コスモスの種まきは今! 秋に最高キレイな“大人シック品種”5選と育て方
											Alex Manders/Shutterstock.com
秋咲きのコスモスを一番きれいに咲かせるには、今が種まきのチャンス! 夏にタネをまけば、秋には草丈もちょうどよく、色合いも最高の姿で咲いてくれます。最近はピンクや白だけでなく、アプリコット、ワインレッド、八重咲きや縁取りのある花など、個性豊かな“シックなコスモス”が注目を集めています。今回は、タネから育てるのにぴったりな「大人シックな秋咲きコスモス」5選と、秋に成功させるための育て方のコツをお届けします。
目次
大人シックな秋色コスモス、なぜ「種まき」が正解?
澄んだ秋空に風に揺れるピンクのコスモスは、暑い夏が過ぎ去り、穏やかな季節の到来を実感できる親しみ深い花です。最近ではピンク色に限らずシックな色合いや個性的な花形をもつ品種が人気を集めています。こうした“ちょっと大人”なコスモスを育てるには、「苗から」ではなく「タネから」育てるのが正解。その理由を3つの視点からご紹介します。
タネからなら苗では出会えない、希少な品種を育てられます

園芸店やホームセンターに並ぶコスモスの苗は、一般的なピンクや白色のコスモスで夏に咲く早咲きが中心です。‘ルベンザ’のような深紅の花や、‘ダブルクリック’のような八重咲き、‘アプリコッタ’や‘イエローキャンパス’のようなニュアンスカラーの品種は、苗ではほとんど流通していません。
これらの「大人シック」な品種を楽しみたいなら、タネから育てるのが近道。さらに、種苗会社の通販や一部オンラインショップでは、海外育種の珍しいコスモスのタネが手に入ることも。花色や咲き方にこだわりたい方にとって、種まきは理想の一株と出会えるチャンスでもあります。
コスモスは発芽率が高く、種まき初心者にも◎

コスモスは発芽適温が20~25℃(地中温度)と高めで、夏にタネをまくのにぴったりの一年草。さらに発芽率が高く、種まき初心者でも成功しやすいのが大きな魅力です。
用土や道具にこだわらなくても、市販の草花用培養土とセルトレイで十分発芽しますし、地植えやプランターに直播きも可能。水やりと日当たりに気をつければ、数日で双葉が出てきて、生育もスムーズに進みます。
種まきから植物を育てる経験は、ガーデニングの楽しさをより深く感じさせてくれます。初心者こそ、ぜひチャレンジしてほしいのがコスモスの種まきです。
コスモスは種まき時期で草丈と咲き方をコントロールできる

コスモスは本来「短日植物」。つまり、日が短くなる秋に花芽をつける性質を持っています。この性質をうまく利用することで、草丈や花のボリュームをコントロールできるのが、タネから育てる最大のメリットです。

たとえば、春や初夏にまくと、光の時間が長いため、花が咲くまでに株がどんどん大きくなり、草丈が1m以上に伸びてしまうことも。一方、7月下旬〜8月上旬にまけば、草丈は控えめに抑えられ、花数もバランスよくまとまります。特に秋咲きのコスモスは夏にタネをまくと、ほどよい高さで秋に花を咲かせるので、今からがちょうどタネのまきどきです。
さらに、摘心や密植(詳細は後述)などの工夫によって、わき芽を増やして花期を長く楽しむことも可能。自分の庭や鉢に合わせた理想の草姿をつくるなら、種まきからが断然おすすめです。
夏にまいて秋に咲かせる! 大人シックなコスモス5選
シックで洗練された花色や、個性的な咲き方が魅力の品種を厳選しました。いずれもタネから育てるからこそ出会える“こだわりコスモス”です。今年の秋は、定番のピンクや白とはひと味違う、大人っぽい彩りを楽しんでみませんか?
① Rubenza(ルベンザ)|深紅からアンティークカラーに変化

‘ルベンザ’は、イギリス王立園芸協会(RHS)の“Award of Garden Merit(AGM)”を獲得した優秀品種。濃いワインレッドの花が、咲き進むにつれてアンティークローズへと変化する色のグラデーションは、庭でも寄せ植えでも抜群のインパクト。さらに、耐暑性・耐病性にも優れ、切り花にも重宝する花として、見た目・扱いやすさ・実用性のすべてが揃った高品質の一株です。草丈はやや高めですが、夏まきならコンパクトにまとまります。
② Double Click(ダブルクリック)|ふわっと八重咲きで華やか

ダブルクリックは、八重咲き〜セミダブルのボリュームある花が咲くシリーズ。ピンクや白、クランベリー色などの多彩なバリエーションがあります。
花びらが繊細に重なる姿はまるでドレスのよう。株は比較的高性ですが、夏にタネをまけば草丈も抑えやすく、花壇でも鉢でも楽しめます。切り花にもおすすめで、花もちも良好です。
③ Picotee(ピコティ)|白にピンクの縁取りがエレガント

‘ピコティ’は、白地にピンクの縁取りが入るクラシカルな印象のコスモス。株によって模様の出方に違いがあり、咲くたびに個性を感じられる品種です。
シンプルながら目を引くデザインで、どんな庭のスタイルにもなじみます。
④ Apricotta(アプリコッタ)|やさしいアプリコットカラー

アプリコッタは、アプリコットピンク〜サーモン色のニュアンスが美しい注目品種。やわらかな雰囲気で、秋の花壇やナチュラルガーデンによく映えます。花形は一重ですが、中心にほんのり濃いめの色が差す個体もあり、写真映えも◎。茎がしっかりしていて切り花として楽しむのにもおすすめ。夏に種まきして秋まで美しく咲かせるのにぴったりの品種です。
⑤ Yellow Campus(イエローキャンパス)|淡いレモン色が新鮮!

イエローキャンパスは、コスモスではめずらしい淡黄色の花を咲かせる品種。咲き始めはややクリーム色で、時間が経つにつれてほんのりオレンジがかることも。玉川大学農学部が30年以上の育種研究を経て育成した品種で、1987年に「イエローガーデン」として誕生し、その後改良されて「イエローキャンパス」と命名。淡いレモンカラーに白のグラデーションが自然で上品な印象を与え、秋の庭を爽やかに彩る一株です。名前には「学園を彩る」という思いも込められており、庭に植えることでどこか知的で落ち着いた雰囲気を演出します。
秋に“最高キレイ”に咲かせるための成功ポイント
種まきから育てるからこそ、草丈や開花バランスを自分好みにコントロールできるのがコスモスの魅力。ただし、夏まきならではの注意点もあります。ここでは、秋にベストな姿で咲かせるための管理のコツをご紹介します。

種まきは8月上旬までが理想! 草丈も開花バランスも◎
コスモスは「短日植物」といって、日が短くなると花芽をつける性質があります。そのため、7月中旬〜8月上旬にタネをまくと、草丈が伸びすぎず、ほどよくコンパクトにまとまりながら秋に開花する理想的な成長リズムになります。
気温が高くても、発芽に必要なのは地温(地中の温度)で20〜25℃が適温。真夏の種まきでも、朝夕の涼しい時間帯にまいて、直射日光を避けた明るい日陰で管理すれば、地温の上昇を抑えて発芽率を高めることができます。
セルトレイ育苗で雨対策&移植も安心

近年の夏はゲリラ豪雨が頻発し、庭に直まきにするとタネが雨で流れてしまう心配があります。豪雨対策としてできるのは、まずはセルトレイやポットで育苗し、発芽後に定植する方法。
「コスモスは直根性だから発芽後の移植に向かないのでは?」と思われがちですが、コスモスは移植にも比較的強く、本葉2〜3枚のうちなら問題なく根付きます。根鉢をくずさず、丁寧に植え付けるのがコツ。初めての方や豪雨が心配な方ほど、育苗→植え替えスタイルが安心です。
一方、直まきにしたい場合は、雨が直接当たりにくい木陰の下などを選び、不織布や寒冷紗をふんわり土にかぶせておくと、流出しにくくなります。
土は軽くて排水性のよいものを選ぶ

種まき時に使用する土は、市販の「花と野菜の種まき・さし芽用」「草花用培養土」など、軽くてふかふかのものがおすすめです。ピートモス、バーミキュライトなどが配合されたものは、水もちと水はけのバランスがよく、発芽に最適な環境をつくれます。
覆土は1cmほどが適量。コスモスのタネは「好暗性」で、光を嫌うため土がしっかりかかっていることが大切です。タネをまいたあとは、土の表面を手のひらでやさしく押さえて密着させると、雨や水やりでタネが流れるのを防げます。
地植えは“肥沃すぎず水はけのよい場所”が理想

コスモスは比較的育てやすい植物ですが、地植えする場合は植え付け場所の土の性質が仕上がりを左右します。
- 肥料が多すぎる土では、葉ばかり繁って花つきが悪くなったり、草丈が高くなりすぎて倒れやすくなります。
 - 一方で、水はけの悪い重い土も根腐れや生育不良の原因に。
 
<地植えに最適な土壌条件>
- 排水性がよく、適度に水もちもある土
 - 肥沃すぎない“やや痩せた土地”
 - 半日以上よく日の当たる場所
 
土が重い場合は、腐葉土や堆肥、パーライトなどを混ぜ込んで軽く改良を。雨がたまりやすい場所では、やや高畝にしておくと根腐れ予防になります。
逆に、砂地で水もちが悪い場合は、腐葉土や赤玉土を加えて保水性を補うと◎。表面にバークチップやもみ殻などでマルチングを施せば、夏場の乾燥対策にもなります。
<ワンポイント!>
肥料は控えめに。植え付け時は元肥なしでも十分育ちます。追肥も、必要であれば液肥を規定の半量で週1回程度に抑えましょう。
苗を守る! ヨトウムシ対策は“まく前と発芽直後”がカギ

コスモスは病害虫に強い草花ですが、夏のタネまきで特に注意したいのが「ヨトウムシ(夜盗虫)」です。これはガの幼虫で、発芽直後や植え付け後の若い苗を、夜間に地際から一気に食べてしまう厄介な存在。昼間は土の中に潜んでいて姿が見えないため、「朝起きたら苗が消えていた!」という被害が起こりやすいのが特徴です。
ヨトウムシの予防と対策法
| 対策 | 方法 | 
| ① 種まき前の土壌処理 | 市販の防虫粒剤(例:オルトラン粒剤など)をあらかじめ土に混ぜ込んでおくと効果的。特に地植えや大きめの鉢にまく場合は必須。 | 
| ② 発芽後すぐの苗まわりに粒剤をまく | セルトレイやポット苗の場合でも、発芽直後から苗の根元に少量の防虫剤をまいておくと安心。 | 
| ③ 苗が消えたら土中チェック! | 被害が出たら、苗の根元をそっと掘ってみてください。黒っぽい小さなイモムシがいたらそれはヨトウムシの可能性大! 見つけ次第、割り箸やピンセットで捕殺を。 | 
| ④ 植え付け時にも再度防虫剤を | 定植時に植え穴に防虫剤をひとつまみ入れるか、植え付け後に土表面に散布すると被害軽減につながります。 | 
<ワンポイント!>
ヨトウムシは「夜行性」なので、夕方に苗まわりをチェックすると見つけやすいです。
密植? 摘心? 栽培スタイルに合わせて選ぼう
コスモスは育て方によって姿が大きく変わります。
ふんわり自然に咲かせたい、草丈を抑えたい、株数を増やしたい……そんな希望に応じて、「密植」か「摘心」かを選ぶのがポイントです。
<花壇や鉢でナチュラルに咲かせたいなら「密植」がおすすめ>

「密植」とは、通常よりも株間を狭く植える方法。タネ袋には20〜30cm間隔とある場合が多いですが、以下のように15cm程度まで詰めて植えても大丈夫です。
| 栽培スタイル | 標準株間 | 密植の目安 | 
| 庭・花壇 | 20〜30cm | 15cm前後(株同士の葉が触れるくらい) | 
| プランター(65cm標準) | 3株 | 4〜5株(株間15〜18cm) | 
| 10号鉢など大鉢 | 1〜2株 | 3〜4株 | 
密植すると、自然に株同士が支え合うので倒れにくく、花数の少ない品種でも全体でボリューム感が出ます。
ただし、風通しが悪くなると蒸れやうどんこ病が出やすくなるため、混み合ってきたら茎を間引いたり、下葉を少しカットしたりして調整するとよいでしょう。
<コンパクトにまとめたいなら「摘心」で枝数を増やす>

一方、草丈を抑えつつ花数を増やしたい場合は「摘心」がおすすめ。
本葉が7〜8枚出たタイミングで、株の中心の茎(頂芽)を1つカットすることで、側枝(わき芽)が増え、ふんわりドーム状の姿に育ちます。
- 摘心のタイミングが早すぎると、株が育ちきらないので注意。
 - 密植せず株間をしっかり取った場合、摘心で枝数を増やして空間をカバーするのが理想です。
 
<ワンポイント!>
密植と摘心、どちらかだけでもOKですが、空間の広さや仕上がりイメージによって使い分けると、理想のコスモスが育ちます。プランターなら密植、庭植えなら摘心+ゆったり植え、など、環境に合わせて工夫してみましょう。
肥料は控えめに。肥沃すぎると徒長しやすい
コスモスは痩せた土地でもよく育つ植物。肥料を与えすぎると、茎が徒長して花付きが悪くなる、倒れやすくなるといったデメリットがあります。
- 元肥は少なめに。市販の培養土に含まれる分で十分
 - 追肥は必要な場合でも、液体肥料を薄めに(規定の半量)週1回程度が目安
 - 特に開花前の窒素過多には注意。葉ばかり茂って花がつかなくなることも
 
「足す」より「引く」感覚で育てるのが、美しい開花への近道です。
来年用に知っておきたい、憧れのレア品種「Velouette」

もし「誰ともかぶらないコスモスを育ててみたい」と思うなら、来年は「Velouette(ヴェルエット)」にぜひ注目を。花弁に入る赤と白のストライプ模様が特徴的で、ひと目で印象に残る個性的な品種です。咲き進むにつれて模様の出方や色合いが変化し、見飽きることがありません。
‘ヴェルエット’は現在、日本国内では苗やタネの流通が非常に少なく、海外の種苗会社からの個人輸入で入手するケースが主流となっています。たとえば、アメリカの「Baker Creek Heirloom Seeds」などでは時折販売がありますが、時期によっては品切れになっていることも。

輸入には1~3週間程度の配送期間と、数百円〜数千円の送料がかかるため、今年の栽培にはもう間に合わないタイミング。
その代わり、秋冬のうちに来年用のタネを準備しておけば、次のシーズンには“ヴェルエット咲く庭”を目指せます。気になる方は、ぜひ今のうちからチェックしてみてください。
タネから育てて、秋の庭に“私らしい彩り”を

一般的な苗では出会えない、シックで個性的なコスモスたち。それを自分の手でタネから育てて、秋に一番きれいなタイミングで咲かせてみれば、ガーデニングの醍醐味を味わえるはず。
今回ご紹介した5品種は、どれもタネから育てて、秋の主役になれるコスモスばかり。
品種を選ぶところから、育てる過程、花が咲く喜びまで、すべてを自分の手で楽しめるのが“夏まきコスモス”の魅力です。
この夏、あなたもぜひ、お気に入りのタネをまいて、秋にだけ訪れる“私らしい庭時間”を楽しんでみませんか?
協力/安酸友昭(ラブリーガーデン)
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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記事協力 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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