緑が美しい大人シックの庭 福島・小泉邸【カメラマンが訪ねた感動の花の庭】

これまで長年、素敵な庭があると聞けばカメラを抱えて、北へ南へ出向いてきたカメラマンの今井秀治さん。カメラを向ける対象は、公共の庭から個人の庭、珍しい植物まで、全国各地でさまざまな感動の一瞬を捉えてきました。そんな今井カメラマンがお届けするガーデン訪問記。第8回は福島の個人邸、小泉真由美さんの庭です。
目次
緑が美しい!大人でシックな庭を訪ねて

今回紹介するのは、前回ご紹介した大須賀由美子さんのお友達である、小泉真由美さんの、とっても緑の美しい、大人でシックな庭です。僕が最初に福島県郡山市にある小泉さんの庭に伺ったのは2005年のことでした。この年は、『バラ大百科』(上田善弘・河合伸志監修/NHK出版刊)という本格的な図鑑の制作に関わっていたため、僕もとても忙しい年だったと記憶しています。

その時の撮影スケジュールといえば、5月はじめに「広島バラ園」の撮影から始まり、福山の次は岡山へとバラの庭を次々と撮影し、翌週には東京周辺の撮影を済ませたら、6月に北関東や長野、仙台と撮影は続きました。

当時、仙台のオープンガーデンはきれいな庭がたくさんあることで話題になっていたので、僕も何度も撮影に伺って、何軒も素敵な庭を撮影させていただきました。撮影の間にお世話になった「オープンガーデンみやぎ」の代表の大森さんから、郡山にも素敵なお庭がありますよ、と紹介していただいたのが、今回の小泉さんの庭でした。
植物と調和するフェンスなどの構造物はご主人のDIY

小泉さんの庭は、あの頃よく撮影に訪れたバラを中心にした庭とは少し違っていて、ジギタリスやホスタが美しい、宿根草が植わり、イングリッシュローズなど何種類ものバラがバランスよく入っている、落ち着いた印象のデザインでした。フェンスやパーゴラなどの構造物は、すべてご主人のお手製というのも魅力的でした。

庭に入ってすぐの左側にある花壇の白いバラと、すっと立った何本もの白いジギタリスのコラボレーションがあまりにも美しかったので、何度もアングルを変えながら夢中で撮影したことを今でも覚えています。
訪れるたびにグレードアップする庭

あれからもう13年が経ちますが、これまでも取材で何回も伺っています。小泉さんの庭は、訪れる度にどこかが変わっていて、少しずつ小泉さんらしい庭になっていっているような気がしていました。

小泉さんは庭づくりを始めた頃、東北にもオープンガーデンがあることを知って、「オープンガーデンみやぎ」に入会していたことがあるそうです。「オープンガーデンみやぎ」の皆さんの、バラと草花の素敵な庭を見せていただいて感動した小泉さんは、一番多い時には200品種のバラを育てていたそうです。

僕が初めてお邪魔した時も、たくさんのバラと色鮮やかな草花が咲く、明るく元気な印象の庭だったと思います。それから少しずつバラを減らして、葉のきれいな植物を増やしていき、何年もかけて現在の形にたどり着いたという訳です。

庭の撮影に伺い、一通り撮り終わると、いつも美味しいお茶にお菓子のしばしのティータイムになりますが、そんな時も小泉さんの口からは「どこか気になる所はありませんか?」とか「オススメのガーデンがあったら教えてください」と、話題に上るのは、庭のことばかりでした。
緑の中に引き立つクレマチスの美しさ

何年か前、僕がクレマチスの取材で忙しい頃に「クレマチスもきれいですよね」と言ったことがありましたが、今は小泉さんの庭のあちこちで、どの花も撮影したくなってしまうくらい可愛いクレマチスが咲いています。
理想は、草花も家族もホッとできる居心地のよい庭

この原稿を書くにあたって、小泉さんにいくつか質問をさせていただきましたが、「好きなガーデンは?」という質問には、「イギリスのベス・チャトー・ガーデンが計算されているのを感じさせないから好きです」というお答えでした。さらに「理想の庭は?」と質問してみると、「季節を感じつつ、草花がお互いを引き立てあって調和する庭。草花も家族もホッとできる居心地のよい庭」と小泉さん。

ガーデニングのベテランである方の目指すところは、やっぱり居心地のよい庭なのですね。そして、小泉さんの目指す、その居心地のよい庭づくりは、まだまだ続くとのことでした。
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Credit

写真&文/今井秀治
バラ写真家。開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ガーデンローズカレンダー』も好評。
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