スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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育て方

この秋ガーデナーがやるべきTO DOリスト10
① チューリップなど秋植え球根の植栽&ダリアに施肥 チューリップやムスカリ、クロッカス、スイセンなど、来春のガーデンを彩る球根花は今が植えどきです。球根は形が整っていて、大きくて重たいものを選びましょう。比べてみると、中にはスカスカしたものもあります。花の良し悪しは球根にかかっています。 (左)小さい黄色のチューリップが原種の‘ブライトジェム’。ピンクは園芸品種。(右)原種のスイセン、バルボコディウム。 原種チューリップや原種スイセンなど、「原種」と呼ばれるものは植えっぱなしで何年も繰り返し咲いてくれるので、同じように何年も咲く宿根草やグラウンドカバープランツと植えるとよいでしょう。園芸品種のチューリップなどは花が終わったら抜き取る必要があるので、ワンシーズン限りの一年草と一緒に植えると後が楽です。球根は温度が高いと土の中で腐ることがあるので、十分涼しくなってから植えるようにしましょう。植栽時期は、イチョウの黄葉を目安にするといいですよ。今年咲いてくれたダリアにはお礼の施肥をしましょう。 小球根のかわいい植栽アイデア FotoHelin/Shutterstock.com 芝生に一部、四角くシャベルなどで切り込みを入れて剥がします。剥き出しになった土の部分を耕して元肥を施し、球根をハート形に植栽します。クロッカスやムスカリなど小さめの球根が向いています。剥がした芝生を戻し、キュッと手で押さえます。来年の春をお楽しみに! ② 大型宿根草の苗の入手 (左)ジギタリス。(右)つる植物のクレマチス。 ジギタリスやクレマチス、デルフィニウムなど存在感のある大型の宿根草は秋に入手して植栽し、本格的な冬に入る前にある程度根を張らせておくと安心です。来春にも苗は出回りますが、春に植栽するより大きく育ちます。 ③ 耐寒性の低い植物の移動 Edgars Melkis/shutterstock.com ベゴニアや観葉植物など耐寒性の低い植物は室内に取り入れましょう。15℃を下回ると葉色が悪くなったり、株が傷んでしまう恐れがあります。 ④ ポインセチアの遮光 New Africa/shutterstock.com 昨年のクリスマスにポインセチアを買った人は、今年もきれいに発色させるために遮光を始めましょう。日中は陽に当てて、午後4時には新聞紙などで覆いをして暗い場所へ移します。 ⑤ バラ選びを急いで! バラは10月下旬には出荷が始まり、秋は春より多くの品種が市場に出回ります。年々、人気品種は入手が難しくなっており、完売してしまうのも早いので、気になるものは早めにネット通販などでチェックを。 ⑥ クリスマスローズの植え付け クリスマスローズの植え付け、植え替えができる時期です。クリスマスローズは根が弱いので、根鉢を崩さないようにしましょう。 ⑦ 種まきあれこれ 一年草/ワスレナグサ、アグロステンマ、オルレア、リムナンテス、ロベリア、レースフラワーなど、耐寒性のある一年草、二年草の種の播きどきです。 野菜/リーフレタス、ナノハナ、パセリ、ラディッシュなどの種が播きどきです。間引きながら収穫しましょう。 ハーブ/ローズマリーの種まきシーズンです。発芽までに3〜4週間かかるので、気長に待ちましょう。 ⑧ リーフでクラフト tilialucida/Shutterstock.com 庭の葉っぱや種、花がらの中には、装飾的な姿のものがたくさんあります。捨てずに採取して金色のスプレーで塗装すると、クリスマスのオーナメントに役立ちます。スプレーする時はダンボール箱の中に入れると周囲を汚しません。 エキナセアの種やアジサイの花がらも装飾に役立ちます。 ⑨ 来年の庭構想&庭のレイアウト変更 Svetlana Gorbacheva/Shutterstock.com 来年の庭の構想を考えてみましょう。庭のレイアウトを変更するならこのシーズンがチャンスです。宿根草や常緑樹は10月中に、落葉樹は11〜12月に移植ができます。 ⑩ お肌の手入れ ガーデニングの後には自分のお肌も丁寧に手入れをしましょう。庭仕事をする人は、常日頃紫外線にさらされ、お肌はハードモードです。秋は特に夏に浴びた紫外線の影響が出始めたり、乾燥が気になる季節。スキンケアも秋冬用にチェンジし、気になる肌トラブルを回避しましょう。 Svetlana Gorbacheva/Shutterstock.com 秋は、ガーデナーにとって、とても忙しい季節。美しい庭をつくる人が、ご自身のお肌を犠牲にしてはいけません。植物も自分もしっかりケアして、引き続きガーデニングを楽しみましょう!
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宿根草・多年草

春から秋までの花壇で大活躍! ガーデンを彩る宿根アスター
使いやすくて育てやすい万能選手 APugach/Shutterstock.com 晩夏から秋にかけて、ふんわりと茂って花つきのいい宿根アスターは、他の植物とも合わせやすく、ガーデンでは使いやすい宿根草。非常に種類が多く、ボーダー花壇やメドウガーデン、ロックガーデンなど、さまざまなシーンで活躍します。花色は青紫やピンクのほか、白や青、赤、紫などバリエーションに富み、草丈も低く広がるものから高性種まで、品種によって幅広くあります。 宿根アスターという名は、アスター属(シオン属)やシンフィオトリクム属に含まれるユウゼンギクやクジャクアスターなどの宿根草を総称して呼ばれたもの。宿根アスターとして流通しているものは、異なる種であってもよく似た花を咲かせるものもたくさんあり、性質や栽培法も多くが共通しています。現在では植物の分類が変わり、例えば中国原産の一年草の春咲きアスターは、カリステフス属になっており、宿根アスターと呼ばれるものの中にも、アスター属から外れて他の属に移動している種が多くありますが、園芸的には、現在もアスターという名で流通しています。 アスターが演出する秋色ガーデン アスターを取り入れた、素敵な秋色ガーデンの実例をいくつかご紹介します。ぜひあなたの庭づくりの参考にしてみてくださいね。 Peter Turner Photography/Shutterstock.com オーナメンタルグラスの白い穂に、アスターの紫が映える秋のガーデン。 Flower_Garden/Shutterstock.com オーナメンタルグラスとともに咲くアスター・ドゥモススは、色鮮やかな秋の庭の演出に。 Essjaybee/Shutterstock.com 黄色いトリトマと青紫のアスターが好対照な初秋のガーデン風景。 J Need/Shutterstock.com J Need/Shutterstock.com ボーダー花壇に色の面をつくる宿根アスター。イギリスのピクトン・ガーデンにて。 多様な花が咲く宿根アスター 宿根アスターという名で流通するものにはさまざまな種類があり、また、種間雑種も多く、多様な花があります。ここでは宿根アスターとして扱われることの多い花々のバリエーションを一部ご紹介します。 ユウゼンギク シンフィオトリクム属 宿根アスターの中でも一般的なユウゼンギクは、品種のバリエーションも豊富で、花色や花形も幅広くあります。英名のミケルマス・デイジーやニューヨーク・アスターという名でも親しまれています。 mahey/Shutterstock.com AliScha/Shutterstock.com McGraw/Shutterstock.com Joanna Stankiewicz-Witek/Shutterstock.com 花色、花形もさまざまなユウゼンギク。Doikanoy/Shutterstock.com ネバリノギク シンフィオトリクム属 ニューイングランド・アスターとも呼ばれるネバリノギクは、北アメリカ東部を原産とし、日本では外来種として定着しています。 Peter Turner Photography/Shutterstock.com ChWeiss/Shutterstock.com クジャクアスター シンフィオトリクム属 交配で生まれた園芸品種群。基本的には草丈の高くなる高性種で、小さな花を株いっぱいに咲かせます。 mizy/Shutterstock.com tamu1500/Shutterstock.com アスター‘メンヒ’ Peter Turner Photography/Shutterstock.com アスターの交配種で、鮮明な紫色の花が咲き続くアスター‘メンヒ’。 アスター・アメルス イタリアン・アスターとも呼ばれるアスター・アメルス。黄色い花心を持つ花を咲かせます。 guentermanaus/Shutterstock.com ボーダー花壇を彩るアスター・アメルス‘ヴァニティー’。J Need/Shutterstock.com 宿根アスターという括りで扱われるものは、ここで紹介した以外にも数多くあります。また、分類の整理により、かつてアスター属に属していたユウゼンギクやネバリノギクがシンフィオトリクム属に移動するなど、分類にもさまざまな変更が生じています。 宿根アスターの育て方 The Jungle Explorer/Shutterstock.com 宿根アスターは、よく日の当たる、水はけのよい場所で栽培します。過湿にすると根腐れを起こしやすいので、やや乾燥気味に管理し、鉢の場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。庭植えの場合は、ほとんど必要ありません。肥料も少なめでOKです。 春に芽が伸びてきたら、分枝を促して花数を増やすために、摘心や切り戻しをするとよいでしょう。初夏に切り戻しをすることで、草丈を抑えてコンパクトに育てることもできます。また、冬には地上部が枯れるので、株元から5㎝ほど残して切り戻しておくとよいでしょう。 よく増えるので、鉢植えの場合は根詰まりを起こしてしまわないよう、毎年植え替え、株分けをするとよいでしょう。地植えの場合も、株が込んできたら、3年に1回程度を目安に、株分けを兼ねて植え替えを行うとよく育ちます。
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宿根草・多年草

クルクマとウコン(ターメリック)の違いとは? それぞれの特徴や育て方のポイントも解説
クルクマとウコンの関係は? どんな違いがある? kung_cmi/Shutterstock.com クルクマとウコンは、どちらもショウガ科ウコン属(Curcuma属)に分類され、夏に華やかな花を咲かせる多年草です。一般に、クルクマは、その中でも花を観賞するために栽培されているウコン属(=クルクマ属)の観賞用品種を広く指します。 一方、ウコンも同じショウガ科ウコン属に含まれますが、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)という種を指します。地下茎が肥大した塊茎を持ち、食用目的で栽培されています。塊茎は粉末状にしたり甘酢漬けにしたりとさまざまな活用方法があり、粉末状にしたものはターメリックとも呼ばれます。 つまりクルクマは主に観賞用として栽培されるウコン属の仲間のことで、ウコンはその中でも食用として栽培される、クルクマ・ロンガの別名です。 クルクマの特徴 TAMMY M JOHNSON/Shutterstock.com ここでは、ウコンの仲間である観賞用のクルクマの特徴について、項目ごとに詳しく解説していきます。スパイスとして利用するウコン(ターメリック)も、同様の管理で育てることができます。 基本情報 Shutter B Photo/Shutterstock.com 前述のとおり、クルクマはショウガ科ウコン属(Curcuma属)の多年草。原産地は熱帯アジア、アフリカ、オーストラリアで、草丈は30~100cmになります。 園芸としての分類では、寒さに弱いため春植え球根として扱われます。直径3~4cmの球根(塊茎)から伸びた4~6本の細い根には、先端に栄養分が貯蔵された丸い球根がたくさん付いており、この丸い球根はミルクタンクとも呼ばれます。 花や葉の特徴 Fusionstudio/Shutterstock.com クルクマの開花時期は5~10月で、茎の先に上に伸びるように折り重なったトーチのような花を咲かせます。夏の暑さに強く、花が少なくなりがちな真夏にもよく生育して鮮やかな花を咲かせてくれます。 花に見える部分は苞と呼ばれる部位で、実際の花は小さく苞の内側にあり目立ちません。葉は先っぽが尖った楕円形で、4~8枚ほど束になって付きます。 クルクマの育て方のポイント6つ SL-Photography/Shutterstock.com 色鮮やかな花が美しいクルクマは、ポイントを押さえれば家庭でも栽培を楽しむことができる植物です。 ここでは、クルクマを育てるためのポイントについて詳しくご紹介します。 1.栽培に適した環境 Ridersuperone/Shutterstock.com 生育旺盛で水切れを嫌うクルクマは、鉢植えよりも地植えに向いています。日光に当てたほうが花つきがよく、株姿もまとまりやすいため、日当たりのよい場所に植えましょう。 柔らかく肥沃な土を好むので、完熟堆肥や腐葉土を3割ほど混ぜ、元肥として緩効性肥料を混ぜた土に植え付けます。 2.水やり・肥料 FotoDuets/Shutterstock.com 水やりの際は、生育期は乾燥しないよう注意が必要です。鉢植えで、夏に日当たりのよい場所で管理している場合は、毎日水やりをしましょう。地植えの場合は、夏に土の表面が乾いてきたら水やりするようにします。 肥料は、生育期には三要素(チッ素、リン酸、カリ)が等量か、リン酸成分がやや多めの化成肥料を置き肥します。また、開花期は液体肥料も併用するとよいでしょう。肥料のパッケージには「N-P-K=6-10-5」などと書かれていますが、Nはチッ素、Pはリン酸、Kはカリウムを意味します。この場合は「チッ素が6、リン酸が10、カリウムが5配合されている肥料」ということになり、リン酸分が多い配合がおすすめのクルクマ向きの肥料といえます。 3.植え付け Yudhi Setyo Asmono/Shutterstock.com クルクマの植え付けの適期は4~5月中旬です。発芽体の上に4~5cm土がかかる深さまで穴を掘って植えます。あまり早く植え付けてしまうと、寒の戻りで傷んで発芽しないことがあるので、十分に気温が上がってから植えるように気をつけましょう。 寒冷紗やビニールなどの被覆資材でトンネルをかけると温度が上がり、発芽が早くなります。トンネルをかけた場合は梅雨明けまでそのままにしておき、その後取り除くようにしましょう。 4.日常のお手入れや注意点 Nilanka Sampath/Shutterstock.com クルクマは寒さに弱いため、秋になったら根茎を掘り上げてバーミキュライトなどに埋め、翌年植え付けるまで10℃以下にならない場所で保管しましょう。 花もちがよく、開花後も長く綺麗な姿を保つため、こまめに花がらを摘む必要はありませんが、花色が悪くなって気になるときは茎の付け根から切ります。特に注意すべき病害虫はありません。 5.増やし方 Olga Rincon Castellanos/Shutterstock.com 大きく育った塊茎を分けて植え付けて増やすことができます。適期は4~5月です。 根茎から伸びた先についているミルクタンクに栄養を蓄えるため、取らないように注意しながら2~3個に分け、植え付け時と同じ手順で植えます。 6.注意すべき病害虫 AVIcon/Shutterstock.com クルクマは丈夫ですので、夏の間は特に心配すべき病害虫はありません。 ただし、花の内部にアブラムシが付くことがあります。また、ヨトウムシやナメクジ、カタツムリの食害にあうことがあるので、見つけたらすぐに駆除しましょう。 ウコン以外のクルクマの園芸品種 Burhan Oral GUDU/Shutterstock.com クルクマの仲間には、ウコン以外にもさまざまな園芸品種があります。 ここでは、主な品種についてご紹介します。 クルクマ・シャローム topimages/Shutterstock.com 一般に園芸でクルクマというと、クルクマ・シャロームのことを指します。 学名はクルクマ・アリスマティフォリア(Curcuma alismatifolia)ですが、日本ではクルクマ・シャロームとして流通しています。草丈は60~70cmで、夏に白やピンクの大きな花を咲かせ、1カ月以上楽しめます。 クルクマ・ペティオラータ ANI DWI WAHYUNI/Shutterstock.com クルクマ・ペティオラータ(Curcuma petiolata)は、クルクマ・シャロームとともに広く栽培されている種類です。 ロータス・ジンジャーとも呼ばれ、夏に白やピンクの花を咲かせます。 ウコンの主な特徴 Gita Kulinitch Studio/Shutterstock.com ここからは、主に食用として栽培されるウコンについて、項目ごとに詳しくご紹介します。 基本情報 INTREEGUE Photography/Shutterstock.com ウコンは学名ではクルクマ・ロンガ(Curcuma longa)と呼ばれます。塊茎は食用のほかに薬用や染料、香辛料として使用され、塊茎を粉末状にしたものがターメリックと呼ばれます。 草丈は50~150cmで、白い花(厳密には苞)を咲かせます。本来の花は黄色で苞の間にあり、あまり目立ちません。 種類 frank60/Shutterstock.com 日本でウコンという呼び名が使われるものの中には、春ウコン・秋ウコン・紫ウコン・黒ウコンがあります。それぞれ別種で、ターメリックと呼ばれるものは秋ウコンを指します。前述のクルクマ・ロンガも秋ウコンのことです。秋ウコンは色素成分であるクルクミンを多く含みます。 ウコンに含まれる主な成分や期待できる効能 NIKCOA/Shutterstock.com ウコンは、さまざまな料理だけでなく、生薬としても利用されてきました。 ミネラル、食物繊維、クルクミンなどが含まれており、肝機能の向上や胆汁の分泌の促進、食欲増進や血行促進、免疫力の向上や腸内環境を整えるなどの効果が期待できるとされています。 観賞価値の高いクルクマと食べられるウコン Followtheflow/Shutterstock.com クルクマはウコン属の植物のうち観賞目的で栽培されるものの呼び名です。一方、ウコンは食用として栽培されるクルクマ・ロンガのことを指します。 クルクマの花は鮮やかな色合いとエキゾチックな見た目が魅力で、病害虫に強く、ポイントを押さえれば育てやすい植物です。夏の暑さに負けずに花を咲かせてくれるのも嬉しいところ。ぜひご自宅でクルクマを育てて、南国のような雰囲気を作ってみてはいかがでしょうか。
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樹木

モミジの育て方! 基本情報や豆知識も大公開
モミジの基本情報 モミジといえば、秋の紅葉の象徴として、昔から親しまれてきた樹木です。ここでは、そのプロフィールや種類などについてご紹介します。 モミジとは robert armitage/Shutterstock.com モミジはムクロジ科カエデ属の落葉高木で、カエデの仲間です。 モミジの種類は、大きく分けてイロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジの3種があり、一般的にはイロハモミジを指すことが多いようです。園芸文化が開花した江戸時代から品種改良の歴史は脈々と続いており、変異が多く区別が難しくなっています。 カエデとの違いは? mapman&Marques/Shutterstock.com じつのところ、モミジとカエデは植物の分類学上では同じで、カエデはモミジを含めたこの仲間の総称です。しかし、昔からの慣例として、葉の切れ込みが深いものを「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものを「カエデ」と呼んでいるようです。モミジの名前の由来は、秋に植物が黄色や赤に変色する様子を表現する「もみず(黄葉ず・紅葉ず)」「もみつ(黄葉つ・紅葉つ)」という動詞から。カエデの名前は、葉の形がカエルの手の形に似ていることから。古くは「かへるで」と呼ばれており、時代が下ってカエデになりました。 モミジの種類 Max_555/Shutterstock.com 前述の通り、モミジには品種改良によってさまざまな園芸品種が生まれています。ここでは、中でも主だったものをご紹介しましょう。 ‘青枝垂(あおしだれ)’は濃いグリーンの葉で深い切れ込みが入り、枝垂れる樹形が魅力。‘出猩々(でしょうじょう)’は新芽が鮮やかな紅色で、やがて赤みを含んだグリーンへと変化し、秋には紅葉を楽しめます。‘桂(かつら)’は新芽はオレンジ色に赤い覆輪が入り、やがてグリーンへと変化し、秋には紅葉します。‘胡蝶の舞(こちょうのまい)’は、グリーンの葉に白やピンクの斑が入ります。‘燕換(えんかん)’は、切れ込みの入った葉がやや枝垂れ、新芽から落葉まで、深い赤色をしています。 花言葉・豆知識 d murk photographs/Shutterstock.com モミジの花言葉は、「節制」「遠慮」「自制」「大切な思い出」「美しい変化」など。「節制」「遠慮」「自制」は、目立たない小さな花から。「大切な思い出」は、紅葉を観賞しに山へ出かけるのがレジャーとなっていることから。「美しい変化」は、新緑、開花、結実、紅葉、落葉と、四季が巡るごとに変化していく様子からとされています。 ところで、「紅葉狩り」という言葉がありますね。鹿やイノシシなどの動物や野鳥を捕らえること、果実を採取することを「狩り」といいますが、モミジを採取することはないのに、なぜ「狩り」というのでしょう。一説には、狩りをしない貴族が狩猟や植物採取と同様に、わざわざ深い山へ入って紅葉を観賞することから「狩り」といい、一種の言葉遊びから発生したといわれています。 モミジの園芸用データ drgi/Shutterstock.com モミジは、北半球の温帯(日本・中国・北アメリカ・ヨーロッパ・北アフリカ)地域に幅広く分布しています。約150種が確認されており、日本で自生しているのは、約20種です。 耐寒性はありますが、暑いのがやや苦手で、真夏の強光線によって葉焼けすることもあるので注意。適度に水はけ、水もちのよい土壌を好み、乾燥を嫌います。もともと日本に自生してきた樹木なので環境に馴染みやすく、初心者でも育てやすい庭木の一つです。 自然樹高は5〜25mにも達する高木です。「そんなに高くなるのなら、庭木として取り入れるのは難しいのでは?」と及び腰になってしまいそうですが、毎年きちんと剪定をすれば、樹高や樹形をコントロールすることができます。 モミジのライフサイクルは、以下の通りです。3月頃から新芽が動き出し、暖かくなると旺盛に展開していきます。4月中旬〜5月上旬に、小さな赤い花がたくさん開花。11月頃にプロペラのような形をしたタネをつけ、11月下旬頃に紅葉した後、すべての葉を落として休眠します。休眠の期間は短く、1月には樹液が動き出しますが、外からの見た目では分かりません。そして3月下旬頃には新芽を再び展開し始めます。一度根づけば、長い期間にわたって楽しめる植物です。 モミジは、四季の移ろいとともにはっきりと表情を変えていくので、季節感を感じるシンボルツリーとして庭に取り入れるのがおすすめ。芽吹き始めの新緑は美しく、春には小さな赤い花を咲かせます。夏に葉をたっぷりと茂らせ、緑陰を広げて涼風を誘う効果も。秋には実を結ぶとともに、燃えるような紅葉を楽しめ、冬にはすっかり落葉します。たっぷりと枝葉を伸ばすので、スペースを確保できる場所を選びましょう。デメリットとしては、落葉期には一気に葉を落とすため掃除が大変で、この時期はゴミを出す量も増えてしまいます。 また、地植えで楽しむイメージが強いのですが、鉢栽培もできます。盆栽にしてミニマムな世界を楽しむのも一興です。 モミジの育て方 ここまで、モミジのプロフィールや特性、豆知識などをご紹介してきました。ここからは、実践編としてモミジの育て方について。栽培に適した環境や植え付け方、水やりや施肥など日頃の管理、剪定、病害虫対策や増やし方まで、多岐にわたって詳しく解説していきます。鉢栽培の方法もご案内していきますよ! 栽培に適した環境 marinatakano/Shutterstock.com 日当たり、風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では成長が遅く、紅葉も美しく発色しなくなるので注意。乾燥がやや苦手で、適度に水はけ・水もちのよい土壌づくりをすることが大切です。乾燥対策として、根元をバークチップなどで覆うマルチングを施しておくとよいでしょう。 日本の寒さ、暑さには適応しますが、栽培の北限は北海道南部くらいまで。冬は寒風の吹きさらしにならない場所を選んでください。 土づくり SujaImages/Shutterstock.com 【地植え】 まず、一年を通して日当たり、風通しのよい場所を選びましょう。植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 植え付け AlenKadr/Shutterstock.com モミジ(苗木)の植え付け適期は12〜3月頃です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下までを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 水やり Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com 【地植え】 地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。水分が不足すると、葉が萎れたり、葉焼けしたりします。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 成長期は、日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。新梢や葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は落葉するので、水やりは控えめにしますが、まったく水を与えずに土をカラカラに乾燥させたままにすると、枯れてしまうのでご注意を。 追肥 Singkham/Shutterstock.com 【地植え】 落葉してすぐの12月頃に、寒肥として有機質肥料を木の周囲にまき、土になじませます。 【鉢植え】 4〜5月、9〜10月、12月に緩効性化成肥料をまき、土になじませます。生育期に、木に勢いがなく成長が止まっているようなら、速効性のある液体肥料を水やり代わりに与えるとよいでしょう。 剪定 mihalec/Shutterstock.com 落葉樹は、葉を落とした後の休眠期ならいつでも剪定してよいのですが、モミジは休眠期が短く、1月には樹液が動いているので、剪定は早めの12月までに済ませるのがポイントです。 モミジの仲間の多くは、樹形が左右対称にはならず幹も真っ直ぐには伸びず不定形に成長します。自然な樹形のバランスを保ちながら、すかしていく剪定を心がけるとよいでしょう。幹と競合するような勢いの強い立ち枝や、地際近くから伸びて樹形を乱している枝、内側に向かって伸びている逆さ枝、他の枝に絡んで邪魔になっている絡み枝、地際から出ているひこばえなどは、根元から切り取ります。また、枝が込み合いすぎている部分があれば、風通しをよくするために邪魔な枝を付け根から切りましょう。ただし、モミジの仲間は真夏に強い日差しが幹に当たると焼けてしまうことがあるので、すかしすぎないよう、葉が程よく茂るように剪定します。 あまり大きくなりすぎないように、樹高を抑えたい場合は、幹を外側に向かう枝の少し上で切りましょう。 植え替え S_Photo/Shutterstock.com 【地植え】 しっかり根付いて順調に生育していれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢植えで楽しんでいる場合は、放置していると根詰まりしてくるので、2〜3年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの適期は2〜3月頃です。 植え替えの前に、水やりを控えて鉢内の土を乾燥させておきましょう。鉢から株を取り出し、根鉢を少しずつ崩していきます。不要な根を切り取り、根鉢を軽くほぐしましょう。これ以上大きくしたくない場合は同じ鉢に、もう少し大きくしたい場合は二回りくらい大きな鉢に植え替えます。手順は「植え付け」の項目を参考にしてください。 増やし方 Taras Garkusha/Shutterstock.com モミジは、挿し木や種まきの方法で増やすことができます。 挿し木の適期は6〜7月頃。春に伸びた若くて勢いのある枝を選んで10cmほど切り取ります。葉を2〜3枚残して、1時間ほど水を張った容器に挿して水あげしておきましょう。採取した枝葉の切り口に発根促進剤を塗り、市販の園芸用培養土を入れた育苗用トレイに挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理を。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。 種まきの適期は11月頃。プロペラのような形をした実を採取し、乾燥しないうちに園芸用培養土を入れた育苗トレイにタネを播きます。春になると発芽するので、本葉が3〜4枚ついたら黒ポットに鉢上げします。乾燥しないように管理し、成長とともに鉢増ししながら育成します。 病害虫 Happy_Nati/Shutterstock.com 病気は、葉に白く粉を吹いたような症状が現れるうどんこ病、葉が黒いすすで覆われたような症状が出るすす病、葉に円形の病斑が現れる炭疽病などに注意。風通しが悪いと発生しやすくなるので、枝が込み合っている部分の不要な枝を選んで、付け根から切り取る間引き剪定をするとよいでしょう。それぞれの症状が現れたら、早めに適応する薬剤を散布して対処します。 害虫は、アブラムシ、カイガラムシ、アザミウマ、ハダニ、ミノムシ、ケムシなどが発生しがちです。放任すると木が弱るので、見つけ次第適応する薬剤を散布して、駆除しましょう。 モミジを育てて紅葉を楽しもう! optimarc/Shutterstock.com ここまで、モミジの特性や種類、豆知識、育て方に至るまで、多岐にわたってご紹介してきました。古くから日本に自生してきたモミジは、環境に馴染みやすく、ビギナーでも育てられる樹木です。新緑から紅葉まで、季節によって表情を変えていくモミジを、わが家のシンボルツリーとして植栽してはいかがでしょう。
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ガーデニング

植物の葉色や花色が変化する仕組み【植物学基本講座】
紅葉の仕組み はっきりとした四季のある日本では、季節ごとにそれぞれ美しい光景を目にすることができます。そんな季節のなかで、秋らしい光景といえば、紅葉。毎年楽しむことができる身近な現象ですが、その仕組みをご存じでしょうか? 紅葉は、植物の葉にアントシアニンが蓄積し、クロロフィルが減少することによって引きこされる現象で、主に落葉樹において見られ、紅葉や黄葉の色調は、アントシアニン、クロロフィル、カロテノイドの3種の色素によって決定されます。 Photo/LilKar/Shutterstock.com アントシアニンとは多くの植物に含まれている色素で、植物の花や果実などの赤や青、紫など幅広い色を呈色します。クロロフィルは葉緑素のこと。光エネルギーを吸収してエネルギーをつくる植物にとって非常に重要な化学物質で、緑色をつくる色素成分でもあります。カロテノイドは黄色の色素で、紅葉する前の多くの葉に含まれていますが、通常はクロロフィルのほうが多く含まれているために緑色や黄緑色に見えています。 秋が深まるにつれ、日照時間が減少し、気温も下がってくると、光合成の効率も低下し、落葉樹は休眠の準備として不要な葉を落とす落葉を始めます。そのプロセスの一つとして起こるのが紅葉です。気温が下がると葉に含まれるクロロフィルが分解され始め、同時に葉と茎や枝をつなぐ葉柄の付け根に離層と呼ばれるコルク質の層がつくられてきます。離層により、葉と植物全体の間での水や栄養など物質の移動が妨げられ、分解されずに残っているクロロフィルが行う光合成により生成されるグルコースが葉に蓄積されるようになります。 Photo/Sergey Chayko/Shutterstock.com この余剰なグルコースからアントシアニンが合成されます。この時、カロテノイドの分解はクロロフィルの分解よりも遅れて行われるため、クロロフィルが分解されるにつれて次第に黄色が目立つようになります。分解過程にある緑色のクロロフィル、葉に残る黄色のカロテノイド、合成される赤色のアントシアニンの3種の色素の量などによって、紅葉の色調が決定されます。イチョウやポプラなどの黄葉する葉の場合は、アントシアニンが合成されにくいために赤色にはなりません。ちなみに、花などでは青色や紫色を発色することもあるアントシアニンですが、紅葉が起こる葉の細胞は酸性状態になっているため、アントシアニンは赤色系に発色します。 より美しい紅葉の条件 紅葉が美しくなるためには、多くの糖分が葉に蓄えられること、クロロフィルが素早く分解されることが大切だといわれます。そこで、以下のような条件が揃うときに美しい紅葉が見られるといわれています。 晴れた日が続き、葉が日光を十分に受けていること最低気温が8℃以下の日が続くこと昼夜の気温の差が大きいこと適度な湿度があること など。 紅葉は、日中の気温が8℃を下回る日が続くとスタートし、5~6℃以下になると急激に進むといわれます。上の条件が揃うことにより、糖の蓄積やクロロフィルの分解などが促進され、美しい紅葉が見られるのだとか。これらに加え、夏の気温が高いことや、雨量が多かったことも紅葉の発色に影響することがあるそうです。 紅葉の仕組みや目的、美しく発色するための条件などについては、まだ分かっていないことも多くありますが、美しい紅葉の色合いは、その年ごとに異なるもの。秋のつかの間だけ繰り広げられる自然界の芸術を、今年も楽しんでみてはいかがでしょうか。 花色の変化の仕組み 植物に訪れる色の変化は、紅葉だけではありません。植物の種類によっては、花色や葉色が次第に変化していくものもあります。時間の経過につれて移り変わる色合いは、儚くも美しいもの。今回は、花色が変化する代表的な植物3種について、その仕組みを探ってみましょう。 一日のうちで花色が移り変わるスイフヨウ 赤みが差してきたスイフヨウ。Photo/plew koonyosying/Shutterstock.com 花色が変化する植物として知られる代表的な花が、スイフヨウ。スイフヨウはアオイ科の植物で、夏に咲く一日花は、咲き始めの朝は純白ですが、時間が経つにつれて次第にピンク色が差し、夕方しぼむ頃には紅色になっています。この色の変化を、お酒に酔って、顔が赤らむ様子に見立て、酔芙蓉と名付けられました。花色の変化を引き起こすのは、色素のアントシアニン。 朝のスイフヨウは白い花。Photo/stamptam/Shutterstock.com スイフヨウの花色の変化は、花弁の中でアントシアニンの合成が進むために起こります。朝、花開いたばかりの段階では花弁にアントシアニンは含まれていませんが、午後になると細胞内でアントシアニンを生合成する酵素が活性化して花弁にアントシアニンが蓄積され、次第に赤みを増してくるのです。ちなみに、実は白い花には、基本的にヒトの目に色づいて見える色素は含まれておらず、細胞内の隙間で起こる乱反射などにより白く見えています。 青紫色と白色の二色咲きになるニオイバンマツリ Photo/sarintra chimphoolsuk/Shutterstock.com ニオイバンマツリの花は、咲き始めの濃い紫色から淡い紫色になり、2日ほどの間に真っ白な花へと変化します。この花色の変化から、英語では「yesterday-today-and-tomorrow」や「morning-noon-and-night」などという名でも呼ばれています。白と紫の色違いの花が株を覆うように咲く姿は見事で、ガーデニングでも人気のある植物です。このニオイバンマツリの花色の変化は、スイフヨウとは反対に、花弁に含まれるアントシアニンが、酸化酵素によって徐々に分解されることから起こると考えられており、開花後はアントシアニンの分解が進むにつれて次第に花色が淡くなっていくとされています。 アジサイの色の七変化 移ろいやすいものの代表として知られ、花言葉にも「移り気」という意味があるアジサイ。基本的に、酸性の土壌では青い花を、アルカリ性の土壌ではピンクの花を咲かせます。アジサイの花色の変化の理由は、これまた色素アントシアニンにあります。その仕組みの概要は以下の通りです。酸性の土壌ではアルミニウムが溶け出して根から吸収されやすくなり、吸収されたアルミニウムはアジサイの花弁、正確には萼片にあるアントシアニンと結びついて青色を発色。一方、アルカリ性の土壌ではアルミニウムが溶け出しにくいため、アントシアニンは赤色を示すとされています。 Photo/parasolia/Shutterstock.com もっとも、アジサイの花の色調は、土壌の酸性度だけでなく、アジサイの細胞のpHや、アジサイに含まれる助色素類、そしてアルミニウムの量などが遺伝や環境的な要因によって変化することで決定されることが、近年の研究で明らかになっています。また、アジサイの品種によっては、土壌の酸性度に関係なく花色を保つものもありますし、もともとの花色の性質と合わさって紫色の花を咲かせる場合もあります。ちなみに、日本の土壌は弱酸性を示す場合が多く、日本で自生するアジサイは青系のものが一般的です。 Photo/Koy_Hipster/Shutterstock.com ここでご紹介した花のほかにも、咲き進むにつれて花色が移ろうバラや、七変化という和名を持つランタナなど、花色が変化する植物はたくさんあります。身近でありながら案外知らない植物の変化について、気になるものを調べてみてはいかがでしょうか。
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果樹

自宅でチャレンジ! ぶどうの特徴から栽培方法まで分かりやすく解説
ぶどうとは JManuel Murillo/Shutterstock.com ぶどうは、ブドウ科ブドウ属の落葉性つる植物で、原産地は中央アジア〜地中海沿岸、北アメリカなどです。寒さや暑さに強く、北海道から九州まで広い範囲で栽培できます。乾燥にも強い性質で、水はけのよい土壌が栽培適地。一方で雨には弱く、雨に当たると病害虫が発生しやすいので、雨よけ対策が必要です。また、つるを伸ばして生育するため、つるを支える棚などに仕立てて管理します。 ぶどうのライフサイクルは、以下の通りです。4月頃から新芽が出て旺盛に枝葉を伸ばし、5月中旬〜6月中旬に開花。果実の肥大、成熟が始まり、8月中旬〜9月に収穫。11月頃に落葉して休眠。一般には、一年生苗を入手して栽培をスタートすることになりますが、果樹の栽培は長い目で見守る必要があることを知っておいてください。植え付けから1〜2年は収穫を見送り、木を充実させるための管理をします。幼木のうちから果実をつけると、木に負担がかかってしまうからです。収穫は3年目以降まで待ちましょう。ただし、十分に育った成木を入手した場合は、これには当てはまりません。 ぶどうの種類 New Africa/Shutterstock.com ぶどうは、主にヨーロッパ系とアメリカ系に分けられます。 ヨーロッパ系ぶどうは、地中海の乾燥地帯が原産地のため乾燥した気候を好み、雨に弱いものが多いのが特徴。雨の多い日本では栽培が難しく、雨よけ対策が必要です。主な品種は‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’や‘コールマン’など。 アメリカ系ぶどうは、アメリカ東部で自生していたものが多く、雨が多く寒い気候のため、日本でも比較的栽培しやすいといえます。主な品種は‘キャンベルアーリー’、‘デラウェア’、‘アーリースチューベン’など。 日本では、ヨーロッパ系ぶどうとアメリカ系ぶどうの交雑品種も多く作られています。‘巨峰’、‘ピオーネ’、‘安芸クイーン’などがよく知られ、これらはビニール被覆による雨よけで栽培できます。 ぶどうは果実の色で、黒ぶどう、赤ぶどう、青ぶどうに分類することもできます。黒ぶどうは、黒みを濃く帯びた紫色の果実で、アントシアニンが豊富。‘巨峰’、‘ピオーネ’、‘マスカットベリー’など、粒の大きい品種が揃います。香りも甘みも濃厚です。赤ぶどうは、明るい赤紫の果実が特徴で、‘竜宝’、‘安芸クイーン’、‘デラウェア’など。粒のサイズは品種によって大小さまざま。果実は酸味が少なく、糖度が高い傾向です。青ぶどうは、明るいグリーンの果実で、品種は‘シャインマスカット’、‘瀬戸ジャイアンツ’など。白ワイン用に作られていることも多く、濃厚な香りと爽やかな甘さが魅力。果皮が薄くて柔らかい品種が多く、皮ごと食べられるものもあります。 ぶどうの歴史 emattil/Shutterstock.com ぶどうは世界各地で栽培され、生産量が最も多く、品種も多様に出回っている果樹の一つです。栽培の歴史は古く、紀元前4000年頃に古代オリエントで栽培されていた記録が残されています。ワインの醸造も古い時代から行われ、メソポタミア文明や古代エジプトではワインが珍重されていたようです。古代ギリシャの頃になるとワイン生産のためのぶどう栽培が大規模に展開され、ワインは国中に広まっていったとされています。 PaulSat/shutterstock.com 日本では、古くから広範囲で野生のヤマぶどうを食していたとか、奈良時代にシルクロードを経て中国から伝わったとか諸説ありますが、栽培が難しくそれほど普及しなかったようです。しかし明治以降の文明開化により、ぶどうの栽培が盛んに行われるようになりました。ワイン用、デザート用にと品種改良が進み、現在では日本産のぶどうは高い品質に至っています。 ぶどうの栄養・効能 SMarina/Shutterstock.com ぶどうの甘みにはブドウ糖や果糖などが多く含まれています。これらの糖は体内での代謝を経ずにそのままエネルギーになるため疲労回復効果が大きく、脳の働きを活発にして集中力を高める作用があります。またポリフェノールの一種であるアントシアニンなどを多く含み、ガンや動脈硬化の予防に効果があるようです。他にもカルシウム、カリウム、リンなどのミネラル成分も含んでいます。 ぶどうの栽培方法 これまで、ぶどうの特性や種類、歴史、栄養素などについて触れてきました。さて、ここからは実践編です。ぶどうは果樹の中でも、比較的手間をかける必要がありますが、愛情をかけた分だけ応えてくれます。ぜひぶどうの栽培にチャレンジして、完熟果の贅沢を味わってください。 栽培環境 Sergey Lyashenko/Shutterstock.com ぶどうは旺盛につるを伸ばして生育するため、つるを誘引する棚や支柱が必要です。栽培に当たっては、日当たりがよく、風通しのよい環境を選びましょう。また、土質は選びませんが、水はけ・水もちのよい土壌でよく育ちます。 暑さや寒さに強く、北海道から九州まで栽培可能です。ただし雨に弱いので、光を通すカーポートの下や軒下などを利用するか、ビニールを被覆して対策する必要があります。 土づくり funnyangel/Shutterstock.com 【庭植え】 苗を植え付ける1カ月前に、土づくりをしておきます。100cm四方、深さ40〜50cmの植え穴を掘り、掘り上げた土に土壌の状態に合わせた牛ふん堆肥と腐葉土をよく混ぜ込みます。植え穴に戻して、少し高めに盛り上げておきましょう。1カ月ほどで分解が進んで土が熟し、植え付けに適した土壌になります。 【鉢植え】 果樹栽培用にブレンドされた、市販の園芸用培養土を利用すると便利です。 植え付け Jurga Jot/Shutterstock.com 【庭植え】 植え付けの適期は、12月下旬〜3月上旬。土づくりをしておいた場所に、入手した苗の根鉢より一回り大きな植え穴を掘ります。植え穴に根を広げて苗を入れ、根の間にも土を入れて密着させるように植え付けましょう。最後にたっぷりと水やりをします。 【鉢植え】 8〜10号鉢を用意します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから果樹用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 水やり Afanasiev Andrii/Shutterstock.com 【庭植え】 地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、梅雨明け以降、日照りが続いて乾燥する場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。新梢がだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は休眠するので、乾いたら水やりする程度の管理にします。 追肥 tanaban chuenchay/Shutterstock.com 【庭植え】 3月下旬〜6月、9〜10月に、堆肥などの有機質肥料と緩効性肥料を株の周囲にまき、土壌にすき込んでなじませます。 【鉢植え】 3月下旬〜10月の生育期間中は、月に1度を目安に緩効性化成肥料を施します。木の状態を見て、勢いがないようであれば、速効性の液体肥料を水やり代わりに与えて様子を見ましょう。 仕立て方と剪定 【庭植え】 ぶどうはつる性植物のため、庭植えの場合は棚仕立てにしましょう。長方形の棚の場合、1本の柱のそばに苗を植え付け、対角線上にある柱を目指して主枝を伸ばし、主枝から出る側枝をバランスよく棚に仕立てていきます。 一年生苗の場合は、植え付け直後に地際から約40cmの高さで切り取って摘心し、主枝を柱に誘引します。主枝が棚の天井部まで達したら棚上に主枝を出します。 1年目の冬の剪定(11〜2月)は、主枝の先端を切り取り、主枝から出た側枝はすべて付け根から切り取ります。 2年目の冬の剪定は、棚の下から発生する枝があれば、すべて付け根から切り取ります。主枝は先端を切り、主枝から出る側枝は付け根周辺にある2〜3芽を残して、その先は切り取りましょう。 3年目の春から側枝が旺盛に伸びてきたら、棚の頂部にバランスよく誘引します。6月頃に主枝、側枝ともに先端を切り取りましょう。側枝が込み合っている部分があれば、付け根から切り取って風通しをよくします。 3年目の冬は、各枝の付け根周辺にある2〜3芽を残し、その先は切り取ります。 4年目以降は、3年目の初夏と冬の剪定を繰り返します。古くなった枝があれば付け根から切り、新しく出た枝に更新するとよいでしょう。 【鉢植え】 一年生苗を植えた場合は、植え付け直後に約30cmの高さで切り取り、仮支柱を1本そばに立てて、縦方向に誘引します。 1年目の冬、主枝は10芽ほど残して先端は切り取り、側枝は2〜3芽残して切り取ります。 2年目の初夏、行灯型の支柱を鉢に設置し、リングに沿わせてつるを誘引します。 2年目の夏に、主枝から出た側枝4〜5本を垂直に伸ばし、1枝に1果実をつける樹形に仕立てます。 芽かき・ヒゲの切り取り Sergei Leto/Shutterstock.com 芽かきとは、不要な芽を摘み取ることで、4月下旬〜5月が適期です。1節に2芽以上ついている時は、1芽のみ残して、他は摘み取ります。また、主枝や側枝の節ごとにたくさんの芽が出ますが、そのうちの2〜3芽を残して、それ以外は新芽のうちに摘み取りましょう。すると伸長させたい枝に養分が行き渡り、生育が旺盛になります。 また、ぶどうは他者に絡む「ヒゲ」を伸ばしながら生育する、つる植物です。このヒゲは余分なエネルギーを消費する結果になるので、見つけたら早めに切り取り、つるは人の手で誘引していきます。 花房整形・摘房・摘粒 Alina Bitta/Shutterstock.com ぶどうは多数の花を咲かせて、やがて房ができます。房についた実を全て残すと、一つひとつの果実が肥大せずに、味も悪くなるため、「花房の整形」が必要です。この作業は、花がすべて落ちた後に行います。3本出ている枝のうち、両脇の2本(副穂)を付け根から切り取り、主穂の先端を1/3のところで切り取りましょう。 「摘房」は、房を間引く作業です。多くの房がついていると、それぞれの房が充実しないので、1枝に1房を目安に調整します。 「摘粒」は果実が膨らんできた頃、房についた果実を間引く作業です。果実の肥大に合わせて、込み合っている部分を切り取ります。特に大粒の品種で必要な作業となります。 袋かけ・収穫 Lucky Business/Shutterstock.com ぶどうは雨に当たると病気が発生しやすくなるので、果実が大きくなってきたら袋かけをしましょう。虫や鳥の食害からも守ってくれます。市販の袋かけ用に防水加工されたものを利用すると便利です。 収穫は、栽培品種の適期に応じて行います。ぶどうは房の上部から熟してくるので、下部のほうから1粒とって味見して収穫するとよいでしょう。 病害虫 galitsin/Shutterstock.com ぶどうに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病、さび病、べと病など。水はけのよい土壌に整え、風通しよく管理することを心がけましょう。雨よけや袋かけも効果的です。 害虫は、ブドウトラカミキリ、スリップス、コガネムシなどに注意。休眠期に適応する薬剤を散布して防除するとよいでしょう。 美味しいぶどうを自分で育ててみよう! Princess_Anmitsu/Shutterstock.com これまで、ぶどうの特性や種類、歴史、栄養価から始まり、実践編として庭での育て方について詳しく解説してきました。ぶどうの栽培方法について、具体的にイメージすることができたでしょうか? スーパーや青果店でおなじみのぶどうは、自宅でも栽培することができます。枝の誘引や剪定、摘果など、手をかけるポイントはいくつかありますが、その分、完熟果を収穫した時の喜びはひとしおです。ぜひ自宅でのぶどう栽培にチャレンジしてみてください。
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一年草

セージの仲間、サルビアで秋の庭を鮮やかに彩ろう。編集部オススメの5種類!
秋を彩るサルビア 冬へ向かって、次第に庭の彩りが寂しくなっていく頃に、貴重な花色を提供してくれるのがサルビアです。サルビアは中南米を中心に、世界に900種以上の種類があります。そのなかで、「短日性(たんじつせい)」と呼ばれる性質を持つものが、秋に開花する種類。短日性とは、一日の日の長さが一定時間より短くならないと花芽をつけない植物の性質のことで、アサガオやコスモス、キクなども同様の性質を持っています。サルビアは品種によってその性質が異なり、春から秋にかけて咲くものと、夏から秋にかけて咲くもの、また気温さえあれば一年を通してよく咲くものとがあります。秋の庭を彩ってくれる短日性のサルビアをご紹介します。 サルビア・エレガンス&サルビア・レウカンサ サルビア・エレガンス(赤花)/英名でパイナップルセージとも呼ばれています。鮮やかな赤い花と、パイナップルのような甘い香りのする葉が人気です。葉色が黄金色の‘ゴールデン・デリシャス’という品種もあります。短日性・草丈100~150cm サルビア・レウカンサ(紫花)/英名でメキシカンブッシュセージ、アメジストセージとも呼ばれています。紫色の花はビロードのような質感。短日性・草丈100~150cm サルビア・マデレンシス‘イエロー・マジェスティ’ 黄色の花は繊細な雰囲気。夕日に照らし出される群花は、輝くような美しさ。短日性・草丈100~150cm サルビア‘インディゴスパイヤーズ’ Ksu Shachmeister/Shutterstock.com 英名ラベンダーセージ。5〜11、12月頃まで繰り返し咲き続けます。途中、切り戻してもすぐ花芽が上がってくるので、切り戻して整えながら育てます。草丈100cm前後 サルビア・ミクロフィラ aniana/Shutterstock.com 英名チェリーセージ。5〜11、12月頃まで繰り返し咲き続けます。気温や日当たりの具合によってピンク色の濃淡が変化する様子も楽しめます。草丈100cm前後 ハーブのセージもサルビアの仲間 pippa west, Ievgeniia Maslovska/Shutterstock.com 料理や薬用に使われるセージもサルビアの仲間で、学名はサルビア・オフィキナリスといいます。ただしこちらの種類は春に開花し、秋には花は咲きません。葉はハーブティーや肉料理に使われます。セージは強い抗菌力、抗ウィルス作用を持っており、セージティーは、うがい液としても用いられます。強い作用があるため、妊娠中の人や持病のある人、子どもは飲用を避けましょう。
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イベント・ニュース

芦田愛菜さん「2027年国際園芸博覧会」公式アンバサダーに就任!
「2027年国際園芸博覧会 GREEN×EXPO2027」とは * アンバサダーに就任した芦田愛菜さんが、「今回開催される国際園芸博覧会は、どんな博覧会になるのか私もワクワクしています。アンバサダーとして皆さまと楽しみながら自然と共存して、そして、新しい可能性を創造していく素敵な未来を体験していけたらいいなと思っています」と話す2027年の万博とは、どんな国際イベントなのでしょうか。 記者会見会場で映し出されたブランドムービー「GREEN×EXPO2027 公式PR動画」より。 「2027年国際園芸博覧会」は、2025年に開催を予定している「大阪・関西万博」に続いて、国内では7回目の万博です。「園芸」という名がつくとおり、園芸文化や花と緑のあふれる暮らし、緑豊かな未来づくりなどをテーマにしており、日本では1990年「大阪花の万博」以来37年ぶりに開催されるAIPH(国際園芸家協会)承認最大規模(A1クラス)の国際園芸博覧会です。 「会場では、圧倒的な花と緑の魅力的な空間を作り、みなさんをお迎えする」と挨拶する2027年国際園芸博覧会協会 会長である日本経済団体連合会会長、十倉雅和さん。* 2027年の開催年は、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、SDGs達成年の3年前にあたることからも、植物の力を生かし、自然と人が調和した、持続可能な共生社会を追求します。 今年の過酷な夏を体験して、ますます重要視される地球環境の負荷を低減するため、植物の持つ多様性や可能性を探究し、新たな産業創出のために人間はいったい何ができるのかが重要なテーマの一つ。加えて日本の自然観や美意識を生かして地域・経済の創造や社会的な課題解決に貢献する国際的な博覧会として、「新しいグリーン万博」というスローガンが掲げられています。 「アンバサダーの芦田愛菜さんとともに、このGREEN×EXPO2027の理念を多くの人にお伝えし、幅広い世代に共感をしていただくことで横浜グリーン万博の開催に向けた気運を盛り上げていく」と挨拶する2027年国際園芸博覧会協会 副会長である横浜市長、山中竹春さん。* 会場は、神奈川県横浜市の郊外部(旭区・瀬谷区)に位置する旧瀬谷通信施設。2015年に米軍から返還された約242haの広大な土地で、そのうち約100haが博覧会区域となります。この地域は、これまで土地利用が制限されていたことから、農地や緩やかな起伏の草地が広がり、南北に流れる相沢川、和泉川の源流部、谷戸地形などの貴重な自然が残っています。 芦田愛菜さんが話す博覧会への期待 任命書を贈呈された芦田愛菜さんと、十倉会長。* 未来を生きる若者の代表として、幅広い世代から支持される俳優の芦田愛菜さんが、この度「2027年国際園芸博覧会」の公式アンバサダーに就任しました。 「花咲くカード」を贈呈するGREEN×EXPOラボ チェアパーソンである造園家、涌井史郎さんと芦田愛菜さん。* 実際の「花咲くカード」は名刺サイズ。* 公式アンバサダーの就任記念として制作された「花咲くカード」は、古紙100%を原料に、伝統和紙の手漉き技術でジャーマンカモミールの種を漉き込んで作られました。カードを一晩水につけてから土に埋めると5〜10日で発芽し、名刺は徐々に分解されて数カ月で土に還ります。 * 「花咲くカード」の贈呈時、涌井さんから芦田さんへ「地球の明日の未来の風景が幸せになるように、芦田さんに種を播いていただきたい」という願いが伝えられました。芦田さんは「この種がどれほど大切なものなのか、お聞きしましたし、私もこれでお花を育てて、アンバサダーとして地球のことや花や緑や自然のことについて、ますますもっと学んでいければと思います」とコメント。 * アンバサダーとしてチャレンジしてみたいことは、という問いには「世界中の食体験を楽しむことができる“Farm to Table STREET”では、世界を感じながら、海外旅行気分を味わいながら食べ歩きをしたり、“Village”では、いろいろな経験を通して新しい技術やライフスタイルを考えていったり、季節ごとに変わるガーデンでは素敵なお花がきっと見られると思うので、写真を撮ったりだとか、本当にやりたいことがたくさんありすぎて……ここでは言い切れないので徐々にお伝えしていければいいなと思っております」と答えました。 各エリアの出展イメージ。左上から時計回りに/ファームトゥテーブル/Village/パークパビリオン/テーマ館協賛 * アンバサダーを務める芦田さんは、メインテーマについて「国や業種、世代を超えた方々が一丸となって地球の未来のために植物や自然の力を最大限に考え、その魅力や技術、美を世界に発信していきます。この博覧会を通して、全ての生命は植物を中心につながっていること、そしてその植物の計り知れない能力と生命力を私たちが理解していくことが、メインテーマである『幸せを創る明日の風景』になるのだと私も感じています。 私も皆さんと一緒に楽しみながら学び、一人でも多くの人の心に希望ある未来が描けるよう、アンバサダーとしてGREEN EXPO の魅力を発信していきたいと思っています」と意気込みを語りました。
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果樹

柿を家庭で栽培したい! 甘くておいしい柿を育てるコツ
柿を栽培する魅力 古くから親しまれてきた柿は、日本の気候によく合うため、放任してもたわわに果実を実らせてくれます。果樹の中で最も手のかからないのが柿だと言ってもいいでしょう。秋に収穫の喜びをもたらしてくれる柿を、ぜひ植樹してはいかがでしょうか。ここでは、柿の基本情報やライフサイクル、種類などについてご紹介します。 柿の基本情報 nnattalli/Shutterstock.com 柿はカキノキ科カキノキ属の落葉高木で、原産地は東アジアの温帯から東南アジアの熱帯。中国では紀元前から栽培・利用されており、日本には中国から伝わったといわれています。その歴史は古く、10世紀初めの文献に記述が見られます。日本の気候によく合ったため各地に広がっていったようで、1912(明治45)年の調査によれば、甘柿、渋柿を合わせて、日本では約1,000種類あることが判明しました。 柿は寒さ・暑さに強いほうですが、甘柿は暖かい気候を好み、渋柿は寒さに強い傾向にあります。関東以南は甘柿、関東以北は渋柿を選択するとよいでしょう。 柿の自然樹高は2〜5mで、放任すると大きく成長します。「そんなに大きくなるなら持て余してしまいそう」と心配になるかもしれませんが、毎年の剪定によって樹高を抑え、樹形をコントロールすることができます。庭木として育てるなら、高さ2.5m、株張り2.5mを目安に、それだけのスペースを確保できる場所に植え付けるとよいでしょう。 柿のライフサイクル Khun Ta/Shutterstock.com 庭木として根付いた柿の一年のライフサイクルは、以下の通りです。 3月中旬頃から新芽を展開して成育期に入り、5月中旬〜6月中旬に開花。6月下旬から果実の肥大が始まります。9月下旬〜12月が収穫期間で、11月下旬にはすべての葉を落とし、休眠に入ります。越年してまた3月中旬から新芽を出す……という繰り返しです。 甘柿と渋柿 Eramiya/Shutterstock.com 柿には、そのまま食べておいしい甘柿と、加工しなければ渋くて食べられない渋柿があるのはご存じでしょう。その甘柿と渋柿は、さらに完全甘柿、不完全甘柿、完全渋柿、不完全渋柿の4種類に分類されます。 完全甘柿は、種子の有無にかかわらず、常に甘柿になる品種で、温暖な地域での栽培に向いています。不完全甘柿は、種子が多く入ると甘柿になる品種で、授粉樹が必要です。完全渋柿は、種子の有無にかかわらず常に渋柿になる品種で、寒い地域から温暖な地域まで、幅広く栽培することができます。不完全渋柿は、種子が多く入って渋みが残り、やや不安定な品種です。 これらのうち、不完全甘柿は授粉しないと甘柿になりません。そのため、花粉を多く持つ品種を授粉樹として植える必要があります。植えようとしている品種には、授粉樹が必要かどうか、あらかじめチェックしておくことが大切です。 柿の品種 anmbph/Shutterstock.com 日本はフルーツ天国で、甘くてジューシーな品質のよい果実を目指し、日進月歩で品種改良が進んでいます。柿もまたしかりで、美味しい品種が毎年のように生まれています。ここでは甘柿、渋柿の人気の品種をご紹介しましょう。 左が、大玉の‘太秋(たいしゅう)’。右は日本でも収穫量が多い‘富有(ふゆう)’。 【甘柿】 果実の重みが約380gになる大玉の‘太秋(たいしゅう)’は、シャキッとした歯ごたえが魅力。‘富有(ふゆう)’は、栽培適地が広く甘柿の代表的な品種で、たくさん実がつきます。‘富有’から派生した、実が1.5倍の大きさになる‘大玉富有’、ジューシーで甘い‘すなみ’、果肉が緻密な‘宗田早生(そうだわせ)’、果汁が多い‘花御所(はなごしょ)’などもあります。 【渋柿】 大玉で揃いがよく、緻密な果肉の‘幸陽(こうよう)’は、まろやかな風味。早くから実がつき、面長な顔つきの‘大西条(おおさいじょう)’は、脱渋が簡単です。耐病性が高く実つきがよい‘愛宕(あたご)’は渋柿の最高品種の一つといわれています。干し柿を作りたいなら、専用品種もありますよ! 果重が約100gと小ぶりで豊作になる‘市田柿’、タネをほとんど含まず、晩生で暖地でも干し柿にしてカビがつきにくい ‘夢西条’がおすすめです。 柿は栄養がいっぱい! karins/Shutterstock.com 柿は栄養価が高く、ペクチン、βカロテン、リコピン、ビタミンC、タンニン、食物繊維などを多く含みます。特にビタミンCは1個で1日のビタミンC摂取量をまかなえるほど豊富に含みます。また、ビタミンCとタンニンは血液中のアルコール分を排出する働きがあり、柿に含まれる酵素はアルコールの分解を促進して血中アルコール濃度の上昇を防ぎます。昔から「柿は二日酔いによい」といわれますが、理にかなっているのです。 また、柿の糖質は14〜18%でとても甘いのですが、意外にもカロリーは100g当たり60キロカロリーで、低いほうといえます。ダイエット中のデザートに、いかがでしょうか。 柿の育て方 ここまで、柿の基本情報やライフサイクル、種類などについて、詳しくご紹介してきました。では、ここからは実践編として、柿の育て方について解説。適した環境から土づくり、植え付け方、水やりや追肥などの日頃の管理、摘蕾や摘果など果実を充実させるための管理、剪定、注意したい病害虫など、一年を通してのメンテナンスについて、深く掘り下げていきます。 適した栽培環境 funnyangel/Shutterstock.com 日当たり、風通しのよい場所を好みます。有機質に富んだ、適度に水はけ・水もちのよい土壌づくりをすることが大切。寒さ、暑さに強く、育てやすい果樹です。 土づくり funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 まず、一年を通して日当たり、風通しのよい場所を選びましょう。植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 植え付け wavebreakmedia/Shutterstock.com 柿(苗木)の植え付け適期は12〜3月頃です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下までを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 水やり Zoom Team/Shutterstock.com 【地植え】 地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 成長期は、日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。新梢や葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は落葉するので、水やりは控えめにしますが、まったく水を与えずに土をカラカラに乾燥させたままにすると、枯れてしまうのでご注意を。 追肥 Singkham/Shutterstock.com 2月、6〜7月、10月が追肥の適期です。 【地植え】 2月と10月は有機質肥料または緩効性化成肥料を木の周囲にまき、土によくなじませましょう。6〜7月の追肥は、実肥としてカリ分を多く配合した肥料を施すと、実が甘くなります。 【鉢植え】 2月と10月は緩効性化成肥料をまき、土になじませましょう。6〜7月の追肥は、実肥としてカリ分を多く配合した肥料を施すと、実が甘くなります。生育期に、木に勢いがなく成長が止まっているようなら、速効性のある液体肥料を水やり代わりに与えるとよいでしょう。 病害虫 Happy_Nati/Shutterstock.com 病気は、成育期に葉に円形の病斑が出る炭疽病、葉に白く粉を吹いたような症状が現れるうどんこ病、葉や果樹に黒い斑点が見られる黒星病、淡い褐色の病斑ができ、やがて全体が灰色のかびに覆われていく灰色かび病などが発生することがあります。 害虫は、カメムシ、カイガラムシ、ハマキムシ、アザミウマ、ヘタムシなどが発生することがあります。 休眠期に、マシン油乳剤、石灰硫黄合剤を散布しておくと、病害虫の防除に効果があります。 摘蕾・摘果 Studio 888/Shutterstock.com 柿は、前年に伸びた枝の先端のほうに、数個の花芽がつきます。この花芽から伸びた枝に花が咲き、実がつきます。柿の花は5月中旬〜下旬頃に咲くので、栄養負担を軽くするために、つぼみがたくさんついていたら、少し減らしておきましょう。 また、6月下旬〜7月は摘果のタイミング。摘果とは、木への負担を軽減し、一つひとつの果実を充実させるために、果実を間引く作業です。果実が大きくなる品種は葉の数25枚に1つの果実を、果実が小さめの品種は葉の数10〜15枚に1つの果実を残すようにし間引いていきます。 収穫 SURAKIT SAWANGCHIT/Shutterstock.com 収穫の適期は9月下旬〜11月です。柿には早生、中生、晩生などの種類があり、品種によってそれぞれ適した時期が異なります。購入した際のタグに表記されている、収穫期の目安(成熟した果皮の色・果実の重みなど)をチェックしておきましょう。 果実の皮全体がムラなく均一に色づいたら、ヘタの上部の枝をハサミで切り取って収穫します。 剪定 mihalec/Shutterstock.com 剪定の適期は休眠期の1〜2月と、徒長枝が多くなり、葉が繁茂する7〜8月です。 勢いよく長く伸びている徒長枝は、付け根から切り取ります。内側に伸びている枝や、絡んでいる枝など、込み合っている部分があれば、間引いて風通しをよくします。また、弱々しい枝や古い枝も切り取り、1カ所から放射状に伸びている状態の車枝は、1本のみ残して他は切り取りましょう。 植え替え Nataly Studio/Shutterstock.com 【地植え】 しっかり根付いて順調に生育していれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢植えで楽しんでいる場合は、放置していると根詰まりしてくるので、2〜3年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの適期は12〜2月頃です。 植え替えの前に、水やりを控えて鉢内の土を乾燥させておきましょう。鉢から株を取り出し、根鉢を少しずつ崩していきます。不要な根を切り取り、根鉢を軽くほぐしましょう。これ以上大きくしたくない場合は同じ鉢に、もう少し大きくしたい場合は二回りくらい大きな鉢に植え替えます。手順は「植え付け」の項目を参考にしてください。 渋柿の加工方法 mssy/Shutterstock.com 渋柿の脱渋には、お湯やアルコール、炭酸ガスなどを使う方法がありますが、中でもアルコールを使うのが簡単でおすすめです。渋柿を収穫したら、霧吹きスプレーに入れた焼酎(35度くらい)をヘタに吹きかけます。密閉用保存袋に入れて閉じ、暖かい場所に5〜10日ほど置いておきましょう。すると、すっかり渋が抜けます。渋抜きした柿は、甘柿とはまた違った食感や味わいを楽しめるので、ぜひチャレンジしてみてください。 また、干し柿に加工すると、長い期間保存することができます。干し柿を目的にするなら、吊しやすいように枝を残して収穫するとよいでしょう。熟した果実の皮をむき、ひもを付けて露や霜が当たらない軒先など風通しのよい場所に吊します。7〜10日ほど乾燥させ、果実を揉んでみて好みの硬さに仕上がったら、室内に入れて保存しましょう。 柿を育てて秋の味覚を楽しもう Dawid Rojek/Shutterstock.com ここまで、柿の基本情報やライフサイクル、種類、育て方について幅広く解説してきました。日本の気候によく馴染み、育てやすくたくさんの収穫を得られることが分かっていただけたのではないでしょうか。秋の味覚の代表でもある柿を、ぜひ庭木として取り入れてください!
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玉ねぎ栽培について徹底解説! これを読めばあなたも玉ねぎマスター
玉ねぎの基本情報 Gayvoronskaya_Yana/Shutterstock.com 玉ねぎはヒガンバナ科ネギ属に分類されています。単子葉植物のネギの仲間で、保存性が高いために重宝する野菜です。原産地は中央アジア、近東。生育適温は15〜20℃で、寒さに強い一方で暑さには弱く、高温になると休眠します。今でも原産地周辺では野生種に近い玉ねぎが栽培されているようです。 栽培が始まったのは、非常に古い時代で、紀元前にエジプトや地中海沿岸で栽培されていたことが分かっています。16世紀までにはヨーロッパ全域に広がり、やがてアメリカに伝わると品種改良が進み、多くの品種が生まれました。日本へ伝わったのは江戸時代。南蛮船で長崎にもたらされましたが、日本人の口には合わなかったのか、一般に広まることはありませんでした。 明治になってアメリカの品種が伝わると、洋食化の影響もあってか需要が伸びていったようです。現在では、常備野菜に欠かせない存在として広く普及しています。 ところで、玉ねぎは地中で太った球を掘り上げて収穫することから、根菜類だと思っている方も多いのではないでしょうか。じつは、玉ねぎはホウレンソウやコマツナなどと同じ葉菜類に分類されています。食べる球の部分は、根ではなく「葉鞘」と呼ばれる葉の部分なんです! 葉鞘は葉が輪状に重なっており、成長するとともに葉の数が増え、葉の厚みも増して丸く結球します。球を横にカットすると中身が輪状に分かれますが、それぞれが葉なのです。 玉ねぎは、西洋ではハーブとしても使われ、臭み消し、殺菌、食欲増進などの効果があります。疲労回復効果が高く、強壮効果もあるので、古代から食されてきました。玉ねぎの辛味成分は硫化アリルという化合物です。玉ねぎを切った時に涙が出るほどの刺激が発生するのは、硫化アリルが空気中に含まれる酸素に反応し、揮発性の催涙物質に変化するため。この硫化アリルには、血液の凝固を防いでサラサラにする効果があるとされています。 玉ねぎの栽培時期 Tatiana_Pink/Shutterstock.com 玉ねぎは、ほかの野菜に比べて栽培期間が長いのが特徴です。9月にタネを播いて育苗し、11月〜12月上旬に苗を定植。冬を越して翌年の5月中旬〜6月に収穫します。育苗期間が2カ月と長いので、手間と時間を考えれば、一般家庭の菜園で育てる分には、苗を購入して晩秋からスタートするのがよいでしょう。それでも収穫までには半年かかるので、コマツナのように種まきから収穫まで1カ月程度で済むものに比べれば、長く菜園を占拠する野菜といえます。栽培期間が長いことを念頭に、邪魔にならない場所を選ぶなど、植え場所をあらかじめ検討しておきましょう。 玉ねぎの種類 New Africa/Shutterstock.com 玉ねぎの品種は、甘味種と辛味種の系統に大別されます。地中海沿岸の南ヨーロッパでは生食用の甘味種や白玉ねぎが、東ヨーロッパでは辛味種が発達してきました。日本では、甘味種は赤玉ねぎのみで、ほかはすべて辛味種が流通しています。 玉ねぎの品種は、栽培期間が短いものから順に、極早生、早生、中生、中晩生、晩生に分類されています。極早生や早生は春から収穫できる品種群で、生食もでき、やわらかくて甘いのが特徴。栽培期間がやや短めなので、ビギナーにおすすめです。 ただし、長い期間の保存には向いていません。長く貯蔵したい場合は、中晩生や晩生を選ぶとよいでしょう。また、玉ねぎの形には扁平形、扁円形、球形、長球形、長楕円形があります。早生種ほど扁平で、晩生ほど球形から縦長になる傾向にあるようです。現在は、色や形、辛味の強弱などさまざまな品種が出回っています。 なお、玉ねぎの「セット栽培」と呼ばれる栽培方法も広まっています。これは、玉ねぎの苗を定植するのではなく、子球を秋に買い求めて球根を栽培する方法です。プランターなどでも手軽に栽培することができます。 玉ねぎの栽培方法 では、実際に玉ねぎの栽培方法をご紹介しましょう。ここでは、準備するものや土づくり、植え付けから収穫まで、手順を追って、詳しく解説。玉ねぎを育てる際に起こりやすいトラブルや、発生しやすい病害虫についても取り上げます。 栽培環境 Dobrin_Dobrev/Shutterstock.com 玉ねぎは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。酸性土壌に弱い性質で、適した土壌酸度はpH6.0〜7.0です。酸性に傾いた土壌では、土づくりの際に苦土石灰を散布して土壌改良するとよいでしょう。連作すると病気が発生しやすくなるので、前作にヒガンバナ科の植物を栽培していない場所を選ぶことも大切です。また、冬を乗り切って翌年に収穫するので、耐寒性を増すために、通常の化成肥料に加えて熔性リン肥などのリン酸肥料を併用するのがポイントです。 玉ねぎ栽培の用土 【種まき・育苗】 Piotr Debowski/Shutterstock.com 玉ねぎは保存がきくので、たくさん収穫したい場合は、種まきからスタートするとよいでしょう。ただし、育苗には2カ月ほどかかります。ビギナーなら、苗の購入からスタートするのが手軽でおすすめなので、この項目は飛ばして先に進んでください。 種まきの適期は、9月です。種子を播く2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥2kg、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを均一にまき、よく耕しましょう。種まきの際に、幅約50cm、高さ5〜10cmの畝をつくり、苗床にします。条間を約10cm取り、支柱などで深さ1cmほどの播き溝をつけて、約2cmの間隔で種子を播きましょう。播き溝の両側から土を寄せて土をかぶせ、最後に軽く手で押さえます。発芽率を高め、乾燥を防ぐ目的で不織布を苗床にべたがけし、周囲に土を盛って固定。最後にはす口をつけたジョウロで水を与えておきます。茎の直径が7〜8mmの太さになるまで育苗しましょう。 【地植えの苗の植え付け】 Elenfantasia/Shutterstock.com 苗の植え付けの適期は、11月〜12月上旬です。植え付けの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥2kg、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、熔性リン肥約50gを全体にまき、よく耕します。 植え付けの際、幅約60cm、高さ5〜10cmの畝をつくります。地温を確保して乾燥を防ぐためにポリフィルムマルチを張るのがおすすめ。株間15cm、条間15cmの間隔でマルチに穴をあけ(穴あきマルチを使ってもOK)、苗を植え付けます。苗は茎の直径が7〜8mmくらいの太さがよく、根元の白い部分が約2cm見えるくらいの深さで植え付けましょう。最後にたっぷり水を与えます。植え付け直後は茎が倒れていても、根付くと立ち上がってきますよ! 【プランターへの苗の植え付け】 rodimov/Shutterstock.com プランター栽培では、オニオンセット(子球)の栽培が手軽です。植え付け適期は、年内採り(年内に収穫)が8月中旬〜9月中旬、翌春採り(翌春に収穫)が10月上旬〜10月下旬。用土は、葉菜類用にブレンドされた市販の培養土を使うとよいでしょう。大型のプランターを用意し、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に培養土を入れます。元肥として用土10ℓ当たり化成肥料(N-P-K=8-8-8)を20gほど混ぜ込んでおきましょう。水やりの際に水があふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきます。株間を約10cm取り、オニオンセットを植え付けましょう。先端が少しだけ見える程度の浅植えにします。最後にジョウロにはす口を付けて、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと水やりしましょう。 玉ねぎ栽培の水やり Budimir Jevtic/Shutterstock.com 【地植え】 地植えの場合は、下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。雨がなく乾燥が続いて、株が水を欲しがっているようなら水を与えて補います。 【プランター】 表土の状態を観察し、乾いていたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。 玉ねぎ栽培の追肥 Vaakim/Shutterstock.com 【地植え】 2月上旬頃と3月中旬頃の2回が追肥の適期です。苗の周囲に化成肥料を1つまみずつ施し、土になじませて土寄せします。 【プランター】 オニオンセット(子球)の栽培では、年内採りは植え付けから1カ月後、翌春採りは植え付けから約2カ月半後が追肥の適期です。プランターで列植した中央に化成肥料を約10gほど均一にばらまき、土になじませましょう。最後に苗へ土寄せをしておきます。 玉ねぎの収穫 rootstock/Shutterstock.com 【地植え】 葉の7〜8割が倒伏したら、収穫のタイミングです。早生品種で5月中旬頃、中生〜晩生品種で6月上旬頃が目安。地際の葉を持ち、引き抜いて収穫します。抜き取った後にそのまま畑に並べてしばらく乾燥させるので、晴天が続く日を選んで作業しましょう。湿気に弱いので、濡らさないように注意します。収穫後の畑は、ポリフィルムマルチを撤去し、枯れ葉や根を処分して整地しておきます。 【プランター】 茎葉が倒れてきて、大きな玉ねぎが地表に顔を出したら、収穫のタイミングです。年内採りは11月中旬〜12月、翌春採りは3月中旬〜4月が目安。翌春採りではトウ立ちしやすいので、採り遅れに注意を。ネギボウズが立ったらトウ立ちしてしまった証で、玉ねぎの中央に硬い芯ができ、食感が悪くなります。 玉ねぎの貯蔵方法 Niva's/Shutterstock.com 乾燥させて葉がしんなりとしたら、4〜5個ずつ束ねて紐で縛り、風通しがよく、雨や直射日光が直接当たらない軒下などに吊るして保存します。多湿な環境では腐りやすいので、乾いた場所であることが条件です。こうしておくと、早生品種は夏まで、中生〜晩生品種は冬まで、長い期間にわたって貯蔵できます。すぐに使う分に関しては、葉と根を切り、冷暗所で保存しましょう。 玉ねぎのトラブル・生育不良 chkounda fahd/Shutterstock.com 玉ねぎの栽培において、最大のポイントは、植え付けに適した時期の苗を植えることです。前述の通り、苗の茎の直径が7〜8mmのサイズが適した苗です。これよりも小さい苗を植えると、冬の寒さで枯れてしまうことがあり、冬を越したとしても葉数が少なく小さな球しか採れません。また逆に、適したサイズよりも大きい苗を植えると、無事に冬を越して葉数も多くなりますが、トウ立ちしやすくなります。ある程度の大きさに育ってから寒さにあうと、冬の間に花芽ができてネギ坊主がたくさんできてしまうのです。こうなると玉ねぎの中に芯ができて食味が悪くなり、小さく分球してしまうこともあります。苗は小さすぎても、大きすぎてもだめで、玉ねぎの栽培では植え付け適期を逃さないことが大切です。 また、収穫してみたら腐っていた、というトラブルも。「地中に長くあるほど球が充実するのでは」と思いがちですが、葉が黄色くなるまで畑において収穫が遅れると、球に病原菌が侵入して腐ってしまいます。これは収穫適期のタイミングを逃したことが原因。茎葉が7〜8割倒れてきたら、抜き取って収穫します。 玉ねぎ栽培で発生しやすい病害虫 Tomasz Klejdysz/Shutterstock.com 植え付け後は、徐々に気温が下がって低温期に入るので、病害虫の心配はほとんどありません。しかし、33頃から温度が上昇するとともに、病害虫が発生しやすくなります。害虫では、ネギアザミウマ(スリップス)やネギアブラムシに注意。雑草から繁殖することが多いので、株周りに雑草があれば必ず抜いておきましょう。シルバーマルチで対策するのも一案です。病気はベト病が発生しやすく、発症すると葉色が淡い黄緑色に変色し、葉が倒れてきます。多湿な環境で発生しやすいので、水はけのよい土壌づくりをすることが大切。発症株を見つけたら、周囲に蔓延しないように、ただちに抜き取って処分します。 玉ねぎは長期的に栽培していく植物 alicja neumiler/Shutterstock.com ここまで、玉ねぎの特性から栽培の歴史、種類、ライフサイクル、育て方まで、幅広く解説してきました。「玉ねぎって、どんな風に育てるの?」というモヤッとした疑問があった方には、一気に解決できたのではないでしょうか。玉ねぎは、メンテナンスの手間がかからないため、家庭菜園のビギナーにとっても失敗が少ない、おすすめの野菜といえます。ただし一つの特性として、他の野菜に比べて栽培期間が長く、収穫まで場所を占領されるということを知っておきましょう。それを踏まえて邪魔にならない場所に植え、ゆっくりと太っていく成長の様子を見守りたいものです。



















