植物を育てていると、好むと好まざるとにかかわらずお付き合いの始まる相手が、虫。「I LOVE 虫❤」な人は、昆虫観察感覚で楽しくお付き合いができますが、問題は好きじゃない場合。好きにならなくとも、植物を育てるうえでは虫たちのことを知ることはとても重要。そして、草花を育てるのが何倍も楽しくなります。今回はよく見かけるアブラムシを知ってみましょう。

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アーバンライフを送る婦女子は概ね虫が苦手。せっかく花を育て始めても、虫の存在が邪魔して素敵なガーデンライフを断念してしまうことがよくあります。けれども、虫の存在なくして植物は生きられません。それに、「地球上に虫は何匹いると思ってるの?」「100京」(by 昆虫学者C・B・ウィリアムズ博士)。ざっと人間の138,045,278倍。普段なかなか聞かない「京」なんて単位で存在している虫たちは、アーバンだろうがセレブマンションだろうがやってきて、そして勝手に生活し始めます。

さて、虫嫌いな人のその理由は、知らない→怖い・気持ち悪い→嫌い。この負のベクトルの結果として「ヘイト」へ終着してしまうケースがほとんど。ですから、「知っている」からスタートすると、結果は正反対になる!ハズ。

最初にご紹介する庭虫(庭に来る虫)はアブラムシ。春先早くに登場し、その後も最もよく見かけることになるメジャーな庭虫です。体長は2〜3mmほどですから、2〜3匹程度なら気にもならないのですが、たいがいその存在に気づく時は茎やつぼみにビッシリという状態。悲鳴を誘いがちな情景ですが、ここはひとつ冷静になって観察してみましょう。

バラのつぼみについたアブラムシ。ほぼ全員メス。女子会的な、レディース的なコロニー。ちなみに日本には700種ほどが生息し、種類によって寄生する植物が異なり、体の特徴も黒や茶色、羽の有無などいろいろ。
バラのつぼみについたアブラムシ。ほぼ全員メス。女子会的な、レディース的なコロニー。ちなみに日本には700種ほどが生息し、種類によって寄生する植物が異なり、体の特徴も黒や茶色、羽の有無などいろいろ。

 

大勢で集まって、一体そこで何をしているかといえば、植物のエキスを吸っています。口から極細の針を出して植物に刺し、青汁ドリンク的にエキスをゴクゴク飲んでいます。花を育てている人からしたら、「ちょっと、やめてくださ〜い(怒)」です。実際、あんまり吸われ過ぎると、葉っぱが縮んだり、花が咲かなくなったり、病気にかかったりという影響が出ますので、人間界では「害虫」として分類されています。けれども、人を刺したり噛んだり、触れたらかぶれるといった類の虫ではないので、全く怖がらなくて大丈夫。

彼らがするのは、植物のエキスを吸うことと、出産。そう、ですから正しくは彼らではなく、「彼女ら」です。春先、ビッシリ付いているのは大概全員メス。春から秋までのアブラムシのコロニーは女子会です。え?じゃあ、どうやって出産するの? その答えは単為生殖(たんいせいしょく)。アブラムシはオスなしでメスだけで子を宿し、毎日、1匹が10匹程を出産します。生まれた幼虫の腹の中にはすでに子が入ったマトリョーシカ状態で、10日後には成虫となって出産を始めるので、単純計算で1匹が1カ月後には1万匹以上に。単為生殖で生まれる子は親と同一の遺伝子を持つ‘クローン’アブラムシですが、季節や種類によっては雄との間で有性生殖を行い、遺伝子の多様性を保っています。

後編 へ続く

バイカウツギについていた赤茶色のアブラムシを1匹手に乗せてみたところ、オシリに薄緑色のものが。クローンキッズを出産中でした。
バイカウツギについていた赤茶色のアブラムシを1匹手に乗せてみたところ、オシリに薄緑色のものが。クローンキッズを出産中でした。
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