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至高のバラ「ブルガリアン・ローズ」が横浜イングリッシュガーデンに登場

至高のバラ「ブルガリアン・ローズ」が横浜イングリッシュガーデンに登場

Anita Ben/Shutterstock.com

地平線の彼方までバラで埋め尽くされたブルガリアの「バラの谷」。朝露が乾く前に花を摘み、ローズオイルを抽出するのが、この谷でいにしえより続いてきた伝統です。世界中の調香師がその香りをNo.1と評する「ブルガリアン・ローズ」。その特別な1本が、この春、横浜イングリッシュガーデンに寄贈されました。至高の香りを確かめに、足を運んでみませんか?

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世界一のバラの香料を生産するブルガリア「バラの谷」

ブルガリアンローズ
朝日を浴びて輝き出すバラの谷。nikolay100/Shutterstock.com

ブルガリアの中部、バルカン山脈の南に位置し、スレドナ・ゴラ山脈との間に挟まれた東西約140kmの細長い渓谷、通称「バラの谷」。5月、吸う息や吐く息さえもバラ色に染まりそうなほど、谷はブルガリアン・ローズのピンク色で埋め尽くされます。ブルガリアン・ローズはロサ・ダマスケナ、カザンラクの名前でも知られるオールドローズの一つで、樹高は人の背丈程度。春にピンク色のクシュクシュとした愛らしい花を咲かせますが、何よりも人を引きつけるのは、その香りです。ブルガリアン・ローズの香りは「ダマスク香」というバラを代表する甘く芳しい香りで、さまざまな現代の園芸品種にも受け継がれています。

ブルガリアンローズ
花は一つひとつ丁寧に手摘みされる。macondo/Shutterstock.com

バラの谷では何世紀にもわたってバラの栽培が行われ、国家事業の一つとしてローズオイルが生産されてきました。北海道とほぼ緯度を同じくし、湿気が少なく冷涼なこの地で生産されるローズオイルは、その品質の高さから「黄金の液体」と称され、シャネルなど多くのメゾンが自社の香水にブルガリアン・ローズオイルを用いています。高い品質を維持するために、ブルガリアにはバラの花やローズオイルの栽培者・扱い業者の権利と義務を法制化したバラ製造に関する法律があり、世界に誇る品質が守られてきました。

ブルガリアンローズ
摘み取られたブルガリアン・ローズは袋詰めされ、すぐに抽出所へ。RaDoll/Shutterstock.com

ブルガリア国立バラ研究所は品質維持のための中枢機関で、ローズオイルやローズウォーターの分析・評価・認定を行うとともに、その効果効能についての化学的・薬理学的な研究が進められてきました。ダマスクローズは他国でも栽培されローズオイルの生産が行われていますが、生産地や抽出の技術などによってローズオイルに含まれる成分には大きな差が生まれます。

ブルガリアンローズ
Anita Ben/Shutterstock.com

バラの谷のローズオイルは275 種類以上ものマクロ、ミクロ成分を含有し、複合的かつ絶妙な構成配分であることが分かっています。ゆえに調香師の世界では、単にダマスクローズオイルではなく、「ブルガリアのダマスクローズオイル」を用いることが重要なポイントであることは常識です。「至高の香り」と呼ばれるバラの谷のローズオイルは香水として用いられるだけでなく、その多彩な微量要素の働きにより疾病治療や美容、女性特有の不調などに古くから利用されてきました。

ブルガリア国立バラ研究所からYEGに寄贈された特別な1株

ブルガリアンローズ植樹式

そんなバラの国、ブルガリアから、神奈川県横浜市のローズガーデン「横浜イングリッシュガーデン」にブルガリアン・ローズがやってきました。バラの谷の東端に位置する街、カザンラクの名前でも呼ばれるこのバラは、日本でも苗が市販されていますが、今回やってきたのは、駐日ブルガリア共和国大使館マリエタ・アラバジエヴァ大使を通し、ブルガリア国立バラ研究所から寄贈された貴重な1株。2023年4月28日(金)に、マリエタ・アラバジエヴァ大使とテレビ神奈川熊谷典和社長による植樹式が執り行われ、ブルガリアン・ローズが横浜イングリッシュガーデンの芝地エリアに根をおろしました。

ブルガリアンローズ植樹式
左から「横浜イングリッシュガーデン」スーパーバイザーの河合伸志さん、ブルガリア大使、テレビ神奈川熊谷典和社長。

ブルガリア大使のバラの楽しみ方

ブルガリアンローズ

バラはブルガリアの国花で、女の子の名前にバラが使われていたり、ブルガリアでは人々の暮らしにとても身近な存在だといいます。大使ご自身もバラが大好きで、公邸にもカザンラクが植えられています。

ブルガリアンローズ植樹式

「この季節は朝、カザンラクの香りをかぎに庭に出るのがとても楽しみなんです。バラは観賞するだけでなく、ブルガリアではバラジャムやバラの蜂蜜など、食卓にもしばしば登場します。これらは胃によいことでも知られ、私はパンケーキやヨーグルトに入れて食べるのが好きです。ローズオイル生産の副産物として抽出されるローズウォーターは最も身近な化粧水で、肌の水分を保持するのにとてもいいんですよ」(マリエタ・アラバジエヴァ大使)

ブルガリアンローズフェスタ

植樹式当日は、駐日ブルガリア共和国一等書記官のペトラ・ニコラエフ氏によって、ブルガリアの観光と歴史を紹介する講演が開催。1kgのローズオイルを得るために3,000kgものバラの花びらが必要であることや、毎年開催されるバラ祭りについて、またバラと並んでブルガリアの特産品であるヨーグルトを使った夏のスープなどが紹介され、ブルガリアの奥深い魅力に触れる機会となりました。

また、園内の芝地エリアでは軽快な音楽とともにブルガリアの伝統舞踊が披露されました。その様子を上記の公式インスタグラムで紹介しています。

バラがより強く香る時間帯の「早朝プレミアム開園」実施中!

横浜イングリッシュガーデン

4/22(土)~5/21(日)の期間中には、毎年好評の「早朝プレミアム開園」も実施。期間中は通常より2時間早く、8時に開園。清々しい早朝の園内で、ブルガリアからきた貴重なブルガリアン・ローズの香りを堪能してみませんか。植樹した木は芝生エリアにあり、まだまだこれからつぼみが開きます。ただし春の一季咲きなので、この期間をお見逃しなく。売店にも特設コーナーを設置し、ブルガリアン・ローズの化粧水やジャム、蜂蜜を販売しています。

ブルガリアンローズ
ブルガリア大使の食卓にも上るバラの蜂蜜は、売店で購入できます。
横浜イングリッシュガーデン

今年のバラの開花は、これまでの温暖な気候の影響で、例年になく全体的に早いペースとなりそうです。ブルガリアからやってきた貴重なブルガリアン・ローズとともに、横浜イングリッシュガーデンにはさまざまなバラが咲いています。バラの香りにどっぷり浸るひとときは、この季節だけの贅沢。芳純なバラの香りを堪能しに、ぜひ横浜イングリッシュガーデンへお出かけください。

『見渡す限りバラが咲く! 特別な時間を過ごせるバラ園「横浜イングリッシュガーデン」』では、「ローズ・フェスティバル2023」の見所をご紹介しています。

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