【家庭菜園にイチオシ】赤や緑の茎が目印の「ルバーブ」育て方&食べ方

Diana Taliun/Shutterstock.com
欧米ではよく知られている野菜の一つ「ルバーブ」。皆さんは見たことはありますか? フキにも似たフォルムで、主にジャムとして食されているルバーブは、まだスーパーでは入手が難しい食材です。庭でも育てられるルバーブは、どんな野菜なのか。基本情報から、育て方のコツ、ジャム以外の食べ方についてもご紹介します。
ルバーブとはどんな野菜? 基本情報と特徴

ルバーブはタデ科ダイオウ属の多年草で、シベリア原産の植物です。
英語での表記は「Rhubarb」で、日本では「ショクヨウダイオウ(食用大黄)」とも呼ばれています。フキのように伸びる赤や緑の葉柄部分が食材として利用され、5~7月に白や黄色の花を咲かせます。
北海道や長野県が産地のルバーブ

ルバーブは欧米では古くから身近な食材として利用されており、イギリスでは特にポピュラーな食材の一つです。日本には明治時代に、長野県へ避暑に訪れた欧米人が持ち込んだといわれています。
シベリア原産の植物なので、ルバーブの栽培は寒冷地向きです。国内では主に長野県や北海道で栽培されています。
ルバーブを自分で育ててみよう!

ここからはルバーブの育て方について、土や肥料、水やりのタイミングなど項目ごとに詳しく解説します。
ルバーブは寒冷地に育つ植物! 栽培に適した環境と土づくり

ルバーブはシベリア原産の植物のため寒さには強い反面、耐暑性や耐湿性は弱いです。日当たりのよい場所を好みますが、真夏の強い日差しは避けられるようにしましょう。
土壌は水はけがよく、かつ栄養分の多い土壌を好みます。鉢植えでは赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜて土をつくるとよいでしょう。地植えの場合は、植え付ける前にあらかじめ腐葉土と堆肥を混ぜ込みます。
ルバーブの種子や苗は通販でも販売! 種まきと植え付けの方法

ルバーブの種子や苗は、園芸店やガーデンセンターのほか、通信販売などでも購入することができます。苗を入手したほうが栽培はラクに始められますが、入手が難しい場合は種まきするのも一つの方法です。
発芽適温は、20~22℃と高いため、種まきは暖かくなった3〜4月がよいタイミングです。育苗ポットやトレーなどに種まきをして、生育のよいものを残して間引きながら育てます。本葉が3~4枚にまで成長したら定植(鉢や地面に植え直す)します。
草丈が50cm以上と大株に育つので、植え付けの際は株間を50cm~1m程度離しましょう。
ルバーブの水やりと肥料

耐湿性が弱いため、水やりをしすぎることで土中が過湿になると根腐れを起こしてしまいます。
植え付け直後はたっぷりと水やりをしますが、それ以外は土の表面が乾いたら水やりをしましょう。
肥料は植え付け時に緩効性肥料を混ぜ込んで、その後は月に一度追肥をします。
ルバーブの収穫方法と増やし方

ルバーブは葉柄の部分を食用にします。収穫時期は、5〜6月。若い茎の頃が美味しい時期です。植えてから1年目までは株を充実させるために収穫せず、2年目以降に草丈が30cm以上育ったら収穫します。茎の根本の地際付近で清潔なハサミやナイフで切り取って収穫します。
増やす際は種まきと株分けで増やすことができます。
株分けは3~5月が適期です。4年ほど経った株を掘り上げて、切り分けたあとに1株につき根元の芽が1つ以上つくようにナイフなどで切り分けます。太い根をできるだけたくさんつけた状態で切り分けて、それぞれ植え付けます。
注意しよう! ルバーブがかかりやすい病気

ルバーブはうどんこ病とアブラムシに特に注意が必要です。
うどんこ病は春と秋に発生しやすい、カビによる病気です。罹病すると葉の表面が白い粉で覆われたようになり、光合成が十分にできなくなって株が弱ってしまいます。病気になった葉は根本から切り取って、食用に使える殺菌剤を使うのも一案です。
アブラムシは葉から栄養を吸い取ってしまう害虫です。見つけ次第駆除しましょう。
ルバーブの栄養と効能! 毒性はある?

食用できる部分は、30~40cmほどの葉柄の部分で、特有の酸味と渋みがあります。
ビタミンCや葉酸が豊富なほか、カリウムも多く含まれています。カリウムは余分なナトリウムの排出を促してくれる作用があり、高血圧や動脈硬化、むくみなどに対して効果が期待できるといわれています。赤いルバーブにはアントシアニンなども含まれています。
葉にはシュウ酸が多く含まれているため、食用には不向きです。
ルバーブの特徴を生かした美味しい食べ方

ルバーブにはシュウ酸が多く含まれているため、生食には向きませんが、加熱することで美味しく食べることができます。ここでは、ルバーブの特徴を生かした調理方法をご紹介します。
砂糖と相性がピッタリ! ジャムやコンポートにしてみよう

酸味が強いルバーブは、砂糖と合わせた調理にぴったりです。また、葉柄は加熱すると崩れやすいので、ジャムを作るのに向いています。
ルバーブのジャムの作り方は、葉柄を皮は剥かずに2~3cmの輪切りにし、鍋に入れます。そこへ、ルバーブの量の3~5割ほどの砂糖を加えたら15分ほど灰汁をとりながら煮詰めます。お好みで白ワインやレモン、シナモンなどを加えても美味しく仕上がります。
形を残すコンポートでは、煮崩れしないように注意して、直火にかけないといった工夫が必要です。
乳製品とも相性がいい! イギリスのお菓子フールやクランブルにも

ルバーブは乳製品にもよく合います。イギリスでは泡立てた生クリームにルバーブジャムを乗せた、伝統的なデザートの「フール」によく使われます。
また、同じくイギリスのデザートである「クランブル」にも用いられます。クランブルはほろほろと崩れるクッキーのようなお菓子で、ルバーブに砂糖・バター・小麦粉を潰し混ぜた生地を振りかけて焼きます。
タルト、パイ、ケーキに使えば爽やかな酸味と鮮やかな色合いに!

ルバーブはタルトやパイ、ケーキに使うと、爽やかな酸味と鮮やかな色をプラスできます。ジャムやソースにしたルバーブを上にかけたり、形の残っているコンポート状のルバーブを生地に混ぜ込んで焼いたりといったアレンジもおすすめです。
ドレッシングやソースなど料理の味付けにも使えるルバーブ

ルバーブは酸味を生かしてサラダ用のドレッシングや肉料理のソースにするのにもぴったりです。
冷蔵保存や冷凍保存ができるルバーブの保存方法

ルバーブは採取したままの状態で常温保存には向きません。すぐに調理ができない場合は、新聞紙などに包んで乾燥を防げば1週間ほどなら冷蔵庫で保存できます。
冷凍保存も可能で、2~3cm程度にカットして冷凍すると、約1年間は保存できます。解凍後はそのまま加熱して使えますが、煮崩れしやすくなるのでジャムなどに加工するのがおすすめです。
自家採取したルバーブで食卓を彩ろう

スーパーでは手に入りにくいルバーブは、涼しい地域で育てられる家庭菜園にもおすすめの野菜です。ジャム以外にもクランブルやサラダ、ドレッシングなどさまざまな料理やデザートに活用できるルバーブを庭で育てて、味わってみませんか。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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