えにすることがポイント。3月下旬に開花し、5月下旬〜6月上旬に収穫できます。 ■葉菜類 【コマツナ】 Ryoko Fujiwara/Shutterstock.com アブラナ科の一年草。種まきの適期は3月中旬〜10月で、収穫適期は5〜12月。標準サイズのプランターに条(すじ)まきにし、間引きながら育てます。種まきから約1カ月で収穫できるので、適期に何度かに分けて種まきすれば、長く収穫ができます。 【春菊】 lzf/Shutterstock.com キク科の一年草。種を3〜4月に播くと5〜6月に収穫でき、9〜10月に播くと11〜12月に収穫できます。プランターに種を条まきし、間引きながら育てます。収穫の際は抜き取らずに、外葉から必要な分だけ折り取ると、再び新しい茎葉が出て長く収穫できます。 コツその5:自分が素敵だと思うものと組み合わせる Anna Nahabed/Shutterstock.com 「ベランダガーデニングでは、環境に合う植物を選びましょう」といっても、「あまり気に入ってはいないけど、環境に合うから育てている」ということでは、楽しさが半減してしまいますよね。 前項の最初に述べたように、まずは好きな植物を選んでください。植物は生命力が強く、環境に合わなくても順応していくことがあるので、成長を見守ってみましょう。それでもうまく育たないようであれば、似たタイプの植物を探したり、まったく性質の異なる植物を選んでみたりと、いろいろチャレンジしてみてください。「失敗しないガーデニング」よりは、トライ&エラーを繰り返して、植物にだんだん詳しくなっていくプロセスも楽しいものですよ! ベランダガーデニングに王道なし! 自分だけの素敵な空間を作ろう HelloRF Zcool/Shutterstock.com ベランダガーデニングは、千差万別。収穫できる植物を育てたいのか、テーブル&チェアを置いてくつろぎの空間を演出したいのか、開花リレーをさせていつも花でいっぱいのコーディネートをしたいのか……。ベランダをどう演出するかは、個人の趣向次第。レイアウトやデザインをしっかり計画し、世界に一つだけの素敵なベランダガーデンを目指しましょう。
-
樹木

サンシュユは早春の花や秋の実が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説
サンシュユの基本情報 High Mountain/Shutterstock.com 植物名:サンシュユ学名:Cornus officinalis英名:Japanese cornel、Japanese cornelian cherry和名:サンシュユ(山茱萸)その他の名前:ハルコガネバナ、アキサンゴ科名:ミズキ科属名:ミズキ属原産地:中国、朝鮮半島分類:落葉性高木 サンシュユの学名は、Cornus officinalis(コーナス・オフィシナリス)。ハルコガネバナ、アキサンゴの別名も持っています。ミズキ科ミズキ属(サンシュユ亜属)の落葉樹です。原産地は中国、朝鮮半島。栽培適地は東北以南で、暑さや寒さに耐え、育てやすい花木の一つです。日本には江戸時代に薬用として導入されましたが、気候に合って放任してもよく育つので、公園や街路などにもよく植栽されるようになりました。樹高は約8mに達する高木ですが、毎年の剪定によって程よい高さにコントロールすることができます。秋には紅葉とともにかわいらしい赤い実をつけて、四季の移ろいによって表情の変化を楽しめる花木です。 サンシュユの花や葉、実の特徴 This_is_JiHun_Lee/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:3〜4月樹高:約8m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:黄 サンシュユの開花期は、3〜4月です。花色は淡い黄色。一つひとつの花は小さいのですが、30個ほど集まって、花径2〜3cmのドーム状をした房咲きとなるので華やかです。葉が展開する前に花が咲き、パステルイエローの花が枝を覆うほどに満開になる姿は見事です。 葉は開花後に芽吹き、長さ4〜12cmの卵形をしています。葉脈が目立ち、葉裏には産毛があるのが特徴です。秋には紅葉する姿を楽しめます。 サンシュユの実は2cmほどの楕円形で、9〜11月に赤く熟します。 名前の由来や花言葉 ARTYOORAN/Shutterstock.com サンシュユは、中国名の「山茱萸」を音読みしたもので、「茱萸」はグミのこと。秋の赤い実姿を、赤くて食用できるグミの実になぞらえたようです。別名のハルコガネバナは、春に黄金色の花を咲かせることから。アキサンゴは、秋にサンゴのような赤い実をつけるためです。サンシュユの花言葉は「持続」「耐久」など。 サンシュユの近縁種 サンシュユの近縁種で、代表的な美しい花木をご紹介します。いずれも庭の顔となるシンボルツリーとしての役割を担える、人気の高い花木です。 ハナミズキ Brian Teal/Shutterstock.com ハナミズキは、ミズキ科ミズキ属(ヤマボウシ亜属)の落葉高木です。原産地は北米東部〜メキシコ北東部で、寒さ、暑さともにやや弱い傾向にあります。最終樹形は8mにもなりますが、剪定によって樹高をコントロールすることができるので、一般家庭では4m以内におさめておくとよいでしょう。成長の速度はやや遅く、樹形も自然に整うので、メンテナンスしやすい樹木です。 ハナミズキの開花期は4月中旬〜5月中旬。花色は白、ピンク、赤があります。花弁に見える部分は苞で、じつはその真ん中に丸く集まったものが花の本体です。大変花つきがよく、開花期に満開になる様子は見応えがあります。 ヤマボウシ Iva Vagnerova/Shutterstock.com ヤマボウシは、ミズキ科ミズキ属(ヤマボウシ亜属)の落葉高木で、原産地は日本、朝鮮半島、中国。日本では沖縄、九州、本州の山地に自生しており、環境に馴染みやすく初心者でも育てやすい樹木です。江戸時代には欧米に渡り、美しい花木として人気を博しています。 花色は白、うっすらとグリーンを帯びた白、ピンクなどがあります。花色と書きましたが、花に見える部分は苞で、葉が変化したものです。苞はもちがよいので、観賞期間も長いのが長所。花は苞の中央にあるグリーンの球状のものです。 サンシュユの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3〜4月植え付け・植え替え:11〜3月(真冬を除く)肥料:2〜3月種まき:3~4月 サンシュユの栽培環境 fpdress/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりと風通しがよい場所で育てます。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外で栽培します。 【置き場所】水もちがよく腐植質に富んだ肥沃な土壌を好みます。乾燥する時期は、根元にバークチップなどでマルチングをしておくとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 暑さ寒さに耐えるので、一年を通して戸外で管理でき、冬越し対策なども特に必要ありません。 サンシュユの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質や砂質、水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。土づくりをしてからしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。赤玉土(小粒)と腐葉土を等量ずつよく混ぜ、配合土を作ってもよいでしょう。 水やり Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に水やりをすると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 また、真冬は気温が低くなる夕方に水やりをすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続く場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 Pawel Beres/Shutterstock.com 【地植え】 2〜3月に緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。 【鉢植え】 2〜3月に緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。 開花後と9月頃に、緩効性肥料を与えます。チッ素成分の多い肥料を与えると、花つきが悪くなることがあるので注意しましょう。 注意する病害虫 Happy_Nati/Shutterstock.com 【病気】 サンシュユに発生しやすい病気は、うどんこ病です。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、樹勢が衰えてしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 【害虫】 サンシュユに発生しやすい害虫は、アオイラガです。 アオイラガは蛾の幼虫です。毒をもつ多数の黄緑色のトゲに覆われ、いかつい格好をしています。樹木によく発生し、体長は20〜25mm。葉裏などに幼虫が大発生することがあり、見た目がよくないだけでなく、刺される危険もあるので、見つけ次第薬剤を散布して駆除しましょう。アオイラガは「でんき虫」という別名をもち、トゲに触れるとまるで感電したかのような鋭い痛みを感じるので、接触しないように注意してください。 サンシュユの詳しい育て方 苗の選び方 サンシュユの苗木を選ぶ際は、虫食いや病気の痕がなく、幹ががっしりとして株元がぐらついていないものを選びましょう。葉がしおれたり変色しているものは避けたほうが無難です。また枝葉が多く、葉の色が濃く艶のあるものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Monkey Business Images/Shutterstock.com 植え付け・植え替え適期は、休眠期の11月〜翌年3月です。ただし、寒さが特に厳しくなる1〜2月は避けたほうが無難です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、10号以上の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢に仮置きし、高さを決めたら、少しずつ培養土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。 鉢植えで楽しむ場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。 剪定 Aleksei Golovanov/Shutterstock.com サンシュユの剪定適期は、休眠中の12月〜翌年2月と、花後の5〜6月です。 休眠中の12月〜翌年2月に行う剪定は、樹形を整えるためです。これ以上大きくしたくない場合は、大体のアウトラインを決めて、そこからはみ出している枝を、分岐点までさかのぼって切り取ります。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は元から切り取りましょう。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。1カ所から3本以上の枝が出ていたら、間引いて枝を透かすとよいでしょう。 花後の5〜6月に行う剪定は、透かし剪定を目的とします。茂りすぎて木の内側まで日光が当たらなくなっていたり、風通しが悪くなっていたりしたら、間引くように枝を切り取ります。内側に伸びている枝や、重なり合ってほかの枝を邪魔している枝、細い枝や枯れ枝などを選んで切り取り、日当たりや風通しをよくします。7〜8月には翌年の花のもととなる花芽分化が始まるので、タイミングを逃さないようにしてください。 サンシュユの増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com サンシュユは、種まき、挿し木で増やすことが可能です。ここでは、それぞれの方法について、詳しく解説していきます。 【種まき】 サンシュユは開花後に果実をつけ、11〜12月に熟します。そのタイミングで果実を採取し、種子を取り出して流水でよく洗っておきましょう。さらに湿らせた砂と種子を混ぜて密閉袋に入れ、春まで冷暗所で保存しておきます。 種まきの適期は3〜4月です。黒ポットに新しい培養土を入れ、十分に湿らせます。種子を密閉袋から取り出して砂をきれいに洗い流し、黒ポットに数粒播きます。軽く土をかぶせ、明るい日陰で管理。発芽した後は、日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、サンシュユは挿し木で増やすことができます。 挿し木の適期は、7月頃です。その年に伸びた新しくて勢いのある枝を10〜15cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 サンシュユの実は食用可能 sungsu han/Shutterstock.com 秋に熟す実は食用にすることができます。赤い実はグミの実に似た美味しそうな姿をしていますが、渋みが強いので生食には不向き。ジャムにするなら、実を煮て柔らかくなったら裏漉しして種と皮を除いた後、同量の砂糖と一緒に鍋に入れて弱火で煮込みます。水分が飛んで適度な柔らかさになったらレモンを絞って仕上げます。ホワイトリカーと氷砂糖と一緒に漬け込んで、果実酒にすることも可能です。 サンシュユが咲かないときの原因と対策 Panwasin seemala/Shutterstock.com サンシュユが咲かない原因は、 日当たりが悪いために花つきが悪い花芽を剪定の際に切り落としてしまった土壌の水はけ・水もちのバランスが悪い状態である などが考えられます。 対策としては、 植え付ける際に日当たりと風通しのよい場所を選ぶサンシュユの花芽は7〜8月につくので、剪定の際は全て切り落としてしまわないように注意する植え付け前に、堆肥や腐葉土などの有機質資材をすき込んで、ふかふかとした土壌を作っておく ことが大切です。 花と実で2倍楽しめるサンシュユを育てよう Yeongha son/Shutterstock.com いち早く春を告げるかのように黄色い花を樹冠いっぱいに咲かせた後は、新緑が芽吹いて美しく、夏には緑陰をもたらすサンシュユ。秋には紅葉と赤い実姿を楽しめ、季節の移ろいを強く感じることができます。放任してもよく育つので、ビギナーにもおすすめ。ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。
-
果樹

かわいい赤い実をつける、ガーデンで育つ果樹3種
ガーデンに実る赤い宝石 緑が広がるガーデンの中で、陽光にキラキラ輝く赤いベリー。美味しく食べられるのはもちろん、目でも楽しむことができる季節の恵みです。収穫した果実は、フレッシュなものをそのままパクリと味わうほか、ジャムやコンポートなどにして保存したり、スイーツの材料に使ったりと、暮らしの中でいろいろに活躍します。もちろん、フラワーアレンジメントのアクセントとしても可愛らしいですね。 保存容器にたっぷり詰めたレッドカラントのジャム。Photo/SMarina/Shutterstock.com 果樹と聞くと、ハードルが高いように思いますが、育てやすい種類を選べば手間をかけずに収穫を楽しむことができます。自分で育てると、流通量が少なくスーパーなどではなかなか手に入らない果実も毎年味わうことができ、なにより新鮮なうちに食べられるのが嬉しいですね。ここでは、キラキラ輝く房状の実をつけるレッドカラントと、白い花も赤い実も可愛いサワーチェリー、シンボルツリーとしても人気の高いジューンベリーをご紹介します。どれもトゲがないので、ガーデンに植えても扱いやすい果樹ですよ。 レッドカラント(フサスグリ) Photo/Ilya Sirota/Shutterstock.com 房状に連なる赤い実が可愛いレッドカラントは、ヨーロッパでは一般的な果物ですが、国内ではほとんど流通していません。仲間に黒い実をつけるカシスもあり、どちらも酸味が強い果実ですが、ジャムや果実酒などの加工にはぴったり。透き通るような美しい実をつけるので、観賞用として育てたり、枝ごと切って花瓶に活けるのもオススメです。 一本でも実をつける自家結実性があり、丈夫で育てやすく、ほとんど無農薬で栽培することができます。コンテナや鉢植えでも栽培可能。6月下旬~7月中旬頃にかけて収穫できます。耐寒性は強い反面、暑さにはやや弱く、冷涼地での栽培に向く果樹です。 実を房から外して加工します。軸から実を外すにはフォークを使うと便利。 砂糖を加えて火にかければ、つやつやした赤色のジャムに。 サワーチェリー Photo/Shulevskyy Volodymyr/Shutterstok.com サワーチェリーは調理用のサクランボ。ジャムやお菓子づくりなどに重宝する果実です。サクランボというと、日本では生のままいただく甘いサクランボがメジャーですが、このサワーチェリーは酸味が強いため生では食べません。しかし、砂糖とともに火を入れれば、豊かな香りが広がり、甘酸っぱく美味しい味わいに。果肉は中までしっかり赤く、加熱しても色を保つので、ジャムにすると綺麗な赤色に仕上がるのも魅力です。 甘いサクランボに比べ、比較的コンパクトに育ち、一本でも結実する自家結実性のある品種が多く、育てやすいのが特徴。鉢植えでも栽培できます。5月中旬~6月中旬に、可愛らしい赤い実をつけます。サクラ同様、4月頃に咲く美しい白い花も魅力です。 サワーチェリー‘ノーススター’ タルトやパイにたっぷり詰め込んで、召し上がれ! Photo/Alena Haurylik/Shutterstock.com ジューンベリー(アメリカザイフリボク) Photo/Tamotsu Ito/Shutterstock.com 樹形が美しく、最近ではシンボルツリーとしても人気が高いジューンベリー。初夏になると、赤紫色の小さな実をたわわに実らせます。熟すと黒っぽくなる実は甘く、ジャムなどにするほか、生でも十分美味しく食べられます。この実は鳥たちにも人気があるので、初夏には野鳥が集まってくるかもしれませんね。 ジューンベリーは春に咲く白い花、6月頃に実る果実に秋の紅葉と、季節を通じて楽しめます。自家結実性があるため、一本でも実をつけ、丈夫で栽培しやすい樹木です。また、成長は遅めですが、最終的に背が高くなるので、ある程度スペースを確保したうえで育てるのがオススメです。 Photo/AMV_80/Shutterstock.com 葉が完全に展開する前に咲く白い花も魅力。Photo/Dudakova Elena/Shutterstock.com
-
果樹

ブラックベリーは家庭栽培が簡単!育て方と果実のレシピ
ブラックベリーとは? Jason Deines/Shutterstock.com ブラックベリーは、バラ科キイチゴ属の果樹で、原産地は北アメリカです。仲間には、ラズベリー、デューベリーなどがあり、おおむね冷涼な気候を好むのですが、ブラックベリーは比較的温暖な地域でも夏越しできます。つる性、または半つる性で、地際から数本の枝を立ち上げる株立ち状になり、つるを伸ばして生育するのが特徴です。樹高は1.5〜3mほどになるので、フェンスやオベリスクなどを利用し、枝を誘引して仕立てるとよいでしょう。落葉性のため、冬は葉を落として越冬します。 ブラックベリーの特徴 ch_ch/Shutterstock.com ブラックベリーは、トゲあり、トゲなしの品種があります。近年はトゲなしの品種が主流で比較的管理がしやすくなっています。生育旺盛なので、広い庭なら地植えで自由に育ててもかまいませんが、スペースが限られている場合やベランダでは、コンテナ栽培が向いています。手軽に始められる家庭果樹の代表です。4月下旬〜6月が開花期で、野バラによく似た小さな一重咲きの花が多数咲くので、花姿を楽しむこともできます。花色は淡いピンク、白です。6月下旬〜8月中旬に2〜3cmほどの大きさの実をつけます。実の色は緑から赤、そして完熟の証の黒へと変わります。品種によって酸味の強弱があり、それぞれ風味が異なります。 ブラックベリーの育て方 ブラックベリーは植え付け後にしっかり根付けば、毎年初夏に開花して夏の収穫が楽しめる、初心者でも失敗なく育てることができる果樹です。ここでは、植え付けのポイントから、水やりや肥料、病害虫対策などの日頃の管理、剪定のポイントなどを詳しくご紹介していきます。 栽培環境 FarbaKolerova/Shutterstock.com 日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。半日陰にも耐えますが、花つきや実つきが悪くなります。ブラックベリーは授粉樹が不要で自家結実するため、1本植えておけば花も収穫も楽しめる、育てやすい果樹の一つです。 植え付け Monkey Business Images/Shutterstock.com ブラックベリーの植え付け適期は、休眠期の11月〜3月上旬です。 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質や砂質、水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 果樹用にブレンドされた培養土を利用すると手軽です。 鉢で栽培する場合は、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 水やり cam3957/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをします。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりするとすぐお湯状になり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、すぐにお湯状になり、株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。与える際は水が凍らないよう、気温が十分に上がった日中に行います。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 地植え、鉢植えともに開花が終わった2月、6月、9月に緩効性化成肥料を与え、土によくなじませます。 2月の施肥は、休眠から目覚めて生育が始まる前に与えて新芽を吹き出させるエネルギーとするためのものです。6月の施肥は、果実を充実させるためですから、リン酸分などが配合されたものを使うとよいでしょう。9月の施肥は、果実をたくさん実らせてエネルギーを消耗した株に、再び体力をつけるために与えるものです。 病害虫 Paul Reeves Photography/Shutterstock.com 害虫 バラゾウムシ、コガネムシ、カイガラムシがつくことがあります。 バラゾウムシは、黒くて小さな虫(体長2〜3mm)で、主に新芽や新葉、つぼみにつきます。つぼみを食べられると咲かなくなり、果実の量も減ってしまうので要注意。バラゾウムシは、ゾウの鼻のような長い口を持っていることからその名前がつけられました。長い口で新芽やつぼみに穴をあけ、そこからエキスを吸汁します。穴のあいた部分から先は水分が行き渡らなくなり、枯れ込んでしまいます。ブラックベリーの収穫を目的に育てているなら、薬剤はあまり使いたくないので、こまめにパトロールして、見つけ次第捕殺するとよいでしょう。 コガネムシは、2cmほどの甲虫です。成虫は葉を食害するので、見つけ次第捕殺しましょう。また、厄介なのが地中に潜む幼虫で、特に鉢栽培の場合は根を食い荒らされた結果、枯死してしまうことがあるので注意。地上部はなんら問題ないのに、次第に葉が黄色くなって少しずつ落葉するようなら、地中に幼虫が潜んでいる可能性があります。根を食い荒らされると、株元を持って引き上げると簡単に抜けてしまいます。その場合は、根をよく洗い、新しい鉢と用土に植え替えて養生してみてください。 また、幹や枝にカイガラムシがつくことがあります。カイガラムシは、貝殻のような殻を被っているように見える虫で、枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。見た目も悪いので、見つけ次第退治を。薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 病気 病気の心配はほとんどありません。 収穫 Minoli/Shutterstock.com ブラックベリーの収穫期は、6月下旬〜8月中旬です。 完熟していないうちに摘み取ると、とても酸っぱいので、必ず完熟果を収穫しましょう。赤い実が黒く変わり、触ってみてポロリと簡単に取れるようなら完熟のサインです。触っても実が離れずに茎にしっかりついている場合は、収穫を見送りましょう。逆に遅くなると実が地面に落ちてしまうので、タイミングを逃さずに収穫します。 剪定 Lithiumphoto/Shutterstock.com ブラックベリーは、収穫後の7月上旬の夏剪定と、休眠期の12〜2月の冬剪定を行います。 夏剪定は、果実がついて収穫を終えた枝を地際から切り取ります。 冬剪定は、前年に伸びた枝を樹高の半分くらいまで切り戻します。 よく分からなかったら、そのままにしておいてもかまいません。ブラックベリーは手をかけなくても旺盛に育つので、植え付け後数年育ててみて、枝が込んできたら、冬剪定の適期に新しい枝を4〜5本残し、他の古い枝を地際で刈り取るとよいでしょう。 植え替え 11〜3月までが定植、植え替え、移植の適期です。鉢植え、コンテナ植えは2〜3年に1度、根詰まりを防ぐために植え替えましょう。根詰まりしてくると、実付きが悪くなってきます。 ブラックベリーの食べ方 Christian Jung/Shutterstock.com ブラックベリーは、生のままで食べることができます。ヨーグルトやプリンに添えても美味しいですよ! ラズベリーやデューベリーなどのキイチゴ類や、他のフルーツと一緒にサイダーで割って、フルーツポンチ風にすると、彩りがきれいでSNS映えしそう! 風味がよいので、ジャムやお菓子などに利用するとさらに美味しくなります。たくさん使いたい場合は、収穫のたびに冷凍庫で保存し、必要な量になるまでためていくとよいでしょう。収穫が梅雨の時期と重なるため、長雨が続く時は完熟果が地面に落ちてしまうことがあります。生食ではなく、ジャムやお菓子などの加工食づくりが目当てなら、長雨が続く場合は完熟を待たずに早めに摘み取ってもよいでしょう。ここでは、サマープディングとブラックベリー・フールの作り方をご紹介します。 サマープディング from イギリス Maria Medvedeva/Shutterstock.com サマープディングは、イギリスの初夏の伝統的なお菓子。レッドカラントやラズベリー、サワーチェリー、イチゴ、ブルーベリーなど初夏に採れるベリーをたっぷり使って作ります。見た目はゴージャスですが、混ぜない、焼かない、とっても簡単なレシピです。ちょっと上質な食パンを使うと美味しくできますよ。 サマープディングの作り方(500㎖のボウル1個分) Maria Medvedeva/Shutterstock.com 【材料】ベリー類計500g(赤くて酸味の強い果実を多めに、ブルーベリーは少なめにすると味も色もGood)、レモン汁1/2個分、グラニュー糖80g、食パン8枚位 食パンの耳を切り、ボウルの底と口の大きさに合わせて円形に切ります。口の方は半円形を2枚でつなぎ合わせる形でOK。残りのパンは半分に切っておきます。パンはそのまま少し乾燥させておきます。 鍋にベリー類とグラニュー糖、レモン汁を入れて煮立たせ、果実とシロップに分けます。 バットにシロップを入れ、食パンを浸けてシロップを吸わせます。片面に色がつけばOK。 ボウルの底に円形のパンを敷き、さらにボウルの側面に半分に切ったパンを隙間なく敷き詰めていきます。このとき、色がついたほうが外側に向くようにします。 内側に果実を詰め込み、シロップをかけます。半円形のパン2枚でフタをし、再びシロップをかけます。ラップで覆い、上から重しをして冷蔵庫で一晩ねかせます。 ラップをとってボウルの口に大きめの皿を当て、ひっくり返したら完成。お好みでベリーの実やミントなどで飾り付けを。 ブラックベリー・フール from イギリス Ekaterina Kondratova/Shutterstock.com 「フール」は泡立てた生クリームにベリーやフルーツを合わせたイギリスの伝統的なスイーツです。シンプルなレシピですが、ふわふわと甘酸っぱく、古くから愛されるデザートです。合わせる果実は何でもよいのですが、生クリームが甘い分、酸味の強いものがよく合います。ブラックベリーなど果汁の美しいベリーを使うと見た目も華やかです。 ブラックベリー・フールの作り方(4人分) Ekaterina Kondratova/Shutterstock.com 【材料】生クリーム(乳脂肪分48%)200㎖、生クリーム用の砂糖大さじ2〜3、ブラックベリー150g、ブラックベリー用の砂糖大さじ1〜2 生クリームは冷蔵庫でよく冷やしておきます。 ブラックベリーと砂糖を鍋に入れ、弱火にかけます。果汁が滲み出てきたら火を止め、シロップと果実に分けて冷ましておきます。 生クリームと砂糖をボウルに入れ、8分立てに泡立てます。 ③にブラックベリーのシロップを入れ、マーブル模様になるくらいに軽く混ぜます。 器によそって、ブラックベリーの実を飾れば完成。 自宅でブラックベリーを育ててみよう Vadym Zaitsev/shutterstock.com ブラックベリーは強健な性質で、メンテナンスの手間がほとんどかからない果樹です。一度根づけば毎年たわわに果実を実らせて、収穫の喜びをもたらしてくれます。お子さんのいる家庭では、開花や果実の収穫、生食やジャム・お菓子作りなどの体験を通して、食育にもつながることでしょう。ぜひブラックベリーをガーデンに迎え入れて、開花と収穫を楽しんではいかがでしょうか。
-
樹木

花と紅葉が楽しめる! ドウダンツツジの特徴や種類・育て方を解説
ドウダンツツジの基本情報 tamu1500/Shutterstock.com 植物名:ドウダンツツジ学名:Enkianthus perulatus英名:White enkianthus和名:ドウダンツツジ(満天星躑躅、灯台躑躅)別名:マンテンセイツツジ、満天星科名:ツツジ科属名:ドウダンツツジ属原産地:日本(本州・四国・九州)、台湾分類:落葉性低木 ドウダンツツジはツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木です。原産地は日本、台湾で、もともとは西日本に自生していたものが品種改良されて、日本全国に普及しました。春に小さな花を鈴なりに咲かせ、樹高1〜2mほどの低木です。枝が細かく分かれて葉が密に茂るので、生け垣として利用されることが多い花木ですが、もちろん自然樹形も楽しめ、シンボルツリーとしてもおすすめ。耐寒性があり、暖地でも美しく紅葉します。萌芽性が強くて剪定に耐えるため、好みの形に仕立てやすく、一般家庭の生け垣や公園などにもよく利用されている樹木です。 ドウダンツツジの花や葉の特徴 Koenig_K/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:3〜5月樹高:1〜2m耐寒性:強い耐暑性:強い花色:白 ドウダンツツジの開花は3〜5月。小枝の先端にベル形の小さな花を5〜6個つけ、株全体に鈴なりに咲きます。花のサイズには幅があり、5mm〜2cmほど。花色は白やピンクで、真っ白な花が株全体を覆う姿から星空を連想し、「満天星(どうだん)」と呼ばれるようになったという説があるほどです。 また、菱形のような葉がみずみずしく並んで整い、切り花として流通するほど美しい枝葉を持っています。晩秋には真っ赤に紅葉する姿も魅力です。冬には落葉しますが、枝が密に茂るので目隠しとしての機能を十分果たし、生け垣としてもおすすめです。 ドウダンツツジの名前の由来や花言葉 H.Tanaka/Shutterstock.com ドウダンツツジは、漢字で「灯台躑躅」や「満点星躑躅」と書きます。 細い枝が三方に分かれて伸びる姿が、昔照明器具として用いられていた結び灯台(3本の丸棒をひもで結び、上下を開いて立て、上に油皿を置いて火をともすもの)の脚に似ていることから、「灯台(とうだい)」がなまってドウダンという名がついたともいわれています。「満点星」という漢字は中国名に由来します。ドウダンツツジの花言葉は、「上品」「節制」など。 ドウダンツツジの種類 scott mirror/Shutterstock.com ドウダンツツジには、主に以下の4種類があります。サラサドウダンは、花色は淡いクリーム色地の先端にピンク色がのり、そこから絵の具を垂らしたように縦縞のピンクが入ります。ベニサラサドウダンは、サラサドウダンの変種で、紅色の花弁に刷毛目模様が入り、大変華やか。ヒロハドウダンツツジは、葉の幅が広いのが特徴で、ピュアホワイトの花が魅力です。アブラドウダンは、葉の表面に照りがあるのでこの名前がつきました。ほんのりグリーン味を帯びた白花で、花茎がやや長い特性があります。 ドウダンツツジの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3〜5月植え付け・植え替え:10〜12月、3月肥料:2〜3月、5月 ドウダンツツジの栽培環境 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりのよい場所で栽培します。半日陰でも育ちますが、日照が不足すると花つきだけでなく紅葉の発色も悪くなります。乾燥に弱いので、鉢植えの場合は、夏は西日の当たらない半日陰に移動するとよいでしょう。 【日当たり/屋内】屋外で栽培します。 【置き場所】酸性土壌を好みます。また、地表近くにたくさんの細い根を張るため乾燥に注意が必要。酸度未調整ピートモスや鹿沼土と腐葉土をすき込み、水はけと水もちのよい土づくりをしましょう。 耐寒性・耐暑性 暑さ、寒さに強いので、一年を通じて屋外で管理します。乾燥にはやや弱いので、夏は水切れに注意し、西日が強く当たらない場所で育てるとよいでしょう。 ドウダンツツジの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com ドウダンツツジは酸性土壌を好み、また地表近くにたくさんの細い根を張るため極端な乾燥を嫌います。水はけと水もちがよく、適度に肥沃な土壌で育てましょう。 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に酸度未調整のピートモスや鹿沼土と、腐葉土、堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。こうしてしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。また、用土はツツジやサツキなどツツジ科の樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 【地植え】 地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は、水やりをして補いましょう。水分が不足すると、葉が萎れたり、葉焼けしたりします。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 成長期は、日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。新梢や葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は落葉するので、水やりは控えめにしますが、まったく水を与えず土をカラカラに乾燥させたままにすると、枯れてしまうのでご注意を。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【元肥(もとごえ)】 植え付けの際に土に混ぜておく肥料を元肥(もとごえ)といいます。植え付け後の初期生育を促す肥料です。地植えでは、土づくりの際に施しておく堆肥や腐葉土、緩効性化成肥料などがこれに当たります。鉢植えで市販の樹木用培養土を利用する場合は、あらかじめ肥料が配合されていることが多いので、パッケージを確認しましょう。肥料がブレンドされていれば元肥は不要です。自身で赤玉土や腐葉土などをブレンドして配合土を作った場合には、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきましょう。 【お礼肥(おれいごえ)】 地植え、鉢植えともに開花が終わった5月中旬〜下旬頃に緩効性化成肥料を与え、土によくなじませます。たっぷりと花を咲かせた木はエネルギーを消耗しています。その体力を回復させる目的で与える肥料なので、「お礼肥(おれいごえ)」といいます。「たくさんの花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて、肥料をあげてくださいね。 【寒肥(かんごえ)】 庭植え、鉢植えともに、2〜3月頃に緩効性化成肥料を与え、土によくなじませます。これは、春の芽出しの時期のエネルギーのとなることを目的に、休眠期に土に混ぜ込んでおく肥料です。 注意すべき病害虫 Happy_Nati/Shutterstock.com 【病気】 ドウダンツツジに発生しやすい病気はサビ病で、春と秋に雨が多いと発生しやすくなるようです。葉の裏などに小さな黄色や白の斑点が現れ、やがてさまざまな色や形の斑点が盛り上がるようになります。さらに進行して葉表にも目立つようになると、観賞価値が下がるだけでなく枯れてしまうこともあるので、発生初期に適応する殺菌剤を散布して被害が広がるのを防ぎましょう。 【害虫】 ドウダンツツジに発生しやすい害虫は、カイガラムシ、ハダニ、アブラムシ、カミキリムシです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫です。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせます。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ハダニは、主に葉につく害虫で、3〜10月が主な発生時期。葉から吸汁して木を弱らせます。特に乾燥した環境を好み、軒下で管理している場合や、真夏の乾燥期に発生しやすくなるようです。葉に勢いよく水をかけるだけでも、ある程度防除できます。薬剤にも弱いので、発生が多く見られたら適応する薬剤を散布して駆除しましょう。 アブラムシは、3〜10月に植物に寄生して吸汁する害虫で、ウイルスを媒介して病気をもたらす場合もあります。繁殖力が強く、大発生すると枝葉にびっしりと群がって見た目にも悪いので、適応する薬剤を散布して防除しましょう。土壌にまいておく粒剤も便利です。 カミキリムシは、テッポウムシとも呼ばれ、幹の中に入って旺盛に食害します。侵入口からオガクズ状の糞を見つけることができるので、幹に穴やオズクズがないか観察を。見つけ次第、穴の中に噴霧するタイプの適応薬剤を利用して駆除しましょう。 ドウダンツツジの詳しい育て方 苗の選び方 枝が細すぎるものや株元がぐらつくものは避け、芽が枝全体について節間が間延びしていないものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com ドウダンツツジの植え付け適期は、10〜12月か、3月頃。日当たりのよい場所を選んで植え付けましょう。日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、紅葉の時期に美しく発色しなかったりするので注意。日本原産の植物のため、植え付けた後も環境に適応しやすく、大変育てやすい花木です。生け垣として利用されることが多いドウダンツツジですが、鉢植えにして楽しむこともできます。 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。こうしてしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。細かい根が浅い位置で広く張る性質があるので、浅植えにするのがポイント。複数の株を植え付ける場合は、50cmほどの間隔を取ります。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。また、用土は樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢植えで楽しんでいる場合は、放置していると根詰まりしてくるので、2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの適期は3月頃。植え替えの前に、水やりを控えて鉢内の土を乾燥させておきましょう。鉢から株を取り出し、根鉢を少しずつ崩していきます。不要な根を切り取り、根鉢を軽くほぐしましょう。これ以上大きくしたくない場合は同じ鉢に、もう少し大きくしたい場合は2回りくらい大きな鉢に植え替えます。 日常のお手入れ 【樹形の乱れを整える】 花を咲かせることを目的とせず、境界線や目隠し用の生け垣として利用している場合は、枝葉が伸びて樹形が乱れてきたら、適宜刈り込んで美しい樹形を保ちます。萌芽力が強いので、季節を選ばずこまめに剪定してOKです。 剪定 mihalec/Shutterstock.com ドウダンツツジの剪定は、自然な樹形を楽しむ方法と、刈り込んで玉づくりや生け垣にして楽しむ方法とがあります。 【自然な樹形を楽しむ】 自然な樹形にして花を楽しむには、開花後すぐの5月〜6月中旬までに剪定を行います。7月には翌春のための花芽が形成されるため、この後に剪定すると花数が少なくなるので注意しましょう。 自然な樹形を楽しみたい場合は、込み合っている部分の枝をいくつか切り取って、風通しをよくします。枝を切る際は、枝分かれしている部分の付け根で切ると自然に形が整います。 【玉づくりや生け垣にして楽しむ】 生け垣など、境界線や目隠しを目的とし、花を咲かせなくてよい場合は、樹形が乱れた時に適宜刈り込んでかまいません。花も楽しみたい場合は、開花後すぐの5月〜6月中旬のみとし、花後以外の時期は特に飛び出した枝を切る程度にとどめます。 刈り込みは、刈り込みバサミを使って全体の形を整えるとよいでしょう。萌芽力が強いので、円形や四角形などを容易に形づくることができます。このように刈り込んだ樹形を「玉づくり(玉仕立て)」「玉散らし」「角仕立て」などといいます。 夏の乾燥対策 【地植え】 近年、日本は温暖化が進んで夏の暑さが大変厳しく、強光線によって地植えでも大変乾燥しやすくなっています。ドウダンツツジは根が浅く張る性質があり、乾燥しやすいので、対策として株元にバークチップやワラなどを敷いてマルチングをするとよいでしょう。 【鉢植え】 真夏は乾燥しやすいので、西日の当たらない半日陰などに移動して、涼しい場所で管理するのがおすすめです。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ドウダンツツジは、一般に挿し木で増やすことができます。 挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木できないものもありますが、ドウダンツツジは挿し木で増やすことも可能です。 ドウダンツツジの挿し木の適期は6〜7月ですが、前年に伸びた枝を利用して2月頃に挿し木することもできます。6~7月の場合は、その年に伸びた新しい枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して表土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて2〜3カ月ほど育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ドウダンツツジで生け垣を作る方法は? 生け垣として利用するのを目的にドウダンツツジを育てる場合は、樹高40cm程度の苗を入手し、30〜40cmの間隔を取って植え付けます。しっかり根付くまでの1〜2年は、それぞれの苗木に支柱を設置して、倒伏を防ぎましょう。 枝葉を旺盛に伸ばすようになったら、刈り込みバサミで前年の位置まで切り戻します。浅い位置で切り込むと、そこから新芽が伸びて生け垣全体が膨らんでいくので、ボリューム感をキープするには、前年に切った位置まで切ることがポイントです。ドウダンツツジは樹勢が旺盛なので、いつ切ってもかまいませんが、花木として花を楽しみたい場合は、花芽を切らないようにしましょう。その場合、剪定は花後すぐの5月〜6月中旬のみに行います。 ドウダンツツジを切り花として楽しむ方法は? Qianwei Bian/Shutterstock.com ドウダンツツジは、春から夏にかけて切り花としてフラワーショップに出回るようになります。枝ものは飾って楽しめる期間が2週間ほどと長いので、インテリアに取り入れるのもおすすめです。 切り花にする際は、木が水を吸い上げやすいように、切り口に十字に割りを入れるとよいでしょう。水が腐らないようにこまめに取り替えて見映えを保ち、枯れ葉や乾燥によって縮れた葉があれば適宜取り除きます。大きな枝をそのままダイナミックに飾ることも、細かく切って小さめの花瓶に飾ることもできるので、剪定の際に切った枝を利用するのもいいですね。 ドウダンツツジを育てて季節の移ろいを楽しもう! croquette/Shutterstock.com ドウダンツツジは、春に咲く小さな鈴形の花は愛らしく、秋には燃えるように赤く染まる紅葉が楽しめ、季節の移ろいを告げてくれる花木です。みずみずしい葉も美しく、枝ものとしてインテリアに飾っても素敵な、用途の幅広い植物といえるでしょう。ぜひドウダンツツジを庭先で育てて、季節の移ろいを楽しんではいかがでしょうか。
-
レポート

都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト
今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」 大温室を背景にばら園を望む神代植物公園。 写真/神代植物公園 武蔵野の面影が残る広大な敷地を有する神代植物公園。園内には、ばら園、つつじ園、うめ園、はぎ園をはじめ植物の種類ごとに30ブロックに分かれており、約4,800種類・10万本もの植物が植えられています。 この公園はもともと東京の街路樹などを育てるための圃場でしたが、戦後、神代緑地として公開されたあと、昭和36年に名称を神代植物公園と改め、都内唯一の植物公園として開園しました。古くから伝わる日本の園芸植物の品種の保存や植物・園芸に関する催し・展示会などを開催し、都民の緑に対する関心を高めるのに一役買っています。大温室は平成28年5月に大規模にリニューアルされ、多くの珍しい熱帯の植物や彩り鮮やかな花々が楽しめるようになりました。 大温室内には熱帯花木室、熱帯スイレン室、ベゴニア室などがあり、約1,300種類の植物を有している。写真/神代植物公園 今回のコンテストは、公園の正門手前プロムナード[無料区域]で行われ、審査を通過した5名の入賞者がそれぞれ約70㎡のスペースにガーデンを制作します。土壌改良や植え付けなどの作庭は、2023年12月と2024年2月に行われます。その後は11月の最終審査まで、ガーデナーにより必要に応じてメンテナンスが行われ、3回の審査を経てグランプリが決定します。 コンテストガーデンが作られるエリアは、以前はツツジとササが植わる緑一色の場所だった。 今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」。ここ調布市を含む武蔵野エリアはかつて見渡す限りのススキやハギの原野で、野の向こうからの月の出入りが見られる月見の名所として知られていました。こういった土地の歴史的背景を現代の解釈でガーデナーたちはデザイン。2023年9月1日のコンテストの締め切りには多数の応募が寄せられました。9月15日は、書類審査で5名の入賞者が決定。色彩豊かな5つの新しい武蔵野の風景が、ここに制作されます。 公園の正門手前プロムナード[無料区域]にコンテストのために日向エリアと日陰エリアで5つずつの花壇が整備されました。 5人が作庭する花壇は、プロムナード(公道)を挟んで向かい合う日向と日陰となる2つのエリアに設けられました。日陰となる花壇は、南側に植わる常緑高木のシラカシの列植に日が遮られるため、夏場以外はほぼ日が当たりません。一方日向のエリアは、冬でもほぼ終日日が当たる環境。代々木公園の開催時とは異なり、日向・日陰と異なる環境それぞれに合わせた植物選び・構成によって1名につき2タイプのガーデンが設けられます。異なるタイプの花壇を同時に観賞できることは、今回の大きな見どころ。5者5様の環境・植物に合わせた土壌作りなど、5名のガーデナーがどのような工夫で「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」のお題を叶えるのかも見逃せないポイントです。 左手にコンテストの花壇が並ぶ日向のエリア。奥に神代植物公園の正門があります。 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることに加え、審査でみる重要なポイント 今回も「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることが外せないルール。丈夫で長生きする宿根草・球根植物=多年草を中心に季節ごとの植え替えをせず、順繰りに花が四季ごとに咲かせられることが求められています。 ● 公園の景観と調和していること ● 公園利用者が美しいと感じられること● 植物が会場の環境に適応していること ● 造園技術が高いこと● 四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること● 「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) ● メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)● デザイナー独自の提案ができていること ● 総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。審査は次の視点から行われます。 2023年に都立代々木公園で3回行われた「第1回 東京パークガーデンアワード」の審査の様子。審査委員は、福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 准教授) 正木 覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師) 吉谷桂子(ガーデンデザイナー) 佐々木 珠(東京都建設局公園緑地部長) 植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 近年日本では夏場が酷暑になるため、日向のエリアで求められるのは暑さや乾燥に耐えるもの。夏に茂りすぎて株が倒れたり、蒸れて病害虫が発生したりするなどのダメージを回避するための手入れのテクニックも必要です。メンテナンスはガーデナーの申請によって行われるのが条件ですが、手入れの頻度(回数)も審査の対象となります。 植物の状態を維持するための最低限の灌水は主催者が行います。 また、手入れの際に発生した剪定枝などを、花壇内で循環させることを考慮することも重要。ゴミに出せば焼却時に二酸化炭素が発生しますが、花壇内で微生物に分解されるような仕組みが整えられていれば、二酸化炭素は発生させずに、土壌内微生物の多様化につながります。 全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト 12月に行われた第1回作庭で集合した5名のガーデナー。 コンテストのテーマとルールをふまえて制作するガーデンのコンセプトや図面、植物リストの一部をご紹介します。 コンテストガーデンAGrasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜 【作品のテーマ・制作意図】 武蔵野のくさはらを表現するにあたり、オーナメンタルグラスとカラーリーフ、特徴的な葉を持つ植物をメインにしたガーデンをつくってみたいと思いました。「グラスガーデン」は馴染みが薄かったり、地味にとらえられたりすることもあるかと思いますが、宿根草に加え、球根植物も多用し華やかさをプラスすることで、多くの方に楽しんでいただけるガーデンを目指しています。 【日向】 ガーデン中央に帯状の管理通路を設置して植栽シーンの切り替えをし、植物の高低差をうまく生かすことで、野原の広がりを表現しています。植栽は秋の七草など日本人になじみのある宿根草を多く取り入れながら丈夫なグラス類を加え、親しみのある風景を展開。 【日向の主な植物リスト】 グラス類…イトススキ/カラマグロスティス/ペニセタム/パニカム/モリニア など季節の花…アガスターシェ/フロックス/ルドベキア/アガパンサス など和の花…キキョウ/オミナエシ/フジバカマ類/ヤブカンゾウ/ヒオウギ など球根…ユリ類/スイセン/カマッシア/ダッチアイリス/アリウム など 【日陰】 日向のガーデンと同じグランドデザインで、植栽は日陰に強いものをセレクト。低木のノリウツギ2種とアジサイ’アナベル’を手前と奥の3カ所に植栽することで花壇に奥行きやボリューム感を与えています。春は小さなシラーと山野草からスタートし、夏にはヤマユリやリーガルリリーが開花してあでやかな趣が楽しめます。 【日陰の主な植物リスト】 グラス・葉物類…フウチソウ/ベニチガヤ/ギボウシ類/クジャクシダ/クサソテツ など季節の花…アスチルベ/プルモナリア/ティアレラ/ムラサキツユクサ など和の花…イカリソウ/ヤマブキショウマ/シュウメイギク/チョウジソウ/ミヤコワスレ など球根…ユリ類/スイセン/コルチカム など コンテストガーデンB花鳥風月 命巡る草はら 【作品のテーマ・制作意図】 ガーデンの美しさは緑量や花の色目や形状だけで測れるものでなく、空や光や風や生きもの全ての関わり合い、生命の尊さを感じることでガーデンがより輝いて見えます。ガーデンに長く根付いて、地域に馴染む風景、生態系の一部になることを想定し、植えっ放しに耐えられる丈夫な品種を中心に、蜜源植物や、風や光の動きを反映しやすい植物を多く取り入れ、地味な在来種でも組合せや配置で奥行ある豊かな草はらの表現を目指します。 【日向】 3本の帯状の溝を緩やかに蛇行しながら左右に流し、中央の最も広いゾーンに多数のオミナエシを植栽。この和の植物をガーデンの主役・軸として、季節ごとの草花による彩りがプランされています。また、種類を絞って選ばれた植物で各季節の見せ場が設けられているのも見どころ。 【日向の主な植物リスト】 フジバカマ/パニカム‘ブルージャイアント’/ノリウツギ‘ライムライト’/ヘリアンサス‘レモンクイーン’/パブティシア/キキョウ/アヤメ/バーベナ・ボナリエンシス/ダイアンサス・カルスシアノラム/ペニセタム・マクロウルム/ジャーマンアイリス/ルドベキア‘ゴールドスターム’/ヒオウギ(オレンジ花・キバナmix)/ペンステモン‘ハスカーレッド’/スティパ、カッコウセンノウ/ミニスイセン・ティタティタ(球根)/オミナエシ/ダッチアイリス(球根)/アリウム‘丹頂’(球根)/ミューレンベルギア・カピラリス/カマッシア(球根)/イトススキ/ロシアンセージ 【日陰】 手前から右後方に向けてうねるようにカーブを描く管理通路を設け、それを挟むように植栽。たくさんの種類を植えず、ハナニラやアガパンサス、ヤブラン、ヒヨドリバナなどこれぞという植物に絞って群生させているので、旬となる時季には迫力のある風景が楽しめそう。 【日陰の主な植物リスト】 ラナンキュラス‘ゴールドカップ’/カレックス・オメンシス・エバリロ/アジュガ/ベニシダ/フウロソウ/ツワブキ/ユキノシタ/ジャノヒゲ/ヤブラン/ハナニラ(球根)/スイセン各種(球根)/フリチラリア(球根)/ペンステモン/ホタルブクロ/ヒヨドリバナ/アスチルベ/カレックス/アガパンサス(青花・白花mix)/クサソテツ/ヤツデ/スミレ/セキショウ コンテストガーデンC草原は、やがて森へ還る。 【作品のテーマ・制作意図】 森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。 【日向】 対角線上に配した2つの築山ゾーンと、その間を流れるように設けられた谷筋のような溝がメリハリのある起伏をつくり、多種多様な植物とともにドラマティックな野趣を演出しています。また、谷筋にはノカンゾウやアヤメ、ミソハギを植え、より自然な川筋を表現しています 【日向の主な植物リスト】 グラス類:アオチカラシバ/エラグロスティス‘スペクタビリス’/カレックス‘フェニックスグリーン’/スティパ‘テヌイッシマ’/ディスカンプシア‘ゴールドタウ’ など球根類:コオニユリ/カノコユリ/スノーフレーク/ハナニラ(イフェイオン)‘ジェシー’/原種系チューリップ ‘アルバコエルレアオクラータ’/クロッカス‘ホワイトウェルパープル’/アリウム‘カメレオン’/アリウム‘グレースフルビューティー’ など宿根草:ノカンゾウ/アヤメ/ミソハギ/ウツボグサ/シュウメイギク/チョウジソウ/ワレモコウ/フジバカマ/ハゴロモフジバカマ/オミナエシ/ノコンギク‘夕映え’/アスター‘アポロ’/シオン‘ジンダイ’/エキナセア‘パープレア’/エキナセア‘ロッキートップ’/ルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’/セントーレア‘ニグラ’/オルレア(一年草)/ガウラ‘クールブリーズ’/ペルシカリア‘ブラックフィールド’/フロックス‘フジヤマ’ など低木類:ガマズミ/バイカウツギ/コバノズイナ/テマリシモツケ など 【日陰】 日向・日陰ともに森へと遷移している途中の草はらを表していますが、日陰のほうがより森に近づいているような雰囲気を演出しています。また、たくさんの種類を植えて多様性を出していますが、ガーデン内一面にいろいろな種類を植えるのではなく、谷筋はキチジョウソウで統一するなど、環境に合わせて量にメリハリをつけ、より自然に見える風景を描いています。 【日陰の主な植物リスト】 グラス類:カレックス‘ペンデュラ’/カレックス‘テスタセア’/シマカンスゲ/ワイルドオーツ/フウチソウ など球根類:ヒアシンソイデス‘ヒスパニカエクセルシオール’/シラー・シベリカ‘アルバ’/フリチラリア‘バイモユリ’/フリチラリア‘エルウィシー’/カマシア‘クシキー’/ゲラニウム‘チュベロサム’/コリダリス・ソリダ‘ベスエヴァンス’ など宿根草:キチジョウソウ/ヤブラン/ギボウシ/オカトラノオ/ホタルブクロ/イカリソウ/ミツバシモツケ/クリスマスローズ/シュウメイギク/チョウジソウ/ハゴロモフジバカマ/ベニシダ/ニシキシダ/クサソテツ/アスター‘トワイライト’/アスター‘リトルカーロウ’/ワイルドチャービル/サラシナショウマ(シミシフーガ)‘ブルネット’/カラマツソウ(タリクトラム)‘ヒューイットダブル’/モウズイカ(バーバスカム)‘ビオレッタ’/ペンステモン‘ミスティカ’ など低木類:ナツハゼ/ノリウツギ/ムラサキシキブ/ヤツデ‘スパイダーウェブ’/コバノズイナ など コンテストガーデンDfeeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~ 【作品のテーマ・制作意図】 人々の心に残る武蔵野の情景を骨格に、新たな要素を組み足して、これからの愛される武蔵野の風景を植物の魅力や武蔵野の風景を「伝え」「感じる」ことを軸に提案しました。武蔵野の草原を連想させるグラスをベースに、季節の流れの中で、さまざまな色や形の草花がガーデンを彩っていくような配置を心がけました。自然との距離が遠くなった現代で、このガーデンが少しでも自然と人とが寄り添うきっかけになればと思っています。 【日向】 斜めに伸びる群植で植えられたさまざまなグラスの間に花の美しい宿根草を植え、グラスを背景にした季節ごとの風景が楽しめるデザインです。若い世代の目に留まるよう、自然でありながらもポップな色彩も花色で盛り込まれています。 【日向の主な植物リスト】 イトススキ/カラマグロスティス/カレックス/ユーパトリウム ‘ベイビージョー'/ムギ/ソバ、ダンギク/ベルガモット/オミナエシ/ワレモコウ/ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’/エキナセア、バーベナ・ボナリエンシス/アリウム/チューリップ 【日陰】 後方に低木・ノリウツギを多数植え、植栽の背景とさせながらボリュームを加え、見応えを出しています。またアカンサスなどのユニークな花を用いることで、見る人の目を引くなど、ガーデンへの興味をそそる工夫が施されています。 【日陰の主な植物リスト】 カレックス/ギボウシ/ツワブキ/クサソテツ/アカンサス・モリス/バプティシア/ユーパトリウム’チョコレート’/ペルシカリア‘ファイヤーテール’/アジサイ‘アナベル’/オトコエシ/オミナエシ/カクトラノオ/ペンステモン/アリウム/チューリップ コンテストガーデンE武蔵野の“これから”の原風景 【作品のテーマ・制作意図】 世界的に"Climate Change(気候変動)"が叫ばれ、日本でも夏の猛暑、雨不足による水ストレスが植物を苦しめました。農業技術である完熟した堆肥をはじめ有機資材を使い、微生物に富み団粒構造を持つ土壌を作ることからはじめ、これまで武蔵野の草原風景を担ってきた在来植物を中心にガーデンを構成します。都市の暮らしの中でこぼれ落ちてきた技術、植物でこれからの武蔵野の風景を模索していきます。 【日向】 設定した築山~低地により生まれる、わずかな環境条件の違いを生かして植物を選定。右後方に明るい日陰、やや湿り気のあるゾーンを作り、そのほかの広範囲は乾燥気味になることを意識して植栽しています。植物は武蔵野の在来種を中心に、9割が日本生まれの野草を用いています。 【日向の主な植物リスト】 ヤマハギ/ミソハギ/オミナエシ/ノガリヤス/チカラシバ/フジバカマ/オトコエシ/コマツナギ/ワレモコウ/シラヤマギク/カワミドリ/フジアザミ/ノダケ/ヒヨドリバナ/キセワタ/マツムシソウ/クララ/オカトラノオ/ヤマホタルブクロ/ツルボ/キキョウ/アサマフウロ/タカノハススキ/ミスカンサス‘モーニングライト’/ミツバシモツケ/カタクリ/ムラサキ/カライトソウ/タムラソウなど 【日陰】 前方・中央・後方と大きく3つに分け、やや湿り気、乾燥、湿り気のあるゾーンに分けて植栽。複数のシダやヤグルマソウ、オオバギボウシなどのリーフ類に楚々とした花を合わせています。こちらにはグラス類の使用を抑え、日向の植栽と大きく差別化を図っています。 【日陰の主な植物リスト】 フクジュソウ/ヒトリシズカ/フタリシズカ/ツリガネニンジン/キバナノアキギリ/チダケサシ/シュウメイギク/クジャクシダ/ナチシダ/クサソテツ/ヒトツバ/ナキリスゲ/ゲンノショウコ/ナガボノシロワレモコウ/ヤグルマソウ/キョウガノコ/チョウジソウ/アキカラマツ/フシグロセンノウ/キリンソウ/エゴポディウム・バリエガータ/ツワブキ・アージェテリウム‘浮雲錦’など コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立神代植物公園(正門手前プロムナード[無料区域])所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。
-
育て方

2月の庭仕事をチェック! ガーデニングカレンダー February
バラの剪定のリミット 関東以西の平地では、バラの剪定の最終リミットは今月です。2月中にシュラブ(半つる性)やブッシュ(木立ち性)の剪定を済ませましょう。開花が望めない鉛筆より細い弱々しい枝や枯れ枝は、春以降に虫たちの温床になるので、剪定時に一緒にカットしておきましょう。 一年草のハーブのタネ播きをしましょう チャービルやルッコラ、コリアンダー、ジャーマンカモミールなど、一年草のハーブはこの時期、室内でタネ播きをして苗をつくっておきます。成長に従って間引きが必要になってきますが、間引いた若葉も美味しくいただけます。タネから育てると、苗を買うよりコストが大幅に下がります。 鉢植えの球根花に水やりを 左/球根花のなかでも早く開花するのは、スノードロップ。小さな咲き姿を見逃さないように。右/春が待ち遠しくなってきた2月中旬。緑色の芽が伸び出してきました。 地植えの場合は水やりの必要はありませんが、鉢植えの球根花は芽が伸び始めてくる頃です。地上部に何もないとうっかり忘れがちですが、1週間に1回は水やりしましょう。鉢植えの宿根草も同様です。 宿根草の株分けをしましょう 大株に育ったホスタ(ギボウシ)。 暖かくなって芽が動き始める前に、宿根草の株分けを済ませておきましょう。植え付けから数年を経て、大株になったホスタやシュウメイギクなどは、根を傷めないように掘り上げ、土をふるい落としてからハサミや刃物を使って根を切り分けます。植えつけ穴を掘って再び植え直し、たっぷり水やりをします。株分けをすることで風通しがよくなり、元気に育ちます。 冬の花の展示会が目白押しです 愛好家たちが育てたクリスマスローズの見事な鉢が並ぶ。過去の展示より。 冬は意外にも花の大きな展示会が開催されています。東京・文京区、東京ドームシティ プリズムホールでは「- 花と緑の祭典 - 世界らん展2026」(2026年2月5日(木)〜11日(水))、東京・池袋サンシャインシティでは「クリスマスローズの世界展2026」(2026年2月20日(金)、21日(土))が開催されます。展示会は、珍しい品種に出合えるチャンスです。 花が終わった水耕栽培の後始末 花が終わった水耕栽培の球根は、地植えにして葉が自然に枯れるまで育てると、また来年、花が咲く可能性があります。
-
一年草

ネメシアの魅力と育て方をご紹介! 長く楽しめる品種も登場
ネメシアの基礎知識を知っておこう Reut MG/Shutterstock.com ネメシアは、ゴマノハグサ科ネメシア属の植物。原産地は南アフリカで、50種ほどが自生しているとされています。日本で主に園芸用として流通しているのは2〜3種類で、一年草タイプと宿根草タイプがあります。日本で古くから愛されてきたのは一年草のネメシアで、秋に種まきして4〜5月に開花、暑さに耐えられずに枯死してしまう短命なライフサイクルです。鮮やかな花色が魅力で、赤、ピンク、オレンジ、黄、紫、白、複色などが揃います。草丈は30cm前後。一方で、宿根草のネメシアは夏越しが可能で、数年は越年して毎年花を咲かせます。四季咲き性も強く、3℃以上の気温があれば真夏以外は繰り返し咲いてくれるのが魅力。一年草ほどの色幅はなく、青、ピンク、白が主流でしたが、近年は品種改良が進んでカラフルな色彩を持つ品種も登場しています。 ネメシアの主な品種をご紹介 前述のように、ネメシアは主に一年草と宿根草の2タイプが流通しています。ここでは、その特性についてご紹介しましょう。 一年草ネメシア ネメシア・ストルモサ。simona pavan/Shutterstock.com ネメシア・ストルモサ(Nemesia strumose)を元に改良された品種群です。花色がカラフルで豊富に揃い、人気が高いために園芸品種が多数出回っています。よく分枝し、こんもりと茂って株姿がまとまりやすい‘F1ポエトリー’シリーズ、病気に強くて育てやすい‘F1プリティー プリーズ’シリーズ、複色咲きが愛らしい‘デュエット’シリーズ、インパクトのある大輪種の‘ラピン’シリーズなどがあります。 宿根ネメシア ネメシア・カエルレア。Gema Garcia Martin/Shutterstock.com 宿根ネメシアは、ネメシア・カエルレア(N.caerulea)、ネメシア・デンティキュラータ(N.denticulata)から改良された品種が多く見られます。控えめな花色が多かったのですが、一年草との交配も進み、近年ではカラフルな宿根ネメシアも登場。多数の花色が揃い、芳香を持つ‘メーテル’シリーズ、分枝力抜群でコンパクトにまとまる‘サンサシア プラス’シリーズ、生育旺盛で花つきがよい‘セブンスヘブン’シリーズなどがあります。 ネメシア栽培のポイントを解説 ここまで、ネメシアの特徴をまとめた基本情報、種類などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した環境や植え付け、水やりや施肥など日頃の管理、成長に応じたケア、気をつけたい病害虫、増やし方などについてガイドしていきます。基本的には一年草タイプ、宿根草タイプ共に育て方はほぼ同じです。 ネメシア栽培に適した場所 Jana Milin/Shutterstock.com ネメシアの栽培には、日当たり、風通しがよい場所が適しています。日当たりの悪い環境下では、茎葉がヒョロヒョロと間のびして、軟弱で倒れやすくなるので注意しましょう。また、多湿を嫌うため、水はけのよい土壌づくりが大切です。 ネメシアは、基本的に一年を通して戸外で栽培できます。開花中に雨に当たって花弁が傷むのを防ぐために、鉢栽培の場合は日当たりのよい軒下やベランダなどに移動するとよいでしょう。また、真冬は寒風が吹き抜けない暖かい陽だまりへ、真夏は雨の当たらない風通しのよい場所へ移動して管理するのがおすすめです。 ネメシアにおすすめの土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの3〜4週間前に苦土石灰を散布し、よく耕しておきます。さらに植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の草花用培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土小粒5、腐葉土3、川砂または酸度調整済みのピートモス2の割合でブレンドするとよいでしょう。 植え付け・植え替えのポイント Vlyaks/Shutterstock.com ネメシアの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か、9月下旬〜11月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。 庭で宿根ネメシアを育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 ネメシアを鉢で栽培する場合は、6〜8号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 宿根ネメシアを鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。 水やり Ivanko80/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまいます。 また、真冬に水やりする場合は、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまいます。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、ネメシアは多湿を嫌うので、いつもジメジメした土壌環境だと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。冬は乾きにくくなるので、控えめに与える程度にし、乾燥気味に管理してください。 肥料の施し方 Singkham/Shutterstock.com 一年草タイプのネメシア 【地植え】 植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。 【鉢植え】 鉢栽培では水やりの際に肥料成分が流亡しやすいので、9〜10月と3〜6月に液肥を2週間に1度を目安に与えましょう。 宿根ネメシア 【地植え】 夏越し後の9〜10月に緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く耕して土に馴染ませておきます。 【鉢植え】 鉢栽培では水やりの際に肥料成分が流亡しやすいので、9〜10月と3〜6月に液肥を2週間に1度を目安に与えましょう。 日頃の手入れ Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com 【花がら摘み】 ネメシアは次々に花が咲くので、終わった花は摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【切り戻し】 ひと通り開花が終わって株姿が乱れてきたら、草丈の1/2~1/3くらいまでを目安に切り戻すと、再び旺盛に茂って花芽が上がってきます。 宿根ネメシアを夏越しさせる場合は、多湿になると株が蒸れて弱ることがあるので、梅雨前に切り戻して風通しよく管理します。草丈の1/2~1/3くらいまでを目安にカットし、込み合っている部分があれば、すかし剪定をしておくとよいでしょう。 ネメシアによく見られる病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 ネメシアの栽培でよく見られる病気は、灰色かび病、ウイルス病などです。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどの多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 ウイルス病は、アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどが媒介となって発症します。花弁にすじ状の斑が入って花が小さくなったり、葉にモザイク状のまだら模様が現れて縮れたりしていたら発症の可能性があるので注意。発病すると治らず、茎や葉が黒くなって枯れる一方なので、周囲に病気が蔓延しないよう早めに株を抜き取って土ごと処分してください。媒介となるアブラムシなどを防除することで、病気の発症を抑えることができます。 【害虫】 ネメシアの栽培でよく見られる害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。 ネメシアの増やし方 Taras Garkusha/Shutterstock.com 一年草タイプは種まきで増やすことができます。宿根草タイプは種まき、挿し芽で増やすことができます。 【種まき】 種まきのメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。 ネメシアの種まきの適期は10月頃です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れ、1穴当たり1〜2粒ずつ播きます。種が隠れる程度に土をごく薄くかけるのがポイントです。水やりは、水を少し張った容器にトレイを入れて、トレイの底から吸水させてください。乾燥しきらないように管理し、発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植します。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、宿根ネメシアは挿し芽で増やせます。 挿し芽の適期は、4〜6月か9月下旬〜10月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。セルトレイを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。根が回ってきたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 鮮やかな色も丈夫さも! ネメシアを使い分けよう SusaZoom/Shutterstock.com 短命ながらカラフルな花色に魅力がある一年草と、丈夫で長く楽しめる宿根草と、ネメシアは種類によって美点が異なるのが特徴です。一年草と宿根草をうまく使い分けて適材適所でガーデンに生かすのもいいですね。ぜひネメシアを取り入れて、華やかな庭を演出してみてはいかがでしょうか。




















