暑さに負けない! 「エボルブルス(アメリカンブルー)」の魅惑の青で庭・ベランダを彩るコツ
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夏の庭を涼しげに彩るエボルブルス(アメリカンブルー)。暑さに負けずに明るいブルーの小花が次々に咲く、初心者でも育てやすい人気の草花です。分枝性がよく、こんもりと茂るので、花壇や鉢植え、グラウンドカバーとしても大活躍。この記事では、エボルブルス(アメリカンブルー)の基本情報や特徴、品種、育て方について詳しくご紹介します。
目次
エボルブルス(アメリカンブルー)の基本情報

植物名:エボルブルス
学名:Evolvulus
英名:evolvulus、blue daze、dwarf morning glory
和名: アメリカンブルー
その他の名前:エボルブルス・ピロサス
科名:ヒルガオ科
属名:エボルブルス属(アサガオガラクサ属)
原産地:中央アメリカ
形態:多年草(宿根草)
エボルブルスは、ヒルガオ科エボルブルス属の多年草です。一般に栽培されているのはEvolvulus pilosusですが、Evolvulus glomeratusもアメリカンブルーと呼ばれて出回っています。原産地は中央アメリカで、暑さに強く夏中鮮やかなブルーの花を咲かせますが、寒さには弱い性質です。暖地では戸外でも冬越しが可能ですが、寒い地域では鉢上げして暖かい場所へ移動することが必要で、冬越しが難しいため、一年草として扱われることもあります。光を感じると花を開き、暗くなると閉じるので、日当たりのよい場所で育てることが、美しい花を長く楽しむポイント。茎葉を這うように広げていくため、グラウンドカバーやハンギングバスケットなどで育てるのに向いています。
エボルブルス(アメリカンブルー)の花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:5〜10月
草丈:20〜40cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:青、白
エボルブルスの草丈は20〜40cmで、よく枝分かれして匍匐(ほふく)しながら広がる草姿が特徴です。摘心・切り戻しをすると、こんもりと茂ってボリューム感のある株姿になります。開花期は5〜10月で、花色は青のほかに近年は白も出回るようになりました。一日花ですが花つきがよく、花径2〜3cmの小さな花が絶え間なく咲き続けます。小さな葉は両面に細かな産毛があります。
エボルブルス(アメリカンブルー)の名前の由来と花言葉

エボルブルスにはさまざまな名前があるので、それぞれの由来についてご紹介します。
【学名】Evolvulus
学名はエボルブルス。匍匐するように茎葉を広げていく性質があるため、「巻き付く・展開する」という意味を持つラテン語「evolvo」から付けられたといわれています。
【英名】Blue daze
英名のブルー・デイズは「青い幻惑」という意味で、幻想的な深いブルーの花色が由来です。
【和名】アメリカンブルー
日本にもたらされた際に、学名など出自が判然としなかったため、アメリカの青い花という意味の通称名がつきました。その後、人気が高まって一般に広まり、現在もその名前で親しまれています。
エボルブルス(アメリカンブルー)の花言葉・誕生花

エボルブルスの花言葉は「清潔」「清涼感」「あふれる思い」「ふたりの絆」です。「清潔」「清涼感」は、花色のブルーが由来。「あふれる思い」は、次から次に花が咲くことから。「ふたりの絆」は、花が途切れず咲くことからとされています。
諸説ありますが、6月25日、7月6日、8月25日、10月14日の誕生花です。
エボルブルス(アメリカンブルー)のアレンジ

エボルブルスの這い広がる性質を生かして、花壇の前段や縁取りのほか、グラウンドカバーとしても利用されます。摘心・切り戻しでこんもりと育て、ハンギングバスケットに仕立てるのもおすすめ。寄せ植えの花材としても重宝します。

エボルブルス(アメリカンブルー)の代表的な種類

エボルブルスの園芸品種についてご紹介します。
‘ブルーコーラル’
分枝性に優れており、枝数が多くなってその分多数の花が咲きます。茎が細く立ち性で、華奢な株姿が特徴。生育スピードが速く、早いうちからこんもりと茂ります。
‘ブルーラグーン’
従来種に比べて分枝性に富み、節間が詰まって枝の伸びが抑えられているため花が目につきやすいのが特徴。寒さに弱い性質も、従来種より改善されています。
‘アメリカンホワイト’
エボルブルスの白花品種で、花弁にゆるやかなウェーブが入るのが魅力。這うように広がり、晩秋まで咲き続けます。

エボルブルス(アメリカンブルー)の栽培12カ月カレンダー
開花時期:5〜10月
植え付け・植え替え:4月〜6月上旬
肥料:5〜6月、9月下旬〜10月
エボルブルス(アメリカンブルー)の栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると花色や葉色が冴えず、花つきも悪くなり、徒長して軟弱な株になるので注意しましょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】水はけがよく、有機質に富んだふかふかの土壌を好みます。寒さには弱いので、地植えにしている場合、冬は掘り上げて鉢に植え替え、凍結しない場所に移動しましょう。
耐寒性・耐暑性
夏の暑さには強い一方で、冬の寒さには弱く、冬越しさせる場合は最低温度が5℃以上の環境が必要です。室内に取り込むなど凍結させないように管理し、暖地でも不織布を掛けるなどして霜にあてないように冬越し対策をするとよいでしょう。
エボルブルス(アメリカンブルー)の育て方のポイント
用土

【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付けの1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕して水はけのよい土壌を作っておくとよいでしょう。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥していたら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期間中は水を欲しがるので、水切れしないように管理しましょう。また、冬でもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。
肥料

【地植え・鉢植えともに】
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。また、5〜6月と9月下旬〜10月には2週間に1度を目安に、液肥を与えて株の充実をはかります。
注意すべき病害虫・病気

【病気】
エボルブルスに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。茎葉やつぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪いと発病しやすいので注意。発見したら病害部を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を散布して蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していると発生しやすいので注意。花がらはこまめに摘み取り、茎葉は適宜間引いて、風通しよく管理しましょう。
【害虫】
エボルブルスに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には、葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
エボルブルス(アメリカンブルー)の詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、葉色がよく、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いがあるものを選びましょう。徒長して間のびしたものや、下葉が黄色く枯れているものは避けたほうが無難です。
植え付け・植え替え

エボルブルスの植え付けの適期は4月〜6月上旬です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。苗が複数の場合は、30〜40㎝の間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておくのが無難です。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきます。
寒くなってきたら掘り上げて鉢に植え替え、凍結しない場所で冬越しさせます。
【鉢植え】
入手した苗の根鉢よりも2〜3回り大きい鉢を準備します。
底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます、苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
日常のお手入れ

【摘心】
自然に分枝してこんもりとした株姿になりますが、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」をしておくと、より多く分枝して茂り、株張りがよくなります。
【花がら摘み】
次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【切り戻し】
草姿が乱れてきたら、切り戻して株の若返りをはかります。地際から草丈の半分の高さを目安にカットすると、新芽を出して株が盛り返し、再び開花し始めます。
また、冬越し前にも草丈の半分くらいまで切り戻しておきましょう。
増やし方

エボルブルスは、株分け、挿し芽で増やすことができます。
【株分け】
エボルブルスの株分け適期は4月〜6月上旬です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、株分けをして若返りをはかります。根をほぐし、数芽ずつつけて切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、エボルブルスは挿し芽で増やすことができます。
エボルブルスの挿し芽の適期は、6〜8月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり・風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
ガーデニングにぴったり! 初心者でも育てやすくておすすめ!

エボルブルスは一日花ですが、次々と途切れることなく咲き続け、爽やかな色で暑い夏を涼しげに彩ってくれます。這うように広がる性質を生かして、グラウンドカバーやハンギングバスケットなどに利用するのもおすすめ。ぜひ庭やベランダに植栽してみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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