白い産毛に覆われたシルバーグリーンの茎葉が美しいサントリナ。全草に芳香があり、ハーブとしても活用されています。この記事では、サントリナの特徴や育て方、アレンジの方法、種類など、幅広くご紹介します。
目次
サントリナの基本情報
カラーリーフとして人気の高いサントリナは、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、基本情報や名前の由来、花言葉、樹姿などについてガイドします。
植物名:サントリナ
学名:Santolina chamaecyparissus
英名:cotton lavender
和名:ワタスギギク
その他の名前:コットンラベンダー、ラベンダーコットン
科名:キク科
属名:ワタスギギク属(サントリナ属)
原産地:地中海沿岸
分類:常緑性低木
サントリナは、キク科ワタスギギク属(サントリナ属)の常緑低木。原産地は地中海沿岸で高温多湿を苦手とし、寒さに強い性質をもっています。びっしりと白い産毛に覆われたシルバーリーフが大変美しく、主に茎葉を観賞するカラーリーフプランツとして人気があります。常緑性のため、冬の寄せ植えなどにも人気です。また、全草にサントリナオイルと呼ばれる芳香成分をもち、ハーブとして利用されてきました。ラベンダーに似た香りから、「コットンラベンダー」の別名がありますが、ラベンダーとは別種です。
花や葉の特徴
園芸分類:低木、ハーブ
開花時期:6〜7月
樹高:30〜60cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:黄
サントリナの樹高は30〜60cmと低いため、草花のように利用でき、扱いやすいのが特徴です。葉には細かい切れ込みが入り、産毛に覆われたシルバーグリーンの色合いも相まって、繊細な表情を持っています。常緑性のため、一年を通して葉姿を楽しめます。品種によって、緑が強いものや青みが強いものなどがあり、カラーリーフとして人気です。また、ハーブの一種で葉には芳香があり、ポプリや虫除けなどに利用できます。
6〜7月に花径2cmほどの丸い黄花を咲かせます。花弁のない頭状花で、よい香りを放ちます。
サントリナの名前の由来や花言葉
サントリナという名前は、学名のSantolinaをそのまま読んだものです。「Santolina」は、「聖なる」という意味の「Sanctum」と、亜麻という意味の「Linum」が語源とされています。和名は「綿杉菊(ワタスギギク)」で、産毛をまとった杉のような葉をもつ菊という意味。外見から名付けられたようです。
サントリナの花言葉は「移り気な人」「悪を遠ざける」「さりげない魅力」などです。
サントリナの主な品種
サントリナにはさまざまな園芸品種がありますが、その中でも国内で主に流通しているものをご紹介します。
ランブルックシルバー
サントリナ・カマエパリッサス種の代表的な園芸品種。シルバーグレーの葉をもち、樹高は20〜60cmで、株幅は30〜60cm。刈り込めばこんもりと茂って葉が密生します。自由に剪定でき、生け垣やトピアリー仕立てにしてもよいでしょう。
レモンクイーン
サントリナ・カマエパリッサス種の園芸品種で、樹高は30〜60㎝。花色は明るいクリーム色で、周囲の草花と調和しやすいのが魅力です。他の品種に比べ繊細な樹姿で、ややコンパクトにまとまります。
サントリナの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6〜7月
肥料:4〜5月、10~11月
植え付け・植え替え:3〜6月、9~11月
挿し木:4〜5月、9月下旬〜10月
サントリナの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って間のびするので注意。
【日当たり/屋内】基本的に屋外で栽培します。
【置き場所】産毛に覆われているため蒸れやすく、多湿を嫌います。水はけのよい土壌をつくり、盛り土をして周囲より高くしておくとよいでしょう。鉢栽培の場合は、長雨が続く時期は軒下など雨の当たらない場所に移動するとよいでしょう。また、高温多湿の環境を苦手とするので、真夏は風通しのよい半日陰など、涼しい場所で管理することが大切です。
耐寒性・耐暑性
寒さには強く、マイナス15℃くらいまで耐えるので、戸外で越冬できます。その際は、株元にバークチップなどを施してマルチングをしておくのがおすすめです。暑さにも強いですが、多湿が苦手なので、夏は蒸れに注意し風通しよく管理します。
サントリナの育て方のポイント
用土
【地植え】
植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。自身で培養土をブレンドする場合は、赤玉土中粒4、鹿沼土3、腐葉土3を混合し、さらに元肥として緩効性肥料を施しておくとよいでしょう。
水やり
サントリナは細かな産毛を株全体にびっしりとまとっています。そのため、茎葉に水がかかると蒸れやすいので、水やりの際には注意してください。株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えるようにしましょう。
真夏は気温の高い昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が傷んでしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉を伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃から水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿を嫌う性質のため、与えすぎには注意し、いつもジメジメしている環境にならないようにしてください。
土の表面が十分に乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、水やりを忘れないよう注意します。冬は生育が止まって表土も乾きにくくなるので、控えめに与えるとよいでしょう。
肥料
【地植え】
土づくりの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきます。多肥にするとかえって弱ることがあるので、追肥はほとんど不要です。しかし、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見てください。
【鉢植え】
土づくりの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきます。追肥は、4〜5月と10月頃にそれぞれ1回、緩効性化成肥料を周囲にばらまいて軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。
注意すべき病害虫
【病気】
サントリナが発症しやすい病気はほとんどありません。
【害虫】
サントリナに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、高温乾燥期には予防として葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
サントリナの詳しい育て方
苗の選び方
苗木を購入する際は、節間が間のびしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。
植え付け・植え替え
適期は3〜6月か、9〜11月です。ただし、花苗店などではほかの時期にも苗木が出回っているので、購入したら早めに植え付けてください。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、根鉢よりも一回り大きな穴を掘って苗木を植え付けます。複数の苗木を植える場合は、約30〜50cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。
地植えの場合は、環境に合えば植え替えの必要はなく、そのまま植えっぱなしにしてかまいません。
【鉢植え】
単植する場合は、購入した苗木よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、軽く根鉢をほぐして植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、古い土や根を落として新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
日常のお手入れ
【花がら摘み】
開花期には、終わった花を見つけたら適宜摘み取りましょう。まめに傷んだ花を摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まってしまうので注意しましょう。
【切り戻し】
樹姿が乱れてきたら、適宜切り戻して株の若返りをはかります。樹高の半分くらいまでを目安に、深めにカットしましょう。梅雨前に行うと、株が蒸れやすくなるのを防ぎ、風通しよく管理することができます。
増やし方
サントリナは、挿し木で増やすことができます。
挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。
挿し木の適期は、4〜5月頃か9月下旬〜10月頃です。新しく伸びた枝を10cmほど、切り口が斜めになるように切り取り(挿し穂)、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を半分くらい取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
サントリナのさまざまな利用方法
香り高くハーブの一種として分類されるサントリナ。ここでは、さまざまな利用方法についてご紹介していきます。
リースにして飾る
リースを作る場合は、剪定の際に切り落とした枝を用いるとよいでしょう。リースの土台に、枝をワイヤーでくくりつけていきます。ドライフラワーやほかのハーブと一緒にアレンジしても素敵です。
香りを利用する
サントリナの香りには虫が嫌う成分が含まれていることから、防虫剤として利用することができます。剪定した枝を風通しのよい日陰に吊してドライにし、布袋に入れてサシェにします。タンスに入れたり、クローゼットに吊しておくのもおすすめです。
コンパニオンプランツにも使える
サントリナが放つ香りを虫が嫌うことから、コンパニオンプランツとしての役割も期待できます。ほかの植物と一緒に植栽すれば、虫を寄せつけない環境づくりに一役買ってくれるはずです。
サントリナを育てて花やカラーリーフを楽しもう
花や葉に芳しい香りがあり、ハーブとしても利用できるサントリナ。明るいシルバーリーフは常緑で、一年を通してみずみずしい姿を楽しめます。ぜひ庭やベランダに取り入れてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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