スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
-
レポート

都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト
今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」 大温室を背景にばら園を望む神代植物公園。 写真/神代植物公園 武蔵野の面影が残る広大な敷地を有する神代植物公園。園内には、ばら園、つつじ園、うめ園、はぎ園をはじめ植物の種類ごとに30ブロックに分かれており、約4,800種類・10万本もの植物が植えられています。 この公園はもともと東京の街路樹などを育てるための圃場でしたが、戦後、神代緑地として公開されたあと、昭和36年に名称を神代植物公園と改め、都内唯一の植物公園として開園しました。古くから伝わる日本の園芸植物の品種の保存や植物・園芸に関する催し・展示会などを開催し、都民の緑に対する関心を高めるのに一役買っています。大温室は平成28年5月に大規模にリニューアルされ、多くの珍しい熱帯の植物や彩り鮮やかな花々が楽しめるようになりました。 大温室内には熱帯花木室、熱帯スイレン室、ベゴニア室などがあり、約1,300種類の植物を有している。写真/神代植物公園 今回のコンテストは、公園の正門手前プロムナード[無料区域]で行われ、審査を通過した5名の入賞者がそれぞれ約70㎡のスペースにガーデンを制作します。土壌改良や植え付けなどの作庭は、2023年12月と2024年2月に行われます。その後は11月の最終審査まで、ガーデナーにより必要に応じてメンテナンスが行われ、3回の審査を経てグランプリが決定します。 コンテストガーデンが作られるエリアは、以前はツツジとササが植わる緑一色の場所だった。 今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」。ここ調布市を含む武蔵野エリアはかつて見渡す限りのススキやハギの原野で、野の向こうからの月の出入りが見られる月見の名所として知られていました。こういった土地の歴史的背景を現代の解釈でガーデナーたちはデザイン。2023年9月1日のコンテストの締め切りには多数の応募が寄せられました。9月15日は、書類審査で5名の入賞者が決定。色彩豊かな5つの新しい武蔵野の風景が、ここに制作されます。 公園の正門手前プロムナード[無料区域]にコンテストのために日向エリアと日陰エリアで5つずつの花壇が整備されました。 5人が作庭する花壇は、プロムナード(公道)を挟んで向かい合う日向と日陰となる2つのエリアに設けられました。日陰となる花壇は、南側に植わる常緑高木のシラカシの列植に日が遮られるため、夏場以外はほぼ日が当たりません。一方日向のエリアは、冬でもほぼ終日日が当たる環境。代々木公園の開催時とは異なり、日向・日陰と異なる環境それぞれに合わせた植物選び・構成によって1名につき2タイプのガーデンが設けられます。異なるタイプの花壇を同時に観賞できることは、今回の大きな見どころ。5者5様の環境・植物に合わせた土壌作りなど、5名のガーデナーがどのような工夫で「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」のお題を叶えるのかも見逃せないポイントです。 左手にコンテストの花壇が並ぶ日向のエリア。奥に神代植物公園の正門があります。 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることに加え、審査でみる重要なポイント 今回も「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることが外せないルール。丈夫で長生きする宿根草・球根植物=多年草を中心に季節ごとの植え替えをせず、順繰りに花が四季ごとに咲かせられることが求められています。 ● 公園の景観と調和していること ● 公園利用者が美しいと感じられること● 植物が会場の環境に適応していること ● 造園技術が高いこと● 四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること● 「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) ● メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)● デザイナー独自の提案ができていること ● 総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。審査は次の視点から行われます。 2023年に都立代々木公園で3回行われた「第1回 東京パークガーデンアワード」の審査の様子。審査委員は、福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 准教授) 正木 覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師) 吉谷桂子(ガーデンデザイナー) 佐々木 珠(東京都建設局公園緑地部長) 植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 近年日本では夏場が酷暑になるため、日向のエリアで求められるのは暑さや乾燥に耐えるもの。夏に茂りすぎて株が倒れたり、蒸れて病害虫が発生したりするなどのダメージを回避するための手入れのテクニックも必要です。メンテナンスはガーデナーの申請によって行われるのが条件ですが、手入れの頻度(回数)も審査の対象となります。 植物の状態を維持するための最低限の灌水は主催者が行います。 また、手入れの際に発生した剪定枝などを、花壇内で循環させることを考慮することも重要。ゴミに出せば焼却時に二酸化炭素が発生しますが、花壇内で微生物に分解されるような仕組みが整えられていれば、二酸化炭素は発生させずに、土壌内微生物の多様化につながります。 全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト 12月に行われた第1回作庭で集合した5名のガーデナー。 コンテストのテーマとルールをふまえて制作するガーデンのコンセプトや図面、植物リストの一部をご紹介します。 コンテストガーデンAGrasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜 【作品のテーマ・制作意図】 武蔵野のくさはらを表現するにあたり、オーナメンタルグラスとカラーリーフ、特徴的な葉を持つ植物をメインにしたガーデンをつくってみたいと思いました。「グラスガーデン」は馴染みが薄かったり、地味にとらえられたりすることもあるかと思いますが、宿根草に加え、球根植物も多用し華やかさをプラスすることで、多くの方に楽しんでいただけるガーデンを目指しています。 【日向】 ガーデン中央に帯状の管理通路を設置して植栽シーンの切り替えをし、植物の高低差をうまく生かすことで、野原の広がりを表現しています。植栽は秋の七草など日本人になじみのある宿根草を多く取り入れながら丈夫なグラス類を加え、親しみのある風景を展開。 【日向の主な植物リスト】 グラス類…イトススキ/カラマグロスティス/ペニセタム/パニカム/モリニア など季節の花…アガスターシェ/フロックス/ルドベキア/アガパンサス など和の花…キキョウ/オミナエシ/フジバカマ類/ヤブカンゾウ/ヒオウギ など球根…ユリ類/スイセン/カマッシア/ダッチアイリス/アリウム など 【日陰】 日向のガーデンと同じグランドデザインで、植栽は日陰に強いものをセレクト。低木のノリウツギ2種とアジサイ’アナベル’を手前と奥の3カ所に植栽することで花壇に奥行きやボリューム感を与えています。春は小さなシラーと山野草からスタートし、夏にはヤマユリやリーガルリリーが開花してあでやかな趣が楽しめます。 【日陰の主な植物リスト】 グラス・葉物類…フウチソウ/ベニチガヤ/ギボウシ類/クジャクシダ/クサソテツ など季節の花…アスチルベ/プルモナリア/ティアレラ/ムラサキツユクサ など和の花…イカリソウ/ヤマブキショウマ/シュウメイギク/チョウジソウ/ミヤコワスレ など球根…ユリ類/スイセン/コルチカム など コンテストガーデンB花鳥風月 命巡る草はら 【作品のテーマ・制作意図】 ガーデンの美しさは緑量や花の色目や形状だけで測れるものでなく、空や光や風や生きもの全ての関わり合い、生命の尊さを感じることでガーデンがより輝いて見えます。ガーデンに長く根付いて、地域に馴染む風景、生態系の一部になることを想定し、植えっ放しに耐えられる丈夫な品種を中心に、蜜源植物や、風や光の動きを反映しやすい植物を多く取り入れ、地味な在来種でも組合せや配置で奥行ある豊かな草はらの表現を目指します。 【日向】 3本の帯状の溝を緩やかに蛇行しながら左右に流し、中央の最も広いゾーンに多数のオミナエシを植栽。この和の植物をガーデンの主役・軸として、季節ごとの草花による彩りがプランされています。また、種類を絞って選ばれた植物で各季節の見せ場が設けられているのも見どころ。 【日向の主な植物リスト】 フジバカマ/パニカム‘ブルージャイアント’/ノリウツギ‘ライムライト’/ヘリアンサス‘レモンクイーン’/パブティシア/キキョウ/アヤメ/バーベナ・ボナリエンシス/ダイアンサス・カルスシアノラム/ペニセタム・マクロウルム/ジャーマンアイリス/ルドベキア‘ゴールドスターム’/ヒオウギ(オレンジ花・キバナmix)/ペンステモン‘ハスカーレッド’/スティパ、カッコウセンノウ/ミニスイセン・ティタティタ(球根)/オミナエシ/ダッチアイリス(球根)/アリウム‘丹頂’(球根)/ミューレンベルギア・カピラリス/カマッシア(球根)/イトススキ/ロシアンセージ 【日陰】 手前から右後方に向けてうねるようにカーブを描く管理通路を設け、それを挟むように植栽。たくさんの種類を植えず、ハナニラやアガパンサス、ヤブラン、ヒヨドリバナなどこれぞという植物に絞って群生させているので、旬となる時季には迫力のある風景が楽しめそう。 【日陰の主な植物リスト】 ラナンキュラス‘ゴールドカップ’/カレックス・オメンシス・エバリロ/アジュガ/ベニシダ/フウロソウ/ツワブキ/ユキノシタ/ジャノヒゲ/ヤブラン/ハナニラ(球根)/スイセン各種(球根)/フリチラリア(球根)/ペンステモン/ホタルブクロ/ヒヨドリバナ/アスチルベ/カレックス/アガパンサス(青花・白花mix)/クサソテツ/ヤツデ/スミレ/セキショウ コンテストガーデンC草原は、やがて森へ還る。 【作品のテーマ・制作意図】 森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。 【日向】 対角線上に配した2つの築山ゾーンと、その間を流れるように設けられた谷筋のような溝がメリハリのある起伏をつくり、多種多様な植物とともにドラマティックな野趣を演出しています。また、谷筋にはノカンゾウやアヤメ、ミソハギを植え、より自然な川筋を表現しています 【日向の主な植物リスト】 グラス類:アオチカラシバ/エラグロスティス‘スペクタビリス’/カレックス‘フェニックスグリーン’/スティパ‘テヌイッシマ’/ディスカンプシア‘ゴールドタウ’ など球根類:コオニユリ/カノコユリ/スノーフレーク/ハナニラ(イフェイオン)‘ジェシー’/原種系チューリップ ‘アルバコエルレアオクラータ’/クロッカス‘ホワイトウェルパープル’/アリウム‘カメレオン’/アリウム‘グレースフルビューティー’ など宿根草:ノカンゾウ/アヤメ/ミソハギ/ウツボグサ/シュウメイギク/チョウジソウ/ワレモコウ/フジバカマ/ハゴロモフジバカマ/オミナエシ/ノコンギク‘夕映え’/アスター‘アポロ’/シオン‘ジンダイ’/エキナセア‘パープレア’/エキナセア‘ロッキートップ’/ルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’/セントーレア‘ニグラ’/オルレア(一年草)/ガウラ‘クールブリーズ’/ペルシカリア‘ブラックフィールド’/フロックス‘フジヤマ’ など低木類:ガマズミ/バイカウツギ/コバノズイナ/テマリシモツケ など 【日陰】 日向・日陰ともに森へと遷移している途中の草はらを表していますが、日陰のほうがより森に近づいているような雰囲気を演出しています。また、たくさんの種類を植えて多様性を出していますが、ガーデン内一面にいろいろな種類を植えるのではなく、谷筋はキチジョウソウで統一するなど、環境に合わせて量にメリハリをつけ、より自然に見える風景を描いています。 【日陰の主な植物リスト】 グラス類:カレックス‘ペンデュラ’/カレックス‘テスタセア’/シマカンスゲ/ワイルドオーツ/フウチソウ など球根類:ヒアシンソイデス‘ヒスパニカエクセルシオール’/シラー・シベリカ‘アルバ’/フリチラリア‘バイモユリ’/フリチラリア‘エルウィシー’/カマシア‘クシキー’/ゲラニウム‘チュベロサム’/コリダリス・ソリダ‘ベスエヴァンス’ など宿根草:キチジョウソウ/ヤブラン/ギボウシ/オカトラノオ/ホタルブクロ/イカリソウ/ミツバシモツケ/クリスマスローズ/シュウメイギク/チョウジソウ/ハゴロモフジバカマ/ベニシダ/ニシキシダ/クサソテツ/アスター‘トワイライト’/アスター‘リトルカーロウ’/ワイルドチャービル/サラシナショウマ(シミシフーガ)‘ブルネット’/カラマツソウ(タリクトラム)‘ヒューイットダブル’/モウズイカ(バーバスカム)‘ビオレッタ’/ペンステモン‘ミスティカ’ など低木類:ナツハゼ/ノリウツギ/ムラサキシキブ/ヤツデ‘スパイダーウェブ’/コバノズイナ など コンテストガーデンDfeeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~ 【作品のテーマ・制作意図】 人々の心に残る武蔵野の情景を骨格に、新たな要素を組み足して、これからの愛される武蔵野の風景を植物の魅力や武蔵野の風景を「伝え」「感じる」ことを軸に提案しました。武蔵野の草原を連想させるグラスをベースに、季節の流れの中で、さまざまな色や形の草花がガーデンを彩っていくような配置を心がけました。自然との距離が遠くなった現代で、このガーデンが少しでも自然と人とが寄り添うきっかけになればと思っています。 【日向】 斜めに伸びる群植で植えられたさまざまなグラスの間に花の美しい宿根草を植え、グラスを背景にした季節ごとの風景が楽しめるデザインです。若い世代の目に留まるよう、自然でありながらもポップな色彩も花色で盛り込まれています。 【日向の主な植物リスト】 イトススキ/カラマグロスティス/カレックス/ユーパトリウム ‘ベイビージョー'/ムギ/ソバ、ダンギク/ベルガモット/オミナエシ/ワレモコウ/ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’/エキナセア、バーベナ・ボナリエンシス/アリウム/チューリップ 【日陰】 後方に低木・ノリウツギを多数植え、植栽の背景とさせながらボリュームを加え、見応えを出しています。またアカンサスなどのユニークな花を用いることで、見る人の目を引くなど、ガーデンへの興味をそそる工夫が施されています。 【日陰の主な植物リスト】 カレックス/ギボウシ/ツワブキ/クサソテツ/アカンサス・モリス/バプティシア/ユーパトリウム’チョコレート’/ペルシカリア‘ファイヤーテール’/アジサイ‘アナベル’/オトコエシ/オミナエシ/カクトラノオ/ペンステモン/アリウム/チューリップ コンテストガーデンE武蔵野の“これから”の原風景 【作品のテーマ・制作意図】 世界的に"Climate Change(気候変動)"が叫ばれ、日本でも夏の猛暑、雨不足による水ストレスが植物を苦しめました。農業技術である完熟した堆肥をはじめ有機資材を使い、微生物に富み団粒構造を持つ土壌を作ることからはじめ、これまで武蔵野の草原風景を担ってきた在来植物を中心にガーデンを構成します。都市の暮らしの中でこぼれ落ちてきた技術、植物でこれからの武蔵野の風景を模索していきます。 【日向】 設定した築山~低地により生まれる、わずかな環境条件の違いを生かして植物を選定。右後方に明るい日陰、やや湿り気のあるゾーンを作り、そのほかの広範囲は乾燥気味になることを意識して植栽しています。植物は武蔵野の在来種を中心に、9割が日本生まれの野草を用いています。 【日向の主な植物リスト】 ヤマハギ/ミソハギ/オミナエシ/ノガリヤス/チカラシバ/フジバカマ/オトコエシ/コマツナギ/ワレモコウ/シラヤマギク/カワミドリ/フジアザミ/ノダケ/ヒヨドリバナ/キセワタ/マツムシソウ/クララ/オカトラノオ/ヤマホタルブクロ/ツルボ/キキョウ/アサマフウロ/タカノハススキ/ミスカンサス‘モーニングライト’/ミツバシモツケ/カタクリ/ムラサキ/カライトソウ/タムラソウなど 【日陰】 前方・中央・後方と大きく3つに分け、やや湿り気、乾燥、湿り気のあるゾーンに分けて植栽。複数のシダやヤグルマソウ、オオバギボウシなどのリーフ類に楚々とした花を合わせています。こちらにはグラス類の使用を抑え、日向の植栽と大きく差別化を図っています。 【日陰の主な植物リスト】 フクジュソウ/ヒトリシズカ/フタリシズカ/ツリガネニンジン/キバナノアキギリ/チダケサシ/シュウメイギク/クジャクシダ/ナチシダ/クサソテツ/ヒトツバ/ナキリスゲ/ゲンノショウコ/ナガボノシロワレモコウ/ヤグルマソウ/キョウガノコ/チョウジソウ/アキカラマツ/フシグロセンノウ/キリンソウ/エゴポディウム・バリエガータ/ツワブキ・アージェテリウム‘浮雲錦’など コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立神代植物公園(正門手前プロムナード[無料区域])所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。
-
育て方

2月の庭仕事をチェック! ガーデニングカレンダー February
バラの剪定のリミット 関東以西の平地では、バラの剪定の最終リミットは今月です。2月中にシュラブ(半つる性)やブッシュ(木立ち性)の剪定を済ませましょう。開花が望めない鉛筆より細い弱々しい枝や枯れ枝は、春以降に虫たちの温床になるので、剪定時に一緒にカットしておきましょう。 一年草のハーブのタネ播きをしましょう チャービルやルッコラ、コリアンダー、ジャーマンカモミールなど、一年草のハーブはこの時期、室内でタネ播きをして苗をつくっておきます。成長に従って間引きが必要になってきますが、間引いた若葉も美味しくいただけます。タネから育てると、苗を買うよりコストが大幅に下がります。 鉢植えの球根花に水やりを 左/球根花のなかでも早く開花するのは、スノードロップ。小さな咲き姿を見逃さないように。右/春が待ち遠しくなってきた2月中旬。緑色の芽が伸び出してきました。 地植えの場合は水やりの必要はありませんが、鉢植えの球根花は芽が伸び始めてくる頃です。地上部に何もないとうっかり忘れがちですが、1週間に1回は水やりしましょう。鉢植えの宿根草も同様です。 宿根草の株分けをしましょう 大株に育ったホスタ(ギボウシ)。 暖かくなって芽が動き始める前に、宿根草の株分けを済ませておきましょう。植え付けから数年を経て、大株になったホスタやシュウメイギクなどは、根を傷めないように掘り上げ、土をふるい落としてからハサミや刃物を使って根を切り分けます。植えつけ穴を掘って再び植え直し、たっぷり水やりをします。株分けをすることで風通しがよくなり、元気に育ちます。 冬の花の展示会が目白押しです 愛好家たちが育てたクリスマスローズの見事な鉢が並ぶ。過去の展示より。 冬は意外にも花の大きな展示会が開催されています。東京・文京区、東京ドームシティ プリズムホールでは「- 花と緑の祭典 - 世界らん展2026」(2026年2月5日(木)〜11日(水))、東京・池袋サンシャインシティでは「クリスマスローズの世界展2026」(2026年2月20日(金)、21日(土))が開催されます。展示会は、珍しい品種に出合えるチャンスです。 花が終わった水耕栽培の後始末 花が終わった水耕栽培の球根は、地植えにして葉が自然に枯れるまで育てると、また来年、花が咲く可能性があります。
-
一・二年草

ネメシアの魅力と育て方をご紹介! 長く楽しめる品種も登場
ネメシアの基礎知識を知っておこう Reut MG/Shutterstock.com ネメシアは、ゴマノハグサ科ネメシア属の植物。原産地は南アフリカで、50種ほどが自生しているとされています。日本で主に園芸用として流通しているのは2〜3種類で、一年草タイプと宿根草タイプがあります。日本で古くから愛されてきたのは一年草のネメシアで、秋に種まきして4〜5月に開花、暑さに耐えられずに枯死してしまう短命なライフサイクルです。鮮やかな花色が魅力で、赤、ピンク、オレンジ、黄、紫、白、複色などが揃います。草丈は30cm前後。一方で、宿根草のネメシアは夏越しが可能で、数年は越年して毎年花を咲かせます。四季咲き性も強く、3℃以上の気温があれば真夏以外は繰り返し咲いてくれるのが魅力。一年草ほどの色幅はなく、青、ピンク、白が主流でしたが、近年は品種改良が進んでカラフルな色彩を持つ品種も登場しています。 ネメシアの主な品種をご紹介 前述のように、ネメシアは主に一年草と宿根草の2タイプが流通しています。ここでは、その特性についてご紹介しましょう。 一年草ネメシア ネメシア・ストルモサ。simona pavan/Shutterstock.com ネメシア・ストルモサ(Nemesia strumose)を元に改良された品種群です。花色がカラフルで豊富に揃い、人気が高いために園芸品種が多数出回っています。よく分枝し、こんもりと茂って株姿がまとまりやすい‘F1ポエトリー’シリーズ、病気に強くて育てやすい‘F1プリティー プリーズ’シリーズ、複色咲きが愛らしい‘デュエット’シリーズ、インパクトのある大輪種の‘ラピン’シリーズなどがあります。 宿根ネメシア ネメシア・カエルレア。Gema Garcia Martin/Shutterstock.com 宿根ネメシアは、ネメシア・カエルレア(N.caerulea)、ネメシア・デンティキュラータ(N.denticulata)から改良された品種が多く見られます。控えめな花色が多かったのですが、一年草との交配も進み、近年ではカラフルな宿根ネメシアも登場。多数の花色が揃い、芳香を持つ‘メーテル’シリーズ、分枝力抜群でコンパクトにまとまる‘サンサシア プラス’シリーズ、生育旺盛で花つきがよい‘セブンスヘブン’シリーズなどがあります。 ネメシア栽培のポイントを解説 ここまで、ネメシアの特徴をまとめた基本情報、種類などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した環境や植え付け、水やりや施肥など日頃の管理、成長に応じたケア、気をつけたい病害虫、増やし方などについてガイドしていきます。基本的には一年草タイプ、宿根草タイプ共に育て方はほぼ同じです。 ネメシア栽培に適した場所 Jana Milin/Shutterstock.com ネメシアの栽培には、日当たり、風通しがよい場所が適しています。日当たりの悪い環境下では、茎葉がヒョロヒョロと間のびして、軟弱で倒れやすくなるので注意しましょう。また、多湿を嫌うため、水はけのよい土壌づくりが大切です。 ネメシアは、基本的に一年を通して戸外で栽培できます。開花中に雨に当たって花弁が傷むのを防ぐために、鉢栽培の場合は日当たりのよい軒下やベランダなどに移動するとよいでしょう。また、真冬は寒風が吹き抜けない暖かい陽だまりへ、真夏は雨の当たらない風通しのよい場所へ移動して管理するのがおすすめです。 ネメシアにおすすめの土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの3〜4週間前に苦土石灰を散布し、よく耕しておきます。さらに植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の草花用培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土小粒5、腐葉土3、川砂または酸度調整済みのピートモス2の割合でブレンドするとよいでしょう。 植え付け・植え替えのポイント Vlyaks/Shutterstock.com ネメシアの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か、9月下旬〜11月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。 庭で宿根ネメシアを育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。 【鉢植え】 ネメシアを鉢で栽培する場合は、6〜8号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 宿根ネメシアを鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。 水やり Ivanko80/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまいます。 また、真冬に水やりする場合は、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまいます。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、ネメシアは多湿を嫌うので、いつもジメジメした土壌環境だと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。冬は乾きにくくなるので、控えめに与える程度にし、乾燥気味に管理してください。 肥料の施し方 Singkham/Shutterstock.com 一年草タイプのネメシア 【地植え】 植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。 【鉢植え】 鉢栽培では水やりの際に肥料成分が流亡しやすいので、9〜10月と3〜6月に液肥を2週間に1度を目安に与えましょう。 宿根ネメシア 【地植え】 夏越し後の9〜10月に緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く耕して土に馴染ませておきます。 【鉢植え】 鉢栽培では水やりの際に肥料成分が流亡しやすいので、9〜10月と3〜6月に液肥を2週間に1度を目安に与えましょう。 日頃の手入れ Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com 【花がら摘み】 ネメシアは次々に花が咲くので、終わった花は摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【切り戻し】 ひと通り開花が終わって株姿が乱れてきたら、草丈の1/2~1/3くらいまでを目安に切り戻すと、再び旺盛に茂って花芽が上がってきます。 宿根ネメシアを夏越しさせる場合は、多湿になると株が蒸れて弱ることがあるので、梅雨前に切り戻して風通しよく管理します。草丈の1/2~1/3くらいまでを目安にカットし、込み合っている部分があれば、すかし剪定をしておくとよいでしょう。 ネメシアによく見られる病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 ネメシアの栽培でよく見られる病気は、灰色かび病、ウイルス病などです。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどの多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 ウイルス病は、アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどが媒介となって発症します。花弁にすじ状の斑が入って花が小さくなったり、葉にモザイク状のまだら模様が現れて縮れたりしていたら発症の可能性があるので注意。発病すると治らず、茎や葉が黒くなって枯れる一方なので、周囲に病気が蔓延しないよう早めに株を抜き取って土ごと処分してください。媒介となるアブラムシなどを防除することで、病気の発症を抑えることができます。 【害虫】 ネメシアの栽培でよく見られる害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。 ネメシアの増やし方 Taras Garkusha/Shutterstock.com 一年草タイプは種まきで増やすことができます。宿根草タイプは種まき、挿し芽で増やすことができます。 【種まき】 種まきのメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。 ネメシアの種まきの適期は10月頃です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れ、1穴当たり1〜2粒ずつ播きます。種が隠れる程度に土をごく薄くかけるのがポイントです。水やりは、水を少し張った容器にトレイを入れて、トレイの底から吸水させてください。乾燥しきらないように管理し、発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植します。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、宿根ネメシアは挿し芽で増やせます。 挿し芽の適期は、4〜6月か9月下旬〜10月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚取ります。セルトレイを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。根が回ってきたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 鮮やかな色も丈夫さも! ネメシアを使い分けよう SusaZoom/Shutterstock.com 短命ながらカラフルな花色に魅力がある一年草と、丈夫で長く楽しめる宿根草と、ネメシアは種類によって美点が異なるのが特徴です。一年草と宿根草をうまく使い分けて適材適所でガーデンに生かすのもいいですね。ぜひネメシアを取り入れて、華やかな庭を演出してみてはいかがでしょうか。
-
ガーデンデザイン

外壁を植物で覆っておしゃれな雰囲気に! どんなメリット・デメリットがある?
外壁を植物で覆う壁面緑化とは? saimonstock/Shutterstock.com 壁面緑化とは、文字どおり建物の外壁を植物で覆うことをいいます。旺盛に枝葉を伸ばして生育するつる植物を建物に這わせるのが最もポピュラーで、初心者でも取り組みやすい緑化の方法です。ほかにも植栽できる壁面パネルを建物に設置する方法や、プランターを積み重ねて壁面状にする大掛かりな方法、苔を壁面に繁殖させる方法などがありますが、この記事では一般家庭で実現しやすい、つる植物を取り入れる方法についてご紹介します。 外壁を植物で覆う4つのメリット 壁面を緑化することには、4つのメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットについてご紹介します。 1.外観がおしゃれな雰囲気になる 旺盛に枝葉を伸ばして生育するつる植物を、外壁などの広い面に這わせることで、みずみずしいシーンを作り出すことができます。建物の外壁をグリーンで覆えば、ナチュラルな雰囲気となり、周囲の景観に調和しながらもランドマーク的に個性を発揮することが可能です。また外観デザインが味気ない場合も、みずみずしいグリーンで覆って目隠しすることで、見栄えが格段によくなります。海外のおしゃれな街角でも、つる植物を外壁に誘引している事例は多く、つる植物は外観デザインをセンスアップするためのアイテムとしても重宝されています。 2.断熱効果がある 外壁を植物で覆うことにより、太陽光による熱が建物に伝わるのを防ぎ、断熱効果が高まります。主に窓辺をつる植物で覆うグリーンカーテンは、夏は葉を茂らせて涼しい緑陰をもたらしてくれます。冬には暖かい日差しを取り入れたい場合は、秋には枯死する一年草や、冬は葉を落とす落葉性の植物を選びます。しかし、建物の外壁に這わせる場合は、冬も葉を落とさず、落ち葉の掃除の手間が少ない常緑性の植物が効果的。冬も美しい景色を保つだけでなく、建物内の暖房熱を逃さない効果も期待できます。断熱だけでなく、真夏の強い紫外線による外壁の傷みを軽減する効果もあります。 3.省エネになる 外壁に常緑性のつる植物を誘引すると、夏は強い日差しを和らげて室温を下げ、冬は室内の温まった空気を外に逃さず、同時に屋外の冷たい空気も伝えにくいという効果が得られます。そのため、室内で使う冷暖房費が抑えられ、結果的に省エネに繋がります。エネルギー問題によって電気代が高くなる一方の昨今、壁面緑化を導入するのも一案です。 4.環境や人にやさしい 壁面を広く植物で覆うと、緑の量が大幅に増えます。これは二酸化炭素の削減に寄与することにもつながり、環境にやさしい取り組みといえます。また、青々とした葉が茂ることで、リラックス感や癒やしの効果が得られるのもいいですね。さらに花が咲くタイプの植物を選べば、暮らしに彩りや香りが加わり、季節の移ろいを強く感じることができます。 外壁を植物で覆う4つのデメリット Dmitrii Pridannikov/Shutterstock.com 外観がおしゃれになるとか、環境にやさしいなどといった、壁面緑化のメリットについて解説しましたが、よい面だけを見て悪い面に目をつぶるのはフェアではありませんね。「こんなはずじゃなかった」という失敗を防ぐために、デメリットについてもご紹介しましょう。 1.虫が発生しやすい 植物も食物連鎖を構成する要素の一つなので、捕食者としての虫がつくことは避けられません。大量に発生すると、不快なばかりか、ご近所に迷惑がかかってしまうこともあります。壁面を植物で覆ってしまうため被害が大きくなりやすく、またそうなると駆除に手間がかかることも。薬剤を散布するまでに至った場合は、作業する日時を知らせて、その時間帯には窓を開けないようにしてもらうなど、近隣の方々に配慮する必要があります。しかし、虫を呼ばない植物を選ぶことで回避できる場合が多いです。 2.管理の手間がかかる 外壁に這わせる植物は、美しい外観を保つ必要があります。枯れ葉や害虫の発生をそのままにしていたりすると不潔感が漂い、住んでいる本人も近隣住人も、気持ちよく暮らせないでしょう。ひいては「だらしのない、つけ入るスキのある家」と見られてしまい、防犯の面でもよくありません。水やりや施肥、枯れ葉の整理などはもちろん、枝が暴れてないように剪定や誘引も必要です。枯れ葉などは雨樋や排水溝を詰まらせがちなので、予防のためこまめに掃除をしておきましょう。 3.外壁や建材を傷める恐れがある 気根を壁に吸着して育つオオイタビ(フィカス・プミラ)。NPvancheng55/shutterstock.com つる植物は、他者に絡んで生育範囲を広げていく性質があります。特に気根と呼ばれる吸着力のある根を出して生育するタイプは、建物を傷めてしまうことがあるので注意。レンガや石などの丈夫な資材を外壁に使っている場合は問題ありません。しかし、つる植物を這わせることを想定していない建材を使用している場合は、気根が中まで食い込もうとして傷めてしまい、雨漏りやひび割れを招くことがあります。また、家の周りに室外機や配管があれば、そちらにつるが勢力を伸ばして、故障させたり、破損を招いたりするケースもあるようです。 4.外壁自体のメンテナンスがしづらい 植物で外壁を覆ってしまうと、外壁の再塗装などのメンテナンスができなくなります。塗装が必要な外壁材を使っている場合は、劣化が進みやすいので注意が必要です。 外壁に植物を這わせるパターン Radovan1/Shutterstock.com 外壁に植物を這わせる方法は2通りあります。ここでは、それぞれの方法について解説していきます。 直接這わせるパターン レンガや石など、耐久性の高い資材を使った外壁の場合は、つる植物を直接這わせても傷がつきにくいので、問題ありません。幼苗を植え付ける際に壁際に支柱を立てておき、つるが少し伸びたところで支柱に誘引していきます。あとは支柱からつるを広げて壁に伝っていくので、ある程度伸びたら支柱は抜いてもかまいません。自力で這い上がっていくタイプのつる植物なら、まめに手をかける必要もないでしょう。ただし、繁茂しすぎて風通しが悪くなっている部分などがあれば、適宜間引くように剪定し、バランスよく枝葉が伸びるように調整する必要があります。 ネットやワイヤーを使うパターン コンクリートやサイディングなど、経年劣化によるメンテナンスが必要な外壁材を用いている場合は、壁を傷つけないように仕立てる工夫が必要です。その場合は、つるが直接外壁に這わないようにネットやワイヤーを設置して、つると外壁の間にワンクッション置きます。つる植物を植え付けた後は、つるをネットやワイヤーに誘引するメンテナンスが必要です。撤去したいときは、ワイヤーやネットを外せば済むので、直接外壁に這わせるより簡単になります。 外壁から植物を撤去する方法3選 swinner/Shutterstock.com 「イメージしていたよりもつる植物が繁茂しすぎて手に負えなくなってしまったので、もう撤去したい」。メンテナンスが負担になってしまうようなら、はがしてしまうのも一案です。ここでは、外壁から植物を撤去する方法についてご紹介します。 1.手作業ではがす 手軽で費用がかからない方法が、手作業で撤去する方法です。ただし、ツタなどのように気根を伸ばして壁に吸い付くように生育するタイプは、けっこうな労力がかかります。そのうえ、建物を傷つけないようにはがすのに手間がかかり、ヘラなどを使うことも必要です。手間と時間のかかる作業だと、心づもりをしておいてください。 2.除草剤を使う 植物の根元などに除草剤を施し、強制的に枯らしてしまう方法もあります。周囲の植物も枯れてしまうことがないように、注意して取り扱いましょう。ただし、植物が枯れたからといっても、壁や資材にしっかり張りついたつるがはがれるというわけではなく、枯れても撤去の手間はかかります。 3.専門業者に依頼する 自力での撤去を試みたものの、「これはもうムリ!!」と心が折れてしまった方には、専門業者に頼ることをおすすめします。業者に依頼する際にかかる費用は、2階建てで5〜20万円ほどが相場のようです。まずは専門業者に状況を見てもらい、見積もりを依頼してみましょう。 外壁におすすめの植物5つ 外壁のように広い面積を植物で覆うのであれば、生育旺盛でよく広がっていくタイプのつる植物を選ぶとよいでしょう。ここでは、旺盛に生育するつる植物をピックアップしてご紹介します。 【ヘデラ】 Adrian Eugen Ciobaniuc/Shutterstock.com ウコギ科キヅタ属の常緑性つる植物です。ヘデラは学名で、アイビーやキヅタといった別名のほうがイメージしやすいかもしれません。原産地は北アフリカ、ヨーロッパ、アジアで、寒さにも暑さにも強い性質です。白や黄色の斑が入る園芸品種も数多く揃い、選ぶ楽しみがあります。つるは気根を出しながら、他所に張りついて枝葉の範囲を伸ばしていき、その長さは10mに及ぶことも。日向から半日陰の風通しのよい環境を好み、丈夫で放任してもよく育ちます。繁茂しすぎる場合は適宜剪定して、景観に調和させるとよいでしょう。 【テイカカズラ】 High Mountain/Shutterstock.com キョウチクトウ科テイカカズラ属の常緑性つる植物です。5月中旬〜6月中旬頃に白い花が咲き、甘い香りを漂わせます。原産地は日本、朝鮮半島で、暑さに強く、寒さにも耐えます。つるから付着根を出し、他所に食い込んで枝葉を広げていき、その長さは10mほどに。半日陰の環境でも育ち、むしろ真夏に直射日光が強く照りつける場所はやや苦手です。乾燥を苦手とするので、日照りが続くようであれば水やりをしましょう。あまりにつるが繁茂しすぎるようなら、適宜剪定して風通しをよくしてください。強めに刈り込みたい場合は、開花後すぐに行います。 【オオイタビ】 Regreto/Shutterstock.com クワ科イチジク属の常緑性つる植物です。学名はフィカス・プミラで、卵形の小さめの葉を密につけるのが特徴です。斑入り種も出回っています。原産地は東アジア南部で、暑さに強く、寒さにはやや弱い性質です。日本では関東以南の暖地での栽培に向いています。つるから気根を出して、他者に絡んで枝葉を旺盛に伸ばして生育。つるの長さは2.5〜4mくらいです。雌雄異株で、イチジクに似た実がつきます。日当たりのよい場所を好みますが、半日陰でも生育可能です。 【ツルハナナス】 tamu1500/Shutterstock.com ナス科ナス属の常緑性つる植物です。7〜10月頃に2cm前後の5弁花が開花。咲き始めは白ですが、咲き進むと淡いブルーへと変化し、花弁もだんだん反り返っていきます。葉に黄色い斑が入る園芸品種‘バリエガタ’が人気です。原産地はブラジルで、暑さに強く、寒さにも耐えますが、戸外での植栽は霜が降りない暖地向きです。つるの長さは2mくらい。日当たり、風通しのよい場所を好みます。真夏に日照りが続いて乾燥するようなら、適宜水やりをしてください。つるがあまり込み合っているようであれば、春か秋に剪定しましょう。 【カロライナジャスミン】 Chonlawut/Shutterstock.com ゲルセミウム科ゲルセミウム属の常緑性つる植物です。開花期は4〜6月で、花径1〜3cmの黄色い花からは、ジャスミンに似た芳香が漂います。ただし、ジャスミンとはまったく異なる植物で、全草に毒を持っているので注意。ハーブティーにして飲用するといった行為は厳禁です。原産地は北アメリカ南部です。暑さに強い一方で寒さはやや苦手で、栽培は関東以南の太平洋側など霜の降りない暖地向き。生育旺盛で、つるは3〜7mほど伸びます。日照不足になると花つきが悪くなるので、日当たり、風通しのよい場所に植え付けましょう。春の開花期と真夏は乾燥による水切れに注意し、日照りが続く場合は水を与えてください。真夏に翌シーズンの花芽ができるので、剪定したい場合は開花後すぐに行います。 外壁を植物で覆うかはメリット・デメリットを考えて Julia Faerber Summer 23/Shutterstock.com 外壁の緑化には断熱効果があって環境に優しく、見た目にも美しいという多くのメリットがあります。一方で、意外にメンテナンスが必要なことや、害虫発生の心配があることなど、デメリットも看過できません。両方を天秤にかけて、壁面緑化にトライするか否か、じっくり吟味することが大切です。
-
イベント・ニュース

【チケットプレゼント】希少品種に出会える!クリスマスローズの世界展2024
クリスマスローズの世界展2024〜魅惑の花・新たなステージへ〜 冬から春にかけて花咲く宿根草「クリスマスローズ」。この花をテーマとした展覧会が、2月23日(金)〜24日(土)に池袋サンシャインシティで開催されます。 愛好家たちが育てたクリスマスローズの見事な鉢が並ぶ(過去の展示より)。 新品種を紹介する「新花コンテスト」入賞・出品作品展示や日本クリスマスローズ協会会員が育てた美しい花々など、クリスマスローズの魅力が堪能できます。イベントの目玉であるクリスマスローズマーケットには、人気の生産者や園芸店、園芸資材のお店が勢揃い。希少品種をゲットしたいなら1時間早く入れるアーリーチケットがおすすめです。 今年出展するクリスマスローズナーセリーの中から、「童仙房ナーセリー&ガーデン」と「花郷園」に、今年の一押し品種について伺いました。 「連続開花、花もち、耐暑性に優れ初心者にもおすすめ!」(童仙房ナーセリー&ガーデン・藤田善敬さん) 「スプリングプロミス HGC アヴァ」 童仙房ナーセリーでは、クリスマスローズを一年中楽しめるガーデンアイテムとして考え、ビジュアルの追求のみならず、性質を進化させることを大きな育種の目標としてきました。その結果、夏から秋に葉が傷みやすいという従来の性質を克服し、連続して冬から春にかけて開花するなどの成果が少しずつ現れてきました。それが今回の展覧会でご紹介する「スプリングプロミス HGC アヴァ」です。花径7cm、株幅は70cmほどと見応えがあり、庭での存在感も抜群。庭を美しく維持するのが最も難しい夏と冬に活躍してくれる頼もしい花です。 「雪の妖精シリーズ」 冬の貴婦人と呼ばれるクリスマスローズですが、多くは春を待って花開き、真冬に咲くのはニゲルという原種です。「氷の薔薇®️」は、そのニゲルを交配した園芸品種で、本来白花のニゲルに豊かな色のバリエーションを生み出しました。その「氷の薔薇®️」をコンパクトにしたのが、「雪の妖精シリーズ」。大型になる「氷の薔薇®️」に対し、高さは30〜50cmと小ぶりにまとまります。丈夫で株幅は広がり、たくさんの花を咲かせてくれます。レッド、ピンク、ホワイト、ピコティなどの色鮮やかなニゲルをお楽しみください。 「洗練されたパピエにご注目ください」(花郷園・野口貴子さん) 上向きに咲き花がしっかり見える「パピエ」。つぼみ(左)はバラのよう。 フランス語で「紙」を意味するパピエは、和紙を思わせる紙すきをしたような繊細な花弁がその名前の由来です。ダブル咲きで、つぼみはまるでバラのよう。それがゆっくりほどけていくと、ドレスの裾のようにヒラヒラと優雅に波打つ花びらが現れます。本来はうつむいて咲くクリスマスローズですが、パピエは顔をこちらへ向けて、上向きに咲いてくれるところも魅力です。 左/パピエグリーン、パピエDUEX(ドゥ)。 パピエは英国ヒドコートマナーガーデンを出自に持つ花です。花郷園の先代、故野口一也氏がヒドコートダブルを日本に初めて輸入し、赤紫色の地味な色合いの花を淡い色に改良したのがパピエの始まり。以来、より優雅に、より多彩な色合いを追求して進化させてきました。今回のクリスマスローズ展では、蜜腺がセミダブルの希少品種「パピエDUEX(ドゥ)」や緑色の「パピエグリーン」、白花の「パピエブランシュ」「パピエブランシュDUEX(ドゥ)」など、進化し洗練されたパピエをご堪能ください。 蜜腺がセミダブルで白花の希少品種「パピエブランシュDUEX(ドゥ)」。 クリスマスローズは早春のまだ花が少ない時期に咲きます。エレガントでありながら極寒の中でも花開き、日陰でも育つたくましさも持ち合わせています。寒い冬は気持ちが沈むこともあるものですが、そんなときにクリスマスローズが庭で開花すると、希望の光のように心を明るく照らしてくれます。 過去に開催されたクリスマスローズの世界展 小さな苗は花が咲くまでには3年近くかかるものもあり、待ち遠しいものですが、一度咲くと毎年花数を増やし、喜びが大きくなっていきます。こうして時間を重ねるからこそ、愛着が湧くのも宿根草であるクリスマスローズの魅力。また、クリスマスローズには一つとして同じ花がないので、まるで宝探しのような楽しさがあります。ぜひ、あなたの心がトキメク一輪を探し、長くお付き合いをしてくださいね。 Information クリスマスローズの世界展2024〜魅惑の花・新たなステージへ〜 開期:2月23日(金)〜24日(土)時間:10〜19時(*アーリーチケットは9時〜)会場:東京池袋・サンシャインシティ文化会館ビル2F 展示ホールDHP:https://crsekai.com クリスマスローズの世界展2024のチケットプレゼント クリスマスローズの世界展2024の一般チケットをプレゼントします。ご応募は以下ガーデンストーリークラブをクリック! ご入会後、クラブ会員専用サイト内の「イベント」からご応募ください。 庭仲間が集まるガーデンストーリークラブ新規会員募集中! 『ガーデンストーリークラブ』は、全国の花ファン・ガーデニングファンが集う会員制度です。チャットを通じて植物を育てる楽しみを分かち合ったり、最新の植物情報やショップ情報を交換し合ったり、ガーデニングライフを充実させるオンラインコミュニティです。専門家によるオンラインサロンやレッスンの他、さまざまな園芸業界の企業様にご協賛いただき、毎月素敵なプレゼントも実施。 ただいま新規会員募集中。クラブ内の交流や活動は事務局がサポートしますので、どうぞ安心してお楽しみください。
-
多肉・サボテン

リプサリスはグリーンインテリアにぴったり! 特徴や育て方を詳しく解説
リプサリスの基本情報 Pavaphon Supanantananont/Shutterstock.com 植物名:リプサリス学名:Rhipsalis英名:Rhipsalis和名:リプサリスその他の名前:森林サボテン、ジャングルサボテン、イトアシ、マツカゼ科名:サボテン科属名:リプサリス属原産地:熱帯アメリカ分類:宿根草(多年草) リプサリスはサボテン科リプサリス属の総称で、原産地は北米南部から南米の熱帯雨林地帯です。現地では日差しが穏やかな森の中で、岩や樹木に着生しています。そのため、これらのグループは森林サボテンといわれています。 リプサリスはサボテンの仲間でありながら日陰や水を好むため、直射日光を避けて観葉植物のように栽培するのに向いています。茎が枝垂れることから、ハンギングプランターなどに植えて吊したり、室内のさまざまな場所にレイアウトするのもおすすめ。暑さへの耐性は高いですが、冬場は10℃を下回らないように管理しましょう。 リプサリスの花や実の特徴 Art_Pictures/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物、着生植物開花時期:4〜6月草丈:10〜100cm以上耐寒性:弱い耐暑性:普通花色:白、黄、オレンジなど リプサリスは細い茎を多方向へ伸ばしながら生育します。よくイメージされるサボテンとは異なり、鋭いトゲはありません。サボテンらしい花を咲かせますが、乾燥地域に生育するサボテンとは違い、花色は白やクリーム、黄、オレンジなど比較的地味な色味の品種が多いです。花後には多くは薄緑色の丸い実を付けます。 名前の由来や花言葉 Piotr Velixar/Shutterstock.com リプサリス(Rhipsalis)の名前の由来は、ギリシャ語のrhips(枝編み細工)とされています。無数に茎が枝垂れ、細かく枝分かれした姿から、枝編み細工が想起されたのでしょうか。花言葉は「偉大」「燃える心」「温かい心」「枯れない愛」などがあります。 リプサリスの主な園芸品種 P. OCHASANOND/Shutterstock.com リプサリスは、細長い棒状の茎やへら状の茎など、種類によって姿はさまざまです。ここでは、リプサリスの代表的な種類をいくつかご紹介します。 カスッサ AHatmaker/Shutterstock.com リプサリスの中では比較的よく流通している種類です。細長く繊細な茎はよく分枝し、下垂します。そのためインテリアグリーンとして観賞する場合は、ハンギングプランターに植え込み、高い位置から吊すとよいでしょう。成長すると長さ1mほどにまでなりますが、定期的にトリミングをすることで自分の好みのサイズに調整できます。小さいながらも白や黄色の花をコンスタントに咲かせ、その後は実姿も楽しめます。 ケレウスクラ Miss.Suchada Teeramat/Shutterstock.com たくさんの節が連なったような茎が、枝分かれしながらどんどん伸びます。節は長かったり短かったり、そのときの環境で変わります。細かい産毛のようなトゲがありますが、刺さることはありません。ハンギングでの栽培もできますし、卓上サイズの鉢でも育てることができます。暖かくなると小さな白い花を咲かせます。 ラムローサ Young Swee Ming/Shutterstock.com ラムローサは、リプサリス属の近縁種であるプセウドリプサリス属に含まれます。シャコバサボテンのような見た目で、葉の幅が広く、伸びて枝垂れるのが特徴です。日当たりのよい場所で管理したり、水切れしたりすると葉が赤くなります。株が充実すると、春に白からピンクの花を咲かせ、その後丸い実を付けます。 フロストシュガー Svetlana Mahovskaya/Shutterstock.com 姿はカスッサに似ていますが、茎の表面が細かいトゲに覆われ白く見えるのが特徴です。このトゲは柔らかく、刺さる心配はありませんが、取れやすいので注意が必要です。花は白ですが、実はピンク色です。 ヘテロクラダ Anna Yakymenko/Shutterstock.com 茎は円柱状でカスッサなどに似ていますが、本種はよりしっかりとした印象。よく分枝し、成長とともにボリュームのある姿となります。草丈を調整し、卓上の鉢に植えてもいいですし、伸ばしてハンギングで飾るのも素敵です。 リプサリスの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4〜6月植え付け・植え替え:4〜6月、9~10月肥料:4〜6月、9~10月 リプサリスの栽培環境 Rosalba Matta-Machado/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】春~秋にかけては屋外で管理できますが、移動ができるよう、鉢植えで栽培するのが基本です。強い直射日光が当たると葉焼けするので、夏は遮光するか木陰など明るい日陰に移動しましょう。耐寒性が弱いので、10℃以下になる冬は屋内に取り込みます。 【日当たり/屋内】インドアグリーンとして通年室内で管理できます。直射日光の当たらない明るい日陰や、レースのカーテン越しの光を好みます。 【置き場所】枝垂れるように育つ品種は、ハンギングできる鉢に植え替え、天井などから吊すとよいでしょう。室内の明るい場所で管理し、エアコンの風が直接当たる場所は避けましょう。 耐寒性・耐暑性 リプサリスは森林サボテンともいわれているように、森の中の樹木や岩場など、日照も穏やかで、湿度も比較的高い環境に自生しています。品種によっては5℃程度まで耐えますが、一般には耐寒性が弱いため、10℃を下回らないように管理します。耐暑性はありますが、40℃近いような酷暑は苦手で、また直射日光が当たると株が傷むので、夏は遮光するか明るい日陰に移動するとよいでしょう。 リプサリスの育て方のポイント 用土 Natalia Lebedinskaia/Shutterstock.com 保水性と水はけのよい用土で育てます。市販のサボテンの土や、赤玉土小粒4、鹿沼土小粒4、日向土小粒2の割合で配合したものがよいでしょう。 水やり Marina Demeshko/Shutterstock.com やや乾燥気味に管理し、春と秋の成長期は土の表面が乾いてから4~5日後にたっぷりと与えてください。夏は成長が鈍化し、過湿による根腐れの心配もあるため、2週間~1カ月に1度程度水やりします。冬は基本的には断水し、萎れてきた場合などは、日中の暖かいときに少量の水やりを行うか、霧吹きで葉水を与えて様子を見ましょう。 肥料 Natalia Lebedinskaia/Shutterstock.com 肥料は成長期の4~6月と9~10月の2回、緩効性肥料を与えるとよいでしょう。 注意すべき病害虫 【病気】 注意すべき病気は特にありません。 【害虫】 茎が込み合って風通しが悪くなると、カイガラムシやハダニ、アブラムシが発生することがあります。ハダニやカイガラムシについては、裏側や株元など気付きにくいところに発生するためこまめに確認し、予防として葉裏への葉水や薬剤散布が効果的です。アブラムシについては新芽の部分に発生することが多く、こまめな観察が大切です。見つけ次第駆除しましょう。大量に発生してしまった場合は、薬剤散布が有効です。 リプサリスの詳しい育て方 苗の選び方 カイガラムシやハダニの被害がなく、張りがあるものを選びましょう。 植え付け・植え替え Natalia Lebedinskaia/Shutterstock.com 植え付けの適期は4~6月、9~10月の成長期です。鉢植えで栽培するため、根の回り方を確認し、1~2年に1回は植え替えを行いましょう。株を大きくしたい場合は、土を軽く落として一回り大きな鉢に植え替えます。鉢増しをしたくない場合は、根を1/3~1/2程度整理し、新しい用土を使って同じ鉢に植え戻します。 日常のお手入れ Natalia Lebedinskaia/Shutterstock.com 株の枝数が多くなり、込み合って風通しが悪くなると、蒸れにより弱ったり、病気になることがあります。気温が高くなる前に、密集している部分を間引いたり剪定をして、風通しを確保しましょう。剪定する際は、茎のどの部分からでも芽が出るので、切る場所はあまり気にせず、全体のバランスを見て適度に切り戻しを行いましょう。 増やし方 Phubes Juwattana/Shutterstock.com リプサリスは挿し芽で容易に増やすことができます。挿し芽の適期は4~6月、9~10月の成長期です。茎を5~10cmほどの長さに切り、日陰に置いて切り口をよく乾燥させてから、挿し芽用の土に挿します。発根するまで日陰で管理し、発根を確認できたら植え替えを行います。植え替え後に、たっぷり水を与えましょう。 リプサリスがしわしわになる? 対処法は? PeopleImages.com - Yuri A/Shutterstock.com リプサリスは茎にしわが寄ることがあります。その主な原因としては根が傷んでいたり、用土の乾燥が続くなどして、水分がしっかり吸水できていないことが挙げられます。そのまま放置すると手遅れになってしまう場合もあるため、用土を確認してカラカラの状況であれば、水をたっぷり与えましょう。水分を吸水すると、徐々に回復します。 用土が湿っているにもかかわらず、しわが戻らない場合は、根腐れの可能性があります。その場合の対処法として、まず株を土から抜いて根を観察しましょう。色が悪く、触ったときにぽろぽろと根が落ちてしまう状態であれば、一度土と傷んだ根を取り除き、乾かします。根腐れが進んでいないようなら、再度植え付けて発根を待ちましょう。根腐れが進行している場合は、挿し芽にして株を作り直すこともできます。 リプサリスを飾ってインテリアのアクセントに加えよう studio botanike/Shutterstock.com リプサリスはハンギングにして自由な場所に飾ることができ、また開花や実も楽しむことができることから、インドアグリーンとして人気上昇中。室内栽培も簡単で、ビギナーにも育てやすいのも魅力です。空間の余白にさまざまなリプサリスをハンギングして、インテリアのイメージを変えてみてはいかがでしょうか。
-
育て方

マルチングは何のために行うの? マルチングを行うメリットとは?
マルチングとは Ingrid Balabanova/Shutterstock.com まず、マルチングとは何か。マルチング(英:Mulching)とは、植物の株元をさまざまな資材で覆うことをいいます。 この資材はマルチング材と呼ばれ、これを使って土壌や用土を覆うことの略称として「マルチ」という言葉が使われています。 「マルチ」をする主な目的としては、土壌中の水分の蒸散のコントロールや地温の上昇効果、そして病害虫からの保護と雑草対策が挙げられます。 もともと、マルチング材といえば、日本では藁(わら)がよく使われていました。畑などで野菜の株元に敷かれた藁を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。近年は藁に代わり、より使いやすく、有用な素材がマルチング材として使われるようになってきています。 マルチングを行うメリット Felipe Sanchez/Shutterstock.com 前項で先に述べたマルチングをする目的とメリットについて具体的にご紹介します。 【地温を上げる】 studiomirage/Shutterstock.com 黒色のマルチング材は、日中の太陽光を効率よく吸収してくれます。そしてその熱が伝わり、日中は土壌温度が上昇し、夜間は温度低下を緩やかにしてくれます。季節の中では、時として予想外の寒暖差に驚くことがありますよね。特に冬場の急激な冷え込みは、植物にもダメージ。そんなときにも、マルチングをしていれば、保温効果で植物の根が傷むのを防ぐことができます。 【雑草を予防する】 LianeM/Shutterstock.com 畑や鉢植えなどで、はじめは綺麗にして植えたのに、気付いたら雑草だらけになっていたということはありませんか? マルチング材を活用することで雑草を生えにくくし、栽培環境の維持管理を楽にすることができます。 多くの雑草の種子は太陽の光を感じて発芽します。マルチングで光を遮り、発芽しにくくすることで雑草が増えるのを抑えてくれます。そのため「雑草対策でマルチしたい」と思っている方にはビニール製の黒マルチの利用が特に効果が高くおすすめです。 注意点としては、黒マルチを敷く前にその場所の除草を念入りに行う必要があるということです。雑草が生えたままの状態でマルチングしてしまうと、その雑草は少なからず育ってしまいますし、後から除草するということが難しくなります。 除草を行って表土を平らにした状態にして、マルチング材を土に密着させて敷くことでより効果的に使うことができるでしょう。 【土壌の乾燥を防ぐ】 Mr.Somchai Sukkasem/Shutterstock.com 梅雨が終わり、本格的な夏を迎えると、春に種を播いた野菜や花の苗の成長も本格的になり、その分、水やりの頻度も多くなりますよね。真夏は、午前中に灌水したのに午後には土がカラカラ、植物も萎れ気味なんてことも、みなさん経験あるのではないでしょうか。 そんなときも、マルチング材が役に立ちます。むき出しの土壌の場合、表面、あるいは土壌中の水分は、気温の高さや風通しに影響されて蒸発しやすくなります。 マルチングを土の表面に施すことで、蒸発しようとした水分をその場に留め、土の乾きすぎを抑制することができます。 【用土や肥料の流出を防ぐ】 Kim Kuperkova/Shutterstock.com 梅雨や台風、ゲリラ豪雨などの強い雨によって、用土や肥料が表層から流れ出てしまうことがあります。せっかくバランスよく配合した用土や肥料の意味がなくなってしまうのはもったいないですよね。 適切なマルチング材を選んで、株元に利用することで、雨水や灌水によるそれらの流出を防ぎ、マルチング材の内側の土壌を維持し続けることができます。 【泥はねが防止できる】 Kichigin/Shutterstock.com 土壌中には植物の成長を促す養分とともに、さまざまな病原菌や害虫が潜んでいます。 むき出しの土壌では、雨水や灌水で跳ねた泥が植物に付着すると、美観を損ねてしまうだけでなく、土の中に住む病原菌によって病気が発生し、生育不良や枯死してしまうこともあります。 マルチングにより泥はねを抑えることで土壌中の病原菌を防ぎ、病気の予防に繋がります。 【害虫から守ることができる】 spijkie/Shutterstock.com 太陽光を拡散、または反射する素材でできたマルチング材があります。これは、通常のマルチング材の効果に加えて虫除けの効果を持たせたもので、「シルバーマルチ」と呼ばれています。 アブラムシなど害虫の中には、光を嫌う性質のものがいます。上からの太陽光と下からのマルチング材の反射光により、それらの害虫が寄りつきにくくなります。畑であれば一面に敷き詰め、鉢植えなどであれば株元に敷くなど場面に応じてうまく利用することで農薬を使うことなく、害虫の予防ができます。 また、アブラムシは植物の茎などから汁を吸って餌にしていますが、その際に病原性のウイルスを媒介してしまうことがあります。アブラムシを防ぐことは、ウイルス性の病気の予防にもなります。 マルチングのデメリットとは? Dark Moon Pictures/Shutterstock.com とても便利なマルチングですが、いくつか注意しなければいけないことがあります。 ①ゴミになる ビニール製のマルチング材など自然に分解されないものは、使用後ゴミとして処分する必要があります。 ほとんどの場合再利用できないので、敷いた物をそのつど剥がして捨てなくてはなりません。 ただ最近は、土壌中の微生物の働きで、土に混ぜておくと自然に分解される生分解性のマルチング材もあるので、ゴミの削減と作業の省力化を望む方は、そういったものを検討するのもよいのではないでしょうか。 ②費用がかかる かつては稲作後、不要となった稲藁の二次的な利用方法としてマルチングが選ばれていましたが、現在はいずれのマルチング材においても費用がかかります。まして畑など広範囲に敷く場合は、面積に応じた投資が必要となります。 ③追肥しにくい ビニール製のマルチング材などを一面に敷いてしまった場合、土壌にすき込むような固形肥料による追肥がしにくくなってしまいます。 なので、マルチング材を敷く際には、事前に適切な緩効性肥料をすき込んでおくようにしましょう。 または、稲藁やウッドチップ、刈り取った雑草などの有機質資材をマルチング材として使うことで、利用後は植物の養分とするという方法もあります。 ④土寄せができない マルチングは土壌を覆うことが目的なので、マルチングの上に土を被せることはできません。 そのため根菜類やネギなど、後になって土を寄せる必要のある植物は、マルチングをする前にあらかじめ土寄せをしておくことが必要です。収穫時の畝の高さや大きさ、露出の度合いなどを植え付け時に考慮してから敷きましょう。 マルチングの種類 ablephoto/Shutterstock.com マルチングにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な種類と活用場面について解説します。 【バークチップ】 Anakumka/Shutterstock.com バークチップとは、バーク(松の樹皮)をさまざまなサイズに粉砕し、角を削って選別したもののことです。昨今では、商品の展示やショーウインドウでもレイアウト素材として使われています。 S、M、Lなどのサイズがあり利用場面や全体の面積に応じて使い分けるとよいでしょう。ただ、ウッドチップなどと比べると大ぶりのものが多いので、比較的広い面積に敷くほうがバランスよく見えます。 バークチップのマルチング用途は、屋外であれば花壇や鉢植えの雑草の発生予防、泥はね抑制、土壌の乾燥防止と保温が主に挙げられます。 室内で使う場合は、観葉植物などの株元に敷くことで用土を隠し、他のインテリアとのバランスを取ることができます。 上手に用土を隠してくれる優秀素材ですが、その分土壌中の水分を逃がしにくく、風通しも悪くなってしまうので、水やりの頻度に注意が必要です。 【ココヤシファイバー】 KlavdiyaV/Shutterstock.com ココヤシファイバーとは、ヤシの実の繊維を利用したマルチング材です。 これは広範囲に敷くというよりも観葉植物など鉢物の株元にふわりと敷き詰め、用土を隠す目的で使われることが多いです。 室内空間での他のインテリアとの統一感を出したり、美観の維持に効果的です。 バークチップなどと比べると通気性がよく扱いやすいのですが、室内はもともと用土が乾きにくいので、水やりのタイミングに注意が必要です。 または水やり頻度の少ない観葉植物での利用がおすすめです。 不要になった際は可燃ゴミとして捨てることができ、初心者の方でも使いやすいマルチング材といえます。 【クルミの殻】 Mikhail Leonov/Shutterstock.com 天然のクルミの殻を半分に割って作られたマルチング材です。屋内外で使うことができます。 どちらの場合もほどよいナチュラル感を得ることができ、アンティーク調のガーデンやインテリアにもよく似合います。 クルミ同士の間に空間ができるため風通しもある程度あり、また軽いので、水やりの時に用土に埋まることもなく管理がしやすい素材といえます。クルミ自体がとても堅く、長期的な利用ができます。不要の際は、可燃ゴミとして捨てることもできますし、天然素材なのでそのまま自然に分解され、土に返すこともできます。 【腐葉土】 Paul Maguire/Shutterstock.com 腐葉土とは、落ち葉などがミミズや虫、微生物に分解されて土のようになったもののこと。土に加えることで有機質を補給することができ、植物の成長を促す働きがあります。そのため、ビニール製のマルチング材にはない、土壌改良材としての役割も期待できます。 また保温効果、遮熱効果が高いので、土壌中の温度変化を緩やかにしてくれます。敷き詰める厚さを調整することで、土壌の乾燥防止や雑草抑止の効果もあります。 マルチング材としての更新をする場合は、元の腐葉土を土壌にすき込むことで二次利用しながら新しいものを被せて使うことができます。 【ビニール】 SAYASOUK/Shutterstock.com 畑など作物を管理する場面でマルチングをしたいと思った場合、一番使いやすいのがビニール製のマルチング材です。 中でも最も一般的なのが「黒マルチ」と呼ばれるもので、これは黒色のビニール素材の効果で太陽光の熱を効率よく吸収して地温を保温する一方、直射日光を遮って地温が上がりすぎるのを防いでくれます。また遮光性が高いので、雑草の発芽抑制効果も高いといえるでしょう。 次に「透明マルチ」です。これは「黒マルチ」とは対照的に、地温の上昇効果を高くするものです。 冬場の土壌凍結などを緩和し、日の出後の速やかな温度上昇をサポートしてくれます。透明のため、マルチング前から土壌に含まれていた雑草の種子は発芽してしまう可能性がありますが、種子の侵入は防ぐことができます。 続いて「シルバーマルチ」です。 前述したように、害虫除け効果の高いマルチング材です。薬剤散布などをすることなく、病気を媒介する虫や食害する虫などから植物を守りやすくなります。また遮光性が高いので、地温上昇を促し、雑草予防にも効果的です。 これらビニール製のマルチング材は、その目的のほとんどを充足してくれる魅力的な素材といえるでしょう。しかしながら畑で畝を立てて使うことを想定した素材なので、局所的に利用する場合はかえって使いにくいかもしれません。 また景観としては、周囲となじみにくいので、ガーデニングなどでの利用は検討が必要かもしれません。 藁(わら) weha/Shutterstock.com 藁をマルチング材として使う場合、畑などの屋外での使用がメインとなります。 高温期は土壌に対しての遮熱と乾燥の予防効果が高いマルチング材です。天然素材のため不要になったら土壌にすき込み、土壌改良材としても使うことができます。 稲の藁と似たような使い方ができる資材としては麦藁、もみ殻などがあり、また、刈り取った雑草も利用可能です。 ほかのマルチング資材と比べて処分がしやすいのも嬉しいところ。 近年はホームセンターなどでも安価に手に入るようになってきました。また農家の知人がいれば、譲り受けるなどして手に入れられる場合もあります。 防草シート Anton Starikov/Shutterstock.com 防草シートは、大きく分けて「織布」と「不織布」の2種類があります。 「織布」の防草シートは、繊維を縦と横で織り上げてシート状にしたもので、「不織布」の防草シートは、繊維同士を絡ませて溶剤等で接着し、シート状にしたものです。 「織布」は織られているため引っ張り強度が強く、透水性も「不織布」よりあります。また「不織布」と比べると安価です。そのため、広範囲に使用した場合の費用が抑えられるというメリットがあります。 デメリットとしては織り目のわずかな隙間から雑草が生えてくる可能性があったり、織り目のほつれから劣化が始まってしまったりと、耐久性の面では「不織布」に劣るということが挙げられます。 「不織布」を使用するメリットは、織り目がないためチガヤやスギナなど突き抜け性のある繁殖力旺盛な雑草も防げること。シートを突き破って生えてくることはありません。また、破損にとても強いため「織布」と比べて長期的な利用ができるということもあるでしょう。 デメリットとしては「織布」より単価が高く、広範囲に利用したときは高額になってしまうことです。コストについては、耐用年数や使用面積、使用状況などをの点から総合的に考えてみてくださいね。 マルチングを活用して植物を大切に育てよう OzCameraman/Shutterstock.com ここまでお伝えしたように、マルチング材は多くの種類と効果があり、使用箇所や用途に応じて適した素材のものを使うということが大切です。「管理を楽にしたい」「植物を大切に育てたい」と思っても、その場に合っていないマルチング材では、かえって手間が増えてしまったり、植物を弱らせてしまう原因になったりもします。「雑草をなんとかしたい」「美味しい野菜を作りたい」「鉢植えをおしゃれに飾りたい」など、なぜマルチングをしたいのかをよく考え、最適なマルチング材を選ぶことで、それまでの負担や悩みが一気に解決することもあると思います。マルチング、ぜひ活用してみてくださいね。
-
クラフト

100均素材で作れるおしゃれインテリア! 刺繍枠を使ったリースの作り方と飾り方
100均で揃うエンブロイダリー・フープ・リースの材料 <材料> 刺繍枠チュールレースグルーガングルースティックドライフラワー 最近の100円ショップはクラフトコーナーが超充実! 上記の材料はすべて100円ショップで揃います。もちろん、ドライフラワーは庭で育てた草花を材料にしてもOK。ドライフラワーの作り方は、『ボタニカルクラフト シリカゲルでつくる桜のドライフラワー』の記事をご参照ください。 エンブロイダリー・フープ・リースの作り方 刺繍枠にチュールレースを挟みます。ドライフラワーを刺繍枠にレイアウトします。レイアウトが決まったら、グルーガンでドライフラワーをチュールレースに接着していきます。 *コツ1グルーガンで接着する前に、レイアウトを吟味しましょう。ドライフラワーもチュールレースも繊細なので、グルーガンで接着した後にやり直そうとすると壊れてしまいます。また、全面を花で埋めるのではなく、余白を残すようにレイアウトするのがポイントです。 *コツ2グルーガンは、樹脂を熱で溶かして接着するクラフト用の道具です。普通の接着剤を布に使用すると液の染みが広がってしまうので、この場合の接着にはグルーガンが適しています。ドライフラワーに溶かしたグルースティックをつけ、それをチュールレースに接着しますが、ベタッと全面ではなく、点で数カ所に少量ずつつけるのがポイント。量が多すぎるとはみ出して仕上がりが汚くなります。表から見えないように、つける量を調節します。また、グルースティックはすぐに固まり始めるので、レイアウトを撮影しておいて、それを確認しながら手早く作業を進めましょう。 エンブロイダリー・フープ・リースの飾り方 刺繍枠の留め具の部分にワイヤーを通し、壁やドアにかけたり、窓辺に吊るしても光を透過してきれいに楽しめます。植物のフォルムが影を落とす風景も美しいですよ。 部屋のドアにかけて。 初心者にも育てやすい、ドライフラワークラフトにおすすめの花 今回ご紹介したエンブロイダリー・フープ・リースのほかに、ドライフラワーはハーバリウムなどいろいろなクラフトで楽しめます。そんな植物を使ったボタニカルクラフトに最適な花が、サントリーフラワーズの「コロロ™」。キク科の多年草で、厳寒期と真夏を除いてほぼ一年中咲いてくれます。しかも、咲いている時からすでにドライフラワーのような不思議な質感で、特別な処理をしなくてもそのまま置いておけばドライフラワーになってくれます。レモン、ブラッドオレンジ、フランボワーズ、マンゴーの4色があり、鮮やかな花色は切っても半年間は美しい発色を保ちます。 コロロ™ ブラッドオレンジ。 コロロ™ フランボワーズ。 コロロ™の花を集めて瓶に入れておくだけで、カラフルなインテリアに! コロロ™の育て方 <基本情報> コロロ™/キク科ムギワラギク属の多年草別名/ヘリクリサム、ムギワラギク、帝王貝細工草丈/20~30cm株張り/25~30cm花径/5~6.5cm開花期/厳寒期、真夏を除く売っているところ/ホームセンターや園芸店植え込み株数の目安/直径30cmのプランターに1~3株苗の販売価格/1苗約600円(10.5cmポット苗)栽培に必要なもの(苗以外)/プランター(鉢)、草花用の培養土、鉢底石、草花用の元肥、草花用の液肥、シャベル、手袋、ジョウロ苗を含めた経費概算(上記をすべて購入する場合)/約4,000円〜 <植え込み手順> プランター(鉢)に鉢底石を敷きます。草花用の培養土をプランターの深さの1/2くらいまで入れます。草花用の元肥を規定量(袋の後ろに説明があります)入れて混ぜます。さらに培養土をプランターの深さの3/4くらいまで入れます。苗をポットから出します。この時、根がグルグルと回って中の土が見えないようなら、根を少し手で切ってほぐします。苗をプランターの培養土の上に置いて、根が全部埋まるようにシャベルで土を入れます。最終的に表土の位置がプランターの縁から3cmほど下にくるように調節します。複数の苗を植える場合には苗と苗の間(特に中央)に隙間ができやすいので、隙間なくちゃんと土が入っているか、苗をかき分けて確認します。鉢底から水が流れ出るまで水やりをし、日当たりのよい場所へ置きます。 <日々の手入れ> 置き場所/霜や雪に当たらない、半日以上直射日光が当たる日当たりのよい場所へ置きましょう。水やり/土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。肥料/冬は2〜3週間に1回程度、1,000倍に薄めた液肥を与えます。春以降は500倍を1週間に1回程度。日々の手入れ/枯れた花は摘んでおきます。 丈夫で害虫被害もほとんどなく、栽培に苦労することはありません。クラフトが好きでドライフラワーをよく使うという方は、素材から育ててみてはいかがでしょうか。 コロロ/サントリーフラワーズ https://www.suntory.co.jp/flower/gardening/lineup/fall/cololo/
-
宿根草・多年草

ロータス‘ブリムストーン’は可愛い葉と花が魅力! 特徴や育て方を詳しく解説
ロータス‘ブリムストーン’の基本情報 トモトモ/PIXTA 植物名:ロータス‘ブリムストーン’学名:Lotus hirsutus 'Brimstone'(Dorycnium hirsutum ‘Brimstone’)英名:Canary clover、Hairy canary-clover和名:ロータス‘ブリムストーン’、その他の名前:ロータス・ヒルスタス‘ブリムストーン’、ロツス・ヒルスツス科名:マメ科属名:ドリグニウム属(ミヤコグサ属)原産地:地中海沿岸地域、西アジア分類:常緑性亜低木 ロータス‘ブリムストーン’は、マメ科ドリグニウム属の亜低木で、多年草のように扱われますが、生育に従い徐々に茎が木質化していきます。原産地は地中海沿岸で、乾燥した気候を好みます。寒さには強い反面、高温多湿の日本の夏はやや苦手です。学名はLotus hirsutus ‘Brimstone’(ロータス・ヒルスタス‘ブリムストーン’)で、ロータス・ヒルスタスの園芸品種です。常緑性なので一年中みずみずしい茎葉を楽しめ、寄せ植えやハンギングバスケットなどで活躍します。草丈は40〜60cmで、広がるようによく枝葉を伸ばします。 ロータス‘ブリムストーン’の花や葉の特徴 にゃんたっちゃぶる/PIXTA 園芸分類:草花開花時期:6~7月草丈:30〜60cm耐寒性:強い耐暑性:やや弱い花色:白 早春の芽吹きの頃の葉色は淡いクリームイエローで、季節が進むと株元に向かうほどグリーンが濃くなり、グラデーションが楽しめます。細かな産毛をまとった葉は触り心地がよく、爽やかなシルバーグリーン。常緑性で、小さな葉が密について繊細な雰囲気を持っています。開花期は6〜7月。花茎を伸ばした先に、白い小さな花がまとまって咲きます。開花後には実がつきます。 ロータス‘ブリムストーン’の名前の由来や花言葉 ロータスは、学名のLotus hirsutusから。品種名のブリムストーンは硫黄を意味し、新芽の柔らかな黄色を硫黄に見立てて名付けられたとされています。ロータス‘ブリムストーン’の花言葉は「完璧な美しさ」です。 近縁の仲間 Tamara Kulikova/Shutterstock.com ロータス‘ブリムストーン’の原種ロータス・ヒルスタスは、日本ではほとんど出回りません。近縁の仲間として、濃い茶色の花を咲かせるロータス‘ブラックムーニー’や、シルバーリーフに黄花が咲くロータス・クレチカス、シルバーグレーの葉に白い小花をたくさん咲かせるドリクニウム・ジャーマニカムなどがあります。 ロータス‘ブリムストーン’の栽培12カ月カレンダー 開花時期:6〜7月植え付け・植え替え:3〜5月、10月肥料:3〜4月、10月 ロータス‘ブリムストーン’の栽培環境 dual180/PIXTA 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を選びます。極端に日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとしたか弱い茎葉ばかりが茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】もともと乾燥した気候のもとで自生してきた植物で、やや乾燥気味を好み、日本の高温多湿の環境を嫌うので、水はけのよい土壌づくりをしておくことがポイントです。梅雨の時期は蒸れて傷みやすいので、鉢植えの場合は軒下などの雨の当たらない場所に移動するとよいでしょう。地植えにする場合は、落葉樹の下など夏に涼しい半日陰になるような場所を選びましょう。 耐寒性・耐暑性 寒さには強く、マイナス10℃程度まで耐えるため、屋外で越冬しますが、冬越しさせる場合は株元にバークチップなどをマルチングし、霜対策をしておくとよいでしょう。また、寒冷地では冬は葉が少なくなることもあります。高温多湿には弱いので、夏は蒸れないよう注意しましょう。 ロータス‘ブリムストーン’の育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。自身で培養土をブレンドする場合は、赤玉土中粒4、鹿沼土3、腐葉土3を混合し、さらに元肥として緩効性肥料を施しておくとよいでしょう。 水やり Zoom Team/Shutterstock.com ロータス‘ブリムストーン’は細かな産毛を株全体にびっしりとまとっているため、茎葉に水がかかると蒸れやすくなるので注意してください。株全体にかけるのではなく、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。 真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉を伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿を嫌う性質のため、与えすぎには注意し、いつもジメジメしている環境にならないようにしてください。 土の表面が十分に乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、水やり忘れに注意します。冬は生育が止まって表土も乾きにくくなるので、控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 Singkham/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 土づくりの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきます。越年後は、4月と10月頃にそれぞれ1回、緩効性化成肥料を周囲にばらまいて軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。 注意すべき病害虫 muroPhotographer/Shutterstock.com 【病気】 ロータス‘ブリムストーン’の栽培では、病気の心配はほとんどありません。 【害虫】 ロータス‘ブリムストーン’の栽培では、害虫が発生する心配はほとんどありませんが、アブラムシがつくことがあります。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ロータス‘ブリムストーン’の詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、節間が間のびしていたり株元がぐらついたりしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。 植え付け・植え替え AlenKadr/Shutterstock.com 植え付け・植え替えの適期は4〜6月か、10月頃です。ただし、花苗店などではほかの時期にも苗が出回っているので、購入したら早めに植え付けてください。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、一回り大きな穴を掘って根鉢をくざさずに苗を植え付けます。複数の苗を植える場合は、約40〜50cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。 地植えの場合は、環境に合えば植え替えの必要はなく、そのまま植えっぱなしにしてかまいません。マメ科の植物は移植を嫌うので、植える場所は前もって十分吟味しておくとよいでしょう。 【鉢植え】 ロータス‘ブリムストーン’を単植する場合は、購入した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して軽く根鉢をくずし、古い土や根を落として新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、根鉢をくずさずに植え替えてください。 ロータス‘ブリムストーン’の剪定時期とポイント Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com ロータス‘ブリムストーン’は、適した時期に剪定を行う必要があります。ここでは、剪定のポイントについてご紹介します。 【適切な時期】 雨の多い梅雨期に入ると蒸れやすくなって、株が弱ることがあります。梅雨の前に、込み合っている部分があれば、間引くように剪定して風通しをよくしておきましょう。 気候が厳しくて株に負担がかかる真夏と真冬を除けば、剪定は時期を選ばず行えます。株姿が乱れていれば、切り戻して整えましょう。 【剪定のポイント】 ロータス‘ブリムストーン’は旺盛に生育し、よく分枝して枝葉を広げていくので株姿が乱れやすくなります。放置すると蒸れて枯れ込んだり、株姿が乱れて見た目が悪くなったりするので、真夏や真冬を除いて定期的に剪定をします。込み合っている部分は、間引くように透かし剪定をして、風通しをよくしましょう。その際は、長く伸びすぎている枝や枯れ込んでいる枝、内側に向かって伸びている枝などを選び、分岐点から切り取ります。あまりに形を乱しているようであれば、草丈の半分くらいまで切り戻してもかまいません。 夏越しや冬越し にゃんたっちゃぶる/PIXTA ●夏越し 【地植え】 夏の強い日差しにさらされると葉焼けすることがあるので、木漏れ日がチラチラと差すような落葉樹の株元などを選んで植えるのがベターです。日当たりのよい場所に植え付けた場合は、遮光ネットを施すとよいでしょう。 【鉢植え】 夏に強い日差しを浴び続けると、葉焼けすることがあるので、半日陰で風通しのよい場所に移動します。午前のみ日が差す東側や、日差しが届かない軒下などがよいでしょう。 ●冬越し 【地植え】 寒さに強く、マイナス10℃くらいまで耐えるので、一般地であれば、庭植えにしたままで越冬できます。凍結すると根が傷むことがあるので、バークチップなどを株元に施す、マルチングをしておくとよいでしょう。 【鉢植え】 マイナス10℃くらいまで耐えるので、一般地であれば戸外で越冬できます。日当たりのよい場所で管理しましょう。冬は乾きにくくなるので、水やりは控えめにします。 ロータス‘ブリムストーン’の増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ロータス‘ブリムストーン’は、挿し芽と種まきで増やすことができます。ここでは、その方法についてご紹介します。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ロータス‘ブリムストーン’は挿し芽で増やせます。 挿し芽の適期は、5〜6月です。新しく伸びた茎葉を10cmほど、切り口が斜めになるように切り取ります。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を半分くらい取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理します。発根したら日当たりのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき】 種まきで増やす場合は、開花後に種子を採取します。開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめ、熟したら種を採取して密閉容器に入れ、適期まで保管しておきましょう。 種まきの適期は一般地で4月頃、発芽適温は20℃前後です。 まず、種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種子を播いて覆土します。最後にたっぷりと水やりをしましょう。発芽までは雨の当たらない明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に水やりします。 発芽後は日当たりのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついたら苗を取り出し、黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れて根鉢をくずさずに植え付けます。育苗を続け、本葉が4〜5枚ついたら花壇や鉢などの植えたい場所に植え付けましょう。 ロータス‘ブリムストーン’が枯れる・徒長する原因と対処法 ロータス‘ブリムストーン’の栽培では、急に枯れた、徒長して困ったということがあるようです。その原因を探ってみましょう。 にゃんたっちゃぶる/PIXTA 枯れる原因と対処法 ロータス‘ブリムストーン’が枯れる原因として一番に考えられるのは、水の与えすぎです。もともと乾燥した気候を好むため、多湿になると枯れることがあるので注意します。鉢栽培の場合は、鉢土がしっかり乾いてから水やりしてください。また、蒸れにも弱いので、茂りすぎて過密になっている部分は間引くように剪定して風通しをよくしましょう。 徒長する原因と対処法 ロータス‘ブリムストーン’が徒長する原因は、水や肥料の与えすぎや、日照不足が考えられます。あまり過保護にしないことがポイントで、早春から初夏にかけては日当たりのよい場所で管理しましょう。株姿が乱れてきたら切り戻し、密になっている部分は間引き剪定をして、株元にまで光が当たるようにします。 ロータス‘ブリムストーン’のさまざまな表情を楽しもう wonwon eater/Shutterstock.com ロータス‘ブリムストーン’は、葉色の表情の変化を楽しめるカラーリーフとして活躍します。白い可憐な花も素敵で、寄せ植えにもおすすめです。ぜひ庭やベランダで育ててみてください。
-
ガーデン

吉谷桂子さんのガーデン「the cloud」から学ぶ“ナチュラリスティックな庭づくり”① 〜1年の移り変わり〜
吉谷さんが牽引する「宿根草を中心に考えた植栽による21世紀のガーデンづくり」大々的にスタート! 「the cloud」が作られたのは、JR山手線「原宿」駅から徒歩3分の「都立代々木公園」の中。原宿門から入ってすぐ右手の「オリンピック記念宿舎前広場」の右側にあります。 「東京パークガーデンアワード」は、「持続可能(サステナブル)なガーデンへの配慮がなされているか」「メンテナンスしやすいか」を考慮することが条件となっている画期的なコンテスト。モデルガーデンである「the cloud」も同様に、宿根草をメインに植栽設計がされました。ハイメンテナンス、ハイインプットになりがちな“花の満開時が見どころ”の観光ガーデンとは大きく趣旨が異なります。 光や風を感じさせる軽やかな植栽/10月 持続可能で新たな宿根草の世界に触れることができる『New Prennial Plants Movement(新宿根草主義)』。植物の植生の仕組みを理解した上で、自然の風景を手本とするこのスタイルは、特にオランダのピート・アウドルフ氏による「ナチュラリスティックガーデン」により近年注目されるようになり、欧米で主流になっています。 そしてこれが今、地球沸騰ともいわれる気候変動などを抱えた私たちを癒やしてくれる新たなソリューションとして大いに期待されています。 「干ばつがひどいイギリスでもサステナブル、エコフレンドリーであることが主流となっていますが、植物は丈夫で長もちであることが核ですね」 広い公園の中でぷかぷかと浮かぶように広がる「the cloud」。 けれど、長もちの植物を集めただけではなく、アートフォルム(デザイン性)もなくてはと吉谷さん。 「ここ代々木が、アウドルフさんが手がけたニューヨークにある高架線路跡をリノベーションした公園『ハイライン』のようになればと思っています。映える場所が好きな若い人たちや洗練された大人、そして子どもたち皆が楽しめる場所を目指しています。レアな植物が植わっていなくてもいいんです。来るのが楽しみになるガーデンになれば」 花も満開だけに注力しない、芽出しから枯れるまでのプロセスが楽しめる植栽となっています。 「the cloud」と名付けられた理由とこの形になった理由 ユニークな形をしている花壇ですが、これは吉谷さんがこの場所に初めて立ったとき、夏空に浮かぶ雲や背景の明治神宮に広がるモクモクとした森を見て、直感的に‘雲’と連想したもの。ガーデンデザインは、背景と庭が調和して一体化することを目標としていることからも、ぴったりだったと言います。 くねくねと入り組んだ形は、植物をいろいろな角度からよく観賞できるほか、手入れもしやすいという利点があります。 花が少なくても、青々と柔らかい葉が美しい植栽/3月 【ナチュラリスティックガーデン「the cloud」の6つのメソッド】 1. 自然な雰囲気、季節ごとの変化を感じられる庭。エコロジカルな機能性にデザインの創造性を感じさせるデザインですが、基本的にローメンテナンスを目指した設計です。 秋に透明感のある彩りを添えるシュウメイギクは、ヨーロッパでも注目されている。吉谷さんが自宅の庭でもずっと育てている丈夫な長生きプランツ/11月 2. 生物多様性に柔軟な植物構成(農薬不使用、チョウの好む品種などを中心にして昆虫も共存)。 チヨウやハチを呼ぶ蜜源植物、バーベナ・ボナリエンシスなどが選ばれている/7月 3. ローインプット(丈夫で長生きな宿根草や球根植物を選び、季節ごとの植え替えをせず、主に植えっぱなしの宿根草で、異なる季節の花の開花があること)を目指しています。 眺めの統一感のため、初夏から秋にかけて、下方では肉厚な葉、上に行くに従って軽やかで透明感のある植物を選んでいる/11月 4. 猛暑・大雨、逆に雨が降らず極度な乾燥の冬にも耐えうる植物の選択。対処し得る花壇の構造を設計し、21世紀の日本における存続可能な草花選び(日本原産や身近な植物にも着目)をしています。同時に装飾性も感じられる庭。庭の一部には写真映えするスポットがあり注目の草花が咲くことにも配慮していますが、それは、桜の頃やゴールデンウィーク、夏休みといった集客時期に合わせた開花品種を選んでいます。冬の枯れ姿も味わいある眺めとしたい。 左:紫と白のアガパンサスが群れ咲く。アガパンサスは、暑さや乾燥にも強く、東京なら冬も常緑で病害虫の心配もない持続可能な宿根草/7月 右:花後の花茎もオーナメンタルに楽しめるように、タネを取り除き茎を残した、夏以降のアガパンサス。 5. 宿根草により完成された根張りの植物コミュニティを形成(雑草が生えにくくなる)するには、通常3年ほどかかりますが、期間が限定されるため、初年度はなるべく土の余白を残さず、雑草の入り込む余地を与えないためと、ある程度の華やかさを補足するため、まめな花がら摘みを必要としない一年草も設計に加えています。 左:雑草防止のグラウンドカバーとして植栽されたニゲラ。雑草との見分けのつきやすい葉の品種を選んでいる/1月 右:低く伸び花後のタネも景色の一部になった/5月 6. モデルガーデン「the cloud」は、地面から10〜30cm上げたレイズドベッド(盛り土花壇)であり、水はけや風通しを確保しながら、草丈の低い植物の見栄えもよい構造です。また、花壇に個性を与えるために雲海のような膨らみの強弱のあるデザインになっていますが、これは一般のボランティアスタッフにとっても、作業・維持管理がしやすいよう配慮されたもの。花壇の幅は浅く、土に踏み込まなくても手入れがしやすい形なのです。 植え付け当初。花壇の縁がくっきりと見えていた/12月 【「the cloud」の植栽プラン】 植えられた植物数 宿根草:100種類、3,615株 球根:9種類、9,350球 東側に明治神宮の森、西側に野原が広がる代々木公園の隅に位置する「the cloud」。約40×15mの敷地の中にモクモクとした雲形の花壇が7つ設けられ、吉谷さん厳選の植物たちが配植されました。アートフォーム(デザイン性)がありつつ公園や明治神宮の森に調和し、四季折々の楽しみを提供するような植栽設計となっています。 モデルガーデン「the cloud」の初年度12カ月 【冬】例年どおりの気温で、積もる降雪はなし 11月 植え付け当日。著名なガーデンデザイナーなどメンバー8人の力を借りて、4日間で施工。土壌改良(連載第4回参照)、アイアンの仕切りを設置した後、数千株の苗を植栽。球根を植えたところに棒を立てて目印をつけている。 2月 植え込みから2カ月経ったが、まだまだ大きな変化は見られない。寒さにあたってアガパンサスの葉が黄色く、ベルゲニアが赤くなっているが、どれも順調に元気に育っている。小さな黄色いスイセン‘テタテート’が咲き始めた。 【春】例年どおりの気温、降雨 3月 まだまだ色彩の寂しい植栽に、黄色いスイセン‘テタテート’とイフェイオン‘アルバートキャスティロ’が愛らしい彩りをプラス。 4月 イフェイオンは、全部でなんと5,000球。丈夫で冬の干ばつにも耐え毎年よく花をつける小球根を植えることで、花の少ない時期の花壇がにぎやかになる。 5月 まぶしい新緑の花壇の中で、アリウム‘パープルレイン’の花穂がファンタジックな風景を描いている。 【夏】梅雨がほとんどなく、かつてない酷暑・干ばつに加え、突発的なゲリラ豪雨が数回あり 6月 ストケシアやモナルダなどが咲き始め、にぎやかさが増してきた。 7月 全体的に緑が深くなってきて、あちこちに植えたアガパンサスが満開に。 8月 干ばつのような暑さのなかでも元気に育つ、生命力あふれるたくましいガーデン。背が高くなる宿根草も少なくないが、頭が重くならず向こうが透けて見えるような品種を選んでいる。 【秋】いつまでも気温が高かったが、10月末に冬日となる日が数日あり。夏からずっと台風の到来はなし 9月 さまざまなグラスの穂が、それまでとは異なる趣を見せ始めた。 10月 秋風に揺れる、暑さを乗り越えたたくましい植物たち。 11月 晩秋はミューレンベルギア・カピラリスがピンク色に。銅葉のペンステモンもアクセントに。 「the cloud」作庭から1年を経て 吉谷さんならではの緻密な計算と抜群のセンスがぎっしりと詰め込まれた「the cloud」。 「春先の気温が高かったため、1年で予想以上に大きく育ち慌てる場面もありましたが、ライトプランツ・ライトプレイス、適地適草を見極めて、来春はもっと安定的に宿根草が楽しめるようにしていきたいです」と吉谷さん。 次回は、この美しい風景づくりに用いられた、吉谷さんによる『植栽デザイン』についてご紹介します。




















