昼間はもちろん、ライティングに彩られる夜景もステキな住宅実例をご紹介する好評夜景シリーズ第3弾! 今回ご案内するのは、千葉県にある、自宅にいながらにしてホテルのようなリラックス空間が楽しめるプレミアムな住宅です。変形敷地を生かした広いファサードにくつろぎのアウトドアリビング、さらにサウナまであるエクステリアは、見所たくさん。もちろん夜景もグッときますよ!
目次
クローズスタイルの豪華なファサード
今回ご紹介するのは、千葉県印西市にある、敷地の周囲を塀で囲ったクローズ外構スタイルの住宅事例です。
こちらの住宅の顔であるファサードは、ガレージドアや塀などソリッドな構造物で構築された、リゾートホテルのような広々とした高級感あふれるつくり。変形敷地に建てられているため、門袖や塀は道路と平行ですが、住宅はその正面ではなく、右斜め後方にあるのがユニークです。
敷地全体を囲む高さ2mほどの塀は、明るい色の自然石を積んだもの。石を割ったテクスチャをそのまま生かした割肌仕上げで、広い面積であっても単調さを感じさせません。濃色の門扉の脇にある門袖は、腰までを石積みにし、黒いボーダーを挟んで上部はマットな白を組み合わせています。このデザインを反復するかのように、隣の塀はマットな白に黒い笠木のボーダーでシンプルに。門扉から離れるにしたがって淡い色へとフェードアウトするカラーコーディネートが、一層門扉まわりを強調してくれます。
そして、ともすれば漫然としがちな間口の広いファサードを、ぐっと引き締めるのがアーチの存在。焦げ茶色のアーチが、角と直線が際立つ都会的なデザインで全体をまとめ、印象的なファサードを作り出しています。
アーチの足元には、塀と同じく割肌仕上げの天然石を積んだ植栽スペースが。シンボルツリーである常緑ヤマボウシに、下草の斑入りヤブランと自然石をさりげなく並べ、土を見せずに清潔感があるシンプルモダンな植栽が、ファサード全体の高級感にフィットしています。
ヤマボウシは、里山のような雰囲気が味わえる、日本に自生する雑木です。上品な白い花や食用にもできる実をつけ、年間を通して花、実、葉の様子を楽しむことができるため、シンボルツリーとして人気の高い樹種。よく見られる落葉性のヤマボウシのほかに、こちらの庭でも植栽されている常緑ヤマボウシがあり、常緑種は落葉種に比べて少し成長が遅く樹高も低めという特徴があります。コンパクトにまとまりやすいので個人邸の庭でも扱いやすく、また落ち葉掃除の手間もかからないというメリットから、庭木におすすめの種類です。
ゆったりとくつろげるアウトドアリビング
門扉を開くと、左手に広々とした駐車場があり、右手正面には住宅のエントランスが。住宅方面へと足を進めると、ラグジュアリーなアウトドアリビングが現れます。アウトドアリビングとは、室内のリビングとつながるようにテラスを設けた、屋外のリビングのような空間です。セカンドリビングと呼んだほうが分かりやすいかもしれませんね。通常シェードや屋根を設置するため、強い日差しやちょっとした雨でも大丈夫。屋外用のソファやテーブルを置けば、ブランチやコーヒーブレイクを楽しむなど、くつろぎのひとときを過ごすことができます。
こちらの住宅のアウトドアリビングも、ゆったりとくつろげそうな屋外用のソファやベンチ、クッションに、清潔感のあるローテーブルが据えられ、家でのリラックス時間を満喫できそう。ベンチの脇にはシンプルな四角いボウルの立水栓が設置されていました。浅めの四角いボウルがシャープでおしゃれなデザインです。屋外に設置されているので、多少水がはねたりこぼれても気になりませんね。
気持ちのよいバレルサウナで至福のおうち時間
アウトドアリビングからさらに奥へと進んでみましょう。住宅の横を抜ける、ベージュの砂利敷きに飛び石を配した小道を通って、敷地の奥までたどり着くと、ビックリ! 板張りの塀でしっかりと囲まれた中に、バレルサウナがありました。勝手口からもアクセスでき、落ち着ける丁度よい広さのスペースです。
バレルサウナは樽(barrel)のような円筒形の形状をしたサウナで、フィンランドが発祥といわれています。この樽は通常より強度があり、変形しにくいのが特徴で、熱を均一に保つことに優れています。ロウリュといって、サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させることで、サウナ室内の湿度や体感温度を上げるのが、フィンランド式のサウナ入浴方法。発汗を促し、呼吸がしやすくなるので、ドライサウナで感じる息苦しさが軽減されます。サウナストーンに水をかけるときは、真上からゆっくりかけて少しずつ体感温度を上げるよう心がけましょう。
ちなみに、ヤードポンド法による体積を表す単位バレルの語源は、このバレルサウナと同じ「樽」。樽が液体を詰める用途で使われることに由来します。証券取引で原油の単位としても、よく聞かれますね。
ホテルアプローチのようなライティングで夜を彩る
夕方、周囲が暗くなってくると、アーチのフレームからもれる光のラインや、右手のシンボルツリーの常緑ヤマボウシを照らすアッパーライト、門袖のライン状のライティングなど、温かみのある色合いの光がファサードを照らし出し、一層洗練されたゴージャスな雰囲気に。ファサード回りの明色の床や門袖が、ライティングに明るく浮き出るように映えて、荘厳さまで感じます。
*ライティング商品のご紹介
アーチは、タカショー・ホームヤードシステム「エバースクリーン」フレームライティングフェイス
表札を照らすボーダー状のライト:タカショー・レターバーライト
遠近法を利用したデザインとライティングのポイント
今回ご紹介した住宅事例では、変形敷地だったこともあり、ファサードの門袖や塀は道路と平行に配置されていますが、住宅は斜め方向に設置されています。この配置によって、遠近法により奥行き感が増幅され、ゆったりと豪華な雰囲気を生み出します。
門まわりのアーチはフレーム効果で間口の広さを強調するとともに、高級感のあるデザインのアクセントに。門袖の横ボーダー状の照明は、表札の文字を照らし出すだけでなく、おしゃれな夜景を演出しています。
床や塀の素材を光沢のある仕上げにすれば、ライトの反射も楽しむことができます。一方マットな素材では、灯りの映り込みはありませんが、少しつやのある仕上げにすることで、ハレーションによる幻想的な世界観を表現もできます。ただし、アプローチまわりの床材を、きれいに磨き上げた光沢のある本磨きにすると、雨天時では滑って転ぶこともあるので注意が必要。磨き具合はホームセンターやショールームに出向き、実際に自分の目で見て研究してみましょう。もちろんライティングも実際に見てみることが大切です!
このような塀や建物の配置や、さまざまなライティング効果を参考にして、ステキなファサードを創造してみてはいかがでしょうか?
設計施工 株式会社Office Hanyuda ~Protect Garden~ 羽生田新悟
Credit
写真&文 / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -
まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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