春、真っ白な花を枝垂れた枝一面に咲かせるユキヤナギ。その名の通り、まるで雪が降り積もったかのような美しい姿が人気の庭木です。街中でも見かけることが多いことからも分かるように、ユキヤナギは剪定や管理がしやすい花木で、ガーデニング初心者にもおすすめ。ここでは、ユキヤナギの特徴や育て方のポイントなどを解説します。栽培環境や肥料の施し方、剪定のタイミングなど、育て方のコツや注意すべきポイントを押さえれば、毎年美しい花を楽しむことができますよ。

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ユキヤナギの基本情報

ユキヤナギ
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ユキヤナギ(Spiraea thunbergii)はバラ科シモツケ属の落葉低木。株立ちで長い枝が枝垂れ、白い花とも相まって優しげでしとやかな雰囲気です。日本や中国を原産とし、本州から西のエリアで多く見られます。日本の気候に適して寒さにも暑さにも強く、病害虫の心配も少ないため、初心者にも育てやすい庭木の一つです。花壇や公園などに植えられることも多く、目にしたことがある人も多いはず。毎年春になると、株いっぱいに愛らしい白い小花を咲かせる姿が、ガーデナーにも人気の高い植物です。

ユキヤナギ
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ユキヤナギという和名は、葉や弓のように枝垂れるしなやかな枝の様子がヤナギに似ていること、白い小花をたくさん咲かせ、まるで雪をかぶったかのように見えることから名づけられました。また、小さな花弁が散り敷いた様子を、地面に砕いたお米を撒いたように見立てて、「小米花(コゴメバナ)」や「小米柳(コゴメヤナギ)」という名で呼ばれることもあります。

ユキヤナギの開花時期と見頃はいつ?

ユキヤナギ
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ユキヤナギの開花時期は2~4月頃。4月頃に一番の見頃を迎えます。ウメやサクラなど、春を代表する花木とも開花期が重なりますが、ユキヤナギの開花期は2~3週間ほどと、他の花木よりも長く咲いているため、長期間観賞でき、さまざまな春の花とのコラボレーションを楽しめるのも魅力です。花もちもよく、枝を切って花瓶に活けても1週間ほど楽しむことができるため、切り花としても人気があります。また、春の開花期はもちろんのこと、秋の紅葉も美しく、紅葉した枝は切り花に利用されることもあります。

ユキヤナギの種類

ユキヤナギ
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ユキヤナギといえば、白い小花を咲かせる姿が思い浮かびますが、じつは変異が多く、矮性種や高性種、開花期で見ても早生種から晩生種までいろいろな品種があります。品種名が付いたものは多くありませんが、いくつか代表的な品種をご紹介しましょう。

‘フジノピンク’

ユキヤナギの代表的な園芸品種。つぼみは濃いピンク色ですが、開花すると内側が白っぽくなり、淡いピンクの花となります。「紅花ユキヤナギ」や「桃色ユキヤナギ」、「フジノピンキー」という名で呼ばれることもあり、切り花品種としても親しまれています。

‘オウゴン’

オウゴンユキヤナギとも呼ばれ、葉色が黄色っぽいのが特徴。花後もリーフプランツとして利用でき、秋の紅葉も楽しめます。

‘蒲田早生’

切り花用に品種改良されたもので、主に生け花に利用されています。ユキヤナギよりも草丈が少し低く、花も小さいのが特徴。早咲きの品種です。

ユキヤナギと間違われやすい花

春に花を咲かせる花木の中には、ユキヤナギに少し似た印象の花もあります。ここでは、ユキヤナギに似ていて開花期も近く、間違われやすい花について、花の姿やユキヤナギとの違いをご紹介しましょう。

シジミバナ

シジミバナ
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遠目に見ると、緩やかに伸びる枝や、枝一面に咲く白い小花がユキヤナギにそっくりな印象のシジミバナ。ユキヤナギと同じバラ科シモツケ属の低木です。園芸種として栽培されていた八重咲きの品種が先に見つかり、その後一重咲きの野生種が発見されたという珍しい経緯を持つ植物です。園芸種として栽培されているものは八重咲きなので、花を見ればユキヤナギと区別することができます。ユキヤナギに少し遅れて開花し、枝もユキヤナギのように下垂しません。

コデマリ

コデマリ
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伸びた枝に白い花が咲く様子が、ユキヤナギに少し似ているコデマリ。こちらもバラ科シモツケ属の落葉低木で、庭木にもよく利用されています。名前の通り、手毬のように花が集まって咲くのが特徴で、すぐに見分けることができます。

ユキヤナギを上手に育てるポイント

ユキヤナギ

ユキヤナギは強健で育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめしたい庭木です。特に地植えにすれば手を掛けなくてもよく育ちますが、上手に育てるために知っておきたい環境づくりや手入れのポイントを押さえておくと、より美しい花が楽しめますよ。ここでは、ユキヤナギの育て方の基本をご紹介します。

ユキヤナギ
丈夫で栽培しやすいユキヤナギは、公園の植栽や生け垣などにもよく利用されます。zzz555zzz/Shutterstock.com

育てる環境

植物を上手に栽培するためには、その植物の生育環境に合った環境づくりがとても大切です。ユキヤナギは日本を原産とする花木で、耐寒性も強く丈夫なので、生育環境に合った場所に庭植えにすれば、その後はほとんど手がかかりません。

ユキヤナギは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。本州以西では、戸外での越冬も特に問題ありませんが、寒冷地では防寒対策をすると安心です。病気や害虫が発生しないよう、風通しのよい環境で育てましょう。また、大きく成長するため、鉢植えよりも地植えでの栽培に向いています。地植えにする際には、成長後を考えてある程度スペースのある場所に植えましょう。鉢植えで育てる場合は、剪定で樹勢をコントロールし、適宜植え替えを行います。

ユキヤナギは土質もあまり選ばず、乾燥にも多湿にもよく耐えます。ただし、常に湿った状態が続くと、根腐れやシラキヌ病が発生することがあるので、水はけのよい土に植えたほうがよいでしょう。鉢植えの場合は、盆栽の雑木用の用土などがおすすめです。

植え付け・植え替え

ユキヤナギの植え付けは、2~3月が適期。早咲きの品種であれば、10~12月頃に行うのがおすすめです。これらの適期を逃しても、真夏を除く季節であれば問題なく行うことができます。また、一度地植えにして植え付けたら、基本的に植え替えの必要はありません。株分けや移植をする場合には、植え付けの適期と同じく2~3月に行うとよいでしょう。

肥料の与え方

ユキヤナギは肥沃な土を好み、肥料を与えることでより美しく充実した花姿を楽しむことができます。1~2月頃に寒肥として、有機質肥料や緩効性の化成肥料を与え、開花後には、お礼肥を与えて樹勢を回復させましょう。また、花芽分化期を迎える秋にも追肥をすることで、花付きよく美しい花を咲かせてくれます。肥料を与える際には、株元に緩効性肥料を置いて与えます。

水やりの頻度

庭植えにした場合、根付いた後は基本的に水やりの必要はありません。ただし、植え付け直後は乾燥しやすいため、しっかりと水を与えましょう。また、夏に極端な乾燥が続く時は、株の状態に応じて、様子を見ながらたっぷりと水を与えます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。

病気と害虫

ユキヤナギは基本的に丈夫なので、病害虫についてもあまり気にしなくてよいでしょう。ユキヤナギに発生しやすい病気には、葉が粉をまぶしたように白くなるうどん粉病があります。また、枝が密集すると風通しが悪くなり、アブラムシやカイガラムシなどの害虫が発生することがあります。

病害虫の発生の予防には、風通しよく育てることが効果的。枝が込みすぎないよう、剪定して風通しよく育てましょう。病害虫が発生してしまったら、ブラシやヘラなどで取り除いたり、適切に薬剤も使って、早めに対処しましょう。

ユキヤナギの剪定方法

ユキヤナギ

ユキヤナギは自然樹形でもさほど株姿は乱れませんが、成長が速く、枝がよく茂るので、風通しよく育てるためには剪定をするとよいでしょう。花木を剪定する際には、花芽がつくられる時期や花芽がつく場所を考慮して剪定することが大切。剪定の際に花芽を落としてしまわないように注意が必要です。

ユキヤナギは、新梢にできる側芽が花芽となり、翌年に花が咲きます。花芽の数が多いため、全ての花を落としてしまう心配は少なく、初心者でも剪定しやすい花木です。秋から冬にかけて花芽がつくられ、この時期までに新梢を充実させると花付きがよくなるので、ユキヤナギの剪定は、開花が終わった直後に行うのがポイント。ただし、開花後すぐに行うと、剪定後の枝も長く伸びるので、コンパクトに育てたい場合には剪定時期を遅らせ、株の大きさと花付きのバランスがよい時期を探してみるとよいでしょう。

剪定の際には、枯れこんだ枝や古い枝、混み合った不要な枝を地際から間引きます。勢いのある長い枝は花芽が付きにくいので、短い枝の発生を促すように、翌年の伸びをイメージしながら残りの枝を1/3~1/2程度残して切り詰め、サイズを調整しましょう。

また、切り詰め剪定だけでなく、数年に1回、全ての枝を株元から刈り込むように剪定すると、枝の更新が促され、生育よく育てることができます。切り詰め剪定では株が暴れる場合は、花後すぐに刈り込み剪定をすると柔らかい樹形に収まり、コンパクトに育てやすくなります。

ユキヤナギの増やし方

ユキヤナギは比較的簡単に増やすことができる庭木です。一般的によく行われる方法は挿し木ですが、大きく育った株なら株分けでも増やすことができます。

挿し木

挿し木は新芽の時期(4月中旬~5月上旬頃)を除き、3~9月までいつでも行うことができますが、秋に行うと苗木が冬に枯れてしまうことも多いため、3月頃に行うのがおすすめです。前の年に伸びた枝を10cmほどに切って挿し穂を作り、2時間ほど水揚げしてから、挿し木用土または赤玉土など養分のない清潔な土に挿して、たっぷりと水を与えます。日陰で乾燥させないように注意しながら管理し、4~5月頃に新芽が出たら、植え替えて育てましょう。

株分け

大きく成長して株が込んできたら、株分けをして増やすのもおすすめです。植え付けに適した2~3月頃に株を掘り上げ、4~5本の枝を1株として株を分割し、それぞれ植え付けましょう。多少根を傷つけても、新しく根を伸ばしてカバーしてくれるため、心配しなくても大丈夫です。

実生

たくさんの苗をつくりたいときには、種まきをして増やすこともできます。ユキヤナギはこぼれダネから芽を出すこともあるくらい、簡単に発芽します。実生苗は親とは異なる性質を持つこともあるので、ひょっとすると自分だけの新品種がつくれるかもしれません。園芸品種として流通している‘フジノピンク’も、実生苗から生まれた品種なのだそうですよ。

ユキヤナギが花を付けないときは

ユキヤナギ
Sann von Mai/Shutterstock.com

花付きよく枝一杯に花を咲かせるユキヤナギ。でも、せっかく育てているユキヤナギの花が咲かなかったらがっかりしてしまいますよね。ユキヤナギが花を付けない時は、次のような原因が考えられます。

日当たり

ユキヤナギは日の当たる風通しのよい場所を好むため、日陰に植えると成長が悪くなったり、花付きが悪くなることがあります。また、紅葉が見られる品種なのに秋に紅葉しない場合も、日照不足が考えられます。生育環境をもう一度見直してみましょう。

剪定

ユキヤナギは秋~冬にかけて花芽を成長させます。そのため、この時期に剪定して花芽を落としてしまうと、翌年は花付きが悪くなります。剪定は花後に行うとよいでしょう。また、古い枝や細い枝は花付きが悪いため、思い切って剪定して株の更新や成長を促してやると、より美しい姿が楽しめます。

根腐れ

ユキヤナギは基本的に土壌を選びませんが、粘土質の土壌など水はけの悪い場所に植え、常に水分がある状態が続くと、根腐れを起こして花を付けなかったり、枯れてしまうこともあります。根腐れを起こしてしまった場合は、掘り上げて傷んだ部分の根を取り除き、水はけのよい土に植え直しましょう。

ユキヤナギを育てる際のポイント

美しく枝垂れるユキヤナギの姿をつくるには、剪定がポイント。ユキヤナギは大きく成長するので、サイズをコントロールするには、毎年花が終わったタイミングで剪定するとよいでしょう。枝の先だけを切り詰めるのではなく、不要な枝は地際から切り取りましょう。また、古い株は花付きが悪くなったり、枯れた枝が目立ちやすくなるため、数年に1回刈り込み剪定をするとよいでしょう。ユキヤナギは株が暴れやすいので、狭い場所では管理が難しくなりがちです。植え付けの際に、十分なスペースを確保して植え込み、適切な剪定をすることで、より美しい姿を楽しむことができますよ。

ユキヤナギは地植えにすれば、基本的に植え替えは必要ありません。しかし、何年も育てていて株の生育が衰えた時は、株の周囲に穴や溝を掘り、そこに肥料と新しい土を混ぜたものを入れて土を入れ替えることで、根が成長しやすくなります。また、株分けをして株を更新するのもよいでしょう。

初心者にも育てやすいユキヤナギは庭木にぴったり!

ユキヤナギ
zzz555zzz/Shutterstock.com

可愛らしい真っ白な花姿が楽しめるユキヤナギ。丈夫で育てやすく、手入れもしやすいため、庭木としても管理しやすい花木です。剪定もそれほど難しくなく、成長も早いので、ガーデニング初心者でも美しい花を咲かせることができます。庭に手入れがしやすい花木を植えたいな、と探している人は、ユキヤナギを植えてみてはいかがでしょうか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考:
『NHK趣味の園芸 新園芸相談2 庭木・花木』(国重正昭、船越亮二監修・日本放送出版協会刊)
『NHK趣味の園芸 新版・園芸相談3 庭木・花木』(川原田邦彦著・日本放送出版協会刊)
『園芸Q&A 庭木・花木・果樹 346のトラブル解決法』(妻鹿加年雄、重田利夫著・家の光協会刊)
『庭に植えたい樹木図鑑』(村越匡芳監修・池田書店刊)
「みんなの趣味の園芸」 https://www.shuminoengei.jp/
「住友化学園芸」 https://www.sc-engei.co.jp/
「ガーデニングの図鑑」 https://shiny-garden.com/
「ヤサシイエンゲイ」 http://www.yasashi.info/index.html

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