バーベナ・ボナリエンシス(三尺バーベナ)は長く咲いて丈夫な宿根草! 特徴や育て方のポイントを解説

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バーベナ・ボナリエンシス(三尺バーベナ)は、すらりと草丈が高い宿根草で、紫の可愛らしい小花を初夏から秋まで次々と咲かせます。丈夫で育てやすく、花壇やガーデンが立体的な風景になるので、多くの場所で育てられている人気の植物です。この記事では、バーベナ・ボナリエンシスの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方のポイントなどについて、詳しくご紹介します。
目次
バーベナ・ボナリエンシスの基本情報

植物名:バーベナ・ボナリエンシス
学名:Verbena bonariensis
英名:purpletop vervain、clustertop vervain、Argentinian vervain、tall verbena、pretty verbena
和名:ヤナギハナガサ(柳花笠)
その他の名前:サンジャクバーベナ(三尺バーベナ)、タチバーベナ
科名:クマツヅラ科
属名:クマツヅラ属
原産地:南米
分類:宿根草(多年草)
バーベナ・ボナリエンシスは、クマツヅラ科クマツヅラ属の宿根草です。草丈は50〜200cm。背が高く野生味のある姿が特徴で、ボーダーガーデン、ナチュラルガーデン、イングリッシュガーデンなどで花壇の後方によく植栽されています。チョウが好む花なので、バタフライガーデンにもおすすめです。
葉が柳のように細長いことから、ヤナギハナガサという別名もありますが、あまり聞き馴染みがないかもしれません。原産地は南米で、耐寒性・耐暑性に優れています。非常に丈夫で植えっぱなしでも夏越し・冬越しの問題がなく、こぼれ種からでもよく育ちます。
バーベナ・ボナリエンシスの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:7〜11月
草丈:50〜200cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:紫
バーベナ・ボナリエンシスの開花期は7〜11月です。1m以上に伸びるまっすぐな茎を分枝し、頂部から花序を出して、小花をたくさん咲かせます。花色は淡い紫で、花の根元にある筒部は赤紫です。長く細い茎の先端にポンポンと球状に花を咲かせるため、丸い花が宙に浮かんでいるようにも見えます。
茎は細長く、葉が少なくて節間も長いため、草丈が高くてもスリムな印象で、あまりほかの植物を邪魔することなく、風通しよく育ちます。葉は細長く、茎には産毛が生えていてザラザラとした質感です。
バーベナ・ボナリエンシスの名前の由来や花言葉

バーベナ・ボナリエンシスという名前は、学名から。「ボナリエンシス」はアルゼンチンのブエノスアイレスを意味し、自生地に由来する名前です。三尺バーベナという別名は、草丈がおおよそ三尺(約90cm)あるバーベナという意味でつけられたものですが、実際には90cm以上になることもよくあります。和名はヤナギハナガサ(柳花笠)で、ヤナギの葉に似た細長い葉と、花笠のような花形に由来します。
三尺バーベナの花言葉は「幸運に」「生命力の強い」など。バーベナ全体の花言葉としては「魅了する」「魔力」「柔和」などがあります。
バーベナ・ボナリエンシスの代表的な品種
バーベナ・ボナリエンシスにはいくつかの品種があります。ここでは、代表的な2つの品種をご紹介します。
メテオールシャワー
‘メテオールシャワー’は、ボナリエンシスの交配種で、草丈が50〜70cmとコンパクトな品種です。よく分枝し、たくさん花がつきます。開花期も長いため、花を長く楽しめます。種子がつかないのが特徴で、こぼれ種で勝手に増えることはありません。
ロリポップ

‘ロリポップ’は、草丈が30〜50cmと非常にコンパクト。よく分枝して花もたくさんつくので、狭いスペースや鉢植えにも合う新品種です。‘メテオールシャワー’とは異なり、こぼれ種で増えるので、繁殖のしすぎに注意が必要です。
バーベナ・ボナリエンシスの栽培12カ月カレンダー
開花時期:7〜11月
植え付け・植え替え:4〜5月、9〜10月
肥料:5〜10月(真夏を除く)
種まき:3~4月
バーベナ・ボナリエンシスの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・水はけのよい環境を好みます。日照が不足すると、生育や花付きが悪くなるので注意が必要です。
【日当たり/屋内】一年を通じて屋外での栽培が基本です。
【置き場所】水はけのよい環境であれば、土質を選ばずやせ地でもよく育ちます。過湿になると根腐れしやすいので注意しましょう。
耐寒性・耐暑性
耐寒性が高いため、基本的に冬越し対策は必要ありません。ただし寒冷地では、必要に応じてマルチングをしたり、鉢植えの場合は霜が降りない場所に移動するとよいでしょう。
バーベナ・ボナリエンシスの育て方のポイント
用土

地植えの場合、事前に腐葉土を混ぜ込んで水はけをよくしておきましょう。鉢植えでは市販の草花用培養土を使うか、赤玉土7:腐葉土3などの一般的な配合土がおすすめです。
水やり

地植えの場合、降雨のみで問題なく育ちます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水やりするようにしましょう。
肥料

水はけがよければ、やせ地でも育つため、肥料はあまり必要としません。地植え・鉢植えともに、春と秋に控えめに緩効性肥料を施す程度でよいでしょう。
注意する病害虫

【病気】
特に注意すべき病気はありません。
【害虫】
高温乾燥期にハダニがつくことがあるため、注意が必要です。ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、ハダニを見つけたら葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけるとよいでしょう。小さな虫なので、水の勢いで流して除去することができます。
バーベナ・ボナリエンシスの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、葉が傷んでおらず、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。また、枯れや病気の兆候がないか、よく確認することも重要です。
植え付け・植え替え

植え付け・植え替えともに、適期は4〜5月、9〜10月です。春に植え付けると、その年から開花を楽しめます。
地植えの場合は、特に植え替える必要はありません。鉢植えで管理している場合は、1〜2年に1回を目安に植え替えをします。大きく育てたい場合は1回り大きな鉢に、同じサイズで育てたい場合は株分けを同時に行い、株のサイズを小さくするとよいでしょう。
日常のお手入れ

花が終わったら、こまめに花茎を切り取ります。そうすることで、風通しをよくして蒸れを防ぎ、草姿も整います。近年は、花がらを残して秋の枯れ姿を楽しむ人も多いようです。
剪定・切り戻し

草丈を抑えたい場合は、5月頃までに切り戻すとよいでしょう。わき芽が伸びて、多くの花を咲かせるメリットもあります。冬は地上部が枯れるため、地際付近で刈り取ります。
夏越し・冬越し

バーベナ・ボナリエンシスは夏越し対策は特に必要ありませんが、夏場は水切れに注意しましょう。
冬は地上部を枯らし、冬芽を出して越冬します。枯れた枝があれば、地際で切り取っておくとよいでしょう。冬芽は寒さに強いですが、土が凍る地域では枯れることもあります。寒冷地では種子を採取しておき、翌年播いて一年草のように扱う方法もあります。
増やし方
バーベナ・ボナリエンシスはこぼれ種でも自然に増えてよく育ちますが、種まきや株分け、挿し芽など、さまざまな方法で増やすこともできます。
【種まき】

バーベナ・ボナリエンシスは、こぼれ種でもよく増えますが、花後にできた種を採取して保管しておけば、種まきをして増やすことができます。
種まきの適期は3〜4月です。播種箱などに播き、土を薄くかけます。発芽まで乾燥させないよう注意し、本葉が2〜3枚になったらポット上げするとよいでしょう。
株分け

株分けの適期は4〜5月、9〜10月です。植え替えのときに掘り上げた株を切り分け、鉢や地面に植え付けるとよいでしょう。
挿し芽

挿し芽の適期は6〜7月ですが、暖かい時期であればいつでもできます。
茎を10〜15cmほどカットして挿し穂にし、水を吸わせて清潔な用土に挿します。明るい日陰で乾燥させないよう注意しながら管理しましょう。
バーベナ・ボナリエンシスを栽培する際には繁殖力が強いことに注意

バーベナ・ボナリエンシスは丈夫で繁殖力が非常に強いため、育てる際は注意が必要です。
特定外来生物の指定は受けていませんが、「将来の生態系に被害を及ぼす恐れがある外来種」とされています。庭で育てるときはこぼれ種などで敷地外に逸出しないよう、十分に注意して管理する必要があります。その強健さから初心者でも育てやすいのが魅力ですが、増えすぎると管理が大変になりがちなので、栽培環境に応じて種子をつけない品種を選ぶなど、よく考えてから購入しましょう。
丈夫なバーベナ・ボナリエンシスは初心者にもおすすめ

バーベナ・ボナリエンシスは紫色の可愛らしい花をたくさんつけてくれる、丈夫で育てやすい宿根草。草丈が高く野趣あふれる姿で、ガーデンにダイナミックな風景を演出してくれます。コンパクトな矮性種は寄せ植えにもおすすめ。こぼれ種でもよく増え、丈夫でガーデニング初心者の方も簡単に花を楽しむことができるので、ぜひガーデンに取り入れて花を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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