スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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育て方

秋〜冬は鉢植えの植え替えシーズン。鉢植えでよくあるトラブルを未然に防ぐ方法
夏に急に葉がしおれた樹木を掘り上げてみると…… 写真は、前年までたくさんの実りがあったイチジクの木の根っこです。夏頃、水が足りないわけでもないのに、急に葉が落ち、木が枯れたため掘り上げてみました。すると、細かい根がびっしりついていたはずなのに、すっかり坊主になっていました。これは、一体どうしたのでしょう? 犯人はカブトムシの幼虫? ここでガーデニングの初心者さんによくあるエピソードを一つ。冬に植え替えをしていたら小さな幼虫に遭遇し、「あら、こんな都会にもカブトムシの幼虫がいるのね」などと勘違いをして、土中に幼虫を優しく戻したというのです。その後、おそらくその鉢に植わっていた植物は夏を越すことができなかったことでしょう。そう、イチジクの根を食い荒らした犯人は、カブトムシの幼虫ではなく、コガネムシの幼虫だったのです。 カブトムシの幼虫の頭はこげ茶色で、コガネムシの幼虫は写真のように頭は黄土色をしています。鉢植えの中で見つけた幼虫は、ほとんどの場合コガネムシの幼虫です。覚えておきましょう。 コガネムシの産卵は5月と9月 コガネムシの成虫がガーデンやベランダにやってきて、表土に産卵し、その後土中で幼虫が育ち始めます。産卵を防ぐために表土に網を張る防除法や、産卵時期に殺虫剤を使うのも方法ですが、秋冬の植え替えも駆除の手段の一つです。 鉢植えの用土をリフレッシュする植え替え 秋冬の植え替えは、コガネムシの幼虫を駆除するために行うというよりも、硬く古くなった用土を入れ替えるために行います。鉢植えの植物は1〜2年も経てば根が成長していますし、表土に雑草も生えている場合もあります。一度掘り起こして鉢の中の環境をリフレッシュさせることで、翌年の成長がスムーズになります。もし、コガネムシの幼虫が土中にいる状態で年を越してしまうと、夏頃には植物が枯れてしまいます。秋冬の植え替えは一石二鳥の作業なんですよ。 鉢植えの植え替えをしている時、必ずしもコガネムシの幼虫が出てくるわけではないので、あまり気にしすぎずに作業しましょう。虫が苦手という人には、鉢植えに使っていた古い土は一旦黒いビニール袋に入れて密封し、太陽が当たる場所でしばらく放置しておきましょう。こうしてから後日再生するのも一つの方法です。場所がなくてすぐに土を再生させたい方は、掘り出した土をふるいにかけながら、枯葉や古い根、幼虫を除くとよいでしょう。
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一年草

【秋の花】ノゲイトウはおしゃれな庭のアクセントにぴったり! 育て方や特徴を解説
ノゲイトウの基本情報 Galeh Nur Wihantara/Shutterstock.com 植物名:ノゲイトウ学名:Celosia argentea英名:Staghorn Fern和名:ノゲイトウ(野鶏頭)その他の名前:セロシア科名:ヒユ科属名:ケイトウ属(セロシア属)原産地:アジア、アフリカ、アメリカの熱帯〜亜熱帯地域分類:一年草 ノゲイトウは、ヒユ科ケイトウ属(セロシア属)の一年草です。原産地はアジア、アフリカ、アメリカの熱帯〜亜熱帯地域で、暑さに強く、寒さに弱い性質です。草丈は15〜150cmと大きな幅がありますが、これは矮性種から高性種まで品種が豊富なため。品種によっては支柱が必要となるものや、地植えにするならある程度スペースを必要とするものなどがあるので、苗を購入する際には、サイズ感などをラベルでチェックしておくことをおすすめします。 ノゲイトウは春夏まきで、5月頃に種子を播き、苗が順調に生育すると、7〜11月に開花します。開花後は冬の寒さに耐えられずに枯死してしまうので、ライフサイクルは半年ほど。宿根草のように越年して春に再び芽を出すことはないので、株が衰えたら抜き取って整地します。 ノゲイトウの花の特徴 園芸分類:草花開花時期:7〜11月草丈:15〜150cm耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:ピンク、紫など ノゲイトウの開花期は7〜11月で、花色はピンク、紫など。咲き進むと下部からやや色褪せてきます。花径は5〜12cmで、円錐形のフォルムが特徴です。分枝しやすい性質で、花数が多く次々と開花します。花に含まれる水分が少なく、風通しのよい場所に逆さに吊しておくと、簡単にドライフラワーになります。 ノゲイトウの花言葉や名前の由来・歴史 Daolauong Kamkhom/Shutterstock.com ノゲイトウの学名、Celosia(セロシア)は、ギリシャ語の「燃やした」という意味をもつ「Keleos」が由来となっています。花の見た目が炎に似ていることにちなんでいるようです。日本には8世紀頃に中国や朝鮮半島を経て伝わったとされています。 花言葉は「おしゃれ」「風変わり」「おもむくままに」など。 ノゲイトウの系統や似た仲間 Oyeah 1301/Shutterstock.com 「ケイトウ」と名のつく植物は、比較的多く見つかります。ここでは、同系統や似た仲間についてガイドしていきます。 ケイトウ。Ben Phillips/Shutterstock.com ノゲイトウ。Indra Adi Gunawan/Shutterstock.com ノゲイトウ・セロシア・ケイトウの関係 ノゲイトウとケイトウは、同じヒユ科セロシア属です。セロシア属には約60種類があり、ノゲイトウとケイトウは同じ属の仲間同士なのですが、ノゲイトウはセロシアの名前で流通していることが多くなっています。また、ケイトウは和名で、フサゲイトウ、トサカゲイトウ、クルメケイトウ、ヤリゲイトウ、そしてノゲイトウも含めて5つに分類されています。さらには種苗会社などによって品種改良されたノゲイトウ、ヤリゲイトウ、トサカゲイトウの園芸品種をセロシアと呼ぶこともあり、かなりややこしくなっています。そのため、出自を確認したい場合は、学名に注目するのがよさそうです。 ハゲイトウ。Zulashai/Shutterstock.com ヒモゲイトウ。Svetliy/Shutterstock.com ハゲイトウ・ヒモゲイトウは別種 「ケイトウ」の名がつく、ハゲイトウやヒモゲイトウは、じつはノゲイトウやケイトウとは別種です。ノゲイトウはヒユ科セロシア属ですが、ハゲイトウとヒモゲイトウはヒユ科ヒユ属(アマランサス属)。ハゲイトウは葉色を、ヒモゲイトウはひも状に伸びる穂状の花を楽しみます。 ノゲイトウの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜11月肥料:5〜9月植え付け:6月下旬〜7月中旬種まき:5月頃 ノゲイトウの栽培環境 liu yu shan/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 ノゲイトウは基本的には日当たり・風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意。基本的にノゲイトウは暑さに強く、日本の気候に馴染んで放任してもよく育ちます。土壌は水はけと水もちのよい、ふかふかとした状態を好みます。 耐寒性・耐暑性 暑さに強く、寒さに弱い性質です。開花後は冬の寒さに耐えられずに枯死してしまう一年草で、ライフサイクルは半年ほど。宿根草のように越年して春に再び芽を出すことはないので、株が衰えたら抜き取って整地します。 ノゲイトウの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材、緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根の生育がよくなります。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に水やりをすると、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 【地植え】 根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、常にじめじめと湿った状態にしておくと、根腐れを起こしてしまうので禁物です。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 5〜9月に、株の状態を見て緩効性肥料を与えましょう。 注意する病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 ノゲイトウの栽培で発症しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気で、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 【害虫】 ノゲイトウの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 ノゲイトウの詳しい育て方 苗の選び方 花苗店でノゲイトウの苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。 植え付け laenon/Shutterstock.com 苗の植え付け適期は、6月下旬〜7月中旬です。ただし、開花株などそれ以外の時期に苗を入手した場合は、早めに植えたい場所に植え付けます。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に苗よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。苗をポットから出したら、根鉢をくずさずに植え付けるのがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、草丈に応じて15〜30cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え】 5〜6号鉢に1株を目安に植え付けます。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めてから植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 日常のお手入れ摘心・花がら摘み・支柱 Aleksei Golovanov/Shutterstock.com 【摘心】 自然に分枝してこんもりとした株姿になりますが、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」をしておくと、より分枝して茂り、株張りがよくなります。 【花がら摘み】 次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【支柱の設置】 草丈が高くなる高性種を栽培する場合は、早めに支柱を設置して麻ひもまたは園芸用のビニールタイで誘引しておくと、強風による倒伏を防ぐことができます。 増やし方 種まき Taras Garkusha/Shutterstock.com ノゲイトウは種まきで増やすことができます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くて多数の苗を植えたい場合は、コストカットにもなります。 発芽適温は25℃前後で、種まきの適期は5月頃です。種まきから栽培する場合、花壇などに直まきすると、幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすいので、種まき用のトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種子を播き、適した場所で管理すると、より確実です。ただし、ノゲイトウは「直根性」で、ゴボウのように太く長く伸びる根を持っています。この根を傷めると後の生育が悪くなるので、移植する際は根鉢をくずさないよう、丁寧に扱ってください。 種まき用のトレイに種子を播く場合は、微細な種子なので覆土はごく薄くしてください。種子が流れ出さないように、水やりは水を浅く張った容器にトレイを入れ、底から給水します。発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。1週間ほど経つと発芽し、双葉が揃います。 発芽したら日の当たる場所で管理し、込み合っている部分があれば適宜間引きましょう。もったいないからといって密のままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。 本葉が2〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用の培養土を入れて、根を傷つけないように苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育苗します。多湿になると根の張りが悪くなり、ヒョロヒョロと頼りなく伸びる徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。ポットに根が少し回るくらいまでを目安に育苗し、幼苗のうちに植えたい場所に定植します。 ノゲイトウの楽しみ方 anny ta/Shutterstock.com 庭を豊かに彩るノゲイトウは、切り花やドライフラワーにも利用できます。ぜひインテリアに飾って楽しんではいかがでしょうか。 ドライフラワー ノゲイトウは、花に水分をあまり含まないので、簡単にドライフラワーにできます。雨が降らずに数日乾燥が続いた朝に、好みの長さで切り取ります。下葉を取ってひもで束ね、風通しのよい日陰に逆さに吊しておくと、2〜4週間でドライになります。 切り花 切り花にして楽しむ場合は、朝か夕方の涼しい時間にハサミで切り取りましょう。その際は、花がしっかり開いて、茎がある程度硬くなっているものを選びます。葉は傷みやすいので、下葉をできるだけ切り取っておいてください。茎の切り口を水の中で斜めに切り取って十分に水揚げし、花瓶などに飾ります。 ノゲイトウの可憐な花姿でお庭を明るくしよう SSG PHOTO/Shutterstock.com 花つきがよく、次々と咲いて庭を彩るノゲイトウは、ガーデニングで重宝するのはもちろん、切り花やドライフラワーとしても楽しめます。夏の暑さに負けず、手をかけずともすくすくと育つので、ビギナーにもおすすめです。ぜひノゲイトウを庭に植栽して、秋まで愛らしい花姿を楽しんでください。
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宿根草・多年草

球根の取り扱いのポイントは? フリチラリアの特徴や種類・育て方をご紹介
フリチラリアとはどんな花? チューリップやヒヤシンスなど、人気の球根植物に比べると、フリチラリアはややマイナーな存在かもしれませんね。名前を聞いても、どんな花姿をしているか、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。ここでは、そんなフリチラリアの特徴について、詳しく解説していきます。 フリチラリアの見た目 Maleo/Shutterstock.com フリチラリアは、北半球の温帯に100種類ほどが確認されており、その花姿は多様です。日本では黒い花を咲かせるクロユリ、ごく淡いグリーンの花色の内側に網目模様が入るバイモなどが古くから自生し、茶花として利用されてきた馴染みのある植物です。 数ある種類のうち、ガーデニングで代表的な存在となっているのが、フリチラリア・インペリアリスです。逆に「フリチラリアって100種類もあるの!?」と驚く方もいるかもしれません。全てに言及すると紙幅が足りないので、ここでは最もポピュラーなインペリアリスの見た目についてご紹介しましょう。 インペリアリスは、4月中旬〜5月中旬に開花します。花色は、目を引く鮮やかな黄色かオレンジ。太い花茎を長く立ち上げた頂部に5輪ほどのベル形の花がうつむいて咲きます。これらの花の上にも葉がつき、まるでパイナップルのようなユニークな姿をしています。草丈は60〜100cmくらいになり、ビビッドカラーの愛らしい花姿は大変目を引くので、春のガーデンに個性を演出したい時におすすめです。 フリチラリアの特徴 Pawel Graczyk/Shutterstock.com フリチラリアは、ユリ科バイモ属の球根植物で、前述の通り北半球の温帯地域に100種類ほどが分布しています。 ここでも紙幅を考慮して、ガーデニングで最も親しまれているインペリアリスに絞ってご紹介しましょう。インペリアリスの原産地はトルコ、イランなどの中近東で、耐寒性には強いものの、暑さに弱い性質があります。特に高温多湿が大の苦手です。ライフサイクルとしては、10〜11月頃に球根を植えて、寒さにあわせて越年させます。3月下旬頃から生育が著しくなり、4月中旬〜5月中旬に開花。開花後も茎葉を茂らせますが、6月頃になると地上部の茎葉が黄色く枯れ込んで落葉します。地上部が枯れたからといって枯死したわけではなく、球根は休眠しているだけです。秋になると芽が動き出して春には再び開花するという、一度植え付ければ毎年開花してくれる、息の長い植物です。ただし、植えっぱなしにしてよいわけではなく、前述のように高温多湿な日本の夏は大の苦手なので、地上部が枯れ込んだら球根を掘り上げて保管するという一手間がかかることを知っておいてください。 フリチラリアの種類は? フリチラリアの種類は北半球を中心に100種以上が見つかっていますが、インペリアリスのほかに、メレアグリス、クロユリ、バイモなどの球根や苗も流通しています。それぞれの特性についてご紹介しましょう。 【フリチラリア・メレアグリス】 Keith Hider/shutterstock.com ヨーロッパ〜西アジアの高原地などが原産。草丈は20〜30cmほど。花色は深い赤紫で、網目模様が入るのが特徴です。細めの花茎を数本長く伸ばした先に、ベル形の花を1輪咲かせます。白花の‘アルバ’、紫×白のモザイク模様になる‘アルテミス’などの園芸品種もあります。 【クロユリ】 Nick Pecker/Shutterstock.com 北日本、サハリン、カムチャッカ半島が原産地。高山植物で、やや湿り気のある土壌を好みます。6〜8月頃、直立した茎の頂部に黒いベル形の花をうつむき気味に咲かせます。花には独特のにおいがあり、英語では「Skunk Lilly(スカンクユリ)」と呼ばれるほどです。 【バイモ】 High Mountain/Shutterstock.com 中国が原産地。日本には江戸時代に伝わり、「アミガサユリ」とも呼ばれ、薬草として用いられていたようです。草丈は40〜60cmくらい。開花期は4〜5月で、ごく淡いグリーンの花弁の内側に、黒い網目模様が入るのが特徴。細い花茎を伸ばした頂部にややうつむいて咲く姿が可憐で、山野草の趣があります。 フリチラリアの育て方は? ここまで、フリチラリアの特性や種類などについて、ご紹介してきました。ここからは実践編として、フリチラリアの育て方について、詳しく解説していきます。 フリチラリアの育て方1. 球根の植え付け OlegDoroshin/Shutterstock.com 球根植物に分類されるフリチラリアは、球根を入手して植え付けます。植え付け適期は10〜11月です。 花苗店などで開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。植え付けの際は、根鉢を崩さないように作業しましょう。 【地植え】 フリチラリアを植える場所は、直射日光が強く当たりすぎない半日陰で、風通しのよい環境を選びます。植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで耕しておきましょう。あらかじめ土作りをしておくと、ゆっくりと分解が進んで熟成し、植え付ける頃には適した土壌になっています。水はけのよい土壌を好むので、水はけの悪い環境では盛り土をして対策をしておくとよいでしょう。 土作りをしておいた場所に、インペリアリスのように大型に育つ種類は、深さ10〜12cmの穴を掘って球根を植え付け、複数球を植える場合は約30cmの間隔をあけます。小型の種類は、深さを6〜10cmにし、約15cmの間隔で植え付けましょう。最後にたっぷり水を与えます。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、草花用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。鉢のサイズは、インペリアリスなど大型に育つ種類は、6〜7号鉢に1球を目安にします。小型に育つ種類は、5〜6号鉢に4〜5球を目安にするとよいでしょう。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。フリチラリアの球根は、大型・小型ともに、深さ約5cmを目安に植え付けます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 フリチラリアの育て方2. 日常の管理 Osetrik/Shutterstock.com 水やり 水やりは、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥しすぎる場合は、水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 水やりは、日頃から忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。球根を掘り上げず、鉢に植えたままにして休眠期を過ごす場合は、カラカラに乾かない程度に、控えめに水やりをしましょう。 支柱の設置 インペリアリスなど大型に育つ種類には、支柱を立ててビニタイや麻ひもなどで茎をくくりつけて誘引し、倒伏を防ぎます。 開花期のケア 開花期に日当たりがよすぎる環境のもとでは、開花期間が短くなる傾向にあります。朝だけ日が差し込む東側や、木漏れ日がチラチラと差す半日陰の場所で育てるのが一番ですが、そのような環境ではない場合は、日よけのケアをしてあげましょう。 【地植え】 日当たりがよすぎる場所では、花が咲く頃に寒冷紗などを張って遮光します。 【鉢植え】 朝だけ日が差す東側や、チラチラと光が差す程度の緑陰など、明るい半日陰の場所に移動して管理します。 切り花として楽しむ バイモやクロユリなどは茶花として利用されてきたこともあり、ガーデンで咲いた花を摘み取って、インテリアに飾っても素敵です。ただしインペリアリスなどのように、種類によっては独特のにおいを放つものもあるので、ご注意を。 咲いた花を切り取るタイミングは、昼間のように植物が水分を発散していない朝か夕方にします。水に浸る葉があれば取り除いて、水が腐りやすくならないようにしましょう。 花がら摘み 花が咲き終わったら花首で切り取り、株周りを清潔に保っておきましょう。 フリチラリアの育て方3. 開花後の管理 Evtushkova Olga/Shutterstock.com 水やり 開花後、茎葉がみずみずしいグリーンの状態の時期は、日常の管理の項目で説明したように、地植えまたは鉢植えに適した水やりをします。 球根の掘り上げ 6月頃には葉が黄色く枯れ込んで、休眠の準備に入るので、球根を掘り上げて貯蔵します。高温多湿の環境を嫌うので、梅雨前には済ませておくとよいでしょう。 球根を傷つけないように掘り起こし、地上部の茎葉を切り取ります。球根が増えている場合は、分球してもかまいません。ベンレートなど殺菌剤を溶かした水溶液にしばらく浸した後に少し表面を乾かします。やや湿り気のあるおがくずやバーミキュライトなどに埋め込んで、涼しい場所で保管しましょう。秋の植え付け適期がやってきたら、再び植え付けます。 フリチラリアの育て方4. 肥料 Vitalii Stock/Shutterstock.com 元肥 元肥は、球根を植え付ける時に施す肥料です。植え付ける前に土壌を肥沃にしておくことで、生育するパワーの源となります。 地植えの場合は腐葉土や堆肥、有機質の緩効性肥料を施しておきます。鉢植えの場合、市販の草花用にブレンドされた培養土には、あらかじめ元肥が配合されたものが多いので、肥料過多にならないように元肥が必要かどうか確認しましょう。元肥が必要な場合は、緩効性化成肥料を使うと、においがなく手軽に利用できます。 追肥 追肥は、元肥のパワーを使い終えた頃に追加として与える肥料です。越年して春めいた後、ぐんぐん生育する3〜5月に与えます。庭植え、鉢植えともに緩効性化成肥料を表土にばらまいてなじませるとよいでしょう。 鉢栽培の場合、株に元気がないようであれば、速効性のある液肥を与えてもOKです。開花期には、10日に1度を目安に液肥を与えて株の勢いを保ってもよいでしょう。 お礼肥 開花が終わった後、株は花を咲かせたことによってエネルギーを消耗しています。株の体力をを回復させるためと、球根を充実させるために与える肥料をお礼肥といいます。開花後でも茎葉が青々としている間は株の勢いを保ち、養分をしっかりと球根に溜め込むように肥料を与えておきましょう。緩効性化成肥料を表土にばらまいて土によくなじませておきます。 フリチラリアの育て方5. 病害虫対策 schankz/Shutterstock.com フリチラリアは、3月下旬頃からアブラムシが発生しやすくなりますが、土壌に混ぜ込むタイプの粒剤で対処できます。また、ナメクジが発生して茎葉などを食害することがあります。ナメクジは夜に活動するので、日が落ちた頃にパトロールして見つけ次第捕殺しましょう。大量に発生しているようなら、ナメクジを駆除するための薬剤を利用するのも一案です。 また、フリチラリアは病気が発生しにくいほうですが、球根を掘り上げた時に柔らかくなっていたり、黒ずんだりしていたら、腐っている可能性があるので、病気が蔓延するのを防ぐためにも、ただちに処分しましょう。 フリチラリアは園芸初心者には難しい?休眠期間がポイント ビギナーにとって、フリチラリアの栽培はハードルが高いとよくいわれます。枯らしてしまいがちな注意すべきポイントがいくつかあるので、ご紹介します。 水やり 水やりを忘れて乾燥させると、根が傷んでしまいます。すると根から水分を吸収する力が弱くなるので注意を。フリチラリアは乾燥に弱いので、水の管理に気を配りましょう。ただし水をたっぷり与えればいいというものでもなく、適度に湿った土壌に保つことが大切です。また、開花後もしばらくは茎葉がグリーンを保っています。地上部の葉が黄色く枯れ込む休眠期を迎えるまでは、忘れずに水やりをしましょう。 球根の管理 地上部の葉が黄色く枯れ込んで休眠期に入ったら、球根を掘り上げて貯蔵することがポイント。フリチラリアは高温多湿の環境を嫌うので、掘り上げて涼しい場所で管理するとよいでしょう。 同じ理由から、残暑が残っている時期に球根を植え付けるのは厳禁。十分涼しくなってから植え付けるようにします。一定の寒さにあわないと開花しないので、寒くなる前に植え付け、鉢栽培の場合は戸外で管理することも大切です。 また、数年の栽培に成功して球根が充実した状態なのに、分球せずに植え付けると、茎葉が密集状態になり、うまく育たなくなってしまうこともあります。球根が分球できる状態に太っていたら、掘り上げた際に増えた球根をはずして分球するとよいでしょう。 インパクトが大きいフリチラリアの花!休眠期間中の管理を大切に Edita Medeina/Shutterstock.com フリチラリアは、インパクトのある咲き姿が魅力の植物です。もともとは一度植え付ければ何年も咲いてくれる息の長い植物ですが、枯らさずに長く楽しむためには、花が終わった後、休眠期間中の管理がポイントになります。基本を押さえればうまく栽培できるので、庭に個性を発揮してくれるフリチラリアを迎え入れてはいかがでしょうか。
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野菜

おいしいネギを自宅で育てる栽培法って?「ネギ坊主」って何?
ネギの基本情報 tamu1500/Shutterstock.com ネギは、ユリ科ネギ属の葉菜類で、原産地は中国西部です。日本には奈良時代には伝えられていたとされ、各地に散らばってさまざまな地方品種が生まれています。ネギの生育適温は15〜20℃で、暑さ、寒さに強い性質を持っています。また、病害虫にもかかりにくいため、比較的管理がしやすい野菜です。連作を嫌うので、1年はネギを栽培していない場所を選んで植え付けましょう。 どのネギを育てる? ネギの種類 Gereti Studio/Shutterstock.com ネギは、青々とした葉芯部を薬味として利用する葉ネギ(青ネギ)と、白い葉鞘部を薬味や鍋物などに利用する長ネギ(根深ネギ、白ネギ)があります。 葉ネギは、主に関西地方以西で栽培され、京野菜の九条系が多く出回っています。種まきから収穫までの期間が短いので、ビギナーさんなら葉ネギの栽培からスタートするのがおすすめ。葉ネギは酸性の土壌を嫌うので、土づくりの際に苦土石灰を散布して土壌改良しておくことがポイントです。3月下旬〜4月にタネを播き、7月頃に草丈が60〜70cmになったら収穫します。花苗店やホームセンターでは苗の販売もしているので、苗の植え付けから始めれば、より手軽に栽培できますよ! 長ネギは、関東地方以北でよく育てられており、東日本では千住ネギ系、北陸では加賀ネギ系が多く流通しています。群馬県の特産として知られる下仁田ネギは、軟白部が太くて短く、甘みがあって柔らかいのが特徴です。長ネギは、栽培の際に土を盛り上げて日光に当てないようにする「土寄せ」を繰り返し、人工的に軟白部を30〜40cmほど長く育てます。植え付けの際には、根を傷めないために苦土石灰や肥料を用いないのがポイント。栽培期間は、3月下旬〜4月にタネを播いて、収穫できるのは11月下旬〜2月頃と、野菜の中でも長いほうです。その間、場所を占領するため、周囲に育てる作物の状況も踏まえて、どこに植えるかじっくり検討するとよいでしょう。また、月に1度は追肥と土寄せの作業を繰り返すメンテナンスが必要なため、家庭菜園では上級者向きといえる野菜です。長ネギの収穫期間が11月下旬〜2月までと長期にわたる理由は、収穫適期が過ぎても、2月までは畑にそのまま置いても大丈夫なため。必要な分ずつ収穫することができます。 葉ネギの育て方 PThira89/Shutterstock.com 葉ネギは、青々とした葉の部分を収穫するので、長ネギのように軟白部を長く育てる管理が必要なく、ビギナーにおすすめです。 葉ネギのライフサイクルは、3月下旬〜4月にタネを播き、間引きながら育成。7月頃から収穫を始めます。 土づくり Liubkomr/Shutterstock.com 【地植え】 日当たりのよい場所を選び、タネを播く2〜3週間前までに、1㎡当たり苦土石灰100gを全体をばらまき、よく耕しておきましょう。 種まきの1週間前に、畝の幅を60cm取って印をつけ、中央に深さ20〜30cmの溝を掘り、1㎡当たり堆肥2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)100gをまいて埋め戻します。そこに高さ10cmほどの畝をつくっておきましょう。 【プランター栽培】 葉菜類の野菜用にブレンドされた市販の培養土を使うと便利です。 種まき Anakumka/Shutterstock.com ビギナーさんや、プランター栽培なら、花苗店やホームセンターで苗を買い求めて植え付けるのがおすすめですが、葉ネギは種まきからでも簡単に育成できます。 畝の中央に、園芸用支柱などを埋めて深さ1cmほどのまき溝をつくります。そこに1cm間隔でタネを播き、溝の両側から土をかぶせ、軽く手で押さえましょう。最後に、たっぷりと水やりをします。水圧で種が流れ出ることのないように、はす口をつけたジョウロで、高い場所から水をまくとよいでしょう。 間引き zoyas2222/Shutterstock.com 草丈が3〜5cmに育ったら約3cm間隔に間引き、さらに草丈10〜15cmに育ったら約5cm間隔に間引きます。間引いた苗は、薬味として十分に利用できますよ! 苗の植え付け Pedarilhosbr/Shutterstock.com この項目では、花苗店やホームセンターで買い求めた苗の植え付けからスタートする方に向けて解説します。種まきから栽培するのを選んだ方は、この項目はスルーして、水やりの項目に進んでください。 【地植え】 土づくりの際につくった畝の中央に深さ10cmほどの溝をつくり、苗を10cm間隔で植え付けます。下部にある葉鞘と葉身の境目で、葉が分かれて広がっている分げつ部を埋めないように、浅植えにするのがポイントです。最後にたっぷりと水を与えましょう。 【プランター栽培】 標準サイズのプランターを用意。プランターの底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れます。野菜用にブレンドされた培養土に、元肥として用土10ℓ当たり化成肥料(N-P-K=8-8-8)を大さじ2ほど混ぜ込んでプランターに入れましょう。水やりの際にあふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきます。株間を約10cm取って、分げつ部を埋めないよう、苗を浅めに植え付けましょう。最後に鉢底から流れ出すまでたっぷりと水やりをします。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 【地植え】 地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちますが、雨が降らずに乾燥しすぎるようなら、適切に水やりをして補いましょう。 【プランター栽培】 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。 追肥 Vitalii M/Shutterstock.com 月に1度を目安に緩効性化成肥料を、地植えでは1㎡当たり約50g、プランター栽培では大さじ1ぐらいを目安に、周囲の土にばらまきます。軽く耕して土になじませ、株元に軽く土を寄せておきましょう。この時、分げつ部を埋めてしまうと成長しなくなるのでご注意を。 収穫 Vanatchanan/Shutterstock.com 7月頃、草丈が60〜70cmくらいになったら、収穫します。根ごと引き抜いても、地際で切り取ってもかまいません。 長ネギの育て方 RPA Studio/Shutterstock.com 長ネギは、人の手によって軟白部を長く育てる必要があるため、上級者向けといえます。葉ネギよりも管理の手間がかかって栽培期間も長くなりますが、手をかけた分、自家製ならではの美味しさを味わえるので、ぜひチャレンジしてみてください。 長ネギのライフサイクルは、以下の通り。3月下旬〜4月にタネを播き、育苗します。7月頃に畑に植え付け、月に1度の追肥と土寄せの管理をしながら軟白部を育成。11月下旬〜2月頃に収穫します。 なお、長ネギの軟白部を育てるには、プランターでの栽培は難しいので、地植えでの栽培に限ってガイドしていきます。 種まき marilyn barbone/Shutterstock.com ビギナーさんなら、花苗店やホームセンターで苗を買い求めて植え付けるのがおすすめですが、長ネギは種まきからでも簡単に育成できます。「たくさん収穫したい!」という方には、タネを購入して栽培するのがお得です。 日当たりのよい場所を選び、種まきの2〜3週間前に、1㎡当たり苦土石灰100〜150gを均一にばらまいてよく耕しておきます。また、種まきの1〜2週間前に1㎡当たり堆肥2〜3kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)100〜150gをばらまいて、よく耕しておきましょう。 タネを播く前に、土壌改良資材や元肥となる肥料を施しておくことで、時間をかけて分解されて土が熟成します。タネを播く頃にはよい土壌に育っているので、あらかじめ土づくりをしておくひと手間が、収穫成功への第一歩となりますよ! 幅約70cm、高さ5〜10cmの畝をつくり、透明なマルチを張ります。株間・条間ともに15cmの間隔をとって、マルチに直径1cmほどの平らな穴をあけましょう。1カ所に6〜7粒のタネを播き、土をかぶせて軽く手で押さえます。発芽後、茎の太さが直径7〜8mmになるまで育苗しましょう。 苗の植え付け ibnu alias/Shutterstock.com 土寄せしながら育成するため、栽培には約1mの幅を確保できる、日当たりのよい場所を選びましょう。苗を植え付ける際は根を傷めないようにするため、苦土石灰や堆肥などの肥料は不要です。畝幅の中央に幅15cm、深さ20〜30cmの溝を掘ります。掘り上げた土は、溝の片側(北側がベター)に積み上げて土手をつくっておきましょう。 育苗した苗、または花苗店やホームセンターで購入した苗を、土を積み上げていないほうの溝側(南側がベター)に立てかけるように約5cmの間隔で配置し、根元に少し土をかけます。その上に、苗の根元を覆うようにワラをたっぷりと敷きましょう。ネギは根が呼吸するため、ワラを入れて空気が通るようにすることがポイントです。また、ワラは植え付け後の根を支える役割も果たしてくれます。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちますが、雨が降らずに乾燥が続くようなら、適切に水やりをして補いましょう。 追肥と土寄せ tamu1500/Shutterstock.com 植え付けから1カ月後、ワラの上に1㎡当たり30gの緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)をばらまき、ワラが軽く隠れる程度に、積んでおいた土を崩して薄くかけます。この土寄せの作業によって、本来は光に当てて濃いグリーンに育つところを、軟白部にして長く伸ばしていくのです。成長に応じて土寄せを繰り返します。 2回目の追肥と土寄せは、植え付けから2カ月後を目安に行います。株元に緩効性化成肥料を1㎡当たり30gを溝に均一にまきましょう。葉鞘と葉身の境目で、葉が広がり始めている分げつ部を埋めないように土を寄せます。分げつ部には成長点があるので、埋めると成長できなくなります。 3回目の追肥と土寄せは、植え付けから約3カ月後。分げつ部が地際より上に出てきたら、株元に1㎡当たり30gの緩効性化成肥料を均一にまきます。分げつ部を埋めないように株元に土を寄せ上げましょう。 4回目の追肥と土寄せは、植え付けから約4カ月後。株元に1㎡当たり30gの緩効性化成肥料を均一にまき、これまで同様に分げつ部を埋めないように株元に土を寄せて盛り上げましょう。土寄せを繰り返すため、最終的には高畝になります。 収穫 tamu1500/Shutterstock.com 最後の土寄せの約1カ月後から、収穫スタート。途中で折れたり、ちぎれたりすることのないように、根元まで土を崩して丁寧に掘り上げます。2月頃まで収穫でき、畑に残しておいても大丈夫なので、必要な分だけ抜いていきましょう。 ネギ栽培で気をつけたい病害虫 Lertwit Sasipreyajun/Shutterstock.com 発生しやすい病気は、淡黄色や褐色の斑点が現れるさび病です。初期症状であれば、適応する薬剤を散布して防除します。症状が進んでいたら、ただちに病株を抜き取って周囲に蔓延するのを防ぎましょう。 害虫は、ネギアザミウマ、ハスモンヨトウなどに注意。 ネギってどんな花が咲くの?「ネギ坊主」について 冬を越したネギが春を迎えると、花をつけて「ネギ坊主」ができます。ここでは、そのネギ坊主について、ご紹介しましょう。 ネギの花をネギ坊主という kim hyunbae/Shutterstock.com 「ネギ坊主」とは、ネギの花のこと。ネギの花は、花茎を伸ばした頂部に、6つの花弁を持つ小さな花が集まって咲き、球状になります。その姿から坊主頭を連想して名付けられたのでしょう。ネギ坊主ができるとネギの成長は止まり、食感も悪くなるので、ネギ坊主ができる前の2月までには収穫を終えるようにしましょう。 ネギ坊主の食べ方 ArtCookStudio/Shutterstock.com じつはこのネギ坊主、食べられるんです! ネギの風味をギューッと濃くしたような、癖のある味わいで、炒め物やおひたしに利用できます。なかでも、天ぷらにすると風味がよくおすすめ。ネギ坊主を味わうために、あえて畑に長く置いておくのもよいでしょう。 ネギの増やし方 Iva Villi/Shutterstock.com ネギは、種まきで増やすことができます。タネを採取したい場合は、ネギの花である「ネギ坊主」ができるまで収穫せずに残しておきましょう。花が咲いた後、6月頃まで待つと、ネギ坊主が茶色くなってタネを採取できます。茶色く枯れ込んだネギ坊主を摘み取り、トレイなどに入れてさらに乾燥させましょう。それを手で揉みほぐすと、中から簡単に黒いタネを取り出すことができます。保存する場合は、紙袋などに入れて種まきの適期まで冷蔵庫に入れておくとよいでしょう。 薬味として大活躍! ネギを自宅で育てよう Guppy2416/Shutterstock.com ここまで、葉ネギ、長ネギのそれぞれの特性や育て方について、深く掘り下げて解説してきました。同じネギでも栽培方法がまったく異なることに、驚いた方もいるのではないでしょうか。そばやうどん、みそ汁などの薬味のほか、鍋物料理などいろいろな料理に欠かせないネギの栽培に、ぜひチャレンジしてください。
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育て方

今年は害虫に要注意! 大株に育った樹木も枯らす難敵・テッポウムシ対策を忘れずに
樹木の幹からおがくずのようなものが出ていませんか? 暑さが一段落して、ガーデンに出やすくなる秋口。庭仕事をしていたら、バラや庭木の幹から、おがくずのようなものが出ているのを見たことはありませんか? ここで、心当たりがある方は危険信号! そのままスルーしてしまうと、大切な木を枯らしてしまう、大きな被害が出るかもしれません。じつは、このおがくずのようなものは、害虫・テッポウムシが棲みついているサイン。テッポウムシは主に樹木の中に潜み、長年育てて大株に育ったバラなども枯らしてしまう、ガーデナーにとっては最強クラスに厄介な害虫です。 インスタグラムでも「#テッポウムシ」の被害報告が確認できます。このまま放置してしまうと樹木が枯れてしまうことも! テッポウムシに株元が食い荒らされてボロボロになったバラ。 テッポウムシってどんな虫? クルミの木を食害するテッポウムシ。Saad315/Shutterstock.com テッポウムシはカミキリムシの幼虫のこと。5cm以上にもなる大きな幼虫で、乳白色で頭でっかちなイモムシのような姿をしています。初夏から夏にかけて飛来するカミキリムシが、木の幹や枝の表面に穴をあけて産み付けた卵から孵り、その内部を食べながら成長して、成虫となってまた表面に穴をあけて出てきます。被害にあった樹木にはまるで鉄砲で撃たれたような穴があくことが、テッポウムシ(鉄砲虫)と呼ばれる所以とされています。 カミキリムシ類の被害にあった樹木。鉄砲の痕のような丸い穴があいています。Heiko Kueverling/Shutterstock.com 猛暑がテッポウムシの増加にも影響 このように、テッポウムシは樹木の内部を食い荒らすため、気が付いたときには被害が甚大になりやすいのが特徴。何年も育てた大切なバラが、テッポウムシの被害にあって枯死してしまったなどという嘆きの声は、ガーデナーの間ではよく聞かれます。 家庭園芸用薬品や肥料などの開発・販売を行っている住友化学園芸の牛迫正秀さんによると、現在のところ目立って被害が増加していなくても、地域によっては猛暑日が夏の幼虫の活動の活発化につながる可能性もあるとのこと。今後猛暑日が増えていくことが予想される昨今、テッポウムシ対策はますます重要になってきそうです。 日本でよく見かけるゴマダラカミキリ。ガーデニングでは、このゴマダラカミキリによるバラの被害が、カミキリムシ類の中でも最多かもしれませんが、虫好きさんの間では人気の高い甲虫です。acchity/Shutterstock.com 近年では、外来種のクビアカツヤカミキリやツヤハダゴマダラカミキリによる街路樹の被害が話題になっています。写真はクビアカツヤカミキリ。Yuangeng Zhang/Shutterstock.com 黒地に水色の水玉が出るゴマダラカミキリをはじめ、長い触角に強靭なアゴを持つカミキリムシの成虫は見た目がカッコよく、子どもたちにも大人気! ですが、樹木を守るためには、成虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。 テッポウムシの発見ポイントは、おがくず! テッポウムシの被害にあったサクラ。おがくずのようなものが確認できます。 被害を最小限に防ぐためには早期発見が望ましいテッポウムシですが、樹木の内部に潜むことから、幼虫を探そうとしても外からは見つけることはできません。そんなテッポウムシの発生サインは、おがくず。樹木の周りにおがくずのようなものが出ていたら、テッポウムシが棲みついているサインです。これはテッポウムシが内部を掘り進むにあたって排出したものなので、その周囲、特に株元付近を重点的に探して、穴があいていないかを確認しましょう。穴があったら、そこがテッポウムシの棲み処への入り口。おがくずを取り除き、穴に針金などを挿し込んで刺殺するか、適用する殺虫剤を噴射するなどして退治しましょう。 おがくずやフンを排出しながら木の幹をトンネルのように掘り進むテッポウムシ。Meister Photos/Shutterstock.com 急に花付きよく咲いた樹木も要注意⁉ もう一つ、テッポウムシの発生を疑いたいサインがあります。それは、バラなどが急にたくさんの花を咲かせること。害虫被害にあっているのになぜ? と思うかもしれませんが、植物は生存の危機に陥ると、子孫を残すべくより多くの花を咲かせることがあります。つまり、びっくりするくらいに花をつけてくれた株が、じつはテッポウムシにかじられて必死に花を咲かせている可能性も。例年以上によく咲いた株があれば、株元のチェックを念入りに行いましょう。 テッポウムシが発生しやすい植物は? テッポウムシの被害が発生しやすいのは、バラやイチジク、オリーブなどの樹木。MaryShutterstock, K.Sek, Ania K/Shutterstock.com テッポウムシが発生しやすいのは、主に樹木の幹で、バラ、オリーブ、サルスベリ、イチジク、リンゴ、カエデ類、シラカバ、サクラ、クリなど。ただし、キクやノコギリソウなどを食害するキクスイカミキリのように、種類によっては草花も被害にあうことがあります。樹木はある程度太い枝が狙われやすいため、株元と太い枝を重点的にチェックしましょう。特に5〜6年以上経って株元が立派になったバラなどは注意が必要です。また、樹勢が衰えた樹木も産卵されやすい傾向があります。 テッポウムシの発生シーズン/生育サイクル テッポウムシの成虫であるカミキリムシが飛来するシーズンは、5~7月。この時期にカミキリムシが産み付けた卵から孵った幼虫は、1~2年ほどかけて内部を食い荒らしながら成長するため、幼虫による被害は一年中発生します。こうして成長したテッポウムシは幹の中で蛹になり、春~夏にかけて成虫となって幹に穴をあけて出てきます。 テッポウムシの予防と対処方法 まずは成虫対策を QueSeraSera/Shutterstock.com 甚大な被害をもたらすテッポウムシは、早期発見と対処が鉄則。前述のとおり、幹の中に潜んで食い荒らす幼虫を見つけるのは難しいので、まずは初夏から夏にかけて、庭でよく見かける成虫のカミキリムシの対処に努めましょう。カミキリムシが卵を産み付けにくいよう、狙われやすい株元付近をネットやアルミホイル、予防用フィルムなどで覆って対策し、飛来したカミキリムシは見つけ次第捕殺します。キクスイカミキリはキクの柔らかい茎に卵を産み付けるので、産卵された場所から先がしおれます。産卵孔を見つけられたら剪定して対処しましょう。ちなみにゴマダラカミキリなどの場合、成虫は若い枝の表面を削り取るようにかじる被害があります。見かけたら成虫飛来のサインなので注意しましょう。 カミキリムシは産卵場所として樹勢が衰えた株を選ぶ傾向があるため、株を丈夫に栽培することも予防につながります。また、テッポウムシは枯れた木の中でも十分に成長することができます。産卵場所として成虫を呼び込まないよう、枯れてしまった庭木は放置せずに処分しましょう。 おがくずが出ていたら幼虫を退治 幼虫がふ化して成長を始める夏以降は、株元からおがくずが出ていないか確認する習慣をつけましょう。テッポウムシのサインを見かけたら、周囲を確認して潜んでいる穴を探します。穴を発見したら、まずはおがくずを取り除きます。針金などを用いて穴の中のおがくずもできる範囲でかき出したら、長い針金を差し込むか、適用のある殺虫剤を穴から注入して退治しましょう。殺虫剤を注入した後は、粘土などでふたをするとより効果的です。 ただし、テッポウムシの潜む穴は意外と深くまで伸びている場合もあります。そのため、長い針金などを使ってもテッポウムシ自体には届かないこともあるので、一度対策をしたからといって油断せず、その後もしっかり退治できたかの確認をお忘れなく。退治が完了した目印は、おがくずの発生が止まることです。夏以降は、株元付近からおがくずが出ていないか定期的にチェックするとよいでしょう。 写真/住友化学園芸 幹の中に潜むテッポウムシ退治には、穴に挿し込めるタイプのノズルが付いた専用の殺虫剤を使うと手軽で効果的です。住友化学園芸の「園芸用キンチョールE」は、テッポウムシの退治に特化したおすすめのエアゾールタイプ。使用時はノズルが詰まらないようにおがくずを取り除き、容器をよく振って、噴射しながら食入孔に差し込むように使用しましょう。このとき無理に押し込んで幹に突き刺してしまうとノズル詰まりの原因になるので、ノズルの先で触診しながら食入孔を探りあて、スルッと差し込むのがコツです。 テッポウムシ被害を防ぐためのポイントまとめ 【テッポウムシ被害を防ぐために初夏にすべきこと3】 ターゲットになりそうな樹木の保護。株元を予防用フィルムで覆うなどして産卵対策をしましょう。庭の見回りでカミキリムシを捕殺。産卵する前に成虫であるカミキリムシを退治しましょう。産卵された場所を見つけたら即対処を。樹皮の傷など、カミキリムシが産卵した形跡を見つけることができたら、棒で卵を押しつぶすなどして早期対処を。 【テッポウムシ被害を防ぐために秋にすべきこと4】 庭の掃除をしよう! 株元におがくずが出ているのが見つけやすくなります。枯れた庭木、枝は剪定&撤去。テッポウムシの棲み処になります。おがくずを発見したら、テッポウムシがいる証拠。おがくずを取り除いてから、穴の中にいる幼虫を退治しましょう。生育の衰えた株が標的に。庭木が健全に生育するよう、施肥や日々の手入れをお忘れなく。 秋はテッポウムシの発見に最適なシーズン! mogilami/Shutterstock.com 暑さが一段落し、ガーデニングシーズンを迎える秋。美しい花々の開花を楽しみ、来年に向けての植え付け作業を進める季節ですが、テッポウムシの発見にも効果的なシーズンです。水やりや花がら摘みなどとともに、ぜひ樹木の株元のおがくずチェックも習慣にしてみてくださいね。
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外構事例

【住宅実例】家事をしながら緑を眺める「リラックス設計」の家
忙しい現代人のための「リラックス」空間の設計 コロナ禍では「おうち時間」が増え、自宅で仕事をするリモートワーカーも増えました。それに伴い、人々が家に求める理想像も大きく変化し、自宅にいながら戸外の開放感を味わうための屋外空間の価値や重要性が高まっています。これまでは庭がその欲求を満たすための空間でしたが、共働きが圧倒的に多い子育て世代には、庭を美しく維持する時間や手間をかける余裕がありません。そうした現代の忙しい人々に、いかに安らぎや癒やしをもたらすか、家づくりにおいて「リラックス」空間の設計は将来の資産価値にも影響を与える重要なポイントになっています。 手間も時間もかけずに戸外の“いいとこ取り”を叶えた家 左/ランドリースペースとつながる1階のウッドデッキ。右/LDKの一部として設けられた半戸外空間「ラナイ」。 戸外の空気感はほしいけれど、そこに時間も手間もかけられないという相反する希求への答えとして、三井ホームの竹田文聡さんが設計したのが「街なかモデル上野毛」です。エクステリアの専門家とともに設計を進め、より現代の生活にフィットさせた戸外と室内がつながる家を提案しています。広さ32坪とコンパクトながら、「ラナイ」と名付けられた半戸外空間や、家事動線とつながるウッドデッキ、窓から見えるよう効率的に配置された植栽で、意識せずとも家にいながら戸外の開放感を感じられるのが魅力です。 2階にリビング・ダイニング+アウトドアリビング 家族が最も多くの時間をともに過ごすリビング・ダイニングを2階に設け、「ラナイ」をプラス。隣家や公道からの視線を気にすることなく、戸外の心地よさを感じながらくつろぐことができます。 「ラナイ」とは、ハワイの建築用語で半戸外空間のこと。建物の外へ張り出したベランダやバルコニーとは異なり、建物の一部として設計され、3方を壁で囲われ屋根もあるため、インドアの安心感とアウトドアの開放感が融合したアウトドアリビングとして活躍します。3.7畳とコンパクトながら、ガーデンファニチャーやプランターなどを置くことができ、天候にかかわらず食事をしたり、読書をしたり、ガーデニングを楽しんだりできます。 ラナイへの出入り口はキッチンの目の前にあり、料理の途中でスリッパのまま植木鉢からフレッシュなハーブを摘んでくることもできます。料理や後片付けなど、家事をしながら外の景色が眺められ、気分転換も。今はやりの「おうちアフタヌーンティー」もラナイなら優雅な気分が上がります。 ラナイはリビングにも面しており、窓を通常より低いローバックソファの高さほどにすることで、室内と戸外に一体感を生んでいます。カーテンやソファに繊細な葉陰模様を描き出すのはラナイで育つオリーブ。葉影は日の光とともにゆっくりと移動し、ときに風に揺れて戸外の空気感を室内にも伝えてくれます。2階はダイナミックな勾配天井で吹き抜けのような開放感もあり、明かり取りの窓は青空や星月を幻想的に見せてくれます。 リビングのTV台の向こう側はリモートオフィス。家に仕事場という側面が生まれた現代では、よりリラックスできる戸外空間が求められる。 最小で最大の効果を得る緑&エクステリアデザイン 外構及び植栽デザインはエクステリア設計を専門とし、一級造園施工管理技士の資格をもつ河村祐子さんが担当。家の外観とのコーディネートやプライバシー、セキュリティーといった機能性に加え、窓からの眺めにもこだわった外構デザインで、室内環境の快適性も高めています。 家の品格を高めるファサードデザイン 家の印象に大きく影響を与えるファサードデザインは、窓枠とコーディネートした木調のフェンス&ゲートに、グレーの大判天然石風タイルを組み合わせ、ナチュラルかつモダンな雰囲気に仕上げました。敷地西側いっぱいに伸びる6mの木調ゲートが堂々とした風格を与えつつ、緑の効果でハードを和らげ、街にも瑞々しさと季節感を提供しています。エクステリアは河村さんのデザインを受け、エクステリアメーカー「タカショー」が制作。緑が透けて見えるフェンスの格子幅など、河村さんの細やかなデザイン意図をオーダーメイドで実現しています。 家の壁は一見、タイルのように見えて、じつはよりコストが抑えられる塗り壁。デザインの工夫と技術力でコスト削減を図りながら、門袖に天然石風タイルを用いたエクステリアデザインの効果で高級感を高めています。 小さな植栽スペースで手間をかけずに緑の効果を得る 敷地内には庭という一つの空間の代わりに、小さな植栽帯を人の視線の先に点在させることで緑の効果を効率的にはたらかせています。門袖の角の植栽帯には落葉樹のアオハダをシンボルツリーとして植え、株元はクリスマスローズなど常緑の宿根草を配しました。花や紅葉で季節感を楽しみつつ、簡単な手入れで常に瑞々しい緑を維持することができる組み合わせです。 主寝室の窓からはアオダモが眺められる。春にはアイボリーの花が、秋には紅葉が楽しめる。生育スピードがゆっくりで、ローメンテナンスな樹種を選定。 植栽帯は外からの視線だけでなく、室内からの眺めも考慮して配置されています。例えば主寝室からは明るいグリーンの葉のアオダモが、多目的部屋からはヒトツバタゴ、アイロン台の正面にはカラタネオガタマ、バスルームの窓には常緑樹の緑陰が、というように、どこへ移動しても緑が目に入るように設計されており、室内にいながらいつも季節の移ろいや外の空気を感じることができます。 苦手な家事も開放的な戸外と接することで快適時間に 1階東側には浴室、洗面室、ランドリースペース、バルコニーを一直線上に設け、動線を最短距離にまとめて家事の時短を実現しています。天候や時間にかかわらず洗濯物が干せるよう、ランドリースペースに物干し機能を設けてありますが、南側のバルコニーへの出入り口もあり、外へ出て天日に干すこともできます。 ランドリースペース奥には、緑の見える窓に囲まれたアイロンスペースを設置。嫌いな家事調査で常に上位入りするアイロン作業も、戸外空間と接することで、快適な時間に変えています。隣家と接するバルコニーはフェンスで覆い、プライバシーとセキュリティーを確保。視線を気にすることなくリラックスして過ごすことができます。 バルコニーのデッキはランドリースペースから部屋側へと長く伸びており、子どもやペットを遊ばせるのに十分な広さがあります。緑との相性がよいナチュラルな木目調のデッキとフェンスは、じつはどちらも人工木。天然木の自然な風合いを再現した人工木デッキ材と高耐候性木調シートをラッピングしたアルミ材のフェンスを採用しているため、木材の手入れをしなくて済み、掃除も楽です。 デッキは室内の床の色と調和させることで、外とのつながりを強調し、部屋をより広く感じさせています。深みのあるブラウンのフェンスに植栽の緑がよく映え、瑞々しい空気が室内に安らぎをもたらしてくれます。この部屋は玄関に面しており、家に入ってすぐに緑が出迎えてくれるよう植栽位置も考慮されています。 戸外空間は暮らしの質や家の価値を高める重要項目 このように敷地面積や庭の有無にかかわらず、緑や戸外の心地よさを感じる暮らしは実現可能です。むしろ広さよりも、自身の生活スタイルにフィットしたサイズ感であることが重要で、小さくともこうした戸外空間が暮らしの質を高める重要項目であることは、コロナ禍を経て多くの人が改めて実感したに違いありません。ストレス社会においてこの価値観はますます高まり、戸外空間が単なる庭やバックヤードではなく、住環境全体の心地よさを生み出す一つの要素として設計されることは、将来にわたる家の資産価値にも影響を及ぼしていくでしょう。 竹田文聡さん(右)/三井ホーム 設計統括グループチーフデザイナー。人が本来心地よいと感じる“光、風、水、緑”という要素を重視し、戸外空間を住まいの一部として設計した「ラングレー」、「ルーカス」など三井ホームの人気デザインを開発。ルーカスをモデルとした「街なかモデル上野毛」の設計を担当。 河村祐子さん(左)/三井ホーム エクステリア設計グループ主任。建物に調和し品格を与えるエクステリアデザインと、一級造園施工管理技士としての豊富な植物知識を活かしてローメンテナンスの植栽デザインを提案。「街なかモデル上野毛」のエクステリア&植栽デザインを担当。
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野菜

白菜を家庭で栽培したい! 栄養たっぷりの白菜を上手に育てるコツ
白菜ってどんな野菜? 白菜は葉菜類の一種で、最初のうちは葉を広げて生育します。しかし、生育後期にスイッチが入ると生理現象によって結球が始まり、葉がかたく締まって成長する、少し変わった野菜です。ここではそんな白菜の、主なプロフィールやライフサイクル、ルーツ、栄養価などについて解説していきます。 白菜の基本情報 daizuoxin/Shutterstock.com 白菜は、アブラナ科アブラナ属の葉菜類。原産地は中国です。一年中スーパーや青果店で見かける白菜は、春や夏にタネを播いて育成することもできますが、本来は秋に播いて冬に収穫する野菜です。涼しい気候を好み、寒さにあたると甘みが増してより美味しくなります。 では、秋まきを基本にして、そのライフサイクルをご紹介しましょう。8月下旬〜9月上旬にタネを播いて、間引いて育成します。最初のうちは、普通の葉物野菜のように放射状に葉を広げるのですが、生育後半になると生理現象によって結球し始めます。気温が15〜17℃になり、外葉が20枚くらいになると、葉の中心が緩やかに巻き始めるのです。種まきから約60〜90日が経ち、しっかり結球して頭を押してみてかたく締まっていたら収穫のタイミング、11月頃から収穫できるというわけです。白菜は収穫が遅れても味が落ちるということがなく、しばらく畑に置いておいてもかまいません。 白菜のルーツと日本への伝来 Spaceport9/Shutterstock.com 白菜はアブラナ科に属する野菜で、コマツナやチンゲンサイなど、煮物や漬物などに向く「漬け菜」と同種です。その祖先は、地中海沿岸、中央アジア、東・北ヨーロッパ、ロシア周辺だとされています。これらの地域に自生していたアブラナ科の植物が中国に伝わり、改良されて白菜が誕生しました。自生の状態で結球する白菜は見つかっていないので、中国の華北地方で生まれたとされています。 白菜が日本に伝わったのは1875(明治8)年で、意外にも歴史の浅い野菜です。日本へ種子が輸入されましたが、うまく結球できない上に、日本の漬け菜類と交雑するなどして、栽培法が確立されずになかなか普及しなかったようです。しかし1894〜95(明治27〜28)年の日清戦争が、日本の食卓に白菜を迎えるきっかけに。白菜が盛んに栽培されている満州や朝鮮半島に渡った兵士たちが、その美味しさに気づき、日本に持ち帰って普及させたといわれています。 白菜の種類 JIANG HONGYAN/Shutterstock.com 白菜の種類は多様で、半分に切って中を見ると、真っ白なものもあれば、黄色、オレンジのものもあります。また種まきから収穫まで栽培期間の長さによって、極早生や早生、中生、晩生などがあります。ユニークなものでは、細長いタケノコ状になり、高さが40cm以上になるものも! プランター栽培には、食べ切りサイズのミニ白菜が向いています。 白菜は日本の食卓に欠かせない存在なので、品種改良が進んで種苗会社からさまざまな品種が生まれています。主な品種は下記の通りです。 割ってみると内部が明るいオレンジ色の‘オレンジクイン’は、青臭みが少なく、生食もできます。「きらぼし」シリーズは根こぶ病の耐病性に優れ、生育旺盛な黄芯系。耐寒性があり、厳寒期採り中晩生品種の‘冬峠’は、収量・品質ともに優れています。耐病性が強く、葉が肉厚で柔らかなのが‘冬月90’。‘CRお気に入り’は、重量約600gのミニ白菜で、プランター栽培に向いています。‘プチヒリ’は細長いタケノコ型で、大変目を引く品種です。 白菜は栄養素が豊富で調理の幅も広い jreika/Shutterstock.com 白菜はなんと95%以上が水分なんです! 食物繊維が豊富で、ビタミンC、カロテン、ビタミンKを含むほか、カリウムやマグネシウムなどのミネラル分などもバランスよく含んでいます。また、白菜100g当たりのカロリーは14キロカロリーと大変低い側面ので、ダイエット中にたっぷり食べても背徳感のないヘルシー野菜です。 白菜は、冬の定番料理、鍋物には欠かせないアイテム。みそ汁やスープなどの具材としてもよく、さっとゆでて和え物やお浸しなどにしても美味しくいただけます。また、中華の炒め物には欠かせませんし、餃子の具に入れてもgood。そして、漬物にすれば保存食にもなります。調理に幅広く利用できるので、家庭菜園で多めに育てるのも一案です。 白菜を育てよう ここまで、白菜の基本情報について触れてきました。ここからは実践編として、白菜の育て方について詳しく解説。たくさん育てたい方は、種まきからスタートするとコストダウンにつながります。「あまり消費できないから数株あれば十分」という方には、苗をホームセンターや花苗店で購入してスタートするのがおすすめです。また、白菜はプランターでも栽培することができるので、その管理の仕方についてもご紹介していきます。 栽培環境 Spaceport9/Shutterstock.com アブラナ科に属する白菜は、連作を嫌う植物です。そのため2年間はキャベツやブロッコリー、コマツナやミズナなど、アブラナ科の植物を植えていない場所を選びましょう。生育適温は17〜20℃。日当たり、風通しがよく、比較的涼しい気候を好みます。 また、適した土壌酸度はpH5.5〜6.5で、やや酸性土壌を嫌うため、土づくりの際には苦土石灰を散布しておくとよいでしょう。乾燥には比較的強いのですが、水はけの悪い土壌では根腐れを起こしやすくなります。植え付けの際は水はけのよい場所を選び、心配ならやや高畝にするとよいでしょう。 土づくり Sleepyhobbit/Shutterstock.com 【地植え】 種まき・または苗の植え付けの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。 種まき・または苗の植え付けの1〜2週間前には、1㎡当たり牛ふん堆肥2〜3kg、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100〜150gを均一にまき、土にまんべんなく行き渡るようによく耕しておきましょう。 種まき・または苗の植え付け前に、土壌改良資材や元肥となる肥料を施しておくことで、時間をかけて分解されて土が熟成します。種まきや苗の植え付けの頃にはよい土壌に育っているので、あらかじめ土づくりをしておくひと手間が、収穫成功への第一歩となりますよ! 【プランター栽培】 葉菜類用にブレンドされた市販の培養土を使うと便利です。 種まき Denis Pogostin/Shutterstock.com ビギナーさんや、プランター栽培なら、花苗店やホームセンターで苗を買い求めて植え付けるのがおすすめですが、白菜は種まきからでも簡単に育成できます。「毎年、白菜の漬物を仕込むので、たくさん植えたい!」という方は、タネを購入して栽培するのがお得です。 白菜の種まき適期は8月下旬〜9月上旬頃。丈夫で育てやすいので、畑やプランターに直接播く「直まき」にします。 白菜の栽培で大切なのは、種まきの適期を逃さないこと。適期よりも早く播くと、虫の被害に遭いやすく、遅く播くと、結球せずにトウ立ちしてしまうからです。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、幅60cm、高さ10cmの畝をつくります。株間を40cm取り、畝の中央に深さ1cm程度の植え穴をあけて、タネを3〜4粒ずつ播きましょう。土を戻し、軽く手で押さえます。下から水が上がってくるので、土が湿り気を含んでいたら水やりは不要です。乾いていたら、ジョウロにはす口をつけて高い位置から水をかけ、タネが流れ出さないように水やりします。 発芽したのち、本葉が3枚ついたら間引きます。生育がよい苗を1本のみ残し、ほかは抜き取ります。抜き取る際は根元を指で押さえて、残す苗の根を傷めないようにしましょう。間引いた苗は、ベビーリーフや汁物の具として利用できますよ! 苗の植え付け Tanes Ngamsom/Shutterstock.com ここでは、花苗店やホームセンターで買い求めた苗の植え付けからスタートする方に向けて解説します。種まきから栽培するのを選んだ方は、この項目はスルーしてください。 本葉が3〜4枚ついた頃が、苗の植え付け適期です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、幅60cm、高さ10cmの畝をつくります。株間を40cm取り、苗を植え付けます。根を傷めるとその後の生育が悪くなるので、ポットから苗を取り出したら、根鉢を崩さずにそのまま植え付けましょう。最後にたっぷりと水を与えます。 【プランター栽培】 標準〜大型サイズのプランターを用意し、2株を目安に植え付けます。また、プランター栽培に適している品種を選ぶことも大切。‘タイニーシュシュ’や‘サラダ娘’など、極早生のミニ白菜を選びましょう。 プランターの底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れます。葉菜類用にブレンドされた培養土に、元肥として用土10ℓ当たり化成肥料(N-P-K=8-8-8)を大さじ2ほど混ぜ込んでプランターに入れましょう。水やりの際にあふれ出さずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきます。株間を30〜40cm取って根鉢より一回り大きな植え穴を掘り、根鉢を崩さずに苗を植え付けましょう。最後に鉢底から流れ出すまで、たっぷりと水やりをします。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 【地植え】 地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちますが、雨が降らずに乾燥が続くようなら、適切に水やりをして補いましょう。 【プランター栽培】 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。秋から冬にかけては土が乾きにくくなるので、土の湿り具合をよく見て、乾いていたら与えましょう。 追肥 Vaakim/Shutterstock.com 【地植え】 種まきから育成した場合、間引いて1本立ちするタイミングで追肥します。化成肥料(N-P-K=8-8-8)を、1株にひとつまみほどを目安に、株周りに施して土になじませます。 【プランター栽培】 本葉が10〜15枚ほどついたら、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約10gを目安に、株の周囲全体にばらまいて追肥します。移植ゴテで軽く土になじませ、株元に土を寄せましょう。 1回目の追肥から約2週間後、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約10gを目安に、株の周囲全体にばらまいて追肥し、土になじませて株元に土を寄せます。 中耕 Vlad Ispas/Shutterstock.com 【地植え】 降雨などにより、土がだんだんと硬く締まってきます。2〜3週間に1回を目安に、畝の周囲の土を耕して空気を送り込むと、水はけが改善し、白菜の根の張りもよくなります。 【プランター栽培】 特に不要です。 病害虫対策 Stephen Barnes/Shutterstock.com 病気はモザイク病、根こぶ病、軟腐病に注意。「土壌酸度の調整」「高畝にするなど水はけのよい土壌づくり」「連作をしない」など、栽培の環境づくりに気を付ければある程度は予防できます。病気の兆候が見られたら、周囲に蔓延するのを防ぐために、ただちに抜き取って処分しましょう。 害虫は、アブラムシ、アオムシ、コナガなどに注意。種まきのあと、防虫ネットを設置しておくと安心です。畝の数カ所にアーチ状に支柱を設置し、防虫ネットを張って、物理的に虫が侵入するのを防ぎます。白菜が成長して、トンネルの天井付近に葉がつくまでに大きくなったら、撤去してもかまいません。 プランター栽培の場合も、苗の植え付け後に加工のしやすいワイヤーを使ってアーチ状に配置し、不織布や防虫ネットを張ればOKです。 収穫 A Kisel/Shutterstock.com 【地植え】 白菜は、種まきから約60〜90日で収穫できます。葉がしっかり巻いて結球し、玉の頭を押さえてみて、かたく締まっていたら収穫適期です。外葉を2枚ほどつけて、地際に包丁を差し込んでカットし、収穫します。白菜は収穫がやや遅くなっても味が変わらないので、使う分ずつ収穫してもかまいません。冬に差し掛かっている場合、霜にあたると葉が傷むので、外葉で包み込んで麻ひもなどで縛ってまとめておくと、防寒対策になります。収穫した際に外葉が茶色く傷んでいても、はがしてみると芯はきれいなままです。 【プランター栽培】 ミニ白菜は、種まきから45〜65日程度で収穫できます。しっかり結球して頭がかたく締まっていたら収穫します。地際に包丁を差し込んでカットしましょう。 保存方法 haru/Shutterstock.com 新聞紙で包んで、凍らない冷暗所に立てておけば、長く保存ができます。 漬物にすると冷蔵庫で2〜3週間は保存できます。白菜を1/4に切ってよく洗い、半日ほど天日干しに。容器に入れて塩を振り、押しぶたをして重しをのせ、3〜4日おきます。白菜の漬物を取り出したら洗って水気を絞り、食べやすいサイズに切っていただきます。 栄養いっぱいのおいしい白菜をつくろう! bennie/Shutterstock.com 白菜の基本情報やそのルーツ、栄養価から栽培方法まで、幅広くご紹介してきました。ここまで読んだあなたは、白菜の栽培に本気で取り組みたいと考えている方ですね。ぜひタネまたは苗を入手して、チャレンジしてみてください。自身で収穫した白菜の深い味わいには、きっと感動を覚えることでしょう!
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宿根草・多年草

リコリス(ヒガンバナの仲間)の完全理解! 基本情報から育て方まで詳しく解説
リコリス(ヒガンバナの仲間)の基本情報 Shirosuna_m/Shutterstock.com リコリスは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)の球根植物。原産地は日本や中国、ミャンマーなど東アジアの地域で、10〜20種が確認されています。秋の彼岸頃に咲くヒガンバナもリコリスの一種で、自然が残る郊外へ出かけると土手や田舎道などで自生して咲く姿には馴染みがありますね。山野などで見かけるキツネノカミソリやナツヅイスセンなどもリコリスの仲間。日本でも自生している種類があるということは、ビギナーでも比較的育てやすい草花だといえます。 リコリスは球根植物で、葉が生えてくるよりも先に花茎を伸ばし、頂部に花を咲かせます。数輪の花弁が外側に向かって放射状に並ぶ、エレガントな咲き姿が大変華やか。細長い花弁が外にクルンと反り返り、長く伸びるしべとの対比もあって、秋の庭の主役となる存在感があります。花色には赤、オレンジ、黄、白、ピンク、紫、青、複色があり、バラエティー豊か。花弁にキラキラとラメが入るような光沢感のある品種もあります。 リコリスの草丈は20〜50cmで、花壇の中段などに向いています。花茎を伸ばした先端に花を咲かせる時には、まだ葉が出てこないので株元がぽっかりと空いてしまいます。その空間を埋めるように、草丈の低い草花やカラーリーフプランツを組み合わせるとよいでしょう。 ヒガンバナはリコリスの一種 meteorite/Shutterstock.com 秋の季語としても知られるヒガンバナは、昔から日本で親しまれてきた植物です。リコリスの一種に分類されており、リコリス・ラジエータ(Lycolis radiate)の学名を持っています。ヒガンバナの特徴として挙げられるのは、種をつけないこと。基本的に種子を残さず、球根が分球して増えていきます。そのため、個体ごとの変異が現れず、遺伝的に同じクローンが連綿と続いていることになるのです。 ヒガンバナは、古い時代に中国から伝えられた植物で、花色は赤が最もポピュラーですが、白花もあります。9月中旬のお彼岸の頃に咲くので、「彼岸花」という名前が付けられました。ヒガンバナを群生させて絨毯のように咲かせる名所も多数あり、宮城県の羽黒山公園や埼玉県の巾着田などは、毎年多くの観光客が訪れて、賑わいをみせます。何百万本ものヒガンバナが咲く群生地は圧巻の美しさです。 さて、ヒガンバナは日本人にとって身近な植物で、畦道や川に面した土手、お寺や墓地などに自生し、季節の訪れを告げてくれる存在。ヒガンバナはリコリンと呼ばれるアルカロイドの一種を含み、毒性があることから、虫除けや獣除け、または雑草除けとして、人間の手で植えられたと考えられています。人間が食べても、すぐに死に至るほどの毒性でありませんが、嘔吐などの中毒症状が現れるようです。 生活に根ざした植物であることは、ヒガンバナが地方ごとに何百種類もの別名を持っていることからもうかがえます。赤花を指す梵語からきている「曼珠沙華(マンジュシャゲ)」はよく知られていますね。「きつねの花火」「ちょうちん花」は見た目の美しさから親しまれたのでしょうが、「じごく花」「しびと草」「いっときごろし」などの呼び方も。これは毒性を持ち、虫や獣除けとして墓地などにも植えられたことから来ているのかもしれません。このような名前から「縁起が悪い」として、日本では庭先に植栽するのを嫌ってきた経緯があるようです。しかし、そのような文化がない西欧では美しい花として人気があり、品種改良も進んでリコリスとしてカラフルな花色が揃うようになりました。近年では日本でも逆輸入の現象で、ヒガンバナの仲間と捉えずにリコリスがガーデニング向きの草花として見直されてきています。 リコリス(ヒガンバナの仲間)の花言葉 pu_kibun/Shutterstock.com リコリスの名前は、ギリシャ神話の海の精「リコリアス」から名付けられたとされています。リコリスの花言葉は花色によって異なり、赤花は「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」「転生」「悲しい思い出」などがあります。燃えるような赤い花にエネルギーを感じての「情熱」「独立」などがあるのでしょうが、ほかは「死」をイメージさせるような言葉が並んでいますね。また、白花には「想うのはあなた一人」、黄花には「追想」「深い思いやり」「悲しい思い出」「陽気」などがあります。 リコリス(ヒガンバナの仲間)の開花時期 wassei/Shutterstock.com リコリスは秋咲きの球根で、6月中旬〜8月中旬に球根を植え付けると、葉が出るよりも先に花茎が上がり、8〜10月に開花します。品種によっては早咲き、遅咲きのものがあるので、組み合わせて開花リレーをさせると、長期間にわたって楽しめます。 リコリスは一度植えつければ毎年開花してくれる、コストパフォーマンスの高い植物なので、開花が終わったからといって抜き取って処分しないでください。開花後に葉が出てきますが、光合成をして球根を太らせるのでそのままにしておきましょう。4月中旬〜9月中旬は地上部が枯れますが、球根は休眠せずに活動しているので、掘り上げて乾燥させる必要はありません。 リコリス(ヒガンバナの仲間)の種類 JIANG TIANMU/Shutterstock.com リコリスの種類は、日本に昔から馴染みがある赤花の彼岸花、淡いピンク色のナツズイセン、鮮やかなオレンジ色のキツネノカミソリなどがあります。他に早咲きのリコリス・スクアミゲラ、遅咲きのオーレアなども出回っています。 園芸品種では、大輪で美しい朱色の‘さつま美人’、白花で涼しげな‘真夏のクリスマス’、白地にピンクがのる複色咲きの‘アルビピンク’、濃いピンクの花弁の先端に青紫が入る‘ジャクソニアナ’などが人気です。 リコリス(ヒガンバナの仲間)の育て方 品種によって花色が豊富で、咲き姿も美しいリコリス。放任してもよく育ってくれるので、ビギナーにおすすめの草花です。ここでは、リコリスの適した栽培環境や球根の植え付け方から、日頃の管理の仕方、増やし方など、細かく解説していきます。ここから先を読んだあとには、きっとリコリスのことを深く理解できているはずですよ! 適した栽培環境 Shirosuna_m/Shutterstock.com 日当たり・風通しのよい場所を好みます。明るめの半日陰の場所でも栽培可能ですが、日なたに比べて花数は少なくなるようです。 土壌はじめじめとした湿り気の多い環境を苦手とするので、水はけの悪い場所では盛り土をするとよいでしょう。植える場所には堆肥や腐葉土などの有機質資材を混ぜ込み、ふかふかとした土をつくるとよく育ちます。 基本的に暑さにも寒さにも強い性質で、植えっぱなしにして越年します。ただし種類によっては寒さに弱いものもあるので、入手した品種のラベルに書かれてある性質を確認しておくとよいでしょう。寒冷地では腐葉土や落ち葉などをかぶせる「マルチング」をしておくのもおすすめです。 植え付け Peter Kniez/Shutterstock.com リコリスの球根の植え付け適期は、6月中旬〜8月中旬です。花苗店などに出回る開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。 リコリスは、1株のみ咲かせるというよりは、同じ品種で球根を5〜10球まとめ植えし、一斉に咲かせると華やかに演出できます。 【庭植え】 腐葉土や堆肥などの有機質資材をすき込んで土づくりをしておいた場所に、5〜10cmほどの穴を掘り、球根を植え付けます。たくさん植える場合は間隔を20cmほど開けましょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。 【鉢栽培】 6〜7号鉢を用意し、4〜5球を目安に植え付けるとよいでしょう。土は、草花の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。球根は、地表すれすれくらいの浅植えにし、間隔は5〜10cm開けます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 開花株を入手した場合は、ポットよりも1〜2回り大きな鉢を用意します。軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れ、入手した株をポットから出して根鉢を崩さずに植え付けましょう。 水やり Zoom Team/Shutterstock.com 【庭植え】 地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がってすぐお湯になってしまうので、朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢栽培】 鉢栽培では土が乾きやすいので、日頃から水やりを忘れずに管理します。とはいっても、毎日水を与えればいいというものでもありません。なぜなら、気温や湿度など天候の状況によって、土が毎日乾くとは限らないからです。動物が毎日の食事が必要なのとは異なり、毎日水を与えて土がジメジメとした過湿の状況にすると、根腐れして枯れてしまうこともあるので注意。土の状態を見てから水やりするのがポイントで、基本は、土の表面が白っぽく乾いてから、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。また、茎葉がややだらんと下がって勢いがなくなっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 一方で、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕の水やりを欠かさないようにします。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。地上部が枯れても球根は休眠していないので、水やりをやめずに控えめに与えます。 追肥 vallefrias/Shutterstock.com 庭植え、鉢栽培ともに、開花期は球根に蓄えられた養分を使って成長するので、追肥は特に不要です。 開花後、茎葉が茂っている間に、球根を太らせる目的で化成肥料を少量施します。根の発育を促すリン酸やカリ分が多めに配合された肥料を選ぶとよいでしょう。 花がら摘み Toshio Umekawa/Shutterstock.com 花が終わったら、花茎の先端にある花房の下で切り取ります。花茎は光合成をして球根を充実させるのに一役買ってくれるので、残しておきましょう。 終わった花をいつまでも残しておくと、腐って病気を招く結果になるので、早めに切り取って株周りを清潔に保ちましょう。また、タネをつくろうとして養分がそちらに集中し、株がエネルギーを消耗して球根が太らないという結果になってしまいます(リコリスの中にはヒガンバナのようにタネをつけない種類もあります)。 植え替え laenon/Shutterstock.com 庭植え、鉢栽培ともに一度植え付けたら、数年は植えっぱなしで構いません。その方が、球根が年々充実していきます。ただし、球根が増えて大株になり、込み合いすぎている場合は、休眠期に掘り上げて植え直すとよいでしょう。 増やし方 球根は、植え付けてから数年経つと大きく太って充実します。込み合ってきているようなら、地上部の葉が枯れた後に、掘り上げてみましょう。大きくなった球根は自然にいくつかに分球できるので、それぞれ球根をはずして植え直すと増やすことができます。 リコリス(ヒガンバナの仲間)を育てるうえで注意すべき病気・害虫 病害虫の心配はほとんどありません。 ただし、水はけが悪くジメジメとした環境では、軟腐病にかかることがあるようです。もし病気が発生したら、周囲に蔓延しないように抜き取って処分するとよいでしょう。 育てやすいリコリス(ヒガンバナの仲間)をぜひ家の庭で栽培してみよう Yoshihide KIMURA/Shutterstock.com この記事では、リコリスの基本情報や種類、豆知識に始まり、育て方の詳しいノウハウまで、幅広くご紹介してきました。リコリスは愛らしい花姿に、多様な花色が揃うため、西欧では人気の高い草花の一つです。そのためもあってか新品種も年々登場して、ガーデナーのコレクション欲をそそってくる草花でもあります。珍しい品種のリコリスを植栽して、庭に個性を演出するのも一案です。ぜひ愛らしいリコリスを育ててみてください。
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野菜

キャベツってどう育てる? 基本情報・育て方についてご紹介します!
キャベツってどんな植物? Wipat Boonkaew/Shutterstock.com キャベツはアブラナ科アブラナ属の葉物野菜。生育初期は葉を広げていますが、葉数が増えるとともに植物ホルモンの働きによって、葉が立ち上がって巻き込みながら生育するようになります。このように葉を巻き込んで丸くなるものを結球野菜といい、ハクサイやレタスも同様です。 キャベツの原産地は地中海沿岸、ヨーロッパの湾岸地域。冷涼な気候を好み、生育適温は15〜20℃で、高温多湿を苦手とします。日本では明治時代に本格的に栽培されるようになり、昭和30〜40年代に一気に普及していきました。現在は日本中で栽培されており、一年を通してスーパーや青果店で手に入る、常備野菜の一つとして親しまれています。 キャベツの選び方 SUCHARUT CHOUNYOO/Shutterstock.com 玉を押してみるとかたく締まっており、密に葉がついて重たいものがよいキャベツです。葉が青々として、切り口が白く、茶色味を帯びたり乾燥してひびわれたりしていないものを選びましょう。 キャベツの種類 jaboo2foto/Shutterstock.com キャベツは人気の高い野菜だけに、さまざまな種類があります。 まずは、季節による分け方。冬に収穫するキャベツは「寒玉」、春に収穫するキャベツは「春玉」と呼ばれます。「寒玉」はかたく締まって葉がしっかり巻いているため煮崩れしにくく、加熱料理向き。ふんわりと葉が重なる「春玉」は、水分をたっぷり含んでやわらかいので、サラダなどに向いています。 また、キャベツの形もさまざまで、球、甲高球、甲高楕円球、楕円球に分けられます。変わったものではタケノコ形もありますよ! また、葉色にも注目してみましょう。グリーンキャベツと紫キャベツに分けることができます。紫キャベツは彩りとしてサラダに添えると、大変見栄えがよくなるので、一度は育ててみたいもの。紫の葉にはポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。 ちょっと変わり者も取り上げましょう。ちりめん系(サボイ系)は、葉全体が縮れている種類。芽キャベツはキャベツの変種で、頂部が結球する一般のキャベツとは異なり、脇芽が結球し、直径2〜3cmの小さなキャベツが茎に鈴なりにつきます。 家庭菜園向けのキャベツは多様に出揃っており、耐暑性、耐寒性、耐湿性、耐病性などに特化した品種や、トウ立ちしにくい品種などが開発されています。まずは「寒玉」向きなのか、「春玉」向きなのかをチェックし、種まきから収穫までの生育期間(早生、中生、晩生)や性質などを確認しておくとよいでしょう。 キャベツの栄養素 showcake/Shutterstock.com キャベツはビタミンCが多いほか、カルシウム、カリウム、ビタミンK、葉酸などが含まれています。また、キャベツに含まれるビタミンUは、胃もたれによいとされています。ビタミンは熱によって壊れやすいので、サラダなど生で食べるのがおすすめです。 キャベツの保存方法 Kcuxen/Shutterstock.com キャベツの白い芯の部分をくりぬき、湿らせたキッチンペーパーを詰めます。ジッパー付きビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存すると長くもちます。外葉から順に利用してください。冷凍したい場合は、調理に合わせたサイズや形に切ってからジッパーつき保存袋に入れて冷凍庫に。調理の際は、凍ったまま利用できます。 キャベツを使った料理 kostrez/Shutterstock.com キャベツは生で食べられるので、細かく刻んでサラダに。千切りにすればトンカツなどの揚げ物との相性は抜群です。スープや炒め物の具材、ロールキャベツやお好み焼きなど、さまざまな料理に活用できます。 キャベツの育て方 ここまでは、基本情報や種類のほか、さまざまな角度からキャベツについてご紹介してきました。ここからは家庭菜園でキャベツを育てる実践編として、詳しい栽培方法について解説していきましょう。 栽培時期 Anwar Attar/Shutterstock.com 家庭菜園でキャベツを育てる際には、春に種を播く「春まき」と、夏に種を播く「夏まき」があり、年に2回の栽培が可能です。一般地を基準にすると、「春まき」は2月下旬〜3月中旬に種を播き、6〜7月上旬に収穫。「夏まき」は7月中旬〜8月中旬に種を播き、10月末〜12月に収穫します。「春まき」は、生育期に病害虫が発生しやすいうえに、トウ立ち(開花)しやすく結球しない(葉が巻かない)ことがあるので管理が難しく、上級者向きです。「春まき」する場合には、暑さに強く、トウ立ちしにくい品種を選ぶ必要があります。一方、「夏まき」のほうがトウ立ちしにくいので栽培しやすく、家庭菜園のビギナー向きです。定植後は涼しい気候のほうが生育に適しており、味もよくなります。したがって、ビギナーの場合は「夏まき」からスタートするのがおすすめです。 年に2回の栽培が可能なキャベツですが、連作(同じ場所で同じ種類〔科〕の植物を育て続けること。土壌バランスが崩れて生育障害が起きやすくなる)を嫌う性質を持っています。そのため、キャベツが属するアブラナ科の植物を1〜2年は育てていない場所を選びましょう。 適した環境 ninekrai/Shutterstock.com 日当たり、風通しのよい場所を好みます。適した土壌酸度はpH6.0〜6.5。酸性に傾いた土壌では病気が発生しやすくなるので、苦土石灰を散布して土壌改良しておきましょう。有機質に富む、水はけ、水もちのよいふかふかとした土壌を好むので、植え付け前に堆肥などの有機質資材を散布して土に混ぜ込んでおきます。 種まき・間引き Erika J Mitchell/Shutterstock.com 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。ただし、キャベツの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。手軽に栽培したいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「2〜3株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方も、次項に進んでください。 種まきの適期は、「春まき」が2月下旬〜3月中旬、「夏まき」が7月中旬〜8月中旬です。まず、3号のポリポットに野菜用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に植え穴をあけて種を4〜5粒ずつ播き、ごく薄く土をかぶせましょう。最後にはす口をつけたジョウロで高い位置からやわらかい水流でたっぷりと水やりをしておきます。発芽までは明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に水やりをしましょう。発芽したら、3本残して間引き、日当たりのいい場所で管理を。夏まきの場合は、朝のみ日が差す東側など涼しい場所で管理するとよいでしょう。本葉が1〜2枚ついたら、比較的弱々しい苗を間引いて1本のみ残し、本葉が5〜6枚つくまで育苗します。 土作り Sleepyhobbit/Shutterstock.com 【菜園】 種まきの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、畝の幅を60〜70cm取ってよく耕し、中央に深さ20〜30cmの溝を掘ります。畝の長さはつくりたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。1㎡当たり堆肥約2㎏、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを溝に均一にまいて埋め戻しましょう。さらに高さ10cmほどの畝をつくります。土作りは事前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。 【鉢栽培】 野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 苗の植え付け yuris/Shutterstock.com 苗の植え付け適期は、「春まき」が3月下旬〜4月中旬、「夏まき」が8月下旬〜9月中旬です。本葉が5〜6枚ついた苗を植え付けます。花苗店やホームセンターなどで苗を購入する場合は、節間が詰まってがっしりと締まった、勢いのあるものを選びましょう。 【菜園】 畝の中央に40〜45cmの間隔を取って植え穴を掘り、水をたっぷりと注ぎます。水が引いたら苗を植え付け、最後にたっぷりと水やりをしましょう。「夏まき」の場合は、暑い時期なので苗が日中の日差しで弱らないよう、夕方に植え付けてください。 【鉢栽培】 キャベツを鉢栽培する場合は、10号以上の大きな鉢を準備してください。底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際にあふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。中央に植え穴を掘って、苗を植え付けます。最後に底から流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【菜園】 しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥しているようなら、水やりをして補います。 【鉢栽培】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 Pawel Beres/Shutterstock.com 【菜園】 2回に分けて肥料を施します。 1回目は本葉が10枚ついた頃に行います。緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を1㎡当たり30gを目安に、周囲に均一にばらまいて土になじませ、軽く株元に寄せておいてください。 2回目は、葉が巻き始め(結球をし始め)た頃に行います。緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を1㎡当たり30gを目安に、周囲に均一にばらまいて土になじませます。2回目の追肥では、雨などで流亡して低くなっている畝をもう一度つくり直すつもりで、周囲の土をしっかりと株元に寄せておきましょう。この時に雑草が生えていれば、抜いておいてください。 【鉢栽培】 苗の植え付けから約20日後と約40日後を目安に、2回に分けて追肥します。緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)を1鉢当たり約10g株の周囲にばらまいて、軽く土になじませましょう。 注意したい病害虫 Lee waranyu/Shutterstock.com 【病気】 キャベツに発生しやすい病気は、根こぶ病などです。 根こぶ病は、キャベツの根にこぶがつくられていびつな形になる病気で、症状が進むと枯死してしまいます。糸状菌による土壌伝染病で、アブラナ科の植物を宿主とするので、連作を避けることが大切です。アブラナ科に属す野菜は、キャベツのほかにハクサイ、カブ、ダイコン、ブロッコリーなどがあり、1〜2年以内にこれらの野菜を育てていた場所で栽培を始めると、発症しやすくなるので注意してください。 【害虫】 キャベツに発生しやすい害虫は、アブラムシ、アオムシ、コナガの幼虫などです。 アブラムシは、3〜10月頃に発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。 アオムシは、モンシロチョウの幼虫です。葉裏などに卵を産み、孵化した幼虫は旺盛に葉を食害します。葉に穴があいているのを見つけたら、葉の裏に幼虫がついていないか確認し、見つけ次第捕殺します。大きくなるとギョッとするほどのサイズになり、葉脈のみを残して食べ尽くすほどの害を与えるので、早めの対処が大切です。 コナガの幼虫は、5〜10mmの小さなアオムシで、孵化した当初は葉の内部に潜り込み、大きくなると葉裏について食害します。表皮を残して食害する特徴があります。葉に穴があき、ふんが落ちているようなら、葉裏などをチェックして捕殺しましょう。 アブラナ科に属するキャベツは、大変虫がつきやすい野菜です。でも、せっかく家庭で栽培するなら、できるだけ無農薬で管理したいですよね。そんな時は、園芸用資材を上手に利用する方法があります。用意するのは、防虫ネットと園芸用支柱です。 園芸用支柱を畝の両端と中央あたりにアーチ状にして深く差し込み、防虫ネットを被せます。畝の両端で防虫ネットを結んで固定し、四方の裾に土を盛ってしっかりと固定。これで物理的に虫の侵入を抑えられるというわけです。キャベツの株がしっかり育って、トンネルの天井につかえて邪魔になるほど大きくなったら外します。虫が苦手な方は、園芸用資材を上手に使って防除するのがおすすめです。 収穫 encierro/Shutterstock.com 結球した玉が大きくなったら、手で押してみましょう。かたく締まっているようなら収穫します。広がっている外葉を押し広げ、玉の付け根に包丁を差し入れて地際から切り取りましょう。外葉や地面に残っている根は、そのまま放置しておくと病害虫発生の原因になるので、収穫と同時に処分することが大切です。 キャベツを栽培してみよう! romiri/Shutterstock.com キャベツは幼苗のうちは葉を広げていますが、生育とともに葉を巻き始めていくので、植物の観察としても楽しいものです。お子さんのいる家庭では、お馴染みの野菜がどんな風に育っていくのかを一緒に見届けるのも食育につながるのではないでしょうか。ビギナーなら、晩夏に苗を購入して植え付けからスタートするのがおすすめです。ぜひ自身で育てたキャベツをおいしく味わってみてください!
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宿根草・多年草

【山野草】カライトソウは美しい花穂が魅力! 主な特徴や育て方のポイントを解説
カライトソウの主な特徴とは ピンク色の花穂をダイナミックに伸ばすカライトソウは、どんな植物なのでしょうか。ここでは、基本情報や花や葉の特徴、花言葉と名前の由来についてご紹介します。 基本情報 Joe Kuis/Shutterstock.com カライトソウはバラ科ワレモコウ属の宿根草です。原産地は日本で、主に本州中部地方の高山や亜高山の草原に分布。寒さに強く、真夏の暑さと乾燥をやや苦手としています。草丈は50〜100cm。ライフサイクルは、春から新芽を出して生育し、夏から秋にかけて開花。晩秋になると葉を落とし地上部を枯らして休眠し、越年したのちに、また春を迎えると新芽を出す……という繰り返しで、息の長い植物といえます。 花や葉の特徴 Gardens by Design/Shutterstock.com カライトソウの開花期は7〜10月で、ピンク色の花が咲きます。花茎を長く伸ばした先にびっしりと花がついて、ブラシのような咲き姿が特徴。花穂の先端から下へ向かってごく小さな花が開花しますが、花弁はなく萼片が4枚ついています。一つの花から長いしべが多数出るため、全体としてふわふわとしたブラシのように見えるのです。 カライトソウの葉はグリーンの楕円形で、縁に細かく切れ込みが入ります。葉序は根生葉または互生葉序です。 花言葉や名前の由来 Gardens by Design/Shutterstock.com カライトソウは、漢字で「唐糸草」と書きます。唐糸とは、中国から伝わった絹糸や織物などを指します。絹糸のように繊細で優美な花姿が、名前の由来となっているようです。カライトソウの花言葉は「繊細」「深い思い」など。 カライトソウの育て方のポイント7つ ここまで、カライトソウの基本情報、花や葉の特徴、花言葉や名前の由来などについてご紹介しました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、気をつけたい病害虫など、育て方について詳しく解説します。 1.適した栽培環境 Alex Manders/Shutterstock.com カライトソウは日当たりと風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意。ただし、高温と乾燥を苦手とするため、地植えの場合は西日が当たらない場所を選び、真夏はバークチップなどでマルチングをして乾燥を防ぐとよいでしょう。鉢植えの場合、真夏は朝のみ日が差す東側など涼しい場所に移動するとよいでしょう。基本的に寒さには強く、日本の気候に馴染んで放任してもよく育ちます。土壌は水はけ・水もちのよい、有機質に富むふかふかとした環境を好みます。 2.土づくり funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。特に乾きやすい砂質土壌では、水もちをよくするための土壌改良が必要です。有機質資材を多めに混ぜ込んでおきましょう。このように事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成します。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 3. 植え付け・植え替え AlenKadr/Shutterstock.com カライトソウの栽培は、花苗店やホームセンターなどで販売されている苗を入手し、植え付けることからスタートするのが一般的です。 苗の植え付け適期は、2〜3月です。ただし、開花株などそれ以外の時期に苗を入手した場合は、早めに植え付けましょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。苗をポットから出したら根鉢をややくずして植えましょう。複数の苗を植え付ける場合は、草丈に応じて20〜40cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 多年草のため、数年は植えっぱなしにしてもいいのですが、大株に育って込み合ってきたら掘り上げて植え直し、若返りをはかるとよいでしょう。 【鉢植え】 6〜8号鉢に1株を目安に植え付けます。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くくずして植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどで突きながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 カライトソウは生育が旺盛なので、根詰まりを防ぐために1年に1度は植え替えます。植え替えの適期は、休眠中の2〜3月です。1〜2回り大きな鉢を用意して鉢増ししてもいいですし、同じ鉢を用いたい場合は、根鉢をくずして古い根を整理し、植え直します。 4. 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に水やりをすると、すぐに水がぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 冬は葉を落として休眠するので、控えめに与える程度にします。 5. 肥料 Singkham/Shutterstock.com 肥料を与える期間は、生育期の4〜10月です。ただし、梅雨から夏の間は肥料を与えずに夏越ししましょう。 【地植え】 株の状態を見て、勢いがないようであれば、緩効性化成肥料を株の周囲にまいて、土によく混ぜ込みます。 【鉢植え】 月に1度を目安に、緩効性化成肥料を少量施して株の勢いを保ちます。開花期には、開花を促進させるように配合された液肥に切り替えてもよいでしょう。 6.日常のお手入れや注意点 Renars Otto/Shutterstock.com 【花がら摘み】 カライトソウの終わった花は早めに摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【夏越し】 高温と乾燥を苦手とするため、地植えの場合は西日が当たらない場所を選びます。乾燥しやすい場所ではバークチップなどでマルチングを施しておくとよいでしょう。暑い地域では、木漏れ日がチラチラと射すような半日陰の涼しい場所に植え替えるか、鉢上げして半日陰の涼しい場所で管理するのも一案です。 鉢植えの場合は、風通しのよい涼しい半日陰に移動して管理します。 【冬越し】 冬は地上部を枯らして休眠します。寒さには強いので、そのまま戸外で越冬させます。 7.かかりやすい病害虫 devil79sd/Shutterstock.com 【病気】 カライトソウが発症しやすい病気は、うどんこ病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 【害虫】 カライトソウに発生しやすい害虫は、ハダニ、ナメクジなどです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉、果実などを食害します。体長は40〜50mmで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の下などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。または、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。 カライトソウの増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com カライトソウは、株分けと種まきで増やすことができます。 株分け カライトソウは、株分けして増やすことができます。大株に育ったら、株を掘り上げて土を落とし、2〜3芽つけて根を切り分けて植え直せば、その分株の数も増えるというわけです。カライトソウの根は太く、手で引きちぎるように分けるのは難しいため、ハサミかナイフで切り分ける必要があります。株分けの適期は9月下旬〜10月で、植え替えのタイミングで行うとよいでしょう。 大株に育つと、存在感が大きくなりすぎて持て余してしまうことも。株を小分けにすることで、株が若返って再び勢いよく生育するメリットもあります。 種まき 種まきの適期は、9〜11月です。開花後にできた種子を採取して播きます。 黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、1穴当たり1〜2粒ずつ播きます。種子が隠れる程度に土を薄くかけ、はす口をつけたジョウロで優しい水流で水やりをしましょう。新聞紙などをかけて乾燥しないように管理し、発芽して双葉が展開したら間引いて1本のみ残します。発芽後は日当たりと風通しのよい場所で管理しましょう。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植します。 カライトソウと関係の深い植物 ワレモコウ。Flower_Garden/Shutterstock.com ワレモコウ属に分類される、カライトソウの仲間について、主なものをいくつかご紹介します。 ワレモコウ ワレモコウの原産地はユーラシア大陸の温帯から亜熱帯、北米大陸北西部〜西部。日本でも古くから自生してきた、お馴染みの山野草です。耐寒性・耐暑性に優れ、植えたまま放任しても越年する、強い生命力を持っています。草丈は20〜80cm。開花期は7〜10月で、花色は茶色。花茎をすらりと立ち上げて、頂部に1〜2cmの卵形の花が穂状に咲きます。花は穂の先から咲き始めて「有限花序」を形成しますが、じつは花に見える部分は萼で、花自体はほとんど退化しています。 タカネトウチソウ タカネトウチソウの原産地は北海道や本州中部で、高山地帯の草原などに自生しています。草丈は40〜80cm。開花期は8〜9月で、長い花茎を伸ばした先端に、白い花穂をつけます。フデトウチソウの別名もあります。 サラダバーネット 別名はオランダワレモコウといい、ワレモコウの近縁種です。原産地は地中海沿岸で、乾燥した気候を好みます。草丈は20〜50cmで、開花期は5〜6月。香りのよいハーブの一種で、開花前のやわらかい葉をサラダなどに利用できます。 カライトソウで庭や花壇に華やかな彩りを JRJfin/Shutterstock.com 古くから山野草として愛されてきたカライトソウ。ピンク色の花穂を枝垂れるように多数つける姿は野趣感があり、ナチュラルガーデンなどに向く植物です。真夏の暑さと乾燥に注意すれば放任してもよく育つので、ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。



















