「天使のハーブ」アンジェリカの魅力とは? 育て方と活用法を徹底解説!
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「天使のハーブ」として知られるアンジェリカ。繊細なレースのような花がふわふわと風に揺れる、エアリーで印象的な草姿がナチュラルガーデンで人気の高い植物です。見た目の美しさだけでなく、西洋では昔からハーブとして利用されてきました。この記事では、アンジェリカの魅力から育て方まで、詳しくご紹介します。
目次
アンジェリカの基本情報

植物名:アンジェリカ
学名:Angelica
英名:angelica、garden angelica、wild celery、Norwegian angelicaなど
和名:セイヨウトウキ(代表種のアンジェリカ・アルカンゲリカ)
その他の名前:エンジェルズプラント
科名:セリ科
属名:シシウド属
原産地:ヨーロッパ、西アジア
形態:宿根草(多年草)
アンジェリカは、セリ科シシウド属の草花で、学名は流通名そのままのAngelica。本来は多年草ですが、暑い夏を苦手として短命になることが多いため、日本では一般に二年草として流通しています。草丈は120〜200cm、株幅は60〜80cmになるので、庭に植える際は、成長を見越してスペースに余裕をもたせておくとよいでしょう。

アンジェリカは北半球を中心に80種ほどが分布しており、日本に自生するノダケやシシウド、アシタバ、ヨロイグサなどもアンジェリカの仲間です。基本的には冷涼な気候を好み、高温多湿の環境を苦手としています。
アンジェリカの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:6〜8月
草丈:120〜200cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:白、緑、紫、ピンク
アンジェリカの開花期は6〜8月で、花色は白がほとんどですが、中には紫やピンク、グリーンの花を咲かせるものもあります。個々の花はごく小さいのですが、花茎を伸ばした先に集まって咲く繊細なレースのような風情が魅力。楚々とした草姿でナチュラルな雰囲気を持っています。葉は羽状複葉や三出羽状複葉で、品種によってはブロンズ色のシックな葉を展開するものもあり、カラーリーフプランツとしても活躍します。

西洋では古くからハーブとして利用

主にヨーロッパではセイヨウトウキ(Angelica archangelica アンジェリカ・アルカンゲリカ)が分布しており、古くからハーブとして利用されてきました。葉を乾燥させてハーブティーにするほか、若い葉はサラダのトッピングや料理の香りづけに。砂糖漬けにした茎はお菓子作りに用いられるほか、根や種子も香りづけに活用できます。
アンジェリカの名前の由来と花言葉

アンジェリカという名前は、ラテン語で「天使」を意味する「Angelicus」が由来です。一般にアンジェリカと呼ばれるセイヨウトウキの学名はAngelica archangelica、種小名の「archangelica」も「大天使の」という意味で、大天使ミカエルにちなんだもの。「天使のハーブ」とも呼ばれるのは、昔、疫病が流行して世が荒れた際に天使が修道僧の夢に出てきて、このハーブを摂取すれば疫病に効果があると告げたという言い伝えがあるから。一説には、ミカエルの記念祭に開花することからともいわれますが、いずれもヨーロッパを中心に、古くから薬草として民間療法的に重宝されてきた歴史がうかがえます。
アンジェリカの花言葉は「インスピレーション」「霊感」「優しい憂鬱」「健康美」「旺盛な活動力」などです。
アンジェリカの代表的な品種

一般に、アンジェリカというとセイヨウトウキ(アンジェリカ・アルカンゲリカ)を指しますが、人の手によって交配された園芸品種なども流通しています。代表的な品種をいくつかご紹介します。
アンジェリカ・パシカーパ‘サマーデライト’

草丈80〜100cmで、艶のある葉に明るいライムグリーンの花が咲きます。
アンジェリカ・シルベストリス‘ビカーズミード’

草丈120〜150cmで、くすんだピンク色の花を咲かせます。茎葉がブロンズ色で、カラーリーフプランツとしても活躍します。
アンジェリカ・ギガス

コリアン・アンジェリカとも呼ばれるように、朝鮮半島や日本の一部地域など、東アジアに分布しています。黒っぽい花茎に、黒みを帯びた濃い赤花がワイルドで目を引きます。国内の流通は少ないですが、欧米のガーデンでは人気の高い植物です。
アンジェリカの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6〜8月
植え付け・植え替え:10月頃
肥料:特になし
種まき:10月頃
アンジェリカの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みますが、明るい半日陰でも育ちます。ただし、日照が不足すると徒長して、ヒョロヒョロと間のびした株姿になるので注意しましょう。また、真夏に直射日光が強く当たると葉焼けして株が傷む恐れがあります。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】土質が酸性に傾くのを苦手とするので、土づくりの際に石灰を散布して調整します。また、乾燥しすぎない土壌を好むので、乾きやすい環境では土壌改良が必要です。
耐寒性・耐暑性
寒さには強く、基本的に特別な防寒対策をしなくても越冬できます。日本の夏の高温多湿が苦手なので、西日が当たる場所での地植えは避け、真夏は鉢上げして半日陰の涼しい場所に移すのも一案です。
アンジェリカの栽培方法のポイント
用土

【地植え】
酸性に傾いた土壌を嫌うので、植え付ける3〜4週間前に苦土石灰を散布して土に混ぜ込んでおきましょう。さらに1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで分解が進んで土が熟成し、根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温の高い日中に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、毎日決まった分量の水やりをすればいいというものでもありません。動物が毎日の食事が必要なのとは違って、植物は適した水分量を保つことが大切です。乾きすぎるとしおれてしまいますし、反対に常にジメジメと湿った状態にしておくと、病気が発生しやすくなり、株も弱ります。土が乾くタイミングは、季節や天候によっても異なるので、まずは土や株の状態を観察しましょう。土の表面が白く乾いていたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。株の水分量が十分なら、茎葉は勢いよく隅々までピンと伸びています。もしも茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
植え付け時に十分な土づくりをしていれば、追肥は不要です。多肥にすると茎葉ばかりが勢いよく茂って株姿が乱れやすくなり、花数も少なくなるので注意します。株の状態を見て、生育に勢いがないようであれば、速効性のある液肥を与えて様子を見てください。
【鉢植え】
開花期に液肥を月に2回ほど与えて、株の勢いを保ちましょう。
注意する病害虫

【病気】
アンジェリカはそれほど病気の心配はありませんが、まれにうどんこ病やべと病を発症することがあります。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がるので注意。進行すると光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、感染しやすくなります。発見したら病害部を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
べと病は糸状菌が原因の病気で、3〜6月または9月下旬〜11月の気温15〜20℃の条件下、かつ気温差が大きい時に発生しやすくなります。葉に黄色みがかった斑紋が現れ、だんだんと広がって枯れ上がっていきます。気温などの条件が揃うと2〜3日で全体に広がってしまうので注意。窒素成分が多い肥料を与えすぎると発生しやすくなります。
【害虫】
アンジェリカに発生しやすい害虫は、アゲハチョウやヨトウムシなどです。
アゲハチョウは春から秋にかけて発生しやすく、主に幼虫が食害します。幼虫が若いうちは黒字に白斑が入る姿でまだ小さく見つけづらいのですが、大きくなると5cmほどのビッグサイズになって姿を現し、ギョッとしてしまいます。若芽や葉を好み、幼虫が大きくなると旺盛に葉に穴をあけて一晩で被害が拡大することもあるので注意。葉の裏表をチェックし、見つけ次第捕殺します。成虫は花の蜜をエサとするので、近くに花が咲く植物を植えないこともポイントです。
ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書くように、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩で株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を見つけたら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、または9〜10月です。食害の跡が認められたら夜にパトロールして捕殺するか、適用のある薬剤を散布して防除します。
アンジェリカの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、節間が間のびしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。
植え付け

植え付けの適期は10月頃で、苗の流通も秋になると多くなります。ほかの時期に苗を入手した際は、早めに定植しましょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗をポットから出して植え付けます。苗が複数の場合は、60〜80cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。
【鉢植え】
7〜10号鉢を準備します。
底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
収穫

花が咲くと葉が硬くなるので、開花前の5月頃に摘み取ります。根は地上部が枯れた頃に掘り上げて収穫しましょう。
増やし方

アンジェリカは種まきをして増やします。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境になじみやすいことです。敷地が広く、たくさんの苗を植え付けたい場合は、コストカットにもなります。ただし発芽率がよくないため、多めに播いておいたほうが安心です。
種まきの適期は、10月頃です。庭に直まきしても、ポットに播いて育苗してもかまいません。アンジェリカは株が大きく育って充実するまでは開花しません。種まきから開花までには2年ほどかかります。
アンジェリカは自家採種する場合は、花が終わった後に花がらを摘まずにそのままにしておき、種子をつくらせます。種子を採取したら密閉袋に入れて保存しておき、適期に種まきします。
【直まき】
植えたい場所に2〜3粒ずつ播いて薄く覆土し、水やりをしておきます。種同士の間隔は、50〜70cm。しばらく経つと、細長い双葉が揃います。さらに本葉が出揃った頃に勢いのある苗を1本残し、徒長していたり虫に食われたりしている苗を間引きます。冬の間は、地面を這うように葉を放射状に伸ばすロゼット状態で越年します。寒さに大変強く、霜が降りても弱ることはありません。春になって暖かくなると、茎葉が立ち上がってきて旺盛に生育し始めます。
【ポットまき】
黒ポットに2〜3粒ずつ種子を播き、薄く覆土し、水やりをしておきます。しばらく経つと、細長い双葉が揃います。さらに本葉が出揃った頃に勢いのある苗を1本残し、徒長していたり虫に食われたりしている苗を間引きます。本葉が数枚ついたら、植えたい場所に定植します。複数植える場合は、株の間隔は60〜80cmあけておきましょう。
食用でも楽しめるアンジェリカを育てよう

野趣感あふれるナチュラルガーデンを目指すなら、繊細な草姿のアンジェリカはぜひ取り入れたいハーブです。ガーデンのアクセントとして植栽してみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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