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【ローメンテナンスで真夏もきれい!】豪雨・猛暑に耐える植物で盛夏の庭を美しくキープ

【ローメンテナンスで真夏もきれい!】豪雨・猛暑に耐える植物で盛夏の庭を美しくキープ

全世界的に暑さが災害級となっている夏。この時期の庭づくりは、いかにローメンテナンスで美しく維持するかが課題です。近年は暑さだけでなく、スコールのような豪雨も庭が荒れる原因の一つ。激烈化する天候のなかで、ガーデナーも無理なく美しく庭を維持する方法を、鳥取県米子市の面谷ひとみさんに伺います。真夏の辛い草取りの手間を省くアイデアも必見!

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猛暑&豪雨に耐える植物が盛夏の庭のポイント

近年の夏の気候はとても極端ですよね。晴れれば40℃に迫る高温で、雨かと思えば1カ月分の降水量が数時間で降ってしまったり。つい先日も山陰は3時間で100mmを超える雨が降り、庭が池のようになってしまいました。この激しい気候に戸惑うのは人ばかりではありません。これまで夏にきれいに咲いていた植物も、この気候に耐えられないものが出てきました。

雨の庭
豪雨で水没した庭とクシャクシャになってしまったユウギリソウ。水は数時間で引くものの、繊細な花は復活が難しい…。

例えば、ふわふわと繊細な花を咲かせるユウギリソウやペチュニアの一部の品種は、叩きつけるような豪雨で花がすっかりクシャクシャになってしまい、晴れても復活が難しい場合があります。ですから、夏に庭を美しく保つには、「耐暑性」に加え、「耐雨性」も植物選びの大事なポイントになってきました。さらに、炎天下の庭に出て頻繁に手入れをしなくてもいいように、「ローメンテナンス」かつ「ロングライフ」であることも条件。

  • 耐暑性
  • 耐雨性
  • ローメンテナンス
  • ロングライフ

これらたくさんの要求に応える植物を、一緒に庭づくりをするガーデナーの安酸友昭さんと考えた結果、近年盛夏の庭に取り入れ始めたのが「観葉植物」です。

盛夏の庭に取り入れたいローメンテナンスな観葉植物

観葉植物
室内に潤いをもたらすインドアグリーンとして愛好家も多い観葉植物。DimaBerlin/Shuttestock.com

観葉植物の多くは熱帯地方原産で、耐暑性に優れ、強い雨にも耐える丈夫な葉を持っています。葉を楽しむ植物なので、花がら摘みなどの手入れの必要もなく、見頃が長いのも条件にぴったり。しかし、観葉植物にはたくさんの種類があり、すべてが庭植えできるわけではないので、種類ごとの特徴を押さえておくことがポイントです。

庭植えできる観葉植物の条件

ゴムノキ
人気の高いフィカス(インドゴムノキ)は、屋外では半日陰が栽培適所。Felix Hobruecker/Shutterstock.com

観葉植物を庭植えする場合、気を付けたいポイントは2つあります。まず1つ目は、直射日光OKかどうかです。意外かもしれませんが、観葉植物の中には直射日光が苦手なものが結構多いのです。というのも、観葉植物の原産地は熱帯地方のジャングルなど鬱蒼とした密林です。開けた野原のように太陽が降り注ぐ場所ではないため、直射日光にさらされると種類によっては葉焼けして枯れてしまうものもあります。そのため栽培適所が「明るい半日陰」の場合は、木陰などを選んで植栽する必要があります。

そして2つ目は、大きさです。観葉植物は寒さが苦手で、多くは10〜5℃以下になると枯れてしまいます。ですから、秋には掘り上げて室内で養生することを前提としているので、草丈50〜60cmまでくらいのものが適しています。

日向でOK! カラフルな葉が魅力のカラジウム

カラジウム
ピンクの葉のカラジウムと紫の葉のアルテルナンテラ‘リトルロマンス’のコンビネーションが美しい。

上記の条件を満たす観葉植物の1つが、カラジウムです。カラジウムは熱帯アメリカなどを原産とするサトイモ科の植物で、夏の直射日光下でもOK。ピンクや白色の模様が入る大きな葉は、緑が濃い真夏の庭でもよく目立ち、室内から眺めていても存在感があります。私の庭ではガーデン用に生産されたガーデンカラジウム‘ハートトゥハート’を地植えや寄せ植えに取り入れています。この品種は日向でも日陰でもOKなので、植える場所を選びません。

夏の寄せ植え
カラジウムなど葉色の鮮やかな植物を使った真夏の寄せ植え。赤い花はカンナ‘トロピカル ブロンズスカーレット’。秋まできれいに維持できます。
カラジウム

注意したいのは、観葉植物用に生産された苗の場合、いきなり強い直射日光に当てるとカラジウムでも葉焼けすることがあるということです。園芸店の観葉植物コーナーなどで買った苗の場合は、ハウスの中で幾分遮光された環境で育っているため、いきなり真夏の直射日光にさらすのではなく、徐々に外に出してならすといいでしょう。室内で養生していたものを地植えにする場合も同様です。

日陰で美しい葉を楽しむポトス

ポトス

一方、ポトスは直射日光に当たると葉焼けを起こしてしまうので、半日陰の場所を選んで寄せ植えの鉢を置いています。黄色や白色の斑入り、ライム色など爽やかな葉が魅力で、日光には弱いですが高温多湿には強いので、場所さえ選べば日本の夏の気候にはぴったりです。つる性なので、少し高いところに鉢を置いたり、ハンギングにして枝垂れさせると、美しい葉が堪能できます。

ポトスの寄せ植え
北側の庭に置いた寄せ植え。ライムグリーンの葉と紫の花のトレニアなどをコーディネート。

草取りの手間を低減してくれる這い性のコリウス

コリウス
コリウス‘グレートフォール’シリーズの色違いを混植。

夏の庭の大きな課題の一つが雑草です。今や真夏の草取りは危険行為ですが、だからといって草ボウボウにしておくのもイヤなもの。そんなジレンマを解消してくれるのが、這うように育つグラウンドカバープランツ。草で草を制する作戦です。

真夏の庭のグラウンドカバーとしておすすめなのが、這性いのコリウス。葉が低くカーペットのように広がり、1株で60cm以上になる‘グレートフォール’シリーズや‘トレイルブレイザー’シリーズはグラウンドカバーとしても機能し、雑草が生える隙を与えないので重宝します。花にも負けない華やかなカラーがあり、花がら摘みなどの手間もないので管理も楽です。

コリウス‘トレイルブレイザー ロードトリップ’
這い性のコリウスで赤い葉が美しい‘トレイルブレイザー ロードトリップ’。写真提供/エム・アンド・ビー・フローラ

見栄えがよくローメンテナンスな花の組み合わせ

夏の庭
ヒマワリ‘サンフィニティ’は1株で50〜100輪以上の花が咲くともいわれます。センニチコウ‘ファイヤーワークス’は長期間色褪せないためドライフラワーにも。

真夏の花の中では、センニチコウ‘ファイヤーワークス’とヒマワリ‘サンフィニティ’は草丈が腰高以上になり、庭の景色を作るのにおすすめです。両者は多花性で1輪の花もちがよく、初夏から秋まで長期間咲くなど多くの共通点があります。生育旺盛で盛夏には株張りが1m近くにもなり、花があちこちを向いて咲きワイルドな雰囲気。この庭では石積みの壁の前に植栽していますが、こうした構造物を背景にすると株姿が多少乱れても荒れた感じにならず、程よくナチュラルにまとまります。

‘サンフィニティ’は一年草で、‘ファイヤーワークス’は暖地であれば宿根しますが、山陰の冬は雪が多く寒さが厳しいため一年草として扱います。

夏に向かって美しさを増す大鉢の寄せ植え

夏の寄せ植え

真夏の寄せ植えの課題は水切れです。その点、大鉢は水もちがよいので安心。大鉢は季節ごとにそっくり入れ替えるのは大変ですが、この寄せ植えは春からマイナーチェンジを繰り返しながら咲き継がせています。ブラウンの葉のウンシニア・ルブラやピンクの小花のクフェア‘ピンクシマー’は、5月に植えたものをそのまま残しています。夏から秋にかけては、紫色の花のヘリオトロープやピンクの花が咲く多肉植物のセダム‘ゼノックス’が存在感を増します。

寄せ植え
上の鉢の前の季節の様子。見頃の花を少しずつマイナーチェンジしながら、5カ月咲き継がせます。

環境に貢献する庭づくり

ガーデニング

庭づくりをしていると気候の変化を肌で感じ、地球の危機的状況を不安に思うことがありますが、同時に植物がいかに大切な存在かも改めて感じます。真夏に木々が提供してくれる木陰はホッと一息つける安全地帯ですし、植物が生えている場所はアスファルトの場所とは体感温度が明らかに違います。そして、植栽帯は一度に降る豪雨を吸収し、道路が水であふれるのを防ぐのにも一役買っているはずです。少しでも環境に貢献していると思うと、知恵と工夫を絞って庭づくりをするのがいっそう有意義に感じられます。

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