梅に似た小花にはたくさんの蜜があり、マヌカハニーの蜜源になっている花木、ギョリュウバイ。葉も花もとても小さく、枝も細く冬の寄せ植えにも活躍する魅力的な樹木です。オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で25年間、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主、遠藤昭さんが、ギョリュウバイの魅力と育て方をご紹介します。

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日本で栽培が始まって約20年のギョリュウバイ

ギョリュウバイ

今回、紹介するオージープランツは、ギョリュウバイ(レプトスペルマム=学名:Leptospermum scoparium)だ。日本では12月頃から初夏まで咲くギョリュウバイは、「檉柳梅」という名称から、原産は中国か日本を思わせるが、じつはオーストラリア南東部とニュージーランドが原産。同じオーストラリアでも西オーストラリアの乾燥地帯原産の植物に比べ、湿潤で日本の気候に近いので日本でも育てやすく、近年すっかり冬咲く植物としてお馴染みになった。このギョリュウバイは、日本へは第二次世界大戦直後に渡来し、一般に流通したのは、この20年間くらいのため、日本では、まだあまり大きな木は見かけない。現地では高性種が3~7mほどの高さに育つが、日本で見かけるのは、樹高2~3m程度だ。

ニュージーランドで育つギョリュウバイ
ニュージーランドで育つギョリュウバイ。Gary Webber/Shutterstock.com

葉は、長さ6mm、幅2mmと、とても小さいが常緑で、花も直径1~2cmと小ぶりなので、寄せ植えにも使いやすく、狭い日本の住宅の庭木にも向いている。

ギョリュウバイの名の由来

ギョリュウバイ

このギョリュウバイは、ニュージーランドでは有名なハチミツのマヌカハニー(マオリ語でManuka)の蜜源としても親しまれ、ティーツリーとも呼ばれている。

ミツバチ
蜜を集めるハチ。M Rutherford/Shutterstock.com

日本において、アロマで親しまれているティーツリーはオーストラリア原産のメラレウカ(Melaleuca alternifolia)。 ギョリュウバイは、このメラレウカと同じフトモモ科の植物だが、別の植物であるため、New Zealand tea treeとも呼ばれている。

●参考記事『アロマオイルでもおなじみのティーツリーを育ててみよう【オージーガーデニングのすすめ】

そもそも、このギョリュウバイの名前だが、ギョリュウ科のギョリュウ(檉柳、または御柳 学名/Tamarix chinensis 原産/中国)に葉が似ていて、花が梅に似ているのでギョリュウバイ(檉柳梅)と名付けられたという。

ギョリュウ
こちらが中国原産のギョリュウ。Zaizev/shutterstock.com

しかし、一部では、「魚柳梅」と表記している書籍やサイトもある。僕自身はレプトスペルマム=Leptospermumを、最初にオーストラリアの書籍で知ったので、後に日本で「魚柳梅」がレプトスペルマムであることを知ったときは、ギョ!ギョ!ギョ!と、さかなクン状態だったのである。10年以上前に、このギョリュウバイの漢字について調べたことを思い出したが、やはり魚は間違いのようだった。だがその後も、日本では「魚柳梅」も定着してしまったようだ。

赤白ピンクのギョリュウバイ

ギョリュウバイ

日本ではギョリュウバイというと、八重咲きの赤花、またはピンクや白の花をイメージするし、実際に流通しているのはほとんどが八重咲きだ。しかし、原産地のオーストラリアやニュージーランドでは一重の白花が主流だ。

ギョリュウバイの花
接写でアップにして見ると、結構見事な花だ。蜜がたくさんあるのが分かる。

「Manuka」で検索すると、ほぼ白の一重の花が表示されるし、学名もLeptospermum scopariumで一緒だ。「Manuka honey」で検索すると、ハチミツと共に写っている花は完璧に白の一重咲きである。ハチミツ用は、日本で見かける八重咲きのギョリュウバイとは、少々見た目が異なるようだ。

日本のサイトでは一重のピンク咲きを「さくらギョリュウバイ」と呼んでいたりする。

一重のギョリュウバイ
この一重のギョリュウバイがハチミツ用だが、日本では珍しい。

ギョリュウバイの育て方

ギョリュウバイ

ギョリュウバイは寒さ暑さには比較的強いが、どちらかというと蒸し暑さに弱いので、風通しがよく、水はけと日当たりのよい場所が適地。神奈川の我が家では、以前、地植えで数年育った後に9月頃に枯死したことがある。オーストラリア南東部とニュージーランドの気候は、夏は乾期で空気は乾燥し、昼間は温度が上がっても、夜中は涼しく冷え込み、日本のような夏の蒸し暑さはない。やはり、植物を育てる時は、できるだけ原産地の気候の近づける工夫をしよう。

ギョリュウバイの鉢植え

剪定は花後の5~6月に刈り込めば、綺麗な形に整うし、花芽分化が9月なので、翌年も花を楽しめる。枝が細かく生えるため、樹形も整えやすいが密集しやすいので、蒸し暑い時期の風通しを考えて、枝抜きをしておくとよい。

ギョリュウバイの増やし方

ギョリュウバイ

挿し木で増やせるので、5~6月に花後の剪定で切った剪定枝を15cmほどに切って挿し穂にし、鹿沼土に挿したら、風通しがよく明るい日陰で管理。水切れしないようにすると数週間で発根するので、9月の彼岸までには鉢上げし、寒くなる前にしっかり根を張らせれば、少しの寒さには耐える苗ができる。

冬の寄せ植えにおすすめのギョリュウバイ

ギョリュウバイの寄せ植え

ギョリュウバイは、最近は寄せ植えにも人気で、冬の寄せ植えにも適している。パンジーや葉ボタン、アリッサムなど、なんとでも相性がよく、長い期間咲き続けてくれるのが魅力だ。

また、現地では盆栽にも人気があり、メルボルンの盆栽協会の展示会でギョリュウバイの盆栽を見たことがある。梅の盆栽ならぬ、檉柳梅の盆栽、素敵ですよ。盆栽好きのお知り合いが居たら、せひ、盆栽仕立てをすすめてみてください。

ギョリュウバイ

12月頃から、ギョリュウバイは園芸店の店頭で見かけるようになります。価格もリーズナブルなので、この冬から春にかけては、ギョリュウバイを育ててみませんか?

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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