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シコンノボタンの特徴や育て方のポイント! 主な園芸品種もご紹介

シコンノボタンの特徴や育て方のポイント! 主な園芸品種もご紹介

Jaka Suryanta/Shutterstock.com

シコンノボタンは、鮮やかなピンクや紫色の花を咲かせる低木です。人目を引く美しい花姿は、夏から秋の庭の主役として存在感を放ちます。この記事では、シコンノボタンの基本情報や特徴、育て方のポイント、園芸品種などについてご紹介します。

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シコンノボタンとは

シコンノボタンについて、「よく知らないなぁ」というビギナーさんに向けて、まずは基本情報や特徴などについて、詳しくご紹介します。

基本情報

シコンノボタン
Foreverhappy/Shutterstock.com

シコンノボタンは、ノボタン科シコンノボタン属の常緑低木です。原産地はブラジルで、寒さにやや弱く、暑さに強い性質を持っています。暖地では戸外で越冬できますが、冬に3℃以下になる地域では、鉢に植え替えて暖かく日当たりのよい場所で越冬させてください。冬でも葉を落とさない常緑樹ですが、寒さによって葉をすべて落とすことがあります。しかし、枯れたと判断するには早く、生育期になると再び新芽を出すことがあるので、しばらく様子を見守るとよいでしょう。自然樹高は1〜3mで、比較的管理がしやすいのが特徴です。毎年の切り戻しや強剪定によって、庭の規模に合うサイズに調整して管理できます。

花や葉の特徴

シコンノボタン
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

シコンノボタンの開花期は7〜11月。1日で萎んでしまう一日花で一つひとつの花もちは悪いのですが、次々につぼみが上がって、初夏から晩秋まで長く咲き続けるのであまり気になりません。花色はピンク、紫。5弁花で花径7〜11cmと、やや大きめなので、よく目立ちます。ちなみにシコンノボタンは漢字で「紫紺野牡丹」と書き、名前は花色が由来となっています。

シコンノボタンの葉は長さ10cmほどの楕円形で、枝に対になってつきます。枝葉全体にやわらかい産毛があるのが特徴です。

矮化剤に注意

シコンノボタン
Heinsdorff Jularlak/Shutterstock.com

花鉢として出回っているシコンノボタンは、草丈を抑えるための矮化剤を使用しているケースがあります。入手した年にはそれほど大きくならないものの、翌年には矮化剤の効果がなくなり、一気に大きく成長して、驚くことがあります。当初は草花のようなサイズ感に思えても、本来は低木に分類される植物で大きく成長していくので、適した大きさの鉢に植え替えて管理するようにしましょう。

シコンノボタンの育て方のポイント8つ

ここまで、シコンノボタンの基本情報、花や葉の特徴、栽培の注意点などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、気をつけたい病害虫、増やし方など、育て方について詳しく解説します。

栽培に適した環境

シコンノボタン
rSnapshotPhotos/Shutterstock.com

日当たりと風通しのよい場所を好みます。あまり日当たりがよくない場所では、花つきが悪くなってしまうので注意してください。また、有機質に富んで水はけ・水もちがよく、肥沃な土壌を好みます。

シコンノボタンは、熱帯性植物のため暑さには強い一方で、寒さにはやや弱い性質を持っています。ほとんど凍結することがない暖地であれば戸外で越冬できますが、凍結する寒冷地では鉢栽培にして、季節に応じて適した場所に移動しながら管理するとよいでしょう。また、暑さに強いとはいえ、極度に暑い環境では弱ってしまうので、西日の当たらない場所を選ぶこともポイントです。

土づくり

ガーデニング
Jurga Jot/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。このように土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の花木用培養土を利用すると手軽です。自身で用土を配合する場合は、赤玉土小粒5、腐葉土3、ピートモス2の割合で混ぜ合わせて用いるとよいでしょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Nataly Studio/Shutterstock.com

シコンノボタンの植え付け・植え替えの適期は4〜6月頃です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。

地植えの場合は、暖地では植えたままにしてもかまいません。熱帯性の花木のため寒さには弱いので、3℃以下になる地域では鉢に植え替えて、暖かく日当たりがよい場所で越冬させてください。

【鉢植え】

入手した花鉢よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずして小さくし、新しい培養土を使って植え直しましょう。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温の高い昼間に水やりすると、すぐに水がぬるま湯のようになり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に水やりすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行いましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期は水を欲しがるので、水切れしないように注意しましょう。

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。

4〜10月の成育期に、月に1度を目安に、緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く表土を耕し、土に馴染ませます。株に勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見ましょう。

必要な作業・お手入れ

剪定
mihalec/Shutterstock.com

【花がら摘み】

終わった花は、適宜摘み取りましょう。花がらをまめに摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【切り戻し】

開花期間中は、開花が途切れた枝を2〜3節ほど切り戻すと、わき芽が出て再び花芽が上がってきます。

【剪定】

株姿が乱れてしまい、強く切り戻したい場合は、4月に剪定します。この時期以降に花芽ができ始めるので、タイミングを逃さないようにしてください。深めに切り戻してもよく、再び枝を伸ばして生育し始めます。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

シコンノボタンは、挿し木で増やすことができます。挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。

挿し木の適期は、5〜6月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たりと風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。

注意すべき病害虫

カイガラムシ
Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

シコンノボタンはほとんど病気の心配はありませんが、まれにうどんこ病や炭疽病が発生することがあります。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適応する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすくなります。カビが原因の伝染性の病気で、葉に褐色で円形の斑点ができるのが特徴です。その後、葉に穴があき始め、やがて枯れ込んでいくので、早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を見つけたらすぐに除去しましょう。密植すると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理してください。

【害虫】

シコンノボタンに発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2~4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

シコンノボタンの主な園芸品種

シコンノボタン
wisely/Shutterstock.com

シコンノボタンは、品種改良によって栽培しやすい園芸品種がいくつか出回っています。ここでは、人気の品種についてご紹介します。

コートダジュール

シコンノボタンを小型に改良した園芸品種で、樹高は2mくらいなので管理がしやすいのが長所です。花のサイズもやや小さいですが、花つきがよく次から次へと開花。花色は濃い青紫色で、開花期には強い存在感を放ちます。

リトルエンジェル

咲き始めは淡い紫色で中央に白がのる花色から、咲き進むと濃いピンクへと変化。開花ステージによって花色が変わるので、1株で数種類あるように見える楽しさがあります。

オータムカーニバル

‘リトルエンジェル’の枝変わり種。花色は同様に淡い紫で中央に白がのり、咲き進むと濃いピンクへと変化していきます。葉の縁に白い斑が入るのが特徴です。

シコンノボタンとノボタンは同じ花?

シコンノボタン
シコンノボタン。Alexandre Laprise/Shutterstock.com
ノボタン
ノボタン。Phu Nguyen Quang/Shutterstock.com

シコンノボタンとノボタンは混同されがちですが、別の植物です。シコンノボタンはノボタン科シコンノボタン属で原産地がブラジルなのに対し、ノボタンはノボタン科ノボタン属(メラストマ属)で原産地は東南アジアです。ノボタンはピンクの5弁花で、雄しべが黄色いのが見分けるポイント。また、寒さに弱いので沖縄以外にはほとんど流通していません。

シコンノボタンで秋の庭を彩ろう

シコンノボタン
Heinsdorff Jularlak/Shutterstock.com

シコンノボタンは一日花で短命ながら、次から次に花を咲かせて長い期間にわたって庭を彩ってくれます。透き通るような青みの強い紫花は魅力的で、一度は育ててみたいと思わせる花木です。暖地では戸外で越冬でき、それ以外の地域でも冬の寒さ対策をしっかりしておけば毎年開花を楽しめるので、ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。

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