色鮮やかで比較的花のサイズが大きいため、春の庭の主役となるポピー。日本では、シャーレーポピー、アイスランドポピー、オリエンタルポピーが主に育てられています。この記事では、ポピーの基本情報や種類、花言葉や名前の由来、詳しい育て方など幅広くご紹介していきます。種から育てるなら、9月下旬〜10月上旬が播き時です。

Print Friendly, PDF & Email

ポピーの基本情報

ポピー
Quang Ho/Shutterstock.com

ポピーは、ケシ科ケシ属の一年草・多年草です。世界中に150種ほどが確認されており、アヘンが採れるために栽培が禁止されている種類もあります。日本でガーデニング用として栽培されているのは、主にシャーレーポピー、アイスランドポピー、オリエンタルポピーです。どれも花色がカラフルで、花のサイズも大きいので、群植すると迫力があります。草丈は30〜80cmで、花壇の中段くらいで活躍。花茎を長く伸ばした頂部に咲き、株元が寂しくなりがちなため、手前に草丈の低い植物を合わせるとより華やかになります。

ポピーの種類

日本でガーデニング用として普及しているポピーは主に、シャーレーポピー、アイスランドポピー、オリエンタルポピーです。ここでは、それぞれの基本情報についてご紹介します。

シャーレーポピー

ひなげし
May_Chanikran/Shutterstock.com

別名ヒナゲシ、グビジンソウ(虞美人草)、学名はPapaver rhoeas。原産地はヨーロッパ中部で、寒さに強く暑さには弱い性質。夏を乗り越えられずに枯死する一年草です。開花期は4月中旬〜7月中旬で、花色は白、赤、ピンク、複色など。基本は4枚の花弁をもつ一重咲きですが、八重咲き種もあります。草丈は15〜80cm。

アイスランドポピー

アイスランドポピー
Nick Pecker/Shutterstock.com

別名シベリアヒナゲシ、学名はPapaver nudicaule。原産地は南ヨーロッパで、寒さに強い一方、暑さには弱い性質。本来は宿根草ですが、日本の暑い夏には耐えられずに枯死するので、日本では一年草として分類されています。開花期は3〜5月で、花色はオレンジ、黄、白、クリーム、ピンク、複色など。草丈は60〜80cmほどです。

オリエンタルポピー

オリエンタルポピー
Peter Nadolski/Shutterstock.com

別名オニゲシ、学名はPapaver orientale。原産地はトルコ、イランなどの西南アジアで、寒さには強い一方、高温多湿の環境に弱い性質を持っています。多年草で夏は落葉して休眠しますが、一度植え付ければ毎年開花してくれます。開花期は5〜6月で、花色は赤、オレンジ、ピンク、白、複色など。花姿も一重咲き、半八重咲き、八重咲き、フリンジ咲きがあります。草丈は60〜100cm。

ポピーの花言葉

ポピー
Nick Pecker/Shutterstock.com

ポピーの花言葉は「いたわり」「思いやり」「恋の予感」「陽気で優しい」など。

また、花色によっても異なり、赤い花は「慰め」「感謝」「喜び」。白い花は「眠り」「忘却」「疑惑」「推測」「わが毒」。黄色い花は「富」「成功」。バラ色の花は「活発」「軽率」です。

前述した日本で主に流通している3種のポピーの花言葉は、次の通りです。シャーレーポピーは「七色の恋」「乙女らしさ」「心の平静」。アイスランドポピーは「慰安」「承認」「感謝」。オリエンタルポピーは「夢想家」「妄想」「繁栄」など。

花言葉の由来

ポピー
Olga Glagazina/Shutterstock.com

前項でポピーに関する花言葉を並べましたが、「恋の予感」「陽気で優しい」「感謝」「喜び」「活発」「軽率」などは、カラフルな花色とその派手やかな花姿をイメージしてのものでしょう。

また、ポピーは茎に傷をつけると出てくる乳液にアルカロイド成分が含まれており、睡眠導入薬や麻酔薬として使用されてきたことから「心の平静」「いたわり」などの言葉が与えられています。

神話にちなむものもあり、「慰め」はギリシャ神話で豊穣の神デメテルがポピーの花を摘んで心の慰めとしたことから。「眠り」「感謝」は、眠りの神ソムアヌがデメテルの苦しみを軽くするためにケシの花を使って眠らせたことに由来しています。

ポピーの育て方

ここまで、ポピーの基本情報や種類、花言葉などについて、幅広くご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、育て方について詳しく解説していきます。

生育に適した環境

ポピー
C mcarter/Shutterstock.com

日当たり、風通しのよい場所を選びます。日照不足だと、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。

土壌は、水はけ、水もちのよい環境を好みます。地植えする場合は、植え付け前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。多湿を苦手とする傾向があるので、土を盛って周囲よりも高くしておくのも一案です。湿り気の多い場所では、川砂やパーライトなどの土壌改良資材を投入しておくとよいでしょう。また、酸性に傾いた土壌を嫌うので、土づくりの際に苦土石灰を散布して酸度調整をしておきます。

冬の寒さには強いのですが、霜柱によって根が傷むことがあるので、バークチップなどで株元をマルチングし、対策をしておいてください。一年草扱いのアイスランドポピーとシャーレーポピーは、夏越しできずに枯死します。多年草のオリエンタルポピーは休眠して夏越ししますが、暑さが苦手なのでマルチングをして地温が上がらないようにしたり、他の植物を茂らせて日陰をつくるなどしておくとよいでしょう。

土づくり

土

【地植え】

酸性に傾いた土壌を嫌うので、植え付ける3〜4週間前に苦土石灰を散布して土に混ぜ込んでおきましょう。さらに1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施し、周囲より土を盛って土壌改良しておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

種まき

ポピーの種
xpixel/Shutterstock.com

一年草のアイスランドポピーとシャーレーポピーは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。

ただし、ポピーの苗は春から花苗店に出回り始めます。手軽に栽培したいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方も、後ろの「植え付け」の項に進んでください。

ポピーの種まき適期は、一般地で9月下旬〜10月です。ポピーはゴボウのように太く長く伸びる「直根性」の根を持っていて、この根を傷めると後の生育が悪くなるので、「直まき」か「ポットまき」の方法がおすすめです。

【直まき】

土づくりをしておいた場所に、種をばらまきます。ポピーの種はごく小さく、発芽の際に光を必要とする「光好性種子」のため、土をかぶせる必要はありません。はす口をつけたジョウロで高い位置からやわらかい水流で水やりし、種が流れ出さないようにしましょう。発芽後は間引きながら育成し、最終的に株同士の間隔を20cmほど取ります。密植すると、蒸れたり病気にかかりやすくなったりするので、風通しよく管理しましょう。

【ポットまき】

まず、黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種を数粒ずつ播きます。ポピーの種はごく小さく、発芽の際に光を必要とする「光好性種子」のため、土をかぶせる必要はありません。最後に浅く水を張った容器に入れて、底から吸水させます。これはジョウロなどで上から水やりすると水流によって種が流れ出してしまうことがあるからです。発芽までは明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に底から吸水させましょう。

発芽後は日当たりのよい場所で管理します。勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。本葉が7〜8枚ついたら花壇や鉢などに植え付けます。

植え付け

ガーデニング
AlenKadr/Shutterstock.com

ポピーの植え付け適期は、種から育てて育苗した場合は10〜11月、花苗店で苗を購入する場合は3〜4月です。苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。

ポピーは、ゴボウのように太くて長く伸びる「直根性」の根を持っています。この根を傷めると生育が悪くなるので、植え付けの際には根鉢を崩さずに丁寧に扱うのがポイントです。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に苗よりも一回り大きなを穴を掘り、根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、約20cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、6〜7号鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。ポピーの苗を鉢に仮置きし、高さを決めたらポットから出し、根鉢を崩さずに植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために、株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

【地植え】

地植えの場合は、地中から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥し、茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿にすると株が弱るので、水の与えすぎには注意。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げ出すと、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。冬は夕方に水やりすると凍結の原因になるので、十分に気温が上がった真昼に水やりしましょう。

肥料

肥料
Sarycheva Olesia/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付けの際に肥料を施してあれば、必要ありません(鉢植えで使用する市販の培養土にはほとんどの場合肥料が配合されています)。しかし、葉色が冴えなかったり、株に勢いがない場合などには、液体肥料を施して様子を見ましょう。

花がら摘み

園芸バサミ
mihalec/Shutterstock.com

ポピーは次から次へと花が咲くので、終わった花は花茎の元から摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

害虫や病気への対策

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【害虫】

ポピーの栽培では、アブラムシの発生に注意します。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

【病気】

ポピーの栽培では、苗立枯病、灰色かび病に注意します。

苗立枯病は、種まき後のまだ幼い苗に発生しやすく、全体が黒ずんでやがて枯死します。土壌に生息する病原菌が原因で、高温多湿の条件下で発症しやすくなります。

灰色かび病は、花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く、込み合っていたり、花がらや枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。

ポピーは色や品種ごとに花言葉が異なる可愛らしい花

ポピー
evrymmnt/Shutterstock.com

この記事では、ポピーの基本情報や種類、花言葉などの豆知識、育て方など、多岐にわたってご紹介してきました。ポピーは春を彩る代表的な花で、花つきがよいため庭を華やかに演出してくれます。丈夫で育てやすいので、ぜひ庭やベランダに取り入れてみてはいかがでしょうか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Print Friendly, PDF & Email