じつは放置が最も効果的!? 庭の害虫、アブラムシ退治(後編)

左はテントウムシの幼虫、右はクサカゲロウ。どちらもアブラムシ(中央)を食べてくれます。
アブラムシは草花を育てていると必ず遭遇する代表的な害虫。しかし、アブラムシには天敵がたくさんおり、放っておいても食べ尽くされていつの間にかいなくなっていることも多いのです。天敵も含めたアブラムシの対処法をご紹介します。
(前編から続く)
目次
庭虫たちの相関図

先ほどの単純計算でいくと、地球はとっくにアブラムシプラネットになっているはずですが、現実にはそうでないのは、アブラムシを捕食する多くの虫がいるからです。テントウムシ(成虫&幼虫)、ヒラタアブ(幼虫)、クサカゲロウ(幼虫)は、旺盛にアブラムシを食べ、ときにコロニーを壊滅させるほどの大食漢ぶりを見せます。そのため、人間界では「益虫」として讃えられていますが、アブラムシにとっては恐ろしい天敵というわけです。
さらに、ここでアリンコが登場します。少々、相関図が複雑になってきますが、アブラムシを食べる天敵たちからアブラムシを守る役割をしているのが、アリです。アブラムシはオシリから「甘露(ハニーデュー)」という液体を出し、アリにご馳走する代わりに天敵たちから守ってもらっているのです。実際、アリのいるアブラムシのコロニーに、「さあ、お食べ」とテントウムシを移動させても食べようとせず、すぐにポロっと落ちて逃げてしまいます。何度やっても一目散に逃げるテントウムシに、「そんなにアリが怖いのかっ!」となじりたくなりますが、用心棒としてのアリの優秀さを証明するものです。このアブラムシとアリとの関係を「共生関係」と呼びます。つまりは利害が一致するもの同士が共に生きる関係ですから、特に虫だけに限ったことではなく、人間界においても同様の関係が見られます。人間の場合のハニーデューは、懐から出てくるお金であったり、権力であったり、色気であったり、相手や状況に応じて使い分けながらバリエーション豊かな共生関係が繰り広げられています。


ガーデンでよく出会うアブラムシを知ろう!

さてこんなふうに、食べたり食べられたり守ったりしながら、昆虫のバランスが適度に保たれていれば、草花は大抵元気に育ってくれます。アブラムシだけが異常に増えるのは、環境に問題がある場合(風通しが悪く多湿気味など)や肥料の与えすぎなどが原因と考えられますので、まず第一に、それを改善しましょう。草花にひどい影響が出る場合には、人の手でコントロールをします。アブラムシはとてもか弱い昆虫なので、殺虫剤や牛乳スプレーなどの散布でも駆除できますが、手で取る、というアナログの方法が最も手早く確実。「触るのなんて絶対無理」と顔を引きつらせていたレディーが、いつの間にか美しい笑顔のまま二本の指でアブラムシをザッとこそげ落とすようになるケースは決して珍しくありません。とにかく、アブラムシは庭のレギュラーメンバーですから、怖がらずに上手にお付き合い&対処していきましょう。
Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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