「畑の血液」と呼ばれる栄養満点のビーツを、思わず心ときめく鮮やかなピンク色のフムスにしませんか? 「土臭さが苦手…」という方も、オーブンにアルミホイルごと放り込むだけの簡単下処理で、クセが落ち着き甘みがアップします。今回は、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動するルーシー恩田さんが、クリーミーで見た目も華やか、美容にも嬉しいビーツフムスの簡単レシピをご紹介。いつもの食卓がパッと明るくなること間違いなしです!
目次
ビーツは栄養豊富な「畑の血液」

ビーツは近年よく見かけるようになった野菜のひとつです。「ビーツ」「ビートルート」「テーブルビート」など、さまざまな名前を持ちますが、日本では「ビーツ」と一般的に呼ばれています。
以前は缶詰や水煮パックでしか見かけない、ニッチな野菜でしたが、最近では旬の季節になると直売所や大型スーパーなどで、フレッシュなビーツを買えるようになりました。
鉄分が多く含まれているので「畑の血液」とも呼ばれ、他にも栄養価が豊富でリン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムなどを多く含むスーパーフードです。

ビーツは地中海沿岸を原産とするヒユ科フダンソウ属の植物で、スイスチャードや甜菜(てんさい)のお仲間。サトウダイコンと呼ばれる甜菜の仲間なので、砂糖の甘さがあります。ビーツは土臭さが印象的な野菜で、「なんか土を食べてるみたい!」と感じるかもしれません。実際に土を食べたことがあるかどうかという疑問はさておき、この土臭さが苦手! っていう方が多いのも事実。ゴボウの泥臭さを何倍にもしたようなイメージです。

ほのかに香る土臭さも、上手く使えば料理のアクセントになります。身体によいのはもちろん嬉しいけれど、なにより料理がピンクになって、プリンセス気分の仕上がりに。スープはもちろん、ポテトサラダやスムージーにビーツを少し加えるだけで世界観が変わります。

ビーツの色は、食べ物としては奇々怪々。神様がどんな気分で作った野菜かは知らないけれど、きっと「イェーイ! すんごい色のお野菜つくっちゃお♡」って感じの、高めなテンションで作ったのでしょうねぇ。
好きな野菜は育ててみたい! ビーツ栽培に挑戦

今年の春はビーツの種子を播いてみました。ビーツはよく買って食べていますが、栽培に挑戦したのは初めて。ニンジンやレタスのように日常的にサラダで食べるものではないし、そんなに収穫しても、行き場がないなぁ。と思っていましたが、好きな野菜はやっぱり育ててみたい! ってなわけで、食いしん坊ばんざいモチベーションです。

「ビーツの生育適温は15〜20℃で、暑さに弱く冷涼な気候を好むので、秋まきから挑戦するのがよい」らしいですが、思い立ったが吉日! 例え失敗しても、それは明日への糧となるでしょう。何事も経験よね。まずはやってみることが大切でしょう?
5月15日の時点で、3cm程に成長しています。2〜3カ月で収穫できるので、もうしばしの辛抱です。せっかちな私にとっては、野菜の栽培は精神修行のようなもの。畑に行っては、まだかな! まだかな! と落ち着きのない子供のように観察しながら、毎日確実に育っていく力強いエネルギーに魅せられています。
ビーツの下処理は簡単にオーブンで

あのビーツの土臭さは、オーブンで解決できます(ある程度)。オーブンで下処理と聞くと、なんか面倒くさそう……と感じるかもしれませんが、アルミホイルに包んでポイッとオーブンに放り込むだけなので、じつはとっても簡単。ちちんぷいぷい! なのです。
スープを作るときなどは、生のまま切って煮込むこともありますが、それだと甘みを最大限には引き出せないし、泥臭さも残ります。ですから、どんな料理をするにしろ、ビーツは1度オーブンで焼くのが私流。
■ ビーツの下処理方法
① ビーツの葉をカットして、軽く洗いアルミホイルに包む (※ビーツが大きければ2等分にする)。

② 200℃程のオーブンで40〜90分ほどローストする (※オーブンとビーツの大きさによって焼き時間は変わります。竹串がスーっと通ればバッチリ!)。

加熱すると皮がするっと剥けます。冷凍も可能なので、一度に沢山作っておくと便利です。適当な大きさに切り、サランラップに包み、ジップロックなどに入れて冷凍しましょう。いざという時のポタージュにも大活躍です。
中東の定番豆料理「フムス」

今回ビーツを使って作るのは、日本でも認知度が上がった「フムス」。中東料理の前菜を代表する一品で、ひよこ豆とタヒーニ(中東の練りゴマ)、オリーブオイルなどをペースト状にしたもの。欧米での人気も高く、普通のスーパーマーケットでもパックで売られています。他にもフムスのサンドイッチや、野菜スティック&フムスのセットなども一般的。
ひよこ豆だけで作るベーシックな物から、色鮮やかなビーツのフムス、そして緑色の「EDAMAME (枝豆)」フムスまで、バリエーションもさまざま。たんぱく源が手軽に摂れるので美容にも嬉しいお料理なのです。
色鮮やか! ビーツで作るクリーミーフムス レシピ

美容によいと言われたら、重い腰だって軽くなるはず。今回ご紹介するのはカラフルなピンクが眩しい、プリンセス気分全開なビーツのフムス。クリーミーでパンチのあるディップはお酒との相性も抜群です。サンドイッチに挟んだり、クラッカーやサラダに添えたりと食べ方もさまざま。とにかくピンクがキュート。林家夫妻もビックリの美味しさです。簡単でかわいく、美味しい! これに勝るものはありませんからね♡
■ 材料

- オーブンでローストしたビーツ 中1個
- a) ひよこ豆の水煮缶など 1缶 (※約400g)
- a) 芝麻醬 大さじ4
- a) ニンニク 2片
- a) レモン 1個 (※約大さじ4)
- a) クミンパウダー 小さじ1
- a) 塩 小さじ1
- オリーブオイル 大さじ3
- 飾りのディルやイタリアンパセリ
- 飾りのホールコリアンダー、ナッツなど (※フライパンで軽く乾煎りしておくとさらに美味!)
■ 作り方
① ひよこ豆の水煮缶はザルにあけて水分を捨て、軽く洗う。

② ローストしたビーツは皮を剥き、適当な大きさにカットする。

③ a)の材料とビーツをフードプロセッサーなどで撹拌する。

④ ③にオリーブオイルを加えて、さらに撹拌。
⑤ お気に入りのお皿に④を平たく盛りつけて、飾りのハーブやスパイスをのせて完成!


本場ではタヒーニという中東の胡麻ペーストを使いますが、今回はスーパーの中華食材コーナーにある「芝麻醬」を使って作りました。練り胡麻でも大丈夫です。乳製品や卵など動物性の材料を使わないため、食事制限がある方にも喜ばれるので、持ち寄りパーティーの時などにも重宝します。

ピタパンやトーストに野菜とフムスを合わせて、ヘルシーなワンプレートにするのもよいでしょう。食事は五感で楽しむ時間です。フレッシュなビーツを見かけたら、迷わず作ってみてください。ショッキングピンクなフムスで心躍るひと時を♡
Credit
写真&文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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