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ネメシアの魅力と育て方をご紹介! 長く楽しめる品種も登場

ネメシアの魅力と育て方をご紹介! 長く楽しめる品種も登場

Larisa Bakina/Shutterstock.com

ネメシアは、カラフルな花色が魅力の一年草で、古くから春を彩る花として親しまれてきました。近年は越年して長く楽しめる宿根ネメシアも出回るようになり、それぞれに魅力が異なって、より選択肢が広くなっています。この記事では、ネメシアの特徴などの基本情報や種類、詳しい育て方などについて、幅広くご紹介します。

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ネメシアの基礎知識を知っておこう

ネメシア
Reut MG/Shutterstock.com

ネメシアは、ゴマノハグサ科ネメシア属の植物。原産地は南アフリカで、50種ほどが自生しているとされています。日本で主に園芸用として流通しているのは2〜3種類で、一年草タイプと宿根草タイプがあります。日本で古くから愛されてきたのは一年草のネメシアで、秋に種まきして4〜5月に開花、暑さに耐えられずに枯死してしまう短命なライフサイクルです。鮮やかな花色が魅力で、赤、ピンク、オレンジ、黄、紫、白、複色などが揃います。草丈は30cm前後。一方で、宿根草のネメシアは夏越しが可能で、数年は越年して毎年花を咲かせます。四季咲き性も強く、3℃以上の気温があれば真夏以外は繰り返し咲いてくれるのが魅力。一年草ほどの色幅はなく、青、ピンク、白が主流でしたが、近年は品種改良が進んでカラフルな色彩を持つ品種も登場しています。

ネメシアの主な品種をご紹介

前述のように、ネメシアは主に一年草と宿根草の2タイプが流通しています。ここでは、その特性についてご紹介しましょう。

一年草ネメシア

ネメシア・ストルモサ
ネメシア・ストルモサ。simona pavan/Shutterstock.com

ネメシア・ストルモサ(Nemesia strumose)を元に改良された品種群です。花色がカラフルで豊富に揃い、人気が高いために園芸品種が多数出回っています。よく分枝し、こんもりと茂って株姿がまとまりやすい‘F1ポエトリー’シリーズ、病気に強くて育てやすい‘F1プリティー プリーズ’シリーズ、複色咲きが愛らしい‘デュエット’シリーズ、インパクトのある大輪種の‘ラピン’シリーズなどがあります。

宿根ネメシア

ネメシア・カエルレア
ネメシア・カエルレア。Gema Garcia Martin/Shutterstock.com

宿根ネメシアは、ネメシア・カエルレア(N.caerulea)、ネメシア・デンティキュラータ(N.denticulata)から改良された品種が多く見られます。控えめな花色が多かったのですが、一年草との交配も進み、近年ではカラフルな宿根ネメシアも登場。多数の花色が揃い、芳香を持つ‘メーテル’シリーズ、分枝力抜群でコンパクトにまとまる‘サンサシア プラス’シリーズ、生育旺盛で花つきがよい‘セブンスヘブン’シリーズなどがあります。

ネメシア栽培のポイントを解説

ここまで、ネメシアの特徴をまとめた基本情報、種類などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した環境や植え付け、水やりや施肥など日頃の管理、成長に応じたケア、気をつけたい病害虫、増やし方などについてガイドしていきます。基本的には一年草タイプ、宿根草タイプ共に育て方はほぼ同じです。

ネメシア栽培に適した場所

ネメシア
Jana Milin/Shutterstock.com

ネメシアの栽培には、日当たり、風通しがよい場所が適しています。日当たりの悪い環境下では、茎葉がヒョロヒョロと間のびして、軟弱で倒れやすくなるので注意しましょう。また、多湿を嫌うため、水はけのよい土壌づくりが大切です。

ネメシアは、基本的に一年を通して戸外で栽培できます。開花中に雨に当たって花弁が傷むのを防ぐために、鉢栽培の場合は日当たりのよい軒下やベランダなどに移動するとよいでしょう。また、真冬は寒風が吹き抜けない暖かい陽だまりへ、真夏は雨の当たらない風通しのよい場所へ移動して管理するのがおすすめです。

ネメシアにおすすめの土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの3〜4週間前に苦土石灰を散布し、よく耕しておきます。さらに植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土小粒5、腐葉土3、川砂または酸度調整済みのピートモス2の割合でブレンドするとよいでしょう。

植え付け・植え替えのポイント

ガーデニング
Vlyaks/Shutterstock.com

ネメシアの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か、9月下旬〜11月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。

庭で宿根ネメシアを育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。

【鉢植え】

ネメシアを鉢で栽培する場合は、6〜8号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

宿根ネメシアを鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまいます。

また、真冬に水やりする場合は、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまいます。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、ネメシアは多湿を嫌うので、いつもジメジメした土壌環境だと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。冬は乾きにくくなるので、控えめに与える程度にし、乾燥気味に管理してください。

肥料の施し方

肥料
Singkham/Shutterstock.com

一年草タイプのネメシア

【地植え】

植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。

【鉢植え】

鉢栽培では水やりの際に肥料成分が流亡しやすいので、9〜10月と3〜6月に液肥を2週間に1度を目安に与えましょう。

宿根ネメシア

【地植え】

夏越し後の9〜10月に緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く耕して土に馴染ませておきます。

【鉢植え】

鉢栽培では水やりの際に肥料成分が流亡しやすいので、9〜10月と3〜6月に液肥を2週間に1度を目安に与えましょう。

日頃の手入れ

剪定
Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com

【花がら摘み】

ネメシアは次々に花が咲くので、終わった花は摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【切り戻し】

ひと通り開花が終わって株姿が乱れてきたら、草丈の1/2~1/3くらいまでを目安に切り戻すと、再び旺盛に茂って花芽が上がってきます。

宿根ネメシアを夏越しさせる場合は、多湿になると株が蒸れて弱ることがあるので、梅雨前に切り戻して風通しよく管理します。草丈の1/2~1/3くらいまでを目安にカットし、込み合っている部分があれば、すかし剪定をしておくとよいでしょう。

ネメシアによく見られる病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

ネメシアの栽培でよく見られる病気は、灰色かび病、ウイルス病などです。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどの多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

ウイルス病は、アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどが媒介となって発症します。花弁にすじ状の斑が入って花が小さくなったり、葉にモザイク状のまだら模様が現れて縮れたりしていたら発症の可能性があるので注意。発病すると治らず、茎や葉が黒くなって枯れる一方なので、周囲に病気が蔓延しないよう早めに株を抜き取って土ごと処分してください。媒介となるアブラムシなどを防除することで、病気の発症を抑えることができます。

【害虫】

ネメシアの栽培でよく見られる害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。

ネメシアの増やし方

種まき
Taras Garkusha/Shutterstock.com

一年草タイプは種まきで増やすことができます。宿根草タイプは種まき、挿し芽で増やすことができます。

【種まき】

種まきのメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。

ネメシアの種まきの適期は10月頃です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れ、1穴当たり1〜2粒ずつ播きます。種が隠れる程度に土をごく薄くかけるのがポイントです。水やりは、水を少し張った容器にトレイを入れて、トレイの底から吸水させてください。乾燥しきらないように管理し、発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植します。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、宿根ネメシアは挿し芽で増やせます。

挿し芽の適期は、4〜6月か9月下旬〜10月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。セルトレイを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。根が回ってきたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

鮮やかな色も丈夫さも! ネメシアを使い分けよう

ネメシア
SusaZoom/Shutterstock.com

短命ながらカラフルな花色に魅力がある一年草と、丈夫で長く楽しめる宿根草と、ネメシアは種類によって美点が異なるのが特徴です。一年草と宿根草をうまく使い分けて適材適所でガーデンに生かすのもいいですね。ぜひネメシアを取り入れて、華やかな庭を演出してみてはいかがでしょうか。

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