タマスダレは白い花が愛らしい球根植物! 育てるポイントや注意点を解説

Nick Pecker/Shutterstock.com
タマスダレという植物をご存じでしょうか? タマスダレは可憐な白い花が長く楽しめるのが特徴の秋咲きの球根植物です。この記事では、タマスダレの特徴から花言葉、育て方のポイントまで詳しくご紹介します。
タマスダレの特徴は

まずはタマスダレとはどのような植物なのか、その特徴についてご紹介します。
基本情報

タマスダレは、南米が原産のヒガンバナ科タマスダレ属(Zephyranthes属)の多年草です。丈夫でよく増え、日本では半野生化していることもあります。草丈は10~30cm程度です。
タマスダレという名前は、純白の花を「玉」に、葉が集まっているところを「簾」に見立てたことが由来とされます。属名のゼフィランサスの名前で流通することもあります。
花や葉の特徴

タマスダレの開花時期は5月下旬〜10月。一つの花の開花期間は数日で短いですが、次々新しい花茎が出て咲きます。
花茎の頂点には、4~5cmほどの白い花が一つだけ上向きに咲き、雄しべは黄色くよく目立ちます。葉は、細長く棒状で、長さ20~30cm、幅4~5mmほどで、土から直接出ています。
温暖地では葉をつけたまま越冬し、一年中常緑ですが、寒冷地では地上部が枯れることがあります。
花言葉

タマスダレ属全体の花言葉として、「汚れなき愛」「純白の愛」「期待」「便りがある」などがあります。花色から「汚れなき愛」や「純白の愛」などのほか、「期待」や「便りがある」は、ゼフィランサスの名前の元となった西風の神「ゼピュロス」から「風が便りを届けてくれる」という意味合いでつけられました。
タマスダレは毒性に注意

タマスダレには、全草に毒性成分のアルカロイドやリコリンが含まれており、特に鱗茎に毒性成分が多く含まれます。誤食すると、嘔吐やけいれんなどの症状が起こることがあります。また、葉がニラに、球根がラッキョウやノビルに似ているため、庭で育てる場合には姿の似ている食用植物の近くでは育てないよう注意が必要です。
タマスダレの育て方のポイント6つ

タマスダレは丈夫であまり手がかからない植物です。可憐な花を咲かせ、初心者の方にも育てやすいおすすめの植物です。
ここではタマスダレを上手く育てるためのポイントについて解説します。
1.栽培に適した環境

タマスダレは地植えでも鉢植えでもよく育ちます。管理する場所は、日なたや明るい半日陰が適しています。水はけのよい土壌を好むため、市販の草花用培養土で育てるのがよいでしょう。植える場所が粘土質の場合は、パーライトや有機質の堆肥を入れて土壌改良しましょう。
2.水やり・肥料

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。一方、地植えの場合は、植え付け後しばらくは乾きすぎないように注意し、しっかり根付いたら基本的に自然の降雨に任せてかまいません。ただし、夏に雨が降らない日が続いたときは水やりが必要です。
タマスダレはそれほど肥料を必要としません。植え付け時に元肥として緩効性肥料を混ぜておくだけでかまいません。地植えの場合は、追肥をする必要はありませんが、様子を見て3月と10月頃に化成肥料を与えても構いません。一方、鉢植えの場合は、9〜10月頃に追肥するのがよいでしょう。
3.植え付け

球根の植え付け時期は3月中旬〜4月下旬が適しています。密植すると咲いたときに見ごたえがあるため、3~5cm間隔で植えるのがおすすめです。
地植えの場合は、球根を植える深さは5cmほどにします。一方、鉢植えの場合は、球根が隠れる程度に浅く植え付けます。
4.植え替え

地植えの場合は、4~5年程度は植えっぱなしで構いません。鉢植えでも2~3年は植えっぱなしで問題ありません。
球根は分球して増えるため、混み合ってきて花のつきも悪くなってきたら植え替えのタイミングです。分球の際は、葉をつけたまま株分けする要領で分球を行います。
5.日常のお手入れや注意点

暖地では落葉しないので、春に新しい葉が出てくると葉が増えて年々茂るようになります。冬の間に傷んだ古い葉を取り除き、混み合わないように注意しましょう。
種子を採種する場合を除き、花が終わったら早めに摘み取ります。
6.注意すべき病害虫

タマスダレは全草に毒を含んでいるため、害虫に強く、かかりやすい病気も特にありません。しかし、まれにハマオモトヨトウというガの幼虫が発生することがあります。ハマオモトヨトウはヒガンバナ科の植物を好み、葉や球根を食害します。発生した場合は、薬剤を散布して駆除しましょう。
タマスダレの増やし方

タマスダレは種まきや分球で増やすことができます。
ここではそれぞれの増やし方について、その方法をご紹介します。
種まき

花後にできた莢が茶色く変色して種子が黒くなったら採種できます。
採種したらすぐに鉢やプランターなどに播き、薄く覆土します。その後、乾燥しないよう注意しながら日当たりのよい場所で管理します。
ただし、種子から育てる場合は花が咲くまでに数年かかるため、早く花を見たい場合は分球のほうがおすすめです。
分球

分球の適期は3〜4月頃です。植え替えの際に分球すると作業を効率よく行えます。球根に小球ができるので、丁寧に手で割って分け、植え付けます。暖地で育てている場合は、冬でも葉が枯れずに残っているため、分球した小球も葉をとらずにそのまま植えます。
タマスダレの仲間

タマスダレ属の原種はおよそ35~40種類あると言われています。
ここでは、その中でもよく栽培される原種をご紹介します。
サフランモドキ

サフランモドキ(Zephyranthes carinata)は、タマスダレ属のなかではタマスダレに次いでよく栽培されています。種小名のカリナタ(カリナータ)で流通していることもあります。
この植物は薄ピンク色の花びらと黄色い雄しべを持つ花を咲かせます。サフランに似ていることから、サフランモドキの名がつけられました。
ゼフィランサス・ロゼア

ゼフィランサス・ロゼア(Zephyranthes rosea)は、和名をコサフランモドキといいます。
花径が5cmほどの、サフランモドキよりも濃いピンク色の花を咲かせます。草丈は15cm程度です。
ゼフィランサス・キトリナ

ゼフィランサス・キトリナ(Zephyranthes citrina)は和名をキバナノサフランモドキといいます。
この植物は、タマスダレよりも小さな黄色い花を咲かせ、草丈は15~30cmほどです。和名と似た名前のキバナノタマスダレは、同じヒガンバナ科に属するものの、ステルンベルギア属に分類される別種です。
タマスダレは初心者にもおすすめの花

タマスダレは丈夫で初心者の方にも育てやすい植物です。地植えでも鉢植えでも、可愛らしい花を楽しむことができ、病害虫にも強いためおすすめです。代表的な白い花以外にも、タマスダレの仲間はピンクや黄色などの花色を楽しむこともできます。
ぜひ育てやすいタマスダレをご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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