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ニチニチソウ(日々草)の育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

ニチニチソウ(日々草)の育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

ニチニチソウは、夏の炎天下にも元気いっぱい、微笑むように咲く花です。ニチニチソウ(日々草)という名前のとおり、最盛期には毎日次から次へと花が開き、庭の一角が色とりどりの笑顔で埋まります。暑さに強いのは、ニチニチソウが熱帯地方の出身だから。あまり手が掛からないので初心者の皆さんにもお勧めです。簡単とは言え、育て方にはいくつかのコツがあります。日々草の「日々」のお手入れから寄せ植えまで、育て方や楽しみ方のポイントを、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ニチニチソウ(日々草)を育てる前に知っておきたいこと

ニチニチソウはインド洋のマダガスカル島やモーリシャス島が原産。高温や強い日差し、乾燥などに強く、丈夫で育てやすいことから、夏の花壇の定番の一つとして人気があります。

暑さに強いだけではありません。ニチニチソウは排気ガスなどの大気汚染に対する耐性も高いため、クルマが多い道路沿いの花壇でも大活躍。5月から10月頃まで一年の半分以上も、元気に花咲き静かに花散る姿を繰り返し楽しめるとは、なんというコストパフォーマンスの高さでしょう。

自生地では毎年花を咲かせて生長し低木状になる多年草ですが、ニチニチソウは気温13度以下の寒さに弱く、日本では霜の降りる前に枯れてしまうことが多いので一年草として扱われています。

ニチニチソウの基本データ
学名:Catharanthus roseus
科名:キョウチクトウ科
属名:ニチニチソウ属
原産地:熱帯~亜熱帯(マダガスカル~インド)
和名:ニチニチソウ(日々草)
英名:Madagascar periwinkle
発芽適温:20~25度
生育適温:20~30度
開花期:5~11月
花色:白、紅、赤、ピンク、赤紫など

ニチニチソウの花は短命で、3~5日しか持ちません。そのかわり、盛りの時期には同じ株に毎日、あとからあとから新しい花が咲き続けます。ニチニチソウの花びらは‟独立した5枚”のように見えますが、正確には、根元が筒状になっている花の先が大きく5つに裂けて花びら状になったもの。花の大きさは大輪品種で直径5cmぐらい、極小輪品種ではわずか1cm程度です。草丈も横幅も、20~50cmほどに生育します。

健気で可憐な花弁ばかりに目がいきがちですが、葉っぱの美しさにも注目してあげてください。均整のとれた楕円形の葉は濃緑色で肉厚、ツヤツヤと光沢があり、ニチニチソウは花のない時期でも思いのほか見栄えがします。

洋風イメージの強いニチニチソウですが、日本に入ってきたのは江戸中期と言われていますから、意外と古くから庶民に親しまれてきたのかもしれません。

ニチニチソウ(日々草)の品種と、上手な選び方

ニチニチソウ属の植物は8種あり、そのうちの7種までがアフリカのマダガスカルに分布しています。現在、園芸店などで目にする品種群は、マダガスカル原産のロゼウス(Catharanthus roseus )を中心に改良したものです。

ニチニチソウの定番カラーは、赤、白、ピンクの濃淡系などですが、最近ではオレンジや、黒に近い紫、マーブル模様などいままでになかった花色の品種も出てきており、迷うのが楽しくなるほどに選択肢が増えてきました。

花色と同時に花形の改良も進み、「カクタス咲き」(ダリアのように花びらが巻き込まれて筒状になっている形)や「風車咲き」(かざぐるまのように見える形。「スプーン咲き」とも)、「フリンジ咲き」(花びらにギザギザのフリンジが入っている形)など、多様なパターンのニチニチソウが流通しています。

また、花色や花形とは別に、ニチニチソウは生育の特性によって「矮性」「立ち性」「這い性」という3つの種類に分類されています。

「矮性」はこぢんまりとしたまま、あまり大きく生長しないタイプ。「立ち性」は茎が直立方向に育つもので、逆に「這い性」は地面を這うように伸びていくものです。高さよりも横に広がりたがるので、這い性タイプは吊り鉢にもよく合います。

このように、品種が豊富なニチニチソウですが、花色や花形によって、育て方に大きな違いはありません。どれを選んでも、「あまり土質を選ばず、高温と日照を好む、乾燥に強い丈夫な草花」というニチニチソウの特徴は共通していますので、置き場所の雰囲気や、色・形の好みで自由に品種を選べばよいでしょう。種や苗を購入する時期は、たくさんの園芸品種が出回り始める4~5月頃が狙い目です。

ニチニチソウ(日々草)を育てる前に準備しておくことは?

ニチニチソウは、種まきからでも苗からでも育てることができます。

種まきをするときは、種まき用のビニールポットに植えていきます(ニチニチソウは直根であるため、種まき用の浅鉢は不向きです)。

苗から育てる場合には、ビニールポット入りの苗を購入することになるので、新たにポットを用意する必要ありません。また、地植えをするなら、当然、プランターも鉢も不要です。日当りがよければ、鉢植えでも地植えでも、ニチニチソウは丈夫に元気に育ってくれます。

《準備するもの》
・ニチニチソウの種または苗
・用土
・肥料
・ビニールポット(種まき用)
・鉢底ネット
・鉢底石
・鉢またはプランター(鉢植えの場合)
・シャベル
・ジョウロなど

どれも、園芸店やホームセンター、インターネットショップなどで購入できます。

「育てるコツ」基本のキは、ニチニチソウ(日々草)に適した土作り

ニチニチソウは乾燥には比較的強く、その反面、湿っぽい環境を嫌がり、水はけのよい土を好みます。たとえば赤玉土(中粒)=5:腐葉土=3:酸度調整済みピートモス=2の配合土などが適しています。赤玉土(小粒)=6:腐葉土=4ぐらいの配合でもいいでしょう。

ただし、鉢植えで育てる場合は、あまり神経質になる必要もありません。市販されている「花用の培養土」で問題なく生長します。いかにも水はけが悪そうな花壇や普通の地面などで育てたいときは、元の土に腐葉土や川砂を混ぜ込んでおくなどの対策をしておいた方が安心でしょう。

ニチニチソウ(日々草)の育て方にはポイントがあります

名前に「日」の字が二つも重なっているニチニチソウですから、お日さまが大好きです。「土作り」の項目で記したように、「じめじめ・じとじと」は苦手です。ニチニチソウを元気に育てるための最大のキーワードは「日当たり」と「風通し」。丈夫なので、明るめの日陰でも栽培は可能ですが、日照不足になるとやはり花つきが悪くなり、茎も徒長してひょろひょろと間延びしやすくなります。鉢やプランターは、できるだけ日当たりがよく風通しのよい場所に置いてあげてください。

ニチニチソウに限ったことではありませんが、病気の原因となる泥はねを避けるために、周囲より一段高くなった場所や、すのこ、人工芝などを敷いた上に鉢を載せておくのもいいでしょう。鉢植えで育てる場合、梅雨期は、根腐れの原因にもなりかねないので念のため軒下などに移動させておくと、ニチニチソウもきっとほっとするでしょう。

じめじめが嫌いで乾燥に強い、と言われるニチニチソウですが、極端な乾燥は苦手です。ここを勘違いして、鉢植えをカラカラにしたままにしないよう注意してください。あとでご説明しますが、「水やりはメリハリをつけて」、がポイント。また、ニチニチソウの根は移植に弱い性質がありますので、植え付けのときにも優しく慎重に扱ってあげましょう。

ニチニチソウは、前述したように、原産地では多年草ですが日本では冬の寒さに耐えられず枯れてしまうため、一年草として扱われています。逆に考えると、寒さ対策、日照対策さえきちんとできれば、ニチニチソウは日本でも、本来の多年草に「返り咲ける」わけです。挑戦してみたい人は、冬場に鉢を室内に取り込み、室温10度以上をキープして育ててみましょう。「室内でも日当り良好・気温10度以上」という条件をクリアできれば冬越しが可能になり、冬越しが可能になれば毎年花を咲かせられるようになります。丈夫で手間のかからないニチニチソウにあえて手間をかけ冬越しにトライしてみるのも、なかなか楽しいのではないでしょうか。

ニチニチソウ(日々草)の育て方~苗から始める~

苗の選び方

ニチニチソウの苗は4月ごろから出回り始めます。ネットショップではなく園芸店などで実際に見て確認できる状況なら、葉っぱの緑色が生き生きとしていて、茎が間延びしていない、しっかりした苗を選んでください。

苗は、同じ品種なら多少値段が高いものを購入した方が安心です。ニチニチソウの苗はもともとそれほど高額ではありませんが、その中でもやや高級なものの方が、育ちがよかったり花がつきやすかったりと、それなりのメリットはあると思います。

植え付け時期

地域によって差がありますが、ニチニチソウの植え付け時期は、だいたい4月下旬から7月ぐらいまで。少しでも長く楽しむためには、最低気温が20度を超え始めた頃、早めの植え付けがお勧めです。

植え付け方法

ニチニチソウの植え付け時に知っておいた方がいいのは、ニチニチソウの根が「直根性」であるということ。直根性とは、太い根っこがほとんど枝分かれせずに地中深く直線的に伸びていく根の性質のことです。

地中深く伸びた後に細根が分岐することもありますが、基本的には、メインの太い根がどんどん真下に伸びていきます。人間なら大動脈、もしくは心臓そのものといったイメージでしょうか。大切な心臓部でありながら、傷つくと再生しにくい根であるため、ちょっと折れただけでも植物全体が大きなダメージを受け、そのまま枯れてしまうことも珍しくありません。

買ってきたポット苗をプランターや花壇に植え付ける際には、根には触らず(根をほぐさず)、そっと土に埋めてあげる細心の注意が必要です。一度植えたニチニチソウは、別の場所に植え替えることはできないと思っておいた方がいいでしょう。

以下に、鉢植えでの植え付けの手順を、簡単にご紹介します。

① 草花用の培養土を用意します。必ず新しい土を使用してください。

※以前に植えた草花が枯れて土が余っているからといって、それを再利用するのはおすすめできません。古い雑菌が繁殖していたり、目に見えない虫の卵が含まれている可能性があるからです。また、肥料が偏っていることで生長不良が起きる危険性もあります。

② 土に元肥(「もとごえ」「もとひ」)が含まれていない場合は、あらかじめ肥料を混ぜておきましょう。(「6.ニチニチソウと仲よくなるための日々のお手入れ」内の「ニチニチソウへの肥料の施し方」を参照してください)

③ 鉢の底に鉢底石(軽石)を2~3cmほど敷いて、その上から半分~3分の2ほど土を入れます。

④ ビニールポットから取り出した苗を、土の上に静かに載せて、残りの土を苗の周りに被せていきます。このとき、根鉢(土と根が一体化した固まり)の表面が見えるぐらいの浅さで植え付けること。深く植えすぎると、株元が過湿状態になるので注意してください。

鉢植え・庭植えに限らず、2本以上の苗を植え付ける場合、必ず20~30cmぐらいの間隔(株間)をあけましょう。

⑤ 土は鉢の上端まで目一杯入れず、1~2cm程度の余裕(水やりのときに溢れないようにするためのウォータースペース)を残し、棒などでつつきながらムラなく被せていきます。

⑥ 土を入れ終えたら、鉢の底からじわじわと水が流れて出てくるぐらい、たっぷりと水を与えておきます。

植え付けは、植物の活動が盛んな午前中に行ないましょう。天気がよく風の弱い日がベストです。

ニチニチソウ(日々草)の育て方~種から始める~

種まき時期

ニチニチソウの発芽適温は、熱帯原産の植物だけに、20~25℃と高めです。日差しが強くなってきたなと感じても、実際に気温が安定して20℃を超えなければ発芽しません。東京だと4月中旬から下旬ぐらい。大まかな目安として、ニチニチソウの種まき時期に適しているのは、ソメイヨシノの後に八重桜が咲く頃の気候です。

逆に、30℃を超える真夏になってしまうと、今度は暑さで発芽しにくくなってしまいますので、4~6月の範囲内で最適な気温に到達するタイミングを見計らってください。

種まき方法

前述したように、ニチニチソウは根が非常にデリケートなので、初めは育苗ポットなどで育て、ある程度生長したら土ごと花壇やプランターに移植できるようにしておきましょう。

① 苗の注意点と同じように、必ず新しい土を用意し、育苗ポット、育苗箱などに一杯に入れておきます。

② 種と種の間隔を適当にあけて、1cmほどの深さのところに種をまき、たっぷりと水を与えます。ニチニチソウは、日当たりが大好きなのに、種に太陽光が当たると生長に障害が出やすくなる「嫌光性」の植物なので、種をまいたら必ず上から軽く土をかぶせて日光から守ってあげなければいけません。

10~14日ほどで発芽します。この間とくに土が乾燥しないよう注意が必要です。まめに水やりをして、日差しや風の強さによっては、新聞などで覆ってあげてもいいでしょう。

ニチニチソウ(日々草)と仲よくなるための日々のお手入れ

ニチニチソウは、とても育てやすい植物です。日々の管理は「放任でいい」と豪語する人もいるほど。しかしそんな人も、水やりと施肥については充分に気を遣っているはずです。人間だって、真夏の健康管理に重要なのは、適切な水分補給と栄養補給。夏が大好きなニチニチソウにとって、元気の源は、やっぱり水と肥料なのです。

水やりのタイミング

庭植えでは、雨のかかる場所に植えつけた場合、盛夏を除いてほとんど水を与える必要はありません。

気をつけなければいけないのは、鉢植えの場合。「どんどん早く育て育て」と願う気持ちが強いと、ついつい頻繁に水をあげたくなってしまいますが、ニチニチソウへの水やりは、土の状態をよく見て「完全に乾いていたら」が鉄則です。

前にも述べたように、ニチニチソウは、中途半端に土が湿っている環境を好みません。そうしたジメジメ状態で育てていると、ときには根腐れして枯れてしまうこともあります。土が乾くまでは、じっと我慢し水をあげない。

ただし、ニチニチソウは、カラカラに乾いた状態が大好きというわけではありません。乾燥に強いと言っても、我慢強いだけ。カラカラの土を放置せず、乾きのピークを見逃さず、ここぞというタイミングで水をあげてください。

季節ごとの水やりの仕方ですが、春から梅雨までと9月中旬以降は、土が乾きにくくなるので、過湿にならないよう、より慎重に水やりを行います。

意外にうっかりしてしまうのが、梅雨明けの頃。それまで水やりの頻度が減っていたため、習慣で、つい反応が遅れてしまうことも。急に土が乾燥しはじめる梅雨明けは、水のあげ忘れに注意してください。

真夏の間は、土の水分がどんどん蒸発してしまうので、朝と夕方の2回、定期的に水やりをしましょう。

水やりの最中は、できるだけ花に水が当たらないように気をつけます。花に水がかかってしまうと、ただでさえ寿命の短いニチニチソウの花がさらに枯れやすくなってしまうからです。

花とは違い葉っぱには、水分を嫌うハダニなどの害虫予防になるので、どんどん水をかけてください。ジョウロを使って株の上方から葉を伝わらせながら水を浴びせましょう。

肥料の施し方

ニチニチソウは丈夫なので、水さえあげていれば、肥料がなくても栄養失調で枯れるということはありませんが、花つきに影響が出ます。何しろ盛りの時期には、「このエネルギーはどこから来るのか?」と不思議になるほど「日々」開花を繰り返すニチニチソウです。エネルギー源を補充してあげるために、肥料は絶対に欠かせません。

まず、植え付けをするとき。元肥として、新しい土に肥料を混ぜ込んでおきます。初めから肥料の入った培養土を使うと簡単でいいでしょう。植え付け後は、開花シーズンまでお休み。開花時期に入ったら、2週間に1回程度のペースで、液体肥料による追肥を行なってください。一般的な緩効性化成肥料(ゆっくりと効くタイプの肥料)を1カ月半から2カ月に1回でも構いません。

ただし、どんなタイプを選ぶにしても、高濃度の肥料を一度にたくさん与えると根が傷んでしまうことがあるので、1 回に施す肥料は「少なめ・薄め」を心がけます。肥料の注意書きに記載されている適量よりもあえて少なめにしておいて、ニチニチソウの花の咲き方を観察し、必要ならば少しずつ量や濃度を上げていけばいいのです。

肥料の注意書き、と言えば、あらかじめ成分のバランスをしっかりチェックしておくことも大事です。たとえばチッ素が多めに入った肥料では、茎や葉はよく茂るものの、ニチニチソウの花が咲きにくくなったり、害虫が発生しやすくなったりする傾向があります。

おすすめは、チッ素(N) 、リン酸(P) 、カリウム(K) が等量入った肥料。たとえば鉢植えでは、薄めの液体肥料(N-P-K=6-6-6 )と緩効性化成肥料(N-P-K=12-12-12)を併用して、庭植えでは、緩効性化成肥料(N-P-K=12-12-12)だけを与える、といった使い方です。

7月以降は急激に気温が上がりニチニチソウもぐんぐんと生長しますので、ニチニチソウへの水やりと施肥を欠かさないようにしましょう。なお、酷暑期間の施肥は避けましょう。

ニチニチソウ(日々草)の花が咲いたら

地域によって違いますが、6~9月は、ニチニチソウのパワーが全開。一つや二つの花が枯れても二つ三つの花が「われ先に」と競うように咲き続けるので、花壇やプランターでは連日、ニチニチソウの可憐な花が楽しめます。

ニチニチソウの花は、3日ほどで花びらが落ち始めます。潔くポロっと落ちていきます。この潔さがまたニチニチソウのいいところ。ニチニチソウは、セルフクリーニングの花です。花がらが自然に落ちてくれるから、花がら摘みの手間がかかりません。

とは言え、株の上にニチニチソウの花びらが溜まってしまうと、とくに梅雨期など湿気の多い時期はカビが生えて新芽や葉っぱを傷めてしまいます。散り落ちたニチニチソウの花びらはこまめに取り除いてあげましょう。

そうしてニチニチソウの花が落ちたあとには、やがて細長いサヤが付き、種が付いていきます。放置すると株の栄養が取られてしまうので、種を採取する時期が来るまで少しでも長くニチニチソウの花の盛りを楽しむために、気づいたらすぐにサヤを摘み取ってください。

剪定を行うときは、時期に注意しましょう

繁殖力が旺盛なのはいいのですが、ニチニチソウはそのまま咲きっぱなしにさせていると自由奔放に生長し、どんどん野暮ったく間延びしていくので、時期を見てすっきり剪定してあげましょう。

① 梅雨入り前に、ニチニチソウの苗が本葉8枚くらいまで育ったら、まず先端の芽を摘みます。いわゆる「摘心」です。早い時期にニチニチソウの摘心を行うと、そのワキから新たなニチニチソウの芽が出てきて茎の本数が増え、ニチニチソウ全体の茂り方のバランスがよくなっていきます。

② 梅雨が明けてニチニチソウがぐんぐん生長し形が崩れ始めてきたら、伸びすぎた茎を適当な位置で短くカットします。これは、「切り戻し」と呼ばれる処置です。切り戻したすぐ下の葉のワキから新たな芽が出てくるので安心してください。

剪定のポイント

1つの茎に必ず数枚の葉が残るような位置で切り戻しをしてください。脇芽が伸びて茎が二又に分かれているときは、分岐点のすぐ上の部分で、切りたい側の茎の元をカットします。花が付いている茎でも、気にせずに切ってしまいましょう。

まだ苗が小さいときや、生長した苗でも9月以降やや涼しくなってきたときは全体の3分の1程度を切り落とします。大きく育ちがよいニチニチソウは、暖かい時期に思い切って2分の1くらいまでバッサリと切り戻しをしておくといいでしょう。

このときの注意として、必ず、切る部分の下に葉が10枚以上あることを確認してから切り戻しましょう。葉が少ない場合、そのまま立ち枯れてしまうことがあります。

こうした切り戻しを夏までに繰り返すと、花つきがよくなり、開花時期のギリギリ最後まで、姿のよいニチニチソウが楽しめます。

知りたい!ニチニチソウ(日々草)の増やし方

種の採取の時期と方法

「ニチニチソウの花が咲いたら」の中でも説明したように、ニチニチソウの花が終わると、小さな豆のようなサヤができます。株の栄養を取られたくない時期にはビシバシ摘んでいき、種を採取する時期に入ったら、そのまま置いておきます。サヤが茶色になったら摘み取り、また新しい命と再会できるのを楽しみにしながら、できるだけ涼しく暗い場所で翌年の春まで保存しておきましょう。

毎日観察することが、病気や害虫の最大の予防法です

育てるときに注意したい病気

ニチニチソウは、どちらかと言うと病気や害虫に強い草花ではありますが、油断は大敵。「立ち枯れ病」には注意が必要です。ニチニチソウの苗の葉が丸まってきたなと思っていたら、ある日突然枯れてしまった…そんなとき真っ先に疑われるのが「立ち枯れ病」です。

立ち枯れ病
苗の根が水を吸えなくなり、やがて萎れて枯れてしまう怖い病気。カビの一種である病原菌は土に潜んでおり、茎から進入してきます。感染する植物病ですから、枯れてしまった苗はすぐに抜き取り、育てていた鉢やプランターにも菌が残っている可能性があるので、使いまわしもしない方がいいでしょう。

かかってしまってガッカリするより、まずはしっかり予防が第一。他の項目で説明した内容と重複しますが、予防策として、以下のようなことに留意してください。

①水やりに注意する
菌類はたいてい、梅雨期を中心に、高温多湿の環境で発生しやすくなります。ニチニチソウへの水やりは「乾いたらたっぷり」をつねに徹底。土を、だらだら湿らせておかず、定期的に完全な乾燥状態をつくりましょう。

②新しい用土を使う
鉢やプランターにニチニチソウを植える場合、古い土は使い回さないようにしましょう。

③風通しをよくする
葉や茎に水がかかってもすぐに乾くよう、植え付けの際、苗の間隔に余裕を持たせるようにしましょう。

④花がらをすぐに取り除く
ニチニチソウの花は、終わるとポロっと落ちます。その古い花弁の裏などで病原菌が繁殖してしまう可能性もあるので、花びらが散っていたら速やかに除去しましょう。

「立ち枯れ病」のように菌の関与が特定されている「病気」とは違いますが、もう一つ、ニチニチソウにつきもののトラブルの中で注意しておいた方がいいのは、花壇やプランターで育てる場合の「連作障害」です。

連作障害とは、同じ科目や属性の植物を続けて育てたときに「うまく生長しない」「花つきが悪い」「害虫が発生しやすくなる」「枯れる」など、原因不明の障害が現われる現象。

万全を期すなら、3年以内にニチニチソウと同じキョウチクトウ科に属する植物を育てた植木鉢やプランターは使わないようにしましょう。花壇の場合、それまで使っていた土を外へ掘り出して新しい土に入れ替えることで、連作障害を断ち切ることができます。

育てるときに注意したい害虫

ニチニチソウの主な宿敵は、ハダニとアブラムシです。

ハダニ
こっそり葉の裏に寄生して汁を吸います。被害が進行すると次第に葉色が悪くなり、草花や野菜では落葉して枯れてしまうこともあるので、小さくともバカにできません。そんなハダニは、水が大の苦手。ですから、ニチニチソウへの水やりの際、別項目でも説明した通り、株の上からジョウロで葉を洗うように水を浴びせる方法は、なかなか効果的です。スプレーで葉裏に水を噴霧するのもいいでしょう。

アブラムシ
新芽や茎、葉っぱにへばりついて吸汁し、植物に被害をもたらします。繁殖力が旺盛で、ウイルス病を媒介したり、分泌物で蟻を誘引したり、こちらもなかなかしぶとく厄介です。1匹でも見つけたらすぐに除去し、群棲を確認した場合は、早めに薬剤を散布して駆除しておきましょう。

アブラムシはチッ素が多い肥料を使用すると寄って来る習性があるので、普段から肥料の「チッ素は少なめ、濃度は薄め、量は控えめ」を習慣づけておくといいでしょう。

ニチニチソウ(日々草)と相性のよい寄せ植えの植物は?

ひと昔前は、ニチニチソウというと、子供がクレヨンで描く花のような、よくも悪くも‟単純なイメージ”がありました。花形もおとなしく、花色も、赤か白かピンクかの世界だったからです。

しかし最近では、淡い花色の品種や斑入りの品種、大輪で矮性の品種などが次々と登場。さらには小輪系の品種も充実してきており、これまではどちらかというと寄せ植えの脇役としても声がかかりにくかったニチニチソウが、いまや夏の花の主役を張れるほど、おしゃれ度をアップしています。

そんなニチニチソウを、他の植物と一緒にアレンジするときは、基本的に、大きな二つの方向性があります。一つは、性質がニチニチソウとどれだけ近いかということ。暑さに強く、適度な乾燥状態を好む花から選んでおけば間違いありません。

もう一つは、開花時期がニチニチソウとどれだけ重なっているかということ。花壇に多種多様な花を植えて観賞する場合は、あえて開花時期をズラして季節の移り変わりを味わうのも一興ですが、鉢植えなどの限られた空間に、厳選した種類の花を寄せ植えするなら、ニチニチソウと一緒に全部の花が一斉に咲き誇ってくれた方が楽しいでしょう。

そんな観点で、「日当たりを好み、暑さに強く、乾燥気味の環境が最適な、6月~10月ぐらいに咲く花」の中から、人気があり比較的入手しやすいものを以下に挙げてみました。

・ペンタス
・ペチュニア
・ブルーサルビア
・センニチコウ
・アンゲロニア
・アメリカンブルー
・シロタエギク など

花色や草丈の組み合わせ方は、お好み次第。さまざまな品種が出てきたとは言え、やはりニチニチソウは熱帯系の花ですから、ペンタスやペチュニアなどのビビッドな花色を組み合わせて熱帯らしさを強調した方が、本来持っている元気ハツラツパワーが際立ってくると思います。

逆に、白や紫、薄いピンクのグラデーションのように上品な花色をメインに、アメリカンブルーやシロタエギクなどのシルバーリーフ系でアレンジすると、強烈な印象はなくなりますが、やわらかな清涼感が出てきます。

夏だから爽やかにいくか、あえてイケイケの熱帯系でいくか。花色や花形、草丈などのバランスを考えながら、想像力も創造力も働かせ、ニチニチソウとともに楽しい時間をお過ごしください。

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Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

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