【秋の花】ノゲイトウはおしゃれな庭のアクセントにぴったり! 育て方や特徴を解説
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夏から秋にかけて、キャンドルの炎のような愛らしい花を次々と咲かせるノゲイトウ。強健な性質で、放任してもよく育つので、ビギナーにもおすすめです。この記事では、ノゲイトウの基本情報や花言葉、育て方、種類や楽しみ方など、多岐にわたって解説します。
目次
ノゲイトウの基本情報

植物名:ノゲイトウ
学名:Celosia argentea
英名:Staghorn Fern
和名:ノゲイトウ(野鶏頭)
その他の名前:セロシア
科名:ヒユ科
属名:ケイトウ属(セロシア属)
原産地:アジア、アフリカ、アメリカの熱帯〜亜熱帯地域
分類:一年草
ノゲイトウは、ヒユ科ケイトウ属(セロシア属)の一年草です。原産地はアジア、アフリカ、アメリカの熱帯〜亜熱帯地域で、暑さに強く、寒さに弱い性質です。草丈は15〜150cmと大きな幅がありますが、これは矮性種から高性種まで品種が豊富なため。品種によっては支柱が必要となるものや、地植えにするならある程度スペースを必要とするものなどがあるので、苗を購入する際には、サイズ感などをラベルでチェックしておくことをおすすめします。
ノゲイトウは春夏まきで、5月頃に種子を播き、苗が順調に生育すると、7〜11月に開花します。開花後は冬の寒さに耐えられずに枯死してしまうので、ライフサイクルは半年ほど。宿根草のように越年して春に再び芽を出すことはないので、株が衰えたら抜き取って整地します。
ノゲイトウの花の特徴
園芸分類:草花
開花時期:7〜11月
草丈:15〜150cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:ピンク、紫など
ノゲイトウの開花期は7〜11月で、花色はピンク、紫など。咲き進むと下部からやや色褪せてきます。花径は5〜12cmで、円錐形のフォルムが特徴です。分枝しやすい性質で、花数が多く次々と開花します。花に含まれる水分が少なく、風通しのよい場所に逆さに吊しておくと、簡単にドライフラワーになります。
ノゲイトウの花言葉や名前の由来・歴史

ノゲイトウの学名、Celosia(セロシア)は、ギリシャ語の「燃やした」という意味をもつ「Keleos」が由来となっています。花の見た目が炎に似ていることにちなんでいるようです。日本には8世紀頃に中国や朝鮮半島を経て伝わったとされています。
花言葉は「おしゃれ」「風変わり」「おもむくままに」など。
ノゲイトウの系統や似た仲間

「ケイトウ」と名のつく植物は、比較的多く見つかります。ここでは、同系統や似た仲間についてガイドしていきます。


ノゲイトウ・セロシア・ケイトウの関係
ノゲイトウとケイトウは、同じヒユ科セロシア属です。セロシア属には約60種類があり、ノゲイトウとケイトウは同じ属の仲間同士なのですが、ノゲイトウはセロシアの名前で流通していることが多くなっています。また、ケイトウは和名で、フサゲイトウ、トサカゲイトウ、クルメケイトウ、ヤリゲイトウ、そしてノゲイトウも含めて5つに分類されています。さらには種苗会社などによって品種改良されたノゲイトウ、ヤリゲイトウ、トサカゲイトウの園芸品種をセロシアと呼ぶこともあり、かなりややこしくなっています。そのため、出自を確認したい場合は、学名に注目するのがよさそうです。


ハゲイトウ・ヒモゲイトウは別種
「ケイトウ」の名がつく、ハゲイトウやヒモゲイトウは、じつはノゲイトウやケイトウとは別種です。ノゲイトウはヒユ科セロシア属ですが、ハゲイトウとヒモゲイトウはヒユ科ヒユ属(アマランサス属)。ハゲイトウは葉色を、ヒモゲイトウはひも状に伸びる穂状の花を楽しみます。
ノゲイトウの栽培12カ月カレンダー
開花時期:7〜11月
肥料:5〜9月
植え付け:6月下旬〜7月中旬
種まき:5月頃
ノゲイトウの栽培環境

日当たり・置き場所
ノゲイトウは基本的には日当たり・風通しのよい場所を好みます。日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意。基本的にノゲイトウは暑さに強く、日本の気候に馴染んで放任してもよく育ちます。土壌は水はけと水もちのよい、ふかふかとした状態を好みます。
耐寒性・耐暑性
暑さに強く、寒さに弱い性質です。開花後は冬の寒さに耐えられずに枯死してしまう一年草で、ライフサイクルは半年ほど。宿根草のように越年して春に再び芽を出すことはないので、株が衰えたら抜き取って整地します。
ノゲイトウの育て方のポイント
用土

【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材、緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根の生育がよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温の高い昼間に水やりをすると、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
【地植え】
根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、常にじめじめと湿った状態にしておくと、根腐れを起こしてしまうので禁物です。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え・鉢植えともに】
5〜9月に、株の状態を見て緩効性肥料を与えましょう。
注意する病害虫

【病気】
ノゲイトウの栽培で発症しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気で、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
【害虫】
ノゲイトウの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
ノゲイトウの詳しい育て方
苗の選び方
花苗店でノゲイトウの苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
植え付け

苗の植え付け適期は、6月下旬〜7月中旬です。ただし、開花株などそれ以外の時期に苗を入手した場合は、早めに植えたい場所に植え付けます。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に苗よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。苗をポットから出したら、根鉢をくずさずに植え付けるのがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、草丈に応じて15〜30cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
【鉢植え】
5〜6号鉢に1株を目安に植え付けます。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めてから植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
日常のお手入れ
摘心・花がら摘み・支柱

【摘心】
自然に分枝してこんもりとした株姿になりますが、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」をしておくと、より分枝して茂り、株張りがよくなります。
【花がら摘み】
次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【支柱の設置】
草丈が高くなる高性種を栽培する場合は、早めに支柱を設置して麻ひもまたは園芸用のビニールタイで誘引しておくと、強風による倒伏を防ぐことができます。
増やし方 種まき

ノゲイトウは種まきで増やすことができます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くて多数の苗を植えたい場合は、コストカットにもなります。
発芽適温は25℃前後で、種まきの適期は5月頃です。種まきから栽培する場合、花壇などに直まきすると、幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすいので、種まき用のトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種子を播き、適した場所で管理すると、より確実です。ただし、ノゲイトウは「直根性」で、ゴボウのように太く長く伸びる根を持っています。この根を傷めると後の生育が悪くなるので、移植する際は根鉢をくずさないよう、丁寧に扱ってください。
種まき用のトレイに種子を播く場合は、微細な種子なので覆土はごく薄くしてください。種子が流れ出さないように、水やりは水を浅く張った容器にトレイを入れ、底から給水します。発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。1週間ほど経つと発芽し、双葉が揃います。
発芽したら日の当たる場所で管理し、込み合っている部分があれば適宜間引きましょう。もったいないからといって密のままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。
本葉が2〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用の培養土を入れて、根を傷つけないように苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育苗します。多湿になると根の張りが悪くなり、ヒョロヒョロと頼りなく伸びる徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。ポットに根が少し回るくらいまでを目安に育苗し、幼苗のうちに植えたい場所に定植します。
ノゲイトウの楽しみ方

庭を豊かに彩るノゲイトウは、切り花やドライフラワーにも利用できます。ぜひインテリアに飾って楽しんではいかがでしょうか。
ドライフラワー
ノゲイトウは、花に水分をあまり含まないので、簡単にドライフラワーにできます。雨が降らずに数日乾燥が続いた朝に、好みの長さで切り取ります。下葉を取ってひもで束ね、風通しのよい日陰に逆さに吊しておくと、2〜4週間でドライになります。
切り花
切り花にして楽しむ場合は、朝か夕方の涼しい時間にハサミで切り取りましょう。その際は、花がしっかり開いて、茎がある程度硬くなっているものを選びます。葉は傷みやすいので、下葉をできるだけ切り取っておいてください。茎の切り口を水の中で斜めに切り取って十分に水揚げし、花瓶などに飾ります。
ノゲイトウの可憐な花姿でお庭を明るくしよう

花つきがよく、次々と咲いて庭を彩るノゲイトウは、ガーデニングで重宝するのはもちろん、切り花やドライフラワーとしても楽しめます。夏の暑さに負けず、手をかけずともすくすくと育つので、ビギナーにもおすすめです。ぜひノゲイトウを庭に植栽して、秋まで愛らしい花姿を楽しんでください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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