スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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観葉・インドアグリーン

【鉢花におすすめ】サイネリア(シネラリア)は冬を彩る華やかな花! 綺麗に咲かせる育て方
サイネリアの主な特徴 冬を彩る花鉢として愛されているサイネリアは、どんな特徴や性質を持っているのでしょうか。ここでは、サイネリアの基本情報についてガイドします。 基本情報 ASGOLD/Shutterstock.com サイネリアは、キク科ペリカリス属の一年草です。本来、原産地では多年草に分類されていますが、高温多湿に弱く日本の酷暑を乗り切れずに枯死することが多いので、国内では一年草として扱われています。草丈は20〜60cmで、基本的に鉢花として利用される草花です。 サイネリアは交配によって作出された園芸品種で、カナリア諸島原産のペリカリス属の草花を数種類掛け合わせた結果、花つきがよくドーム状にこんもりと茂る草姿になりました。日本に伝わったのは明治初期で、冬を彩る室内用鉢花として大事にされてきた歴史があります。 花や葉の特徴 ASGOLD/Shutterstock.com サイネリアの開花期は、11~5月。花色は豊富で、青、紫、ピンク、黄、白、茶、複色などがあります。花のサイズは大輪〜小輪まで揃い、花径は2〜7cm。花茎を伸ばした先に分枝して花房ができ、見頃の時期は茎葉を覆い尽くすほど豪華に咲くのが特徴です。地際から生えるみずみずしいグリーンの葉はやや大きく、互生につきます。 サイネリアの名前の由来や花言葉 ASGOLD/Shutterstock.com サイネリアの名は、以前に分類されていた旧属名のキネラリアに由来し、シネラリアという名前で流通していました。これは、ラテン語の「cinerarius」からきており、「灰の」という意味を持っています。葉にグレーの産毛が生える特性に因んでいるとされていますが、日本では「死ね」という言葉を連想させることから、園芸界では「サイネリア」と呼ばれるようになりました。 サイネリアの花言葉は色によって異なり、西洋では白、赤、紫の花は「喜び」、黄、青、ピンクは「いつも愉快」。日本では、白い花は「望みある悩み」、黄色は「希望」、赤は「純愛」などの花言葉が与えられています。 サイネリアの育て方のポイント7つ サイネリアは、基本的に冬の鉢花として出回っており、寒さに弱いために庭植えではなく、鉢栽培で楽しみます。ここでは、サイネリアの鉢栽培での管理のポイントについて、詳しくご紹介します。 栽培に適した環境 Skyprayer2005/Shutterstock.com サイネリアは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では花色や葉色が冴えずに花つきも悪くなり、徒長して軟弱な株になるので、日光不足に注意してください。冬は雨や霜にあたると株が傷むので、雨に濡れず凍結しない軒下やベランダなどへ移動しましょう。 種子や苗から育てた場合は環境に順応しやすく、ある程度寒さには耐えてくれます。11月くらいまでは戸外に置いても耐え、12月以降は霜や強風が吹き付けない軒下やベランダなら越冬できます。しかし、贈答用などの開花株を入手した場合は、開花調整のために温室などで温度管理して育てられているケースが多く、いっそう寒さを苦手とするため、室内の窓辺に置いて管理したほうがよいでしょう。 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com 贈答用の鉢花を入手した場合は、そのまま植え替えずに開花を楽しみましょう。ポット苗を入手した場合は、市販の草花用培養土を利用して植え替えると手軽です。または、自身で培養土をブレンドする場合は、赤玉土中粒5、腐葉土3、酸度調整済みのピートモス2の割合で用いるのがおすすめ。さらに元肥としてリン酸分を多めに含む緩効性肥料を施しておくとよいでしょう。 植え付け・植え替え Nataly Studio/Shutterstock.com サイネリアの植え付けの適期は、9〜4月です。 まず、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にあふれ出さないよう、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土にバークチップなどを敷いておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。 サイネリアはライフサイクルの短い一年草なので、植え替えの必要はありません。開花後に枯れ込んできたら抜き取って処分しましょう。 水やり ITP Media/Shutterstock.com サイネリアは鉢栽培が基本で、乾燥しやすいために日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期間中は水を欲しがるので、水切れしないように管理しましょう。 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。特に花弁に水がかかると、傷みやすくなるので注意が必要です。また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 9月から翌年の4月まで、緩効性肥料を月に1度を目安に与えます。肥料が切れると花が咲かなくなるばかりか、せっかくついていたつぼみが落ちてしまうこともあるので、肥料切れに注意して管理しましょう。ただし、窒素成分の多い肥料を与えると、花が咲かずに葉ばかりが茂ってしまうので、成分表をチェックし、リン酸分を多く含む肥料を与えるようにしてください。旺盛に開花し始めたら、緩やかに長く効く粒状タイプの肥料から、速効性の液肥に切り換えるのもおすすめです。開花促進を目的に配合された液肥を、10日に1度を目安に与えます。 日常のお手入れ Aleksei Golovanov/Shutterstock.com 【花がら摘み】 サイネリアの終わった花は、早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【切り戻し】 開花が進み、花数が少なくなって株姿も乱れているようなら、伸び上がっている花茎の節の上で切り取り、コンパクトにまとめましょう。すると、再び花芽を上げて開花し始めます。 注意すべき病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 サイネリアが発症しやすい病気は、うどんこ病や灰色かび病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて、風通しよく管理しましょう。 【害虫】 サイネリアに発生しやすい害虫は、アブラムシ、コナジラミなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 コナジラミは、植物の葉裏について吸汁する害虫です。体長は1mmほどで大変小さいのですが、白いので目にとまりやすいでしょう。繁殖力が旺盛で、短期間で卵から幼虫、成虫になり、被害が拡大しやすいのが特徴。吸汁によってウイルスを媒介するほか、排泄物にすす病が発生して二次被害を呼びやすいので要注意。大発生した時はスプレータイプの適用薬剤を散布して対処してください。 増やし方 Montana Isabella/Shutterstock.com サイネリアは、種まきと挿し芽で増やすことができます。ここでは、2通りの増やし方について、詳しく解説していきます。 種まき サイネリアは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。 開花した株から種を採取する場合は、花が終わった後に花がら摘みをせず、種をつけさせます。種を採取したら、密閉袋に入れて種まき適期まで保管しておきましょう。ただし、品種によっては種ができないこともあり、また採取した種が親株と全く同じ花を咲かせるとは限らないことも知っておいてください。 サイネリアの発芽適温は15〜25℃くらいで、種まきの適期は9月頃です。種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種を播きます。サイネリアは好光性種子といって、発芽に光を必要とするので、覆土はしないでください。種が流れないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。乾燥しないように管理すると、1週間ほどで発芽します。 発芽したら、日当たり・風通しのよい場所で管理しましょう。しかし、暑いと成長できないこともあるので、涼しい場所で管理することがポイントです。 本葉が4〜5枚ついたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。本葉が5〜6枚つくまで管理し、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。種から育てると、開花時期はやや遅くなりますが、寒さに強くなるメリットがあります。 挿し芽 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、サイネリアは挿し芽で増やせます。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。気に入った花色があれば、挿し芽にチャレンジしてみるのもいいですね。 挿し芽の適期は、5月頃です。新しく伸びた茎葉を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を植えて土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽で増やす場合は、暑さに弱いサイネリアに夏を乗り切らせることが最大の難関となります。風通しのよい涼しい場所で管理しましょう。 サイネリアの主な品種 ‘セネッティ’。Cedarkae B/Shutterstock.com サイネリアは冬の鉢花として愛されてきた歴史を持つことから、品種が多様に出回っています。ここではポピュラーな品種をご紹介していきます。 ケイカ サイネリアに再度野生種を掛け合わせて作出された木立ち性の品種です。草丈は40〜60cmで、野趣感を漂わせるのが特徴。寒さに強く、マイナス2℃まで耐えるため、凍結しない場所であれば戸外での越冬も可能です。 セネッティ サイネリアの中でも高性種のほうで、草丈が40〜50cmになります。花が次々に咲き、満開の状態が長く続くのが特徴。シリーズ化されており、花色はレッド、ブルー、ブルーバイカラー、ラベンダーバイカラーがあります。2月頃に切り戻すと、二番花を楽しめます。 アーリーパーフェクション 極早生の矮性種のため、葉も小さくコンパクトにまとまります。花径は3cmほどとやや小ぶりで、可憐な表情を楽しめます。大変花つきがよく、豪華な花姿が魅力的。寒さに弱いので、5℃以上の環境で管理します。 サイネリアで冬の庭やベランダを明るく彩ろう! ASGOLD/Shutterstock.com 花色が豊富に揃い、カラフルな咲き姿を見せてくれるサイネリア。室内用の鉢花として人気が高い草花です。凍結しないように、管理に注意すればビギナーでも簡単に育てられますよ! ぜひサイネリアを迎え入れて、冬の窓辺を明るく彩ってはいかがでしょうか。
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ガーデンデザイン

【憧れの風景作り】つるバラを窓辺に咲かせる4つのチェックポイント
Check1 バラを絡める窓辺の日当たりを確認 窓辺につるバラを咲かせるには、苗を購入する前にチェックしたいポイントが4つあります。まずは、窓辺の日当たりの確認から。 バラは、一日に5時間ほど日が当たる場所で育てるのがオススメです。日の高さや長さは季節によって変わるので、朝日は何時から当たるか、周囲の構造物で影ができるのは何時からかなど、窓辺の日当たりを意識して観察してみましょう。あまり日が当たらない場所でも、‘つるアイスバーグ’や‘ニュー・ドーン’など、日陰でも育つような品種や生育が旺盛な品種なら育てることができます。窓には日が当たるけれど、植え付ける予定の地面に日が当たらないという場合でも大丈夫。窓のそばに葉が茂って、日が当たっていることを想像しながら日当たりのチェックをしましょう。 また、窓の上方にしか日が当たらない場合は、あらかじめ長く伸ばしてある「長尺苗(ちょうじゃくなえ)」を購入すれば、少し早くつるバラが窓辺を飾る景色をつくることができます。 Check2 植えるスペースを確保 窓のすぐ下が地面であれば、掘って根が張る場所があるかを確認します。植え付けるスペースの目安は、直径50㎝、深さ50㎝以上がベスト。外壁の近くは家の基礎や配管などがあり、掘り進めることができない場合もあります。建築時の図面で配管の位置を確認することもできますが、図面がなければ、実際に掘ってみるのが安心です。しっかり穴を掘ることができれば、そこは植え穴になります。 もし、掘り上げた土に石やゴミが混ざっていたら取り除き、腐葉土や牛ふん、馬ふんなどをすき込んでよい土に変えます。あまり土がよくなさそうならば、新しい土に入れ替えておくと、生育がスムーズです。 植え付ける穴を掘ることができない場合は、大きめのコンテナや鉢でもつるバラを育てることができます。 Check3 水やりの必要があるかどうか確認 植え付け場所が株元に雨が当たる場所ならば真夏以外、水やりは不要です。軒が深くて雨が当たらない場所は、水分不足になる可能性があるので、定期的に水やりをすることを忘れないようにしましょう。 Check4 つるをとめつける場所を用意する 上写真と、白いフレームの窓の周りに白バラが咲く記事トップの写真は、フランスの個人邸です。近寄ってみると、レンガの壁には格子の網が設置されています。網は影色になる黒なので、離れて見ると目立たず、白バラと窓が浮かび上がって美しい景色をつくっています。 外壁に穴を開けたくない場合は、写真のように壁に沿って格子のフェンスを地面に設置したり、2階のベランダや窓辺からワイヤーや網を垂らすのも一つの方法です。 もし、あなたの家の窓が隣家との隙間に面していても、ご紹介の4つのポイントがクリアできれば、つるバラが窓を飾る景色をつくることができます。たとえ窓の外からバラを眺めるのが難しい場所でも、部屋の中からバラが咲く様子が見えたり、窓を開ければ咲いたばかりのバラの香りを部屋で楽しむこともできます。夏は茂った葉が日に透けて、爽やかな景色に心がなごむことでしょう。 つるバラは、地面に広いスペースがなくても立体的に仕立てて育てることができます。もし、バラ栽培を諦めていたら、家の周りを改めて見回してみてください。憧れの風景を自宅にぜひつくってみましょう! つるバラの冬の剪定と誘引は以下の記事もご参考に。 『バラの専門家がズバリ答える! 美しく咲かせるための作業「つるバラの誘引」』 『バラの専門家がズバリ答える! 冬の大切な作業「つるバラの剪定」』
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樹木

【無数の白花】ユキヤナギを庭木に! 上手な育て方と剪定のコツ
ユキヤナギの基本情報 tamu1500/Shutterstock.com ユキヤナギ(Spiraea thunbergii)は、バラ科シモツケ属の落葉低木。株立ちで枝が長く枝垂れ、白い花とも相まって優しげでしとやかな雰囲気です。日本や中国を原産とし、本州から西のエリアで多く見られます。日本の気候に適して寒さにも暑さにも強く、病害虫の心配も少ないため、初心者にも育てやすい庭木の一つです。花壇や公園などに植えられることも多く、目にしたことがある人も多いはず。毎年春になると、株いっぱいに愛らしい白い小花を咲かせる姿が、ガーデナーにも人気の高い植物です。 Anastasiia Malinich/Shutterstock.com ユキヤナギという和名は、葉や弓のようにしなやかに枝垂れる枝の姿がヤナギに似ていること、白い小花をたくさん咲かせ、まるで雪をかぶったかのように見えることから名づけられました。また、小さな花弁が地面に散り敷く様が、砕けたお米を撒いたように見えることから、「小米花(コゴメバナ)」や「小米柳(コゴメヤナギ)」という名で呼ばれることもあります。 ユキヤナギの開花時期と見頃はいつ? High Mountain/Shutterstock.com ユキヤナギの開花時期は2~4月。4月頃に一番の見頃を迎えます。ウメやサクラなど、春を代表する花木とも開花期が重なりますが、ユキヤナギの開花期は2~3週間ほどと、他の花木よりも長く咲いているため、長期間観賞でき、さまざまな春の花とのコラボレーションを楽しめるのも魅力です。花もちもよく、枝を切って花瓶に活けても1週間ほど楽しむことができるため、切り花としても人気があります。また、春の開花期はもちろんのこと、秋の紅葉も美しく、紅葉した枝は切り花に利用されることもあります。 ユキヤナギの種類 kurutanx/Shutterstock.com ユキヤナギといえば、白い小花を咲かせる姿が思い浮かびますが、じつは変異が多く、矮性種や高性種、開花期で見ても早生種から晩生種までいろいろな品種があります。品種名が付いたものは多くありませんが、いくつか代表的な品種をご紹介しましょう。 ‘フジノピンク’ ユキヤナギの代表的な園芸品種。つぼみは濃いピンク色ですが、開花すると内側が白っぽくなり、淡いピンクの花となります。「紅花ユキヤナギ」や「桃色ユキヤナギ」、「フジノピンキー」という名で呼ばれることもあり、切り花品種としても親しまれています。 ‘オウゴン’ オウゴンユキヤナギとも呼ばれ、葉色が黄色っぽいのが特徴。花後もリーフプランツとして利用でき、秋の紅葉も楽しめます。 ‘蒲田早生’ 切り花用に品種改良されたもので、主に生け花に利用されています。草丈が少し低く、花も小さいのが特徴。早咲きの品種です。 ユキヤナギと間違われやすい花 春に花を咲かせる花木の中には、ユキヤナギに少し似た印象の花もあります。ここでは、ユキヤナギに似ていて開花期も近く、間違われやすい花について、花の姿やユキヤナギとの違いをご紹介しましょう。 シジミバナ Guta Timmen/Shutterstock.com 遠目に見ると、緩やかに伸びる枝や、枝一面に咲く白い小花がユキヤナギにそっくりな印象のシジミバナ。ユキヤナギと同じバラ科シモツケ属の低木です。園芸種として栽培されていた八重咲きの品種が先に見つかり、その後一重咲きの野生種が発見されたという珍しい経緯を持つ植物です。園芸種として栽培されているものは八重咲きなので、花を見ればユキヤナギと区別することができます。ユキヤナギに少し遅れて開花し、枝もユキヤナギのように下垂しません。 コデマリ Lazartivan/Shutterstock.com 伸びた枝に白い花が咲く様子が、ユキヤナギに少し似ているコデマリ。こちらもバラ科シモツケ属の落葉低木で、庭木にもよく利用されています。名前の通り、手毬のように花が集まって咲くのが特徴で、すぐに見分けることができます。 ユキヤナギを上手に育てるポイント ユキヤナギは強健で育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめしたい庭木です。特に地植えにすれば手を掛けなくてもよく育ちますが、上手に育てるために知っておきたい環境づくりや手入れのポイントを押さえておくと、より美しい花が楽しめますよ。ここでは、ユキヤナギの育て方の基本をご紹介します。 丈夫で栽培しやすいユキヤナギは、公園の植栽や生け垣などにもよく利用されます。zzz555zzz/Shutterstock.com 育てる環境 植物を上手に栽培するためには、その植物の生育環境に合った環境づくりがとても大切です。ユキヤナギは日本を原産とする花木で、耐寒性も強く丈夫なので、生育環境に合った場所に庭植えにすれば、その後はほとんど手がかかりません。 ユキヤナギは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。本州以西では、戸外での越冬も特に問題ありませんが、寒冷地では防寒対策をすると安心です。病気や害虫が発生しないよう、風通しのよい環境で育てましょう。また、大きく成長するため、鉢植えよりも地植えでの栽培に向いています。地植えにする際には、成長後を考えてある程度スペースのある場所に植えましょう。鉢植えで育てる場合は、剪定で樹勢をコントロールし、適宜植え替えを行います。 ユキヤナギは土質もあまり選ばず、乾燥にも多湿にもよく耐えます。ただし、常に湿った状態が続くと、根腐れやシラキヌ病が発生することがあるので、水はけのよい土に植えたほうがよいでしょう。鉢植えの場合は、盆栽の雑木用の用土などがおすすめです。 植え付け・植え替え ユキヤナギの植え付けは、2~3月が適期。早咲きの品種であれば、10~12月頃に行うのがおすすめです。これらの適期を逃しても、真夏を除く季節であれば問題なく行うことができます。また、一度地植えにして植え付けたら、基本的に植え替えの必要はありません。株分けや移植をする場合には、植え付けの適期と同じく2~3月に行うとよいでしょう。 肥料の与え方 ユキヤナギは肥沃な土を好み、肥料を与えることでより美しく充実した花姿を楽しむことができます。1~2月頃に寒肥として、有機質肥料や緩効性の化成肥料を与え、開花後には、お礼肥を与えて樹勢を回復させましょう。また、花芽分化期を迎える秋にも追肥をすることで、花付きよく美しい花を咲かせてくれます。肥料を与える際には、緩効性のものを株元に置きます。 水やりの頻度 庭植えにした場合、根付いた後は基本的に水やりの必要はありません。ただし、植え付け直後は乾燥しやすいため、しっかりと水やりをしましょう。また、夏に極端な乾燥が続く時は、株の状態に応じて、様子を見ながらたっぷりと水を与えます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまで十分に水やりをします。 病気と害虫 ユキヤナギは基本的に丈夫なので、病害虫についてもあまり気にしなくてよいでしょう。ユキヤナギに発生しやすい病気には、葉が粉をまぶしたように白くなるうどん粉病があります。また、枝が密集すると風通しが悪くなり、アブラムシやカイガラムシなどの害虫が発生することがあります。 病害虫の予防には、風通しよく育てることが効果的。枝が込みすぎないよう、適宜剪定しましょう。病害虫が発生してしまったら、ブラシやヘラなどで取り除いたり、適切に薬剤も使って、早めに対処しましょう。 ユキヤナギの剪定方法 ユキヤナギは自然樹形でもさほど株姿は乱れませんが、成長が早く、枝がよく茂るので、風通しよく育てるためには剪定をするとよいでしょう。花木を剪定する際には、花芽がつくられる時期や花芽が付く場所を考慮して行うことが大切。剪定の際に花芽を落としてしまわないように注意が必要です。 ユキヤナギは、新梢にできる側芽が花芽となり、翌年に花が咲きます。花芽の数が多いため、全ての花を落としてしまう心配は少なく、初心者でも剪定しやすい花木です。秋から冬にかけて花芽がつくられ、この時期までに新梢を充実させると花付きがよくなるので、ユキヤナギの剪定は、開花が終わった直後に行うのがポイント。ただし、開花後すぐに行うと、剪定後の枝も長く伸びるので、コンパクトに育てたい場合には剪定時期を遅らせ、株の大きさと花付きのバランスがよい時期を探してみるとよいでしょう。 剪定の際には、枯れこんだ枝や古い枝、混み合った不要な枝を地際から間引きます。勢いのある長い枝は花芽が付きにくいので、短い枝の発生を促すように、翌年の伸びをイメージしながら残りの枝を1/3~1/2程度残して切り詰め、サイズを調整しましょう。 また、切り詰め剪定だけでなく、数年に1回、全ての枝を株元から刈り込むように剪定すると、枝の更新が促され、生育がよくなります。切り詰め剪定では株が暴れる場合は、花後すぐに刈り込み剪定をすると柔らかい樹形に収まり、コンパクトに育てやすくなります。 ユキヤナギの増やし方 ユキヤナギは比較的簡単に増やすことができる庭木です。一般的によく行われる方法は挿し木ですが、大きく育った株なら株分けでも増やすことができます。 挿し木 挿し木は新芽の時期(4月中旬~5月上旬頃)を除き、3~9月までいつでもできますが、秋に行うと苗木が冬に枯れてしまうことも多いため、3月頃がおすすめです。前の年に伸びた枝を10cmほどに切って挿し穂を作り、2時間ほど水揚げしてから、挿し木用土または赤玉土など養分のない清潔な土に挿して、たっぷりと水を与えます。日陰で乾燥させないように注意しながら管理し、4~5月頃に新芽が出たら、植え替えて育てましょう。 株分け 大きく成長して株が込んできたら、株分けをして増やすのもおすすめです。植え付けに適した2~3月頃に株を掘り上げ、4~5本の枝を1株として株を分割し、それぞれ植え付けましょう。多少根を傷つけても、新しく根を伸ばしてカバーしてくれるため、心配しなくても大丈夫です。 実生 たくさんの苗をつくりたいときには、種まきをして増やすこともできます。ユキヤナギはこぼれダネから芽を出すこともあるくらい、簡単に発芽します。実生苗は親とは異なる性質を持つこともあるので、ひょっとすると自分だけの新品種がつくれるかもしれません。園芸品種として流通している‘フジノピンク’も、実生苗から生まれた品種なのだそうですよ。 ユキヤナギが花を付けないときは Sann von Mai/Shutterstock.com 花付きよく枝いっぱいに花を咲かせるユキヤナギ。でも、せっかく育てているのに花が咲かなかったらがっかりしてしまいますよね。ユキヤナギが花を付けない時は、次のような原因が考えられます。 日当たり ユキヤナギは日の当たる風通しのよい場所を好むため、日陰に植えると成長が悪くなったり、花付きが悪くなることがあります。また、紅葉が見られる品種なのに秋に紅葉しない場合も、日照不足が考えられます。生育環境をもう一度見直してみましょう。 剪定 ユキヤナギは秋~冬にかけて花芽を成長させます。そのため、この時期に剪定して花芽を落としてしまうと、翌年は花付きが悪くなります。剪定は花後に行うとよいでしょう。また、古い枝や細い枝は花付きが悪いため、思い切って剪定して株の更新や成長を促してやると、より美しい姿が楽しめます。 根腐れ ユキヤナギは基本的に土壌を選びませんが、粘土質の土壌など水はけの悪い場所に植え、常に水分がある状態が続くと、根腐れを起こして花を付けなかったり、枯れてしまうこともあります。根腐れを起こしてしまった場合は、掘り上げて傷んだ部分の根を取り除き、水はけのよい土に植え直しましょう。 ユキヤナギを育てる際のポイント 美しく枝垂れるユキヤナギの姿をつくるには、剪定がポイント。ユキヤナギは大きく成長するので、サイズをコントロールするには、毎年花が終わったタイミングで剪定するとよいでしょう。枝の先だけを切り詰めるのではなく、不要な枝は地際から切り取りましょう。また、古い株は花付きが悪くなったり、枯れた枝が目立ちやすくなるため、数年に1回刈り込み剪定をするとよいでしょう。ユキヤナギは株が暴れやすいので、狭い場所では管理が難しくなりがちです。植え付けの際に、十分なスペースを確保して植え込み、適切な剪定をすることで、より美しい姿を楽しむことができますよ。 ユキヤナギは地植えにすれば、基本的に植え替えは必要ありません。しかし、何年も育てていて株の生育が衰えた時は、株の周囲に穴や溝を掘り、そこに肥料と新しい土を混ぜたものを入れて土壌を改良することで、根が成長しやすくなります。また、株分けをして株を更新するのもよいでしょう。 初心者にも育てやすいユキヤナギは庭木にぴったり! zzz555zzz/Shutterstock.com 可愛らしい真っ白な花姿が楽しめるユキヤナギ。丈夫で育てやすく、手入れもしやすいため、庭木としても管理しやすい花木です。剪定もそれほど難しくなく、成長も早いので、ガーデニング初心者でも美しい花を咲かせることができます。庭に手入れがしやすい花木を植えたいな、と探している人は、ユキヤナギを育ててみてはいかがでしょうか? 参考:『NHK趣味の園芸 新園芸相談2 庭木・花木』(国重正昭、船越亮二監修・日本放送出版協会刊)『NHK趣味の園芸 新版・園芸相談3 庭木・花木』(川原田邦彦著・日本放送出版協会刊)『園芸Q&A 庭木・花木・果樹 346のトラブル解決法』(妻鹿加年雄、重田利夫著・家の光協会刊)『庭に植えたい樹木図鑑』(村越匡芳監修・池田書店刊)「みんなの趣味の園芸」 https://www.shuminoengei.jp/「住友化学園芸」 https://www.sc-engei.co.jp/「ガーデニングの図鑑」 https://shiny-garden.com/「ヤサシイエンゲイ」 http://www.yasashi.info/index.html
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一年草

色とりどりで楽しいストック! 庭に植えて楽しむためのポイントは?
ストックの特徴は? ストックは、アブラナ科アラセイトウ属の一年草です。原産地はヨーロッパ南部で、生育適温は5〜25℃。暑すぎず、寒すぎずの環境を好みます。原産地では多年草とされていますが、日本の厳しい夏を乗り越えられないため、日本では一年草に分類されています。 草丈は20〜80cm、寄せ植えに向くよう品種改良されたミニタイプから切り花にも向く高性種までそろっています。ミニタイプは密に植えて群植させると見映えがよく、高性種は花壇にダイナミックな雰囲気をもたらしてくれます。高性種は倒伏を防ぐために、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。フラワーショップなどで見かける苗はミニタイプが多く、高性種はタネがよく出回っています。 花色は白、淡いピンク、濃いピンク、赤紫、青紫、パステルイエローなどがあり、咲き進むにつれて色が変化していく品種もあります。花茎を立ち上げ、下から花が咲き上がる縦のラインが美しい花姿。甘い香りも魅力です。花形には、一重咲きと八重咲きがあります。 ストックの持つ意味・楽しみ方 ストックは英名で、「Stock」と書き、茎が太くて丈夫なことがこの名前の由来となっています。学名はMatthiola incanaで、イタリアの医師で博物学者のピエトロ・アンドレア・マッティオリに捧げて名付けられたものです。日本へは江戸時代に伝来し、アラセイトウと呼ばれていました。語源は不明で、外国語が訛ったものともいわれ、当て字として「紫羅欄花」と書かれるようです。 ストックの花言葉は「永遠の美」「愛情の絆」「求愛」。また花色別の花言葉もあり、赤花は「私を信じて」、白花は「思いやり」「ひそやかな愛」、黄花は「寂しい恋」、ピンクの花は「ふくよかな愛情」とされています。 ストックは切り花としても人気の高い花です。茎が硬いために扱いやすいこと、花もちがよいこと、豪華なアレンジができることなどが、人気の理由。庭で咲いた花をブーケにしてプレゼントするのもいいですね。 ストックの種類 ストックはゴージャスな咲き姿が美しく、ガーデニングでも切り花でも人気が高いため、園芸品種は多種類出回っています。草丈が低く抑えられたミニサイズでは「キスミー」シリーズが人気。花色はイエロー、チェリー、ブルー、バイオレット、ホワイト、ローズなど。高性種では、純白で花穂のつまりがよい‘ジュノンホワイト’、淡いグリーンから咲き始めてパステルピンクへと咲き進む‘ピンクメイ’、大輪のクリームイエローが美しい‘ハロウィンイエロー’などがあります。 ストックの花期 ストックの開花期は11〜5月と長いのが特徴(中間地基準)。実際は11月頃から少しずつ咲くものの、冬は生育が緩慢になり、3月〜5月中旬に花穂を盛んに立ち上げて最盛期を迎えます。秋まき一年草に分類される、ライフサイクルの短い植物で、秋に種を播いて育苗し、越冬して春に開花したのち、花が終わると枯死します。 ストックの生育適温は5〜25℃。寒冷地では越冬させるのが難しいので、春に種を播いて初夏に開花させるのが一般的です。 ストックの植え方 ストックは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。 フラワーショップなどで花が咲き始めた頃の苗を入手して、手軽に苗の植え付けからスタートしたい場合は、次項へ進んでください。 種まき 種まきの適期は、温暖な地域では8月下旬〜9月上旬頃で、発芽適温は20℃くらい。この時期に種を播けば、年内から開花し始めます。寒い地域では冬の開花はあきらめ、4月頃に種を播き、6〜7月頃に開花させるとよいでしょう。 ストックは移植を好まないため、種まきには黒ポットを使います。間引いて1本だけ残して育苗するので、必要な苗数分の黒ポットを用意します。例えば10株育てたい場合は、10個の黒ポットを使いましょう。 黒ポットに草花用培養土を入れ、均等に間隔をあけて3〜4粒ずつ種を播き、5mmくらい薄く土をかけて、涼しい場所に置きます。発芽までは3〜4日かかるので、新聞紙などをかけて日よけし、乾燥させないように水の管理をしましょう。 発芽したら日の当たる場所で管理し、10日ほど経った頃、勢いがよく双葉にくびれが入った苗を1本だけ残し、ほかの苗は抜き取ります。 育苗 日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりをして育成します。多湿になると根の張りが悪くなり、ヒョロヒョロと頼りなく伸びる徒長苗になったり、病気が発生したりします。適切な水分管理をすることがポイントです。 本葉が出始めたら、7〜10日に1度を目安に、液肥を与えて育てましょう。育苗期間は3週間程度が目安です。 ストックの育て方のポイント ここからは、苗の植え付けから日頃の管理などについて詳しく解説していきます。種まきして育苗した苗、またはフラワーショップで入手した苗も、適切なメンテナンスをして、きれいな花を長く咲かせましょう。 栽培に適した場所 日当たり、風通しのよい場所が適しています。霜に当たると枯れることがあるので、鉢栽培にして冬は霜の当たらない軒下で管理するとよいでしょう。地植えにしたい場合は、気温が上がった頃に定植します。室内で楽しみたい場合は、日中はよく日が差す窓辺などに置いてください。 植え付け 種から育てた場合、植え付けの適期は9月下旬〜10月頃です。フラワーショップで苗を購入してスタートする場合は、春先まで苗が出回っているので、入手次第植え付けます。 【地植え】 丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。 土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20〜30cmの間隔を取りましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。草丈が高くなる品種は、周囲の草花との間隔を広めに取ります。また支柱を立てておき、花茎が上がってきたら誘引して倒伏を防ぎましょう。 【鉢植え】 草花用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗の2回りほど大きいものを準備します。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ストックの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2~3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 水やり 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。その際は、株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、ジョウロのハス口を外して、株元の地面を狙って与えてください。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチして対処することが、枯らさないポイント。株が蒸れるのを防ぐために、株全体にかけるのではなく、ジョウロのハス口を外して、株元の地面を狙って与えてください。 肥料 元肥 苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥は苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。 【地植え】 植え付ける前に、腐葉土や堆肥などの有機質肥料を施しておきましょう。 【鉢植え】 鉢植えの場合、市販の培養土には肥料が含まれていることが多いので、元肥の必要があるかどうか確認し、必要な場合は緩効性化成肥料を施しておきます。 追肥 植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。 【地植え】 秋に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥だけで十分。与えすぎると茎葉ばかりが旺盛に茂り、かえって花つきが悪くなることもあるので注意します。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。 【鉢植え】 鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流失しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。春から生育が盛んになるので、月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽くなじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性のある液肥を与えてもよいでしょう。開花期は開花促進の効果がある、リン酸やカリ分などを多く含んだ液肥を選ぶと花つきがよくなります。 花がら摘み 花が終わったら、早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことが、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。 増やし方 ストックは、秋まき一年草に分類される、ライフサイクルの短い植物です。そのため株分けや挿し芽などで増やすことはできません。種まき一択となります。 開花後に実らせた種を採取し、種まきに利用することができます。ただし、八重咲きの花から同じ八重咲きの花を咲かせることはできず、種を採取して育てた花は、すべて一重咲きになります。ちなみに、購入した八重咲きの園芸品種の種でも、すべてが八重咲きになるわけではなく、数パーセントは一重咲きの花が混じる可能性があります。八重咲きは一重咲きに比べ発芽が早く、双葉にくびれがあり、やや大きいという特徴があるので、苗を間引く際の目安にするとよいでしょう。詳しい種まきの方法については、前述の「種まき」の項目を参照してください。 夏越し・冬越し ●夏越し ストックは秋まき一年草に分類され、夏前には枯死します。夏越しすることはできないので、枯れたら抜き取って根ごと処分します。 ●冬越し ストックは初秋に種まきをして、冬越しをします。霜の降りない暖地では地植えにして越冬できますが、暖地以外では寒さ対策が必要です。冬の間は鉢植えにして、日当たりがよく、霜が降りない軒下やベランダなどで管理を。暖かい室内に入れる場合は、昼間によく日が差し込む窓辺に置くとよいでしょう。 病害虫 ●害虫 ストックにつきやすい害虫はアブラムシで、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるだけでなく、ウイルス病を媒介することもあります。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーをかけて落としましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。 また、コナガやヨトウムシが花や葉を食い荒らすことがあります。葉や花に穴があいているのを見つけたら、早いうちに適応する薬剤を散布して防除しましょう。 ●病気 気温の高い時期は、苗に立ち枯れ病が発生することがあります。種まきから育てる時は、庭土や古土は使わずに、市販の種まき用、または草花用の新しい培養土を使うと安心です。 また、菌核病の発生に注意。気温が低い時期に、多湿の状態になると発症しやすい傾向にあります。地際の部分に発生しやすいので、株に元気がない場合は気をつけて観察しましょう。初期は小さな斑点が現れ、次第に大きくなって灰色の病斑になり、ひどくなると枯死します。周りの株にも病気を広めてしまうので注意。病株は抜き取って処分し、周囲の草花に蔓延しないようにします。 色とりどりで華やかなストックをたくさん植えて楽しもう! ストックは、種まきや植え付けの時期にさえ気をつければ、開花期間が長く、春にはボリューム感のある花姿を楽しめます。花にはよい香りもあり、庭やベランダで育てれば、季節の喜びに満たされることでしょう。ぜひストックの栽培にチャレンジしてみてください! Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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宿根草・多年草

【日陰の庭にも】ティアレラは初心者でも育てやすい丈夫な植物! 可憐な花を楽しもう
ティアレラの主な特徴 Gerry Bishop/Shutterstock.com まずはティアレラとはどのような植物なのか、その特徴からご紹介しましょう。 基本情報 Ulrike Adam/Shutterstock.com ティアレラはユキノシタ科ティアレラ属の常緑多年草です。草丈は30〜50cmで、冬は葉が地面にぺったりくっついて、まるで寝ているような状態。春になると徐々に葉が持ち上がり、やがて茎が伸び上がって、その先に穂状の花が咲きます。開花の時期は4〜5月です。耐寒性が強く、耐暑性は普通。ティアレラは、見た目も似ているヒューケラ(ツボサンゴ)の近縁種です。 北米原産ですが、日本では亜高山帯や森林などにティアレラの一種であるズダヤクシュ(Tiarella polyphylla)が自生しています。観賞用としてポピュラーなものは、ティアレラ・コルディフォリア(T. cordifolia)や、ティアレラ・ウェンリー(T. whenrry)などを元に交配された園芸品種です。 栽培が比較的簡単で、丈夫で日陰でもよく育つため、初心者にもおすすめです。 花や葉の形状 Trybex/Shutterstock.com ティアレラの花色は主にピンクや白で、花径1cmほどの小さな花が穂状になって咲きます。 葉は深い切れ込みが入る品種が多いですが、丸葉のものもあります。葉脈に沿って「タイガーストライプ」と呼ばれる濃赤の斑が入る品種も多いです。葉の表面には細かな産毛が生えています。葉は秋になると紅葉し、また冬にはくすんだ色になる品種もあります。 ヒューケラとの違い Vika Lilu/Shutterstock.com ティアレラとヒューケラは葉がよく似ており、花が咲いてない時期に葉だけで見分けるのは難しいです。 花の形は大きく異なり、ティアレラは花びらが開いて咲きますが、ヒューケラはスズランのように花びらがやや閉じた壺形をしています。 分類上は属から異なり、ティアレラはユキノシタ科ティアレラ属、ヒューケラはユキノシタ科ツボサンゴ属(Heuchera属)です。ティアレラとヒューケラを交配した「ヒューケレラ」という品種群もあります。 栽培環境 MalvaElena/Shutterstock.com ティアレラを綺麗に育てるには、どのような環境が好ましいのでしょうか。ティアレラに適した栽培環境について解説します。 ティアレラに適した場所 Peter Turner Photography/Shutterstock.com ティアレラは日陰でも半日陰でもよく育ちます。しかし、日当たりのよすぎる場所は葉焼けしてしまう可能性があるので避けましょう。落葉樹の株元や、午後から日陰になるような場所が最適です。 鉢植えでも地植えでも育てられます。日陰でも花がたくさん咲くので、シェードガーデンにおすすめの植物です。 用土 Piyaset/Shutterstock.com ティアレラは乾燥しやすい土で育てるのには向きません。反対にぬかるんでいる場所も嫌います。適度に湿った土が最適です。 ティアレラを植える際は、水はけがよく保水力のある用土を使いましょう。水はけが悪いと根腐れを起こしやすくなります。鉢植えの場合は、鉢底ネットを置いた上に軽石を敷き、草花栽培用の土を入れます。地植えでは土を耕して腐葉土を混ぜ込んでおくとよいでしょう。 育て方の基本 Dmitry Melnikov/Shutterstock.com ここからは、ティアレラの育て方の基本についてご説明します。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 地植えの場合は、雨の当たる場所であれば、根付いた後は自然の降雨のみで水やりは必要ありません。ただし、日当たりのよい場所に植えていて、夏場などに土がかなり乾燥している場合は適宜水やりをします。丈夫な植物ですが、乾燥を嫌うので乾かさないように注意しましょう。 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。鉢底から水が流れ出すまで与えるのが目安です。 肥料 AngieYeoh/Shutterstock.com ティアレラには、肥料はそれほど必要ありません。他の草花が元気に育っている場所で地植えにしている場合は、特に肥料を与える必要はありません。 鉢植えの場合は、元肥を入れるようにしましょう。また、追肥として春と秋に少量の緩効性化成肥料を置き肥するか、月に2回程度液体肥料を与えます。肥料を与えすぎると葉だけが育ちすぎる可能性があるので注意が必要です。 植え付け・植え替え Alexander Knyazhinsky/Shutterstock.com ティアレラの植え付けの適期は、3~4月と9月中旬~10月の、穏やかな気候の時期です。植え付け直後はたっぷり水を与え、しばらく直射日光の当たらない場所で育てます。2週間くらいすると、通常の育て方ができるようになります。 植え替えの適期は、春に芽が動き出す前です。地植えの場合は、数年間は植えっぱなしでもかまいません。しかし、花つきがだんだん悪くなってきたら植え替えたほうがよいでしょう。鉢植えの場合は、鉢底から根が出てきたら、一回り大きな鉢に植え替える必要があります。植え替えずに育て続けると、鉢の中が根でいっぱいになって生育が悪くなります。鉢植えの際の植え替えは、2年に1度が目安です。植え替えする際は、株分けも同時に行うと効率よく作業できます。 剪定・切り戻し Piti Tan/Shutterstock.com ティアレラの手入れでは、花がら摘みや剪定、切り戻しが必要です。終わった花茎は株の根元でカットしましょう。春の芽吹きの頃に前年の葉で傷んだものがある場合は、株元で切って取り除いておくと、古い葉に邪魔されず新しい葉がスムーズに伸びてきます。 また、冬に全体を短めに丸くカットすると、翌春は新芽や花芽のみになり、見栄えがよくなります。大株の場合は葉の量が多くなるため、春までに間引き剪定することをおすすめします。 夏越し・冬越し Alicja Graczyk/Shutterstock.com ティアレラは強い日差しが苦手なため、夏場は日差しや蒸れに注意する必要があります。鉢植えの場合は、風通しのよい明るい日陰に移動させるといった対策が有効です。 また耐寒性が強いので、冬越しに特別なケアは必要ありません。ただし寒冷地で育てている場合は、霜の当たらない場所に移動するとよいでしょう。 病害虫 Kazakova Maryia/Shutterstock.com ティアレラには特に注意すべき病害虫はいませんが、まれにアブラムシがつくことがあります。日当たりや風通しの悪い環境では、アブラムシが増えやすくなります。アブラムシが見つかった場合は、根気よく取り除くか、適用がある薬剤で退治しましょう。 代表的な品種 Alex Manders/Shutterstock.com ティアレラにはたくさんの品種があります。ここでは、その中でも代表的なものについてご紹介します。 スプリングシンフォニー Peter Turner Photography/Shutterstock.com ‘スプリングシンフォニー’は薄ピンク色の花を咲かせる品種です。葉は切れ込みが深く、斑が入り美しいです。小型でコンパクトにまとまって育ち、花つきが非常によい人気の品種です。 ピンクスカイロケット Anna Nahabed/Shutterstock.com ‘ピンクスカイロケット’はティアレラの代表的な品種で、ピンクの花を咲かせます。花期にはピンクの花穂が株を覆うように咲きそろい、美しい光景をつくります。また、葉は切れ込みが深く葉脈に赤い斑が入り、花期以外の時期もカラーリーフとして楽しめます。 シュガーアンドスパイス Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com ‘シュガーアンドスパイス’は白い花を咲かせる品種です。縁に切れ込みがしっかり現れる葉には黒褐色の斑が幅広く入り、葉も花も大ぶりで見栄えがよいです。 ティアレラを育てて可憐な花を楽しもう! Alex Manders/Shutterstock.com ティアレラは日陰でも花がたくさん咲くため、シェードガーデンなどに選ばれる人気の植物です。葉が美しいので、開花期以外もカラーリーフとして楽しめますよ。比較的育てやすいので、ぜひ庭に迎えてティアレラの可愛い花を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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ガーデン

【オランダの庭】 モダンガーデンデザインの先駆け「ミーン・ルイス庭園」<前編>
20世紀のオランダ庭園史を体感する庭 1924年、ミーン・ルイスが初めてつくった庭〈ウィルダネス・ガーデン〉。 オランダの首都、アムステルダムから東に車で2時間ほど行ったデデムスファールトの町に〈テイネン・ミーン・ルイス(ミーン・ルイス庭園)〉はあります。20世紀を生きたミーン・ルイス (Mien Ruys, 1904-1999) は、オランダを代表する庭園建築家(ガーデンアーキテクト)、また、景観建築士(ランドスケープアーキテクト)として、70年にわたりこの地で実験を続け、オランダ各地の庭園設計に携わりました。 20世紀オランダを代表する庭園建築家ミーン・ルイス。Photo: Fred Zandvoort ミーンは今から約100年前に、当時まだ珍しかった宿根草を使った花壇づくりにいち早く取り組みました。この流れはやがて、現代オランダの世界的ガーデンデザイナー、ピート・アウドルフが牽引する〈ニュー・ペレニアル・ムーブメント(新しい宿根草の動き)〉につながります。また、ミーンは、直線や斜線、円から成る、シンプルだけれど効果的な幾何学模様をデザインに取り込んだり、鉄道の古い枕木を利用してステップや間仕切りにしたりと、次々と新しい要素にチャレンジしました。そういった彼女のアイデアは、多くの人々に取り入れられて広まり、今のガーデンデザインにも残されています。 ミーン・ルイス庭園はかつて、ミーンの両親が暮らし、ナーセリーを営んだ場所でした。1976年からは非営利団体のミーン・ルイス庭園財団によって管理され、一般公開されています。ミーンが植栽やガーデン建築の実験を行い、試行錯誤を続けたこの庭園は、20世紀のオランダ庭園史を生きた形で目にし、体感できる場所。彼女がデザインした庭の多くは国や自治体の記念物として認定を受け、当時からほぼ変わらない姿で残されています。また、庭園では、ミーンの志を継ぐガーデナーたちによって、今もさまざまな実験が続けられています。 左上/公道に掲示された庭を示す看板。右上/庭のエントランスに向かう道は森の中のよう。左下/奥へ進むと小川にかかる小さな橋と入り口を示す小さな看板(右下)が。 さて、朝一番で向かうミーン・ルイスの歴史的な庭。どのような景色が広がっているのか、期待に胸を躍らせながら庭園に続く小道を進みますが、辺りは木々が生い茂って、森の中を歩いているようです。入り口はどこ? と思いながら行くと、小川に小さな橋がかかっていました。手前には控えめな「入り口」の表示が。日本から同行するガーデナーから「なんて控えめで可愛い入り口! もうここからワクワクしちゃうね」という声が上がり、期待が高まります。 ミーンの父、〈モーハイム・ナーセリー〉を営むボンヌ・ルイスは、時代に先駆けてガーデン用の宿根草の交配に取り組み、カンパニュラなどの新しい優良品種を生み出して、20世紀初頭のヨーロッパ園芸界で注目を集める存在でした。一方、娘のミーンは、植物の育種より、庭の中で植物をどう使うかに興味を持ち、19歳から父の会社のデザイン部門で働き始めます。しかし、1920年代当時、ガーデンデザインを学べる学校などはなく、彼女は英国に行って、父の友人であった伝説的ガーデンデザイナー、ガートルード・ジーキルに手ほどきを受けたり、ドイツのベルリンでガーデン建築を学んだりしました。 1924年、ミーンは両親の家の裏手にあった果樹園に初めての庭をつくり、それから70年にわたって、この地でデザインのアイデアを形にしたり、新しい宿根草を試したり、新しい建材を使ってみたりと、実験を続けます。この庭園には、彼女の飽くなき探求心が刻まれています。 右/ミルストーン・ガーデン。木漏れ日に水面が輝いています。奥の生け垣にはカシワバアジサイの紅葉が見られました。 右手奥の方向に庭が広がっていることを感じながら、小道をさらに進むと、ガラス温室の建物が見えてきました。その手前に、人々を出迎える庭があります。〈ミルストーン・ガーデン〉(1976年製作、2008年改修)です。 丈高く茂る竹が背景となるスペースに、大小の石材が正方形に敷かれ、その中央に、水を湛えた丸い石臼が置かれています。和の庭の手水鉢のような佇まい。この石臼は、中心から静かに水が湧く水盤に細工されていて、縁から溢れた水は小石の間に吸い込まれていきます。そして、その向かいには、黒いフェンスを背にギボウシの植わるスリムなコンテナが5つ並んでいます。この庭のオリジナルのデザインは、ミーンが設立した設計事務所に属していたデザイナー、アレンド・ヤン・ファン・デル・ホルストによるものだそうですが、和モダンの雰囲気が感じられるデザインです。 左/ワイン瓶がツリーのように配置されたアート作品のようなフラワースタンドには、先が尖った楕円形のルナリアのタネがたっぷりと。ローズヒップも彩りになっています。 建物に入ると、ガーデンツールなどの販売コーナーやストーブを備えたカフェがあり、あちこちに、庭からの恵みかしらと思われる草花や種子がディスプレイされています。この建物を出ると、いよいよ庭めぐりが始まります。敷地のマップには、全部で30もの番号が! 約2.5ヘクタールのこの広い敷地につくられている庭の番号だそうです。迷子にならないよう、庭を巡っていきましょう。 ガーデン敷地図の左下から右へ行き、上へと進みます。 〈オールド・イクスペリメンタル・ガーデン(旧実験庭園)〉(1927年製作、国定記念物) 右側が日向に咲く宿根草の花壇。 カフェのテラスから木柵の向こうへ回ると、ミーン・ルイスがごく初期に手掛けた、この庭園で2番目に古い庭となる〈オールド・イクスペリメンタル・ガーデン(旧実験庭園)〉があります。この場所はもともと、ミーンの暮らした実家のキッチンガーデンでした。ミーンはイギリスの伝統的なボーダーガーデンに倣い、この庭の片側に奥行4m、幅30mの細長い花壇(ボーダー)をつくり、父の会社で交配された、日向に咲く宿根草を試す場としました。 若い頃のミーン・ルイス。Photo: Mien Ruys Garden Foundation 花壇の後ろには敷地を区切る縦格子の木製フェンスがあり、花壇の手前には、2列に並べられた敷石で小道が作られています。フェンス・植物・敷石の対比がくっきりと浮き立つデザインです。 敷石に使われているのは使い古されたコンクリート平板で、表面が削れて中の砂利が見え、いい風合いとなっています。ナーセリーで使われていたものを流用したといわれており、ミーンはのちに、これをまねて〈グリオンタイル〉と呼ばれる洗い出し平板の敷石を作ることになります。 ベンチはいつまでも座って景色を眺めていたくなる特等席。庭が美しく見える場所に置かれています。 ミーンにとって、庭のデザインは植栽同様に大切なもので、コントラストを意識していました。この庭では、片側に明るい花色の直線的な花壇を置き、中央には広い芝生のオープンスペースを設けて、反対側には波打つような生け垣を形作る灌木の植え込みを配しています。光と影、直線と曲線の、2つの対比が存在するデザインで、光の中にある花壇は明るく色鮮やかですが、日陰に植わる灌木は深い緑の陰を作ります。太陽の動きとともに、光と影は刻々と変わり、庭の景色が変化します。また、敷石の小道を歩くか、真ん中の芝生を歩くかによっても、目に映る景色に変化が生まれます。 左/花壇越しに、芝生エリアとその奥の灌木を望みます。灌木の茂みは、春になれば花色の彩りが。右/芝生エリアの中に、小島のように植えられたグラスの茂みは2つ。 庭の片側に伸びる花壇はかなり大きく、大邸宅でガーデナーを雇って管理するようなサイズのものです。ミーンが英国で教えを受けたガートルード・ジーキルは、色彩を重視した花壇の植栽を発展させた人物ですが、ミーン自身も何年にもわたって、色彩の実験を繰り返したといいます。アスチルベ、ユーフォルビア、カンパニュラ、ヘメロカリス、アスター、サルビア、ソリダゴ、デルフィニウム……。約80種の宿根草が植わるこのボーダーの植栽デザインは、制作当初からほとんど変わらないそうで、色鮮やかな、黄、オレンジ、赤、青、紫の花々が、5月半ばから9月まで咲き継ぎます。ピークは6月から8月の夏の時期で、訪れた10月上旬は色が少ない印象でした。植物は姿にもコントラストを持たせて面白みを出していますが、花がたくさん咲くピーク時の花壇もぜひ見てみたいものです。 庭の外から〈オールド・イクスペリメンタル・ガーデン〉の花壇奥側を見たところ。光と影が感じられる景色。 〈ウィルダネス・ガーデン(原生自然の庭)〉(1924年製作、国定記念物) この庭は、1924年、ミーン・ルイスが初めて手掛けた記念すべき庭で、ミーンの暮らした実家の裏手にあった果樹園の中に設計されました。目に飛び込んでくるのは、自然のままに生い茂る豊かな植栽です。この庭を訪れた10月上旬は、ルナリアの小判形をした半透明のタネが宙に浮かんで、濃い緑と美しい対比を見せていました。 ミーンは果樹園に生えていた数本のリンゴと洋ナシ以外のすべてを取り除くと、初めての「ガーデン建築」に取り組みました。まず思い描いたのは、思うままに植物が茂る豊かな植栽。そこにコントラストをつけるため、真四角の池と直線の小道というシンプルな構造物を加えました。小道はかつて、家とナーセリーをつないでいたもので、そこにもう1本の、ベンチへと続く行き止まりの小道がT字に配されています。そして、2本の道が交差する地点に、センターポイントとなる真四角の池があります。 緑の生い茂る植栽と、池や小道の直線が美しいコントラストを見せています。豊かな植栽と、構造物の描く幾何学模様。この対比はミーンのデザインにおける出発点であり、やがて、彼女のトレードマークとなっていきます。 ミーンは当初、この庭に、日陰を好むプリムラやオダマキ、カンパニュラ、ケマンソウなどを植えました。しかし、周囲の高い木々に日が遮られたこの場所は、これらの植物にとって光の量が足りず、また、このデデムスファールトの酸性土壌にも合いませんでした。これらはアルカリ性の白亜質土壌でよく育つものだったのです。植えた草花はすべて1年もたたないうちに消えてしまい、その現象は、ミーンに一つの教えをもたらします。「これからどうしたらよいのか? 選んだ植物に適した土壌に変えるのか、それとも、その土地の土壌に合わせて植物を選ぶのか。当然、後者だ!」。 古いセメント石板を用いてつくられた池と小道。 こうしてミーンは、この地の酸性土壌に合うような、ホスタやキレンゲショウマ、ヤグルマソウなどを選び直して植え、あとは茂るに任せました。これらはうまく育って、ミーンが思い描いた通りに自然に生い茂り、庭を埋め尽くします。そこに雑草が生える余地はなく、結果、雑草取りの必要がないローメンテナンスな庭となりました。また、樹木の落ち葉によって腐葉土ができるため、肥料をやる必要もありませんでした。ミーンはこれを「抑制された原生自然」と呼びました。 この庭の長い歴史に感動しながら、緑を映す水面を眺めました。 このガーデンデザインは一度も変えられたことはありません。1960年代に、嵐でリンゴとオークの木が倒れて新しいものに植え替えられた時は、光の量や湿度条件が変化してバランスが崩れてしまい、雑草が生えることもありましたが、しばらくするうちに戻ったそうです。 最初につくった庭がこんなに完成度の高いものだなんて、ミーンはきっと、生まれついてのガーデナーであり、ガーデンデザイナーだったのですね。 同行のガーデナーの一人、新谷みどりさんが、この庭を訪れた瞬間の感動をこう語ってくれました。 「ウィルダネス・ガーデンは、20代の頃に白黒の恐ろしくピンボケの写真を初めて見て、何か強く心惹かれた庭だったので、あの場を訪れることができたときは、なんとも言えない気持ちで胸がいっぱいになり、涙が出そうでした。初めて来たのに、ずっと昔から知っている庭のように感じて不思議でした」 20世紀、モダニズム建築の流れ 右/家具デザイナーとしてのリートフェルトの代表作「赤と青の椅子」。左/PGMart 右/Picture Partners/Shutterstock.com ミーンが仕事を始めた1920年代は、建築の世界に大きな転換期が訪れた時代でした。19世紀以前の伝統的な様式建築から離れ、機能的・合理的な造形理念に基づいたモダニズム建築(近代建築)の考えが成立していったのです。ル・コルビジェやミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライトといった建築家や、ドイツの芸術学校バウハウスが推進役となり、世界各地で、鉄やガラス、コンクリートなどの工業製品を使った、合理的でシンプルなデザインの建築が生まれました。 1924年にリートフェルトが設計した世界遺産の〈シュレーダー邸〉。オランダ、ユトレヒト市内。左/Wirestock Creators/右/Rini Kools/shutterstock.com 1930年代の数年間、ミーンはデルフトで建築を学びますが、その後、アムステルダムの〈8(アフト)〉とロッテルダムの〈Opbouw(オップバウ)〉という建築家グループの作品に共鳴し、協力するようになります。彼らの設計する、光と風通しのよい、大きな空間のあるシンプルな建物を、美しいと感じたのです。このときミーンは、20世紀オランダを代表する建築家で家具デザイナーのヘリット・トーマス・リートフェルト(Gerrit Thomas Rietveld, 1888-1964)にも出会います。彼は画家のピート・モンドリアン(Piet Mondrian, 1872-1944)らと芸術運動〈デ・ステイル〉(オランダ語でスタイルの意味。新造形主義)に参加した人物です。デ・ステイルの「垂直線と水平線、白、黒、グレーと3原色で構成される」という特徴は、のちに多くの芸術分野に影響を与えています。 こうして、モダニズムの流れをくむ、シンプルで明快な建築を設計するオランダの建築家たちと組んで、ミーンはその後、個人邸だけでなく、共同住宅の共有ガーデンなども設計することになります。 〈ウォーター・ガーデン〉(1954年製作、2002年改修、国定記念物) 庭の中央に流れる小川を跨ぐ石の橋は、高さがなくフラットな造り。小川の水は、レイズドベッド(高さのある花壇)の途中に設けられた水場に注がれます。 この庭は、第二次世界大戦後につくられました。戦後、オランダではさまざまな変化が起き、庭はというと小さくなって、ガーデナーが雇われることもなくなりました。手入れを必要とする大きな花壇は時代に合わなくなったのです。重要なのは手間がかからないこと。求められるガーデンデザインが変わったのです。 写真左側が一直線に作られた2段式のレイズドベッド。中央付近の窪んだ場所に水場があります。 ミーンはこの比較的小さなエリアに「手間のかかる芝生を使わない庭」を実験的につくりました。敷石のテラスに花の咲く花壇の小島が浮かぶようなデザインで、敷石の隙間はコケが生えるようにわざと広く取られています。時間の経過とともに緑が育って、石の硬さが和らぎ、緑と石がバランスよく共存しています。また、生け垣や2段式のレイズドベッド(高さのある花壇)で高さに変化がつけられ、日向と日陰のコントラストも考えられたデザインとなっています。 天然石を積んだレイズドベッド。その角を隠すように葉を茂らせるのは、ベルゲニアやゲラニウム。右奥は赤花のフクシア。ヨーロッパイチイの生け垣が濃い緑の背景に。 この庭がつくられた頃は戦後の物資不足で、敷石として使えるレンガや自然石がほぼ流通していませんでした。代わりにコンクリートが建築では多く使われるようになりましたが、庭づくりでは魅力的な建材とは考えられていませんでした。しかしミーンは、以前の庭で敷石として使った、古びて表面が削れ、中の砂利が見えるようになったコンクリート平板を、なかなかいい風合いだと思いました。そこで、セメント工場に頼んで、表面に砂利を散らしたコンクリート平板(日本でいうところの「洗い出し平板」)を作ってもらい、敷石としてこの庭に使いました。1970年代以降、この平板に似た商品が〈グリオンタイル〉と名付けられ、世の中に多く出回るようになりました。 この庭の実験的要素は建材だけでなく、植栽にも見られます。2段式のレイズドベッドには、乾いた場所に適した植物を植える一方で、水場周辺の湿った場所には、水辺や沼地に育つ、ミズバショウに似たオロンティウム・アクアティクムのような植物を植えてあり、対照的な植栽が隣り合っています。また、管理の楽な、支柱のいらない背丈の低い植物を選んだり、冬場の景色が寂しくならないように常緑の灌木を庭の骨格として植えたりと、よく考えられた植栽となっています。晩秋のレイズドベッドでは、シュウメイギクやセダムのくすんだピンクの花が優しい彩りを添えていました。 中編に続きます。 参考資料:https://www.tuinenmienruys.nl/en/ Many thanks to Mien Ruys Garden Foundation.
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育て方

その水やり、合ってる? 水を欲しがる植物、欲しがらない植物
多肉植物は「休眠期」には水やりしない 「水やりを頻繁にしなくてよいので、手入れが簡単!」と人気の多肉植物。なのに、毎日水をやってしまう人が意外と多いようです。サボテンやコーデックスを含めた多肉植物は、もともと岩場や砂漠など水の少ない乾燥地帯で育つ植物なので、毎日水やりをすると枯れる原因になります。 多肉植物には自生地の雨季と乾季により、生育期と休眠期があります。休眠期は水やりを完全にストップし、断水しましょう。枯れてしまうんじゃ…、と心配になるかもしれませんが、休眠期の多肉植物は活動を停止していて、根から水を吸い上げることができません。それなのに水を与えると、ずっと鉢の中が濡れたままになり、根が腐ってしまいます。休眠期は恐れずに断水するのが枯らさないコツです。 休眠期は生育タイプによって時期が異なります。 夏型生育→休眠期の冬は断水。 冬型生育→休眠期の夏は断水。休眠期は月に1〜2度、葉に霧吹き。 春秋型生育→休眠期の夏と冬は断水。休眠期は月に1〜2度、葉に霧吹き。 成育期も水のやりすぎには注意して、土が乾いてからやります。土が乾いたかどうかは、鉢の中に割り箸などを差し込んで、湿り気がなくなったことを確認すると間違いがありません。水やりをするときは、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと。鉢皿の水は捨てましょう。 ハーブ類の水やりの違い ハーブは種類によって吸水具合が変わります。葉が小さいラベンダーやローズマリー、タイムなどの常緑低木は、水はけのよい場所で乾燥気味に育てます。 一方、ハーブの中でもミントは比較的水を欲しがる植物です。ミントの葉は前出のハーブと異なり、柔らかくて面積も広めで、水をよく吸収します。同様に葉の大きいバジルも水をよく吸収するタイプ。どちらも真夏にかけて大きくなるので、水切れにならないようにしましょう。 水を欲しがる植物「バラ」 バラは水をよく吸い上げる植物です。基本的にきちんと根づいた地植えでは水やりの必要はありませんが、鉢植えには定期的に必要です。成育期の初夏から夏は朝夕の2回が理想的。夏は留守などで1日やらなかっただけでも、枝先がダランと垂れる水切れ症状を起こすことがよくあります。こんなときは、「腰水」といって水を張ったバケツの中にバラを鉢ごと浸けて、鉢底から水を吸わせる応急処置が効果的です。これはあくまでも応急処置で、普段から行っていると根腐れの原因になるのでやめましょう。 夏以外の季節は、表土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりやります。 <その他、水を欲しがる植物> カキツバタ/水辺の側で生育するカキツバタは、周年水が必要です。鉢ごと水に浸けて育てます。よく似たハナショウブは普通の鉢植えで育てますが、特につぼみから開花期にあたる初夏は、十分な水やりが必要です。 カラー/オランダカイウなどの湿地を好むタイプと、モモイロカイウなどの畑地を好むタイプの2種があります。湿地性のタイプは水もちがよくなるように、腐葉土を多めに入れた用土で育てます。春から秋の成育期は両者とも水切れに注意して、表土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。 アジサイ/梅雨時に花を咲かせるアジサイは水を好む植物です。地植えでも成育期の春から夏は、急に気温が上がると暑さで葉がダランとしてしまうことがあります。丈夫なので枯れることはそうそうありませんが、そんな時は水をたっぷり与えましょう。鉢植えは表土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。 水やりのまとめ 自生地の環境を調べて、近い環境になるよう水分をコントロール。 休眠期は水分を控えるか断水。 鉢植えは基本的に表土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと。 元来、水をあまり必要としない植物の水やりは、中が湿っていないことを割り箸などで確認する。 水やりは、どんな植物にも同じ方法ではありません。植物ごとに、また季節に合わせて異なるのも、生き物なので当然といえば当然ですね。でも水分量を細かく調節したりするわけではなく、要は「やる」、「やらない」といったメリハリの問題。「水が必要な植物」と「そうでない植物」があるということだけ覚えておけばOK! 全然難しいテクニックではありませんし、スマホで調べればすぐ分かるので、気楽にボタニカルライフを楽しんでくださいね。 Photo/1) cam3957/ 2) John_T/ 3) Starover Sibiriak/ 4) Colette3/ 5) Photo and Vector/ 6) Chukov/ 7) IAM PRAWIT/ 9) yyama/ 10) DiegoMariottini/ 11) Mamsizz/ Shutterstock.com
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寄せ植え・花壇

【寄せ植え】ハボタンが主役の寄せ植え コツは組み合わせと植え方!
寒さに本領を発揮するハボタン ハボタンはキャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の植物で、別名「ハナキャベツ」とも呼ばれます。形はキャベツによく似ていますが、キャベツと違って美しい色が特徴。寒さに強く、気温の低下に伴って鮮やかに発色し、白やピンク、赤、紫などに株の中心部が染まっていきます。近年は、小ぶりでバラのような花形のものもあり、黒やシルバーなど葉色のバリエーションも豊富。まるで葉脈にワインを流し込んだように赤色がくっきりと浮き立つ品種も人気です。大型のものもありますが、寄せ植えではミニサイズの品種を用います。脇役に回りがちなリーフ類ですが、ハボタンは主役として存在感を発揮してくれる冬の素材です。 冬から春のハボタンの変化。 観賞期間はとても長く、秋から冬にかけて色が美しさを増し、春には株の中心部が伸びてきて菜の花とよく似た黄色の花を咲かせます。株姿がどんどん変化するのも楽しいリーフです。 ハボタンが主役の2月の寄せ植え ハボタンの美しさを愛でる寄せ植えを作ってみましょう。草丈の低いハボタンを前面に置き、中央後部にガーデンシクラメンを配置して高さを出します。全体をハボタンの葉脈の色に合わせてピンク系で揃え、きれいな扇形にまとめます。 【花材】 ハボタン 2苗ガーデンシクラメン‘森の妖精’ 1苗ネメシア‘フラミンゴ’ 2苗セイヨウイワナンテン‘フロマージュ’ 1苗スイートアリッサム 1苗 (*鉢の大きさに応じて苗の数を調整してください) 【その他の材料と道具】 鉢/幅20cm前後鉢底石培養土水を張ったバケツ(手洗い用)何も入っていないバケツ(土捨て用)回転台(あると便利) 【作り方】 ① 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を8〜9分目くらいまで入れます。鉢は回転台の上に乗せて作業します。 ② ハボタンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたら根をほぐし、色の褪せた外葉は株元から外します。 ③ ハボタンを前面の両端に1苗ずつ植えます。基本的に後から土を足さないので、株元までしっかり植わるようにグッと苗を土に押し込みます。このとき、少し前方へ傾けて植えるのがポイント。 【きれいのPoint!】 ハボタンの魅力がどこにあるか、株を持って観察してみましょう。バラの花のように渦を巻いた中心部分がきれいだと思いませんか? 色のグラデーションも美しいこの中心部がよく見えるように、斜めに傾けて植えるのです。 まっすぐ直立させて植えると、置き場所によっては葉の裏ばかりが見えて、せっかくのハボタンのチャームポイントが見えません。植えるときは、その植物の魅力はどこにあるのか、よく観察して、チャームポイントが生きるように配置してあげましょう。 ④ シクラメンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたらベリッとはがしながら、ほぐします。また、葉っぱをかき分けて、内側に枯れたつぼみや葉、黄変した葉があれば取り除きます。この後に登場するほかの植物も同様にします。 枯れたつぼみや葉っぱにはカビが発生することがあり、そのままにしておくと病気の原因となります。 【きれいのPoint!】 苗をほぐす際に土を触ったら、1回1回、手を洗ってきれいにしましょう。土のついた手で植物を触ると、葉っぱや花が汚れて仕上がりが汚くなってしまいます。寄せ植えの花たちは、鉢の中で共演する、いわば舞台役者です。汚さないように丁寧に扱いましょう。 ⑤ ガーデンシクラメンを中央後方へ植え付け、ハボタンとガーデンシクラメンの間にセイヨウイワナンテン‘フロマージュ’を入れます。ハボタンとガーデンシクラメンは高さに差があるため、セイヨウイワナンテンを入れることで間を自然につなぎます。 このとき、ポットから抜き出したセイヨウイワナンテンをそのまま植えると、間がうまくつながりません。株を割り広げ、横長にしてから植えましょう。 ⑥ ネメシア‘フラミンゴ’をガーデンシクラメンの両サイドに入れます。中央に入れたガーデンシクラメンを頂点とし、寄せ植え全体が扇形のフォルムになるようにしたいので、ネメシアもやや株を広げます。このとき、1株ずつの花の高さを観察して、左右どちらに配置するかを吟味します。 【きれいのPoint!】 左の写真のように端にくる花の草丈が高いと、扇形にならず全体のまとまりが悪くなります。右の写真のように端にくる花の草丈が低いと扇形に近づきます。同じ花でも株には個体差があり、高さもまちまちです。わずかな差ですが、1株1株をよく見て配置を見定めることによって完成度が変わってきます。 ⑦ アリッサムをハボタンの間に植え込みます。植え込み前に株を内側までよくチェックし、枯れ葉や黄色くなった葉は取り外しておきます。 ⑧ 最後に回転台を回しながら、全体をチェックします。植え込んでいくうちに、最初に植えた植物が傾いてきてしまうことがあるので、微調整しましょう。 完成です。ハボタンは、生育にするにつれ茎が伸びて浮き上がってしまうので、そうなったらグッと株元まで深く埋め戻してあげましょう。寒さには強いですが、置き場所は霜や雪の当たらない軒下などが向いています。 ハボタンの寄せ植えバリエーション プラチナケールというハボタンの仲間とガーデンシクラメン‘プチティアラ’をメインにした円形の鉢の寄せ植え例です。バラの花のようなピンクのハボタンに、鮮やかなピンクのガーデンシクラメンを合わせました。この寄せ植えでは、ネメシアをガーデンシクラメンとハボタンのつなぎに使っています。 ハボタンはさまざまな色や形があり、可愛らしくも演出できますし、黒葉を使ってカッコよくも演出できます。次回は、黒葉を使ったクールなハボタンの寄せ植えをご紹介します。お楽しみに!
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土作り

培養土がいい? 自分でブレンドする? よい土を選ぶコツ
基本の土とは? よい土とは、粒と粒の隙間に空気や水分、養分をほどよく含むことができる団粒構造(だんりゅうこうぞう)になった土のことです。この構造が保たれた地中では、植物の根が水分や栄養を吸収し、伸びたり増えたりすることができます。もし、土の状態がよくなければ、植物の育ちや開花、果実の実りにも影響してきます。 「団粒構造を保つ土づくり」と聞いても、具体的に何をすればいいのかわからない。だから「あらかじめ必要な用土がブレンドされているという“市販の培養土”」を使う人が増えているのかもしれません。 培養土は万能か? いろいろな土が混ざっているなら、万能だろうと思いがちですが、かえって最低限必要な土の量がとても少ないことがあります。最低限必要な土とは、昔から使われてきた「黒土」や「赤土」、「鹿沼土」など各地で採取されている自然の土のことで、それらだけでも十分植物は育ちます。 では、培養土がなぜあるかというと、幅広い植物の性質に対応する土を求めて、軽くしたり保湿したり、それらの機能を補う改良用土が混ぜられているのです。上写真の土は、軽くてさらさらして、手触りはふんわり柔らかです。でも、細かな繊維質が多すぎて頼りない土という印象。袋の裏には主原料として、ココナッツファイバー、パーライト、炭、堆肥、赤土と表示されていました。実際にこの土に植物を植えて水を与えていたら、土が沈んで表土付近の根が出てきてしまいました。おそらく土中の空気層が水の重みで次第に潰れ、団粒構造が保てなくなったのでしょう。 赤玉土にも良し悪しがある 基本的な用土のひとつとしてあげた自然の土「赤玉土」にも、質に差があることを知っていますか? 上写真の2つの皿には、購入先が別々の赤玉土が入っています。自然の土を採取したはずの赤玉土、次の実験によって質の差があることがおわかりいただけるでしょう。 アルミのスコップで同じ力を上からかけると、右の皿に入っていた赤玉土は簡単に崩れました。左の赤玉土は多少崩れたものの、塊を保っています。 次に、2種の赤玉土を水に入れてそれぞれ30回撹拌し、5分が経過。右は濁ったままで、左は濁りが少ないですね。 崩れやすい土より崩れない土を選ぼう それぞれの水を流したら、水の濁りが多かった右のコップには細かな土が多く残りました。これは、左が硬質で崩れにくいことを表しています。硬質な土ということは、植物を植え込んで水をやっていても、簡単に微塵の土ができないということです。植物を長く育てていくうちに、土が崩れていくということは、先にお伝えした団粒構造が保たれなくなり、次第に植物の生育にも影響が出てくることでしょう。せっかく育てていた植物の元気がなくなったり、植え込んだ土が簡単に崩れたら、がっかりですね。植物がよく育たないと感じたら、用土の見直しも考えましょう。 併せて読みたい ・冬の土づくりはガーデニングの必須作業! 手作り堆肥と土壌改良の方法 ・無農薬有機栽培で野菜を丈夫に美味しく育てるための土づくり ・植物の好みに合わせて基本の土に+αで揃えたい「土壌資材」9種 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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一年草

【身近な野草】カタバミってどんな植物?特徴やクローバーとの見分け方もご紹介
カタバミの概要 Scisetti Alfio/Shutterstock.com カタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草で、日本では道端や空き地、農地などでもよく見かけます。 カタバミ属の植物は温帯から熱帯の地域に分布し、世界に約850種も存在しますが、日本では6種類が自生しており、さらに7種類ほどの外来種が帰化植物として定着しています。 花が大きく美しいカタバミは「オキザリス」と呼ばれ、ガーデニングプランツとしても利用されています。また、横に株が増えていくので、グラウンドカバーとしても活躍します。 カタバミの花言葉 NOPPHARAT9889/Shutterstock.com カタバミの花言葉は「輝く心」「喜び」「母の優しさ」です。 その昔、カタバミは真鍮の鏡や仏具を磨くために使われていたため、「輝く心」という花言葉がつけられました。 またスペインやフランスでは「ハレルヤ」と呼ぶことから、「喜び」という花言葉の由来となっています。これは復活祭でハレルヤが唱えられる時期にカタバミの花が咲き始めることに因んでいるといわれています。 カタバミの名前の由来 Petr Ganaj/Shutterstock.com 和名のカタバミは漢字で「片喰」と書きます。ハート形の葉が、昔の人には一部が食べられて欠けているように見えたことに由来しています。 また、カタバミは「酢漿」と書くこともあり、「酸葉(すいば)」「スイモグサ」と呼ばれることもあります。これは葉や茎にシュウ酸を含んでいるため酸っぱい味がするのが由来です。 このほかに「黄金草(おうごんそう)」や「鏡草(かがみぐさ)」、「銭みがき(ぜにみがき)」とも呼ばれます。いずれも、カタバミに含まれるシュウ酸を利用して、カタバミの葉で古い銅製品を磨くと錆が取れピカピカになることが由来です。 カタバミの花の特徴 NOPPHARAT9889/Shutterstock.com カタバミは5~10月に黄色い小花を咲かせます。葉のわきから同じくらいの長さの花柄を多数伸ばし、散形状に小花を咲かせます。花の大きさは0.8〜1cmで、花びらは5枚あります。晴れた日の午前中に咲き、夕方には花びらを折りたたむので、まるで眠っているよう。曇天や雨天のときにも花びらを閉じます。 カタバミの葉の特徴 NOPPHARAT9889/Shutterstock.com カタバミの葉は、長さ1cm、幅0.5〜2cmほどのハート形が3枚集まった形です。葉の表面はほとんど無毛で、裏側と縁にはまばらに毛が生えています。葉と茎をつなぐ葉柄は2〜7cmほどで、基部には小さな耳状の托葉があります。 葉は花と同様に夜になると閉じ、日差しが強すぎるときや乾燥しすぎているときにも半分ほど葉を閉じます。このような葉の開閉によって、温度や水分の調節を行っていると考えられています。 カタバミの実の特徴 Trialist/Shutterstock.com カタバミは、とても小さなオクラのような形の実をつけます。先が尖った円柱形で、尖ったほうが上を向いてついています。 実が熟すと、たくさんの種子をはじき飛ばします。種子は紅褐色でゴマのような形をしており、1.5mmほどの大きさです。両面に7〜9本の横向きのしわがあり、全体に白い毛が生えています。 家紋にも使われている Goromaru/Shutterstock.com カタバミは、古くから家紋のモチーフにも使われている植物です。日本の5大家紋の一つで、鎌倉時代から使われてきました。さらに古い平安時代にも、牛車の紋に使われたという記録があります。 繁殖力が非常に強く根絶が難しいことから、子孫繁栄に通じ、武家の間で家が絶えず続くように願って家紋として好まれました。戦国大名では、長曾我部元親や酒井重忠などがカタバミの家紋を使っていました。 クローバーとの違い Eric Dodson/Shutterstock.com カタバミとクローバーの葉はよく似た外見をしているため、花が咲いていない時に見分けるのには、ちょっとしたコツが必要です。 クローバーの葉には白い線の模様が入っており、カタバミは葉に模様がありません。また、クローバーの葉は楕円形で葉先に小さなくぼみがありますが、カタバミの葉はハート形が多いです。 夜に観察する場合は、クローバーは内側に葉が閉じますが、カタバミは外側に折れるように閉じます。クローバーはマメ科の植物で、カタバミはカタバミ科の植物と、分類上はかなりかけ離れています。 繁殖力が強いのも特徴 Furiarossa/Shutterstock.com カタバミは非常に繫殖力が強い植物です。 地上では茎が這うようにして伸びて地表を覆うように広がり、地中では球根が増殖して大根のような根を下ろします。実は熟すとはじけて多数の種子を飛ばし、1m以上も飛ばす種類もあります。種子には接着剤のような液がついていて、人や動物などにつくと、さらに広い範囲に分散します。 根を深く張るので、手で抜いても途中でちぎれて土中に根が残り、そこからまた生えてきてしまうので、一度繁殖すると駆除が困難です。駆除する場合は、除草剤などを使うと効果的です。 カタバミの種類 ここまで、カタバミの生態や人との関わりについてご紹介してきました。ここからは、たくさんの種類があるカタバミの中でも、代表的なものについてご紹介します。 ムラサキカタバミ Topimages/Shutterstock.com ムラサキカタバミは南アメリカ原産の種類で、日本には江戸時代末期に持ち込まれました。国内の広範囲で帰化しています。草丈は10〜30cmで、花期は5~7月です。ピンクや紫色の花を咲かせ、花の色から「キキョウカタバミ」とも呼ばれています。 アカカタバミ Tom Meaker/Shutterstock.com アカカタバミはカタバミの変種で、葉や茎が紫色の品種です。花びらは5枚で黄色く小さな花を咲かせます。花びらの基部は赤みを帯びています。砂利や石垣など、日当たりがよく高温で乾燥する場所を好んで生えます。反対に、日陰や湿ったところは苦手です。夜になると葉を小さくたたむ様子から、「雀の袴」という別名もあります。 ミヤマカタバミ ミヤマカタバミは日本に自生している種類で、本州から四国および九州の山地に生息しています。「ヤマカタバミ」や「エイザンカタバミ」とも呼ばれています。和名のミヤマカタバミの由来は深山に生息することから名づけられましたが、標高の低い山地の杉林やブナ林の林床や里山にも生えています。花の色は白色に細い紫色の線が入り、うつむき加減に咲きます。また葉はハート形ですが、葉先がややとがっています。 イモカタバミ Vedat Oguzcan/Shutterstock.com イモカタバミは南アフリカ原産の種類で、観賞用としても多く栽培されています。「フシネカタバミ」とも呼ばれています。 葉は3枚でハート形をしており、花びらは5枚です。おしべは黄色く、花よりも葉が大きくなっています。ムラサキカタバミよりも濃いピンク色の花を咲かせ、花の中心部はさらに濃い色をしています。花は4〜10月に咲き、葉にはツヤがあり肉厚です。 オオキバナカタバミ Vladimir_Kazachkov/Shutterstock.com オオキバナカタバミは南アフリカのケープタウン周辺が原産の種類です。別名「キイロハナカタバミ」とも呼ばれています。その名の通り大きな黄色い花が特徴で、長い花茎を伸ばし、カタバミよりも3倍ほど大きく黄色い花を数個咲かせます。花期は1月頃と、寒い時期に咲きます。葉はハート形の3枚葉で、紫色の斑点があります。総合対策外来種に指定されています。 オキザリス・トリアングラリス OlgaOzik/Shutterstock.com ハート形の可愛い葉と花を持ち、繁殖力の強いカタバミ Julie Beynon Burnett/Shutterstock.com カタバミはハート形の葉が特徴的で、クローバーのような可愛らしい姿が魅力。花も品種により黄色やピンク、紫、白など、さまざまな色を楽しめます。繁殖力が強いため、家紋にも使われていますが、その反面一度根付いてしまうと駆除が難しいため、植える場合は敷地からはみ出さないよう注意が必要です。 身近な野草で、畑や道端などでもいろいろな種類のカタバミを見ることができるので、ぜひ探してみてはいかがでしょうか?




















