【プロが解説】今注目のオージープランツ「レプトスペルマム」入門。ギョリュウバイの仲間と最新品種&育て方
Chris S James/Shutterstock.com
近年、庭を彩るエキゾチックな魅力で注目を集めているのが、オーストラリアやニュージーランド原産の「オージープランツ」です。なかでも「レプトスペルマム(ギョリュウバイ)」は、あの高級ハチミツ「マヌカハニー」の蜜源として知られ、冬から春にかけて咲く可憐な花や美しい葉色が人気を呼んでいます。じつは多湿な日本でも比較的育てやすく、冬の寄せ植えに立体感を出すのにも最適な花木です。本記事では、プロの視点から最新の園芸品種の紹介に加え、“見た目では気づきにくい水切れ”といった失敗しないための管理のコツを詳しく解説します。
目次
ギョリュウバイの基本情報

植物名:レプトスペルマム
学名:Leptospermum scoparium
英名:New Zealand Tea Tree、Manuka
和名:ギョリュウバイ(檉柳梅)
別名:マヌカ、ニュージーランドティーツリー
科名:フトモモ科
属名:レプトスペルマム属
原産地:ニュージーランド、オーストラリア南東部、タスマニア
形態:常緑低木
ニュージーランドやオーストラリア南東部などが原産地の常緑低木です。白やピンク、赤の小花が冬から春にかけて長期間開花し、条件のよい場所で大きく育つと半年近く連続して開花します。一般には、冬頃に咲く花木のエリカなどと同様に、コンパクトな鉢植えとしてよく流通しています。ティーツリーの名がありますが、別属のメラレウカが同名でよく知られるので注意してください。園芸用の矮性品種が多く作出されていますが、国内では品種名の表記はほとんどなく流通しています。

種間交配により、美しい花がたくさん咲き、育てやすい園芸品種が徐々に流通するようになってきています。またギョリュウバイが含まれるレプトスペルマム属の仲間も数種類ほど流通し、エキゾチックな雰囲気の花木として人気が徐々に高まっています。また、さまざまな種類や園芸品種が出回るにつれて、属名のレプトスペルマムの名で流通することが増えています。
花の蜜を求めて蜂がやってくるギョリュウバイは、蜜源植物でもあります。BlackBoxGuild/Shutterstock.com
ギョリュウバイの特徴・性質

園芸分類:庭木、花木
樹高:0.1~3m
開花期:11月~翌年5月
耐暑性:やや弱い
耐寒性:やや弱い
花色:白、ピンク、赤
細く小さい葉は革質で硬く、葉色は濃い緑から銅がかります。地植えすると、樹高3mほどまで大きくなります。オーストラリアやニュージーランドの原産地では、10mを超えるほど高木に成長しているものもあります。
開花時期は晩秋から春頃ですが、寒さが厳しいと花は咲かなくなります。花色は赤やピンク、白があり、八重咲きの品種が多いです。原産地では一重の白花が一般的です。
半耐寒性の常緑樹で、寒冷地では鉢植えとして室内で越冬させます。弱い霜なら若干耐えるので、関東地方以西の海沿いの地域などでは、庭木として育てることができます。
レプトスペルマムの仲間は雨が比較的多いオーストラリア東部原産種が多く、多湿に弱いオージープランツのなかでも育てやすいです。またギョリュウバイと同程度の耐寒性があります。
ギョリュウバイのハチミツ、ハーブティー

ギョリュウバイは、ニュージーランドでマヌカの名で知られています。マヌカの花を蜜源としたマヌカハニーは、貴重で高価なハチミツとして非常に人気があります。優れた抗菌作用や抗ウイルス作用などさまざまな効能があるとされ、治療目的でも使われます。
近年日本でもマヌカの知名度が上がり、一重の白花が咲くギョリュウバイが「マヌカ」の名で苗が販売されていることが増えています。

葉が健康によいハーブティーになることから、ティーツリーの名でも知られています。現地のマオリ族が葉を煎じて飲用し、古来から薬用植物として利用されてきました。原産地の国々では観賞用としてだけでなく、ハチミツや製薬、エッセンシャルオイルのために栽培されています。
ギョリュウバイの仲間・園芸品種
‘アフロディーテ’ Leptospermum ‘Aphrodite’

花付きのよい交配種です。枝が横方向にもよく伸びてボリューム感があり、剪定に比較的強いです。樹高約2.5m、幅約2m。
‘ルドルフ’ Leptospermum ‘Rudolph’

濃いピンクの美しい花が咲く交配種で、新葉は紫色がかった色です。樹高2~3m、幅1.5~2m。
レプトスペルマム 「ラウンドリーフ」 Leptospermum rotundifolium

東オーストラリアの沿岸地域原産で、樹高1~2mほどであまり大きくなりません。丈夫で春にピンクの花が咲きます。
レモンティーツリー Leptospermum petersonii ( =Leptospermum citratum )

オーストラリア東部原産で、樹高5mほどになります。葉にレモンの香りがあるのが特徴で、白い花が6~7月に開花します。
レプトスペルマム・ブラキアンドルム(シルバーティーツリー) Leptospermum brachyandrum

オーストラリア東部原産で、樹高4~5mほどになります。葉は銀白色で、よく枝垂れる枝に白い花が咲き、シルバーティーツリーの名で流通します。主に川沿いの湿った場所に自生しますが、より乾燥した場所で生育する集団もあります。耐寒性はギョリュウバイよりやや強く、マイナス7℃の低温に耐えます。
レプトスペルマム・ポリガリフォリウム Leptospermum polygalifolium

オーストラリア東部原産で、アーチ状に伸びる枝に白い花が春にたくさん開花します。銅色がかった葉が特徴の‘カッパーグロー’などの品種が流通します。
レプトスペルマム・セリセウム Leptospermum sericeum( Leptospermopsis sericea)

西オーストラリア南西部の乾燥地が原産です。銀がかった葉色で、比較的大きなピンク色の花が咲きます。現在は別の属に分類されており、多湿やリン酸肥料に弱いと思われます。
ギョリュウバイの栽培12カ月カレンダー
植え付け・植え替え:4月中旬~5月
肥料:5月、10月
挿し木:4~5月
ギョリュウバイの栽培環境

適した環境・置き場所
日当たりと風通しがよく、排水のよい場所が適します。最低でも半日以上日光が当たる場所に置きますが、日当たりがよいほうが花付きがよく、枝も引き締まって育ちます。耐塩性があるので海沿いの植栽に利用できます。ただし、大きく育つと台風などの強風で倒れることがよくあるので、注意してください。
夏越し
高温多湿を嫌うので、夏は蒸れるような場所に置かないことが大切です。夏の猛暑時に鉢植えやプランターをコンクリートなどの床の上に直接置くと、照り返しで弱って枯れてしまうことがあります。午前中だけ日が当たる半日陰の高い場所に置くとよいでしょう。
冬越し
最低温度の目安はマイナス5℃で、軽い霜にあう程度なら枯れることはないでしょう。ただし、小株や購入したばかりの苗は、寒さに弱い傾向があるので注意してください。暖地でも強い北風が当たる場所は避け、建物の南側近くなどの暖かい場所に置いてください。
寒冷地では室内の日当たりのよい窓辺などに置いて越冬させてください。ただし春から秋は、室内での栽培は難しいです。
ギョリュウバイの植え付け・植え替え

適期
植え付け・植え替えの適期は、4月中旬~5月です。
植え付け
日当たりと排水がよい場所が適します。また暖地でも寒さが心配な場合は、建物の南側などの冬の北風が当たらない場所がよいでしょう。深さと幅が40~50㎝ほどの植え穴を掘り、腐葉土などの堆肥をすきこんでから植え付けます。深植えは避け、周囲よりやや高めに植えるとよいでしょう。
鉢植えの植え替え
1~2年に1回は植え替えてください。根鉢をあまりくずさず、一回りから二回り大きな鉢に植え替えます。
用土
弱酸性の水はけのよい用土を好みます。ハーブ用などのアルカリ性の用土では栄養障害を起こすので注意してください。鹿沼土6・腐葉土3・川砂1を配合した用土などを使います。
ギョリュウバイの育て方・日常の管理

水やり
鉢植えは、鉢土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。開花している鉢植えは意外と水分を多く必要とする場合があります。水やりを数日忘れただけで枯れることもあるので注意してください。
株の様子からは水切れしても分かりにくいので、土の様子をよくチェックするとよいでしょう。例えば、鉢を持ち上げて、軽ければ水切れしていることも。葉がだらんと垂れ下がっていたり、葉がチリチリと乾いているのが目で見て分かるほど水切れしていたら、手遅れの場合が多いです。
地植えした場合、根付くまでは土壌の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。1カ月ほどして根付けば、その後は水やりは不要です。
肥料
肥料は控えめで問題なく、多肥は避けてください。
地植えした場合は、肥料を与えなくても問題ありません。鉢植えは、5月と10月に3要素(N:窒素、P:リン酸、K:カリ)が等量の緩効性化成肥料を規定量の半分程度与えます。
病害虫
目立った病害虫の発生は少ないです。風通しの悪い場所で枝が密生すると、カイガラムシが発生することがあります。
ギョリュウバイの剪定

適した場所で育てれば、剪定せずに放任しても比較的問題なく育ちます。ただし、花後に枝先を切ったほうが、樹勢はよくなります。
剪定はひととおり花が咲き終わった夏前までに行います。ただし枯れた枝は見つけ次第切ってください。
細い枝がよく茂りますが、枝葉が茂りすぎて日当たりや風通しが悪くなると、部分的に枝が枯れます。適度に間引くような剪定をするとよいでしょう。
大きく仕立てたくない場合は、花後に葉がある部分の枝を、1/3~1/2程度まで切り詰めます。強い剪定は嫌うので注意してください。葉の少ない株は、控えめに切り戻したほうがよいです。
ギョリュウバイの増やし方

やや難易度が高いですが4~5月に挿し木で増やすことができます。枝を10~15cmほどに切って下葉を取り、鹿沼土などの清潔な用土に挿します。明るい日陰で管理し、挿し木後1週間くらいは乾かさないように水やりしてください。その後は挿し床の表土が乾いてから水やりします。
1~2カ月ほどで発根するので、2.5~3号ポット鉢などに鉢上げします。小苗は乾きやすく、乾燥すると深刻なダメージを受けるので、水切れに十分注意してください。夏は午前中だけ日が当たる半日陰で管理したほうがよいでしょう。
ギョリュウバイの栽培ポイント

- 鉢植えは、夏は午前中だけ日が当たる半日陰に置くと失敗しにくい
- 鉢植えは水切れが分かりにくいので注意
- 剪定は夏前に行い、強い剪定は避ける
- 冬の強風や霜、雪は避ける
- 中型~大型の株は、台風などの強風に注意
ポイントを把握すれば、ギョリュウバイを育てるのは比較的簡単です。また、冬に寄せ植えなどで使うことができる貴重な花木でもあります。パンジーなどの苗類だけでは高さがないですが、ギョリュウバイを加えれば立体的になります。
地植えで育てることができる地域も多く、比較的手間いらずで可愛い小花を長期間たくさん咲かせます。丈夫で育てやすいギョリュウバイの仲間も徐々に流通するようになり、新しい花木として今後の普及が見込まれているので、ぜひ苗を見つけたら栽培にチャレンジしてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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