人気沸騰中の家庭菜園。始めるなら秋からがおすすめです。というのも、春夏と比べて秋は害虫被害が圧倒的に少ないため、同じ野菜でも春栽培よりも楽に育てることができます。また、タネからなら、ちょっと珍しい野菜を育てることもでき、なんといってもコスパがいい! 家庭菜園歴20年以上の岡崎英生さんが初心者にもおすすめのビーツの育て方を解説します。スーパーにはほとんど並んでいない野菜なので、ぜひ自分で育てて味わいましょう!

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葉酸たっぷりの野菜ビーツ

鮮やかなルビーレッドの野菜、ビーツ。赤いカブのような形をしていますが、カブはアブラナ科なのに対し、ビーツはホウレンソウと同じアカザ科の野菜です。ビタミンやミネラル、葉酸が豊富で、スーパーフードとしても注目されています。日本ではあまりなじみのない野菜かもしれませんが、ロシアの家庭料理「ボルシチ」はご存じの方も多いのではないでしょうか。ボルシチはビーツを使った赤いスープで、トロトロに煮込んだ牛すね肉とビーツの素朴な甘みがなんとも身体にやさしく、ホッとする味なのです。我が家では近年、作るようになった料理ですが、簡単で失敗することがなく、とても美味しく、栄養もたっぷりなので、早くも定番料理になっています。きっかけを作ったのはうちの奥さんで、フィギュアスケートの大ファンである彼女がロシア大会へ出かけて行って、現地で食べて感激したことからです。とにかくこの料理にはビーツが欠かせない…そこでビーツを探し回ったのですが、日本のスーパーの店頭にはほとんど並んでおらず、ネットで取り寄せようとしたところ、生のビーツは2~3個で「800円+送料1,700円」。うわぁ、高い! と驚いてタネを探したところ、タネは280粒も入って200円前後で販売されていました。これは育てるしかないということで、ビーツが家庭菜園の仲間入りをしたわけです。ちなみに缶詰の水煮もありますが、栽培したものと比べると、私はやはり生ビーツを使った味のほうが好きです。

発芽率がよく初心者でも育てやすい野菜

ビーツの新芽

栽培してみたところ、ビーツは発芽率がとてもよく、非常に丈夫で簡単に育つので、初心者にもおすすめの野菜です。栽培適期は春と秋の2回で、秋は10月いっぱいくらいまで種まきができます(関東地方以西の暖地)。タネはとてもたくさん入っているので、播く時期を少しずつずらして育てると、長い期間、少しずつ収穫ができます。いっぺんにたくさん播くと、いっぺんにたくさん採れてしまって、家庭で消費するのには大変苦労することになります。ビーツはある程度は保存ができますが、ジャガイモやタマネギのような保存性はないので、1回の収穫で7~8個採れるくらいに調整して種まきをするといいでしょう。あ、タネはおそらく余るでしょうけれど、有効期限の1年を過ぎると極端に発芽率が落ちてしまうので、余った分はあきらめて改めて買い直しましょう。

さて、タネの播き方を説明する前に、畑の準備について少しお話ししておきます。

とにもかくにも土の準備が上手に育てるコツ

土作り

まず、植え付ける予定地を、植え付けの2週間くらい前に耕しておくことをおすすめします。雑草を抜いて、牛フン堆肥、苦土石灰、有機化成肥料を施し、よく耕しておきます。それぞれの量は1㎡あたり、

  • 牛フン堆肥 200g
  • 苦土石灰 80g
  • 有機化成肥料 80g

が目安です。といっても、料理のようにきっちり計る必要はなく、だいたいで大丈夫。牛フン堆肥200gは手で2掴みくらい、他2つは軽く1掴み(80g相当)です。さて、これらを土に混ぜる理由は、土を柔らかくしてビーツがよく育つようにという意味ももちろんありますが、ウイルス病を防ぐ意味もあります。これは、どんな野菜もそうなのですが、最初にしっかり土づくりをしておくと、病害虫に強く育ちます。病気は土中のカルシウム分が不足すると発生しやすくなりますが、牛フン堆肥や苦土石灰、有機化成肥料の中にはその要素が含まれているので、最初にしっかり混ぜておく必要があるのです。プランター栽培の場合も、小粒の赤玉土にこれらを混ぜて、2週間ほどおきます。2週間ほどおくのは、それぞれの成分がよくなじむのに必要な期間です。しかし、あらかじめこれらの成分が混ざった野菜用培養土を使う場合は、すぐに植え付けしても問題ありません。 ちなみに、ジャガイモをベランダなど限られたスペースで栽培する際、麻袋などを利用した袋栽培がありますが、ビーツもこの栽培方法が可能です。

種まきの方法

ビーツのタネ
ビーツのタネ。ウイルス病予防などの薬品処理がされているため色がついている。
  1. タネは播く前に一晩水につけておきます。
  2. 幅30cm、高さ20cmくらいの畝をつくり、中央にタネのまき溝をつくります。溝はシャベルの先端で深さ1cm程度くらいの線を引くようにしてつくります。そこにジョウロにハス口をつけて水をたっぷりやります。
  3. なるべく間隔があくように、すじまきにします。点まきにする場合もありますが、すじまきのほうが簡単です。
    ●すじまきなど、種まきの方法についてはこちらの記事を参照。
    『正しいタネのまき方とは? すじまき・点まきなど野菜に合った種まきを!』
  4. 軽く土をかけ、手で上から押さえて、よくタネを土に圧着させます。このとき、あれば、籾殻をかぶせてから水をまくと、籾殻に保水性があるため乾燥を防ぐことができます。発芽までは乾燥しないように、水やりを欠かさないようにします。種まきから発芽まで1週間ほどです。発芽後は、よほど乾燥が続くようなことがない限りは、水やりはしません。
    ビーツの種まき
  5. 発芽した苗が3cmくらい伸びたら、混み合っているところを間引きします。これが1回目の間引き作業です。なるべく生育のよさそうなものを残します。
  6. 本葉が3~4枚になったら、2回目の間引き作業を行い、最終的に株間が10cmくらいになるようにします。このとき、追肥として有機化成肥料をやります。
  7. 直径8cmくらいになったら収穫どきです。上から見ると、首が少し見えているので、だいたいの大きさを判断できます。種まきから収穫までは40~50日ほどです。晴天が続いているときに収穫するとよいでしょう。
    ビーツの収穫

ビーツのおいしい食べ方

ビーツの料理
Olha Afanasieva/Shutterstock.com

ビーツはサラダなど生でもおいしくいただけますし、アルミホイルに包んでオーブンで30~40分焼くベイクドビーツもホクホク甘い味がやみつきになります。ビーツの代表的料理「ボルシチ」はロシアの家庭料理ですが、これもとても簡単に美味しく作れます。牛すね肉を柔らかくするのに、圧力鍋を使うと短時間でできますよ。

<ボルシチの材料(4人分)>

ボルシチ
Timolina/Shutterstock.com
  • ニンジン 1本
  • タマネギ 1/2個
  • 牛すね肉(一口大) 300g
  • ビーツ 1個
  • トマト缶 1/2個
  • コンソメ 2個
  • ベイリーフ 1枚
  • サワークリーム 大さじ4

<作り方>

  1. ニンジン、タマネギを適当な大きさに切り、牛すね肉とともに適度に焼き色がつくまで炒めます。
  2. 牛すね肉を圧力鍋に入れ、トマト缶、ベイリーフ、かぶるくらいの水を加えて15~20分ほど加圧します。
  3. ニンジン、タマネギ、ビーツ、コンソメを入れて、さらに3分ほど加圧します。
  4. 火を止め、圧力が抜けたら皿に盛り付け、サワークリームを大さじ1のせたら完成。

Credit

文・写真(表記外)/岡崎英生(文筆家・園芸家)
早稲田大学文学部フランス文学科卒業。編集者から漫画の原作者、文筆家へ。1996年より長野県松本市内四賀地区にあるクラインガルテン(滞在型市民農園)に通い、この地域に古くから伝わる有機栽培法を学びながら畑づくりを楽しむ。ラベンダーにも造詣が深く、著書に『芳香の大地 ラベンダーと北海道』(ラベンダークラブ刊)、訳書に『ラベンダーとラバンジン』(クリスティアーヌ・ムニエ著、フレグランスジャーナル社刊)など。

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