セロリはサラダにして生食できるほか、肉や野菜、スープの香味づけ、漬物や天ぷらなど、用途の幅が広い食材です。この記事では、セロリの基本情報や特徴のほか、菜園やプランターでの詳しい栽培方法についてご紹介していきます。

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セロリとは?

セロリ
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セロリは、セリ科オランダミツバ属の一年草で、葉や茎を利用する葉菜類に分類される野菜です。原産地はヨーロッパ〜地中海沿岸で、冷涼な気候と適度に湿り気のある土壌を好みます。真夏の暑さはやや苦手です。別名はセルリーで、和名はオランダミツバ。和名はオランダから日本に持ち込まれ、独特の香りを持つためにこの名前がつきました。セロリの香りは肉や魚などの臭み消しになり、食欲を増進させる効果があるとされています。主に茎や葉をサラダとして利用されますが、スープの香りづけや肉・魚料理の香味野菜、漬物、炒めもの、天ぷらなど、さまざまに利用できる野菜です。

セロリの特徴

セロリ
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セロリは、地際から茎葉を多数立ち上げて生育します。食用するのは、第一節の長さが20㎝以上になった茎葉です。主に緑色のセロリと白のセロリがありますが、種類が違うわけではありません。白いセロリは「軟白」といって、太陽が当たらないように遮光して人工的に白く仕上げています。長ネギやウドと同じですね。

セロリはトウだちすると茎や葉が硬くなって食用できなくなりますが、そのまま見守っていると白い花が咲きます。派手さはありませんが、レースフラワーのような楚々とした愛らしさがあるので、花を楽しむのもいいですね。来年に向けて種を採取してもよいでしょう。

セロリの花言葉

セロリの花
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セロリの花言葉には、「真実の愛」「会える幸せ」などがあります。

セロリの育て方

ここまで、セロリの基礎知識についてご紹介してきました。では、ここからは家庭菜園の実践編として、詳しい育て方について掘り下げていきます。菜園・プランター栽培の両方の育て方について解説していきますよ!

栽培時期

セロリ
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家庭菜園でセロリを育てる際には、関東以西の暖地を基準にすると、5月中旬〜6月頃に種を播き、7月中旬〜8月中旬に苗を植え付けます(苗の植え付けからスタートしてもOK)。順調に生育すれば、10月中旬〜11月に収穫できます。成長に応じて、順次かき取りながら収穫してもよいでしょう。

栽培環境

セロリ
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日当たり、風通しのよい場所を好みます。冷しい気候を好み、適度な湿り気を好むので夏場は乾燥が続く場合は水やりをまめに行うとよいでしょう。

セロリの適した土壌酸度はpH5.5〜6.5です。必要であれば植え付けの2〜3週間以上前に苦土石灰を散布して土壌改良をしておくとよいでしょう。肥沃で水はけ、水もちのよいふかふかとした土壌を好みます。

種まき・育苗

セロリの種
celery seed isolated on white background

種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。ただし、セロリの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「2〜3株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。

セロリの種まき適期は、5月中旬〜6月頃で、発芽適温は15〜20℃です。

種まきから栽培する場合、花壇などに種を直まきすると、幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすいので、種まき用のトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種をまき、適した場所で管理すると、より確実です。

種まき用のトレイに市販の野菜用の培養土を入れて水で湿らせ、5〜8cmくらいの間隔を取って2列のまき溝を設けます。まき溝にセロリの種を重ならないようにまき、好光性の性質のため覆土はごく薄くにしておきましょう。霧吹きで水をかけるか、容器に水を張ってトレイの底から水を吸水させるなどし、発芽までは乾燥させないように水の管理をしてください。8〜15日ほど経つと発芽し、双葉が揃います。

発芽したら日の当たる場所で管理し、数本が込み合っている部分などがあれば抜き取って間引きましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。間引いた苗はベビーリーフとして利用できます。

本葉が3〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに野菜用の培養土を入れて、苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。多湿になると根の張りが悪くなり、ヒョロヒョロと頼りなく伸びる徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。本葉が7〜9枚つくまでを目安に育苗します。

土づくり

土づくり
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【菜園】

植え付ける場所に畝幅を約60cm取り、園芸用支柱や割りばしなどで畝幅の目印を四隅に立てておきます。畝の長さは、環境や作りたいセロリの量に合わせて決めて構いません。

植え付けの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥3〜4㎏、有機配合肥料約100〜150gを植える場所に均一にまいて、よく耕しましょう。畝の幅を約60cm取って、高さ10cmほどの畝を作ります。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。

【プランター栽培】

野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。

苗の植え付け

セロリ
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【菜園】

セロリの苗の植え付け適期は、7月中旬〜8月中旬頃です。

セロリの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。苗を選ぶ際は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い跡があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約60cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。畝幅の中央に植え穴を掘り、約30cmの間隔を取って苗を植え付けていきます。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。セロリは湿り気を好むので、株元に乾燥防止のための敷きワラをしておきます。

【プランター栽培】

8〜10号鉢に1株、標準サイズのプランターに2〜3株を目安にします。

底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。苗の根鉢より一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢を崩して苗を植え付けます。最後に底から流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。

水やり

水やり
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水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

【菜園】

地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちますが、雨が降らずに乾燥が続くようなら、適切に水やりをして補いましょう。適度な湿り気を好むので、梅雨明け頃から夏の間は敷きわらをしておくと効果的です。

【プランター栽培】

日頃の水やりを忘れずに管理します。セロリは適度な湿り気を好むので、水切れに注意してください。梅雨明け頃から夏の間は敷きわらをしておくと効果的です。

ただし、いつでもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたのを見計らってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

わき芽・下葉かき

剪定
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【菜園・プランター栽培共通】

セロリの株が根付いた後、わき芽が出たらそのつどかきとります。このわき芽は食べられるので、サラダなどに活用できます。また、変色した下葉があれば、これも摘み取っておきましょう。生育旺盛になると、わき芽や下葉が多く出るようになるので、しっかりケアしておきます。

追肥

肥料
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【菜園】

苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に1㎡当たり30gを目安に緩効性化成肥料を株の周囲にばら撒きます。その際に株の周囲をクワで軽く耕し、株元に土を寄せておきましょう。

【プランター栽培】

苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に緩効性化成肥料をひとつまみ程度、株の周囲にばら撒きます。その際に株の周囲をスコップで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。

軟白

セロリ栽培
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【菜園・プランター栽培共通】

青果店やスーパーで販売されているような、白い茎を収穫したい場合は、ひと手間かけることがポイントです。これは「軟白」といって、遮光資材を利用して太陽の光を当てないようにし、白い茎に仕上げます。

まず、収穫の3週間くらい前から、株の周りに厚紙やボール紙を巻いて、茎に太陽の光が当たらないようにします。すると、葉柄が白く伸びて収穫時期には白く軟白したセロリを収穫できますよ!

この軟白の作業は、してもしなくてもいい作業。軟白すると茎が長く伸びて柔らかめの仕上がりになります。軟白しないと葉が大きく広がりどっしりと仕上がり、香りが強くビタミンなどの栄養素も多くなります。食感の好みで選ぶとよいでしょう。

収穫

セロリ
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【菜園・プランター栽培共通】

茎の第一節の長さが20cm以上になったら収穫します。株ごと抜き取って一気に収穫してもいいですし、外葉から順番にかき取って収穫してもかまいません。かき取り収穫すると、長く収穫を楽しめますが、適期を逃すとスが入るので、収穫が遅れないようにしましょう。

セロリは主に茎の部分を食べますが、じつは葉のほうに栄養素が多く含まれています。葉もスープの香りづけやかき揚げ、薬味などにして利用するとよいでしょう。

注意したい病害虫

害虫
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【病気】

セロリは冷涼な気候を好むので、25℃以上の環境では病気を発症しやすくなります。特に注意したい病気は、軟腐病です。

軟腐病は細菌性の病気で、高温時に発生しやすくなります。特に梅雨明けから真夏が要注意。

成長点近くの茎、地際の部分が腐って悪臭を放つので、発症したのを見つけたら、周囲に蔓延しないようにただちに抜き取り、周囲の土ごと処分してください。予防としては、連作を避け(同じ科に属する植物を同じ場所に植え続けないようにすること)、水はけをよくしていつもジメジメとした環境にしないこと。また、害虫に食害されて傷ついた部分から病原菌が侵入しやすくなるので、害虫からしっかり守ることもポイントになります。

【害虫】

セロリの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、キアゲハです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついてしまうほどに。植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。

キアゲハはアゲハチョウ科の昆虫で、春から秋にかけて発生しやすく、主に幼虫がセリ科の植物を好んで食害します。幼虫がまだ若いうちは黒字に白斑が入る姿で小さく見つけづらいのですが、大きくなると5〜7㎝ほどのビッグサイズになって黒と黄緑の横縞にオレンジの斑点が散りばめられた姿を現し、ギョッとしてしまうかもしれません。若芽や葉を好み、幼虫が大きくなると旺盛に葉に穴をあけて一晩で被害が拡大することもあるので注意。葉の裏表をチェックし、葉に穴があいていないかチェックしておきましょう。見つけ次第補殺しておきます。成虫は花の蜜をエサとするので、近くに花が咲く植物を植えないこともポイントです。

料理の香りづけに活躍するセロリを育ててみよう

セロリ
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イタリア料理には欠かせないといわれるセロリ。独特の香りは肉や魚の匂い消しやスープの香りづけによく、食欲増進の効果もあるとされています。セロリは家庭でも栽培できる野菜の一つなので、ぜひ庭やプランターなどで育てて、旬の味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷
『だれでもわかる病害虫防除対策』監修者/草間祐輔 発行/万来舎 2012年4月5日第1刷

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