スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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宿根草・多年草

【豪華花】ヤマユリってどんな花? 花言葉は? 栽培方法のコツや増やし方も解説
ヤマユリの主な特徴 YUMIK/Shutterstock.com まず、ヤマユリはどんな姿で育ち、どんな魅力がある植物なのか。基本情報や特徴について解説します。 基本情報 ヤマユリ(Lilium auratum)はユリ科ユリ属の球根植物です。日本原産で、東日本を中心に本州の平地から山地に分布しています。自生地によって箱根百合や吉野百合、叡山百合、鳳来寺百合などといった名前で呼ばれることもあります。 ユリの仲間では最大級の大きさで、草丈は約1~2mほどにもなります。耐暑性や耐寒性は、ともに普通程度です。 ヤマユリは漢字で「山百合」と書き、文字通り山で咲く百合が語源です。ユリの代表的な園芸品種‘カサブランカ’を作るためにも利用された花です。 花言葉 FrentaN/Shutterstock.com ヤマユリの花言葉は、「荘厳」「威厳」「純潔」「飾らぬ美」「飾らない愛」「人生の楽しみ」「高貴な品性」など。 「荘厳」や「威厳」、「高貴な品性」などは、ユリの女王とも称されるヤマユリの花姿からつけられたものでしょう。一方で、山地でひっそりと咲く姿から「飾らぬ美」や「飾らない愛」、山でヤマユリを見つけた人の喜ぶさまから「人生の楽しみ」という花言葉がつけられたといわれています。 花の特徴 jackdreamhd/Shutterstock.com ヤマユリの開花時期は7~8月。花径20cmほどの大きな花を、1本の茎あたり1~10輪ほど咲かせます。 花の色は白地に黄色い筋と帯状の斑点が入るものが多いですが、ほかにもさまざまな色があります。花には強い香りがあり、開花時には芳香が漂います。 球根(鱗茎)の特徴 Irina999petrova/Shutterstock.com ヤマユリの球根は、うろこ状の鱗片が何重にも重なった鱗茎(りんけい)と呼ばれる形をしています。 球根は百合根(ゆりね)とも呼ばれ、苦みが少ないため古くから食用や薬用として用いられてきました。百合根は、ユリの中でもオニユリやコオニユリ、ヤマユリの鱗茎を指します。食用の百合根と、観賞・園芸用の百合根をとでは、栽培時に使用する農薬が異なります。上記の種類の球根でも園芸用として販売されているものは食べないようにしましょう。 ヤマユリの育て方のポイント Pixel-Shot/Shutterstock.com ヤマユリの姿や自生する場所、特徴に由来する花言葉などをご紹介しました。ここからは、さらに自分で咲かせるにはどんなことに気をつければいいか、ヤマユリを育てるのに適した場所や失敗しないポイントを詳しく解説します。 栽培する場所や土壌 Nate.Apol/Shutterstock.com ヤマユリは、鉢植えでも地植えでも育てることができます。植える際は、半日陰や明るい日陰になる場所を選びましょう。終日強い光が当たるような環境は苦手なので注意が必要です。 水はけのよい土壌を好むので、地植えの場合、水はけが悪い場所であれば赤玉土や腐葉土・砂などを混ぜて土壌改良をします。鉢植えの場合は、市販の球根用植物の土や草花用培養土を使うとよいでしょう。 水やり Irene_A/Shutterstock.com ヤマユリの水やりは、地植えの場合は、基本的に自然の降雨のみで十分です。雨が降らない日が続いた時のみ水やりをします。 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。表土が乾かないうちに水やりを続けていると球根が腐ってしまうことがあるため注意しましょう。 肥料 Natallia Ustsinava/Shutterstock.com ヤマユリの植え付けの際には、元肥として緩効性化成肥料を混ぜておきます。さらに芽が出る4〜5月と、6月に追肥します。追肥は緩効性化成肥料を与えるか固形肥料を置き肥します。 開花後から9月までは、薄めた液体肥料を7〜10日に1回を目安に与え、球根を太らせるようにしましょう。 植え付け Damian Lugowski/Shutterstock.com ヤマユリの植え付けの適期は2〜3月です。 地植えの場合は球根の3倍ほどの深さを掘って植え、たっぷりと水やりをします。 鉢植えの場合は深さのある鉢を選びます。背が高くなるユリは、鉢植えにすると倒れやすいので、なるべく重さのある鉢を選びましょう。 新芽が出てくる5〜6月には支柱を立てて、成長してきたらゆるく括りつけます。 チューリップなどの球根植物は球根の下からのみ根が出ますが、ユリは球根の上から出た茎の途中からも「上根(うわね)」と呼ばれる根が出ます。浅く植えてしまうとこの上根が伸びるスペースがなくなってしまうので、浅植えにならないように気を付けましょう。 植え替え Ken Kojima/Shutterstock.com 鉢植えの場合は、1年に1回植え替えを行います。ヤマユリは連作障害が起こりやすいため、鉢の植え替えの際は、用土を新しいものに変えます。 地植えの場合も、3〜4年に1回植え替えるとよいでしょう。地植えでは連作障害を防ぐために植える場所を変えます。同じ場所で栽培したい場合は、植え場所の土を周囲の土とよく混ぜてすき込みます。腐葉土などの有機質資材を加えることも連作障害の予防につながります。 多様な植物が生えているでは、毎年同じ場所で開花しています。庭などでも、周りにさまざまな植物が植えられているようなところでは、連作障害が出ず、同じ場所で栽培できることもあります。 日常のお手入れ Radovan1/Shutterstock.com 種子を採取しない場合は、花後は花首の付け根から摘み取ります。種子を採取する場合でも、いくつかの花がらだけを残して、ほかは取り除きましょう。落ちた花びらもこまめに取り除きます。 花後も葉っぱは残しておきます。冬になるまでは葉を残して光合成させ、球根を太らせるようにしましょう。 注意すべき病害虫 Kazakova Maryia/Shutterstock.com ヤマユリを育てる際に注意が必要な病気は、ウイルス病や球根腐敗病などです。 ウイルス病にかかると葉や花弁に濃淡のまだら模様ができ、葉がちぢれて生育が悪くなります。治療はできないので、発病したら速やかに発症した個体と用土を処分しましょう。 球根腐敗病は、土中の球根が腐ってしまって発芽しない病気です。保管している球根でも起こりますので、注意しましょう。 害虫ではアブラムシがつきやすいです。できるだけ風通しがよい場所で育て、アブラムシは見つけ次第すぐに駆除しましょう。葉が展開してきたら、株元にオルトランなどの浸透移行性の薬剤をまいておいてもよいでしょう。 ヤマユリの増やし方 roadfair/Shutterstock.com ヤマユリの増やし方には、種まき、分球、木子(きご)、鱗片挿しがあります。ここではそれぞれの方法について詳しくご紹介します。 種まき Piyaset/Shutterstock.com 種まきは4つの増やし方の中で、最も時間がかかる方法です。植えてから開花まで5~6年かかります。 花後に花を摘まずに育てておくと実ができ、10〜11月に種を採取できます。種を採ったらすぐに種まきをする「とりまき」をしましょう。 重ならないように種を播いたら、薄く覆土をして乾燥しないように管理します。種は乾燥させて保存することもできます。 分球 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 分球は球根植物を増やす、最も一般的な方法です。 分球の適期は2〜3月で、植え替えと同時に行うと効率がよいでしょう。掘り上げた球根に2つ以上芽が出ていたら分球できます。球根を分けて新しい用土に植え付けて増やします。手軽で失敗の少ない方法ですが、一度にたくさん増やせないことがデメリットです。 木子(きご) Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 木子(きご)とは、球根植物で親球の周りにできる子球についている、さらに小さな球根のことです。 掘り上げた球根に木子がついていたら、これを新しい用土に植えて増やすこともできます。木子は小さいので、植えてから開花するまでには2〜3年かかります。 鱗片挿し jreika/Shutterstock.com 鱗片挿しは、充実した球根の外側の鱗片をはがして用土に挿す増やし方です。 はがした鱗片の上下が逆さにならないように注意して、全体の2/3ほどを土に埋めます。鱗片挿しの適期は、花が咲いた1カ月後から9月頃までです。 植えた鱗片は成長して球根になります。植えてから開花までは、最低でも3年ほどかかります。 ヤマユリの主な品種 Wassei/Shutterstock.com ヤマユリの代表的な品種をご紹介します。 サクユリ サクユリは伊豆諸島のみに分布している品種です。草丈は2m、花径は30cmと非常に大型の品種で、交配親としてもよく利用されます。 ベニスジヤマユリ ベニスジヤマユリはヤマユリの突然変異体です。花びらに鮮やかな紅色の筋が入るのが特徴です。 シロホシヤマユリ シロホシヤマユリの特徴は、斑点が白く花弁の色と同化して、すっきりとした見た目をしていることです。名前のシロホシも白い斑点に由来しています。 育て方のコツを知り美しいヤマユリを栽培しよう Ken Kojima/Shutterstock.com ヤマユリは日本原産の大型のユリで、美しい花姿と育てやすさが魅力の植物です。ぜひこの記事を参考に、ご自宅の庭やベランダなどで育ててみてはいかがでしょうか。
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宿根草・多年草

チオノドクサを育ててみよう! 育てる際のポイントについてご紹介!
チオノドクサの基本情報 「チオノドクサって、どんな漢字を書くのかな?」と疑問に思う方もいるかもしれません。じつは、チオノドクサは学名のChionodoxaをそのまま日本語読みしたものなんです! ですから、チオノドクサにあてられた漢字はありません。ちょっと紛らわしいですね。ギリシャ語で「chino(チオン)」は雪、「doxa(ドクサ)」は輝き、栄光を意味しています。チオノドクサの和名はユキゲユリ(雪解百合)で、英名はグローリー・オブ・ザ・スノウ。学名、和名、英名のいずれも雪が名前の中にあることからも想像がつくように、まだ寒いうちから咲いて春を告げてくれる花です。 チオノドクサは、キジカクシ科(クサスギカズラ科)チオノドクサ属の多年草で、秋植え球根植物に分類されています。原産地は、クレタ島、キプロス島、トルコで、寒さに強い性質が特徴。一度植え付ければ毎年開花を楽しめる息の長い植物です。ライフサイクルは次の通り。秋に球根を植えると生育が始まり、茎葉を出した状態で冬を越します。春になると花を咲かせ、開花後は茎葉だけになり、夏前に地上部を枯らして休眠。秋にまた生育期を迎え、再び新芽を出す……という繰り返しです。したがって、花が終わった、地上部が枯れた、などといって掘り上げて処分せずに、毎年の開花を楽しみましょう。 チオノドクサの特徴 チオノドクサの開花期は、2〜4月です。花色は青、紫、ピンク、白。花茎を立ち上げた頂部に数輪、星形の愛らしいフォルムの花が咲きます。草丈は10〜15cmと低く、コンパクトにまとまります。花壇の前面や縁取り、コンテナの寄せ植えなどに取り入れるとよいでしょう。やさしいパステル調の花色、楚々とした花姿が相まって、ナチュラルガーデンなどに人気の花です。一方で、マス植えにして群植させると、ダイナミックなシーンを作り出すこともできます。 チオノドクサの花言葉 チオノドクサの花言葉には、「栄光」「仲間思い」「たくましさ」「奥ゆかしさ」などがあります。「栄光」は、英名のグローリー・オブ・ザ・スノウに由来しているのでしょう。「たくましさ」や「奥ゆかしさ」は、寒い冬を元気に乗り越え、可愛らしい花を楚々と咲かせる姿からと想像できます。ちなみに、チオノドクサは1月11日の誕生花です。 チオノドクサの種類 チオノドクサは、5〜6種類の分布が確認されています。日本には昭和の初め頃に導入されたといわれ、まだ歴史の浅い草花の一つです。主にガーデニングで栽培されているのは、チオノドクサ・フォーベシー(Chionodoxa forbesii) とチオノドクサ・ルシリアエ(Chionodoxa luciliae)です。 チオノドクサ・フォーベシーは、草丈15cm・花径2cmほどの花を数輪咲かせます。花色は淡いブルーで、中心に白がのるのが特徴。ピンク花の‘ロゼア’、白花の‘アルバ’もあります。 チオノドクサ・ルシリアエは、チオノドクサの発見者であるボワシエの妻の名前、リュシールにちなんで名付けられました。花数がやや少なめで1茎に3〜5輪が開花。園芸品種の‘ギガンテア・アルバ’は、白花で花弁の幅が広い特性があります。 チオノドクサを育てる環境 チオノドクサは、高山植物に分類されています。そのため、寒さには強いものの暑さには弱い性質で、暖地よりも高冷地など涼しい環境を好み、生育も盛んになるようです。東に面した場所や落葉樹の足元など、開花時には日当たりがよく、真夏は半日陰になるような場所を選んで植えるとよいでしょう。鉢植えの場合、夏は涼しく風通しのよい場所に移動して管理します。 また、水はけのよい土壌を好むので、土作りの際にも水はけをよくする土壌改良資材を混ぜ込むなど、ひと工夫しておくと安心です。 チオノドクサの育て方 ここまで、チオノドクサの基本情報や特徴、花言葉、種類、好む環境についてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、育て方についてご案内しましょう。球根の植え付けからスタートし、水やりや肥料、花がら摘みなど日頃の管理、増やし方などについて、詳しく解説していきます。 土づくり 【地植え】 球根を植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施し、周囲より土を盛って土壌改良しておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成します。 【鉢植え】 市販の山野草用の培養土を利用すると便利です。自身でで培養土をブレンドする場合は、赤玉土6、腐葉土3、川砂1の配合でつくります。 植え付け 球根植物であるチオノドクサは、球根を入手して植え付けます。植え付け適期は、9月下旬〜11月です。 花苗店などで開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。植え付けの際は根鉢を崩さずに作業しましょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、深さ5〜6cmの穴を掘って球根を植え付けます。複数球を植える場合は、約5cmの間隔を取りましょう。最後にたっぷり水を与えます。 【鉢植え】 鉢のサイズは4〜5号鉢がよく、7〜8球を目安に植え付けましょう。一つの球根から咲く花の数は少ないので、やや密に植えたほうが見映えがよくなります。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから山野草用の培養土を入れます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。球根の上部が隠れるくらい浅植えにするのがよく、間隔を均一に取って植え付けていきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 水やり 株が蒸れるのを防ぐために、株全体にかけるのではなく株元の地面を狙って与えてください。 【地植え】 水やりは、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、長い間雨が降らず乾燥が続く場合は、水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿にすると株が弱るので、水の与えすぎには注意。土の表面が白く乾くまで待ち、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げ出すと、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 また、冬は夕方に水やりすると凍結の原因になるので、十分に気温が上がった真昼に水やりしましょう。夏は地上部を枯らして休眠しているので、水やりは不要です。 肥料 【地植え・鉢植えともに】 植え付けの際にしっかり土づくりをしてあれば、肥料は必要ありません(鉢植えで使用する市販の培養土にはほとんどの場合肥料が配合されています)。しかし、葉色が冴えなかったり、株に勢いがなかったりした場合には、液体肥料を施して様子を見ましょう。 開花後の管理 【花がら摘み】 チオノドクサの球根を太らせるためにも、終わった花は早めに摘み取りましょう。花茎を残して、花首の下で切り取ります。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まるので注意してください。 【花が終わった後の管理】 チオノドクサは、一度球根を植え付ければ毎年開花して息の長いライフサイクルをたどるので、花が終わっても抜き取って処分せず、そのままにしておきましょう。しばらくは葉だけが残りますが、残った葉にしっかりと日光を当てて光合成を促すと、球根に養分が送られて株が充実し、夏前には地上部を枯らして休眠します。花が終わったからといってないがしろにしないで、その後の生育も見守ることが大切です。 病害虫 病害虫の心配はほとんどありませんが、生育期にアブラムシが発生します。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 植え替え 植え替えの適期は、9月下旬〜11月です。 【地植え】 数年は植えたままにしたほうが充実した株になるので、放任してもかまいません。年月が経って、込み合って窮屈になっているようであれば、掘り上げて球根を分球して植え直します。 【鉢植え】 鉢栽培では、植えたままにしておくと根詰まりして生育が悪くなるので、1〜2年に1度を目安に、植え替えます。休眠期から生育期に移行して芽を出す前に、土に埋まっている球根を掘り上げましょう。古い土は処分し、新しい培養土を使って植え直します。やり方は前述の「植え付け」の項目を参照してください。 球根の保存の仕方 チオノドクサは、夏前には地上部を枯らして休眠します。チオノドクサの球根は乾燥に弱いので、本来は植えたままにしておいたほうがいいのですが、休眠している時期に別の草花を植えて花を楽しみたい、限られたスペースなので球根を別の場所で保管し、同じ鉢で夏花の寄せ植えを作りたい、といった事情もありますよね。球根を掘り上げて保存する場合は、乾燥させないように注意します。おがくずやバーミキュライトの中に入れ、涼しい場所で管理するとよいでしょう。 増やし方 【分球】 チオノドクサが属する球根植物は、茎や根の一部に養分をためて肥大化させる植物です。この球根の形状もさまざま種類があるのですが、チオノドクサは球状で、親球から子球ができて年を追うごとに増えていきます。球根が込み合ってきたら掘り上げて、親球から子球をはずして分球して増やすことができます。子球をそれぞれ親球として植え直せば、分球した分だけ球根が増えるというわけです。 最初に親球を植え付けてから数年が経ち、茎葉が込み合って窮屈に見えたら、分球して更新をはかりましょう。植え替え適期の9月下旬〜11月に球根を掘り上げ、親球から子球を切り分けて、それぞれに植え直します。分球して増やすと、親球とまったく同じ性質のクローンになります。 チオノドクサは、種を採取して播いて増やすこともできますが、発芽まで時間がかかり、さらには花が咲くまで4〜5年の育苗が必要です。冷涼な気候でなければ失敗しがちなので、分球で増やすのが一般的です。 チオノドクサを自分の手で育ててみよう! チオノドクサは花のフォルムが端正で、きらめくような美しさがあり、早春からガーデンやコンテナをみずみずしく彩ってくれます。ライフサイクルが長く、一度植え付ければ毎年花を咲かせて、季節の到来を告げてくれるのもうれしい点です。寒さに強いので植えっぱなしにしてもよく、メンテナンスの手間がかからないので、ビギナーにもおすすめ。ぜひガーデンやベランダの寄せ植えなどに取り入れてみてはいかがでしょうか? Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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イチゴの花の特徴や花言葉は? 家庭菜園で育てて完熟の味を楽しもう!
イチゴについて知ろう イチゴとは、どんな植物なのでしょうか。ここでは、イチゴの基礎知識についてガイドしていきます。 イチゴの基礎知識 lzf/Shutterstock.com イチゴはバラ科イチゴ属の多年草です。一度植え付ければ毎年開花して果実を収穫できる息の長い植物で、コストパフォーマンスに優れています。イチゴのライフサイクルは次の通りです。植え付けの適期は10月中旬〜11月中旬。秋にできた花芽が冬の寒さにあうことで覚醒する性質があるので、そのまま冬越しさせます。春になると生育期を迎えて葉をよく茂らせるようになり、3月中旬〜4月に開花。果実を収穫できるのは5〜6月です。初夏からはつるのようなランナーを旺盛に伸ばして子株を作ろうとします。冬になると生育が止まりますが、常緑のまま越冬し、また春を迎えると生育期に入って葉を茂らせる……という繰り返しです。 野生種のイチゴは石器時代から食されていたようですが、栽培イチゴの原産地はオランダで、現在のような品種ができたのは18世紀頃。北アメリカ原産のバージニアイチゴとチリ原産のチリイチゴが交雑して、現在の栽培イチゴが生まれたとされています。 イチゴの種類 KYONGSOO OH/Shutterstock.com 日本は品種改良の技術が高く、甘くて大粒の品種が次々と作出されていますが、青果店やスーパーなどで手に入る人気のイチゴの品種は、ほとんどがハウス栽培用です。したがって、一般家庭でイチゴを育てる際は、家庭菜園で栽培できる品種、たとえば‘宝交早生’ ‘章姫’ ‘さちのか’ ‘越後姫’ ‘あかねっ娘’ ‘あまごこち’などから選ぶことになります。 イチゴの名前の由来 Dzung Vu/Shutterstock.com 昔、イチゴは「イチイガシ」「イチビコ」と呼ばれていました。それがなまって「イチゴ」と呼ぶようになったといわれています。 英名の「strawberry」は、「ワラのベリー」という意味で、イチゴがワラに巻かれたり、敷かれたりして売られていたからという説があるようです。 イチゴは野菜? 果物? Ievgenii Meyer/Shutterstock.com イチゴは人気の高いフルーツですが、野菜の仲間の果菜類(実を収穫する野菜)に分類されています。実際のイチゴの実は、甘くて美味しい果肉ではなく、表面にゴマのようについている「そう果」という部分で、さらにその中に種が入っています。赤い果肉部分は、子房を支える土台の「花托」という器官です。 イチゴの花の特徴 Valentsova/Shutterstock.com イチゴの開花期は3月下旬〜4月。花茎を伸ばした先に、数輪の花を咲かせます。基本的には白の一重咲きですが、中にはピンクの花を咲かせる品種もあります。 イチゴの花言葉 Anake Seenadee/Shutterstock.com イチゴの花言葉には、「尊重と愛情」「完全なる善」「先見の明」「甘い香り」「幸福な家庭」「あなたは私を喜ばせる」などがあります。 イチゴを育ててみよう ここまで、イチゴの基礎知識や種類、特徴、花言葉など、幅広くご紹介してきました。では、ここからは家庭菜園の実践編として、イチゴの育て方について詳しく解説していきます。 品種と苗を選ぶ Photographee.eu/Shutterstock.com イチゴの栽培は、苗の植え付けからスタートします。苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。初心者でも育てやすい品種は、‘章姫’、‘宝交早生’、‘とちおとめ’、‘あかねっ娘’などです。 苗は本葉が4〜5枚ついた、節間が詰まって勢いのあるものを選びましょう。また、ウイルスフリーの苗を選ぶのも失敗を少なくするポイント。ウイルスフリー苗とは、成長点培養でウイルス病に冒されないように育苗された、病気を持っていない苗のことです。 土作り blueeyes/Shutterstock.com 【菜園】 苗を植え付ける2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥約2㎏、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、熔リン約50gを均一にまいて、よく耕しましょう。畝の幅を約60cm取って、高さ10cmほどの畝をつくります。畝の長さは苗の数や広さに応じて自由に決めてかまいません。表土は平らにならしておきましょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。 【プランター栽培】 野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 植え付け OlegDoroshin/Shutterstock.com イチゴの植え付け適期は、10月中旬〜11月中旬です。これ以外の時期に花苗店などで苗を購入した場合は、すぐに植え付けてください。 植え付けの際は、イチゴの苗の地際の部分をよく見てください。親株から伸びたつるの「ランナー」が残っています。イチゴは、このランナーの反対側に花が咲いて実をつける性質を持っているので、ランナーを揃えて植えると、人工授粉や収穫などの管理がしやすくなります。また、イチゴの苗は、葉が付け根から放射状に伸びますが、この付け根の膨らんだ部分を「クラウン」といいます。このクラウンは成長点のため、地面に深く植えて埋めてしまうと、成長しなくなります。イチゴを植え付ける際は、クラウンを埋めないように浅植えにするのがポイントです。 【菜園】 土作りの際に設けた畝に、株間(株と株の間)・条間(隣の列との間)ともに約30cmの間隔を取って苗を植え付けます。畑の内側にランナーを揃えると、畝の外側に実がつき、管理がしやすくなります。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。 【プランター栽培】 横幅60〜70cmほどの標準的な長方形型プランターで、3株を目安に植えるとよいでしょう。 底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3㎝残しておきましょう。15〜20cmの間隔を取って苗を植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 【菜園】 地植えの場合は地下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、雨が降らず乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。 【プランター栽培】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 夏は気温の高い時間帯に水やりすると、直射日光で地熱が上がり、お湯のように熱くなって株が弱るので、涼しい朝か夕方に与えるようにしてください。 冬は、気温が十分に上がった昼ぐらいに与えましょう。夕方以降に水やりすると凍結の原因になるので注意します。 枯れ葉の除去 mihalec/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培ともに】 植え付けたあとは成長点のクラウンから葉が増え、その分古い葉は枯れていきます。この枯れた葉は、まめに取り除いておきましょう。いつまでも残しておくと病害虫が蔓延する原因になるので、枯れ葉を取って株まわりを清潔に保ってください。 肥料 Pawel Beres/Shutterstock.com 【菜園】 1回目の追肥を、1月下旬〜2月上旬に行います。1㎡当たり約30gの緩効性化成肥料を株の周囲にばらまき、移植ゴテなどでよく土になじませて株元に寄せておきましょう。 2回目の追肥は、花が咲き始めた頃に行います。マルチの穴を広げ、緩効性化成肥料を1株当たり1つまみほどばらまき、土になじませましょう。 【プランター栽培】 イチゴの花が咲いた頃、緩効性化成肥料10gほどを均一にばらまき、土になじませましょう。 マルチングする pausestudio/Shutterstock.com 【菜園】 3月上旬〜中旬に、黒のマルチフィルムを畝にかける「マルチング」を行います。マルチフィルムを畝全体にかけ、ピンと張って四方を土で盛って固定します。苗の真上あたりをカッターかハサミでバツ印に切り、すべての葉を地上に引き出してください。マルチングには、雨の跳ね返りを防いで病気が蔓延するのを予防したり、実が土にあたって傷まないようにする目的があります。 【プランター栽培】 プランターで栽培する場合は、マルチングの作業は不要です。 人工授粉 Pressmaster/Shutterstock.com 【菜園・プランターともに】 イチゴは虫が媒介して受粉します。しかし確実に収穫を目指すなら、人工授粉をすると安心です。花が咲いたら、筆などで花の中央をまんべんなくなでてください。特にプランター栽培で、なかなか虫が来ない環境では必ず行っておきたい作業です。 収穫 Michelle Sha/Shutterstock.com 【菜園・プランターともに】 イチゴの収穫期は、4月中旬〜6月上旬です。実がヘタの部分まで赤くなったら、切り取って収穫しましょう。完熟果の甘くてジューシーな味わいは、家庭栽培ならではですよ。 増やし方 Kazakova Maryia/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培ともに】 イチゴは収穫を終えた後、初夏頃から次々と長いつるのようなランナーを伸ばし始めます。このランナーから新しい葉や根を出して、次々に子株を増やしていく性質を持っているんです。すごい生命力ですね! この性質を利用して、株を増やしてみましょう。 親株から出たランナーにできる1株目は、生育が不安定になりやすいので使いません。1株目からさらにランナーを伸ばして2節目にできる子株を採取することにします。2節目から葉と根が出てきたら、ポリポットに培養土を入れてランナーをつけたまま植え付けましょう。そのまま3週間ほど経つと、根がしっかり活着するので、親株とつながっているランナーを切り取って独立させます(植え付けの際に、ランナーの向きを揃えて植えると説明しましたが、それはこの切り取った跡のことです)。子株は秋まで育苗し、植え付け適期に定植しましょう。 イチゴの繁殖能力は旺盛で、1株からランナーを旺盛に伸ばし、15〜20株ほどの子株を採取することができます。プランター栽培などでは、「邪魔だな」と思うこともあるほど。増やす必要がない場合は、ランナーが伸び始めたら早めに切り取ってもかまいません。 病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 イチゴの栽培で注意したい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病は、かびの一種が原因で発症します。葉と茎に発生し、全体に白い粉を吹いたような状態になるので、発見しやすい病気です。発症しても枯死するまでには至りませんが、生育が止まってしまいます。7〜9月に発生しやすく、気温が低下すると収束するのが特徴。畑では乾燥気味の状態で発生しやすいので、水の管理に注意しましょう。また、多肥によって軟弱になった株や、繁茂しすぎて風通しが悪くなった株も発生しやすくなります。 灰色かび病は、花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く、込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。枯れ葉をこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。症状の出た花や葉はすぐに取り除いてください。 【害虫】 イチゴの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。 アブラムシは、新芽が出る頃から多発しやすく、放置するとすぐに増えて、びっしりと茎葉を覆うまでになります。ウイルス病を媒介する厄介者なので、プランター栽培などでは発生初期に水で洗い流すなどの対処を。キラキラと光るものを嫌う性質があるので、地植え栽培では植え付け時に、被覆資材のシルバーマルチを畝に張っておくのもよいでしょう。 ヨトウムシには、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロシタヨトウ、オオタバコガの幼虫なども含まれます。漢字では「夜盗虫」と書き、文字通り夜に現れて、旺盛に食害します。幼虫が大きくなると被害も大きくなるので、食害の痕跡を発見したら、夜にパトロールして捕殺しましょう。 花も実も魅力的なイチゴ! さっそく育ててみよう Real_life_Studio/Shutterstock.com イチゴは、初心者でも簡単に家庭栽培できるので「収穫できる植物を育ててみたい」と考えている方におすすめです。真っ赤に完熟した果実を収穫できるのは、家庭栽培ならではの贅沢。お子さんのいる家庭では、イチゴが花を咲かせた後に実をつける過程を一緒に観察すれば、食育にもつながります。ぜひ庭やベランダで育ててみてはいかがでしょうか?
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宿根草・多年草

タンポポ(たんぽぽ)についてもっと知りたい! 特徴や種類についてご紹介
タンポポとは? タンポポは、キク科タンポポ属の草花の総称で、主に3~4月にかけて、黄色い花を咲かせる野草です。春の野草といえば、このタンポポを思い浮かべる方も多いでしょう。もっとも、セイヨウタンポポは一年中花を咲かせることができるので、春以外の季節でも花を見ることができます。毎年花を咲かせる多年草で、生命力が強く、根が残っていれば茎を刈られてもまた伸びてきます。タンポポは根が長く、50cm以上まで深く伸ばすこともあるので、ガーデニングや家庭菜園では、根絶しにくいちょっと厄介な雑草でもあります。江戸時代には園芸愛好家にも人気のある花で、園芸品種もつくられました。 タンポポの特徴 それでは、タンポポの特徴について詳しく解説していきましょう。 特徴1.花 Maxstockphoto/Shutterstock.com まずはタンポポの花の特徴を見ていきましょう。 タンポポの花といえば、茎の先に咲く丸い花を思い浮かべますよね。でもじつは、これは花の集合体。1枚1枚の花弁のように見えている小さな花が集まった、花の塊(頭状花)なのです。小さな花が集まって、一つの大きな花のように見せることで、より昆虫の目を引くようにしているのだそう。 タンポポの花の蜜を吸うミツバチ。花弁のように一つひとつの小さな花が、実際のタンポポの花で、そこからしべが伸びているのが分かります。Yunhyok Choi/Shutterstock.com この小さな花を一つ取って観察してみましょう。小さな花の上部は舌のように伸び、下部は筒状になっていて、中にはちゃんとおしべとめしべがつくられています。このような形の花は、合弁花の一つで舌状花と呼ばれ、タンポポと同じくキク科のコスモスやヒマワリにも見られますが、タンポポはこの形の花だけが集まっているのが特徴です。 タンポポの花が咲く期間は約3日。花は朝につぼみを開き、夕方には閉じています。初めは太陽の光が差し込み、15~25℃ほどの温度がある状態で咲き始めますが、2日目以降は太陽の光だけでも咲いたり、3日目になるとどちらもなくても花が開くこともあり、まだ花の動きについてはよく分かっていないことも多いようです。 特徴2.葉 Maren Winter/Shutterstock.com 次に、タンポポの葉を見ていきましょう。 タンポポの葉は、ぎざぎざと切れ込みが入った形が特徴的。この葉は、育つ場所によって少し形が変わってくることもあります。日当たりが悪い、日陰の場所に咲くタンポポの葉は、少しでも太陽の光を多く浴びることができるように、葉の枚数が少なく、切れ込みが浅くなります。一方、日当たりのよい場所に咲くタンポポは、重なった葉の隙間から差し込む光でも光合成ができるため、葉の切れ込みは深くなり、重なり合うように多く茂る傾向にあります。 また、夏の間は他の植物もよく茂るので、草丈の低いタンポポはあまり光を浴びることができません。そこで、夏の間は葉を少なくして活動量を減らし、秋頃になって他の植物の活動量が落ちてくると、葉をロゼット状に茂らせて寒さや乾燥から身を守りながら冬を越します。 特徴3.綿毛 maoyunping/Shutterstock.com 続いて、タンポポの種子である綿毛について。タンポポといえば、黄色い花もさることながら、白くふわふわとしたこの綿毛姿も可愛らしいですよね。茎を折り取って、息を吹きかけて飛ばしたことがある人も多いはず。 タンポポの綿毛の部分は冠毛といい、風に乗って飛ばされやすいよう、羽に似た形をしていて、雨の日になると濡れないように閉じてしまいますが、晴れるとまた元通りになって飛んでいきます。冠毛を一つ取って見てみると、綿毛の下にタネのようなものがついています。これはタンポポの果実(痩果)で、この中にタネが入っています。 さて、先述の通り、タンポポの花は小さな花の集合体。そのため、花が咲いた後はその一つひとつが果実をつくり、あのように綿毛がついたたくさんの果実が集まった姿になります。こうしてつくられた果実は、離れた場所で繁殖するために飛んでいくのです。 タンポポは繁殖力が強く、タネが落ちたところが土の上でなくても成長することがあります。アスファルトの隙間などから顔をのぞかせている姿などもよく見かけますね。 特徴4.茎 Tatyana Mi/Shutterstock.com タンポポの茎は、よく見ると葉がついていません。この茎は花茎と呼ばれ、葉をつけるのではなく花を咲かせるための茎です。タンポポのつぼみは葉のつけ根にでき、成長するごとに花茎が伸びて花を咲かせます。花が咲き終わった後は、茎の成長は止まりますが、葉や根の養分が送られてタネが育ち、2週間ほどで白い綿毛姿が見られます。ちなみに、タンポポの茎を折ると出てくる白い乳液は、細菌やカビの侵入を防ぎ、傷口の修復をする作用があると考えられています。 特徴5.根 vainillaychile/Shutterstock.com タンポポは地中深くまで長い根を伸ばしています。長さは30~50cmほどで、時に1mを超えることもあります。タンポポの根はとても太く丈夫で、地上部がなくなっても根があれば再生できるため、生命力の強い野草です。長い根を完全に取り切るのは難しいため、雑草としてはなかなか厄介な存在です。この根を焙煎してつくるたんぽぽコーヒーは、コーヒーの代替品として使われていることもあります。味はコーヒーそのもの、という訳ではありませんが、ノンカフェインで、健康や美容によい効果があるとされているため、現在でも多くの人に飲用されています。 タンポポの種類 よく知られているように、タンポポには大きく分けて、日本に自生するニホンタンポポと、外来種であるセイヨウタンポポの2つがあります。ここでは、それぞれの特徴や違いを解説します。 二ホンタンポポ カントウタンポポ。ikwc_exps/Shutterstock.com ニホンタンポポは、もともと日本に生息していた自生種です。ニホンタンポポと一口にいっても、カントウタンポポやエゾタンポポ、シロバナタンポポなど、いくつもの種類がありますが、どれも花のつけ根にある総苞が閉じているのが大きな特徴で、花の後ろを確認すれば、セイヨウタンポポと簡単に見分けることができます。稀に冬にも咲くことがありますが、基本的に開花するのは春のみ。綿毛のついた果実はセイヨウタンポポよりも大きく重く、量も少ないため、広範囲に飛ぶことが少なく、また、セイヨウタンポポとは違い、単為生殖によって増えることも少ないため、分布している範囲は局地的です。最近ではセイヨウタンポポに押され、目にすることが少なくなりましたが、神社のそばなど昔ながらの自然が残っている場所では、自生している姿を見ることができます。しかしながら、じつはニホンタンポポは、環境適応能力はセイヨウタンポポよりも上で、非常に強いと考えられています。もっとも、セイヨウタンポポとの交雑が多く起こっているため、純粋なニホンタンポポは次第に数を減らしているようです。 ニホンタンポポの一つ、シロバナタンポポ。花の下の総苞片は反り返りません。High Mountain/Shutterstock.com セイヨウタンポポ 花の下の総苞片が反り返っているのが特徴。F_studio/Shutterstock.com セイヨウタンポポはもともと外来種ですが、現在では日本各地に分布。日本で確認されるタンポポの8割ほどがセイヨウタンポポか、その交雑種だといわれていて、普段見かけるタンポポも、多くがセイヨウタンポポになっています。セイヨウタンポポは、ニホンタンポポとは違い、総苞片が反り返っているという特徴があります。ただし、ニホンタンポポとの交雑種には見分けがつきにくいものもあります。また、タネの量が非常に多く、果実も小さく軽いので、風に乗って広範囲に広がり、アスファルトの隙間など、生活に身近なところにも多く分布しています。単為生殖によりクローン体をつくって多数に増える半面、環境適応力はニホンタンポポに比べてやや低いそう。一年中開花することができるので、季節を問わず花を楽しむことができます。 タンポポの名前の由来 Cyrustr/Shutterstock.com あの可愛らしい花にぴったりなタンポポという名前ですが、この名前の由来をご存じでしょうか。ここでは、タンポポの名前の由来を、日本語と英語に分けて解説しましょう。 和名「蒲公英(たんぽぽ)」の由来 タンポポという、なんだか心が弾むような可愛い名前ですが、この名の由来は諸説あります。 由来の一つは、白い綿毛が丸く集まった様子が、綿などを丸めて布で包んだ「たんぽ」に似ていることから、「たんぽ穂」となったというもの。田んぼの道に生えていることが多かったことから「田菜」と呼ばれていたものが、徐々に「たん」という音に変わり、綿毛がほほける(ほつれる)という特徴から「ほほ」と組み合わさって、「たんぽぽ」になったという説もあります。ほかに、タンポポの異名の一つである「鼓草(つつみぐさ)」から、鼓をたたいた音が「タンタン、ポンポン」であることから、タンポポという名前の由来になったという説もあります。どの説が正解かは分かっていませんが、いずれにせよ、春の明るい雰囲気を伝える黄色い花にぴったりの名前ですよね。 また、タンポポは漢字では蒲公英と書きます。これは中国から伝わった言葉で、開花前に収穫したタンポポを乾燥させた漢方を「蒲公英(ほこうえい)」と呼ぶことから、この漢字を使うようになったと考えられています。 英名「Dandelion(ダンデライオン)」の由来 タンポポは英語で「Dandelion(ダンデライオン)」。タンポポの黄色い花が、ライオン(lion)のたてがみに似ていることからこの名がついたとされることもありますが、じつは名前の由来となったのは花ではなく葉。ギザギザと切れ込みが入ったタンポポの葉を、荒々しいライオンの歯並びに見立てた名前となっているそうです。 タンポポの花言葉 Shukaylova Zinaida/Shutterstock.com タンポポの花言葉は、「愛の神託」「別離」など。「愛の神託」は、ヨーロッパにあるたんぽぽの綿毛を使用した占いに由来しています。「好き、嫌い」を唱えながら最後に残った綿毛がどちらになるかという占いで、恋の行方を神に託したことから「愛の神託」という花言葉がついたそうです。また、「別離」はタンポポの綿毛が風に乗って飛んでいく姿からつけられました。 タンポポは優れた野草! nada54/Shutterstock.com 明るい黄色の、元気が出る花を咲かせてくれるタンポポは、私たちの暮らしの中でも親しみのある花です。花を楽しむだけでなく、タンポポは明治時代頃まで、花を天ぷらにしたり、茎をきんぴらにして食べられていた、食用できる野草でもあります。たんぽぽを乾燥させたものは、生薬「蒲公英」として利用されています。可愛らしい見た目とは裏腹に、とても実用的な花でもあるのです。 タンポポの葉や茎には、ちょっと苦みがあって好き嫌いの分かれる味ですが、野草の一つとして食べてみるのもいいですね。もし野生のタンポポを食べてみる場合は、汚染がなく食用にできるものかをよく確認しましょう。また、刺激が強いので、食べ過ぎにはご注意ください。 参考文献:「小さな園芸館」http://dp29197713.lolipop.jp/index.htm「ベネッセ 教育情報サイト」https://benesse.jp/「おしえて!田舎センセイ!」https://inakasensei.com/「トレンドピックアップ」https://santa001.com/「花言葉-由来」https://hananokotoba.com/
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樹木

【桜の盆栽】 小スペースで咲かせる! コンパクトな桜の盆栽の育て方
桜の盆栽とは? PhotoMik/Shutterstock.com まずは桜の盆栽とはどんなものか、魅力や特徴、品種などについてご紹介します。 桜の盆栽の魅力 Tammyiho/Shutterstock.com 桜を小さな鉢に植え付けて「盆栽仕立て」にすることで、通常は大きく成長する桜がコンパクトに楽しめます。盆栽のなかには、樹高が10cmにも満たない小ぶりなものもあるので、ベランダやテラス、庭の一角、窓辺などの限られたスペースにも置きやすいのがメリットです。 桜は、春は華やかな花が咲き、夏は葉桜など、四季ごとに異なる姿を見せてくれます。盆栽の種類もいろいろで、桜と藤の花を組み合わせ、寄せ植えにしたものもあります。販売されている桜の盆栽の価格帯は、3,000〜10,000円が中心で、比較的お手頃なのも魅力です。 盆栽に使われる桜の種類 blubird/Shutterstock.com 桜には大きく分けて里桜と山桜の2種類があります。 里桜は公園や道路、庭などに植えられた野生種から園芸用に品種改良されたものを指します。ひと口に里桜といってもいくつかの品種があり、立派な樹形が特徴で接ぎ木苗から育てるソメイヨシノや、垂れた枝が特徴のしだれ桜、春と秋に花が咲き、1年に2回花が楽しめる十月桜、初心者向けとされている旭山桜などがあります。 山桜は野山に自生している桜の品種で、こちらもいくつかの種類がありますが、盆栽仕立てでは富士桜がよく用いられます。 桜の盆栽の管理方法 AMJ Fotografia/Shutterstock.com 桜の盆栽は、時期に合わせた適切な管理が必要です。 3月中旬から下旬に花が咲き終わったら剪定し、形を整えます。開花期間中は花がら摘みも忘れずに行いましょう。肥料は春から秋にかけて施しますが、梅雨と真夏の時期は避けたほうが無難です。 9月頃になったら必要に応じて植え替えをします。11〜12月、桜が休眠する寒くなる時期よりも前に、本格的な剪定を終わらせておくとよいでしょう。 桜の盆栽を育てるポイントは? Mila Supinskaya Glashchenko/Shutterstock.com ここからは、置き場所や水やり、針金掛けなど、桜の盆栽を育てる際のポイントを解説します。 置き場所 Sergey Rybin/Shutterstock.com 桜の盆栽は、基本的に屋外で管理します。 管理がしやすいのは半日陰ですが、立派な花を咲かせるためには、よく日に当てたほうがよいでしょう。屋内や軒下で管理する場合は、日中に時々窓を開けて風通しをよくし、日照が不足しないように気をつけましょう。 冬は、寒冷地の場合は寒さから守るため、一時的にであれば室内管理も可能ですが、ソメイヨシノのように、ある程度長い期間寒さにあてないと、翌春の花が咲かないものもあります。樹に冬が来たことを知らせるため、冬の間に2〜3回霜にあたるような環境で育てるほうがよいでしょう。 水やり New Africa/Shutterstock.com 桜の盆栽は根の成長が旺盛なので、水を好みます。表土が乾いていたら、たっぷりと水やりをしましょう。季節に応じて水やり方法を変えると、根腐れを防いだり、花の咲き具合をよくしたりといった効果があります。夏場は1日に2回、春や秋は1日に1〜2回、冬場は2〜3日に1回が目安です。 針金掛け khuntapol/Shutterstock.com 桜の幹や枝は水分が多く、柔らかくて折れやすい性質です。枝の形を整えるために施す針金掛けを行う場合、枝や幹肌を傷めないように、針金に紙を巻いてから掛ける方法もおすすめです。古い枝ほど折れやすいので、針金を掛ける場合は、伸びてまもない、しなやかな若い枝を選びましょう。 樹の形はこまめな剪定で整えて作っていきます。針金はあくまでも補助的なものと考えたほうがよいでしょう。針金を掛けるのに適切な時期は6月頃で、休眠前の寒い時期に掛けてしまうと枝が枯れる場合もありますので注意が必要です。 植え替え tete_escape/Shutterstock.com 植え替えの適期は、春または秋です。桜は成長が早いので、毎年植え替えをしたほうがよいでしょう。 植え替えの前には水やりを控えると作業しやすく、根も傷めにくくなります。鉢から取り出した根株の古い根や傷んだ部分を切り取り、小さな鉢の中で新しい根が成長しやすいように整えます。古い土は7割ほど取り除いて新しい土を足してから鉢に植え込みましょう。 病気や害虫の予防と対策 ALX1618/Shutterstock.com 剪定後は木が弱っていますので、切り口に防腐剤を塗るなどのひと手間が重要です。また、花がらはこまめに摘み取り、株を清潔に保つことが病気の予防になります。 新芽や若葉が伸び出す頃にはアブラムシや毛虫、葉がしっかりしてくる頃にはカイガラムシやワタムシに注意が必要です。もしカイガラムシやワタムシが発生してしまった場合は、歯ブラシなどで除去したり、適用のある殺虫剤を使うのも有効です。 桜の盆栽を整えるには剪定が大切 TONG2519/Shutterstock.com 盆栽らしい樹形をつくるためには、剪定の仕方がポイントです。ここからは桜の盆栽の剪定について解説します。 若木の剪定 Monika Wisniewska/Shutterstock.com 若木のうちは樹の形を決めるために積極的に剪定しましょう。花芽は意識せずに芽摘みを繰り返し、不要な枝は思い切って切り詰めましょう。太い枝を切る場合は、切り口から病気に感染したり、害虫に蝕まれたりするリスクが高いので、もし切り落とす必要がある場合は、前述のように切り口には防腐剤を塗るとよいでしょう。 形が整ってきた頃の剪定 nikita kuznetsof/Shutterstock.com 形が整ってきたら、花が咲き終わった後と、休眠期に入る前の2回に分けて剪定を行います。形を整える程度であれば、枝の先端を切るだけでも十分です。混み合っている場合は、枝分かれをしている付け根から間引きましょう。太い枝は切りすぎないように剪定します。 綺麗な桜を咲かせるコツは? Alexey Malkov/Shutterstock.com 綺麗な花を咲かせるためには、水やりが重要です。夏場の水やりは加減が難しく、水が少ないと翌年の咲き具合が悪くなってしまいますが、与えすぎると茎や葉が成長しすぎる原因になります。冬に水切れを起こすと花芽を傷めてしまいますので、水を切らさないようにしましょう。 花が咲いた後は栄養が不足している状態なので、肥料が必要不可欠です。また、植え替え後に伸びた枝には新芽がよくつくので、枝の伸びが止まるまで切り詰めないようにしましょう。盆栽をよく光に当てることも重要です。 自分でも桜の盆栽は作れる? MNStudio/Shutterstock.com 自分で1から桜の盆栽を育てる場合は、種子を播く方法と、挿し木をする方法があります。 種子から育てる場合は、種子を1〜3カ月間冷蔵庫で冷やして擬似的に冬眠のような状態にします。その後、12月から1月に種まきします。 挿し木の場合は、3月から4月に行います。はじめは苗用ポットで発根させ、半年ほど育てて鉢に植え替えます。 綺麗に桜の盆栽を仕立てるには日々のお手入れが大切 Matthieu Tuffet/Shutterstock.com 桜の盆栽を育てて美しい花を咲かせるためには、日頃のお手入れが最も大切です。水やりや肥料、日当たりに注意して、見ごたえのある花を咲かせる盆栽に仕立てましょう。 また、桜は枝が柔らかく傷つきやすい植物ですので、剪定や針金掛けの際は、樹を傷めないよう十分注意して育ててくださいね。
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土作り

【ガーデニングの基本】花や野菜を育てるには土づくりが大切! 土壌改良の方法
植物を元気に育てるために欠かせない土壌改良! 土質やpHを調整 Nieriss/Shutterstock.com 植物を元気に育てるためには「土壌改良(どじょうかいりょう)」が欠かせません。植物に適した土というのは、「水はけのよい土」や「保水性のある土」、「微生物が多い土」、「pH(ペーハーまたはピーエイチ)がちょうどよい土」などですが、育てたい植物の種類によって、どのような土が適しているかは異なります。 また、植物を育て始めてから時間が経過すると、土の状態も変化していきます。育てたい植物の特性を考慮した上で、土の状態を調整することが必要です。 表面と深部の土を入れ替える「天地返し」も土壌改良の方法の一つ Shaplov Evgeny/Shutterstock.com 植物が根を伸ばしている範囲でそのまま栽培を続けていると、土壌の養分のバランスが偏ったり、悪くなってしまいます。これを解決するには、シャベルなどを使って深く掘り込み、上層と下層の土を入れ替える「天地がえし」を行います。 これは下層へ有機物をすきこむとともに、下層に溜まった栄養素を上層にあげて偏りを緩和することができます。土中に潜んでいる害虫を発見するのにも役立ちます。 また、掘り起こすことができない樹木などであれば、株元から少し離れた場所を掘り返すことでも適度に根が切れて樹勢が抑えられ、徒長枝が出にくくなるというメリットもあります。 土質を変えたいときやpHの調整には土壌改良剤を使う! 種類と特徴 Inthemood/Shutterstock.com 土に施すことで土壌の性質を改善することができるのが、土壌改良剤です。ここでは代表的な土壌改良剤についてご紹介します。 通気性や水はけをよくして土をフカフカにする「腐葉土」 Paul Maguire/Shutterstock.com 腐葉土は広葉樹の落ち葉や枝を積み重ねて発酵させたものです。腐葉土を使うと微生物が繁殖しやすくなり、有機物の分解や土の団粒化を促進してくれるので、通気性や排水性、肥料もちがよくなり、ふかふかの土になります。腐葉土を使う際は、しっかりと熟成させたものを使いましょう。また、腐葉土は自分で作ることもできます。 土の中に腐葉土などの有機物が豊富にあると、特定の微生物だけが増えず、多様な微生物が棲みつくようになります。これによって、土の中の特定の微生物が原因となる病気を防ぐ効果も期待できます。 もみ殻が原料の「もみ殻くん炭」も代表的な土壌改良剤 Jamaludinyusuppp/Shutterstock.com もみ殻をいぶして炭化させた「もみ殻くん炭」は、土壌をアルカリ性にする効果があります。 保水性や排水性、通気性もよくなり、消臭効果や雑菌・害虫を抑える効果も期待できます。 また、もみ殻くん炭には微細な穴が無数にあり、ここに数多くの微生物が棲みつくことで、土壌環境の改善につながります。 土を柔らかくしてくれる効果が高い「バーク堆肥」 Miriam Doerr Martin Frommherz/Shutterstock.com バーク堆肥は、針葉樹や広葉樹の樹皮を発酵させたものです。保水性や肥料もちがよくなる効果があります。分解されにくいため、さまざまな微生物が集まり、また効果が長もちする特徴があります。 動物由来の「牛ふん堆肥」や「鶏ふん堆肥」は肥料分を含む kram-9/Shutterstock.com 牛や豚、鶏などのふんを発酵させて作る動物由来の堆肥は、土をフカフカにする効果があります。窒素やリン酸、カリウムなどの栄養分も多く含みます。 牛ふん堆肥は、草や藁を食べる牛のふんを使っているため、繊維質が多いのが特徴です。それに対し、鶏ふん堆肥は肥料分が多いのが特徴です。そのほかにも、豚ぷん堆肥や馬ふん堆肥などもあります。 これらの堆肥は、しっかりと熟成させたものを使いましょう。 通気性や保水性に優れた「バーミキュライト」は種まきや挿し木にも! vandycan/Shutterstock.com バーミキュライトは、黒雲母が風化した「ひる石」を高温で焼いて膨張させたものです。多孔質の多層構造をしているので、通気性に優れており、保水性が向上するほか、肥料もちもよくなります。無菌でpHが中性なので、種まきや挿し木、水耕栽培などにも使われます。 多孔質で軽い「パーライト」も通気性や保水性に優れた土壌改良剤 RPA Studio/Shutterstock.com パーライトは真珠岩や黒曜石など、ガラス質の火山岩を高温で加熱して粒状にしたものです。多孔質なので、保水性や通気性、排水性などに優れています。 真珠岩が原料のパーライトは特に保水性がよく、乾きやすい土や水はけがよすぎる土の改良に向いています。 黒曜石が原料のものは通気性や排水性がよいため、真珠岩とは異なり、水はけが悪い土の改良に向いています。 改良したい土壌の目的に合ったパーライトを選ぶことがポイントです。 保水性を向上させながら酸性度も調整できる「ピートモス」 Anton Starikov/Shutterstock.com ピートモスは、湿原に苔が堆積して泥炭化したものを乾燥させ砕いたものです。強酸性で、ツツジやブルーベリーなど酸性土壌を好む植物の栽培に向きます。保水性や肥料もちもよく、フカフカで柔らかい土になります。 ピートモスを生産するためには、カナダなど冷涼な地域の泥炭(でいたん)を掘り上げる必要がありますが、泥炭を取った後の表土は植物が極めて育ちにくいため、そこだけ荒れ地になってしまい、豊かな湿原が失われる原因となっています。ピートモスは水もちがよく大量生産の苗づくりには便利なのですが、近年では環境保全の観点からピートモスの利用を控えようという動きが出始め、イギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国などでは、ピートモスを含まない「ピートモス・フリー(ピートフリー)」の園芸用土の流通が進みつつあります。 酸性に傾きやすい日本の土壌をアルカリ性にしてくれる「苦土石灰」 FotoHelin/Shutterstock.com 苦土石灰(くどせっかい)はドロマイトという鉱物を加熱して、粉状や粒状にしたものです。苦土とはマグネシウムのことです。カルシウムを多く含み弱アルカリ性のため、酸性土壌をアルカリ性に傾けたいときに使います。 苦土石灰に似た土壌改良剤として、消石灰や有機石灰があり、どちらも酸性土壌を中和してくれます。ただし、消石灰はマグネシウムを含んでいません。有機石灰は貝殻や卵の殻などが原料の石灰です。消石灰は効き目が強いため酸度調整をしやすいメリットがありますが、土に混ぜ込んですぐは植物の根を傷めやすいため、植え付けの1〜2週間ほど前に土に混ぜ込み、土となじませておく必要があります。 苦土石灰や有機石灰は効き目がマイルドなため、植え付け後の土にそのまま混ぜ込んでも害が出にくい性質があります。 東日本に多い「火山灰土壌=赤土」、「鹿沼土」はリン酸を多く吸着する性質があり、せっかくリン酸肥料を土に混ぜ込んでも植物の根が利用できないというタイプの土です。また、酸度としてはやや酸性なのですが、石灰をまくことで土が中性〜弱アルカリ性になると赤土に吸着されていたリン酸が、植物の根が利用できる状態になることが知られています。そのため、石灰を使うことで植物の生育を促すことができます。ただし、まきすぎると逆に害になりますし、石灰にだけ頼っていると土壌への有機質補給がおろそかになり、土が硬くなってしまいます。石灰を施す際には、腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質とセットで使うのがおすすめです。 土壌の団粒形成を促進する「合成高分子系資材」も土壌改良に使われる AnEduard/Shutterstock.com 高分子化合物系の土壌改良剤の代表的なものには、ポリエチレンイミン系の資材や、ポリビニルアルコール系資材があります。 どちらも土壌の団粒化を促し、保水性や透水性がアップします。 ポリエチレンイミン系資材は陽イオン系の資材です。ポリビニルアルコール系資材はポバールまたはPVAとも呼ばれています。 土壌改良に適した時期と方法は? Pixelbliss/Shutterstock.com 土壌改良を行う時期に決まりはありませんが、春や秋に咲く花の入れ替わる時期が適しており、花が少なく、多くの植物が休眠状態にある冬場が特にチャンスです。 冬に天地返しを行って深部の土を冷気にさらすことで、病害虫や病原菌を減らすことができ、土を軟らかくする効果もあります。 天地返しを行う際は、不要なゴミや根、雑草を取り除きましょう。その際に育てる植物に合った土になるように、これまでご紹介してきた土壌改良剤も適宜混ぜ込みます。 連作障害対策としても土壌改良は大切 Bestkadr/Shutterstock.com 連作障害(れんさくしょうがい)は、通気性や排水性の低下、肥料や微生物の偏りによって起こると考えられています。同じ植物を続けて植えないなどの対策もありますが、土壌改良によって連作障害を起こりにくくすることもできます。 夏には太陽熱を利用した土の殺菌、冬なら天地返しを行って、必要に応じて土壌改良剤を混ぜ込みましょう。また、連作障害対策には異なる種類(科)の植物を混ぜて植える「混植(こんしょく)」も有効です。 花や野菜を元気に育てるためにも土壌改良をしっかり行おう! Mouskie/Shutterstock.com 天地返しによる土壌改良や、さまざまな種類の土壌改良剤を目的に合わせて使い分けることで、植物が健やかに育つ土にすることができます。 花や野菜を元気に育てるために、タイミングを計ってしっかりと土壌改良を行いましょう。
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宿根草・多年草

春の可憐な使者「スミレ」特徴・種類・育て方・意外な一面をご紹介
スミレってどんな花? Rejdan/Shutterstock.com 春になると、愛らしい紫色の小さな花を咲かせるスミレ。何年も同じような場所で咲く多年草なので、毎年この花を見るのを春の楽しみにしているという人も多いはず。まずは、そんなスミレの見た目や特徴についてご紹介します。 スミレの見た目 Tamotsu Ito/Shutterstock.com 一般的にもよく知られているスミレの花ですが、じっくり見ると新しい発見もあるはず。スミレの花をちょっと観察してみましょう。 【花】 ニオイスミレの花。Petr Ganaj/Shutterstock.com スミレの花は、細く伸びた茎の先に、花径2cmほどの小さな1輪の花をつけます。花形は5弁花で、左右対称。中央の下向きの唇弁には筋模様が入ることが多いのが特徴です。また、一般的に、この唇弁の基部は膨らんで後ろに突き出し、距(きょ)と呼ばれる袋状の部分になっています。ここにたまる蜜に虫が誘われてもぐりこむと、花粉が虫について受粉を助けるという仕組み。写真のように側弁の2枚には細かな白毛が見られる種もあります。 スミレの花を横から見た様子。後ろに突き出している部分が距。F_studio/Shutterstock.com 花色は深紫のほか、白やピンク、紫、黄なども見られます。スミレの園芸品種である、冬から春のガーデニング素材としておなじみのビオラになると、本当に色とりどりの花を咲かせます。 黄色い花を咲かせるキバナノコマノツメ(Viola biflora)。和名にスミレが入らない珍しい例でもあります。simona pavan/Shutterstock.com 【茎】 スミレには大きく分けて有茎種と無茎種があります。有茎種のスミレは地上茎を持ち、その茎に葉や花が付きますが、無茎種のスミレは、根元から直接葉や花柄を伸ばして花を咲かせます。 茎に花や葉が付く有茎種のビオラ・ライヘンバッキアナ(アーリー・ドッグ・バイオレット)。Jaromir Klein/Shutterstock.com 根元から直接花や葉を立ち上げる無茎種のビオラ・マンジュリカ。shiro_ring/Shutterstock.com 【葉】 KPG Payless2/Shutterstock.com スミレの葉は、有茎種の場合は茎に互生(ごせい/茎に対して葉が交互に付く)し、無茎種の場合は根元から直接葉柄を伸ばします。形は、細長いもの、丸みのあるもの、ハート形のものなど、じつにさまざまです。色は基本的に緑で模様がないものが多いですが、斑入りの品種や、裏面が紫色がかる品種などもあります。よく似たスミレの花を見分ける時も、葉は重要なチェックポイントになります。 スミレの特徴 ikwc_exps/Shutterstock.com スミレの花について観察したところで、名前の由来や、見かける場所など、一般的なスミレの特徴についてもご紹介しましょう。 【名前の由来】 名前の由来は複数ありますが、花の形が大工さんが直線を引く際に使う道具「墨壺」に似ていることから、墨入れ、転じてスミレとなったという説がよく知られています。他に、スミはツミ(摘み)の異形で、摘んで楽しむ「摘入草」の意味からという説などもあります。 スミレのほかにマンジュリカという名前で呼ばれることもありますが、これは、スミレの学名から。一般的にスミレと呼ばれる種は、学名ではビオラ・マンジュリカ(Viola mandshurica)といいます。この種を指すときには、他の種との区別がつきにくいスミレという和名ではなく、学名を使ったことからと考えられます。 【見かける場所】 スミレは、日本や中国の東北部から東部、朝鮮半島など北半球の温暖な地方に幅広く自生します。日本では北海道から沖縄まで自生していて、その地域でしか見られない変種などもあり、海に山に街にと、じつにさまざまな場所で見ることができます。街中では、アスファルトの割れ目から顔をのぞかせている、意外とたくましい姿なども見かけます。 海辺に咲くイソスミレ。 明るい林床などでよく見られるタチツボスミレ。庭に植えても移動していってしまうことがしばしば。 アスファルトの割れ目に花を咲かせたヒゴスミレ。細やかな葉が特徴。 帰化植物で、庭でもよく増えて長生きするアメリカスミレサイシン‘スノープリンセス’。 斑入り種のアメリカスミレサイシン‘フレックルス’。 【開花時期】 多くのスミレは、3~5月頃、春から初夏にかけて開花し、春を告げる花の一つとして愛されています。一方、一部には秋に開花する種類もあります。 【花言葉】 Mariia Kutuzova/Shutterstock.com スミレの花は、色ごとに異なる花言葉を持っています。最も一般的な紫色のスミレの花言葉は、ささやかな幸せ・誠実・真実の愛。愛らしいピンク色のスミレは、愛・希望など。 【楽しみ方】 基本的には、愛らしい姿を楽しむ観賞用の花ですが、食用としても親しまれています。葉を天ぷらやお浸しなどにしたり、花をエディブルフラワーとして利用したり。スミレの花の砂糖漬けは、とても愛らしいお菓子として有名です。ただし、タネや根が有毒なニオイスミレのように、一部には毒性を持つものもあるので、食用として利用できる種類であることを必ず確かめましょう。野外で採取する場合は、排気ガスによる汚染や農薬の散布がないかも確認が必要です。また、野生のスミレを採取する場合は、ほんの少しだけいただいて、取り尽くしてしまわないように注意しましょう。 卵の白身と砂糖を使って、スミレの花の砂糖がけを手作りすることもできます。StockphotoVideo/Shutterstock.com スミレの種類は? スミレは世界中に450以上もの品種があるとされ、日本に自生する野生のものは約80種、変種などを含めると200を超える品種があるといわれています。よく似た品種も多いので、判別はなかなか難しいのですが、その分魅力があり、愛好家が多い植物でもあります。 ここでは、有茎種、無茎種に分けて、代表的なスミレの品種をいくつかご紹介します。 【有茎種】 タチツボスミレ ikwc_exps/Shutterstock.com 日本で最もよく見られる品種の一つで、一般にスミレというと、スミレ(無茎種)か、このタチツボスミレを思い浮かべる人も多いはず。淡い紫色の花弁と丸い葉が特徴です。一見、無茎種にも見えますが、茎は花後に次第に長く伸びます。 ツボスミレ(ニョイスミレ) Varts/Shutterstock.com 赤紫色の筋模様が白い花弁に入ります。葉はハート形。 ニオイスミレ Predrag Lukic/Shutterstock.com ヨーロッパに自生するスミレで、甘いフローラルな香りを漂わせ、香水の原料にも使われてきました。スミレの花の砂糖がけの材料としても親しまれていますが、タネや根茎には毒性があるので注意が必要。 【無茎種】 スミレ suntoki/Shutterstock.com 学名のマンジュリカと呼ばれることも。種全体の名称もスミレとなっているため分かりにくいですが、単にスミレといえばこの品種を指します。濃紫色の花を咲かせ、細長い葉を持ちます。 ノジスミレ スミレに似た濃紫色の花を咲かせます。葉の裏が紫色を帯び、香りが強いのが特徴。 アリアケスミレ tamu1500/Shutterstock.com 白い花弁には赤紫色の筋が入ります。道端に自生していることもあり、よく見かける品種。葉は長め。 ヒメスミレ 紫色の花や草姿はスミレとよく似ていますが、その名の通り、スミレより小ぶりな花を咲かせます。 スミレの花の不思議? 花が咲かなくても実ができる F_studio/Shutterstock.com 馴染み深いスミレの花ですが、じつはちょっと変わったタネの付け方をするのをご存じでしょうか? 一般に、植物は花を咲かせて、虫などに花粉を媒介してもらって受粉し、次の世代となるタネの入った実を付けます。ところが、スミレは花を開かなくてもタネを作って実(サヤ)を付けることができるのです。このように、花を咲かせなくても実を付ける現象のことを閉鎖花(へいさか)といい、スミレの他、カタバミの仲間やホトケノザなどでも見られます。 赤丸で囲った箇所が閉鎖花と閉鎖花のタネ。 スミレは、私たちにもなじみがある美しい花の開放花と、つぼみのように白っぽく小さな閉鎖花を付けます。閉鎖花は花弁が退化して萼片しかなく、成熟しても花開くことはありません。一見病気のようにも見えますが、この中で自家受粉してタネをつくるので、心配しなくても大丈夫。閉鎖花は自家受粉しやすいようなつくりになっていて、ほとんど全ての閉鎖花が結実し、開花する花よりもタネができる確率がよいのだそう。閉鎖花は花期が終わってから秋にかけてできることが多く、時には冬にもタネを付けることがあり、繁殖活動期間も長くなります。また、閉鎖花のタネの場合は、他種との交雑の可能性がないため、確実に親と同じ種類の花が咲きます。 遠くへ移動するための2つの戦略 砲丸投げ選手並みのスミレのタネ飛ばし サヤを開いたスミレのタネ。Photo/patchii/Shutterstock.com スミレは春の開花後にタネをつけますが、じつはこのタネが入っているサヤにも仕掛けがあり、タネを遠くまで飛ばす力を持っています。タネは直径2mmほどで、3つの部屋に分かれたサヤの中に並んで入っています。サヤは、はじめ下を向いていますが、熟すにつれて柄を伸ばして次第に上向きになり、サヤが開いてタネがむき出しになります。その後、先端からサヤが縦に閉じてタネを弾き飛ばすのですが、その飛距離は3mを超すことも。人に置き換えると、この飛距離は砲丸投げのオリンピック選手に匹敵するようなパワーです。しばしば「なぜ、こんな所に?!」と思うような場所からスミレが咲いているのは、このタネ飛ばしのおかげ。ですから、庭に定着させたいと思ったら、タネが上向きになった頃に採種しておきましょう。 アリに運んでもらうための戦略 スミレとアリは共生関係。 また、スミレのタネにはエライオソームという甘い物質がついていて、アリもタネを運んでくれます。タネを運ぶアリを観察していると、アリにとっては2mmのタネも重いのでしょう、タネの周りについたエライオソームだけをなんとか取り除こうとしますが、決して取れないようになっています。アリは諦めてタネを巣に持ち帰ります。かくしてスミレは、確実にタネを運んでもらうことに成功します。ちなみに、このエライオソームは、スミレだけでなく、カタクリやケマンソウなど春先に咲くほかの花も持っており、アリとの共生関係を繁殖の手段の一つとしています。 美しい蝶を呼ぶスミレ 冬から春の花壇の素材として重宝するパンジーやビオラは、もともと野生のスミレを親としていますが、近年では個人の育種家の活躍もあって、多様な園芸品種が生まれています。魅力的な品種が増え、パンジーやビオラを育てる人が多くなったおかげで、これまで街中では見られなかった蝶も増えてきたことが分かってきました。その蝶はツマグロヒョウモン。オレンジ色に黒い斑点のある、アゲハチョウより一回り小さな美しい蝶です。かつては東海地方から南西諸島が生息域でしたが、花の普及に加え温暖化の影響も相まって北上を続けています。幼虫がスミレの花を食草としており、その園芸品種であるパンジーやビオラも食べます。幼虫は黒にオレンジ色のトゲトゲという派手な姿をしています。あまり数が多くてスミレが丸坊主になるようなら考えものですが、スミレ類を育ててこの蝶を呼ぶのも楽しいかもしれませんね。 パンジーにとまったツマグロヒョウモン。旅をしてきたのか羽が傷ついています。Photo/RAJU SONI/Shutterstock.com スミレを食草とするツマグロヒョウモンの幼虫。 スミレの育て方は? ikwc_exps/Shutterstock.com スミレは毎年花を咲かせる多年草。可憐な花姿で、愛好家も多い人気の植物です。野山に自生するだけあって、アスファルトの割れ目にも育つたくましさがある一方、庭に植えて手厚く栽培しても、いつの間にか消えてしまうことも。高山種など平地での栽培がもともと難しい種類もありますが、よく見かけるものであっても、先にご紹介したようにタネを飛ばして移動していってしまうことがありますので、大切な品種はタネを採取するなどしておくとよいでしょう。 ここからは、基本的なスミレの育て方をご紹介します。 スミレの育て方1植え付け スミレを育てるには、苗を植え付ける方法と、タネを播く方法の2通りがあります。 苗を植え付ける場合、適期は2~3月、または9月頃。鉢植えでも、地植えでも栽培できますので、環境に合わせて選びましょう。鉢植えにする場合は、苗が入っていたポットよりも大きめの鉢やプランターに植え付けましょう。根が長く伸びるので、深さのある容器を選びます。成長に合わせ、必要に応じて植え替えが必要です。 種まきから育てる場合、適期は1~2月頃。スミレのタネは、20℃前後で発芽しやすく、30℃を超えると発芽率が下がるので、気候に合わせて播きましょう。自家採取したタネを播く場合、サヤからタネを取り出したら、保存せずにすぐに播いたほうが発芽しやすいです。採取から時間が経ったタネは、冷蔵庫などで1~2カ月ほど保管し、寒さにあててから播くと発芽率が上がります。 スミレの育て方2土 スミレは、水はけのよい中性の土を好みます。軽石などを混ぜ込んだり、通気性のよい鉢を選ぶなどして水はけのよい環境を整えましょう。土質はあまり選ばず、一般の草花用の培養土でも育てることができますが、性質が弱い種類は、山野草の土や、パンジー・ビオラ用の土などを使うのもおすすめです。 また、日本では一般に土は弱酸性なので、中性に調整する場合は、苦土石灰を撒いたり、牡蠣殻を混ぜ込んだりするとよいでしょう。 スミレの育て方3場所 Bildagentur Zoonar GmbH/Shutterstock.com スミレは、鉢植えでも庭植えでも育てることができます。日当たりがよいところを好みますが、夏場の高温多湿は苦手なので、涼しく風通しがよい場所を選ぶとよいでしょう。庭植えにする場合は、夏は日陰になる落葉樹の下に植えたり、芝生の中に植えるのもおすすめです。鉢植えの場合は移動ができるので、季節に合わせて置き場所を変え、生育に合う環境に移動させながら育てるとよいでしょう。 スミレの育て方4水やり 庭植えにした場合、基本的に水やりは必要ありません。ただし、植え付け直後や、夏に乾燥が続く場合などは、たっぷりと水を与えましょう。 鉢植えのスミレの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。根腐れを防ぐため、土が常に湿っているような状況は避け、水やり後は土を乾かすことが大切です。土を触ってみて、乾燥しているようであれば水やりをするとよいでしょう。水やりの際には、鉢の底から水が流れ出るくらいまでたっぷりと与えましょう。 スミレの育て方5肥料 スミレは、それほど肥料を必要としませんが、適切に肥料を施すことで花付きがよくなります。施す際は、肥料が溶け出すスピードが緩やかで、植物に与える影響が穏やかで扱いやすい緩効性肥料がおすすめです。また、肥料は花の成長を促すリン酸と、根を丈夫にするカリウムが多く含まれるものがよいでしょう。 肥料は庭植えであれば特に施さなくても構いませんが、施肥する場合は、9~10月頃に苗の周囲に緩効性肥料を撒いておくとよいでしょう。鉢植えであれば、春から秋にかけて2~3回ほど、鉢の縁に置いて施します。また、植え付け時には、元肥として緩効性の肥料を土に混ぜ込んでおくとよいでしょう。 スミレの育て方6植え替え スミレの植え替えは、2~3月、または9月が適期です。よく根が育つので、鉢植えの場合は、毎年植え替えをするとよいでしょう。植え替える際は、傷んだ根や古い土を取り除き、一回り大きな鉢に植え替えます。株が込んできたら、植え替えのタイミングに合わせて株分けして増やすこともできます。植え替え後は、たっぷりと水をやりましょう。 スミレの育て方7増やし方 Shery Toys/Shutterstock.com スミレは種まきのほか、株分けや根伏せなどの方法で増やすことができます。 自家採取したタネを播いて増やす場合は、完熟種子を播く方法と未熟種子を播く方法があります。完熟種子は上を向いてきた完熟間近のサヤに袋を掛けて、熟してはじけたタネを集めます。完熟種子は寒さに当てないと発芽しないので、湿らせた川砂と共に1~2カ月冷蔵庫に入れるなどの処理をしてから播きましょう。未熟種子を播く場合は、サヤが自然に割れる前に種子を取って、保存せずにすぐに播く取り播きにします。 根伏せは、若い根を5~6cmほどの長さに切り取って増やす方法。切り取った根は、切り口を鋭利な刃物で切り直し、親株と同じ用土に植え直して、薄く土をかけておきます。 スミレの病害虫対策は? スミレは丈夫で病害虫の心配の少ない植物ですが、次のような病害虫が発生することもあります。基本的には、風通しをよくすることが予防につながります。また、株の調子が悪い原因として、水のやりすぎによる根腐れなどもあります。 ・そうか病 葉や茎などに白いかさぶたのようなものが付く病気です。発生してしまったら症状が出ている葉や茎ごと切り取って処分しましょう。雨に当たると発生しやすいので、鉢植えであれば、雨のかからない場所に移動するなどして対策をしましょう。 ・うどんこ病 葉の表面が白い粉を吹いたような状態になります。罹病した葉を見つけたら、粉を洗い流したり拭き取るのも効果があります。ひどい場合は、切除したり、薬剤散布をします。 ・アブラムシ 春に発生しやすい一般的な害虫です。牛乳をスプレーして駆除したり、紙テープで取り除くなどして対処しましょう。・ダニ 気温が高く乾燥した状態で発生しやすいです。水に弱いので、水やりの際に葉や葉裏にもしっかり水をかけるとよいでしょう。 ・ネコブセンチュウ 土の中にひそむ害虫で、根を傷めることがあり、発生すると株の生育が悪くなります。鉢植えの場合は、地面の上に直接鉢を置くことは避け、棚の上などに置くと予防に効果的。発生してしまったら、植え替え時などに根にできたコブを取り除き、殺虫剤をかけるなどして対処しましょう。 大事に育てて春にスミレを咲かせよう! F_studio/Shutterstock.com 春に小さく可愛らしい花を咲かせるスミレ。愛らしいだけでなく、生きるために、あの手この手とユニークな技を繰り出す生き方も面白いものです。種類豊富なスミレを育てて、その賢さとたくましさを観察しながら、可愛らしい花を楽しんでみてはいかがでしょうか? 参考文献:「みんなの趣味の園芸」https://www.shuminoengei.jp/「松江の花図鑑」https://matsue-hana.com/
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おすすめ植物(その他)

【2月の庭花】早春を告げる花を探そう! 2月に咲く人気の花20選
クリスマスローズキンポウゲ科多年草/主な花色:白・ピンク・黄・緑・紫・茶・黒・複色/開花期:12~3月 冬の庭の主役花、クリスマスローズ。彩りの少ない冬にうつむき加減に咲く清楚な風情と、バラエティーに富んだ花姿で、多くのガーデナーに愛される人気の花です。寒さに強く植えっぱなしで年々大株に育ち、こぼれ種でも増える丈夫な植物なので、ガーデニング初心者にもおすすめ。花のように見える部分はじつはガクなので、長く楽しむことができます。クリスマスローズの花言葉は「私の不安をやわらげて」「慰め」「中傷」などです。 ●栽培歴15年以上の愛好家が教えるクリスマスローズを庭でかわいく咲かせるコツ シクラメンサクラソウ科多年草/主な花色:白・赤・ピンク・紫・黄・複色/開花期:10~3月 Melanie Hobson/Shutterstock.com 花の少なくなる晩秋から冬にかけて、園芸店の店頭を彩るシクラメン。日本では冬の鉢花の代表的な存在で、比較的耐寒性の強いガーデンシクラメンも冬の寄せ植え素材として高い人気があります。最近ではブルー系やクリーム色の品種も登場。くるりと反り返った花だけでなく、葉色の美しさも魅力です。うまく夏越しさせれば、翌年も花が楽しめますよ。鉢花のシクラメンは寒さに弱いので、15~25℃程度の日当たりのよい場所で管理しましょう。シクラメンの花言葉は「遠慮」「気後れ」「内気」「はにかみ」などです。 ●冬を彩るシクラメン! きれいに咲かせるために気をつけることとは? ツバキツバキ科高木/主な花色:赤・ピンク・白・複色/開花期:11~12月、2~4月 High Mountain/Shutterstock.com 日本人にとって古くから馴染みのあるツバキは、万葉集にも登場する日本原産の花木です。高さが15mにも達する常緑高木で、光沢のあるしっかりとした葉を持ち、生け垣としてもよく利用されています。江戸時代には選抜や育種が進んで数多くの品種が生まれ、また近年では、花形や花色、香りなどに特徴のあるさまざまな原種が栽培されています。木の寿命が長く丈夫で、土壌や日当たりを選ばず育ちますが、花つきをよくするには、寒風の当たらない半日陰の環境がベスト。西日を避けられる、建物の東側か南側で、乾燥しすぎない場所を選びましょう。ツバキの花言葉は「控えめな優しさ」「誇り」などです。 ●庭木として人気があるツバキ(椿)の正しい育て方は? 特徴や種類を解説! ウメバラ科高木/主な花色:ピンク・白・赤・複色/開花期:1~3月 zzz555zzz/Shutterstock.com ウメは中国原産の花木で、姿や香りのよさから、古来より日本人に愛されてきました。万葉集や古今和歌集などにも、多くの歌が詠まれています。非常に寿命が長く、年月をかけて樹形を自分好みに整えていくことができるため、庭植えや鉢植えのほか、盆栽としても楽しまれています。美しい花を咲かせる花ウメと、良質の実をつける実ウメに分けられ、それぞれに応じて栽培方法が異なります。ウメは1品種では結実しにくいので、実の収穫を楽しみたい場合は他品種を混植するとよいでしょう。ウメの花言葉は「高潔」「忠実」「忍耐」などです。 ●新元号「令和(れいわ)」の由来である梅の魅力 ユキワリソウ(ミスミソウ)キンポウゲ科多年草/主な花色:白・ピンク・赤・紫・複色 /開花期:2月下旬~5月上旬 写真/前田満見 早春に花を咲かせるユキワリソウは、雪国の春を告げる植物として親しまれています。花のように見える部分はガクで、多彩な花色が特徴。八重咲きなども作出され、コレクションするガーデナーも多い人気の花です。花後に葉を出した後は、その姿のまま、ほとんど成長しません。落葉樹林の下のような、冬から春は日が当たり、葉が展開する初夏以降は半日陰になる環境を好みます。葉に直射日光が当たると葉焼けするので注意します。多湿を嫌うので、水はけよく育てましょう。ユキワリソウの花言葉は、「自信」「はにかみ屋」などです。 ●小さな庭と花暮らし「早春の妖精スプリング・エフェメラル」 スノードロップヒガンバナ科多年草/主な花色:白/開花期:2~3月 写真/遠藤浩子 球根花の中でも、一番に咲き始めるのがスノードロップ。まだ地面が雪に覆われている頃から、雪の欠片のような純白の花をうつむきがちに咲かせます。その清楚な美しさと相まって、ヨーロッパでは春を告げる花として広く愛されてきました。スノードロップにまつわる伝承は多く、聖母マリアの花として純潔の象徴ともされています。落葉樹の下など、夏は半日陰になる環境を好み、6月頃には葉が枯れて休眠します。スノードロップの花言葉は「希望」「慰め」などです。 ●冬の庭の宝物「スノードロップ」の花風景【フランス庭便り】 クロッカスアヤメ科多年草/主な花色:黄・白・紫・複色/開花期:2~4月 春一番に、一斉に太陽に向かって開く色鮮やかな可愛い花、クロッカス。植えっぱなしで何年も開花し、耐寒性が強く育てやすいので、ガーデニング初心者にもおすすめの球根植物です。小球根なので、ちょっとしたスペースでも楽しめ、群植して一面を彩る姿を楽しんだり、芝生などに数球ずつまとめて植えて自然な風情を演出することもできます。日当たりと水はけのよい場所を選んで植えましょう。しっかり寒さにあてないと花が咲かないことがあります。クロッカスの花言葉は「青春の喜び」「切望」などです。 ●クロッカスの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します プリムラ・ジュリアンサクラソウ科一年草/主な花色:紫・黄・オレンジ・赤・ピンク・白・青・複色/開花期:11~4月 yoshi0511/Shutterstock.com 初秋から春先にかけての花の少ない時期に、とてもカラフルで愛らしい花を咲かせ、花壇や鉢植え、寄せ植えに欠かせない花として愛されるプリムラ。プリムラにはさまざまな種類がありますが、冬から春のガーデニングでは、コンパクトに育つプリムラ・ジュリアン(プリムラ・ポリアンサ)がよく利用されます。本来は多年草ですが、暑さに弱いため日本では基本的に一年草扱いとされています。蒸れに弱いので、風通しよく育てましょう。プリムラの花言葉は「青春のはじまりと悲しみ」「青春の恋」などです。 ●プリムラの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します パンジー&ビオラスミレ科一年草/主な花色:赤・ピンク・オレンジ・黄・白・紫・複色 /開花期:10月下旬~5月中旬 宮崎のフラワーショップ「アナーセン」での第10回パンジー・ビオラ作品展(2018年の会期は終了)。 冬の花壇や寄せ植えの定番、パンジー&ビオラ。非常に種類が豊富で、また可愛らしい新品種が登場するので、毎年育てていても飽きることなく楽しめます。一年草ですが、丈夫で育てやすく、晩秋から初夏までたっぷり楽しめてコストパフォーマンスも高い植物。長く楽しむために、こまめに花がらを摘み、必要に応じて追肥をするとよいでしょう。摘心すると、よりこんもりと花数多く楽しめます。パンジーの花言葉は「もの思い」「私を思って」などです。 ●パンジー・ビオラの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します デージーキク科一年草/主な花色:白・ピンク・赤・赤紫・複色/開花期:12月下旬~5月上旬 Ariene Studio/Shutterstock.com カラフルな花色のデージーは、品種によってもふもふとした質感の花姿が楽しめ、晩秋に苗を入手すれば、冬から春を彩る寄せ植えとして長く活躍してくれます。もっとも、冬に咲いているのは、ほとんどが秋頃から出回る開花調整された花苗で、冬は開花したまま生育はほぼ止まっています。3月頃から旺盛に生育し始め、次々と開花するピークは3〜5月です。日当たり・風通しのよい場所で育てましょう。デージーの花言葉は「美人」「純潔」「希望」「平和」などです。 ●カラフルでもふもふの花が人気! 長く楽しめるデージーを育ててみよう フクジュソウキンポウゲ科多年草/主な花色:黄/開花期:2~4月 pote-poteco/Shutterstock.com 昔から北海道〜本州に自生してきた山野草で、寒さに強く丈夫な性質です。漢字で「福寿草」と書くおめでたい名前から、縁起植物として、またお正月に飾る花としても愛されてきました。草丈は20〜30cmほどの落葉性の多年草で、一度植え付ければ毎年花を咲かせてくれます。落葉樹の足元や午前中のみ日が差す場所など、明るい半日陰を選び、水はけ・水もちのよい土壌に植え付けましょう。フクジュソウの花言葉は「幸せを招く」「永久の幸福」「悲しき思い出」などです。 スイセンヒガンバナ科多年草/主な花色:白・黄・オレンジ・複色/開花期:11月中旬〜4月 Bob C/Shutterstock.com 早春にラッパのような形の花を咲かせ、庭を明るく彩ってくれるスイセン。一度植え付ければ毎年開花してくれる息の長い球根植物で、濃厚な香りも楽しめます。品種によって開花期が異なり、早咲きのものは11月中旬から、ラッパズイセンなどは3~4月に開花します。球根の植え付けの適期は10〜11月です。花後は葉が枯れるまでそのままにしておき、球根を太らせましょう。スイセンの花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」などです。 ●スイセンの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します ロウバイロウバイ科低木/主な花色:黄/開花期:12~2月 backpacking/Shutterstock.com 12~2月に、まるでロウ細工のような光沢のある、透き通った黄色い小花を、ややうつむき加減に咲かせます。特徴はなんといってもその香りのよさ。寒さの中で芳しい香りを放つロウバイは、冬の花として古くから人々に親しまれてきました。地植えはもちろん、鉢植えでも育てることができます。植え付けの適期は、真冬を除いた落葉期である11~12月、または2月中旬~3月。移植を嫌うので、場所をよく吟味してから植え付けましょう。ロウバイの花言葉は、「慈愛」「慈しみ」「ゆかしさ」「先見」などです。 ●かわいい黄色いお花に癒やされる! 園芸初心者にもおすすめのロウバイ(蝋梅)の育て方 シンビジウムラン科多年草/主な花色:白・ピンク・オレンジ・黄・緑・茶・複色/開花期:12~4月 travelershigh/Shutterstock.com シンビジウムはランの仲間で、花が豪華で開花期が長いことから、コチョウランと同様に贈答用としても人気があります。ランとしてはとても丈夫で、寒さにも強く育てやすい種類です。葉の根元にバルブと呼ばれる膨らんだ部分があり、そのバルブに生育や開花に必要な栄養を蓄えることができ、状況が整うとバルブの横から花茎を伸ばして開花します。真冬以外は屋外で管理でき、年間を通して日当たり・風通しともによい場所に置きましょう。植え付けの際は、洋ラン専用に配合された培養土などが便利です。シンビジウムの花言葉は「飾らない心」「素朴」「高貴な美人」「華やかな恋」などです。 ●シンビジウムってどんな花? 特徴と育て方を解説 プシュキニアキジカクシ科多年草/主な花色:白(青の筋が入る)/開花期:2~4月 Marta Jonina/Shutterstock.com ヒヤシンスを小さく華奢にしたような印象の株姿で、白地の花弁中央にスッと淡い青色の筋が入る花は、清楚でおしゃれな雰囲気。植えっぱなしでも毎年咲き、環境に合えば自然に増える、育てやすい球根花です。開花期にはよく日が当たり、夏は日陰となる落葉樹の下などに植えるとよいでしょう。夏の休眠中は水やりは必要ありませんが、冬から開花中の間は乾かさないように注意します。プシュキニアの花言葉は「いつも快活」「喜び」などです。 ジンチョウゲジンチョウゲ科低木/主な花色:白(外側は赤紫)/開花期:2月下旬~4月中旬 janken/Shutterstock.com 三大香木の一つとされ、春に芳しい香りを放つジンチョウゲ。紅紫色のつぼみから白い花を咲かせます。その上品な香りから庭木として人気があり、道端に植えられている風景を見かけることもよくあります。常緑で半日陰でも育ち、コンパクトにまとまる姿など、花以外にも魅力の多い庭木です。植え付け時期は3月下旬~4月と、9月下旬~10月。移植を嫌うので、場所をよく吟味してから植えましょう。根を深く張らないため、水切れには注意が必要です。ジンチョウゲの花言葉は「野生」「元気」「内縁の妻」などです。 ●春を告げる上品な香りの花木 ジンチョウゲ マーガレットキク科低木/主な花色:白・ピンク・赤・クリーム・黄・薄いオレンジ/主な開花期:11~5月 Mharzl/Shutterstock.com 黄色い花心のまわりに、細長い花びらがたくさんつくマーガレット。そのパッと開いた花姿の愛らしさは、古くから人々の人気を集めてきました。恋占いに使われる代表的な花でもありますね。花形は一重咲き、八重咲き、丁子咲き、ポンポン咲きなどがあります。温暖な気候を好み、寒さ・暑さにやや弱い性質を持っているので、冬前に切り戻して株元をバークチップなどでマルチングし、寒さ対策をしておくとよいでしょう。マーガレットの花言葉は「真実の愛」「恋の占い」などです。 ●知りたい! マーガレットの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方 ノースポールキク科一年草/主な花色:白(中央は黄)/開花期:12~5月 kazzpix/Shutterstock.com ノースポールは、マーガレットを小ぶりにしたような花姿で、白い花弁と中央の黄色い花心のコントラストが美しい小花を咲かせます。草丈30cmほどなので花壇の前方におすすめ。開花期が長く、ガーデニング初心者向きの育てやすい花です。可憐な姿はどんな花とも合わせやすく、主役でも脇役でも活躍してくれます。こぼれ種でも増える丈夫な性質で、種まきからでも簡単に育てられます。旺盛に開花するので、こまめに花がらを摘み、株姿が乱れてきたら切り戻しをすると長く花を楽しめます。ノースポールの花言葉は「誠実」「高潔」「冬の足音」などです。 ●かわいいノースポールの花を育ててみよう! 育成のポイントをご紹介 チオノドクサキジカクシ科多年草/主な花色:青・紫・ピンク・白/開花期:9〜11月 Galina Bolshakova 69/Shutterstock.com チオノドクサはギリシャ語で、「chion(チオン)」は雪、「doxa(ドクサ)」は輝きや栄光を意味し、その名の通りまだ雪の残る早春に咲き始める球根花です。10〜15cmのコンパクトな草姿で、星形の花はキラキラとした輝きを放ちます。植えっぱなしでも毎年開花し、群生させたり、ボーダー花壇に植栽するのもおすすめです。涼しい環境のほうが旺盛に生育します。水はけのよい落葉樹の足元など、開花時には日当たりがよく、真夏は半日陰になるような場所を選んで植えるとよいでしょう。チオノドクサの花言葉は「栄光」「仲間思い」「たくましさ」「奥ゆかしさ」などです。 ●チオノドクサを育ててみよう! 育てる際のポイントについてご紹介! キバナセツブンソウキンポウゲ科多年草/主な花色:黄/開花期:2~3月 Przemyslaw Muszynski/Shutterstock.com 鮮やかな黄色の花は、小さいながらも冬枯れや雪景色の中でパッと目立ち、ヨーロッパでは春の訪れを告げて花後には休眠するスプリング・エフェメラル(春の妖精)の一つとして親しまれています。地中海地域を原産とする小球根で、植え付けの際は事前に吸水させてから植えましょう。夏には日陰になる落葉樹の下など水はけのよい場所を選べば、植えっぱなしで毎年開花します。鉢植えの場合は日当たりのよい場所で管理し、葉が枯れ始めたら雨の当たらない日陰に置いて乾燥させしょう。キバナセツブンソウの花言葉は「気品」「光輝」「微笑み」「人間嫌い」などです。 2月に見頃を迎える人気の花を育てよう! 今回は、2月に咲くガーデニングで人気の花を20種類ご紹介しました。ここで取り上げた花以外にも、2月に見頃を迎える花はまだまだたくさんあります。ぜひお気に入りの花を見つけて、2月のガーデニングを楽しんでみてくださいね。
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宿根草・多年草

スノーフレークの育て方を解説! 雪のように美しい花を楽しもう
スノーフレークとは スノーフレークは、ヒガンバナ科スノーフレーク属(レウコユム属)の球根植物です。学名はLeucojum aestivum(レウコユム・アエスティウム)。和名は大待雪草(オオマツユキソウ)のほか、花がスズラン、葉がスイセンに似ていることから鈴蘭水仙(スズランスイセン)とも呼ばれています。 スノーフレークの原産地は、中央ヨーロッパ、地中海沿岸で、寒さに強い性質を持っています。そのため、特に鉢上げして暖かい場所に移動するなどの冬越し対策の必要はなく、地植えしたままで越冬できます。 地際からニラのような細長い葉を多数立ち上げ、開花期になると伸ばした花茎の先に白い花を咲かせます。草丈は20〜50cm。 どんな花を咲かせる? スノーフレークは、30〜40cmに伸びた花茎の先端に、1〜4輪の花を連ねます。1.5cmほどのベル形の花が下向きに咲く、可憐で可愛らしい姿が人気。花色は白で、花弁の先には切れ込みが入り、その縁に淡いグリーンのドットが入るのが特徴。自然界が生み出したデザインの妙といえますね。 スノーフレークのライフサイクル スノーフレークは、秋植え春咲き球根植物に分類されています。ライフサイクルは、秋に球根を植え付け、発芽させます。暖かい場所に取り込んだりせずに寒さにあわせて管理し、越年して春の生育期を迎えるとスイッチが入り、茎葉や花茎が旺盛に伸びてきます。開花期は3〜5月で、白い花を次々と咲かせます。花が終わると葉だけが残り、6月頃になると葉が黄色く枯れ込んで地上部は姿を消し、休眠に入ります。ここで「枯れたから」といって処分しないでくださいね。夏を越えて涼しい秋になると、再び芽を出し始めます。この繰り返しで、一度植え付ければ毎年花を咲かせてくれるコストパフォーマンスが高い花です。大変丈夫な植物で、手をかけずに植えっぱなしにしていてもOK。ただし、大株に育って窮屈そうになってきたり、茂りすぎて邪魔になってきたら、掘り上げて分球し、植え直すメンテナンスが必要です。 スノーフレークの名前の由来・花言葉 スノーフレークの学名、Leucojum aestivum(レウコウム・アエスティウム)の「レウコユム」は「白いスミレ」という意味で、花が白色で、甘い香りを持っていることに由来します。「アエスティウム」は、「夏の」という意味があり、これは開花時期にちなんでいるそうです。 「スノーフレーク」とは、英語では「ひとひらの雪」という意味。小さな白い花がちらちらと咲くことから、みずみずしいグリーンの葉に白い雪をひとひらずつ載せている姿をイメージして名付けられたものと考えられます。 花言葉は、「純粋」「汚れなき心」「慈愛」「美」「皆を引きつける魅力」など。いずれもピュアホワイトの花のイメージに沿う言葉が並んでいますね。 スノードロップと間違われやすい? この項目では、スノーフレークを取り上げていますが、スノードロップという花があるのをご存じでしょうか? じつはスノーフレークとスノードロップは、よく似ているために混同されやすいのです。ではここでハッキリさせておきましょう! スノーフレークは前述のように、ニラに似た長い葉を放射状に立ち上げ、3〜5月に花茎を伸ばしてベル形の花を数輪咲かせます。 一方スノードロップは、3枚ずつの長い外花被と短い内花被、計6枚の花弁を持っています。スノーフレークとは花弁のつきかたは異なるのですが、白い花であることや、サイズ感が同じくらいで、そのうえ内花被にグリーンのドットが入る特徴から、スノーフレークと混同されやすいようです。 では、スノーフレークとスノードロップを見分けるために、違う点に着目してみましょう。スノードロップの開花期は2〜3月で、スノーフレークよりも少し早め。草丈は10〜20cmで、スノーフレークよりもかなり小ぶりです。葉も草丈に見合った小ぶりの細長い葉で、ニラの葉に似ているとはいえません。それに花茎を伸ばした先には1花のみ、提灯を下げるように咲かせるのも、スノーフレークが数輪の花を連ねるのと比べ、決定的な違いといえるでしょう。これらの点に注目すれば、スノーフレークとスノードロップを見分けられるようになりますよ! 毒がある? スノーフレークは、有毒植物として厚生労働省から注意喚起されている植物です。全草にリコリン、ガランタミン、タゼチンなどのアルカイドを持っています。葉がニラに似ていることから誤って食べる例があるそうなので、菜園などの近くには植えないようにしましょう。食べると30分以内に吐き気、嘔吐、頭痛などの中毒症状が現れます。幼い子どもやペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないように注意してください。 スノーフレークの育て方 ここまで、スノーフレークの基本情報や名前の由来・花言葉、取り扱いに注意したい点などについてご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、スノーフレークの育て方についてご案内しましょう。球根の植え付けからスタートし、水やりや肥料、花がら摘みなど日頃の管理、増やし方などについて、詳しく解説していきます。 栽培場所 スノーフレークは、日向〜半日陰で、風通しのよい場所を好みます。ただし、日照不足だと花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意しましょう。 スノーフレークは寒さに強く、地植えにしたままで冬越しできます。真夏の暑い時期は休眠するので、夏越し対策の心配もありませんが、鉢栽培にしている場合は涼しい半日陰に移動するとよいでしょう。 土壌は水はけ、水もちのよい、有機質に富むフカフカとした環境を好みます。また、酸性に傾いた土壌酸度を苦手とする傾向にあります。日本の土壌は酸性寄りになりやすいので、あらかじめ石灰資材を散布して土づくりをし、土壌を中和しておくとよいでしょう。 土作り 【地植え】 スノーフレークは、酸性土壌を嫌うので、植え付けの2〜3週間前に苦土石灰を散布してよく耕し、土に混ぜ込んで土壌改良しておきましょう。同時に堆肥や腐葉土などを施してふかふかの土作りをしておきます。土作りは植え付け直前ではなく、このように事前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 植え付け スノーフレークの栽培は、花苗店やホームセンターなどで販売されている球根を入手し、植え付けることからスタートするのが一般的です。購入の際は、球根がふっくらとして充実し、重みのあるものを選ぶとよいでしょう。球根の植え付け適期は、10〜11月です。 球根ではなく開花株などの苗を入手した場合は、早めに植え付けます。その場合は根鉢を崩さず、そのまま植え付けましょう。 【地植え】 土作りをしておいた場所に、深さ7〜8cmの穴を掘って植え付けます。複数個を植え付ける場合は、10㎝ほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え】 5〜6号鉢に5〜6球を目安に植え付けます。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。深さ5cmほどの穴を掘り、等間隔に球根を植え付けます。鉢植えの場合は、密に植えたほうが花が咲いた時の見栄えがよくなりますよ! 最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 水やり 株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 【地植え】 芽が出た後は、地中から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 鉢栽培では乾きやすくなるので、日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 夏は葉を落として休眠するので、水やりを控えます。冬は、十分に気温が上がった真昼頃に水やりをしましょう。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 肥料 【地植え】 特に必要はありません。しかし、株の勢いがなく葉色が冴えないようであれば、液体肥料を与えて様子を見てください。 【鉢植え】 花が終わったあと、球根を太らせる目的で液体肥料を与えます。 花がら摘み、花後の管理、休眠・掘り上げ 【花がら摘み】 スノーフレークは花つきがよいので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【花後の管理】 スノーフレークの開花が終わった後は、ニラに似た細長い葉が地上に残ります。「邪魔になるからしばっておこう」と、ひもなどで小さくまとめる様子もしばしば見られますが、これはNGなんです! スノーフレークは花が終わった後に葉が光合成を行って、球根に養分を送って太らせることで、来年の春に再び花を咲かせるエネルギーにします。そのため、葉全体にしっかりと太陽の光を当てることが大切です。小さくまとめてしまうと葉に光が当たる部分が少なくなるので、光合成が十分に行えません。球根に送る養分が不足すると、来年に咲く花も充実しなくなるので注意しましょう。ちなみに、鉢栽培での花後に与える肥料は、葉を十分に茂らせて球根を太らせるためです。 【休眠・掘り上げ】 スノーフレークは夏前になると葉が黄色くなり、地上部は枯れて休眠します。全体が枯れたら景観が悪くなるので、地際で刈り取りましょう。そのまま植えっぱなしにしてもかまいませんが「来春は別の場所で咲かせたい」という場合は、掘り上げて雨の当たらない風通しのよい場所で保存し、秋に植え付けます。 病害虫 【病気】 スノーフレークは、モザイク病にかかることがあります。 モザイク病は、ウイルスが原因で発症する病気です。症状は、花弁や葉に斑点が散らばり、まだら模様が出現。葉が縮れたり、黄変したりすることもあります。発症したら治療する方法はありません。すぐに土ごと処分して、周囲に蔓延しないようにしましょう。 【害虫】 スノーフレークは毒草であることを前述しましたが、そのために虫がつきにくいことでも知られています。虫が苦手な方にはかえってメリットかもしれませんね。 増やし方 スノーフレークは球根植物で、地下の球根が分かれて増えていきます。分球して増やすこともできるので、大株に育って込み合っているようなら、一度掘り上げてみてください。適したタイミングは、地上部が枯れて休眠に入る6月頃です。たくさんついている球根を分けて、ネットなどに入れて風通しのよい半日陰などに吊り下げて保存を。10〜11月の球根植え付け適期に、植え直します。 初心者でも育てやすい! ここまで、可憐な花を咲かせるスノーフレークの特性や魅力、豆知識、取り扱いに注意すべき点、育て方などについて、幅広く解説してきました。興味を持っていただけたでしょうか? スノーフレークは、植え付けた後は放任してもすくすくと育ち、毎年春の開花が楽しめる、ビギナーでも育てやすい植物です。ぜひ庭やベランダなどに迎え入れて、愛らしい姿を楽しんではいかがでしょうか。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 参考文献/ 厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:スノーフレーク Photo/ 1) Geza Farkas 2) Alex Manders 3) Alex Manders 4) Lonspera 5) Sarajaynephotography 6) weha 7) Real Moment 8) yakonstant 9) Shuang Li 10) blueeyes 11) OlegDoroshin 12) wavebreakmedia 13) Pawel Beres 14) mihalec 15) Sarycheva Olesia 16) Alex Manders/Shutterstock.com
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樹木

春を告げる純白の花! 憧れのハクモクレン(マグノリア・デヌダータ)の特徴を知って育ててみよう
ハクモクレンの特徴 mamesuke/Shutterstock.com ハクモクレンは春を代表するモクレン属(マグノリア属)の花木で、学名はマグノリア・デヌダータ(Magnolia denudata)です。日本では江戸時代から多くの人々に愛されてきた植物ですが、まずはその特徴について詳しくご紹介します。 ハクモクレンの全体的な特徴 zzz555zzz/Shutterstock.com ハクモクレンは中国の中央部原産で、比較的温暖な地域に自生する落葉高木です。日本へは江戸時代以前に渡来したといわれています。 モクレン属の植物の中では大型になり、樹高は10~15mほどに成長します。樹高が高く樹冠も大きいため、大きな木陰を作ってくれる樹木でもあります。そのため、公園や広い庭の植栽、緑陰樹、西日よけなどによく利用されます。 純白の花はよい香りをもち、遠くからでもひときわ目立つ存在感がありながら気品も兼ね備えた姿に加え、虫が付きにくく日本の気候でも育てやすいため、広い場所のシンボルツリーにおすすめです。 ハクモクレンの花と実の特徴 Swisty242/Shutterstock.com ハクモクレンの開花時期は3~4月で、葉が出る前に大きな卵形の純白の花が樹冠いっぱいに咲きます。花芽は銀色の毛に覆われ、揃って上を向いているのが特徴です。 柔らかい肉厚の大きな花弁が9枚あるように見えますが、正確には花弁は6枚で、その外側の3枚は萼片(がくへん)です。花にはレモンやライムを思わせる華やかな芳香があります。 花が散ると緑色の未受粉の花心がぽろぽろと落ちてきますが、受粉したものは木に残って実を結びます。実は長さ5~10cmの赤くデコボコとした袋果です。秋になって熟すと、袋果が裂けて種が出てきます。受粉率が高くないため、種は通常1つの花心に1~3個しかできません。 モクレンとコブシとの違い Quang Ho/Shutterstock.com ハクモクレンには、モクレン(シモクレン)とコブシという、よく似た見た目の庭木があります。混同されることが多いので、ここでは異なる点について解説します。 モクレンとの違い ninii/Shutterstock.com 「モクレン(木蓮)」というと、基本的にはシモクレン(紫木蓮)のことを指します。モクレンもハクモクレンも中国が原産のモクレン属の樹木で、英語圏ではどちらもマグノリアと呼ばれますが、分類上は別の種です。 モクレンとハクモクレンの違いは、主に4つあります。 まずは花の色です。モクレンは紅紫色の花ですが、ハクモクレンは白色の花をつけます。 次に、樹高の違いがあります。モクレンは中高木にあたり、樹高5m前後で横にも枝を広げます。ハクモクレンは高木で、樹高は10m~15mに達します。 またハクモクレンは花が咲き、散った後に葉が出るのに対し、モクレンは花と同時に葉が出てくる点も両者の違いの一つです。 最後は開花時期です。ハクモクレンのほうが早い時期に咲き始め、モクレンと比べて咲いている期間も短いという違いがあります。 コブシとの違い IrinaSunnywind/Shutterstock.com ハクモクレンとコブシは見た目が非常に似ていますが、異なる点もいくつかあります。 ハクモクレンは中国原産ですが、コブシは日本が原産の樹木です。 ハクモクレンとコブシは、花の見た目で見分けることができます。 まずは花びらに着目しましょう。ハクモクレンは花びらが9枚に見え、肉厚です。コブシの花びらは6枚で薄いです。花の向きにも違いがあり、ハクモクレンは花が揃って上を向きますが、コブシの花は横や斜めなどバラバラの方向を向いています。花の形では、ハクモクレンは開花しても花びらが閉じたままで広がりませんが、コブシは花びらが大きく開きます。 さらにハクモクレンは開花中には葉が出ませんが、コブシは花の付け根に1枚だけ葉が出るので、開花中は葉の有無で見分けることもできます。 ハクモクレンの花言葉 Swisty242/Shutterstock.com ご家庭のシンボルツリーや、春を彩る生け花にするときに気になる花言葉をご紹介します。 ハクモクレンは、その花の気品ある美しさから、「気高さ」「崇高」といった花言葉がつけられています。また春に咲き、樹木が全身で春を歓び慈しんでいるようなイメージから「慈悲」「自然への愛」といった花言葉もあります。 モクレンの仲間にはほかにも種類がありますが、「気高さ」という花言葉を持つのはハクモクレンだけとされています。 ハクモクレンの育て方 Evgenia Tuzinska/Shutterstock.com ハクモクレンは日本の気候でも育てやすい花木ですが、育てる際にはいくつか注意点や、きれいに育てるためのポイントがあります。ここからは、気になる育て方について詳しく解説します。 育て方のポイント JohnatAPW/Shutterstock.com ハクモクレンを植える際には、日陰を避けるようにしましょう。日当たりを好む植物ですので、日陰では育ちが悪くなってしまいます。土質はあまり選びませんが、湿気のある肥沃な土壌を好みます。剪定は好みません。剪定をしすぎると樹勢が衰えてしまうこともあります。 また、ハクモクレンは比較的寒さに強いですが、つぼみが生じた後に霜にあたると花が傷んでしまうので、特に寒くなる時期には注意が必要です。 植え付けのポイント GoodStudio/Shutterstock.com ハクモクレンの植え付けの適期は、葉が落ちてから花芽が目立ってくる前の1月~3月上旬です。少し湿った水はけのよい土を好むので、元肥として腐葉土や完熟たい肥、ピートモスなどをすき込んで、栄養の豊かな土づくりをします。 ポット植えの苗は、根を切らないように注意しながら、根鉢を優しく崩して植え付けます。その際、深植えにならないように注意しましょう。根鉢をわら縄などでまとめてある根巻き苗は、そのまま植え付けます。 幹が細いうちは、倒れないように支柱を立てて補助しておきましょう。 植える場所のポイント Peter Etchells/Shutterstock.com ハクモクレンの生育適温は15~25℃。日当たりと風通しのよい場所を好みます。 寒さにも強いため防寒対策は特に必要ありませんが、花弁は霜に弱く、一度でも霜にあたると褐色に変色してしまいます。気になる場合は、霜にあてないよう注意しましょう。もっとも、ハクモクレンは大きな木になるため株全体に霜よけをするのは難しいもの。たびたび霜が降りる地域では、ハクモクレンの代わりにコブシを選ぶのも選択肢の一つです。 また、ハクモクレンは根が伸びやすい植物です。鉢植えの場合は、地面に直接置くと鉢底から根が伸び出て、鉢が地面にくっついてしまうことがあります。これを防ぐためには、レンガや板を鉢の下に敷き、根が伸びて地面に届くことがないようにするとよいでしょう。 水やりと肥料の与え方のポイント Jag_cz/Shutterstock.com 地植えでは、植え付け後から根付くまでは定期的に水やりをして土を乾かさないようにするのがポイントです。その後は、特に水やりは必要なく降雨のみで育ちます。肥料は1~2月の休眠期に、緩効性化成肥料や骨粉入りの油かすを寒肥として株元にまきます。5月頃に追肥として、こちらも緩効性化成肥料を株元にまきます。 鉢植えの場合の水やりは、土の表面が乾いたらその都度たっぷりと与えます。肥料は3~6月の間は月に1回程度、骨粉入りの油かすを株元に施します。 剪定のポイント Krisana Antharith/Shutterstock.com ハクモクレンの剪定は花後に行います。 剪定では、株の内側に向かって伸びていたり混み合っている枝、下向きに生えている枝などをつけ根から切ります。樹冠から飛び出した徒長枝などもつけ根で切ります。 大きくなりすぎた木を小さくするときも、この時期に剪定しましょう。伸びすぎた枝は伸びた先端を切り詰めるのではなく、分岐部でつけ根から切るのがコツです。 春から秋の間に伸びすぎた枝は、落葉期に剪定してもいいでしょう。ハクモクレンは、秋には花芽ができています。花芽は見た目で確認できるので、できるだけ花芽を落とさないように剪定します。 鉢植えの植え替えポイント BOKEH STOCK/Shutterstock.com ハクモクレンを鉢植えで育てている場合は、2~3年に1度植え替えが必要です。 植え替えの適期は、植え付けと同じ落葉期の1月~3月上旬か、花が終わった後に暖かくなってくる4月中旬~5月中旬がおすすめです。 植え替えの際は、根鉢をそっと手で崩し、一回り大きな鉢に植え替えます。この時に根を傷つけないように十分気を付けましょう。植え付けと同様に、深植えしないように注意します。 病害虫についての注意点 Protasov AN/Shutterstock.com ハクモクレンは病気にも強く、天敵となる虫も少ない植物です。 注意が必要な害虫としては、カミキリムシの幼虫による食害が挙げられます。 カミキリムシの幼虫は幹に穴をあけ、木の幹の内部を食い荒らしてしまいます。株元におが屑のような木くずが落ちていたら、カミキリムシの幼虫がいる可能性があるので、早めに確認して駆除しましょう。駆除をするには、虫が幹にあけた穴から針金などを入れて突き刺すか、穴から適用のある薬剤を注入しましょう。駆除後も新しいおがくずが発生していないかを観察して、きちんと駆除されたことを確認するようにします。 ハクモクレンの増やし方 Efetova Anna/Shutterstock.com 一般に樹木を増やす際には、挿し木や接ぎ木、種まきなどの方法がありますが、ハクモクレンは挿し木では新しい芽が育ちにくく不向きです。ここでは、ハクモクレンを接ぎ木と種まきで増やす方法について手順を追ってご紹介します。 接ぎ木の方法 Azami Adiputera/Shutterstock.com 接ぎ木とは、増やしたい木を別の台木に接いで株を増やす方法のことをいいます。 ハクモクレンの接ぎ木では、近縁種のコブシが台木によく使われます。接ぎ木に適した時期は落葉期である2~3月です。穂木にするハクモクレンは、枝に芽が付くようにして、枝先から5cm程のところで切り落とし使います。台木にするコブシの株元近くに切り込みを入れて、斜めに切ったハクモクレンの穂木を差し込み、接ぎ木テープで巻いて固定します。しっかりと活着するまでテープは剝がさないようにします。 種まきの方法 Havryliuk-Kharzhevska/Shutterstock.com ハクモクレンの種まきの適期は9~10月です。 種の収穫は秋にします。枝についたままの実が熟して果実が裂けると、朱色の種がぶら下がってきますが、種まき用には、裂ける前の果実を取って陰干しし、数日後に果実が裂けて出てきた種を水洗いして用います。この種を、乾かないうちにすぐに播く「取りまき」にします。 種まきの際は、小粒の赤玉土を入れた鉢に種を置き、軽く隠れる程度に土をかぶせます。種まき後は水を切らさないように管理しましょう。春に発芽して、本葉が2、3枚になった頃から、2.5~3号鉢に1本ずつ鉢上げします。成長に合わせて植え替え、徐々に鉢を大きくしましょう。 気高さをたたえる純白のハクモクレンをシンボルツリーにしよう Jack.Q/Shutterstock.com ハクモクレンが春の訪れとともにわずかな間に見せる、樹冠いっぱいの純白の花や上品な香りは多くの人々を惹きつける魅力をもち、「気高さ」という花言葉にふさわしい姿を見せてくれます。さらに丈夫で手がかからず、じつは育てやすいのも嬉しいところ。見た目も育てやすさも魅力的なハクモクレンを、ぜひお庭のシンボルとして取り入れてみてはいかがでしょうか。























