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【住宅実例】家事をしながら緑を眺める「リラックス設計」の家

【住宅実例】家事をしながら緑を眺める「リラックス設計」の家

リモートワークにより家を仕事場とする人が増えた今、家庭と仕事のバランスをどう保ち、いかにリラックスできる時間を得るかという新しい課題が生まれています。その解決のカギが、戸外と上手につながる家づくりです。風や光、緑といった外の空気感を、意識せずとも日常生活のなかで感じられるよう、戸外と室内のつながりを大事にした「リラックス設計」の家をご紹介します。

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忙しい現代人のための「リラックス」空間の設計

コロナ禍では「おうち時間」が増え、自宅で仕事をするリモートワーカーも増えました。それに伴い、人々が家に求める理想像も大きく変化し、自宅にいながら戸外の開放感を味わうための屋外空間の価値や重要性が高まっています。これまでは庭がその欲求を満たすための空間でしたが、共働きが圧倒的に多い子育て世代には、庭を美しく維持する時間や手間をかける余裕がありません。そうした現代の忙しい人々に、いかに安らぎや癒やしをもたらすか、家づくりにおいて「リラックス」空間の設計は将来の資産価値にも影響を与える重要なポイントになっています。

手間も時間もかけずに戸外の“いいとこ取り”を叶えた家

「リラックス」設計の家づくり
左/ランドリースペースとつながる1階のウッドデッキ。右/LDKの一部として設けられた半戸外空間「ラナイ」。

戸外の空気感はほしいけれど、そこに時間も手間もかけられないという相反する希求への答えとして、三井ホームの竹田文聡さんが設計したのが「街なかモデル上野毛」です。エクステリアの専門家とともに設計を進め、より現代の生活にフィットさせた戸外と室内がつながる家を提案しています。広さ32坪とコンパクトながら、「ラナイ」と名付けられた半戸外空間や、家事動線とつながるウッドデッキ、窓から見えるよう効率的に配置された植栽で、意識せずとも家にいながら戸外の開放感を感じられるのが魅力です。

2階にリビング・ダイニング+アウトドアリビング

「街なかモデル上野毛」

家族が最も多くの時間をともに過ごすリビング・ダイニングを2階に設け、「ラナイ」をプラス。隣家や公道からの視線を気にすることなく、戸外の心地よさを感じながらくつろぐことができます。

ラナイ

「ラナイ」とは、ハワイの建築用語で半戸外空間のこと。建物の外へ張り出したベランダやバルコニーとは異なり、建物の一部として設計され、3方を壁で囲われ屋根もあるため、インドアの安心感とアウトドアの開放感が融合したアウトドアリビングとして活躍します。3.7畳とコンパクトながら、ガーデンファニチャーやプランターなどを置くことができ、天候にかかわらず食事をしたり、読書をしたり、ガーデニングを楽しんだりできます。

ラナイとキッチン

ラナイへの出入り口はキッチンの目の前にあり、料理の途中でスリッパのまま植木鉢からフレッシュなハーブを摘んでくることもできます。料理や後片付けなど、家事をしながら外の景色が眺められ、気分転換も。今はやりの「おうちアフタヌーンティー」もラナイなら優雅な気分が上がります。

「街なかモデル上野毛」

ラナイはリビングにも面しており、窓を通常より低いローバックソファの高さほどにすることで、室内と戸外に一体感を生んでいます。カーテンやソファに繊細な葉陰模様を描き出すのはラナイで育つオリーブ。葉影は日の光とともにゆっくりと移動し、ときに風に揺れて戸外の空気感を室内にも伝えてくれます。2階はダイナミックな勾配天井で吹き抜けのような開放感もあり、明かり取りの窓は青空や星月を幻想的に見せてくれます。

リモートオフィス
リビングのTV台の向こう側はリモートオフィス。家に仕事場という側面が生まれた現代では、よりリラックスできる戸外空間が求められる。

最小で最大の効果を得る緑&エクステリアデザイン

「街なかモデル上野毛」

外構及び植栽デザインはエクステリア設計を専門とし、一級造園施工管理技士の資格をもつ河村祐子さんが担当。家の外観とのコーディネートやプライバシー、セキュリティーといった機能性に加え、窓からの眺めにもこだわった外構デザインで、室内環境の快適性も高めています。

家の品格を高めるファサードデザイン

三井ホーム

家の印象に大きく影響を与えるファサードデザインは、窓枠とコーディネートした木調のフェンス&ゲートに、グレーの大判天然石風タイルを組み合わせ、ナチュラルかつモダンな雰囲気に仕上げました。敷地西側いっぱいに伸びる6mの木調ゲートが堂々とした風格を与えつつ、緑の効果でハードを和らげ、街にも瑞々しさと季節感を提供しています。エクステリアは河村さんのデザインを受け、エクステリアメーカー「タカショー」が制作。緑が透けて見えるフェンスの格子幅など、河村さんの細やかなデザイン意図をオーダーメイドで実現しています。

三井ホーム

家の壁は一見、タイルのように見えて、じつはよりコストが抑えられる塗り壁。デザインの工夫と技術力でコスト削減を図りながら、門袖に天然石風タイルを用いたエクステリアデザインの効果で高級感を高めています。

小さな植栽スペースで手間をかけずに緑の効果を得る

三井ホーム「街なかモデル上野毛」

敷地内には庭という一つの空間の代わりに、小さな植栽帯を人の視線の先に点在させることで緑の効果を効率的にはたらかせています。門袖の角の植栽帯には落葉樹のアオハダをシンボルツリーとして植え、株元はクリスマスローズなど常緑の宿根草を配しました。花や紅葉で季節感を楽しみつつ、簡単な手入れで常に瑞々しい緑を維持することができる組み合わせです。

三井ホーム「街なかモデル上野毛」
主寝室の窓からはアオダモが眺められる。春にはアイボリーの花が、秋には紅葉が楽しめる。生育スピードがゆっくりで、ローメンテナンスな樹種を選定。

植栽帯は外からの視線だけでなく、室内からの眺めも考慮して配置されています。例えば主寝室からは明るいグリーンの葉のアオダモが、多目的部屋からはヒトツバタゴ、アイロン台の正面にはカラタネオガタマ、バスルームの窓には常緑樹の緑陰が、というように、どこへ移動しても緑が目に入るように設計されており、室内にいながらいつも季節の移ろいや外の空気を感じることができます。

苦手な家事も開放的な戸外と接することで快適時間に

ランドリースペース

1階東側には浴室、洗面室、ランドリースペース、バルコニーを一直線上に設け、動線を最短距離にまとめて家事の時短を実現しています。天候や時間にかかわらず洗濯物が干せるよう、ランドリースペースに物干し機能を設けてありますが、南側のバルコニーへの出入り口もあり、外へ出て天日に干すこともできます。

アイロンスペース

ランドリースペース奥には、緑の見える窓に囲まれたアイロンスペースを設置。嫌いな家事調査で常に上位入りするアイロン作業も、戸外空間と接することで、快適な時間に変えています。隣家と接するバルコニーはフェンスで覆い、プライバシーとセキュリティーを確保。視線を気にすることなくリラックスして過ごすことができます。

バルコニーデッキ

バルコニーのデッキはランドリースペースから部屋側へと長く伸びており、子どもやペットを遊ばせるのに十分な広さがあります。緑との相性がよいナチュラルな木目調のデッキとフェンスは、じつはどちらも人工木。天然木の自然な風合いを再現した人工木デッキ材と高耐候性木調シートをラッピングしたアルミ材のフェンスを採用しているため、木材の手入れをしなくて済み、掃除も楽です。

三井ホーム「街なかモデル上野毛」

デッキは室内の床の色と調和させることで、外とのつながりを強調し、部屋をより広く感じさせています。深みのあるブラウンのフェンスに植栽の緑がよく映え、瑞々しい空気が室内に安らぎをもたらしてくれます。この部屋は玄関に面しており、家に入ってすぐに緑が出迎えてくれるよう植栽位置も考慮されています。

戸外空間は暮らしの質や家の価値を高める重要項目

このように敷地面積や庭の有無にかかわらず、緑や戸外の心地よさを感じる暮らしは実現可能です。むしろ広さよりも、自身の生活スタイルにフィットしたサイズ感であることが重要で、小さくともこうした戸外空間が暮らしの質を高める重要項目であることは、コロナ禍を経て多くの人が改めて実感したに違いありません。ストレス社会においてこの価値観はますます高まり、戸外空間が単なる庭やバックヤードではなく、住環境全体の心地よさを生み出す一つの要素として設計されることは、将来にわたる家の資産価値にも影響を及ぼしていくでしょう。

竹田文聡さんと河村祐子さん

竹田文聡さん(右)/三井ホーム 設計統括グループチーフデザイナー。人が本来心地よいと感じる“光、風、水、緑”という要素を重視し、戸外空間を住まいの一部として設計した「ラングレー」、「ルーカス」など三井ホームの人気デザインを開発。ルーカスをモデルとした「街なかモデル上野毛」の設計を担当。

河村祐子さん(左)/三井ホーム エクステリア設計グループ主任。建物に調和し品格を与えるエクステリアデザインと、一級造園施工管理技士としての豊富な植物知識を活かしてローメンテナンスの植栽デザインを提案。「街なかモデル上野毛」のエクステリア&植栽デザインを担当。

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