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アグロステンマはナチュラルな姿が魅力! 育て方や特徴、主な種類などの基礎知識を解説

アグロステンマはナチュラルな姿が魅力! 育て方や特徴、主な種類などの基礎知識を解説

Emilio100/Shutterstock.com

華奢な花茎を立ち上げた先にピンクや白の一重花を咲かせるアグロステンマは、ワイルドフラワーとして人気の高い草花です。こぼれ種で増えるほど強健な性質で、育てやすいためビギナーにもおすすめ。この記事では、アグロステンマの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方などについて、詳しく解説します。

アグロステンマの基本情報

アグロステンマ
tamu1500/Shutterstock.com

植物名:アグロステンマ
学名:Agrostemma
英名:Corn Cockle
和名:ムギセンノウ(麦仙翁)
その他の名前:ムギナデシコ
科名:ナデシコ科
属名:ムギセンノウ属
原産地:地中海沿岸~西アジア
形態:一年草

アグロステンマは、ナデシコ科ムギセンノウ属の一年草です。秋に種子を播いて越年した後に晩春から初夏にかけて開花、その後は枯れてしまうライフサイクルの短い植物です。原産地は地中海沿岸〜西アジア。寒さに強い性質で、草丈は70〜100cmです。

埼玉県・鴻巣市で、こいのぼりとともに風に揺れるアグロステンマの花畑。aki_tk/Shutterstock.com

アグロステンマの花や葉の特徴

アグロステンマ
Kabar/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:5〜6月
草丈:70〜100cm
耐寒性:普通
耐暑性:弱い
花色:白、ピンク

アグロステンマの開花期は5〜6月で、花色は白、ピンク。花茎を伸ばした先端に、6〜7cmの5弁花を咲かせます。花びらが薄くてはかない雰囲気ですが、花もちはよく、切り花にしてインテリアに飾るのもおすすめです。次から次に花茎を立ち上げて咲き、花つきがよいのも特徴。優しい風情で、ナチュラルガーデンなどで活躍します。草丈が高くなるので、花壇では中景〜後方向き。手前に草丈40〜50cmの草花を植えて足元を隠すとよいでしょう。

アグロステンマの葉は産毛に覆われており、明るいシルバーグリーンに見えます。葉は細長くてあまり主張せず、繊細な雰囲気です。

アグロステンマの名前の由来や花言葉

アグロステンマ
Imagepocket/Shutterstock.com

アグロステンマの学名はAgrostemmaで、学名がそのまま流通名になっています。「アグロ」は「畑」、「ステンマ」は「王冠」という意味があり、畑でよく咲くことに由来します。実際に自生地では畑に生える雑草のイメージが強く、あまり栽培されることはないようです。19世紀後半に日本に伝わり、和名はムギセンノウ(麦仙翁)。センノウはナデシコ科の多年草で、「麦畑に咲くセンノウ」「葉が麦に似たセンノウ」という意味だとされています。

アグロステンマの花言葉は「気持ちがなびく」「育ちのよさ」などです。

アグロステンマの代表的な種類

アグロステンマ
Shigeyoshi Umezu/Shutterstock.com

アグロステンマには、さまざまな種や園芸品種などが流通しています。ここでは、特に人気のあるものを取り上げてご紹介します。

アグロステンマ・ギタゴ

アグロステンマ
momochan123/Shutterstock.com

濃いめのピンクの花弁の中央に白がのる花色で、大変華やか。直立する茎の先端に花径7cm前後の大きめの花が咲きます。草丈は60〜100cm。強健な性質でこぼれ種でもよく増え、環境に合えば毎年開花を楽しめます。とはいえ、繁茂しすぎて手に負えなくなるというほどでもなく、抜き取りやすいので、調和を崩していれば抜き取るか適した場所に移植するとよいでしょう。

アグロステンマ‘桜貝’

アグロステンマ・ギタゴの園芸品種です。優しいベビーピンクの花色が目を引きます。咲き始めはピンクで、だんだんと淡くなっていくのが特徴。花径7〜10cmの大輪の花が咲き、花つきがよいので群植すると見応えがあります。草丈は100cmほど。楚々として風に揺れる姿は、ナチュラルガーデンなどで活躍します。

アグロステンマ‘パープルクィーン’

アグロステンマ・ギタゴの園芸品種です。発色の美しい濃いピンクの花の中央に白がのり、優美な花姿が印象的。花径7〜10cmの大輪で、花つきがよいので存在感があります。草丈は60〜100cmです。

アグロステンマ‘オーシャンパール’

アグロステンマ‘オーシャンパール’
Judith Andrews/Shutterstock.com

アグロステンマ・ギタゴの園芸品種です。白花で、中央に黒いそばかすが少々入ります。花径7〜10cmの大輪で、白い花は派手な花色を調和させる役割があるので、ガーデンで重宝します。白で統一する清楚なホワイトガーデンに植栽するのもおすすめです。

アグロステンマの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜6月
植え付け:3~4月、10~12月
肥料:10月〜翌年4月
種まき:10月頃

アグロステンマの栽培環境

アグロステンマ
Nokzd/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所が最適です。日照不足では間のびして頼りない草姿になり、花つきが悪くなることがあるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】高温多湿の環境が苦手で、粘土質の土壌や、水場に近くて低い場所など、水はけが悪くジメジメした環境を嫌います。地植えにする場合は、有機質資材をすき込んでふかふかとした土壌にし、周囲より少し土を盛って高くしておくと水はけがよくなります。

耐寒性・耐暑性

秋に種まきした場合、冬越しの必要があります。耐寒性は比較的強く、関東地方以西の暖地では戸外で越冬できますが、寒冷地ではフレームに苗を入れるなどして冬越しさせるとよいでしょう。梅雨頃に枯れてしまう一年草なので、夏越し対策は特に必要ありません。

アグロステンマの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの1カ月ほど前に、苦土石灰を表土がうっすらと白くなる程度に散布してよく耕しておきます。さらに植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。土づくりをした あとに時間をおくことで次第に分解して土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

また種まきして育苗する場合、真冬は気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるので不要ですが、過度な乾燥が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし多湿を嫌うので、いつもジメジメした状態にしておくと根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

新芽を多く出して旺盛に生育する時期や開花期には水を欲しがるので、水切れに注意が必要。時期に応じた水やりがアグロステンマ栽培のコツになります。

肥料

肥料
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【地植え】

植え付けの際に元肥を施していれば、追肥の必要はありません。

【鉢植え】

10月〜翌年4月に、2週間に1度を目安に液肥を与えます。

注意する病害虫

アブラムシ
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【病気】

アグロステンマに発生しやすい病気は、灰色かび病、うどんこ病などです。

灰色かび病は花や葉に、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりするとかかりやすいので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて、風通しよく管理しましょう。

うどんこ病はカビによるもので、葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、かかりやすくなります。感染したら病害部分を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

【害虫】

アグロステンマに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁します。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

アグロステンマの詳しい育て方

苗の選び方

アグロステンマは種まきからでも育てやすい一年草ですが、苗から手軽に育てることもできます。苗を購入する際は、葉色がきれいで茎がしっかりとしたものを選ぶとよいでしょう。

植え付け

ガーデニング
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アグロステンマの植え付けの適期は、3〜4月(花苗店で購入した苗、または寒冷地などで秋に種まきしてポット苗の状態で冬越しした苗を定植するのによいタイミング)か、10〜12月(温暖地などで秋に種まきした後、育った苗を定植するのによいタイミング)です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。苗が複数の場合は、20〜40cmの間隔を取ります。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておきましょう。

【鉢植え】

6〜7号鉢を準備します。

底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きして高さを決めたら、ポットから出して植え付けます。根が白く回っているようなら軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

日常のお手入れ

アグロステンマ
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【支柱の設置】

アグロステンマは草丈が高くなりますが、まとめて植えればお互いが支え合って倒れにくくなります。もし周囲に寄りかかれるような植物がない場合は、支柱を立てて支えれば倒伏を防げます。

【花がら摘み】

アグロステンマは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。種を採取する場合は、開花期の後半からは花がらを残して種子が熟すのを待ちます。

夏越し・冬越し

アグロステンマ
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【夏越し】

アグロステンマは一年草に分類されており、梅雨頃には枯れてしまうので、夏越しはできません。株が衰退したら抜き取って処分し、次の季節の草花を植え付けましょう。

【冬越し】

秋に種まきした場合は、冬越しする必要があります。関東地方以西の暖地では戸外で越冬できますが、寒冷地ではガラスやビニール製のフレームに苗を入れるなどして冬越しさせましょう。

【冬の幼苗時の処置】

秋に種まきして定植した後、冬越しする際に霜柱で土が持ち上げられると、根が乾いて枯れてしまうことがあります。冬は定植したところを見回り、根が持ち上げられていたら株元を押さえておきましょう。

増やし方

アグロステンマの種子
Nahhana/Shutterstock.com

アグロステンマは種まきをして増やします。発芽適温は20℃くらいで、種まきの適期は10月頃です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れて種子を播き、薄く覆土してください。種が流れ出すことがないように、トレイより1回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。発芽までは半日陰の場所に置いて、乾燥しないように管理しましょう。

発芽後は、日当たり・風通しのよい場所へ移動します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。根がよく張ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植してください。

アグロステンマの育て方を覚えて、華やかで美しい庭をつくろう!

アグロステンマ
Hama-Kid/Shutterstock.com

シルバーグリーンの茎葉が美しく、ピンクや白の花を咲かせるアグロステンマ。少しの風にも揺れる軽やかな姿は、ナチュラルガーデンなどで人気があります。種まきからでも育てやすいアグロステンマを、庭に取り入れてはいかがでしょうか。

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