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ハイビスカスの正しい剪定方法と時期やコツ、注意したいポイント

ハイビスカスの正しい剪定方法と時期やコツ、注意したいポイント

日本では鉢植えで楽しむことが多いハイビスカスですが、沖縄などの暖かい地域では、庭に植えたり、街路樹に使われたりすることがよくあります。低木とされていますが、地植えのものでは3m近い高さにまでなることも。鉢植えのものでもどんどん生育するので、上手に剪定して管理しやすくしましょう。

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ハイビスカスは、花の色や形が豊富な、アオイ科フヨウ属で常緑の低木の総称です。品種は7千種以上とも1万種以上あるともいわれています。原産地についてはいろいろな説があり詳細は不明とされますが、ハワイでたくさんの交配が行われたため、ハワイの花というイメージがついたのかもしれません。

ハイビスカスの基本データ
学名:Hibiscus
科名:アオイ科
属名:フヨウ属
原産地:中国南部、インド洋やハワイ諸島、モーリシャス島等といわれるが詳細は不明
和名: 仏桑花・扶桑花(ブッソウゲ)
英名:Hibiscus
開花期:6~10月
花色:ピンク、赤、オレンジ、黄色、白、青、紫
花もち:基本的に1日、2〜3日のものも

また観賞以外に、ハイビスカスは食用や繊維の原料とされています。ビタミンCやカリウムなどを含むので、疲労回復時などのハーブティーとして、また天然のスポーツドリンクのように飲まれていることは、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

ハイビスカスにも剪定が必要なの?

剪定とは、植物の枝や茎の一部を切り落として、樹形を整えたり、生育を促したりするために行うものです。不要な枝を切り落とすことで株全体の風通しがよくなり、病気や害虫の害を防ぐことができます。また、枝の数が限られてくると、水分や栄養分が効率よくゆき渡りますので、ハイビスカスも元気に育ち、立派な花を咲かせることができます。剪定は、ハイビスカスに限らず植物を育てるうえでは欠かせない作業のひとつなのです。

ハイビスカスを剪定する目的とメリット

植物を育てている人には欠かせないお手入れのひとつが剪定です。不要な枝を切ることで、風通しをよくし、樹形を美しくしてくれます。枝が減ることで、株の中心部にもしっかり日が当たりますので、太陽の光が大好きなハイビスカスにはとても必要な作業です。

ハイビスカスの魅力であるトロピカルな雰囲気の花を楽しむためにも剪定は欠かせません。植物の枝には花を咲かせる「花芽」がつくため、自然に伸びている枝をそのままにしていると、たくさんの花芽がついた状態になります。しかし、花芽が多すぎると栄養が少しずつしか行き渡らず、成長をストップさせてしまう花芽が出てきたり、花が咲いても小さくなってしまったりすることがあります。剪定によって枝を切るということは、花芽も取り除かれてしまうことになりますが、残った花芽には栄養がしっかり吸収され、確実にきれいな花を咲かせることができます。

また剪定は、弱ってしまったハイビスカスを元気にするために行うこともあります。ハイビスカスは生育が旺盛のため、鉢植えのものだとすぐに根がいっぱいになってしまいがちです。鉢の中で根がいっぱいになってしまう状態を「根詰まり」といいますが、根詰まりは株を衰弱させてしまう原因のひとつ。鉢底から根が飛び出ている場合は根詰まりを起こしています。根詰まりを起こしているハイビスカスは植え替えをし、その時に剪定を行うとよいでしょう。

剪定をすることで、ハイビスカスの株が大きくなりすぎるのを防ぐこともできます。鉢植えのハイビスカスの場合は剪定することで、家の中やベランダなどでもコンパクトに育てられるメリットもあります。

剪定を行うときは時期に注意しましょう

ハイビスカスには2種類の剪定があります。ひとつは全体を大きくカットして、株の高さを2分の1〜3分の1ほどに仕上げる「強剪定」です。「切り戻し」と呼ばれることもあります。強剪定は弱ったハイビスカスを元気にしたい時や株を大きくせずコンパクトに育てたい時、冬を迎える前などに行います。もうひとつの剪定は、不要な枝だけを取り除く「間引き剪定」です。間引き剪定は、生育期に混み合ってきた枝や枯れ込んできた枝を根元から取り除く剪定です。

強剪定に適した時期

強剪定は生育期間中ならいつ行っても問題ありませんが、剪定後はしばらく花が咲かなくなりますので、通常は花が少なくなり始める10月下旬頃までに行うのがおすすめです。ハイビスカスは寒さが苦手なため、涼しくなってきたら鉢を室内に移す必要があります。その前に強剪定をすると、弱ったり枯れたりせずに冬を越すことができます。ただしハイビスカスは、日の当たる暖かい場所や暖房のきいた部屋では冬でも花を咲かせることがあります。目安は12℃程度といわれています。12℃以上の室温を保てる室内であれば剪定の必要はありません。

ハイビスカスは冬の間は生育を止めるものですが、暖かい室内などでは枝が伸びることがあります。秋に強剪定したハイビスカスが冬の間に枝を伸ばした場合は、2〜3月に伸びた枝を切るとよいでしょう。切ったとことろから枝が増え、花数も増えます。

冬の花を楽しむため秋に剪定をしなかった場合は、翌年の5月に剪定を行います。この時期の剪定は、系統によっては秋まで花が咲かなくなるので注意しましょう。また、

根詰まりしたハイビスカス、樹形が乱れてバランスの悪いハイビスカスも5月に植え替えと合わせて剪定を行うとよいでしょう。

ハイビスカスはたくさんの品種がありますが、大きくはオールドタイプ、コーラルタイプ、ハワイアンタイプ(ニュータイプ)の3系統に分けられます。オールドタイプとコーラルタイプは夏に花をつけますが、ハワイアンタイプは春や秋に花が咲きます。そのため、春に強剪定をしてしまうと秋まで花が咲きませんので注意しましょう。

間引き剪定に適した時期

生育期のハイビスカスは、枝がぐんぐん伸び、葉もたくさん出てきます。そうなると、株の中心まで日が当たらなくなったり、混み合った枝や葉が蒸れて害虫や病気が発生したりします。間引き剪定は、5〜10月の生育期に行うとよいでしょう。熱帯の植物という印象があるハイビスカスですが、日本の蒸し暑い夏には弱い性質です。夏は風通しをよくするためにも、定期的に観察して剪定を行いましょう。

ハイビスカスの剪定方法が知りたい

それでは、ハイビスカスを剪定するための具体的な方法をご紹介します。

強剪定の方法

強剪定は切り戻しともいい、ハイビスカスの株全体を大きくカットする方法です。枝の長さを3分の1ほど残すようにカットします。元気のある大きな株であれば、大胆にもっと短く切ってしまっても問題ありません。枝が重なって伸びている部分などは、細い枝のほうをつけ根から切っておくとよいでしょう。

秋に強剪定したものは、気温が高くなり始める5月に植え替えを行います。鉢から抜いたハイビスカスは根鉢の下のほうから土を少し崩し、根も3分の1ほど切り落とします。もとの鉢に新しい土を加えて植え替えましょう。

秋に剪定をせずに冬越しをしたハイビスカスは、翌年の5月に強剪定をする際、植え替えも一緒に行います。

間引き剪定の方法

間引き剪定は、花を咲かせている生育期に行います。不要な枝をつけ根からカットする剪定です。

不要な枝とは、枯れている枝、弱っている枝、ほかの枝よりも伸びすぎている枝などです。枝が混み合って出ているところは、細い枝のほうを切り落としておきましょう。

ハイビスカスを剪定する時のコツや注意点は?

ハイビスカスの剪定で注意するポイントとしては、必ず葉が数枚残るようにカットすること。葉を数枚残さないと、カット後の生育が悪くなり枯死することもあります。もう一点気をつけたいのは、剪定を行う時期です。強剪定は5〜10月の生育期であればいつ行っても問題はありませんが、剪定を行った後は数か月花が咲かないことを考えると、生育期に入る直前の春か花が咲き終わった後の秋に行うのがポイントです。ただし、ハワイアンタイプのハイビスカスは春と秋に花を咲かせますので、春に強剪定をしてしまうと秋まで花が咲きませんので注意しましょう。

ハイビスカスは生育が旺盛なので、強剪定は思い切り切り詰めても大丈夫です。特にベランダなどスペースが限られている場所で育てている場合は、強剪定と根を整理した植え替えでコンパクトに仕上げるのがコツです。

ハイビスカスを育てるのはそれほど難しくはありません。剪定と植え替えを適切に行えば、毎年たくさんの花を咲かせてくれます。ぜひトロピカルな花を楽しんでください。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・ブライズヘッド

 

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