ルナリア(ゴウダソウ)の花・タネ・ドライフラワーの楽しみ

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ルナリア(別名/合田草 学名/Lunaria annua)は、タネを播いて育てるアブラナ科の草花です。春に花が咲き、夏以降、薄くて丸い個性的なさやが実るのが魅力。6月のイギリスの庭でも、オーナメントのようなサヤが花壇のアクセントになっていました。ここでは、ルナリアの花からタネ、ドライフラワーまでの変化の過程と活用法をご紹介します。
目次
ルナリアとは

月を意味する「ルナ」が属名につくルナリア(Lunaria)は、アブラナ科で、合田草(ごうだそう)、マネープラント、銀扇草、銀貨草、大判草、英名でhonestyなどと呼ばれています。原産はヨーロッパで、1901年(明治34)にフランス、パリから東京美術学校(現・東京芸術大学)教授の合田清氏が日本に持ち帰り、普及しました。和名の合田草は、合田氏にちなんで名前が付けられたものです。ルナリア・アヌア(Lunaria annua)は、品種により一年草と二年草があります。

花はアブラナ科らしい十字形で、紫や桃色、白色などが咲き、香りもあります。草丈は30〜100 cmで、栽培には土質を選びませんが、耐寒性は強いものの、夏の高温多湿が苦手なので、水はけをよくし、根腐れに注意します。育て方は主にタネからで、春に播くと翌年春に、秋に播くと翌々年の春、冬の低温期を経て5〜6月に咲きます。直根性なので、花壇へ直播きして発芽させるか、苗が小さいうちに移植を行い、根を切らないように注意しましょう。適地であれば、こぼれダネでも増えます。鉢で育てる場合は深さのある鉢がよいでしょう。

ルナリアのタネは月を思わせる薄いさやの中に


さやが熟すと、両面の茶色く薄い膜が破れ、中に挟まれていた平たいタネが出てきます。このタネを取り除いた後に残る、膜が張った楕円形のさやは、別名マネープラントというように、銀貨を思わせます。光が透けて美しく、クラフトの素材として使ってみたい魅力があります。

イギリスの名園でもルナリアが花壇で活躍

6月のベス・チャトー・ガーデンで、大木の下にジギタリスが丈高く咲くボーダー花壇。よく見ると、ジギタリスの後方にルナリアがさやをつけています。左手奥、ピンクのレースフラワーがふわふわと咲く間にもルナリアの株が。

さやになったルナリアが、盛りを迎えるレースフラワーの中でアクセントに。ムラサキハナナに似たルナリアの素朴な花が、少し前にはこの庭の彩りになっていたことが想像できます。

シシングハースト・カースル・ガーデンでは、ローズガーデンのエリアにも、ルナリアのさやが実る株がありました。写真中央、スイートピーのオベリスクの株元付近に茂っているのがルナリアです。

少し細長いさやが実るルナリアの右には、ピンクのリクニス。後方のスイートピーがまだ低く咲いていた時期には、ルナリアの花がコラボレーションを見せていたことでしょう。

グレートディクスターの黄色や白花が咲くエリアでは、明るい色のさやが背景のブロンズ色のフェンネルに引き立って、アクセントに。

同じグレートディクスターの別のエリアでは、紫がかったさやのルナリアがアリウムの紫花と調和して、不思議な色合いを見せていました。

ナショナル・トラストのガーデンの一つ、ロンドン郊外にあるナイマンズ・ガーデンでも、紫花が咲くボーダー花壇の一部にルナリアを見つけました。ここでは、紫花とさやが一緒に見られる株も。

ルナリアを見つけたボーダー花壇の別の場所では、ゲラニウムやアリウムが花盛り。

ボーダー沿いにさらに行くと、ルナリアが群生しているかのような一角もありました。株いっぱいにさやをつけて、花がなくても存在感のある花壇ですね。花がらが残っていると見た目に美しくない草花もありますが、こんなサヤができるなら、花が終わってからも、他とは異なる雰囲気が演出できます。ローメンテナンスガーデンを目指している人にオススメの植物。
ルナリアをドライフラワーとして楽しむ

イギリスでは、このルナリアのドライフラワーをショップやカフェに飾っているシーンを時々見かけます。丸いさやがついた枝をそのまま花瓶に挿して飾ったり、シダやグラスの穂のドライと一緒にリースに仕立てて、天井から吊るしていたり。クラフトの素材としても使ってみたい美しさがあります。

シシングハースト・カースル・ガーデンの展示場の一角で、ドライフラワーの花束の一部にルナリアが。

ベス・チャトー・ガーデンのカフェコーナーでは、ルナリアを使ったフライングリースが飾られて、おしゃれなインテリアとして活躍。

ルナリアのドライフラワーは市販ではあまり見かけない素材なので、ぜひご自分の庭で育てて、花、タネ、ドライフラワーまでを楽しんでみませんか?
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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