まだしばらくお家での時間を楽しむ必要がありそうです。こんな時だからこそ、ぜひ「お料理」を。楽しく作り、美味しく食べると心も身体もヘルシーに! 今回は中華料理などによく使われるミックススパイス「五香粉」を作り、紹興酒を使ったパウンドケーキをご紹介します。神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。まずは、スパイスで旅気分を味わいましょう。
目次
スパイスで旅をする

空港に降り立ち、まず感じるのがその国の香り。「パリ」は香水の香りが、「ハワイ」は甘い花の香り、「アジア」はスパイスやニンニクの香りがします。私にとっては「香り」こそが、旅行の醍醐味といっても過言ではありません。嗅ぎ慣れない香りに、異国の地の「未だ見ぬモノ」との出会いを予感してワクワクするのです。
気軽に「旅」に行けない今、おすすめしたいのがスパイスを使った料理。私はさまざまな国の料理を作りますが、共通しているのはスパイスを使っていること。全く違う国の料理でも、使うスパイスは共通だったりするのです。
スパイスを使えば、あなたのキッチンから「世界の旅」へテイクオフ。何時でも何処へでも、好きにHopping Around The Worldできちゃいます。さぁ、今回の目的地は「中国」です。シートベルト代わりに、しっかりとエプロンをお締めください!
五香粉とは

旅のお供は、中華料理に欠かせないスパイスの一つ「五香粉(ごこうふん)」です。別名「ウーシャンフェン」。いかにも中華料理らしい独特な香りを放ち、肉や魚、野菜はもちろんのこと、お菓子作りにも使える万能スパイスです。

五香粉は、シナモンや八角など、約5種類のスパイスが入った「ミックススパイス」。必ずしも5種類とは限らず、家庭や地方によって使われるスパイスや配合が異なるので、さまざまな味や香りの五香粉が存在します。

五香粉は、甘くエキゾチックでセクシー。日本料理にはない「独特」で「強烈」な香りなので、使う量を間違えると大惨事。イマイチ使い方が分からなくて、敬遠されている方も多いかもしれません。特に醤油やゴマ油との相性がよく、焼き豚やチャーハン、餃子などに少量使うと、簡単にプロの味に大変身。配合されているスパイスそれぞれが、漢方やアロマでも使われるもので、身体にも嬉しいスパイスです。
五香粉に使われているスパイスの効能

今回は「シナモン」「クローブ」「ホアジャオ」「フェンネル」「八角」を使い、五香粉を作ります。どれもお腹によい作用のあるスパイスです。せっかくなので、効能のお勉強タイム!
■ シナモン(桂皮)

この中では一番身近なスパイスが「シナモン」。甘くてエキゾチックな香りで世界中を虜にし、「世界最古のスパイス」とも呼ばれています。
身体を内側から温めるので、冷えからくる腹痛や関節痛、月経痛などの痛みを和らげ、胃腸のはたらきをよくして消化機能を高めてくれます。風邪の予防・諸症状にも効果を発揮します。葛根湯に配合されているのも納得!
■ クローブ (丁香)

スパイシーでありながらもバニラのような甘さを秘めている「クローブ」。独特な香りは世界中で愛され、料理からデザートまで幅広く使われています。
胃腸を温め、冷えからくる腹痛や消化不良に効果的です。強い殺菌作用を持ち、14世紀頃のヨーロッパでペストが大流行した際には、魔除けやおまじないとしても使われていました。現代でも欧米では幸運を呼ぶシンボルとして、クリスマスシーズンにはクローブを使ったオーナメントや料理を作る習慣が残っています。
■ ホアジャオ(花椒)

麻婆豆腐や担々麺など、中華料理に欠かせない「ホアジャオ」。シトラスピールの爽やかな香りと、しびれる辛みが特徴です。
サンショオールという成分に消化を助ける健胃作用があり、食欲不振や消化不良を改善する働きがあります。また水分を排出する作用があり、利尿、むくみ改善にも効果があるとされています。
■ フェンネル(小茴、ウイキョウ)

「フェンネルシード」は甘さと苦みを感じる強い風味を持っています。ラム肉などのにおい消しや、ハーブティーにもよく使われているスパイスです。食欲増進や消化酵素の分泌促進作用があるとされ、食べすぎ、飲みすぎ、胃のもたれなどに効果的です。
インド料理屋のレジ脇で見かける「ツブツブ」、あれがフェンネルです。強い香りと効能から、食後のお口直しに最適なのです。見かけたら、ぜひお試しを!
■ 八角(大茴、スターアニス)

星の形が可愛い「八角」。8つの角があるので八角と呼ばれるようになったそうです。シナモンの香りをぎゅーっと凝縮し、甘みと苦みをぶち込んだような感じ。かなり独特な香りで、好き嫌いが分かれるスパイスでもあります。身体を温める血行促進作用があり、胃腸を整えてくれます。喉の炎症にもよいので、風邪などで体が弱っている時にもおすすめです。
ルーシーの五香粉
五香粉はスーパーで買えますが、簡単に家でも作ることができます。私は花椒がダーイスキなので、多めにイン! こんな感じで、自分好みに調整できるのも魅力の一つです。粉末状のスパイスを混ぜ合わせてもできますが、ホールスパイスで作ると香りが段違い! ぜひホールでお試しください。
たまたまご近所さんから頂いた無農薬ミカンの皮を干していたので、それもおまけに使いました。干したミカンの皮は、漢方では「陳皮」といいます。正式には3年以上干したものが「陳皮」と呼ばれるそう。今回はただ香り付けの目的で使います。この時期は柚子の皮でもOKです! 爽やかな香りがベリーグッド。フェンネルの代わりに、ミカンや柚子の皮を干して使うのもよいでしょう。
材料
- 八角 6個
- クローブ 7個
- シナモン 1本
- フェンネルシード 小さじ2
- 花椒 小さじ2
- 乾燥させたミカンの皮 数枚
作り方
- シナモンや八角などの大きめなものは、手で割り細かくする。
- 全ての材料をミルなどでパウダー状にする。
- 密閉容器で保存する。
ルーシーのチャイニーズフルーツケーキ

紹興酒の香りとコク、リンゴとドライフルーツの甘み、そして五香粉香る「異国情緒」あふれるケーキです。気分は高級ホテルのティータイム in 中国。一見、材料が多いようですが、混ぜて焼くだけなので難しいことはありません。ハンドミキサーも不要です!
材料

※ 今回は24×13cmの型を使用しています。マフィン型でもOKです。
- 薄力粉 200g
- ベーキングパウダー 4g
- シナモン 小さじ1と1/2
- 五香粉 小さじ1
- 塩 小さじ1/2
- バター 160g
- ハチミツ 30g
- 三温糖 130g
- 卵 2個
- 牛乳 大さじ3
- 紹興酒 150㏄
- ドライフルーツ (クランベリー、パイナップル、イチジク等) 計60g
- リンゴ 1/2個
- ピーナッツ、パンプキンシード 各20g
作り方
- ドライフルーツは小さくカットして、紹興酒に30分程浸してから、ザルなどにあけ水分を切る(紹興酒はあとで使います)。
- 薄力粉、ベーキングパウダー、シナモン、五香粉、塩を合わせ、よく混ぜる。
- 常温にしたバター、ハチミツ、三温糖を加え、クリーム状にする。
- ③に卵を少しずつ混ぜ合わせる。
- ④に牛乳と、①の紹興酒大さじ2、②の粉類、①のドライフルーツと細かく刻んだピーナッツ、パンプキンシード、グレーターでおろしたリンゴを入れて混ぜ、焼き型に流し込む。
グレーターがなければ細かく刻んでください。 - 170℃に予熱したオーブンに入れ、45~50分焼く(焼き始めて10分ほどしたら、ケーキの中心に縦にマすぐ切り込みを入れる)。
- ⑦ 焼けたら熱々のうちに、①の残りの紹興酒を1/3ほど塗り、冷まして完成!
おやつにはもちろん。フルーツやチーズと一緒に、お酒を飲みながら楽しむのもよいでしょう。冷める間に、紹興酒がシットリと全体に染み込みます。冷蔵庫で冷やしてからいただいてもデリシャス!
中国への旅はいかがでしたか? 独特な香りがクセになる魅惑のスパイス五香粉。この五香粉は私のキッチンでも大活躍のスパイスです。ぜひお試しくだチャイナ!
あぁ、次はどこの国へ行こうかしら。私の「キッチンからの旅」はまだまだ続きます。ボンボヤージュ!
Credit
写真&文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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