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ダリアの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

ダリアの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

江戸時代末期にオランダから渡来し、その美しさから「天竺牡丹(テンジクボタン)」と呼ばれ、愛されているダリア。フラワーアレンジでも人気のあるダリアは、初心者でも比較的育てやすい花です。ダリアの育て方のコツ、日々のお手入れから寄せ植えに相性のよい植物までを、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ダリアを育てる前に知っておきたいこと

ダリアは、メキシコやグアテマラに自生する多年草です。古くから世界中で栽培され、品種改良が重ねられて、今までに作られた品種は3万品種を超えるといわれています。

ダリアの基本データ
学名:Dahlia
科名:キク科
属名:ダリア属
原産地:メキシコ、グアテマラ
和名: 天竺牡丹(テンジクボタン)
英名:Dahlia
開花期:5~11月
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、茶、黒、複色
発芽適温:20~25℃
生育適温:15~25℃
切り花の出回り時期:オールシーズン
花もち:5~7日

ダリアは日当たりと風通しのよい場所を選び、その性質さえ知って育てれば、栽培は難しくありません。基本的には春植え球根植物で、地域によって異なりますが、発芽適温は20℃以上。植えつけ適期は、ソメイヨシノが開花する頃から梅雨があける前が目安です。3月下旬から7月上中旬までに植えつけましょう。寒冷地では霜の降りなくなる頃に、植えつけます。

また、一年草のように、種から育てられるミニタイプの品種(実生ダリア)が多数あります。発芽適温は20℃なので、暖かくなった4月中旬~4月下旬が種まきの適期です。

初夏から咲き始め、夏の猛暑を耐えて、秋に最花期を迎えるダリアには、苦手なものがふたつあります。ひとつは日照不足。日当たりが悪いと、花のつき具合が悪くなります。もうひとつは高温多湿。特に30℃を超える季節の、直射日光や強い西日、コンクリートの照り返しはNGです。

鉢植えで育てる場合は、季節によって移動できるように、地植えの場合は遮光ネットやよしずを使いやすいように、栽培場所を考えて育てましょう。

種類を知ると、選び方がわかります

ダリアの特長は、なんといっても花色や花形が豊富なこと。3万種以上に及ぶといわれる品種は、代表的なものを紹介するだけでも途方もない数になってしまいます。そこで、ダリアの種類を分ける3つの点、「花の大きさ」「草丈」「咲き方」について、違いを説明しましょう。

ダリアは花の大きさだけでも6種類に分類されます。種類によって3㎝に満たないものから30㎝以上のものまで、印象が大きく異なります。

超巨大輪 30㎝以上
巨大輪 26~30㎝
大輪 20~26㎝
中輪 10~20㎝
小輪 3~10㎝
極小輪 3㎝以下

また、草丈も6種類に分類されます。600㎝にも及ぶ品種があれば、50㎝以下の草丈のものがあり、栽培場所に合った品種を選べるのが利点です。

極高性150㎝以上
高性120~150㎝
中高性100~120㎝
中性70~100㎝
中矮性50~70㎝
矮性50㎝以下

そして、花形はなんと10数種類以上も! 咲き方により、花弁の枚数や形などが大きく異なります。代表的なものをいくつか紹介します。

シングル咲き
ダリアの咲き方の種類ではもっとも一般的。平たい花弁がひと重に咲きます。

オーキッド咲き
ひと重の花弁が内側に丸まって、半管状になっています。

コラレット咲き
ひと重咲きですが、内側に小さな花弁(副弁)があります。外側の花弁と、内側の花弁は色が異なり、印象的です。

アネモネ咲き
花の中心部分が大きく発達し、丁字咲きになります。まわりの花弁はひと重咲きと八重咲きがあります。

ピオニー咲き
八重咲きで、幅広の花弁が大きく波打っています。中心には、雄しべが見えるのも特徴です。

ポンポン(ポール)咲き
八重咲きの花が球形にまとまったもの。花弁は丸く管状になっています。一般的に、花径5㎝以下をポンポン咲き、花径5㎝以上は、ボール咲きと呼びます。

デコラティブ咲き
平たい同じ大きさの花弁が、いく重にも整然と並ぶ八重咲きです。デコラティブ咲きはさらに、次のふたつに分かれます。幅広い花弁が規則正しく並ぶものを“フォーマル・デコラティブ咲き”、花弁がねじれているものを“インフォーマル・デコラティブ咲き”といいます。

カクタス咲き
細長い花弁が外側や内側に巻き、先が尖った形で咲きます。まっすぐ伸びた花弁は“ストレートカクタス咲き”、内巻きのものは“インカーブドカクタス咲き”、花弁がやや幅広のものが“セミカクタス咲き”と、カクタス咲きは、3つに分かれています。

スイレン咲き
スイレンの花を思わせる咲き方。幅広の花弁は、他の咲き方と比べて、丸みを帯びています。

ダリアの原種のひとつ「皇帝ダリア」は、大輪・高性~極高性・シングル咲き。種から育てる実生ダリア(一年草)の代表品種「アーリーバード」は、小輪・矮性・ピオニー咲きです。

球根や種には、花の写真とともにそれらの特長が書かれているので、どこでどんな風に育てたいかを考えながら選ぶのも楽しいですね。

ダリアを育てるときに必要な準備は?

ダリアは球根植物なので、球根から育てるのが一般的です。鉢でも地植えでも育てることができます。最近では、開花株という花つきのポット苗や、種から育てる実生ダリアがあり、苗や種からの栽培も可能です。

初めてダリアを育てるなら、球根から育てるのがおすすめ。栽培を始めるときは、以下のものを用意しましょう。

準備するもの(鉢植え、地植え共通)
・ダリアの球根
・土
・肥料
・支柱
・紐、またはビニールタイ
・ラベル

*鉢植えの場合は、下記のものも用意
・鉢(※)、または深さのある横長プランター
・鉢底ネット
・鉢底石
※超大輪・大輪系が8~10号鉢、中輪・小輪系は5~7号鉢が目安。

ダリアの根は横に広がるため、鉢植えの場合はひとつの鉢に1個の球根を植えるのが基本です。株は大きく育つため、中輪系などでも大きめの鉢をおすすめします。

ダリアはミニタイプの矮性種以外は、草丈が高く伸び、枝が茂ります。茎は弱く折れやすいので、支柱の支えが必要になります。

ダリアは、日当たりと水はけのよい場所を好みます。植え場所や鉢の置き場所は、日当たりのよいところを選びましょう。

適した土作りが、育てるコツの第一歩

ダリアは水はけと水もちのよい、よく肥えた土を好みます。その点を注意すれば、基本的に土作りにそれほど神経質になる必要はありません。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を選びましょう。自分で土をブレンドして作る場合は、赤玉土(小)と腐葉土を7:3の割合で混ぜるか、赤玉土(小)、腐葉土、パーライトを6:3:1の割合で混ぜます。

地植えの場合は、川砂、パーライトなどを混ぜるなどして、水はけをよくして植えてください。

ダリアは、ほかの多くの草花と同じく弱酸性の土を好むので、中和のために苦土石灰か消石灰を混ぜたりするのも有効です。ただし、市販の草花用培養土は、あらかじめ酸性度の調整がされているので不要です。

いずれの場合も、あらかじめ元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。

ダリアの育て方にはポイントがあります

ダリアを初めて育てる場合は、球根から始めるのが一般的です。植えつけの時期は、ソメイヨシノが開花する3月下旬頃から、梅雨があける前の7月上中旬までに植えつけましょう。種類によっては、少し早めに植えつけたほうがよい品種があります。植えつけの前には、ラベルの説明をしっかり読んで、品種の特性を確認しましょう。

栽培には、日当たりと風通しのよい場所が適しています。日陰で栽培すると、徒長したり(茎がひょろひょろとムダに長く伸びること)、花数が少なくなったり、花色や葉色が悪くなったります。鉢植えは、生育期間を通して、風通しのよい日なたに置きましょう。地植えの場合は、風通しと水はけのよい日なたを選びます。

ダリアの育て方~球根から始める~

球根の選び方

ダリアの球根は、園芸店やホームセンター、通信販売などで入手することができます。通信販売は1月頃からカタログやホームページで注文が開始され、園芸店やホームセンターなどでは3月頃から店頭に並び始めます。

ダリアの球根には、必ず1球に1個以上の芽がついています。発芽点は球根の胴体ではなく、茎の基部(球と茎の間)部分です。芽が出ていないものは植えても芽が出ないので、必ず芽のあるものを選んでください。

また、ダリアの球根は品種によってさまざまな形があり、大小もさまざまです。しかし、球根の大小と花のよしあしは無関係。球根を購入する際は、大小を問わず、柔らかいもの、腐ったところのあるもの、首の部分にひび割れのあるものやその疑いのあるものなどは避けましょう。

植えつけ時期と方法

球根の植えつけは、3月下旬から7月上中旬が最適です。球根はひとつの鉢に、1個だけ植えるようにします。植えるときは、細い首のようになっている部分(発芽点)が上向きになるようにしてください。

鉢植えの場合の手順
①鉢に鉢底ネットを入れ、排水性をよくするために鉢底石を多めに敷き、培養土を鉢の高さ2/3ほどまで入れます。
②球根が鉢の中央に向かって発芽するよう、発芽点を上向きに球根を寝かせて置き、土を5~10㎝(※)被せます。
③4本を目安に支柱を立てます。鉢の側面に沿って四角く等間隔に。
④鉢底から水が出るまで、たっぷりと水やりします。
⑤品種名や植えつけ日を書いたラベルを挿しておきましょう。
※被せる土の量は、ダリアの種類によって異なります。中小輪種は5㎝ほど、大輪種は10㎝ほどが目安です。

地植えの場合の手順
①土は30㎝以上掘って元肥を施してから、植え穴を掘ります。大輪種は株間60㎝深さ10㎝、中小輪種は株間40㎝、深さ5㎝が目安です。
②球根が鉢の中央に向かって発芽するよう、発芽点を上向きに球根を寝かせて置き、上から土を被せます。
③球根1個につき、4本を目安に支柱を立てていきます。発芽点を中心に15~20㎝離すとよいでしょう。
④たっぷりと水を与えます。
⑤品種名や植えつけ日を書いたラベルを挿しておきます。

ダリアは成長すると大きな株になり、幅を取ります。また、根が細かく、こまめな植え替えにも適していないため、いくつか植える場合は、途中で植え替えしなくてもいいように、あらかじめ球根同士の間隔は、上記を目安にあけておきましょう。

ダリアの球根は水をたくさん含んでいるので、植えつけ後に水やりしたあとは、発芽するまで水やりを控えます。水の与えすぎで球根が腐る恐れがあるからです。

ダリアと仲よくなる、日々のお手入れ

水やりのタイミング

ダリアは熱帯の高地が原産の花なので、乾燥には比較的強く、過剰な湿気を嫌います。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、午前中のうちに鉢底から流れるまでたっぷりと水を与えます。地植えの場合は、基本的に自然の雨水だけで十分で、ほとんど水やりする必要はありません。ただし、何週間も雨が降らず、連日猛暑が続くなど極度の乾燥状態になったときは、株や土の様子を見て、数日にいちど、朝から午前中に水やりをします。

肥料の施し方

ダリアは花を咲かせるのに養分を必要とするので、肥料は適切に与えましょう。鉢植えの場合は、球根を育てる前に土に元肥として、速効&持続型粒状肥料を用土1ℓ当たり5gを混ぜます。地植えの場合も同様、速効&持続型粒状肥料を1m²当たり150gを混ぜておきましょう。

その後は、ヒガンバナの花が開花する頃、9月中旬~10月上旬にもう1回、同じ肥料を同量、土の上にばらまいて施します。

花が咲いたら…

ダリアの花は初夏から咲き始め、夏の猛暑を耐えて、秋に最花期を迎えます。咲き終わった花は、次の花に栄養を回すため、早めに花がら摘みをしましょう。

ダリアの原産は熱帯高地です。日本のような高温多湿の気候の夏は苦手なので、花が休みがちになります。夏場に花がらを切らずに咲かせていると、株自体が弱ってしまいます。秋にきれいな花を咲かせるためにも、夏場の花がら摘みは欠かせません。

また、秋でも咲き終わった花をそのままにしておくと種ができて、花が咲きにくくなるので注意を。花がらを摘むときは、ガク片(花弁の付け根の外側にある緑色の小さい葉のような部分)の下をハサミでカットします。できる限り、切った茎に穴が開かないように切ってください。

咲いた花は見頃を過ぎる前に、切り花にして楽しんでもいいですね。

立派に育てるための、植え替え時期と方法

ダリアの根は縦ではなく、横に伸びるのが特長です。そして、その根は細かく、とてもデリケート。傷つけてしまうと根づかなったり、花が咲かなくなったりするため、植え替えには向いていません。そのため、開花までの生育中は植え替える必要がないよう、鉢植えならひとつの鉢に1個の球根で、地植えなら株間を十分取って育てましょう。

ただし、ダリアは冬季に上部が枯れる宿根草の一種です。秋の開花期が終わったら、翌年も花が楽しめるようにメンテナンスが必要になります。なぜなら、ダリアは比較的寒さに弱く、土中の凍結や過湿によって球根が腐敗したり、 霜や雪などで茎が凍傷にかかると球根も傷んだりしてしまうからです。

寒冷地で地植えにしている場合は、株をそのまま植えっぱなしにせず、休眠期に入った球根を土から掘り上げて“冬越し”させてください。気温が5℃以下になったら霜が降りる前に、球根を掘り上げましょう。その際は花が残っていても、思い切って霜が降りる前に、球根を掘り上げたほうが安心です。

霜の降りない暖かい地域では、球根の掘り上げは必要ありませんが、 地上部分を切り倒し、株の上にムシロなどを掛けておくとよいでしょう。 鉢植えの場合も掘り上げる必要はありませんが、 鉢ごと玄関などの屋内に取り込んでおきましょう。

剪定を行うときは、時期に注意しましょう

ダリアは、きちんとメンテナンスをすることできれいな花を楽しめる植物です。放っておくと、草丈が伸び過ぎて倒れやすくなったり、花芽が多くつきすぎて大きく咲かなかったりします。花の大きさに関係なく必要な剪定は、「脇芽かき」「摘心」「切り戻し」。ただし、方法に記したように、大輪や小輪など花の大きさによって「仕立て方」は異なります。

「脇芽かき」とは、頂芽ではない生長点=茎の根元から出る芽(枝)をハサミでカットすることです。ダリアは枝の節々から全部脇芽が出てきますが、そのまま脇芽を放置しておくと枝分かれがどんどん進んで栄養分が分散し、花が大きく育ちにくくなります。

「摘芯」とは、茎の先端にある頂芽を摘み取り、植物を縦にではなく横に生長させ、茎やつぼみを増やすためのお手入れのこと。ピンチともいいます。

「切り戻し」とは、伸びた枝や茎を途中まで切り詰めることで、植物を美しい姿で長く楽しむための作業です。

脇芽かき・摘心・切り戻しの方法

①種類や種まきした時期、仕立て方によって異なります。まずは、定植後3~4週間して芽が2~3本出たときに、太くて元気のよい芽を残し、ほかは間引きします。
②ダリアが5~6節に伸びたときに、大輪種は下2節の芽を残し、それ以上の節の脇芽は5㎝以内の小さいうちにハサミでカット。天花のみを咲かせるようにします(※天花仕立て)。中小輪種は下から3節を残してそれより上は摘芯すると、下3節の脇芽が発達して5~6本の茎立ちとなります(※摘心仕立て)。
③摘心後もダリアは、ぐんぐん育ちます。脇芽が伸びて葉が多くなると、夏に蒸れやすく腐りやすくなるので、伸びすぎた茎は脇芽が出ている真上の位置でカットします。葉を減らして風通しをよくしましょう。黄色い葉は除去して、病気を防ぎます。
④初夏に咲き始めたダリアは、本格的な夏になると開花を控えて暑さをのりきろうとします。秋に再び花を咲かせるためにも、天花仕立て、摘心仕立てとも、7月下旬~8月上旬に下から3~4節を残し、その上は切断します(切り戻し)。ただし、ダリアの茎は空洞なので、切り口から病原菌が入り腐ってしまうことがあります。切り口をよく乾燥させてからアルミホイルなどで覆い、茎の空洞に水がたまるのを防ぐとよいでしょう。

※天花仕立て(大輪咲向き) 最初の花(一番花)は1本だけ開花させ、二番花で複数の花を咲かせる方法です。
※摘心仕立て(小〜中輪咲向き) 一番花から複数の花を咲かせる方法です。

知りたい! ダリアの増やし方

ダリアは「分球」や「挿し木(芽)」、また実生ダリア(一年草)のように種から育てる品種は種まきで増やすことができます。ここでは、一般的な「分球」と「挿し木(芽)」の方法を紹介します。

分球の時期と方法

秋に開花を終えたダリアは、土中から球根を掘り上げて冬越しさせます。その間にも根が肥大して、茎の付け根にすべてくっついた状態で球根が増え、2~3月頃になると球根から新しい芽(発芽点)が出てきます。この発芽点があるものを、つけ根の茎をつけた状態で、カッターナイフか剪定バサミで切り離していく作業が分球です。3月下旬が適しています。

球を基準に分けるというより、発芽点を基準にして分けることがポイントです。

①球根に残っている細い根を取り除きます。発芽点を見つけやすくするために歯ブラシなどを使って、球根と茎の周りについた土を落とします。その際、発芽点を傷つけないように注意してください。
②球根が込み合っていて分球しにくそうな場合は、細く弱々しい球根や首折れ球根をあらかじめ取り除いて整理しましょう。
③球根と茎の間の膨らんだ部分を、クラウンといいます。ダリアの芽は、このクラウンから出ます。つまり、分球の際、クラウンの部分は必ず残しておくこと。発芽点がなるべくクラウンの中央部にくるように切り分けます。クラウンに残っている古い茎は、分球後軽く力を加えてもぎ取ってください。無理にもぐと球根の首を折ってしまうのでくれぐれも注意を。
④分球した球根は、軽く湿らしたバーミキュライトや乾いたおがくずをビニール袋に入れた中に埋めて保存します。保存場所は10℃前後の冷暗所が適しています。ビニール袋に入れる場合は完全密封せずに、上のほうに数か所空気が通る穴をあけておきましょう

挿し木の時期と方法

挿し木(芽)は、芽を土に植えて数を増やす方法です。剪定の際に切り取った、脇芽のついた茎を植えれば増やすことができます。ダリアの挿し木は6月が適期で、次のような方法で行います。

①脇芽のついた茎を切り取ります。この切り取った茎を“挿し穂”といいます。
②挿し穂の切り口を、よく切れる剪定ハサミで斜めにもういちど切ります。切り口は1時間ほど、水につけておきます。
③茎についた葉や脇芽のうち、挿し木をした際に土に埋まってしまう部分を切り取ります。また、上のほうの葉も、枚数が多い場合は、切り取って半分くらいに減らしておきましょう。脇芽も忘れずにかき取っておきます。
④挿し木の用土はあらかじめ十分湿らせておきます。挿し穂を挿し込みやすくするために、細い棒で穴を開けます。
⑤挿し穂を傷めないよう、用土に切り口を2~3㎝挿し込みます。隙間が生じないように、そっと土を寄せます。
⑥日陰で2週間ほど土を乾燥させないように水やりを続け、徐々に半日陰から西日の当たらない日なたに移して管理します。

毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい病気

ダリアは比較的丈夫ですが、風通しや日当たり、水はけの悪い場所など生育環境が悪いと、病気や害虫が発生する可能性があります。

ダリアで注意したい病気は、次のようなものです。いずれも菌(カビ)による病気なので、症状を発見した場合はすぐに感染している部分を取り除き、株全体が悪くなっていたら株ごと抜き取って処分します。

うどんこ病
初夏と晩夏に発生しやすい、カビが原因の病気です。全体がうどん粉をまぶしたように白い粉状の菌糸で覆われます。

なんとなくうっすら白い程度の発生初期であれば、殺菌剤を使って繁殖を防ぐことができます。症状が進んでしまっている場合は、葉を切り取る必要があり、その部分はもう回復させることができないので、早めに対応しましょう。

立枯病
土の中で菌が繁殖して、根や地際の茎から感染する病気。春から初秋の高温多湿な時期に発生しやすくなります。初めに根が被害を受けるため、生育不良となり、最後は枯れてしまいます。

できる範囲で病変部位は切り捨て、立枯病に効く殺菌剤を散布しましょう。病原菌は土壌で繁殖するので、地植えの場合は基本的には連作を避けることで、ある程度は発生を防げます。

灰色かび病
やや温度が低い多湿時に発生。花弁やつぼみ、葉や茎などにカビが生えます。病気が進行すると、花が褐色になり腐ってきて、やがて灰色のカビに覆われます。

水のやり過ぎに注意し、なるべく風通しをよくして栽培します。病原菌は害虫の食害跡やしおれた花弁、枯れた部分にも残っているので、見つけたら取り除き、肥培管理を適切にすることで予防ができます。殺菌剤を7~10日おきに、定期的に散布して予防することもできます。

育てるときに注意したい害虫

アブラムシ
春から秋の高温乾燥時期に発生しやすいので要注意です。新芽や葉裏などに寄生して栄養を吸い取り、生長を妨げます。「ウイルス病」を媒介したり、排泄物の上に「すす病」が繁殖して黒くなったりすることもあります。

寄生しているアブラムシを見つけたら、手袋をつけた手でつぶすか、ガムテープなどで貼りつけて取り除きます。大量の場合は薬剤を散布して駆除しましょう。

ハダニ
梅雨明けから夏に多発するクモの仲間で、1㎜以下の小さな害虫です。葉の裏に寄生して汁を吸うため、葉の表面には針先でつついたような白い小斑点が生じます。数が多くなると白くかすり傷のように見えるため、この時点でようやく気がつくことも。

寄生しているのを見つけたら、ダニは水を嫌うので、葉の表裏に霧吹きを行います。大量の場合は薬剤を散布して駆除しましょう。

ヨトウムシ
昼間は株元に潜み、夜間に食害する夜行性のヨトウガなどの幼虫です。4~6月と9~11月頃に出やすく、ふ化直後は群生して葉を食害します。大きくなると夜に活動して、葉はもちろん株全体を食べつくしてしまいます。

なるべく、ふ化直後の葉裏に群生しているときに薬剤を使って退治するのがポイントです。

また、葉裏に卵が生みつけられていないか時々チェックして、見つけたら葉ごと処分しましょう。

メイガ類
茎の中に入り、内部を食べてしまう害虫です。定期的に薬剤を散布して予防しておくのがおすすめです。もしメイガが発生したら、早めにその部分ごと切り取って(切り戻し)、新しい芽を育てたほうが被害を抑えられます。

ダリアと相性のよい寄せ植えの植物

基本的に寄せ植えする際は、ダリアと性質が近い植物と合わせましょう。庭に多種多様な花を育てて、開花時期をずらしながら楽しむ方法もありますが、鉢やプランターなど限られたスペースに寄せ植えするなら、やはりダリアと開花時期が重なっている花を選ぶのがベターです。

以上の2点を踏まえ、「風通しと水はけのよい日なたを好み、過湿を嫌う、6~11月くらいに咲く花」のなかから、人気があり入手しやすいものを紹介します。

・アンゲロニア
・オキシペタラム(ブルースター)
・ガウラ
・キキョウ
・サルビア
・セロシア
・センニチコウ
・ジニア
・トレニア
・ノゲイトウ
・フジバカマ
・ぺチュニア
・リコリス
・ユーフォルビア(「ダイアモンド・フロスト」など)

草丈50~100㎝の中性タイプのダリアには、株周りに風通しや日当たりを遮らないコンパクトな草丈のものを合わせたり、草丈20~50㎝の矮性タイプには、小花や花形の違うものを合わせたり、とダリアの花を際立たせると素敵です。

また、色目も同系色のものでスッキリまとめたり、わざと違う色をもってきてバリエーション豊かに楽しむのもいいですね。

もちろん、品種が豊富なダリアのこと、さまざまな品種を組み合わせるのもおすすめです。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

構成と文・岸田直子

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