宿根草ショップの店長が教える! バラと一緒に咲かせる人気の宿根草
宿根草(しゅっこんそう)という植物のグループをご存知ですか? ガーデニングを始めたばかりの人には、初めて知るワードかもしれない宿根草。実は手間がかからなくて、とても簡単に育つ宿根草もたくさんあります。「ガーデニングの初心者にこそ、宿根草をオススメしたい!」という「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、バラに似合う宿根草を6種ピックアップしていただきます。
目次
ローズガーデンには欠かせない!
バラとの競演が楽しめる宿根草
いよいよ春のガーデニングシーズンに入り、庭のバラも芽吹きが始まりました。庭の主役ともいえる豪華で美しいバラは、それのみでも十分存在感がありますが、同じ頃に咲く宿根草を近くに植えておけば、バラの花が引き立ち、ワンランク上のセンスのよい庭になります。プロのガーデナーやガーデンニング上級者にとって、バラと宿根草は切り離せない存在です。そんなバラに似合うと選ばれている宿根草の中から、初心者でも簡単に咲かせることのできる、オススメの宿根草をご紹介しましょう。
白い小花がバラを引き立てる
タナセタム ‘ジャックポット’
カモミールを思わせる、白い可憐な花がふんわりと咲き揃います。背の高いバラの株元に植えれば、周囲をライトアップしたかのようにパッと明るくなり、バラの花を引き立てます。花期以外も、シルバーリーフが楽しめて観賞期間が長いので優秀です。
少し乾き気味の場所を好むので、乾燥しやすいバラの株元にも適しています。株自体も宿根しますが、こぼれダネでも増えて、あちこちで咲いてくれます。白い小花はどんな花とも調和しやすいので、重宝します。
【DATA】
■ キク科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈 : 50cm前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-20℃まで)
■ 耐暑性 : 強い(ただし、高温多湿には注意)
■ 日 照 : 日向
淡い色と香りがバラにぴったり!
キャットミント‘ウォーカーズロウ’
このようなブルーの花色はバラにはないため、どんな色のバラとも相性抜群。ブルーキャットミントは、ローズガーデンでは万能といえる存在で活躍します。シナモンのような香りがあり、葉色も淡いため、やわらかい雰囲気がバラによく似合います。
キャットミントの中でも、この‘ウォーカーズロウ’は花が大きいうえ、株が倒伏しにくい立ち性タイプなので、扱いやすいのが特徴です。乾燥に強く、多湿を嫌うので、乾きやすいバラの株元にも最適です。バラの花が終わる頃には、夏の蒸れ防止として、バラの剪定ついでに切り戻しておきましょう。
【DATA】
■ シソ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:晩春~秋
■ 草 丈 : 50㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-20℃まで)
■ 耐暑性 : 強い(ただし、高温多湿には注意)
■ 日 照 : 日向
キャットミントのバリエーション
キャットミントには他にもさまざまな色やタイプがあります。バラの花色やイメージに合わせて品種を選んでみてはいかがでしょうか。
キャットミント‘ピンクキャンディ’
淡いピンクの花が、深めの色のバラにぴったり。
キャットミント‘ライムライト’
鮮やかな葉色はカラーリーフとしても楽しめる。
ホワイト・キャットミント
白い小花がさわやかな印象。
バラとの組み合わせは、まさに定番
ジギタリス
草丈は1m前後と背が高く、鈴のような筒状の花が下から咲き上がる独特なフォルムは、バラと組み合わせることでよりガーデンの魅力が増します。この花があるだけで、イングリッシュガーデンの雰囲気が出るので不思議です。日当たりのよい場所ならどこでも生育するので扱いやすい花。より多くの花を咲かせるためには、前年の秋に植えておくのをオススメします。
【DATA】
■ オオバコ科 宿根草(耐寒性多年草)または二年草
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈 : 1m前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-20℃まで)
■ 耐暑性 : 普通(暖地では夏までの一~二年草扱い)
■ 日 照 : 日向
ジギタリスのバリエーション
ジギタリスの花色には、ピンク系を中心に幅広いバリエーションがあります。バラの花色やイメージに合わせて品種を選んでみてはいかがでしょうか。
ジギタリス‘アプリコット’
ジギタリス‘カメロット・ラベンダー’
ジギタリス‘カメロット・ローズ’
ジギタリス‘ポルカドット・ポリー’
ジギタリス・グランディフローラ
レースのような可憐な白花がバラを引き立てる
オルラヤ‘ホワイトレース’
主に一~二年草ですが、タネがこぼれてあちこちから咲いてくれるので、バラの株元のボリュームアップに。空いたスペースを埋めるには最適な花です。
一度植えればタネが飛んで、花期になるといろいろな場所から咲きます。白いレースのような花が他の草花とも自然に組み合わさり、花束のような素敵な花壇を演出してくれます。
【DATA】
■セリ科 宿根草 または一~二年草
■ 主な花期:春~夏
■ 草 丈: 60㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-20℃まで)
■ 耐暑性 : 普通(暖地では夏までの一~二年草扱い)
■ 日 照:日向
深い花色がローズガーデンを引き締める
サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’
宿根のサルビアで、低く広がる草姿から、たくさんの花茎が放射状に伸びます。花茎が黒く花色も濃いので、大株になるとハッとするほど美しい品種です。
パステル調の淡い色のローズガーデンをぐっと引き締めて、色彩を豊かに見せてくれます。寒さに強いので庭で年々株が育ち、見事になる点も魅力です。バラの花が終わる頃には、花がら摘みのついでに一緒に切り戻しをし、苦手な高温多湿の夏に備えましょう。
【DATA】
■ シソ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:初夏
■ 草 丈: 75㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-20℃まで)
■ 耐暑性:強い(ただし、高温多湿には注意)
■ 日 照:日向
ナチュラルな小花がローズガーデンを和ませる
セントランサス
和名は紅カノコソウ。ちょうどバラの最盛期に同じく満開となるので、組み合わせにぴったりです。放射状に花茎をまっすぐ伸ばし、たくさんの花を咲かせてローズガーデンを盛り上げてくれます。
赤花種はビビッドながら花が小さいので、主張が強すぎず、淡い花色のバラと相性よくまとまります。また、白花種はナチュラルな雰囲気が出て、バラの強い主張を和らげて調和をとってくれます。少し乾き気味の日向を好み、やせ地でも育つ丈夫な宿根草です。こぼれダネでも増えるので、タネが飛んでから切り戻しを行うとよいでしょう。
【DATA】
■ オミナエシ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:晩春~初夏
■ 草 丈: 60㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-12℃まで)
■ 耐暑性 : 強い(ただし、高温多湿には注意)
■ 日 照:日向
赤花の‘コッキネウス’(紅カノコソウ)
白花の‘スノークラウド’
バラの花のそばに、小花や背の高い宿根草が寄り添い咲いていると、庭に奥行きが出て写真映えもします。風に揺れる草花とバラが競演する嬉しい季節はもうすぐ。バラが咲き始める前に、好みの宿根草をプラスして、一年で一番楽しみなガーデニングシーズンをお迎えください。
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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