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都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト

都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト

代々木公園での第1回開催に続き第2回の「東京パークガーデンアワード」のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)を舞台に始まります。 前回と同様、コンテスト最大の特徴は、宿根草を活用した「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」のガーデンコンテストであること。デザインはもとより、植物や土壌の高度な知識が求められる、今までのものとは一線を画すガーデンコンテストです。今回も多数の応募者から選ばれた5人の気鋭のガーデンデザイナーたちは、どんな庭を作るのか。応募時に提出された庭のコンセプトと使用予定の植物、作者についてご紹介します。

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今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」

大温室を背景にばら園を望む神代植物公園。 写真/神代植物公園

武蔵野の面影が残る広大な敷地を有する神代植物公園。園内には、ばら園、つつじ園、うめ園、はぎ園をはじめ植物の種類ごとに30ブロックに分かれており、約4,800種類・10万本もの植物が植えられています。

この公園はもともと東京の街路樹などを育てるための圃場でしたが、戦後、神代緑地として公開されたあと、昭和36年に名称を神代植物公園と改め、都内唯一の植物公園として開園しました。古くから伝わる日本の園芸植物の品種の保存や植物・園芸に関する催し・展示会などを開催し、都民の緑に対する関心を高めるのに一役買っています。大温室は平成28年5月に大規模にリニューアルされ、多くの珍しい熱帯の植物や彩り鮮やかな花々が楽しめるようになりました。

大温室内には熱帯花木室、熱帯スイレン室、ベゴニア室などがあり、約1,300種類の植物を有している。写真/神代植物公園

今回のコンテストは、公園の正門手前プロムナード[無料区域]で行われ、審査を通過した5名の入賞者がそれぞれ約70㎡のスペースにガーデンを制作します。土壌改良や植え付けなどの作庭は、2023年12月と2024年2月に行われます。その後は11月の最終審査まで、ガーデナーにより必要に応じてメンテナンスが行われ、3回の審査を経てグランプリが決定します。

コンテストガーデンが作られるエリアは、以前はツツジとササが植わる緑一色の場所だった。

今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」。ここ調布市を含む武蔵野エリアはかつて見渡す限りのススキやハギの原野で、野の向こうからの月の出入りが見られる月見の名所として知られていました。こういった土地の歴史的背景を現代の解釈でガーデナーたちはデザイン。2023年9月1日のコンテストの締め切りには多数の応募が寄せられました。9月15日は、書類審査で5名の入賞者が決定。色彩豊かな5つの新しい武蔵野の風景が、ここに制作されます。

公園の正門手前プロムナード[無料区域]にコンテストのために日向エリアと日陰エリアで5つずつの花壇が整備されました。

5人が作庭する花壇は、プロムナード(公道)を挟んで向かい合う日向と日陰となる2つのエリアに設けられました。日陰となる花壇は、南側に植わる常緑高木のシラカシの列植に日が遮られるため、夏場以外はほぼ日が当たりません。一方日向のエリアは、冬でもほぼ終日日が当たる環境。代々木公園の開催時とは異なり、日向・日陰と異なる環境それぞれに合わせた植物選び・構成によって1名につき2タイプのガーデンが設けられます。異なるタイプの花壇を同時に観賞できることは、今回の大きな見どころ。5者5様の環境・植物に合わせた土壌作りなど、5名のガーデナーがどのような工夫で「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」のお題を叶えるのかも見逃せないポイントです。

左手にコンテストの花壇が並ぶ日向のエリア。奥に神代植物公園の正門があります。

「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることに加え、審査でみる重要なポイント

今回も「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることが外せないルール。丈夫で長生きする宿根草・球根植物=多年草を中心に季節ごとの植え替えをせず、順繰りに花が四季ごとに咲かせられることが求められています。

● 公園の景観と調和していること 
● 公園利用者が美しいと感じられること
● 植物が会場の環境に適応していること 
● 造園技術が高いこと
● 四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること
● 「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) 
● メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)
● デザイナー独自の提案ができていること 
● 総合評価
※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。審査は次の視点から行われます。

2023年に都立代々木公園で3回行われた「第1回 東京パークガーデンアワード」の審査の様子。審査委員は、福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 准教授) 正木 覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師) 吉谷桂子(ガーデンデザイナー) 佐々木 珠(東京都建設局公園緑地部長) 植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)

近年日本では夏場が酷暑になるため、日向のエリアで求められるのは暑さや乾燥に耐えるもの。夏に茂りすぎて株が倒れたり、蒸れて病害虫が発生したりするなどのダメージを回避するための手入れのテクニックも必要です。メンテナンスはガーデナーの申請によって行われるのが条件ですが、手入れの頻度(回数)も審査の対象となります。

植物の状態を維持するための最低限の灌水は主催者が行います。

また、手入れの際に発生した剪定枝などを、花壇内で循環させることを考慮することも重要。ゴミに出せば焼却時に二酸化炭素が発生しますが、花壇内で微生物に分解されるような仕組みが整えられていれば、二酸化炭素は発生させずに、土壌内微生物の多様化につながります。

全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト

12月に行われた第1回作庭で集合した5名のガーデナー。

コンテストのテーマとルールをふまえて制作するガーデンのコンセプトや図面、植物リストの一部をご紹介します。

コンテストガーデンA
Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜

古橋 麻美

古橋 麻美

(東京都)

信州大学農学部森林科学科卒業。英国Writtle CollegeとSir Harold Hillier Gardensにて園芸・ガーデニングを3年間学ぶ。帰国後は造園会社にて商業施設などのガーデン管理や花壇デザインに従事。独立後もガーデナーとして庭のメンテナンスを中心に、植栽デザインと施工のほかワークショップも行う。

【作品のテーマ・制作意図】

武蔵野のくさはらを表現するにあたり、オーナメンタルグラスとカラーリーフ、特徴的な葉を持つ植物をメインにしたガーデンをつくってみたいと思いました。「グラスガーデン」は馴染みが薄かったり、地味にとらえられたりすることもあるかと思いますが、宿根草に加え、球根植物も多用し華やかさをプラスすることで、多くの方に楽しんでいただけるガーデンを目指しています。

【日向】

ガーデン中央に帯状の管理通路を設置して植栽シーンの切り替えをし、植物の高低差をうまく生かすことで、野原の広がりを表現しています。植栽は秋の七草など日本人になじみのある宿根草を多く取り入れながら丈夫なグラス類を加え、親しみのある風景を展開。

【日向の主な植物リスト】

グラス類…イトススキ/カラマグロスティス/ペニセタム/パニカム/モリニア など
季節の花…アガスターシェ/フロックス/ルドベキア/アガパンサス など
和の花…キキョウ/オミナエシ/フジバカマ類/ヤブカンゾウ/ヒオウギ など
球根…ユリ類/スイセン/カマッシア/ダッチアイリス/アリウム など

【日陰】

日向のガーデンと同じグランドデザインで、植栽は日陰に強いものをセレクト。低木のノリウツギ2種とアジサイ’アナベル’を手前と奥の3カ所に植栽することで花壇に奥行きやボリューム感を与えています。春は小さなシラーと山野草からスタートし、夏にはヤマユリやリーガルリリーが開花してあでやかな趣が楽しめます。

【日陰の主な植物リスト】

グラス・葉物類…フウチソウ/ベニチガヤ/ギボウシ類/クジャクシダ/クサソテツ など
季節の花…アスチルベ/プルモナリア/ティアレラ/ムラサキツユクサ など
和の花…イカリソウ/ヤマブキショウマ/シュウメイギク/チョウジソウ/ミヤコワスレ など
球根…ユリ類/スイセン/コルチカム など

コンテストガーデンB
花鳥風月 命巡る草はら

メイガーデンズ 柵山 直之

メイガーデンズ 柵山 直之

(三重県)

三重県鈴鹿山脈の麓菰野町で自宅の庭をつくり、東海地区を中心に造園業として各種庭づくりに携わっています。大型施設などの造園設計・現場監督業務を経て、現在は個人邸を中心に作庭しています。本業の傍らガーデニング講座の講師やイベント企画運営、舞台美術や創作活動など幅広く活動しています。長野県松本市出身。

【作品のテーマ・制作意図】

ガーデンの美しさは緑量や花の色目や形状だけで測れるものでなく、空や光や風や生きもの全ての関わり合い、生命の尊さを感じることでガーデンがより輝いて見えます。ガーデンに長く根付いて、地域に馴染む風景、生態系の一部になることを想定し、植えっ放しに耐えられる丈夫な品種を中心に、蜜源植物や、風や光の動きを反映しやすい植物を多く取り入れ、地味な在来種でも組合せや配置で奥行ある豊かな草はらの表現を目指します。

【日向】

3本の帯状の溝を緩やかに蛇行しながら左右に流し、中央の最も広いゾーンに多数のオミナエシを植栽。この和の植物をガーデンの主役・軸として、季節ごとの草花による彩りがプランされています。また、種類を絞って選ばれた植物で各季節の見せ場が設けられているのも見どころ。

【日向の主な植物リスト】

フジバカマ/パニカム‘ブルージャイアント’/ノリウツギ‘ライムライト’/ヘリアンサス‘レモンクイーン’/パブティシア/キキョウ/アヤメ/バーベナ・ボナリエンシス/ダイアンサス・カルスシアノラム/ペニセタム・マクロウルム/ジャーマンアイリス/ルドベキア‘ゴールドスターム’/ヒオウギ(オレンジ花・キバナmix)/ペンステモン‘ハスカーレッド’/スティパ、カッコウセンノウ/ミニスイセン・ティタティタ(球根)/オミナエシ/ダッチアイリス(球根)/アリウム‘丹頂’(球根)/ミューレンベルギア・カピラリス/カマッシア(球根)/イトススキ/ロシアンセージ

【日陰】

手前から右後方に向けてうねるようにカーブを描く管理通路を設け、それを挟むように植栽。たくさんの種類を植えず、ハナニラやアガパンサス、ヤブラン、ヒヨドリバナなどこれぞという植物に絞って群生させているので、旬となる時季には迫力のある風景が楽しめそう。

【日陰の主な植物リスト】

ラナンキュラス‘ゴールドカップ’/カレックス・オメンシス・エバリロ/アジュガ/ベニシダ/フウロソウ/ツワブキ/ユキノシタ/ジャノヒゲ/ヤブラン/ハナニラ(球根)/スイセン各種(球根)/フリチラリア(球根)/ペンステモン/ホタルブクロ/ヒヨドリバナ/アスチルベ/カレックス/アガパンサス(青花・白花mix)/クサソテツ/ヤツデ/スミレ/セキショウ

コンテストガーデンC
草原は、やがて森へ還る。

吉野 ひろき

吉野 ひろき

(京都府)

庭花 niwahana landscapes kyoto代表。植物が好き。森が好き。「お庭の数だけ、大切な物語がある。」をキャッチフレーズに、心に響くどこか懐かしいナチュラルガーデンを、設計デザインから施工まで手がけています。また、庭づくりの傍らで、地域の小学校や寺院などで、森の授業や森づくりの指導などの活動もしています。

【作品のテーマ・制作意図】

森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。

【日向】

対角線上に配した2つの築山ゾーンと、その間を流れるように設けられた谷筋のような溝がメリハリのある起伏をつくり、多種多様な植物とともにドラマティックな野趣を演出しています。また、谷筋にはノカンゾウやアヤメ、ミソハギを植え、より自然な川筋を表現しています

【日向の主な植物リスト】

グラス類:アオチカラシバ/エラグロスティス‘スペクタビリス’/カレックス‘フェニックスグリーン’/スティパ‘テヌイッシマ’/ディスカンプシア‘ゴールドタウ’ など
球根類:コオニユリ/カノコユリ/スノーフレーク/ハナニラ(イフェイオン)‘ジェシー’/原種系チューリップ ‘アルバコエルレアオクラータ’/クロッカス‘ホワイトウェルパープル’/アリウム‘カメレオン’/アリウム‘グレースフルビューティー’ など
宿根草:ノカンゾウ/アヤメ/ミソハギ/ウツボグサ/シュウメイギク/チョウジソウ/ワレモコウ/フジバカマ/ハゴロモフジバカマ/オミナエシ/ノコンギク‘夕映え’/アスター‘アポロ’/シオン‘ジンダイ’/エキナセア‘パープレア’/エキナセア‘ロッキートップ’/ルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’/セントーレア‘ニグラ’/オルレア(一年草)/ガウラ‘クールブリーズ’/ペルシカリア‘ブラックフィールド’/フロックス‘フジヤマ’ など
低木類:ガマズミ/バイカウツギ/コバノズイナ/テマリシモツケ など

【日陰】

日向・日陰ともに森へと遷移している途中の草はらを表していますが、日陰のほうがより森に近づいているような雰囲気を演出しています。また、たくさんの種類を植えて多様性を出していますが、ガーデン内一面にいろいろな種類を植えるのではなく、谷筋はキチジョウソウで統一するなど、環境に合わせて量にメリハリをつけ、より自然に見える風景を描いています。

【日陰の主な植物リスト】

グラス類:カレックス‘ペンデュラ’/カレックス‘テスタセア’/シマカンスゲ/ワイルドオーツ/フウチソウ など
球根類:ヒアシンソイデス‘ヒスパニカエクセルシオール’/シラー・シベリカ‘アルバ’/フリチラリア‘バイモユリ’/フリチラリア‘エルウィシー’/カマシア‘クシキー’/ゲラニウム‘チュベロサム’/コリダリス・ソリダ‘ベスエヴァンス’  など
宿根草:キチジョウソウ/ヤブラン/ギボウシ/オカトラノオ/ホタルブクロ/イカリソウ/ミツバシモツケ/クリスマスローズ/シュウメイギク/チョウジソウ/ハゴロモフジバカマ/ベニシダ/ニシキシダ/クサソテツ/アスター‘トワイライト’/アスター‘リトルカーロウ’/ワイルドチャービル/サラシナショウマ(シミシフーガ)‘ブルネット’/カラマツソウ(タリクトラム)‘ヒューイットダブル’/モウズイカ(バーバスカム)‘ビオレッタ’/ペンステモン‘ミスティカ’  など
低木類:ナツハゼ/ノリウツギ/ムラサキシキブ/ヤツデ‘スパイダーウェブ’/コバノズイナ など

コンテストガーデンD
feeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~

藤井宏海

藤井宏海

(福岡県)

西日本短期大学緑地環境学科を卒業。ランドスケープコンサルタントに入社し都市緑地の計画設計に従事。その後、フリーランスとなり「自然を楽しみ自然の魅力を伝える」ことをテーマに、ランドスケープやお庭の設計、宿根草を主体にまちに花と人の輪をひろげる「福岡市植物園ねづくプロジェクト」のスタッフとして活動する。

【作品のテーマ・制作意図】

人々の心に残る武蔵野の情景を骨格に、新たな要素を組み足して、これからの愛される武蔵野の風景を植物の魅力や武蔵野の風景を「伝え」「感じる」ことを軸に提案しました。武蔵野の草原を連想させるグラスをベースに、季節の流れの中で、さまざまな色や形の草花がガーデンを彩っていくような配置を心がけました。自然との距離が遠くなった現代で、このガーデンが少しでも自然と人とが寄り添うきっかけになればと思っています。

【日向】

斜めに伸びる群植で植えられたさまざまなグラスの間に花の美しい宿根草を植え、グラスを背景にした季節ごとの風景が楽しめるデザインです。若い世代の目に留まるよう、自然でありながらもポップな色彩も花色で盛り込まれています。

【日向の主な植物リスト】

イトススキ/カラマグロスティス/カレックス/ユーパトリウム ‘ベイビージョー’/ムギ/ソバ、ダンギク/ベルガモット/オミナエシ/ワレモコウ/ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’/エキナセア、バーベナ・ボナリエンシス/アリウム/チューリップ

【日陰】

後方に低木・ノリウツギを多数植え、植栽の背景とさせながらボリュームを加え、見応えを出しています。またアカンサスなどのユニークな花を用いることで、見る人の目を引くなど、ガーデンへの興味をそそる工夫が施されています。

【日陰の主な植物リスト】

カレックス/ギボウシ/ツワブキ/クサソテツ/アカンサス・モリス/バプティシア/ユーパトリウム’チョコレート’/ペルシカリア‘ファイヤーテール’/アジサイ‘アナベル’/オトコエシ/オミナエシ/カクトラノオ/ペンステモン/アリウム/チューリップ

コンテストガーデンE
武蔵野の“これから”の原風景

清水一史

清水一史

(東京都)

福井に生まれ、金沢で大学時代を過ごす。民間の不動産会社で都市再開発に伴う外構や公園、道路の整備に従事。三鷹市の鴨志田農園で完熟堆肥作りを学び、暮らしの中で出る生ごみから堆肥をつくること、土づくりや野菜栽培、植栽設計など屋外空間を彩り、暮らしていく術を日々実践中。

【作品のテーマ・制作意図】

世界的に”Climate Change(気候変動)”が叫ばれ、日本でも夏の猛暑、雨不足による水ストレスが植物を苦しめました。農業技術である完熟した堆肥をはじめ有機資材を使い、微生物に富み団粒構造を持つ土壌を作ることからはじめ、これまで武蔵野の草原風景を担ってきた在来植物を中心にガーデンを構成します。都市の暮らしの中でこぼれ落ちてきた技術、植物でこれからの武蔵野の風景を模索していきます。

【日向】

設定した築山~低地により生まれる、わずかな環境条件の違いを生かして植物を選定。右後方に明るい日陰、やや湿り気のあるゾーンを作り、そのほかの広範囲は乾燥気味になることを意識して植栽しています。植物は武蔵野の在来種を中心に、9割が日本生まれの野草を用いています。

【日向の主な植物リスト】

ヤマハギ/ミソハギ/オミナエシ/ノガリヤス/チカラシバ/フジバカマ/オトコエシ/コマツナギ/ワレモコウ/シラヤマギク/カワミドリ/フジアザミ/ノダケ/ヒヨドリバナ/キセワタ/マツムシソウ/クララ/オカトラノオ/ヤマホタルブクロ/ツルボ/キキョウ/アサマフウロ/タカノハススキ/ミスカンサス‘モーニングライト’/ミツバシモツケ/カタクリ/ムラサキ/カライトソウ/タムラソウなど

【日陰】

前方・中央・後方と大きく3つに分け、やや湿り気、乾燥、湿り気のあるゾーンに分けて植栽。複数のシダやヤグルマソウ、オオバギボウシなどのリーフ類に楚々とした花を合わせています。こちらにはグラス類の使用を抑え、日向の植栽と大きく差別化を図っています。

【日陰の主な植物リスト】

フクジュソウ/ヒトリシズカ/フタリシズカ/ツリガネニンジン/キバナノアキギリ/チダケサシ/シュウメイギク/クジャクシダ/ナチシダ/クサソテツ/ヒトツバ/ナキリスゲ/ゲンノショウコ/ナガボノシロワレモコウ/ヤグルマソウ/キョウガノコ/チョウジソウ/アキカラマツ/フシグロセンノウ/キリンソウ/エゴポディウム・バリエガータ/ツワブキ・アージェテリウム‘浮雲錦’など

コンテストガーデンを見に行こう! Information

都立神代植物公園(正門手前プロムナード[無料区域])
所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10
https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/
電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)
開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)
休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)
アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。

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