アッツザクラの育て方 ~ピンク色の可憐な花を楽しもう~
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山野草のような可憐な花姿が魅力のアッツザクラは、品種によって赤やピンク、白などの花色があります。この記事では、アッツザクラの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、品種、育て方などについて、詳しくご紹介します。
目次
アッツザクラの基本情報

植物名:アッツザクラ
学名:Rhodohypoxis baurii
英名:Rhodohypoxis baurii、red star、rosy posy
和名:アッツザクラ
その他の名前:ロードヒポキシス
科名:キンバイザサ科
属名:ロードヒポキシス属
原産地:南アフリカ
形態:宿根草(多年草)
アッツザクラはキンバイザサ科ロードヒポキシス属の球根植物です。原産地は南アフリカで、生育適温は15〜20℃。冬の寒さはやや苦手です。球根植物ですが、ほとんどは苗や花鉢が流通しており、栽培のスタートは苗の植え付けから。ライフサイクルは、早春に植え付けると、4月中旬〜5月に開花。その後は葉を広げて生育し、晩秋になると地上部を枯らして休眠します。球根はよく分球して増え、毎年開花を楽しめるので、コストパフォーマンスにも優れています。放任してもよく育つ、ビギナー向きの植物です。草丈は5〜15cmで、小ぶりの鉢に植えてミニマムな姿を楽しむのも一案。地植えでは花壇の前面や縁取り、ロックガーデンの隙間などで活躍します。
アッツザクラの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:4月中旬〜5月
草丈:5〜15cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:赤、ピンク、白
アッツザクラの開花期は4月中旬〜5月で、花色は赤、ピンクの濃淡、白など。細い花茎を伸ばした先端に、花径3cmほどの花が咲きます。サクラが5弁花なのに対し、アッツザクラは6弁花で、雄しべや雌しべが花弁の奥に隠れて見えないのが特徴です。細長い葉は緑色で、長めの白い産毛があります。
アッツザクラの名前の由来や花言葉

アッツザクラは南アフリカ原産で、北太平洋のアリューシャン列島にあるアッツ島とは関係ありません。名前の由来は諸説あり、太平洋戦争にちなんで日本軍がアッツ島を占領した時に名付けられたとか、アッツ島での全滅に追悼を寄せたという説、葉の厚い桜を意味した「厚桜」が転じたという説もあります。
また、ロードヒポキシスという別名を持っていますが、これは学名のRhodohypoxis baurii(ロードヒポキシス・バウリー)から。「Rhodo」がバラ色、「hypoxis」がキンバイザサ科の植物、という意味です。
アッツザクラの花言葉は「愛を待つ」「可憐」「無意識」などです。
アッツザクラの代表的な種類

アッツザクラは南アフリカに自生し、イギリスで品種改良された植物です。19世紀に南アフリカで発見され、イギリス人によって現地から持ち出されて、徐々にヨーロッパに広まりました。品種改良が盛んで花色も赤、ピンク、白があり、八重咲きや星咲き、絞り咲きなど多数の園芸品種が生まれています。シックな赤花八重咲きの‘ルビーの輝’、清楚な白花の‘ジューンブライド’、白花にうっすらとピンクがのる‘白鳥’、濃いめのピンクに白色が絣状に入る‘都鳥’などが人気です。

アッツザクラの栽培12カ月カレンダー
開花時期:4月中旬〜5月
植え付け・植え替え:2~3月
肥料:4月中旬~6月
分球:3月頃
アッツザクラの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。ただし、真夏は強い日差しにさらされるのを嫌うので、風通しのよい涼しい半日陰で管理します。
【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。寒さにはやや弱いですが、一定の寒さにあわないと開花しないので温室や室内などには取り入れず、凍結しない程度の低温下で管理してください。
【置き場所】水はけ・水もちのよい土壌を好みます。真夏の強い日差しを苦手とするので、地植えの場合は西日が照りつけない場所や木陰になる落葉樹の株元などを選び、鉢植えの場合は風通しのよい涼しい半日陰に移動するとよいでしょう。冬に凍結する地域では、冬は鉢植えにして軒下などで管理します。
耐寒性・耐暑性
寒さにはやや弱く、寒冷地では冬に凍結しないよう軒下などで管理します。ただし、一定の寒さにあわないと開花しないので温室や室内などには取り入れず、凍結しない程度の低温下で管理してください。暑さには強いですが、夏の直射日光には弱いので、半日陰に移動するなど注意が必要です。
アッツザクラの育て方のポイント
用土

【地植え】
植え付けの2〜3週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料少量を混ぜ込んで、よく耕しておきます。水はけ・水もちのよい土壌を好むので、腐葉土や堆肥を多めにすき込んで腐植質に富んだふかふかの土づくりをしておくことがポイント。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥している場合は、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。生育期は旺盛に茎葉を伸ばすので水切れに注意が必要ですが、秋以降は徐々に水やりの回数を減らし、乾燥気味に管理するとよいでしょう。
肥料

【地植え・鉢植え共に】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきます。その後の追肥はほとんど不要ですが、開花後に液体肥料を与えると、球根がよく太るようになります。
注意する病害虫

【病気】
アッツザクラに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉やつぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病害部分を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて、風通しよく管理しましょう。
【害虫】
アッツザクラに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
アッツザクラの詳しい育て方
鉢植えで楽しむか苗から育てる

アッツザクラは球根植物のため、球根の植え付けからスタートすることをイメージしがちですが、実際にはポット苗を入手して栽培を始めるのが一般的です。初心者なら、開花苗を購入するのがおすすめ。苗を購入する際は、がっしりと締まっていて勢いのあるものを選びます。ヒョロヒョロと間のびした徒長苗や、枯れ葉がついているものは避けましょう。
苗の植え付け

アッツザクラの植え付けの適期は、3月頃です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。複数の苗を植える場合は、10〜20cmくらいの間隔を取っておきましょう。
【鉢植え】
入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢の中に入れ、仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
球根の植え付け

アッツザクラの球根の植え付け適期は2〜3月です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、球根を深さ2cmほど、複数の場合は3〜4cmほどの間隔を取って植え付けます。
【鉢植え】
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を入れます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。球根を深さ2cm、複数の場合は1〜2cmの間隔を取って植え付けます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
植え替え

【地植え】
関東地方以西の太平洋側など、冬にほとんど凍結しない地域では、植え替えの必要はありません。ただし比較的寒さに弱いので、冬に凍結する地域では晩秋に鉢に植え替えましょう。日当たりがよく、霜の当たらない軒下または室内へ移動してください。越年して霜の心配がなくなった頃に、地植えに戻します。
【鉢植え】
成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、3月頃です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。
花がら摘み

終わった花は、早めに摘み取っておきましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まるので注意しましょう。
花後の管理

花が終わった後も、球根を太らせるために液肥を与えて株の勢いを保ちましょう。梅雨が明けると急に気温が高くなり、日差しも強くなるので、地植えの場合は遮光するとよいでしょう。鉢植えの場合は、風通しがよく涼しい半日陰に移動して夏越しさせます。
冬越し
アッツザクラは11月下旬頃から葉が枯れて休眠します。やや寒さに弱く凍結すると枯死することがあるので、掘り上げて鉢植えにし、凍結しない場所で冬越しさせましょう。ただし、ある程度寒さにあわないと開花しないので、温室など10℃以上になる場所には置かないようにしてください。休眠中はカラカラに乾燥させることのないように、控えめに水やりをします。
増やし方

アッツザクラは球根植物で、株の生育とともに球根も太く大きくなります。3月頃に掘り上げてみて、たくさん分球していたら、1つずつはずしてそれぞれに植え付けるとよいでしょう。それらがまた球根を太らせて、増えていくというわけです。
アッツザクラの育て方を知り可憐な花を楽しもう

草丈が低くコンパクトにまとまるアッツザクラは、小さな鉢に植えてミニマムな世界観を作り出すのも素敵ですし、花壇の縁取りとして群植し、華やかなシーンを作ってもよく映えます。野趣感ある花姿が魅力のアッツザクラを、庭やベランダに迎え入れてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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