ツルニチニチソウの育て方|半日陰も明るく彩る強健グラウンドカバー! 失敗しないコツや注意点を解説
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「日陰でも育つ植物を探している」「手間をかけずに庭を緑に彩るグラウンドカバーがほしい」……そんな希望にピッタリなのが、ツルニチニチソウです。
青紫の可憐な花と、冬でも枯れない美しい葉を持つツルニチニチソウは、強健で育てやすいグラウンドカバーとしてガーデナーから愛されています。日陰の庭を明るく変える斑入り品種も人気です。しかし、その丈夫さゆえに「増えすぎて困る」という声も。
この記事では、ツルニチニチソウを育てる基本はもちろん、栽培時に気を付けたい注意ポイント、ヒメツルニチニチソウとの違いまで詳しく解説します。
目次
ツルニチニチソウの基本情報

植物名:ツルニチニチソウ
学名:Vinca major
英名:bigleaf periwinkle、large periwinkle、greater periwinkleなど
和名:ツルニチニチソウ(蔓日々草)
その他の名前:ツルビンカ
科名:キョウチクトウ科
属名:ツルニチニチソウ属(ビンカ属)
原産地:南ヨーロッパから北アフリカ
形態:多年草(または亜低木)
ツルニチニチソウの学名はVinca major。キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属(ビンカ属)の多年草または亜低木で、原産地は南ヨーロッパから北アフリカにかけて。つる性で匍匐するようによく広がり、グラウンドカバープランツやハンギングバスケットなどで活躍します。暑さや寒さには強く、一般地では周年戸外で管理できます。
ツルニチニチソウの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:3月下旬〜6月上旬
草丈:数m
耐寒性:普通
耐暑性:強い
花色:青紫
開花期は3月下旬〜6月上旬。筒状で花びらが5つに分かれた風車のような青紫の花を咲かせます。卵形の葉は先端が細くなって鈍く尖ります。数mと旺盛に伸びるつるは地表を這うように成長し、節から根を下ろしてよく増えます。常緑性のため冬でもみずみずしい葉姿を楽しめ、斑入り種はカラーリーフプランツとしても人気です。
一面に咲くツルニチニチソウ。riphoto3/Shutterstock.com
ツルニチニチソウが人気の理由

ツルニチニチソウは強健な性質で放任してもよく育ち、病害虫の心配もほとんどありません。常緑性の多年草または亜低木で一年を通して美しい葉姿を保ち、また一度植え付ければ毎年の開花を楽しめるのが特徴です。半日陰でも生育し、葉にクリーム色が散る斑入り種を選べば、北側の庭などを明るく彩ってくれるので人気があります。
ツルニチニチソウの名前の由来と花言葉

ツルニチニチソウは漢字で書くと「蔓日々草」。つる性で、同じくキョウチクトウ科のニチニチソウに似た花を咲かせることから名づけられました。ちなみに、ニチニチソウは「ビンカ」という別名もありますが、ビンカはツルニチニチソウの学名。ラテン語で「結ぶ」を意味し、つるを花輪に利用したことに由来します。なぜニチニチソウの学名からではないのか疑問に思うかもしれませんが、以前はニチニチソウの学名がVinca rosea(現学名はCatharanthus roseus)であったことが理由です。
ツルニチニチソウの花言葉は、「楽しき思い出」「生涯の友情」など。楚々とした花姿ながらも強健な性質がこれらの花言葉の背景にあるようです。
ツルニチニチソウの代表的な種類
日本でよく流通している種類には、ツルニチニチソウと、それよりも小型のヒメツルニチニチソウの2種類があります。
ツルニチニチソウ Vinca major

花径約5cm程度の一般的なツルニチニチソウ。学名の「major」は「大きい」を意味します。耐寒性は普通程度にあり、耐暑性が強いため、温暖な地域での栽培に向きます。成長スピードが速く、広い範囲をカバーします。
ヒメツルニチニチソウ Vinca minor

花径は約2cmと、ツルニチニチソウよりも花や葉が一回り小さいのが特徴で、寄せ植えなどにも使いやすいです。学名の「minor」は「小さい」を意味します。ツルニチニチソウよりも耐寒性や耐陰性が強い一方、耐暑性は普通程度とやや弱めで、寒冷地での植栽に適しています。生育もツルニチニチソウよりはゆっくりで、比較的コンパクトにまとまります。薄紫や赤紫、白などの花色があり、八重咲き品種もあります。

斑入り品種

ツルニチニチソウの斑入り品種は人気が高く、カラーリーフのグラウンドカバーとしても活躍します。斑には中斑や覆輪などのタイプがあります。斑入り品種は花が少ない傾向にあります。

ツルニチニチソウの栽培12カ月カレンダー
開花時期:3月下旬~6月上旬
植え付け・植え替え:3月下旬〜5月上旬、10月頃
肥料:3月下旬〜5月上旬(元肥)、6月上旬(鉢植え)
ツルニチニチソウの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】基本的に日当たりと風通しのよい場所を好みますが、半日陰の環境でもよく育ちます。斑入り品種は真夏に強い日差しを浴びると葉焼けすることがあるため、午前だけ日が差すような東側か、木漏れ日がチラチラと差す落葉樹の株元など、半日陰の涼しい場所で夏越しさせるとよいでしょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本ですが、耐陰性があるため室内でも栽培できます。ただし、日照が不足すると花が咲かなくなるため、窓辺など明るい環境で育てましょう。
【置き場所】水はけのよい環境を好みます。腐葉土や堆肥を多めにすき込み、有機質に富んでふかふかとした土づくりをしておくとよいでしょう。ヒメツルニチニチソウや斑入り品種は、夏は半日陰で管理するのが無難です。
耐寒性・耐暑性
ツルニチニチソウの耐寒温度はマイナス5℃程度と耐寒性はありますが、寒冷地では落葉することがあります。耐暑性は強く、特に夏越しの対策は必要ありませんが、斑入り品種は葉焼けに注意が必要です。ヒメツルニチニチソウはツルニチニチソウよりも寒さに強く、耐寒温度はマイナス10~15℃です。
ツルニチニチソウの育て方のポイント
用土

【地植え】
植え付けの約2週間前に、植える場所に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておいてください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の草花用の培養土を利用すると手軽です。自身でブレンドする場合は、赤玉土小粒5、腐葉土4、砂1の割合で配合し、水はけのよい土を作るのがおすすめです。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元周辺の表土を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、早朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。その後の追肥は不要です。
【鉢植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。その後は6月上旬に、緩効性肥料を株の周囲にばらまき、軽く耕して周囲の土に馴染ませます。
注意する病害虫

【病気】
は病気の心配はほとんどありませんが、まれに立ち枯れ病が発生することがあります。
立ち枯れ病は根や地際の茎から感染する病気で、だんだん生育が悪くなり、葉が黄色くなって株全体に広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用する殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。
【害虫】
害虫の心配はほとんどありませんが、まれにハダニやカイガラムシが発生することがあります。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
カイガラムシの体長は2〜10mmほど。茎などについて吸汁し、だんだんと株を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。発見したら、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。
ツルニチニチソウの詳しい育て方
苗の選び方
葉の色艶がよく、株元からつるが多く出て、節間が詰まって間延びしていないがっしりとした苗を選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え

ツルニチニチソウの植え付け適期は、3月下旬〜5月上旬、10月頃です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢をくずさずに植え付けましょう。最後にたっぷりと水を与えます。複数の苗を植える場合は、40〜60㎝の間隔を取って植え付けます。
地植えの場合は、毎年植え替える必要はありません。しかし3〜4年植えっ放しにしていると大株に育ち、根が込んで株が老化してくるので、株分けして植え替えるとよいでしょう。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けていきましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。大きな鉢を準備し、ほかの草花と寄せ植えにしてもOKです。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して古い根を整理して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
剪定と刈り込み

密に茂って風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるため、適宜剪定しましょう。つるを伸ばして旺盛に生育するので、繁茂しすぎていたら間引くように透かし剪定をします。どこで切ってもよく、再び茎葉を伸ばすので強めに切り戻してもかまいません。斑入りの品種から緑葉が発生したら、元から切り取りましょう。
増やし方

ツルニチニチソウは、茎伏せや挿し芽、株分けなどで増やすことができます。この章では、それぞれの方法についてご紹介します。
【茎伏せ】
茎伏せとは、茎を地面に誘引して土をかぶせ、発根したら切り離して新しい株を作るという増やし方。ツルニチニチソウは勝手に発根して増えるほど生育旺盛なので、伸びたつるを横に寝かせ、葉のない部分に土をかぶせて動かないように固定しておくだけで、発根して簡単に増やすことができます。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ツルニチニチソウは挿し芽で増やすことができます。
挿し芽の適期は、5〜6月です。その年に伸びた新しくて勢いのある茎を10〜15㎝の長さで切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置き、乾燥させないように管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
【株分け】
株分けの適期は3月下旬〜5月上旬か、10月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、株分けをして若返りを図ります。株を掘り上げて、数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
ツルニチニチソウ栽培の注意点とトラブル対策

ツルニチニチソウの栽培では、繁茂しすぎて困るなどの相談が寄せられます。この章では、栽培の注意点とトラブル対策についてガイドします。
繁殖力が強すぎる場合の対処法
ツルニチニチソウは、旺盛に生育するので「繁茂しすぎて困る」という声が上がります。地植えの場合は追肥をせずに管理し、定期的につるを剪定して広がりすぎないようにしましょう。生育範囲を制限したい場合は波板状の根止めシートなどを埋めて囲うなど、園芸資材の利用もおすすめです。
枯れる・元気がないときの原因と対策
ツルニチニチソウは、半日陰の環境でも生育しますが、あまりに日当たりが悪く暗い環境下では株が弱ってしまうので、日照不足になりすぎていないか、日当たり具合をチェックしてみてください。また多湿を嫌うので、水はけのよい土づくりも大切です。水辺に近い場所や低い場所、粘土質で水はけが悪い土壌には向いていません。植え付けの際は周囲よりも少し高い場所を選び、水はけが悪い場所では腐葉土や堆肥、川砂を混ぜるなどの土壌改良もしておきましょう。
植える場所の注意
ツルニチニチソウは繁茂力が強いため、花壇に植えると勢力を広げすぎてほかの植物との調和を乱すことがあります。混植する場合には、波板状の根止めシートなどを埋めて囲い、生育範囲を制限しておくとよいでしょう。
毒性に注意
ツルニチニチソウは全草にアルカロイド系の有毒成分を含みます。口にしなければ問題はありませんが、子どもやペットの誤食には注意が必要です。また、肌が弱い人は剪定時の樹液によりかぶれることがあるので、手袋を着用して作業すると安心です。
外来種としての扱いと地域での注意点
ツルニチニチソウは、重点対策外来種に指定されています。特に規制はありませんが、お住まいの地域の条例や自治体のガイドラインを確認しておきましょう。自宅の敷地外に持ち出して野生化させないことも大切です。非常に強健で、ちぎれたつるからも根付くため、剪定したつるや抜いた株も不用意に捨てないようにしましょう。
ツルニチニチソウを育ててみよう

涼しげな青紫や白の花を咲かせるツルニチニチソウは、強健な性質で放任してもよく育つのでビギナーにもおすすめ。半日陰でもよく育つので、斑入り種を選べばカラーリーフプランツとして暗めの場所を明るく見せる役割も果たしてくれます。ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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