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かつては「ほうき」の材料だった? 株いっぱいに可憐な花を咲かせる「エリカ」とは

かつては「ほうき」の材料だった? 株いっぱいに可憐な花を咲かせる「エリカ」とは

nnattalli/Shutterstock.com

株を覆い尽くすように愛らしい花を咲かせ、冬に花を咲かせる種類もある「エリカ」。一見すると草花のように見えますがじつは低木で、ヨーロッパでは古くからほうきや建材として利用されてきた歴史があります。一度植えれば毎年花を楽しめるコスパ抜群なエリカの基本情報や、元気に育てるためのお手入れのコツをご紹介します。

エリカの基本情報

エリカ
HalinaPalina/Shutterstock.com

植物名:エリカ
学名:Erica
英名:Heath(ヒース)
和名:エリカ
その他の名前:ハイデ
科名:ツツジ科
属名:エリカ属
原産地:ヨーロッパ、北アフリカ、南アフリカ
形態:低木

エリカは、ツツジ科エリカ属の低木です。原産地はヨーロッパ、北アフリカ、南アフリカで、分布する範囲が広く、種類も600種以上にのぼるとされています。そのため、原産地の気候によって耐寒性や耐暑性、開花期に違いがあるのが特徴です。

エリカの花や葉の特徴

エリカ
ibrahim kavus/Shutterstock.com

園芸分類:庭木、花木
開花時期:主に3~4月(種類による)
樹高:10~200cm(平均20~80cm)
耐寒性:やや弱い~弱い
耐暑性:やや弱い
花色:白、ピンク、黄、オレンジ

日本ではピンク色の花を咲かせるジャノメエリカが最もポピュラーで、40~50種ほどが流通しています。春咲き、夏~秋咲き、冬咲きなど開花期は種類によって異なり、ジャノメエリカは11月~翌年4月にかけて開花する冬咲きの花として人気。樹高は10~200cmとされていますが、日本で主に流通しているものは20~100cmくらいです。

種によって個性が違いますが、多くのエリカの葉は針型、線形で、枝を覆うようにしてついています。常緑のため、冬でもみずみずしい枝葉を保ちます。花色は種類によって赤、ピンク、オレンジ、黄、白などがあり、花姿も筒形やベル形、球状など多様です。

エリカの名前の由来と花言葉

エリカ
Eurybia/Shutterstock.com

エリカの名前の由来は、ラテン語でほうきを意味する「Eric(エリック)」が有力視されています。これは、エリカがヨーロッパでほうきや屋根の建材、燃料などに使われていたことに由来しています。

また、エリカは結石予防の効果があるハーブとしても知られているため、同じくラテン語の「Ereike(エイリケー)」に由来しているという説もあります。

エリカの花言葉には「孤独」「寂しさ」などがあります。これは英名の「ヒース」を由来としており、イギリスでは荒れ地に自生する耐寒性の強い野草のイメージが強いため。ほかに植物の姿が見えない荒れ地で、寂しく咲く姿を表現しているようです。お祝いごとのプレゼントなどには、ちょっと向いていないかもしれませんね。

エリカの代表的な種類と品種    

ジャノメエリカ Erica canaliculata

ジャノメエリカ
zzz555zzz/Shutterstock.com

日本の庭木として定着している人気の品種。マイナス5℃程度までに耐える、寒さに比較的強いエリカです。樹高は2mほどで、晩秋から春にかけてピンクの壺状をした花を咲かせます。花から雄しべの一部「葯」がのぞくさまが、日本に古くから伝わる模様「蛇の目」に似ていることが、名前の由来です。

スズランエリカ Erica formosa

スズランエリカ
Luca Napelo/Shutterstock.com

南アフリカ原産の、寒さに強く暑さに弱い品種。冬から春にかけて、白い鐘型の花を咲かせます。花の形やつき方がスズランに似ていることから、スズランエリカの名がつけられました。樹高は40cm~60cmほど。クリスマスエリカ、エリカ・フォルモーサなどさまざまな呼び名があります。

‘ホワイトデライト’ Erica colorans‘White delight’

エリカ‘ホワイトデライト’

細長いユニークな形の白い花を、放射状につける品種。秋から冬にかけて花を咲かせます。樹高は40cmほど。杉の葉に似た針状の短い葉をまとった茎がまっすぐに伸びます。

‘ふっくらももちゃん’ Erica baueri

中央がふっくらと丸い花を咲かせる、愛らしいエリカ。冬から春と、6月から初夏にかけて花が楽しめます。耐寒性はやや弱く、耐暑性は比較的強い品種です。

‘プリティーレッド’ Erica sparsa ‘pretty red’

エリカ‘プリティーレッド’
F_studio/Shutterstock.com

ごく小さな濃いピンク色の花を無数に咲かせ、遠目ではふんわりとした質感になる品種。開花期は長く、秋から春にかけて花を楽しめます。樹高は40cm~100cmほど。暑さに強く、丈夫で育てやすいのが特徴です。

‘クリスマスパレード’ Erica × hiemalis cv. Christmas Parade

エリカ‘クリスマスパレード’

エリカ・ヒエマリスの園芸品種で、筒状のピンク色の花を咲かせます。開花期は晩秋から春と長く、樹高は30cm~100cmと幅があります。極端な暑さや寒さに弱い品種です。

メランセラ Erica melanthera

エリカ・メランセラ
shepherdsatellite/Shutterstock.com

鈴のような丸い形の花をたくさんつける、人気の高い品種です。花色はピンク。10月~12月にかけて花をつけるため、耐寒性が比較的強いのも特徴です。

エリカの栽培12カ月カレンダー

エリカ
footageclips/Shutterstock.com

植え替え適期:4〜5月(冬咲き種の場合)
肥料:4〜5月、9月下旬~11月上旬
入手時期:11月〜翌年3月(冬咲き種の場合)
植え付け:4〜5月

エリカの栽培環境

エリカ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

エリカは日当たりと水はけのよい環境での管理が適しています。高温多湿が苦手な品種が多く、雨に当たると弱ってしまうこともあるので、気候に応じて管理場所を変えるのもおすすめです。日差しが強すぎるときは、半日陰に移動しましょう。

耐寒性・耐暑性

品種によって差がありますが、多くの品種は極端な寒さを避けて管理しましょう。代表的な品種であるジャノメエリカの耐寒温度はマイナス5℃、耐暑性は盛夏の暑さに耐える程度の強さを持ちます。ただし、多湿には弱いので、雨が当たらない場所や風通しの良い場所などがおすすめです。

エリカの育て方のポイント              

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

エリカは弱酸性の土壌を好むので、ピートモスを土に混入することがポイントです。

【地植え】

植え付けの2~3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、ピートモスなどをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込み、土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

ツツジ用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土4、鹿沼土4、ピートモス2の割合でブレンドしてください。   

水やり 

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝かタ方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。タ方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は地中から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、茎葉がややだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。   

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

肥料を与える適期は、4~5月、10月です。

【地植え・鉢植えともに】

適したタイミングに、緩効性肥料を木の周囲にばらまき、土によく馴染ませます。エリカは多肥を嫌うので、与えすぎには注意してください。

注意する病害虫

アブラムシ
schankz/Shutterstock.com

【病気】

エリカの栽培では、病気が発生する心配はほとんどありません。

【害虫】

エリカの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2~4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫です。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけましょう。小さな虫なので、水の勢いで押し流すことができます。       

エリカの詳しい育て方          

苗の選び方

エリカの苗を選ぶ際には、葉の色や枝のハリがポイントです。葉の色が鮮やかで、枝がしなやかでハリのある、元気な苗を選びましょう。

植え付け

エリカ
Caterina Trimarchi/Shutterstock.com

エリカの植え付け適期は、3~4月か10月です。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1~2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1~2段分入れてからツツジ用の培養土を半分くらいまで入れましょう。エリカの苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2~3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までよく行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておきましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。

植え替え

土
Sandu Herta/Shutterstock.com

エリカの植え替えの適期は、3~4月か10月です。

【地植え】

地植えの場合は、基本的に植え替えは不要です。ただし、極端に暑さを苦手とする種類は、夏前に鉢に植え替えて涼しい場所で夏越しさせる必要があります。逆に寒さが苦手な種類は、冬前に植え替えて暖かく日当たりのよい場所で管理しましょう。

【鉢植え】

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、1~2年に1回は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態にしておくと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を整理したら、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。

日常の手入れ

エリカは花数が多く、株全体を覆うように咲くので、終わった花を一つひとつ摘むとなると、気が遠くなりそうですね。しかし、じつはエリカは花が終わると自然に花弁を落とします。枯れた花が目立ってきたら枝を揺すったり、しごいたりして落とすのがおすすめです。落ちた花がらを拾い集め、株周りを清潔に保ちましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。

剪定・切り戻し

園芸バサミ
mihalec/Shutterstock.com

鉢植えは、花後に全体を1/3~半分程度切り戻します。さらに強く切り戻すと復活しないことも多いので避けてください。特に太い枝は、切り戻すと芽吹きしないことが多いです。弱った枝や込み合った部分は、間引くように切ります。

地植えの株も、花後に伸びすぎた部分などを剪定して形を整えるとよいでしょう。

冬越し・夏越し

エリカ
Olga Korica/Shutterstock.com

エリカは、種類によって耐寒性や耐暑性に差があり、それぞれに応じたメンテナンスが必要になります。入手したエリカの原産地を確認し、適した管理を行いましょう。

冬越し

【地植え】

南アフリカ原産の種類は、暖地であれば植えたままにしても越冬できます。しかし冬の寒さが厳しい地域では、鉢に植え替えて寒風が吹きつけない暖かい日向などで管理するのが無難。越年して霜の心配がなくなった頃に地植えに戻します。寒さに強いヨーロッパ原産のものは、地植えのままでかまいません。

【鉢植え】

寒さが苦手な南アフリカ原産の種類は、寒い風が吹きつけず、霜が降りない日だまりなどで管理します。ヨーロッパ原産のものは、それほど気を使う必要はありません。

夏越し

【地植え】

ヨーロッパ原産の種類は、高温多湿が苦手なので、鉢に植え替えて雨の当たらない風通しのよい場所で管理しましょう。暑さがおさまる彼岸頃に地植えに戻します。暑さに強いアフリカ原産のものは、地植えのままでかまいません。

【鉢植え】

高温多湿を嫌うヨーロッパ原産の種類は、雨の当たらない風通しのよい場所で管理します。アフリカ原産の種類は、それほど気を使う必要はありません。

増やし方

ガーデニング
Mila Naumova/Shutterstock.com

植物の中には挿し木ができないものもありますが、エリカは挿し木で増やすことができます。挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましい生命力ですね!

エリカの挿し木の適期は、5~6月か9~10月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意し、底にゴロ土を入れてから新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、挿し穂を植えて土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。   

エリカ栽培のよくあるトラブル

エリカ
Caterina Trimarchi/Shutterstock.com

枯れる

エリカは管理方法を誤ると枯れてしまうことがあります。

よくある原因のひとつとしては、水切れがあります。エリカは高温多湿をを嫌う一方で、根が細く、水切れを起こしやすいのが特徴です。完全に乾燥させると根が傷み、株が弱ってしまいます。エリカの管理では、根腐れと乾燥の両方に注意が必要です。

また、剪定で木質化した部分まで切り戻すと、その部分が復活しないこともあります。成長に悪影響が出ることもあるので気をつけましょう。       

葉が落ちる

エリカは水分不足になると葉が落ちてしまうことがあります。前述のとおり、根が細く水切れを起こしやすいので、適切な水分管理が大切です。室内で管理している場合は、暖房や空調による乾燥にも十分注意しましょう。

なお、水やりが多すぎると根腐れを起こすこともあるので気をつけましょう。

花が咲かない

エリカ
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エリカの花が咲かないときは、日照不足や栄養不足が疑われます。エリカは日当たりの良い場所を好むので、十分な日当たりがないと花がつかないことがあります。また、栄養状態が悪くても、花が咲かないこともあります。過度な肥料は必要ありませんが、土や株の状態を見極めて適切に施肥することが、充実した開花期を迎えるためには大切です。

小さくて可愛い花を楽しもう! 

エリカ
Tunatura/Shutterstock.com

冬に咲く種類もあるエリカは、寂しくなりがちな庭やベランダを彩るのに人気の植物。ドライフラワーやリースなどにもアレンジでき、飾る楽しみを味わえます。丈夫で初心者でも育てやすいので、ぜひ庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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