バラが咲き香る庭は、多くの人の憧れです。バラ園のようにバラだけが咲き誇る庭も圧巻ですが、バラとさまざまな草花が共演する庭風景もホッとするものです。また、バラにそのほかの草花を組み合わせると、バラの魅力が一層際立ち、病虫害対策にもさまざまなメリットがあります。バラに寄り添い、その魅力をより引き出してくれる名バイプレーヤーの草花たちを、日本の庭の実例の中から初心者にも育てやすい花に絞ってご紹介します。多くの草花が、秋が植えどき、タネのまきどきですよ。

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バラと草花を組み合わせる場合に気をつけたいこと

「ラブ・イン・ア・ミスト」という素敵な英名を持つ一年草のニゲラとバラ。

バラに組み合わせる草花を選ぶ際、以下のことに気をつけるとバラも草花も調和した美しい風景を作ることができます。

開花期

花色の組み合わせを狙う場合には、バラと開花期をぴったり合わせる必要があります。バラは4月下旬頃から咲き始める早咲きや6月中旬以降に咲く遅咲きなど、品種によって開花期に開きがあります。まずは、バラと組み合わせる草花の開花期を調べましょう。開花期が比較的長い一年草は、初心者にもオススメです。しかし、必ずしも開花期を合わせなくても、逆にバラの花が終わったあとに、庭の彩りを補う目的で、開花期が異なる草花を選ぶのもよいでしょう。

生育上の相性

外観上の問題だけでなく、生育上の相性も考慮します。バラは日当たりがよい場所を好み、肥料や水が比較的たっぷり必要な植物です。組み合わせる植物も、同じような環境を好む植物を選びます。ただし、生育旺盛な宿根草と合わせる際は、バラの栄養分が取られて生育に影響することがあるので、株元付近から50㎝以上離して植えるとよいでしょう。

宿根草は株元から離す

バラは毎冬、株元から30〜50㎝ほど離れた場所に穴を堀り、肥料をやります。これを寒肥(かんごえ)と言います。宿根草は基本的に植えっぱなしで育てるので、バラの株元付近に宿根草がたくさん植えてあると、寒肥作業の邪魔になるので、宿根草を組み合わせる場合は植え場所に配慮しましょう。枝を誘引できるつるバラなら、株元から離して草花を植えても、共演が楽しめます。一方、晩秋には抜いてしまう一年草なら、そうした気遣いはありません。

管理の楽な丈夫なものを選ぶ

比較的放任していても育ってくれる丈夫な草花を選んだ方が気が楽です。バラは開花期にも病虫害対策や花がら摘みなど、手入れが必要ですし、バラの手入れの際には株元付近に踏み入ることが多いので、山野草など育てるのに気遣いが必要で繊細な植物はエリアを分けて育てた方がよいでしょう。

バラの庭の常連役者「ブルーの花」

どのバラと合わせても、バラを引き立ててくれるベスト・バイプレーヤーが青色の花。バラ単体よりも、青色の花が添えられることでピンクのバラも黄色のバラも、どんなバラ色も際立って美しく見えます。バラには今のところ純粋な青色がないので、青色の草花との組み合わせはバラの庭づくりの成功セオリー。何を合わせるか迷ったら、青の花を選ぶとよいでしょう。

<ニゲラ>

  • キンポウゲ科/一年草
  • 草丈/40〜100㎝
  • 開花期/4〜7月
  • 育て方と魅力/初心者にもとても育てやすい一年草です。秋にタネを播くと、翌年の春以降、枝分かれして次々に花を咲かせ続けます。切っても花もちがよいので、バラとのアレンジメントにも重宝します。花後にできる小さな風船のようなタネ袋はドライフラワーとしても楽しめます。袋の中にはたくさんの小さな黒いタネが入っており、刈り取らずにおけば、タネが自然にこぼれて翌年以降何年も花を咲かせてくれます。秋以降、バラの土作りの際に耕したとしても、ニゲラのタネは大量にこぼれるので発芽しますが、タネ採りをしておいて、バラの土作りの後に播けばより確実です。

<ギリア・カピタータ>

  • ハナシノブ科/一年草
  • 草丈/約50㎝
  • 開花期/4〜6月
  • 育て方と魅力/初心者にもとても育てやすい一年草です。秋にタネを播くと、翌年の春以降に花が咲きます。春に花苗が出回ることもあります。茎は細いながらもしっかりとしており、しなやかな茎の先に小さな花が集まって鞠状になる花姿がとても可愛らしく素朴です。葉も細く細やかなので、繊細な雰囲気。適地であればタネが自然にこぼれて翌年以降、何年も花を咲かせてくれますが、確実に咲かせたい場合にはタネ採りをして播くとよいでしょう。

<イソトマ&ロベリア>

  • キキョウ科/一年草扱い・一年草
  • 草丈/20〜40㎝
  • 開花期/4〜7月、9〜10月
  • 育て方と魅力/どちらも初心者にもとても育てやすい一年草です。春に流通する苗を植えるか、秋にタネをまくと翌年の春以降に花が咲きます。花は濃いブルーから淡い水色まで、それぞれ青色のバリエーションが豊富にあります。草丈が低いので、バラの株元にグラウンドカバー的に咲かせてもきれいですし、バラの花の高さと近づけるなら、鉢植えで側に置いてもよいでしょう。どちらも、春のバラの開花後にもよく咲きます。真夏は一旦休みますが、切り戻しをすると秋には再びきれいに咲いてくれるので、庭の彩りとしても重宝します。
枝垂れ咲くつるバラ‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’の株元に、ブルーのイソトマとロベリアが色を添える。

<ネペタ(キャットミント)>

  • シソ科/宿根草
  • 草丈/20〜80㎝
  • 開花期/4〜10月
  • 育て方と魅力/初心者にもとても育てやすく、丈夫な宿根草です。春か秋に流通する苗を植えます。ブルーの花穂状の花が繊細な雰囲気で主役のバラを引き立てます。ネペタはハナアブの幼虫の食草になっており、幼虫も成虫もバラの害虫のアブラムシをよく食べてくれるので、アブラムシ対策としても重宝します。ハナアブはミツバチに似た大きさで、人を刺したりすることのない昆虫なので怖がらなくて大丈夫。むしろバラの庭では益虫なので、歓迎してそっと見守りましょう。ネペタは非常に丈夫で、年々株が太って横に広がるので、3〜4年したら掘り上げて株分けをします。株分けしないでそのままにしておくと、内側が蒸れて枯れ、草姿が悪くなるので株分けしましょう。

同系色の草花を合わせて印象的なシーンを演出

バラと同じ花の色の草花を選ぶと、ワンシーンをより印象的に演出することができます。特に赤×赤は難しそうに思えますが、成功するととてもカッコよくきまります。

<ニコチアナ>

  • ナス科/一年草、二年草、多年草(品種による)
  • 草丈/30〜100㎝
  • 開花期/5〜10月
  • 育て方と魅力/タネから容易に育ち、とても丈夫で開花期が長いのも魅力です。星型の小ぶりな花は、たっぷり花弁を重ねるタイプのバラを際立たせてくれます。花色は赤、ピンク、白、ラムグリーン、紫、複色とバリエーションに富んでいるので、バラとの組み合わせが自在に楽しめます。

<セントランサス>

  • オミナエシ科/宿根草
  • 草丈/約60㎝
  • 開花期/5〜6月
  • 育て方と魅力/和名でベニカノコソウとも呼ばれる宿根草で、非常に丈夫。英国ではしばしばコンクリートの割れ目などからも花を咲かせているほどです。赤い花は派手な印象があり、バラとの組み合わせを躊躇しがちですが、この花は繊細でナチュラルな雰囲気なので、淡い色のバラと合わせても素敵です。でこぼれ種でもよく増えるので、2年目以降は増えすぎに注意して管理します。

<ギリア・トリコロル>

  • ハナシノブ科/一年草
  • 草丈/約50㎝
  • 開花期/4〜6月
  • 育て方と魅力/花姿はまったく異なりますが、先に紹介したギリア・カピタータの仲間です。花の中心に黒い‘目’が入り、白いバラとの組み合わせがおしゃれです。こちらも初心者にもとても育てやすい一年草です。秋にタネを播くと、翌年の春以降に花が咲きます。春に花苗が出回ることもあります。

レースのような花で繊細な美しさを強調

中輪以上の花形が多いバラに、小花の取り合わせは間違いなくマッチします。なかでも小花が集まって花姿がレース状にみえる花とバラとの組み合わせは、繊細さを極めてエレガント。一度は試してみたい憧れの組み合わせです。

<オーニソガラム・サウンデルシー>

  • ユリ科/多年草(球根)
  • 草丈/30〜100㎝
  • 開花期/4〜7月
  • 育て方と魅力/とても育てやすく丈夫な球根植物です。細い茎が立ち上がり、小さな白色の花が集まって丸く咲きます。小花の中心が緑色になりユニーク。2〜3年は植えっぱなしで繰り返し咲きます。肥料が多すぎると球根が腐ることがあるので、定期的に施肥をするバラの株元付近からは離して植えるとよいでしょう。

<セントランサス>

先に紹介したセントランサスの白花種は、レースのような雰囲気でより繊細な雰囲気が演出できます。

縦のラインの花との対比で花形の違いを魅力的に

バラの花は概ね丸い花形をしており、それらが集まって咲く様子はふわふわと柔らかな印象です。一方、草花のなかには細い茎をまっすぐに伸ばし、その茎に沿って縦に花を連ねる花穂状(かすいじょう)という咲き方をする種類があります。丸くふんわりと咲くバラと、ラインで咲く花穂状の花を組み合わせると、形の違いが際立ち、より魅力的なシーンが生まれます。

<ハイブリッド・ジギタリス>

  • ゴマノハグサ科/宿根草
  • 草丈/約70㎝
  • 開花期/5〜9月
  • 育て方と魅力/宿根草(二年草)のジギタリスとイソフィレクシスという近縁種の花との交配によって生まれた比較的新しい花。花姿はバラの庭の定番植物として古くから人気のジギタリスに似ていながら、ジギタリスよりも開花期間が長く、脇枝からも開花して花が多く咲くので、切り花としても楽しめます。また、一年中葉が枯れない常緑であることなど魅力が満載。初心者にも育てやすい宿根草です。

<リナリア・プルプレア>

  • オオバコ科/宿根草
  • 草丈/70〜100㎝
  • 開花期/5〜7月
  • 育て方と魅力/宿根性のリナリアで、線が細く風にそよぐ様子が庭にナチュラルな印象を与えます。シルバーがかった葉の色も美しく、全体的な草姿の様子も優しい雰囲気。秋、または春先に苗を植えつけます。こぼれタネでもよく増えて毎年、よく咲いてくれます。
バラの庭でジギタリスやリナリア・プルプレア、キンギョソウなど花穂状の花が効果的。

赤い実との組み合わせでかわいらしさを演出

<ジューンベリー>

  • バラ科/低木
  • 草丈/3m前後
  • 実の時期/5〜6月
  • 育て方/春の白い花、バラの花の頃に実る赤い実、紅葉と楽しみの多い花木です。赤い実は食べても甘くて美味しいうえに、バラの花との相性もよく、田園的な豊かな印象をもたらしてくれます。苗木の植えつけは厳寒期を除いて秋から翌年の早春までで、剪定は枝が混んでいる箇所を落葉期に切る程度で、さほど難しいことはありません。実を食べにくる小鳥の姿も楽しめます。

以上の写真はすべて鳥取県の面谷ひとみさんが丹精する面谷内科・循環器内科クリニックの庭からのご紹介です。庭の様子はこちら

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Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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