庭づくり、植物選びに“マンネリ“しているあなたへ。分類の垣根を取り去った植物セレクトで話題の、ボタニカルショップのオーナー&園芸家の太田敦雄さんがお届けする連載「ACID NATURE 乙庭 Style」。今回ピックアップする植物は、洋風で現代的な植栽に組み込むとイメージの逆転で新感覚に映える和風イメージな樹種のカラーリーフ品種。その使い方とバリエーションをご紹介。庭の面白さや植物の可能性のアンテナを刺激します。

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冬の庭でも活躍する技アリ素材
ちょっと和風なカラーリーフ常緑樹

斑入りビワ
ACID NATURE 乙庭が植栽デザインを担当した、谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICE 設計による住宅の植栽から。荒涼とした割栗石敷きの中に象徴的に植えられた斑入りビワ。

落葉樹や宿根草が冬枯れ、花も少ない冬の庭。そこに緑を提供してくれる常緑樹は、ガーデナーの強い味方ですよね。今回は、そんな常緑樹の中でもツツジやツバキなど、ちょっと和風イメージな樹種のカラーリーフ品種をご紹介します。

赤葉ツツジ

ツツジやツバキなどと聞くと、昭和の日本家屋の庭を真っ先に連想する方も多いかもしれませんね。

ジャノメマツとユッカ・デスメティアナ
ジャノメマツとユッカ・デスメティアナを合わせた植栽例。

しかし、これらの品種は、ちょっと和風で古臭い印象がある分、アガベやユッカなどを使った洋風で現代的な植栽に組み込むと、イメージの逆転で新感覚ですよ。庭友達との差別化アイテムとして、ぜひ活用してみてください。

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赤葉ツツジ(=ロドデンドロン cv.)

赤葉ツツジの新葉と古葉
春の新葉は真っ赤で黒みの古葉との対比も鮮やか。

晩秋~冬の寒冷期には特に葉色の黒みが増し、路側帯の植え込みで刈り込まれているツツジのイメージとは一線を画すクールな素材。春に芽吹く新芽は真っ赤で、旧枝の黒葉との対比が美しく、黒葉品種の枝先に赤い花が咲いたような雰囲気になります。

初夏~秋まではダークな銅葉色となり、通年カラーリーフプランツとして楽しめます。通常のツツジ同様、日本の気候にも合い、とても育てやすいです。あえて和風やイングリッシュガーデン風なボキャブラリーからハズして、色味の異なるカラーリーフやドライガーデン素材などと独創的に組み合わせると面白いです。

赤葉ツツジとダシリリオン・ウィーレリー
メキシコの乾燥地原産のレアプランツ、ダシリリオン・ウィーレリーと合わせて。

樹高1m程度に育つ品種ですが、成木になっても花は咲きにくいようです。成熟株になり気候などの条件が揃うと、濃赤ピンク色の、いかにも「ツツジ」という感じの花を咲かせます。カラーリーフプランツと思って育てていた植物が、たまに開花することで、「これ、ツツジだったんだ!」と、逆に新鮮な驚きを与えてくれます。ノスタルジーと新しさを併せ持った素材ですよ。

【DATA】
■ ツツジ科
■ 学 名:Rhododendron cv.
■ 主な花期:春
■ 樹 高:1m
■ 耐寒性:強
■ 耐暑性:強
■ 日 照:日向~半日陰

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ツバキ(=カメリア) ‘錦葉黒椿’

赤黒地の花弁に黒みの脈模様が入る妖艶な花が魅惑的なクロツバキの斑入り品種です。

ツバキ(=カメリア) ‘錦葉黒椿’

派手目の黄外斑が入る葉色を通年楽しめます。この派手目な葉色はダークな赤黒みの花とコントラストよく、花後に芽吹く新葉も照りのある飴褐色がかり、美しいです。

春の新葉
飴褐色がかった春の新葉。

ツバキは日本人にはとても馴染み深い素材なので、凡庸に陥らぬよう、使い方にひと工夫加えたいところ。あえて洋風なカラーリーフやオーナメンタルプランツとアグレッシブに組み合わせると、独創的な植栽になりますよ。世界に向けて発信したい、日本伝統園芸が生み出した逸品ですね。

【DATA】
■ ツバキ科
■ 学 名:Camellia ‘Nishikiba Kurotsubaki’
■ 主な花期:早春
■ 樹 高:2m
■ 耐寒性:中
■ 耐暑性:強
■ 日 照:日向~半日陰

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ジャノメマツ(=ピヌス オクルス‘ドラコニス’)

日本の伝統園芸でも珍重されていた、アカマツの斑入り品種です。

ジャノメマツ(=ピヌス オクルス‘ドラコニス’) 

松葉の中ほどに明クリーム色の斑が入り、枝先の方から見ると「蛇の目模様」のように見え、通常のマツとは違った、装飾的で不思議な植栽効果が得られます。マツ特有のワイルドな樹皮や樹形も雰囲気よく、アガベやオージープランツなどと合わせても相性がよいです。

ジャノメマツ(=ピヌス オクルス‘ドラコニス’) 

【DATA】
■ マツ科
■ 学 名:Pinus densiflora ‘Oculus-draconis’
■ 主な花期:春
■ 樹 高:4~5m
■ 耐寒性:強
■ 耐暑性:強
■ 日 照:日向

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斑入りビワ(=エリオボトリア ジャポニカ‘バリエガータ’)

起毛質感で表面が凸凹した大きな葉に大胆不規則にクリーム色の外斑が入る、果樹としてもお馴染みのビワの美しい品種です。

斑入りビワ(=エリオボトリア ジャポニカ‘バリエガータ’)

ビワは収穫できる大きさに育つまでやや年数かかりますが、本種は初夏に熟する実にも斑が入ります。少し耐寒性が弱い傾向がありますが、関東平野部では概ね問題なく越冬します。ビワは日本の温暖地にも自生し、古くから食用果樹として親しまれてきました。冬の間に開花・着果するので、その時期に花や幼果が傷まないように育て収穫を期待する観点でいうと、より温暖地向けの素材といえます。1枚1枚の葉が大きいので存在感があり、個性の強い植物と合わせても引けを取らず、シンボリックに映えます。

斑入りビワの寄せ植え例
這性のグレビレア ‘ブロンズランブラー’ などと組み合わせた植栽例。

基本種のビワのように巨大に育ってしまうこともなく、ご家庭用の庭木としても素敵でしょう。

【DATA】
■ バラ科
■ 学 名:Eriobotrya japonica ‘Variegata’
■ 主な花期:晩秋~冬
■ 樹 高:3m
■ 耐寒性:中
■ 耐暑性:強
■ 日 照:日向

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タイサンボク(=マグノリア・グランディフローラ)‘リトルジェム’

旧家の大庭園や公園などで見かけられる高木、タイサンボクの、比較的コンパクトにおさまる矮性品種。

タイサンボク(=マグノリア・グランディフローラ)‘リトルジェム’

昔ながらの庭木のイメージと、トロピカルな観葉植物のゴムノキを連想させる、ぼってりと厚い深緑の照り葉のおしゃれ感とのギャップが新感覚です。

フェルト質感の葉裏と、葉表の照り深緑色とのコントラスト

金褐色のフェルト質感の葉裏と、葉表の照り深緑色とのコントラストもカッコよく、ふっくらとした白クリーム色の大輪花も美しく見どころも多いです。自然樹形で美しく、程良い大きさにおさまるので、剪定もあまり必要がなくて育てやすいです。和風の落ち着いた雰囲気にももちろん合いますが、個性的な植物を集めたデザイン性の高い植栽にするとより刺激的でしょう。丸みのある美しい葉は、アガベ・ユッカなど、尖った硬い質感の植物とも相性がよく、夏場はカンナなどの熱帯素材と大胆に合わせても素敵です。

斑入りのヒメタイサンボク ’マッティメイスミス’

ヒメタイサンボクの美しい斑入り品種、’マッティメイスミス’ Magnolia virginiana var. australis ‘Mattie Mae Smith’も、コンパクトな樹形で葉色も美しくオススメです。

【DATA】
■ モクレン科
■ 学 名:Magnolia grandiflora ‘Little Gem’
■ 主な花期:初夏~夏
■ 樹 高:4m
■ 耐寒性:中
■ 耐暑性:強
■ 日 照:日向

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斑入りキョウチクトウ(=ネリウム‘バリエガツム’)

夏の花木としてもおなじみのキョウチクトウの黄斑品種です。

斑入りキョウチクトウ
Photo/S.O.E/Shutterstock.com

真夏に元気に咲くトロピカル感満点の濃いピンク花はもちろんのこと、ちょっとコーデックス(塊根)植物を感じさせる雰囲気や、観葉植物のように派手で美しい斑入り葉が、「あえてイマ」、カッコいい常緑樹です。

キョウチクトウの花
斑入り品種ではありませんが、上写真のような濃いピンクの花を夏の間、繰り返し咲かせます。Photo/Natalka De/Shutterstock.com

キョウチクトウはインド~地中海沿岸といった温暖地域原産の植物で、プルメリアやアデニウムといった熱帯地域の花を連想させるトロピカルな雰囲気が好まれ、昭和期に多く普及し庭植えされました。暑さや乾燥、大気汚染にも強いことから、幹線道路沿いの緑化などにも用いられ、次第に「ありふれた存在」になってしまった樹木の一つです。

しかし、もう少し引いた視点で俯瞰してみると、アデニウムやパキポディウムといったキョウチクトウ科のコーデックス(塊根)植物の人気が高まり、もてはやされている2015年以降の空気感において、まさに本家のキョウチクトウを植えない手はないですよね。「ダサカッコよさ」が痛快な品種です。

斑入りのキョウチクトウとアガベなどの植栽
アガベやジャノメマツなどと組み合わせた植栽例。

アガベやユッカ、オージープランツなど、イマドキのおしゃれプランツと作為満点で組み合わせてみてはいかがでしょうか。耐寒性が万全でない以外は性質も強く、とても育てやすいです。

【DATA】
■ キョウチクトウ科
■ 学 名:Nerium oleander ‘Variegatum’
■ 主な花期:夏
■ 樹 高:4m
■ 耐寒性:普通(-7℃程度)
■ 耐暑性:強
■ 日 照:半日陰

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ベニバナトキワマンサク(=ロロペタルム) ‘七彩’

銅葉タイプの種が生垣植栽にしばしば用いられる常緑樹、ベニバナトキワマンサクの、とても珍しい葉芸を持った魅惑品種です。

ベニバナトキワマンサク ‘七彩’

本種 ‘七彩’ は、埼玉県の樹木園で作出された珍しい品種です。濃銅葉ベースで枝先に向けて紫~ピンク味へと葉色へと移ろい、枝先部分の葉には大胆にスプラッシュ状の白散り斑が入ります。普段、生け垣に使ってしまうようなありふれた樹種で、多彩な美しさを表現できるイメージギャップの妙味があります。

冬場の寒気に当たると葉が黒紫みを増し、白斑の部分がショッキングピンク味となり、ある意味「ワルカッコいい」雰囲気にもなります。異彩を放つパロット咲きのチューリップの背景などにしても面白いですよ。

【DATA】
■ マンサク科
■ 学 名:Loropetalum chinense ‘Shichisai’
■ 主な花期:春
■ 樹 高:2m
■ 耐寒性:中
■ 耐暑性:強
■ 日 照 :日向

Select8
ナリヒラヒイラギナンテン(=マホニア・コンフューサ) ‘黄雲’

和風の造園素材としてしばしば用いられるナリヒラヒイラギナンテンの、珍しい黄金葉品種です。

ナリヒラヒイラギナンテン ‘黄雲’

細長い常緑黄金葉が美しく、見慣れた感がありつつも新感覚な技アリ素材です。日本の樹木園で作出された、ぜひ日本から世界のガーデナーに発信したい品種ですね 。

従来の和風なヒイラギナンテンの使い方をあえてハズして、ユッカ・ロストラータやアガベなどイマっぽい洋モノ素材と独創的に組み合わせることで、発見とサプライズをアピールすることができます。

【DATA】
■ メギ科
学 名:Mahonia confusa ‘Kouun’
■ 主な花期:初夏
■ 樹 高:1m
■ 耐寒性:強
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:日向~日陰

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クチナシ(=ガーデニア) ‘黄金の華’

鮮やかな黄金葉に少し緑が入っているように見えるくらいに、面積が大きく不規則な黄斑が入る葉がとても目を引き、強い芳香のある、バラにも似た花容の乳白色の八重咲き花もステキな八重クチナシの斑入り品種です。

クチナシ ‘黄金の華’
ほぼ黄金葉と思えるくらい分量が多く、黄斑が入る明るい葉色が魅力。

クチナシは、日本の南部~中国、東南アジアにかけてを原産とする常緑樹で、日本の温暖地でもお馴染みの庭木ですよね。クチナシの花は、春のバラの開花が終わった後、梅雨の頃から、バラとはまた異なる芳香を庭に漂わせてくれて、庭の香りの演出にも活躍します。

‘黄金の華’ は、派手に大きな面積で入る鮮やかな黄斑がカッコいい、バラのような花容が美しい八重クチナシの斑入り品種です。

八重クチナシの花
緑葉タイプの八重クチナシの花。Photo/Vahan Abrahamyan/Shutterstock.com

通年美しい葉色を楽しめ、ともすると生垣などに使われがちなクチナシの印象を覆すような使い方ができます。耐陰性もあり日陰の植栽にも耐える常緑樹で、温暖地ではとても育てやすい樹木です。

「ジャスミン属に似た」という意味の種小名からも分かるように、ちょっと熱帯っぽい雰囲気もあり、アスパラガス・スプレンゲリや耐寒性のヤシの仲間など、いかにも洋風な植物を合わせても面白いです。オオスカシバの幼虫に葉を食害されやすいので、浸透移行性の殺虫剤を定期的に与え、常に防除しておくとよいでしょう。

【DATA】
■ アカネ科
■ 学 名:Gardenia jasminoides cv.
■ 主な花期:初夏〜夏
■ 樹 高:2m
■ 耐寒性:普通(-7℃程度)
■ 耐暑性:強
■ 日 照:半日陰

Select10
ヤツデ (=ファトシア) ‘叢雲錦’

日陰の和庭定番素材、ヤツデの、大胆で派手な黄斑が素晴らしい品種です。

ヤツデ  ‘叢雲錦’

ヤツデは日本原産で、古くから庭木として親しまれ、日本人にとっては見慣れた感の強い植物ですが、海外では日陰でダイナミックな葉を展開する稀有な常緑樹として人気が高く、その斑入り品種ともなると、とても珍重されています。

その中でも本種’叢雲錦’は、海外の園芸家から垂涎の的となっている、日本の伝統園芸から世界に自慢したい名品。耐寒性は中程度で、寒冷地には不向きかもしれませんが、基本種の緑葉のヤツデが庭木で植えられている地域であれば、同じように栽培可能です。性質は丈夫ですが、強い直射日光と土壌の乾燥に弱いので注意しましょう。

ヤツデ  ‘叢雲錦’

トロピカルに見えるほど派手な斑入り葉を活かして、無難な和風に陥らないようにアグレッシブに組み合わせるとよいです。

【DATA】
■ ウコギ科
■ 学 名:Fatsia japonica ‘Murakumo Nishiki’
■ 主な花期:秋
■ 樹 高:2m
■ 耐寒性:普通
■ 耐暑性:普通
■ 日 照:半日陰~日陰

カラーリーフ常緑樹の植栽

「 自分の内なるものも外なるものも、見ているものを変える必要はない。
ただ見方を変えればいいのだ。」
(タデウス・ゴラス 作家 1924 – 1997)

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Credit

写真&文/太田敦雄
「ACID NATURE 乙庭」代表。園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科卒業後、前橋工科大学で建築デザインを学ぶ。趣味で楽しんでいた自庭の植栽が注目され、建築家とのコラボレーションワークなどを経て、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書に『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)。オンラインショップでは、レア植物や新発見のある植物紹介でファンを増やしている。
「ACID NATURE 乙庭」オンラインショップ http://garden0220.ocnk.net
「ACID NATURE 乙庭」WEBサイト http://garden0220.jp

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