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【夏花】エキザカムの育て方|初心者でも失敗しない栽培・冬越しガイド

【夏花】エキザカムの育て方|初心者でも失敗しない栽培・冬越しガイド

Sodel Vladyslav/Shutterstock.com

小さな花が次々と咲き続け、夏の花壇や鉢植えにぴったりな「エキザカム(ペルシャンバイオレット)」。涼しげなブルーや白、ピンクの花色が人気で、最近注目されている草花のひとつです。この記事では、初心者でも育てやすいエキザカムの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉から、花を長く楽しむコツ、冬越しの方法といった育て方まで詳しく解説します。

エキザカムの基本情報

エキザカム
Henrik Larsson/Shutterstock.com

植物名:エキザカム
学名:Exacum affine
英名:Persian violet
和名:ベニヒメリンドウ(紅姫竜胆)
その他の名前:ペルシャンバイオレット
科名:リンドウ科
属名:ベニヒメリンドウ属(エキザカム属)
原産地:インド洋ソコトラ島
形態:宿根草(多年草)

エキザカムの学名はExacum affine(エキザカム・アフィネ)。日本語では通称ベニヒメリンドウと呼ばれ、漢字で「紅姫竜胆」と書きます。リンドウ科ベニヒメリンドウ属の多年草ですが、日本の気候のもとでは越年が難しく、一年草として扱われています。ベニヒメリンドウ属は東南アジア、アフリカの熱帯地域に分布していますが、一般にエキザカムとして栽培されるエキザカム・アフィネはインド洋ソコトラ島を原産とし、熱帯地方の各地に生息しています。冬の寒さには大変弱く、耐寒温度は7℃くらい。越年させるなら、冬は日当たりのよい室内で管理することが必須です。

エキザカムの花や葉の特徴

エキザカム
komkrit Preechachanwate/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:6〜10月
草丈:20〜50cm
耐寒性:弱い
耐暑性:やや強い
花色:青紫、白、ピンク

エキザカムの草丈は20〜50cmほど。エキザカムの開花期は6〜10月で、花色は青紫、白、ピンクなどがあります。1〜2cmほどの小さな花で、花弁は4〜6枚ほど。黄色い花心とのコントラストが目を引く花を株一面に咲かせ、開花時には香りも楽しめます。一重咲きのほか八重咲きも出回っています。艶のある肉厚な葉は硬く、丸みのある楕円形。斑入り葉の品種もあります。よく分枝して茎葉が旺盛に茂り、鉢植えのほか夏花壇の植栽にもよく使われます。

青紫色のエキザカムと、白とピンクのニチニチソウが咲く夏花壇。TigerStocks/Shutterstock.com

エキザカムの名前の由来と花言葉

エキザカム
Mchin/Shutterstock.com

エキザカムという名前は、ギリシア語の「ex(外)」と「ago(追い出す)」に由来し、エキザカムに解毒作用があると考えられていたことから名付けられたとされています。

花言葉は「あなたの夢は美しい」「あなたを愛します」など。5月17日、5月30日、10月20日の誕生花です。

エキザカムの代表的な種類

エキザカム
Yuphayao Pooh’s/Shutterstock.com

エキザカム属は約25種が確認されています。国内で流通しているのは主にエキザカム・アフィネで、交配によってさまざまな品種が生まれています。

八重咲きのエキザカム
八重咲きの品種も。zzz555zzz/Shutterstock.com

‘ドワーフ・ミゼット・ブルー’

一重咲きのエキザカムで、最もポピュラーな品種です。草丈が低く横に広がるのでハンギングバスケットにも向いています。

‘ブルー・ロココ’

花弁が幾重にも重なる八重咲きで、バラのような咲き姿を見せます。大変花つきがよいのも魅力です。

‘ホワイト・ロココ’

ブルー・ロココと同様に八重咲きで、まるでミニバラのよう。花色は白で清楚な雰囲気をもっています。

‘エキサイトシルバー’

花色は青紫で、一重咲きです。葉に斑が入る品種で、花が咲かない時期はカラーリーフとして活躍します。

エキザカムの栽培12カ月カレンダー

開花時期:6〜10月
植え付け:5月中旬〜6月
植え替え:9月頃
肥料:5〜7月上旬、9月頃
種まき:4月下旬~5月

エキザカムの栽培環境

エキザカム
touristgirl/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりと風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では花色や葉色が冴えずに花つきも悪くなり、徒長して軟弱な株になるので、日光不足に注意してください。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本ですが、越年させる場合は室内や温室などに取り込み、日当たりのよい場所で管理しましょう。

【置き場所】水はけと水もちのバランスがよく、有機質に富んだふかふかの土壌を好みます。乾燥には強いですが極端な暑さに弱く、夏は涼しい半日陰に移動したほうがよく生育します。

耐寒性・耐暑性

エキザカムの生育適温は15~25℃程度で、寒さや極端な暑さに弱く、本来は多年草ですが日本の気候に耐えられずに枯死してしまうことが多く、国内では一年草扱いされています。耐寒温度は5~7℃程度で、越年させる場合は約7℃以上の場所で管理する必要があります。耐暑性はある程度ありますが、高温になると生育が止まり、花つきも悪くなるので、夏は半日陰で管理するとよいでしょう。

エキザカムの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
ITP Media/Shutterstock.com

多肉質な茎葉を持つエキザカムは乾燥には強いほうですが、鉢植えの場合は夏場の水切れに注意が必要です。

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

5〜7月上旬、9月頃に、株の状態を見て勢いがないようであれば、緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。開花期間中は、緩効性化成肥料をやめて速効性タイプの肥料を与えるのも一案。開花を促すタイプの液体肥料を、10日に1度を目安に与えて株の勢いを保ちます。窒素成分の多い肥料を与えると、茎葉ばかりが茂って花つきが悪くなるので、与える際には注意してください。

注意する病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

エキザカムに発生しやすい病気は、灰色かび病、立枯病などです。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

立ち枯れ病は、根や地際の茎から感染する病気です。種まきした後の幼い苗に発生しやすいので、用土は使い回さずに新しい培養土を利用するとよいでしょう。発症するとだんだん生育が悪くなり、葉が黄色くなって株全体に病気が広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用する殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。

【害虫】

エキザカムに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4㎜程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5㎜ほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

エキザカムの詳しい育て方

苗の選び方

苗を購入する際は、葉の色艶がよく、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いがあるものを選びます。

植え付け

ガーデニング
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植え付けの適期は、5月中旬〜6月です。植え替えは9月頃に行うとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20〜30cmの間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておくのが無難です。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきましょう。

エキザカムは冬が寒い日本では一年草として扱われており、寒くなると枯れてしまうので植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。越年させたい場合は、鉢に植え替えて暖かい室内や温室の日当たりのよい場所で管理します。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗よりも2回りほど大きい鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

エキザカムは冬が寒い日本では一年草として扱われており、寒くなると枯れてしまうので植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。

ただし、元々は多年草なので暖かい場所に移動して越冬することもできます。その場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。

日常のお手入れ

剪定
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【花がら摘み】

エキザカムは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

剪定・切り戻し

エキザカム
LM.photo/Shutterstock.com

夏に草姿が乱れてきたら切り戻して株の若返りをはかります。地際から草丈の1/2〜1/3の高さを目安に、深めにカットしましょう。すると再び新芽を出して株が盛り返し、再び開花し始めます。

夏越し・冬越し

エキザカム
Sodel Vladyslav/Shutterstock.com

【夏越し】

高温になると生育が止まり、花つきも悪くなるので、鉢植えは半日陰の場所に移動するとよいでしょう。地植えしている場合は鉢上げして涼しい場所に移動するのも一案です。蒸れると株が弱ることがあるので、込み合いすぎているようなら、適宜茎葉を間引いて風通しよく管理しましょう。彼岸を過ぎて暑さがおさまったら、再び日当たりのよい場所に移動します。

【冬越し】

越年させる場合は、約7℃以上の場所で管理する必要があります。鉢植えは室内や温室などに入れて、日当たりのよい場所に置きましょう。地植えにしている場合は、10℃を下回る前に鉢に植え替えて、室内や温室に移動します。冬越しできたら、遅霜の心配がなくなる5月頃に再び屋外に出すとよいでしょう。

増やし方

種まき
Taras Garkusha/Shutterstock.com

エキザカムは種まき、挿し芽で増やすことができます。

【種まき】

種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。

エキザカムの発芽適温は20〜25℃ほど。種まきの適期は、4月下旬〜5月です。種子をまく際は、種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種まきをします。エキザカムは「好光性種子」といい、発芽の際に光が必要とする植物のため、種に覆土はせず、軽く押さえる程度にしましょう。種子が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。乾燥しないように管理すると、2週間ほどで発芽します。

発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。本葉が5〜6枚つき、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。

春まきした場合、真夏は半日陰の場所に置くか、遮光して夏越しさせます。秋まきした場合、冬は暖かい室内か温室で冬越しさせましょう。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、エキザカムは挿し芽で増やせます。

エキザカムの挿し芽は、生育期ならいつでも可能です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴を開け、穴にさし穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

夏の庭を彩るエキザカムを育ててみよう!

エキザカム
Pacharawan/Shutterstock.com

青や白、ピンクなどの小さな花が長期間たくさん咲き、夏花壇や夏の鉢植えで活躍するエキザカム。国内では一年草として扱われていますが、冬越しに成功できれば越年して毎年開花を楽しませてくれます。愛らしい咲き姿のエキザカムを、寄せ植えやハンギングバスケットに利用して、庭やベランダを華やかに彩ってはいかがでしょうか。

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