トップへ戻る

3月、いよいよ春を迎えます。気温の上昇につれて植物の生育もよくなる頃です。今回は、春先に加えて、トップシーズンの初夏のガーデンをさらに美しく引き立てる草花をご紹介します。アドバイザーは、愛知・豊田市で一年中、花が絶えないガーデンをつくる「花遊庭」のヘッドガーデナー、天野麻里絵さん。小さな花壇づくりの基本と、5つのオススメ草花をピックアップしてご紹介します。

Print Friendly, PDF & Email

まだ間に合う! 初夏をロマンチックに演出する草花を加えよう!

秋から植えているパンジーやビオラは、花つきが日に日によくなっていきますが、冬の寒さで傷んだ株も目につき、冬から見慣れた景色に、変化をつけたくなる頃です。初夏のバラと草花が折り重なる景色に憧れるけれど、秋に植えるタイミングを逃してしまったという方は、ちょうどこの春先(3月)が植え時です。春に向けて、冬から楽しんでいる草花のメンテナンスとともに、初夏を彩る花苗の準備を行いましょう。

早春に加えて、初夏の景色をつくろう

初夏に開花する草花の植え時は主に秋ですが、品種を選べば早春に苗を植え付けてもシーズンに花を楽しむことができます。まだ開花していない苗を植え込むことで、ある程度の大きさの株に成長させてから花を咲かせられるので、すでに植え込まれている周りの草花とも馴染みやすく、よりナチュラルな景色をつくることができます。

春植えでは、成長から開花までの期間が秋植えに比べて短いので、株がコンパクトになり、生育旺盛な草花でも、狭い場所で楽しめるというメリットもあります。分枝性のよい小花品種は、早い時期から次々と開花して開花期が長いので、春のシーズンを長く楽しむのにも役立ちます。

草花を引き立てるブルー系の草花をプラス

初夏は、一年の中で最もたくさんの種類の草花が開花する季節です。庭でもさまざまな草花が見られますが、気をつけたいのが花色の組み合わせ。たくさんの花色を合わせると華やかになりますが、どの花色を見ていいのかと落ち着かず、散漫な印象を与えがちです。ブルーは爽やかでクールな印象があり、加えてもうるさくならないのが魅力。純粋に真っ青な花は少ないので、紫やラベンダー色も組み合わせると、ピンクとのつなぎ役にもなって、より初夏らしいやわらかな景色が楽しめます。

花選びのキーワード「のびやかな姿を加えてナチュラル感アップ」
アグロステンマ‘パープルクイーン’

膝丈以上の草丈に成長した草姿の頂部に咲かせる花は、生命力にあふれて力強くものびやかで、ナチュラルな印象をアップします。

アグロステンマ‘パープルクイーン’は、開花時には草丈1mほどにもなる高性種ですが、春先に植えればボリュームが抑えられ、小さなスペースでも植え込みやすくなります。直立する草姿に細い葉も重なって、ナチュラルな草姿が印象的。大輪の花は上向きに次々咲くので、景色が一気に華やぎます。‘パープルクイーン’は、紫がかった濃いピンクの花弁の中心に白がさして、すっきりとして見えます。4月から咲き始めるので、まだ花の少ない花壇では目を引く存在に。

花選びのキーワード「どんな草花ともマッチする可憐な小花」
ギリア・トリコロール

ガーデンで真っ先に目に飛び込んでくるのは、バラのような大輪の花が多いのですが、実は全体の雰囲気をつくっているのは、その周囲の小花の力も大きいもの。小花があることで、大輪の花もより美しく見える相乗効果があります。

ギリア・トリコロールは、花びらの外側が淡いラベンダー色からホワイト、そして花の中心が黒紫のトリカラーで、淡い花色もぼやけずに引き締まって見えます。花も茎葉も細かく、枝分かれもよく、ふんわりとした印象に。草丈は60㎝前後で、花壇に加えるのにも程よい高さ。

花選びのキーワード「開花前後も楽しめる見所ある葉やタネ」
ニゲラ‘アフリカンブライド’

庭で観賞するのは花だけでなく、葉の役割も大きいものです。細葉は見ているだけでソフトな印象を与えます。多くの植物の葉は広く、大きなものが多い中で、細葉を加えるだけで変化が生まれて表情が豊かになります。また、つぼみや花、タネの形が特徴的なものは、花が派手でなくても、周りの草花の中に加えると、個性が際立ちます。

ニゲラ‘アフリカンブライド’は、深い切れ込みのある細葉が個性的で、白い花びら(がく片)と黒いしべのコントラストが美しい。丸いつぼみも愛らしく、開花後のタネを宿した姿のシードベッドもユニーク。つぼみから開花、結実までの変化も含めて長期間楽しめます。

花選びのキーワード「ニュアンスを与える中性的な花」
セリンセ・マヨール

葉色の美しい草花は、開花前からカラーリーフとして庭の彩りに活躍します。また、開花した花とのコントラストも美しく、成長から開花までの変化が楽しめるのも魅力です。個性的な色合い、形の花や葉を持つ草花は、派手さはなくとも、独特の存在感を発揮します。

セリンセ・マヨールは、白い斑点模様が入る青みがかったシルバーグレイの葉が特徴。また、濃い紫の花と葉がグラデーションでつながって神秘的なうえ、弧を描くように伸びる姿と相まって美しい。全体が花と葉が一体となったような中性的な印象で、小花やリーフを合わせると個性が生きます。

花選びのキーワード「明るい小花がほどよいボリューム感」
カンパニュラ‘涼姫’

花つきがよい小花を加えると、派手になりすぎず、ナチュラルな印象を持ちながらもボリュームがアップして、見応えを増すことができます。さらに淡い色合いを選べば、全体のトーンもアップ。明るい色合いは、どんな草花に加えても調和しやすく、重宝します。

カンパニュラ‘涼姫’は、細い茎に、直径2㎝ほどのベル型の小花をびっしりと咲かせて華やか。淡いラベンダーブルーの花色と、ベル形の花で爽やかな印象に。低温に当たらなくても花芽をつけるので、春先での植え込みで開花させられ、草丈も100㎝ほどになりますが、直立した草姿なので乱れにくく、花壇にも加えやすい花です。

Print Friendly, PDF & Email

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO